JP2007320956A - 動脈硬化抑制剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】血管内皮細胞、マクロファージ等で発現されているLOX-1への酸化LDLの結合を阻害し、かつLOX-1を介した酸化LDLの細胞内への取り込み抑制能を有するアンタゴニスト作用を有し、かつ安全性の高い動脈硬化抑制剤及びこれを含有する食品又は医薬組成物を提供すること。
【解決手段】ミカン科に属する植物抽出物を有効成分として含有してなり、レクチン様酸化低密度リポ蛋白質(LOX-1)アンタゴニスト作用を有する動脈硬化抑制剤、該動脈硬化抑制剤を含有する食品組成物または医薬組成物、ならびにミカン科に属する植物の抽出物を有効成分として含有してなる、レクチン様酸化低密度リポ蛋白質受容体(LOX-1)アンタゴニスト作用を有する組成物。
【選択図】なし
【解決手段】ミカン科に属する植物抽出物を有効成分として含有してなり、レクチン様酸化低密度リポ蛋白質(LOX-1)アンタゴニスト作用を有する動脈硬化抑制剤、該動脈硬化抑制剤を含有する食品組成物または医薬組成物、ならびにミカン科に属する植物の抽出物を有効成分として含有してなる、レクチン様酸化低密度リポ蛋白質受容体(LOX-1)アンタゴニスト作用を有する組成物。
【選択図】なし
Description
本発明は動脈硬化抑制剤、及びこれを含む食品組成物、又はこれを含む医薬組成物に関する。
動脈硬化症は近年、過脂肪食や運動不足を主な要因とする肥満症が最上流であるメタボリックシンドロームの下流に位置する症状であるとの認識がコンセンサスになりつつあり、この動脈硬化症がさらに進行することにより血栓を形成し、心疾患・脳血管疾患の原因となる。
ところで、厚生労働省の最近の人口動態統計によると、疾患別死亡者の1位が悪性新生物(腫瘍及び癌)、2位が心疾患、3位が脳血管疾患となっているが、心疾患と脳血管疾患による死亡者の合計は全体の約28%であり、これは悪性新生物の死亡者割合である約30%にほぼ匹敵する(平成17年)。悪性新生物の対処方法に関しては、その発症プロセスから考慮すると早期発見・早期治療が重要であり、臨床学的なアプローチが望ましいとされる。ところが上述のように、生活習慣病に起因する肥満症・動脈硬化症の下流に位置する心疾患・脳血管疾患については、食品からの予防学的なアプローチが可能なプロセスであり、日常的に摂取可能な形態を用いることでの対処方法が望ましい。
動脈硬化症において、食生活を含めた食品学的なアプローチが重要であることは上述の通りであるが、複雑・多岐なプロセスにおいてどの作用機序をターゲットにするかは重要である。動脈硬化症は酸化ストレス等による低密度リポ蛋白質(Low-density Lipoprotein: LDL)の変性、血管内皮細胞への取り込みによる血管内皮機能障害を発症の端緒としており、その後のシーケンシャルなプロセスとしてマクロファージや血管平滑筋の分化・脱分化による泡沫化現象を呈する。そして最終的には狭窄性病変を経て血栓形成となる。つまり、予防学的観点から考えれば、初期病変である酸化ストレス等による脂質の変性、あるいは変性LDLが血管内皮細胞に取り込まれることによる機能障害を抑制することが重要である。
アポリポプロテインE欠損マウスにおいて、マクロファージのスカベンジャー受容体であるSR-A(Class A scavenger receptor)をノックアウトすると動脈硬化は抑えられるが、むしろ血中のコレステロール値は上昇している(例えば、非特許文献1)。また、逆にSR-Aを過剰発現させるとマクロファージ内へのコレステロールの取り込みは促進されても、動脈硬化は促進しない(例えば、非特許文献2)。つまり、血中コレステロールの上昇とマクロファージ等への脂質蓄積は、動脈硬化症の進展に対して2次的なものであるとも考えられる。さらに心血管疾患者の2人に1人は血清脂質が正常であり、また、脂質の変性を防ぐ目的での予防効果はビタミンE以外に十分なものはないとも言われている(例えば、非特許文献3)。つまり、血中脂質を改善することで全ての動脈硬化症が予防・改善できるわけではない。
一方で、脂質の変性とともに動脈硬化症の初期原因とされる血管内皮細胞の機能障害は、変性LDL、特に酸化LDLが酸化LDL受容体であるLOX-1(レクチン様酸化低密度リポプロテインレセプター-1 : Lectin-like oxidized low-density lipoprotein receptor-1)を介して血管内皮細胞に取り込まれることに依存するという知見がある(例えば、非特許文献4)。ヒトのスカベンジャー受容体には、タイプAからタイプHまでの少なくとも8種類のクラスが存在するが(例えば、非特許文献5)、血管内皮細胞ではLOX-1を含め、少なくとも6種類のスカベンジャー受容体が機能していると考えられている(例えば、非特許文献6)。これらの受容体を介した変性LDLの取り込みに起因する血管内皮細胞の機能障害は、様々な接着因子の発現亢進や一酸化窒素産生の抑制等を引き起こし、単球・マクロファージの集積・泡沫化あるいは平滑筋細胞の遊走・増殖・形質転換に繋がる。そして結果として動脈硬化症を発症するものと考えられている。
LOX-1は血管内皮細胞のみならず、上述のように動脈硬化症に関与するマクロファージ、平滑筋細胞、あるいは血小板にも発現していることから(非特許文献7)、動脈硬化症の標的因子として非常に注目されている。例えばLOX-1を過剰発現させたアポリポプロテインE欠損マウスでは、マクロファージの集積数の増加、接着因子系の発現上昇、アテローム様部位の増大等、LOX-1の過剰発現によって惹起された血管内皮細胞の機能障害を介した動脈硬化症の亢進が確認されている(例えば、非特許文献8)。このようにLOX-1を制御することは、動脈硬化症に対して非常に大きな影響を与えることは明確である。しかしながら、LOX-1と変性LDLの結合を阻害する市販の薬剤については知られていない。
ところで、ミカン科に属するサンショウは、日本の代表的な香辛料として知られており、韓国や中国の一部にも自生している。また、サンショウには抗酸化作用や胃腸系の機能活性化する目的で漢方としても用いられる。一方、カレーリーフはミカン科オオバゲッキツの茎葉であり、南インドとスリランカでは生の葉を料理の材料として用いられている。しかしながら、これらの植物抽出物が、細胞への酸化LDLの取り込み抑制作用、あるいはLOX-1アンタゴニスト作用等を有することは知られていない。
Suzuki H. et al. Nature (1997); 386: 292-6 Van Eck M. et al. Arterioscler Thromb Vasc Biol (2000); 20: 2600-6 Ross R. N Engl J Med (1999); 340: 115-26 Sawamura T. et al. Nature (1997); 386: 73-7 Murphy J. E. et al. Atherosclerosis (2005); 182: 1-15 Adachi H. and Tsujimoto M. Prog Lipid Res (2006); 45: 379-404 Chen M. et al. Pharmacol Ther (2002); 95: 89-100 Inoue K. et al. Circ Res (2005); 97: 176-84
Suzuki H. et al. Nature (1997); 386: 292-6 Van Eck M. et al. Arterioscler Thromb Vasc Biol (2000); 20: 2600-6 Ross R. N Engl J Med (1999); 340: 115-26 Sawamura T. et al. Nature (1997); 386: 73-7 Murphy J. E. et al. Atherosclerosis (2005); 182: 1-15 Adachi H. and Tsujimoto M. Prog Lipid Res (2006); 45: 379-404 Chen M. et al. Pharmacol Ther (2002); 95: 89-100 Inoue K. et al. Circ Res (2005); 97: 176-84
本発明は、上記観点からなされたものであり、血管内皮細胞、マクロファージ等で発現されているLOX-1への酸化LDLの結合を阻害し、かつLOX-1を介した酸化LDLの細胞内への取り込み抑制能を有するアンタゴニスト作用を有し、かつ安全性の高い動脈硬化抑制剤及びこれを含有する食品又は医薬組成物を提供することを課題とする。また、本発明は、あるいは他のスカベンジャー受容体を介した酸化LDLの取り込み抑制能を有することにより、血管内皮細胞の機能障害を予防・改善する。これらの結果として、動脈硬化症を抑制する効果に優れ、かつ安全性が高い動脈硬化抑制剤及びこれを含有する組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために、LOX-1に対するアンタゴニスト機能を有し、さらにはLOX-1以外のスカベンジャー受容体を含めた酸化LDL取り込み抑制能に優れた成分をスクリーニングにより鋭意探索した。その結果、ミカン科に属するサンショウとカレーリーフの抽出物に、優れたLOX-1アンタゴニスト作用及び細胞への酸化LDL取り込み抑制能を有する成分が存在することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨は、
〔1〕ミカン科に属する植物抽出物を有効成分として含有してなり、レクチン様酸化低密度リポ蛋白質(LOX-1)アンタゴニスト作用を有する動脈硬化抑制剤、
〔2〕LOX-1以外のスカベンジャー受容体を介した細胞への酸化LDLの取り込み抑制作用を有する前記〔1〕記載の動脈硬化抑制剤、
〔3〕前記抽出物が水及び/又は有機溶媒を用いて得られたものである前記〔1〕又は〔2〕記載の動脈硬化抑制剤、
〔4〕ミカン科に属する植物がサンショウである前記〔1〕〜〔3〕いずれか記載の動脈硬化抑制剤、
〔5〕ミカン科に属する植物がカレーリーフである前記〔1〕〜〔3〕いずれか記載の動脈硬化抑制剤、
〔6〕前記〔1〕〜〔5〕いずれか記載の動脈硬化抑制剤を含有する食品組成物、
〔7〕前記〔1〕〜〔5〕いずれか記載の動脈硬化抑制剤を含有する医薬組成物、
〔8〕 ミカン科に属する植物の抽出物を有効成分として含有してなる、レクチン様酸化低密度リポ蛋白質受容体(LOX-1)アンタゴニスト作用を有する組成物
に関する。
なお、本発明においてアンタゴニスト作用とは、後述の実施例に記載の方法で評価した場合に、LOX-1への酸化LDLの結合を阻害し、かつ酸化LDLの細胞内への取り込みを阻害することを意味する。
〔1〕ミカン科に属する植物抽出物を有効成分として含有してなり、レクチン様酸化低密度リポ蛋白質(LOX-1)アンタゴニスト作用を有する動脈硬化抑制剤、
〔2〕LOX-1以外のスカベンジャー受容体を介した細胞への酸化LDLの取り込み抑制作用を有する前記〔1〕記載の動脈硬化抑制剤、
〔3〕前記抽出物が水及び/又は有機溶媒を用いて得られたものである前記〔1〕又は〔2〕記載の動脈硬化抑制剤、
〔4〕ミカン科に属する植物がサンショウである前記〔1〕〜〔3〕いずれか記載の動脈硬化抑制剤、
〔5〕ミカン科に属する植物がカレーリーフである前記〔1〕〜〔3〕いずれか記載の動脈硬化抑制剤、
〔6〕前記〔1〕〜〔5〕いずれか記載の動脈硬化抑制剤を含有する食品組成物、
〔7〕前記〔1〕〜〔5〕いずれか記載の動脈硬化抑制剤を含有する医薬組成物、
〔8〕 ミカン科に属する植物の抽出物を有効成分として含有してなる、レクチン様酸化低密度リポ蛋白質受容体(LOX-1)アンタゴニスト作用を有する組成物
に関する。
なお、本発明においてアンタゴニスト作用とは、後述の実施例に記載の方法で評価した場合に、LOX-1への酸化LDLの結合を阻害し、かつ酸化LDLの細胞内への取り込みを阻害することを意味する。
本発明の動脈硬化抑制剤を用いることで、動脈硬化症の初期病変に関わりの深いLOX-1を介した酸化LDLの血管内皮細胞、マクロファージ、平滑筋細胞等の細胞内への取り込みを阻害することができ、結果として動脈硬化症の発症を抑制するという効果が奏される。さらに、LOX-1以外のスカベンジャー受容体による血管内皮細胞への酸化LDLの取り込みも阻害できる本発明の動脈硬化抑制剤は、血管内皮細胞等への酸化LDLの取り込みをより顕著に阻害することができるため、結果として動脈硬化症の発症を顕著に抑制できるという効果が奏される。
本発明に用いるミカン科に属する植物としては、サンショウ(学名:ザンホキシラム ピペリツム(Zanthoxylum piperitum))、オオバゲッキツ(学名:ムラヤ コエニギ スプレンゲル(Murraya koenigii Sprengel))、その茎葉であるカレーリーフ、ミヤマシキミ、ヘンルーダ、ミカン、キンカン等が挙げられるが、サンショウあるいはカレーリーフが本発明においては好ましく用いられる。
サンショウあるいはカレーリーフ等のミカン科に属する植物体は、酸化LDL受容体(LOX-1)アンタゴニスト作用を有する成分を含有するのみならず、他のスカベンジャー受容体を介した酸化LDLの取り込みについても抑制する成分を含有しており、結果として内皮細胞の機能障害抑制あるいは抗動脈硬化作用を有する。よって、前記の各植物から得られる抽出物は上記成分を含むため、本発明の動脈硬化抑制剤の有効成分として用いることができる。本発明において植物抽出物としては、前記の各植物由来抽出物、該抽出物の分画物、又はこれらの濃縮物のいずれでもよく、またこれらの混合物でもよい。また、抽出に用いた溶媒を乾燥させて乾固した固体状物でも、該固体状物を水等の溶媒に溶解させたものでもよい。なお、植物体の粉砕物を取り除かず、混合した状態のものも植物抽出物として使用できる。
なお、抽出に用いる植物体の部位としては、葉、根、茎等いずれも使用することができるが、採取、抽出処理が容易であるという観点から、葉が好ましい。
なお、抽出に用いる植物体の部位としては、葉、根、茎等いずれも使用することができるが、採取、抽出処理が容易であるという観点から、葉が好ましい。
サンショウ又はカレーリーフ等のミカン科に属する植物体からの有効成分の抽出処理は、連続式、還流式、バッチ式、浸漬式、超音波処理等の方法で常法により任意の温度・時間で行う。例えば、サンショウあるいはカレーリーフをミキサー等で破砕処理し、抽出溶媒に室温で1〜3日間の浸漬、抽出溶媒の煮沸温度で1〜5時間還流しながら、あるいは抽出溶媒中での短時間の超音波処理をして、抽出を行う。その後、抽出液から破砕残渣を取り除き、減圧又は限外濾過により抽出液を濃縮する。さらに必要に応じて溶媒を完全に除去して乾固するか凍結乾燥を行ってもよい。また、破砕残渣は取り除かずに濃縮等の処理を行ってもよい。
抽出に用いる溶媒としては、水及び/又は有機溶媒が好ましい。有機溶媒としては、メタノール、エタノール、アセトン等が挙げられ、これら単独又は2種類以上を混合して用いてもよく、またこれらと水の混合溶媒としてもよい。中でも、LOX-1アンタゴニスト作用を有する抽出物を効率よく得ることができるという観点から、エタノールで抽出処理することが好ましい。
このようにして得られた抽出物は、そのまま製剤化に用いてもよいが、さらにこの抽出物からLOX-1アンタゴニスト作用を有する画分を精製するために、分画したものを用いてもよい。
前記分画物を得るためには、前記抽出物から所望のLOX-1アンタゴニスト作用の少ない部分を効率よく除去できる方法を用いればよく、例えば、液液抽出法、分配クロマトグラフィ法、吸着クロマトグラフィ法、分子排斥クロマトグラフィ法、イオン交換クロマトグラフィ法等が挙げられるが、中でも、精製物を得るためには、上記抽出物を吸着分配型充填担体、ゲル濾過担体等を充填したカラムクロマトグラフィー等で分画する方法を用いることが好ましい。
前記分画物を得るためには、前記抽出物から所望のLOX-1アンタゴニスト作用の少ない部分を効率よく除去できる方法を用いればよく、例えば、液液抽出法、分配クロマトグラフィ法、吸着クロマトグラフィ法、分子排斥クロマトグラフィ法、イオン交換クロマトグラフィ法等が挙げられるが、中でも、精製物を得るためには、上記抽出物を吸着分配型充填担体、ゲル濾過担体等を充填したカラムクロマトグラフィー等で分画する方法を用いることが好ましい。
例えば、上記抽出物を酢酸エチルに溶解させ、ブタノール、水の3液に分配すると酢酸エチル層とブタノール層にLOX-1アンタゴニスト活性は検出される。さらにこれらの画分をセップパックC18カラム(ウォーターズ社製)に負荷すると、活性画分は吸着し、メタノール、アセトン、ヘキサン等で溶出させると、前記活性画分の濃縮・精製物を得ることができる。さらに必要に応じてこの活性画分の溶液から溶媒を除去して乾固物を得てもよい。また、これらの方法はバッチ法等でも行うことができる。
以上のようにして得られる前記サンショウ、カレーリーフ等のミカン科に属する植物の抽出物を、本発明では動脈硬化抑制剤として用いることができる。本発明の動脈硬化抑制剤における前記各植物抽出物の含有量としては、アンタゴニスト作用、脂質取り込み抑制作用、あるいは抗動脈硬化作用を示す量であれば、特に限定はない。
また、前記植物の抽出物又は分画物を有効成分として含有してなる、レクチン様酸化低密度リポ蛋白質受容体(LOX-1)アンタゴニスト作用を有する組成物として用いることもできる。
また、前記植物の抽出物又は分画物を有効成分として含有してなる、レクチン様酸化低密度リポ蛋白質受容体(LOX-1)アンタゴニスト作用を有する組成物として用いることもできる。
本発明の動脈硬化抑制剤は、LOX-1への酸化LDLの結合を阻害し、かつ酸化LDLの細胞内への取り込みを阻害するというLOX-1アンタゴニスト作用を有することに特徴がある。かかる特徴を有することで、動脈硬化症の発症に影響を与える血管内皮細胞、マクロファージ、平滑筋細胞等の複数の細胞への、LOX-1を介する酸化LDLの細胞内への取り込みを抑えることで、動脈硬化症の発症を抑えることを可能にする。
また、本発明の動脈硬化抑制剤としては、動脈硬化抑制効果がより向上するという観点から、前記LOX-1以外のスカベンジャー受容体を介した細胞への酸化LDLの取り込みも抑制する作用を有するものが好ましい。ここで、LOX-1以外のスカベンジャー受容体とは、血管内皮細胞、マクロファージ、平滑筋細胞、血小板等に存在するLOX-1以外の受容体であって、LDLと結合して前記細胞内に取り込むことができる受容体である。このようなスカベンジャー受容体としては、例えば、SR-A I/II、SR-B1、CD36、MARCO、CD68、SRECs、SR-PSOX、FEEL-1等のタイプA、B、C、D、E、F、G、Hに大別されるが、特に限定はない。
本発明では、後述の実施例に記載のように、細胞内への酸化LDLの取り込み阻害活性量が、スカベンジャー受容体中のLOX-1の割合から換算される阻害活性量よりも多ければ、LOX-1以外のスカベンジャー受容体を介した細胞への酸化LDLの取り込みが阻害されているとする。
本発明では、後述の実施例に記載のように、細胞内への酸化LDLの取り込み阻害活性量が、スカベンジャー受容体中のLOX-1の割合から換算される阻害活性量よりも多ければ、LOX-1以外のスカベンジャー受容体を介した細胞への酸化LDLの取り込みが阻害されているとする。
また、食品としては、一般食品として、種々の食品原料に前記抽出物の所望量を加え、通常の製造方法により加工することにより、また、健康食品、機能性食品として、前記抽出物、分画物をそのまま、あるいは食べ易い状態にして使用することができる。
また、医薬品としては、錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、坐剤、注射剤、液剤等が挙げられ、これらは増量剤、賦形剤、潤沢剤、崩壊剤、結合剤、矯味矯臭剤等と共に通常の方法に従って製剤すればよい。
これらの組成物における、上記動脈硬化抑制剤の1日あたりの投与量は、症状、身長、体重、年齢等により異なるが、成人1人あたりの摂取量が、1〜2000mg/kg・日、好ましくは3〜100mg/kg・日となるように、1回ないし数回に分けて被検体に投与するのがよい。
なお、ミカン科に属するサンショウは、日本において古くから香辛料として知られており、また、カレーリーフについても南インドやスリランカで古くから生の葉を食されているので、安全性に関して問題はない。
また、本発明において標的としているLOX-1は血管内皮細胞のみならず、マクロファージ、平滑筋細胞にも存在することから、それぞれの細胞に酸化LDLが取り込まれることが動脈硬化症の発症に重要な役割を果たしていると考えられる。さらにLOX-1を介した酸化LDLの取り込みのみならず、他のスカベンジャー受容体を介した酸化LDLの取り込みも抑制可能である。したがって、本発明の動脈硬化抑制剤は、血管内皮細胞のみならず、マクロファージ、平滑筋細胞等の動脈硬化症に関与する複数の細胞群において酸化LDLの取り込みを顕著に阻害する作用を有するという、従来の動脈硬化抑制剤にはない機構で動脈硬化症の発症を抑制することができるため、従来品と比べて、顕著かつ安全に、ヒトや非ヒト動物(例えば、サル、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ロバ、ラクダ、ウサギ、イヌ、ネコ、ネズミ、マウス、モルモット、ニワトリ、アヒル、ガチョウ等の哺乳動物)における動脈硬化症を予防/治療することが期待できる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明の主旨はこれらによって制限されるものではない。なお、実施例で用いた試料は、以下のようにして調製した。
1.bLOX-1、hLOX-1のcDNA
前記bLOX-1、hLOX-1のcDNAクローニングは、前記非特許文献4に記載の方法に準じて行った。
即ち、bLOX-1については、血管内皮細胞のcDNAライブラリーより各独立したクローンを発現ベクターに組み込み、COS-7での一過性発現を行った。その後、DiI-OxLDLとの共培養後にセルソーターによるDiIポジティブの分離を行い、プラスミドを回収した。このスクリーニング方法を3回繰り返し、シングルクローンを単離した。
前記bLOX-1、hLOX-1のcDNAクローニングは、前記非特許文献4に記載の方法に準じて行った。
即ち、bLOX-1については、血管内皮細胞のcDNAライブラリーより各独立したクローンを発現ベクターに組み込み、COS-7での一過性発現を行った。その後、DiI-OxLDLとの共培養後にセルソーターによるDiIポジティブの分離を行い、プラスミドを回収した。このスクリーニング方法を3回繰り返し、シングルクローンを単離した。
また、hLOX-1については、ランダムプライマーとオリゴdTプライマーによりヒト肺のcDNAライブラリーから増幅を行った。全長bLOXcDNAを用いてポジティブスクリーニングを行い、部分断片のhLOXcDNAを取得後、5'-RACEによる上流配列の取得を行った。
(TetOnベクターへの挿入)
pcDNA31-hLOX1-V5プラスミド(Journal of Molecular and Cellular Cardiology 39(3) 553-561 (2005))をPreI、BamHIで消化し、アガロースゲル電気泳動に供して、ゲルを切り出し・抽出してh-LOX-1断片を回収した。pTRE2hygプラスミド(クロンテック、TetOn)をEcoRV、BamHIで消化し、アガロースゲル電気泳動に供して、ゲルを切り出し・抽出してTet応答ベクター断片を回収した。回収したh-LOX-1断片とTet応答ベクター断片を、ライゲーションして大腸菌を形質転換した。大腸菌から導入プラスミドを回収・精製し、得られたプラスミドDNAをpTRE-hLOX1(B)、とした。
Lipofectoamine2000(インビトロジェン製)を用いてCHO-K1 Tet-On Cell Line(クロンテック)ヘFspIにより直鎖化したpTRE-hLOX1(B)を導入し、ハイグロマイシンによる選択培養を行い、コロニーを形成させた。シングルコロニーをピックアップして細胞株12株を取得した。それぞれの細胞株について、ドキシサイクリンを培地に添加して発現誘導を行った細胞抽出液を調製し、抗V5抗体を用いたウェスタンブロッティングにより誘導効率の高い細胞株を3株得た。
pcDNA31-hLOX1-V5プラスミド(Journal of Molecular and Cellular Cardiology 39(3) 553-561 (2005))をPreI、BamHIで消化し、アガロースゲル電気泳動に供して、ゲルを切り出し・抽出してh-LOX-1断片を回収した。pTRE2hygプラスミド(クロンテック、TetOn)をEcoRV、BamHIで消化し、アガロースゲル電気泳動に供して、ゲルを切り出し・抽出してTet応答ベクター断片を回収した。回収したh-LOX-1断片とTet応答ベクター断片を、ライゲーションして大腸菌を形質転換した。大腸菌から導入プラスミドを回収・精製し、得られたプラスミドDNAをpTRE-hLOX1(B)、とした。
Lipofectoamine2000(インビトロジェン製)を用いてCHO-K1 Tet-On Cell Line(クロンテック)ヘFspIにより直鎖化したpTRE-hLOX1(B)を導入し、ハイグロマイシンによる選択培養を行い、コロニーを形成させた。シングルコロニーをピックアップして細胞株12株を取得した。それぞれの細胞株について、ドキシサイクリンを培地に添加して発現誘導を行った細胞抽出液を調製し、抗V5抗体を用いたウェスタンブロッティングにより誘導効率の高い細胞株を3株得た。
2.抗LOX-1抗体
抗LOX-1抗体は非特許文献4に記載の方法に準じて製造した。
即ち、b LOX-1あるいはhLOX-1を発現しているCHO細胞を5mM EDTA-PBSで処理(室温、5分間)した後、プロテアーゼ阻害剤含有緩衝液(25mMのHEPES(pH 7.4))、10mMの塩化マグネシウム、0.25Mのシュークロース、及びプロテアーゼ阻害剤(10U/mLのAprotinine, 2μg/mLのPepstatin、50μg/mLのLeupeptin、及び0.35mg/mLのAPMSF)中に懸濁し、ポッター式ホモゲナイザーで破砕し、低速遠心(1500rpm、10分、4℃)した。次いで、上清を回収し、超遠心(100,000g、1時間、4℃)し、沈殿した膜画分を回収しリン酸緩衝液中に懸濁し-20℃で保存した。この懸濁液をウシあるいはヒト抗体の作製(免疫源)として用いた。
得られた細胞膜画分を正常マウスに免疫し、ウシあるいはヒトLOX-1に対するマウスモノクローナル抗体を調製した。
モノクローナル抗体の作製は、実験医学(別冊)細胞工学ハンドブック(黒木登志夫ら編集、羊土社発行、p66-74、1992年)及び単クローン抗体実験操作入門(安東民衛ら著作、講談社発行、1991年)に記載される一般的方法に従って調製した。
なお、抗LOX−1抗体とは、LOX−1を抗原とした特異抗体であり、抗原抗体反応によりLOX−1のアンタゴニストとして作用するものをいう。
抗LOX-1抗体は非特許文献4に記載の方法に準じて製造した。
即ち、b LOX-1あるいはhLOX-1を発現しているCHO細胞を5mM EDTA-PBSで処理(室温、5分間)した後、プロテアーゼ阻害剤含有緩衝液(25mMのHEPES(pH 7.4))、10mMの塩化マグネシウム、0.25Mのシュークロース、及びプロテアーゼ阻害剤(10U/mLのAprotinine, 2μg/mLのPepstatin、50μg/mLのLeupeptin、及び0.35mg/mLのAPMSF)中に懸濁し、ポッター式ホモゲナイザーで破砕し、低速遠心(1500rpm、10分、4℃)した。次いで、上清を回収し、超遠心(100,000g、1時間、4℃)し、沈殿した膜画分を回収しリン酸緩衝液中に懸濁し-20℃で保存した。この懸濁液をウシあるいはヒト抗体の作製(免疫源)として用いた。
得られた細胞膜画分を正常マウスに免疫し、ウシあるいはヒトLOX-1に対するマウスモノクローナル抗体を調製した。
モノクローナル抗体の作製は、実験医学(別冊)細胞工学ハンドブック(黒木登志夫ら編集、羊土社発行、p66-74、1992年)及び単クローン抗体実験操作入門(安東民衛ら著作、講談社発行、1991年)に記載される一般的方法に従って調製した。
なお、抗LOX−1抗体とは、LOX−1を抗原とした特異抗体であり、抗原抗体反応によりLOX−1のアンタゴニストとして作用するものをいう。
3.PBSバッファー
PBSバッファーについては、137mM塩化ナトリウム, 2.7mM塩化カリウム、10mMリン酸水素二ナトリウム十二水和物、1.8mMリン酸二水素カリウムを精製水に混合し、適量の塩酸でpHを7.4とした。
PBSバッファーについては、137mM塩化ナトリウム, 2.7mM塩化カリウム、10mMリン酸水素二ナトリウム十二水和物、1.8mMリン酸二水素カリウムを精製水に混合し、適量の塩酸でpHを7.4とした。
4.酸化LDL
酸化LDLの調製は下記の通りに行った。健常人の血漿を遠心チューブに入れ、臭化カリウムを加えて、比重を1.019に調製した後に、Beckman L-80超遠心機で遠心し(20時間、58000rpm)、下層を別のチューブに回収した。回収した液量を測定し、臭化カリウムを加えて比重を1.063に調製した。次いで、Beckman L-80超遠心機で遠心し(20時間、58000rpm)、上層を別のチューブに回収した。回収した画分をリン酸緩衝液(外液を2回以上交換)し、精製ヒトLDLを得た。
得られた精製LDLから酸化LDLを調製するために、精製LDL及び硫酸銅の濃度が、各々3mg/mL及び75μMとなるように調製した溶液を、CO2インキュベーター内で20時間インキュベートした。次いで、EDTAを含有する0.15 Mの塩化ナトリウム溶液にて透析し(外液を2回以上交換)、ヒト酸化LDLを得た。
酸化LDLの調製は下記の通りに行った。健常人の血漿を遠心チューブに入れ、臭化カリウムを加えて、比重を1.019に調製した後に、Beckman L-80超遠心機で遠心し(20時間、58000rpm)、下層を別のチューブに回収した。回収した液量を測定し、臭化カリウムを加えて比重を1.063に調製した。次いで、Beckman L-80超遠心機で遠心し(20時間、58000rpm)、上層を別のチューブに回収した。回収した画分をリン酸緩衝液(外液を2回以上交換)し、精製ヒトLDLを得た。
得られた精製LDLから酸化LDLを調製するために、精製LDL及び硫酸銅の濃度が、各々3mg/mL及び75μMとなるように調製した溶液を、CO2インキュベーター内で20時間インキュベートした。次いで、EDTAを含有する0.15 Mの塩化ナトリウム溶液にて透析し(外液を2回以上交換)、ヒト酸化LDLを得た。
(実施例1)
サンショウをミキサーにより細かく破砕した。この破砕物10gに対して10倍量のエタノールを加え、超音波処理を3回に分けて15分間ずつ行った。この処理液を減圧下のロータリーエバポレーターで濃縮した。これらの操作により320mgのサンショウ抽出物を得た。さらに得られたサンショウの抽出物を水と酢酸エチルによる分配を次のようにして行った。得られた抽出物を酢酸エチル:水 = 1:1の溶媒中(160mL)で混合し、適当な時間静置した後に、上層を酢酸エチル画分として回収した。この操作を3回繰り返し、240mLの酢酸エチル層を取り出し、ロータリーエバポレーターにより乾固し(40℃)、酢酸エチル抽出画分を得た。水層については、さらにブタノール(80mL)を加え、同様に分配を行った。これらの得られた各画分をそのまま動脈硬化抑制剤として用いた。
サンショウをミキサーにより細かく破砕した。この破砕物10gに対して10倍量のエタノールを加え、超音波処理を3回に分けて15分間ずつ行った。この処理液を減圧下のロータリーエバポレーターで濃縮した。これらの操作により320mgのサンショウ抽出物を得た。さらに得られたサンショウの抽出物を水と酢酸エチルによる分配を次のようにして行った。得られた抽出物を酢酸エチル:水 = 1:1の溶媒中(160mL)で混合し、適当な時間静置した後に、上層を酢酸エチル画分として回収した。この操作を3回繰り返し、240mLの酢酸エチル層を取り出し、ロータリーエバポレーターにより乾固し(40℃)、酢酸エチル抽出画分を得た。水層については、さらにブタノール(80mL)を加え、同様に分配を行った。これらの得られた各画分をそのまま動脈硬化抑制剤として用いた。
(実施例2)
カレーリーフをミキサーにより細かく破砕した。この破砕物10gに対して10倍量のエタノールを加え、超音波処理を3回に分けて15分間ずつ行った。この処理液を減圧下のロータリーエバポレーターで濃縮した。これらの操作により460mgのカレーリーフ抽出物を得た。さらに得られたカレーリーフの抽出物を水と酢酸エチルによる分配を次のようにして行った。得られた抽出物を酢酸エチル:水 = 1:1の溶媒中(160mL)で混合し、適当な時間静置した後に、上層を酢酸エチル画分として回収した。この操作を3回繰り返し、240mLの酢酸エチル層を取り出し、ロータリーエバポレーターにより乾固し(40℃)、酢酸エチル抽出画分を得た。水層については、さらにブタノール(80mL)を加え、同様に分配を行った。これらの得られた各画分をそのまま動脈硬化抑制剤として用いた。
カレーリーフをミキサーにより細かく破砕した。この破砕物10gに対して10倍量のエタノールを加え、超音波処理を3回に分けて15分間ずつ行った。この処理液を減圧下のロータリーエバポレーターで濃縮した。これらの操作により460mgのカレーリーフ抽出物を得た。さらに得られたカレーリーフの抽出物を水と酢酸エチルによる分配を次のようにして行った。得られた抽出物を酢酸エチル:水 = 1:1の溶媒中(160mL)で混合し、適当な時間静置した後に、上層を酢酸エチル画分として回収した。この操作を3回繰り返し、240mLの酢酸エチル層を取り出し、ロータリーエバポレーターにより乾固し(40℃)、酢酸エチル抽出画分を得た。水層については、さらにブタノール(80mL)を加え、同様に分配を行った。これらの得られた各画分をそのまま動脈硬化抑制剤として用いた。
(実施例3)
前記実施例1のブタノール層あるいは実施例2の酢酸エチル層の乾燥画分を、少量のオクタデシルシリル基(SDS)−シリカゲル担体(富士シリシア化学工業社製)と混合した後、減圧下で溶媒を完全に除去した。この抽出物−担体の混合物を35mLのセップパックカラムに重層し、0−100%までのメタノールを用いたステップワイズ法による溶出を行った。メタノール濃度は10%ずつ変化させ、各フラクションを100mLとして回収した。最後に100mLのアセトンにより担体に結合した抽出物を完全に溶出した。各フラクションについて、溶媒をロータリーエバポレーターで乾燥させたものを動脈硬化抑制剤として用いた。
前記実施例1のブタノール層あるいは実施例2の酢酸エチル層の乾燥画分を、少量のオクタデシルシリル基(SDS)−シリカゲル担体(富士シリシア化学工業社製)と混合した後、減圧下で溶媒を完全に除去した。この抽出物−担体の混合物を35mLのセップパックカラムに重層し、0−100%までのメタノールを用いたステップワイズ法による溶出を行った。メタノール濃度は10%ずつ変化させ、各フラクションを100mLとして回収した。最後に100mLのアセトンにより担体に結合した抽出物を完全に溶出した。各フラクションについて、溶媒をロータリーエバポレーターで乾燥させたものを動脈硬化抑制剤として用いた。
(実施例4)
上記各実施例で得られた動脈硬化抑制剤のLOX-1アンタゴニスト活性に関して、酸化LDLに対するLOX-1結合阻害率について大腸菌より得られた組換えLOX-1蛋白質を用いて評価を行った。
上記各実施例で得られた動脈硬化抑制剤のLOX-1アンタゴニスト活性に関して、酸化LDLに対するLOX-1結合阻害率について大腸菌より得られた組換えLOX-1蛋白質を用いて評価を行った。
組換えLOX-1は、ウシ由来LOX-1(bLOX-1)あるいはヒト由来LOX-1(hLOX-1)のcDNAにおいて膜貫通領域を除いたC末端までの配列を、N末端側に6個のヒスチジンタグ配列(6 x His)を持つpQE 30ベクター(キアゲン社製)に、翻訳フレームを揃える配列で挿入した。このベクターをT5プロモータで制御可能な大腸菌にトランスフォーメーションし、1mMのイソプロピル1-チオ-β-D-ガラクトシダーゼ(IPTG)誘導下で各LOX-1の発現誘導を行った。37℃、3時間の発現誘導後、不溶性画分から組換えLOX-1は得られたので、6Mグアニジン塩酸塩を含むバッファー中で大腸菌を溶解し、Ni-NTAアガロースカラム(キアゲン社製)による6 x Hisを指標としたアフィニティーカラム精製を行った(溶媒:リン酸バッファー)。さらに各LOX-1を含む溶出画分について、20mMトリスバッファー(pH9.0)、8M尿素を含むバッファー中で透析し、陰イオン交換体であるHiTrap Qカラム(アマシャム社製)にアプライし、NaClの直線濃度勾配による溶出・精製を行った。このようにして得られた各LOX-1を含む画分は、過剰量のDTT(ジチオスレイトール)を含むバッファー中で還元処理を行い、その後、低分子チオール化合物の酸化型(GSH)及び還元型(GSSG)の混合物を利用した酸化還元システムによる分子内S−S結合の巻き戻しを行った。このようにして得られた各LOX-1は、酸化LDLに対する結合能力を有し、以下のプレートアッセイによる試験用LOX-1標品として用いることにした。
プレートアッセイは、マキシソープ・イムノプレート(96ウェルタイプ、NUNC社製)を用いて行った。上記のように精製した各LOX-1を5μg/mLとなるようにPBSバッファーで調製し、100μLずつ各ウェルにアプライした。4℃で1晩静置した後に、PBSバッファーで各ウェルを400μL x 2回で洗浄し、25%ブロックエース(大日本住友製薬社製)を含むPBSバッファー300μLを各ウェルにアプライした。4℃で1晩静置した後に、PBSバッファーで各ウェルを400μL x 2回で洗浄し、1%ウシ血清アルブミン(BSA)を含むPBSバッファーで適当な希釈倍率となるように調製した各精製サンプルを100μLずつ各ウェルにアプライした。4℃で1晩静置した後に、PBSバッファーで各ウェルを400μL x 3回で洗浄し、5μg / mLとなるようにPBSバッファーで調製した酸化LDLを、100μLずつ各ウェルにアプライした。4℃で1晩静置した後に、PBSバッファーで各ウェルを400μL x 3回で洗浄し、西洋ワサビ由来ペルオキシダーゼをコンジュゲートした抗アポリポプロテインB抗体(The Binding Site社製)をPBSバッファーで1000倍希釈し、100μLずつ各ウェルにアプライした。室温で2時間の静置後、PBSバッファーで各ウェルを400μL x 5回で洗浄し、3,3',5,5'-テトラメチルベンヂジン(TMB)ペルオキシダーゼ-酵素免疫測定(EIA)−基質−キット試薬(バイオラッド社製)を100μLずつ各ウェルにアプライした。適当な反応時間後に、2M H2SO4を50μLずつ各ウェルにアプライして反応を停止させた。最終的に450nmで検出を行い、LOX-1アンタゴニスト活性(LOX-1に対する酸化LDL結合阻害率)を定量した。
(実施例5)
実施例1〜3により得られた各動脈硬化抑制剤について、bLOX-1を安定的に発現しているチャイニーズハムスター卵巣由来(CHO)細胞を用い、bLOX-1を介したCHO細胞内への蛍光標識酸化LDLの取り込み抑制能を評価した。また、hLOX-1についてはテトラサイクリン遺伝子発現誘導系を用いたCHO細胞での、hLOX-1を介した蛍光標識酸化LDLの取り込み抑制能を評価した。
実施例1〜3により得られた各動脈硬化抑制剤について、bLOX-1を安定的に発現しているチャイニーズハムスター卵巣由来(CHO)細胞を用い、bLOX-1を介したCHO細胞内への蛍光標識酸化LDLの取り込み抑制能を評価した。また、hLOX-1についてはテトラサイクリン遺伝子発現誘導系を用いたCHO細胞での、hLOX-1を介した蛍光標識酸化LDLの取り込み抑制能を評価した。
hLOX-1をテトラサイクリン濃度依存的に発現するCHO細胞については、下記プラスミドを公知の方法で導入したものを用いた。導入プラスミドは、pcDNA3.1-hLOX1-V5 (Journal of Molecular and Cellular Cardiology 39(3) 553-561 (2005))に組み込まれているhLOX-1コーディング領域がテトラサイクリン応答ベクターに組み込まれており、テトラサイクリンあるいはドキシサイクリン濃度依存的にhLOX-1の発現調整が可能なシステムである。
前記CHO細胞を用いたアッセイについては、次のように行った。24ウェルプレート(ファルコン社製)に2.0×104 cells / mLとなるように各ウェルに500μLずつ10%牛胎児血清(FBS、ただしテトラサイクリンを含まない)含有HamF12培地(GIBCO社製)のもとで細胞の蒔き込みを行い、37℃、5%のCO2濃度の環境下で1日間培養した。1日間の培養後、培養上清250μLを除去し、200μg/mLの濃度でドキシサイクリンを含む250μLの新しい培養液を添加した(ドキシサイクリンの終濃度は100μg/mL)。さらに1日間の培養後、培養上清を除去し、各抽出液を適当な希釈倍率で含む新しい培養液を500μLずつ各ウェル添加した。抽出液を含む新しい培養液を添加した後に、1時間の前処理を上記環境下で行うことにより、LOX-1への抽出物の結合反応を行った。その後、カルボシアニン蛍光色素である1,1'-ジオクタデシル-3,3,3',3'-テトラメチルインドカルボシアニンパーコレート(DiI:インビトロジェン社製)で標識した酸化LDLを5μg/mLとなるように各ウェルにアプライし、上記環境下で4時間のCHO細胞内への蛍光標識酸化LDLの取り込み処理を行った。これらの処理を行った後に、1mL PBSバッファーで3回各ウェルを洗浄し、0.1% SDSによる細胞溶解を行った。溶解後に一定量の溶解液を回収し、96ウェルのブラックプレート(NUNC社製)に分注し、DiIを指標に取り込まれた酸化LDLの測定を行った。蛍光測定機器は、Molecular Devices社の「SPECTRA MAX GEMINI EM」を用いており、励起波長540nm、検出波長585nm、遮断波長570nmで行った。
前記CHO細胞を用いたアッセイについては、次のように行った。24ウェルプレート(ファルコン社製)に2.0×104 cells / mLとなるように各ウェルに500μLずつ10%牛胎児血清(FBS、ただしテトラサイクリンを含まない)含有HamF12培地(GIBCO社製)のもとで細胞の蒔き込みを行い、37℃、5%のCO2濃度の環境下で1日間培養した。1日間の培養後、培養上清250μLを除去し、200μg/mLの濃度でドキシサイクリンを含む250μLの新しい培養液を添加した(ドキシサイクリンの終濃度は100μg/mL)。さらに1日間の培養後、培養上清を除去し、各抽出液を適当な希釈倍率で含む新しい培養液を500μLずつ各ウェル添加した。抽出液を含む新しい培養液を添加した後に、1時間の前処理を上記環境下で行うことにより、LOX-1への抽出物の結合反応を行った。その後、カルボシアニン蛍光色素である1,1'-ジオクタデシル-3,3,3',3'-テトラメチルインドカルボシアニンパーコレート(DiI:インビトロジェン社製)で標識した酸化LDLを5μg/mLとなるように各ウェルにアプライし、上記環境下で4時間のCHO細胞内への蛍光標識酸化LDLの取り込み処理を行った。これらの処理を行った後に、1mL PBSバッファーで3回各ウェルを洗浄し、0.1% SDSによる細胞溶解を行った。溶解後に一定量の溶解液を回収し、96ウェルのブラックプレート(NUNC社製)に分注し、DiIを指標に取り込まれた酸化LDLの測定を行った。蛍光測定機器は、Molecular Devices社の「SPECTRA MAX GEMINI EM」を用いており、励起波長540nm、検出波長585nm、遮断波長570nmで行った。
bLOX-1を安定的に発現しているCHO細胞は、既報の方法に従って経代・維持を行った(Nature, Vol.385, p73-77, 1997)。細胞を用いたアッセイについては、次のように行った。24ウェルプレート(ファルコン社製)に3.0×104 cells / mLとなるように各ウェルに500μLずつ10%牛胎児血清(FBS)含有HamF12培地のもとで細胞の蒔き込みを行い、37℃、5%のCO2濃度の環境下で2日間培養した。2日間の培養後、培養上清250μLを除去し、各抽出液を適当な希釈倍率で含む250μLの新しい培養液を添加した。抽出液を含む新しい培養液を添加した後に、1時間の前処理を上記環境下で行うことにより、LOX-1への抽出物の結合反応を行った。その後、カルボシアニン蛍光色素である1,1'-ジオクタデシル-3,3,3',3'-テトラメチルインドカルボシアニンパーコレート(DiI:インビトロジェン社製)で標識した酸化LDLを5μg/mLとなるように各ウェルにアプライし、上記環境下で6時間のCHO細胞内への蛍光標識酸化LDLの取り込み処理を行った。これらの処理を行った後に、1mL PBSバッファーで3回各ウェルを洗浄し、0.1% SDSによる細胞溶解を行った。溶解後に一定量の溶解液を回収し、96ウェルのブラックプレート(NUNC社製)に分注し、DiIを指標に取り込まれた酸化LDLの測定を行った。蛍光測定機器は、Molecular Devices社の「SPECTRA MAX GEMINI EM」を用いており、励起波長540nm、検出波長585nm、遮断波長570nmで行った。
また、動脈硬化抑制剤による細胞毒性を検証するために以下のように生細胞数を測定した。生細胞数を測定する方法としては、ミトコンドリア内脱水素酵素によるMTT(3-(4,5-Dimethyl-2-thiazolyl)-2,5-diphenyltetrazolium Bromide)のホルマザン(難溶性の沈殿物として生成)への還元を利用したMTT法等が汎用される。よって上記MTT法の変法を利用している、「Cell counting Kit-8」(同仁化学研究所製、MTTの代わりに水溶性ホルマザンを生成するWST-8を用いる)を用いて生細胞数の測定を行った。具体的には、96ウェルプレート(ファルコン社製)に3.0×104cells/mLとなるようにプレートの中心部分である60ウェルに100μLずつ細胞の蒔き込みを行った(外側の36ウェルには温度変化をなくす為に培地のみ100μLを添加した)。2日間の培養(37℃)後、培養上清50μLを除去し、各抽出液を適当な希釈倍率で含む50μLの新しい培養液を添加した。抽出液を含む新しい培養液を添加した後に、7時間の培養を行った。7時間後に、抽出液を含まない100μLの培地で3回ずつ各ウェルの洗浄を行った後に、各ウェルに3μLずつとなるように「Cell counting Kit-8」溶液である「WST-8」を含む培地を添加した。1時間の培養後、前記培養液の450nmの吸光度を測定し、生細胞数として換算した。なお、途中3回の洗浄操作を行っているので、外液の抽出液による吸光度への影響は無いと考えられた。
図1にbLOX-1とhLOX-1の各酸化LDL濃度に対する結合率の変化を示した。これは実施例4の試験方法により得られた結果であるが、作製されたウシとヒトのLOX-1に関して、酸化LDLに対する結合率の違いはみられなかった。
また図2には、実施例1の方法により得られた各動脈硬化抑制剤の実施例5における、テトラサイクリン依存性hLOX-1発現細胞での標識酸化LDL取り込み抑制能を評価した結果である。X、Y、Zはスクリーニングの段階でbLOX-1に対するアンタゴニスト活性の無かった植物由来のエタノール抽出物である(ネガティブコントロール)。このようにウシ由来LOX-1(bLOX-1)で確認されたアンタゴニスト活性の有無は、ヒト由来LOX-1(hLOX-1)に対しても同様な結果を示した。従って、実施例1、2で得られた植物抽出物は、LOX-1アンタゴニスト作用を有する組成物であることがわかる。
図1及び図2より、bLOX-1とhLOX-1に対するアンタゴニスト活性の性質は変わらないことから、以下の実験においてはウシ由来LOX-1(blOX-1)を用いて実験を行った。
また図2には、実施例1の方法により得られた各動脈硬化抑制剤の実施例5における、テトラサイクリン依存性hLOX-1発現細胞での標識酸化LDL取り込み抑制能を評価した結果である。X、Y、Zはスクリーニングの段階でbLOX-1に対するアンタゴニスト活性の無かった植物由来のエタノール抽出物である(ネガティブコントロール)。このようにウシ由来LOX-1(bLOX-1)で確認されたアンタゴニスト活性の有無は、ヒト由来LOX-1(hLOX-1)に対しても同様な結果を示した。従って、実施例1、2で得られた植物抽出物は、LOX-1アンタゴニスト作用を有する組成物であることがわかる。
図1及び図2より、bLOX-1とhLOX-1に対するアンタゴニスト活性の性質は変わらないことから、以下の実験においてはウシ由来LOX-1(blOX-1)を用いて実験を行った。
図3及び図4では実施例1及び実施例2の方法により得られた各動脈硬化抑制剤について、実施例4の試験方法により得られた結果を示す。
図5は、実施例1及び実施例2の方法により得られた各動脈硬化抑制剤について、実施例5の方法により得られた結果を示す。
図6は、実施例3の方法により得られた各動脈硬化抑制剤について、実施例5の方法により得られた結果を示す。
図7は、実施例2の方法により得られたエタノール抽出物について、実施例5の方法により得られた結果を示す。図7の枠内グラフより、抗LOX-1抗体によりほぼ全体の取り込みが抑制されることからも、CHO細胞にはLOX-1を介してのみ酸化LDLが取り込まれていることが分かる。一方、カレーリーフ由来のエタノール抽出物は約75%の取り込み阻害活性を示した。また、細胞毒性を検証する意味でのミトコンドリアでの代謝活性を指標とした生細胞数は、抽出液による濃度依存性は確認されなかった。
(実施例6)
各動脈硬化抑制剤について、正常大動脈内皮細胞(Cell Applications Inc.社製)を用いたDiI標識酸化LDL取り込み抑制能の評価を実施例5と同様な方法で行った。
各動脈硬化抑制剤について、正常大動脈内皮細胞(Cell Applications Inc.社製)を用いたDiI標識酸化LDL取り込み抑制能の評価を実施例5と同様な方法で行った。
図8は、実施例1及び実施例2の方法により得られたエタノール抽出物について、実施例6の方法により得られた結果を示す。図8の枠内グラフより、抗LOX-1抗体で約25%の取り込みが抑制されたことから、LOX-1を介して取り込まれる酸化LDLは、全体の約25%であることが分かる。一方でカレーリーフ由来のエタノール抽出物は、全体の約50%を阻害し、サンショウ由来抽出物は全体の約60%を阻害したことから、内皮細胞に発現しているLOX-1以外のスカベンジャー受容体による酸化LDLの取り込みに対しても、脂質取り込み抑制剤として非常に有効であることが確認された。なお、ミトコンドリア活性を指標とした細胞毒性試験より、この抑制効果は細胞毒性によるものでは無いことも明らかである。
(実施例7)
実施例1、2により得られた各動脈硬化抑制剤について、単球由来マクロファージを用いたDiI標識酸化LDL取り込み抑制能の評価を実施例5と同様な方法で行った。
実施例1、2により得られた各動脈硬化抑制剤について、単球由来マクロファージを用いたDiI標識酸化LDL取り込み抑制能の評価を実施例5と同様な方法で行った。
ヒト由来単球細胞であるTHP-1(財団法人ヒューマンサイエンス振興財団ヒューマンサイエンス研究資源バンクより購入)を4×105cells/mLとなるように調製し、既報(Arterioscler Thromb Vasc Biol., Vol.24, p504-510, 2004)に従い10%牛胎児血清(FBS)含有RPMI1640培地(GIBCO社製)に終濃度160nMとなるようにホルボール 12-ミリスタート 13-アセタート(シグマ社製)を添加することにより、96ウェルプレート上で単球からマクロファージへの分化誘導を行った。3日間の培養後、実施例5と同様な方法で抽出液による処理を行った。抽出液の処理後、200μLの50mM HEPES(同仁化学研究所製)(7.4)、100mM NaClによる洗浄を3回行い、室温・暗所で10%ホルマリン溶液での固定を10分間行った。固定処理を行った細胞を、再度200μLの50mM HEPES(7.4)、100mM NaClによる洗浄を2回行い、これらの細胞を「IN Cell Analyzer」(GEヘルスケア バイオサイエンス株式会社製)により、DiI標識酸化LDLのマクロファージへの取り込みを蛍光顕微鏡イメージ画像として解析した。
図9は実施例1、2により得られた各動脈硬化抑制剤について、実施例7により得られた試験結果を示す。図9中、蛍光標識した酸化LDLを添加しなかった細胞のネガティブコントロールでは、全く蛍光の発色が見られず、動脈硬化抑制剤を添加していないポジティブコントロールでは、各細胞内が蛍光発色していることから、酸化LDLが取り込まれていることが確認された。また、抗hLOX-1抗体処理した細胞内でも蛍光発色が見られたが、ポジティブコントロールに比べると若干低かった。これに対して、サンショウ抽出液処理又はカレーリーフ抽出液処理した細胞内では、抗hLOX-1と比較しても、細胞内での蛍光発色が有意に低減されていたことから、サンショウ抽出液及びカレーリーフ抽出液は、優れたhLOX-1の細胞内への取り込み阻害活性を有することがわかる。
以上のことから、マクロファージにはLOX-1以外にもCD36やSR-A等のスカベンジャー受容体が発現しており、事実、抗LOX-1抗体による酸化LDLの取り込み抑制が、血管内皮細胞と同様に限定的であることからも、幾種かのスカベンジャー受容体が機能していることは明らかである。一方、カレーリーフあるいはサンショウエタノール抽出物により、抗LOX-1抗体よりも強い取り込み阻害活性が確認されることから、血管内皮細胞と同様にLOX-1以外のスカベンジャー受容体を介した酸化LDLの取り込みに対しても、細胞への脂質取り込み抑制剤として有効であることは明確である。
また、実施例4〜6に示されるように、本発明の組成物は、高いLOX-1アンタゴニスト作用を有することから、動脈硬化抑制剤として好適に使用できることがわかる。
以上のことから、マクロファージにはLOX-1以外にもCD36やSR-A等のスカベンジャー受容体が発現しており、事実、抗LOX-1抗体による酸化LDLの取り込み抑制が、血管内皮細胞と同様に限定的であることからも、幾種かのスカベンジャー受容体が機能していることは明らかである。一方、カレーリーフあるいはサンショウエタノール抽出物により、抗LOX-1抗体よりも強い取り込み阻害活性が確認されることから、血管内皮細胞と同様にLOX-1以外のスカベンジャー受容体を介した酸化LDLの取り込みに対しても、細胞への脂質取り込み抑制剤として有効であることは明確である。
また、実施例4〜6に示されるように、本発明の組成物は、高いLOX-1アンタゴニスト作用を有することから、動脈硬化抑制剤として好適に使用できることがわかる。
(実施例8)
キャンディへの配合例
砂糖59重量部、水飴30重量部を150℃で加熱溶解し、120℃に冷却後、クエン酸1重量部、実施例1の動脈硬化抑制剤10重量部を添加、攪拌後、均一としたものを成型し、冷却してキャンディを得た。
キャンディへの配合例
砂糖59重量部、水飴30重量部を150℃で加熱溶解し、120℃に冷却後、クエン酸1重量部、実施例1の動脈硬化抑制剤10重量部を添加、攪拌後、均一としたものを成型し、冷却してキャンディを得た。
(実施例9)
グミへの配合例
砂糖40重量部、水飴45重量部を110℃で加熱溶解し、別途膨潤溶解させたゼラチン8重量部を添加し、さらにクエン酸2重量部、実施例1の動脈硬化抑制剤5重量部を添加混合し、型に流し込み、一昼夜静置後、型からはずして、グミを得た。
グミへの配合例
砂糖40重量部、水飴45重量部を110℃で加熱溶解し、別途膨潤溶解させたゼラチン8重量部を添加し、さらにクエン酸2重量部、実施例1の動脈硬化抑制剤5重量部を添加混合し、型に流し込み、一昼夜静置後、型からはずして、グミを得た。
(実施例10)
錠剤への配合例
デキストリン15重量部、乳糖5重量部、パラチノース15重量部、バレイショデンプン40重量部、ステアリン酸マグネシウム5重量部、実施例1で得られた動脈硬化抑制剤20重量部を均一に混合し、得られた組成物を流動法で造粒してから乾燥し、さらに打錠機にて打錠して錠剤を得た。
錠剤への配合例
デキストリン15重量部、乳糖5重量部、パラチノース15重量部、バレイショデンプン40重量部、ステアリン酸マグネシウム5重量部、実施例1で得られた動脈硬化抑制剤20重量部を均一に混合し、得られた組成物を流動法で造粒してから乾燥し、さらに打錠機にて打錠して錠剤を得た。
(実施例11)
カプセル剤への配合例
スクワレン15重量部、リノレン酸トリグリセリド15重量部、小麦胚芽油10重量部、精製イワシ油20重量部、トコフェノール0.2重量部を混合攪拌し、均一な組成物とした。この組成物に脱脂大豆粉末39.8重量部と実施例1で得られた動脈硬化抑制剤10重量部を加えてニーダーにより十分に混練した。得られた混練物をカプセル充填機によりカプセル化してカプセル剤を得た。
カプセル剤への配合例
スクワレン15重量部、リノレン酸トリグリセリド15重量部、小麦胚芽油10重量部、精製イワシ油20重量部、トコフェノール0.2重量部を混合攪拌し、均一な組成物とした。この組成物に脱脂大豆粉末39.8重量部と実施例1で得られた動脈硬化抑制剤10重量部を加えてニーダーにより十分に混練した。得られた混練物をカプセル充填機によりカプセル化してカプセル剤を得た。
本発明の組成物は、酸化LDL受容体であるLOX-1への酸化LDLの結合を阻害するアンタゴニスト作用、LOX-1とLOX-1以外の受容体を介した脂質取り込み抑制作用、あるいは動脈硬化抑制作用に優れ、かつ安全性が高いため、本発明の組成物をヒトが継続して摂取しても副作用等の心配がなく、また、血管内皮細胞等の動脈硬化症に関連する細胞への酸化LDLの取り込みが継続的に阻害されることで、結果としてヒトにおける動脈硬化症の発症を抑えたり、また症状を緩和することが期待できる。
Claims (8)
- ミカン科に属する植物抽出物を有効成分として含有してなり、レクチン様酸化低密度リポ蛋白質(LOX-1)アンタゴニスト作用を有する動脈硬化抑制剤。
- LOX-1以外のスカベンジャー受容体を介した細胞への酸化LDLの取り込み抑制作用を有する請求項1記載の動脈硬化抑制剤。
- 前記抽出物が水及び/又は有機溶媒を用いて得られたものである請求項1又は2記載の動脈硬化抑制剤。
- ミカン科に属する植物がサンショウである、請求項1〜3いずれか記載の動脈硬化抑制剤。
- ミカン科に属する植物がカレーリーフである、請求項1〜3いずれか記載の動脈硬化抑制剤。
- 請求項1〜5いずれか記載の動脈硬化抑制剤を含有する食品組成物。
- 請求項1〜5いずれか記載の動脈硬化抑制剤を含有する医薬組成物。
- ミカン科に属する植物の抽出物を有効成分として含有してなる、レクチン様酸化低密度リポ蛋白質受容体(LOX-1)アンタゴニスト作用を有する組成物。
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- 2007-04-27 JP JP2007118115A patent/JP2007320956A/ja active Pending
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