JP2007320869A - 肥満の予防・治療剤および食品 - Google Patents

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Abstract

【課題】マツタケ(Tricholoma matsutake)を利用して、安全で、長期間投与・摂取可能な、肥満の予防・治療のための薬剤および食品を提供する。
【解決手段】マツタケ(Tricholoma matsutake)、特にはマツタケFERM BP−7304株、の菌糸体、培養物(Broth)または子実体(胞子を含む)のいずれかをそのまま、あるいはその乾燥物、あるいはそれらの抽出物(例えば熱水抽出液、アルカリ溶液抽出液、熱水抽出液・アルカリ溶液抽出液の有機溶媒抽出液)を含有する、肥満(高脂肪食摂取による肥満、遺伝性肥満など)の予防・治療のための薬剤および食品。
【選択図】なし

Description

本発明は、動物やヒトにおける肥満の予防・治療のための薬剤および食品に関する。本発明の薬剤および食品は、医薬品として投与することができるだけでなく、種々の形態、例えば、保健機能食品(特定保健用食品、栄養機能食品)やいわゆる健康食品(いずれも飲料を含む)、または飼料として飲食物の形で与えることも可能である。さらには、口中に一時的に含むものの、そのほとんどを口中より吐き出す形態、例えば、歯磨き剤、洗口剤、チューインガム、うがい剤などの形で与えることも、あるいは鼻から吸引させる吸入剤の形で与えることも可能である。
肥満とは、体の中で脂肪の占める割合(体脂肪率)が高い状態を指す。すなわち、成人男性では体重の25%以上、成人女性では体重の30%以上を脂肪が占める場合、肥満とされる。肥満による合併症をもつもの、あるいは将来これらの合併症をきたす可能性があるものを肥満症と呼び、医療の対象とされる。最近の統計によれば、BMI(Body Mass Index;ボディマス指数)が25kg/m2以上になると、2型糖尿病、胆石症、高血圧、冠動脈疾患、脳卒中、結腸癌、高コレステロール血症などの生活習慣病や、呼吸異常、腰痛、変形性膝関節症に罹患するリスクが増加するとされている。最近、西欧諸国における肥満症罹患率は50%以上に増大し、肥満症向け「ウエイトロス(減量)市場」はめざましく成長しつつある。日本においても、国内における食生活の欧米化に伴い、QOL(quality of life;生活の質)などを低下させる肥満が問題になっている。
肥満症は、遺伝的および環境的原因による相対的なカロリー過剰摂取の結果、エネルギー代謝が異常となり、脂肪細胞に中性脂肪が異常蓄積を来す病態である。脂肪蓄積部位(体型)分類では、上半身型肥満(リンゴ型、腹部)の方が、下半身型肥満(洋なし型、ヒップ)に比し、合併症の発生率は高いとされている。近年、肥満関連領域の医科学が進歩し、肥満遺伝子のクローニングとその分泌タンパク質レプチンの同定をはじめ、食欲調節系の神経回路網、エネルギー代謝調節メカニズムなどが一部解析されているが、いまだ未解明な部分が多い。
肥満症治療の原則は、摂取エネルギーを抑えて減量を行い、合併症の改善若しくは予防を図ることにある。そのため、食事療法(食事カロリー制限や食習慣改善など)や運動療法に加えて、ライフスタイルを変える行動療法や集団療法が行われているが、長期に亘る治療・管理が必要であり、決して容易ではない。そのため、抗肥満薬の有用性・将来性が注目され、食欲抑制剤、熱産生促進剤、吸収抑制剤の開発が進み、2010年の医療用肥満治療剤の米国市場は約9億5000万ドルに達すると見込まれている。現在、日本ではカテコールアミン作動薬で食欲抑制作用を示すマジンドールやある種の漢方薬が、米国などでは、脂肪分解阻害によりカイロミクロンを低下させるオリルスタットが臨床応用されているものの、副作用や耐性が指摘されており、有効性とコンプライアンスを満足するものはほとんどない。
ところで、きのこ類は多用な生物活性を有することから、古くから日本人の健康に寄与してきた。例えばマツタケ〔Tricholoma matsutake(S. Ito & Imai)Sing.〕については、特公昭57−1230号公報(特許文献1)に、マツタケ菌糸体の液体培養物を熱水または希アルカリ溶液で抽出して得られる抽出液から分離精製されたエミタニン−5−A、エミタニン−5−B、エミタニン−5−C、およびエミタニン−5−Dに、サルコーマ180細胞の増殖阻止作用があることが開示され、特許第2767521号公報(特許文献2)には、マツタケ子実体の水抽出物から分離精製された分子量20〜21万のタンパク質(サブユニットの分子量10〜11万)が抗腫瘍活性を有することが開示されている。
さらに、本発明者らにより、マツタケ熱水抽出液、マツタケアルカリ溶液抽出液、あるいはこれら抽出液の陰イオン交換樹脂吸着画分が免疫増強活性を有することが見出されている(国際公開第01/49308号パンフレット(特許文献3))。本発明者らはまた、マツタケの特定の菌糸体由来の部分精製画分にストレス負荷回復促進作用があることも見出した(特開2003−050227号公報(特許文献4))。
特公昭57−1230号公報 特許第2767521号公報 国際公開第01/49308号パンフレット 特開2003−050227号公報
上述のようにマツタケには抗腫瘍活性、免疫増強活性、ストレス負荷回復促進作用などの種々の生理活性が含まれることが見出されている。しかしながら、本発明者の知る限りにおいて、マツタケが肥満に対して優れた予防・治療効果を有するということについては、これまで報告がされていない。
本発明者は、マツタケが肥満に対し優れた予防・治療効果を有することを新たに見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明の課題は、マツタケを利用した肥満の予防・治療剤および食品を提供することにある。
本発明は、マツタケ(Tricholoma matsutake)またはその抽出物を含む、肥満の予防・治療剤および食品に関する。
また本発明は、マツタケ(T. matsutake)が菌糸体、培養物(Broth)または子実体(胞子を含む)である、上記肥満の予防・治療剤および食品に関する。
また本発明は、マツタケ(T. matsutake)がFERM BP−7304株である、上記肥満の予防・治療剤および食品に関する。
また本発明は、マツタケ(T. matsutake)がFERM BP−7304株の菌糸体の乾燥粉末である、上記肥満の予防・治療剤および食品に関する。
また本発明は、マツタケ抽出物が、FERM BP−7304株の菌糸体の熱水抽出液、アルカリ溶液抽出液、またはそれら抽出液の有機溶媒抽出液である、上記肥満の予防・治療剤および食品に関する。
本発明により、安全で、安定的に大量供給が可能な、肥満の予防・治療のための薬剤および食品が提供される。
本発明の肥満の予防・治療剤および食品に用いられるマツタケ〔Tricholoma matsutake(S. Ito & Imai)Sing.〕は、菌糸体、培養物(Broth)、子実体のいずれの形態のものも用いることができ、生でも乾燥したものでもよい。本発明では子実体は胞子も含むものとする。これら菌糸体、培養物(Broth)、子実体の各抽出物も用いることができる。
本発明では特にマツタケFERM BP−7304株が好ましく用いられる。
マツタケFERM BP−7304株は、本出願人によって新規菌株として従前に出願され(国際公開第02/30440号パンフレット)、独立行政法人産業技術総合研究所((旧)工業技術院生命工学研究所)に平成12年9月14日に寄託されている。このマツタケFERM BP−7304株は、京都府亀岡市で採取したマツタケCM6271株から子実体組織を切り出し、試験管内で培養することにより菌糸体継代株を得たものであり、株式会社クレハ 生物医学研究所で維持している。
マツタケFERM BP−7304株の子実体の形態は、「原色日本新菌類図鑑(1)」(今関六也・本郷次雄編、保育社、昭和32年発行)プレート(plate)9頁および26頁に記載のマツタケ子実体に合致するものであった。
マツタケFERM BP−7304株の継代は、エビオス寒天斜面培地で実施することができる。マツタケFERM BP−7304株の菌糸体をエビオス寒天平板培地に接種すると、白色の菌糸が放射状に密に生育し、大きなコロニーを形成する。走査型電子顕微鏡で観察すると、太さ1〜2μmの枝状の菌糸体が無数に存在し、菌糸体側部に数μm程度の突起物が時々みられる。該菌株の菌糸体を大量培養する場合は、液体培地に接種し、静置培養、振盪培養、タンク培養等により行うことができる。
なお、マツタケFERM BP−7304株は、もっぱら菌糸体の形状で継代維持または培養することが可能であるが、子実体の形状となることもある。
マツタケFERM BP−7304株の菌学的性質は以下のとおりである。
(1)麦芽エキス寒天培地における培養的・形態的性質
白色の菌糸が放射状に密に生育してコロニーを形成する。接種30日目のコロニー径は約4cmである。
(2)ツアペック寒天培地、オートミール寒天培地、合成ムコール寒天培地、およびフェノールオキシダーゼ反応検定用培地における培養的・形態的性質
上記いずれの培地においても、接種後1ヶ月経過しても菌糸の発育はほとんどみられない。
(3)YpSs寒天培地における培養的・形態的性質
白色の光沢を有し、マット状に生育する。接種30日目の生育距離は約5mmである。
(4)グルコース・ドライイースト寒天培地における培養的・形態的性質
白色の光沢を有し、マット状に生育する。接種30日目の生育距離は約2mmである。
(5)最適生育温度および生育範囲
滅菌処理した液体培地(3%グルコース、0.3%酵母エキス、pH7.0)10mLの入った100mL容三角フラスコに、マツタケFERM BP−7304株の種菌約2mgを接種し、5〜35℃の種々の温度でそれぞれ培養し、28日目にフラスコから菌体を取り出し、蒸留水でよく洗浄した後に乾燥させ、質量を測定した。その結果、菌体質量は5〜15℃の範囲で直線的に増加し、15〜25℃の範囲で緩やかに増加した。27.5℃以上ではほとんど増殖しなかった。最適生育温度は15〜25℃である。
(6)最適生育pHおよび生育範囲
液体培地(3%グルコース、0.3%酵母エキス)のpHを1モル/L塩酸または1モル/L水酸化カリウムで調整し、pH3.0〜8.0の種々の培地を調製して菌体の生育pHを調べた。すなわち各培地をフィルター滅菌し、培地10mLを滅菌済100mL容三角フラスコに分注した。マツタケFERM BP−7304株の種菌約2mgを接種後、22℃で培養し、フラスコから菌体を取り出し、蒸留水でよく洗浄した後に乾燥させ、質量を測定した。その結果、菌体の生育限界はpH3.0〜7.0、最適生育pHは4.0〜6.0であった。
(7)対峙培養による帯線形成の有無
エビオス寒天平板培地に、マツタケFERM BP−7304株のブロック(約3mm×3mm×3mm)と、公知の13種類のマツタケ株(例えば、IFO 6915株;(財)発酵研究所)の各ブロック(約3mm×3mm×3mm)とを、約2cm間隔に対峙して植菌し、22℃で3週間培養した後、両コロニー境界部に帯線が生じるか否かを判定した。
その結果、マツタケFERM BP−7304株は、公知のマツタケ株(13種類)のいずれの株に対しても明確な帯線を形成しなかった。なお、マツタケでは異株間対峙培養で帯線は生じないとされており、公知のマツタケ株(13種類)間についても、明確な帯線を形成した組み合わせはなかった。
(8)栄養要求性
滅菌処理した菌根菌用合成培地(「太田培地」。Ohtaら、"Trans. Mycol. Soc. Jpn.", 31, 323-334, 1990)10mLの入った100mL容三角フラスコに、マツタケFERM BP−7304株の種菌約2mgを接種し、22℃で培養し、42日目にフラスコから菌体を取り出し、蒸留水でよく洗浄した後に乾燥させ、質量を測定したところ、菌体441mgが得られた。
上記菌根菌用合成培地中の炭素(C)源であるグルコースの代わりに、28種類の糖質関連物質のいずれか1つを加えた各培地に、マツタケFERM BP−7304株を接種して培養し、培養終了後、菌体質量を測定した。その結果、菌体質量が多かった糖質関連物質から菌体質量が少なかった糖質関連物質を順に示せば、以下のとおりである。
小麦デンプン>トウモロコシデンプン>デキストリン>メチルβグルコシド>セロビオース>マンノース>フラクトース>アラビノース>ソルビトール>グルコース>ラクトース>グリコーゲン>マンニトール>リボース>マルトース>トレハロース>ガラクトース>ラフィノース>メリビオース>N−アセチルグルコサミン。
なお、セルロース、ダルチトール、シュークロース、キシロース、メチルαグルコシド、イヌリン、イノシトール、およびソルボースでは、菌の発育はほとんどみられなかった。
次に、上記菌根菌用合成培地中の窒素(N)源である酒石酸アンモニウムの代わりに、15種類の窒素関連物質のいずれか1つを加えた各培地に、マツタケFERM BP−7304株を接種して培養し、培養終了後、菌体質量を測定した。
その結果、菌体質量が多かった窒素関連物質から菌体質量が少なかった窒素関連物質を順に示せば、以下のとおりである。
コーンスティープリカー>大豆ペプトン>ミルクペプトン>硝酸アンモニウム>硫酸アンモニウム>酒石酸アンモニウム>炭酸アンモニウム>アスパラギン>リン酸アンモニウム>塩化アンモニウム>硝酸ナトリウム>肉エキス>酵母エキス>カザミノ酸>クロレラ>トリプトーン>硝酸カリウム。
さらに、上記合成培地中のミネラルおよびビタミン類のうち、特定の1成分を除去した培地に、マツタケFERM BP−7304株を接種して培養し、培養終了後、菌体質量を測定した。
その結果、塩化カルシウム・二水和物、硫酸マンガン(II)・五水和物、硫酸亜鉛・七水和物、硫酸コバルト・七水和物、硫酸銅・五水和物、硫酸ニッケル・六水和物、塩酸アミン、ニコチン酸、葉酸、ビオチン、塩酸ピリドキシン、塩化カーチニン、アデニン硫酸・二水和物、または塩酸コリンのいずれか1つを培地から除いても、菌体質量にほとんど影響がなかった。
一方、硫酸マグネシウム・七水和物、塩化鉄(II)、またはリン酸二水素カリウムのいずれか1つを培地から除くと、菌体質量は顕著に減少した。すなわち、マグネシウム、鉄、リン、およびカリウムは、マツタケFERM BP−7304株の増殖に必須と考えられる。
(9)DNA塩基組成(GC含量)
GC含量は49.9%である。
(10)RAPD法により生成するDNAパターン
6種類の異なるPCR(Polymerase Chain Reaction)用プライマー(10mer)をそれぞれ単独で用いるRAPD(Random Amplified Polymorphic DNA)法により生成するDNAパターンについて、マツタケFERM BP−7304株と、公知の44種類のマツタケ株(例えば、IFO 6915株;(財)発酵研究所)とを比較したところ、マツタケFERM BP−7304株は、公知のマツタケ株(44種類)のいずれとも異なるDNAパターンを示した。
本発明の肥満の予防・治療剤および食品は、有効成分として、(i)マツタケFERM BP−7304株(例えば、当該株の菌糸体、培養物(Broth)または子実体)の生のものをそのまま、あるいはこれを乾燥粉末としたもの、(ii)マツタケFERM BP−7304株の熱水抽出液(例えば、当該株の菌糸体、培養物(Broth)または子実体の、熱水抽出液)、(iii)マツタケFERM BP−7304株のアルカリ溶液抽出液(例えば、当該株の菌糸体、培養物(Broth)または子実体の、アルカリ溶液抽出液)、(iv)マツタケFERM BP−7304株の熱水抽出液および/またはアルカリ溶液抽出液の、有機溶媒抽出液などを含む態様が好ましく例示されるが、これら例示に限定されるものではない。
本発明の肥満予防・治療剤および食品における有効成分として用いられ得るマツタケFERM BP−7304株の菌糸体としては、例えば、培養により得られる菌糸体(すなわち培養菌糸体)と培地との混合物から適当な除去手段(例えば、濾過)により培地を除去しただけの状態で使用することもできるし、あるいは、培地を除去した後の菌糸体から適当な除去手段(例えば、凍結乾燥)により水分を除去した菌糸体乾燥物の状態で使用することもでき、さらには前記菌糸体乾燥物を粉砕した菌糸体乾燥物粉末の状態で使用することもできる。
本発明の肥満予防・治療剤および食品における有効成分として用いられ得るマツタケFERM BP−7304株の培養物(Broth)としては、例えば、培養により得られる菌糸体(すなわち培養菌糸体)と培地との混合物の状態で使用することもできるし、あるいは、前記混合物から適当な除去手段(例えば、凍結乾燥)により水分を除去した培養物(Broth)乾燥物の状態で使用することもでき、さらには前記培養物(Broth)乾燥物を粉砕した培養物(Broth)乾燥物粉末の状態で使用することもできる。
上記培養工程は、特に限定されるものでなく、一般にマツタケ菌を培養する方法を任意に用いることができるが、例えば、マツタケFERM BP−7304株(「マツタケ菌I」)を固形培地または液体培地で培養または保存してマツタケ菌IIを得る工程、前記マツタケ菌IIを静置液体培養してマツタケ菌IIIを得る工程、前記マツタケ菌IIIを振盪培養してマツタケ菌IVを得る工程、前記マツタケ菌IVを100L未満の小型培養装置を用いて、培養液中に通気を行わない攪拌培養してマツタケ菌Vを得る工程、前記マツタケ菌Vを100L以上の中型・大型培養装置を用いて深部攪拌培養してマツタケ菌VIを得る工程、前記マツタケ菌VIを100L以上の中型・大型培養装置を用いて深部攪拌培養してマツタケ菌VIIを得る工程、および前記マツタケ菌VIIを100L以上の中型・大型培養装置を用いて深部撹拌培養してマツタケ菌VIIIを得る工程、からなる培養方法(国際公開第2004/038009号パンフレット)が、マツタケ菌の生理活性を損うことなく大量生産できるという点から好適に用いられる。
〈マツタケ菌Iを培養または保存してマツタケ菌IIを得る工程〉
用いる培地としては、一般にマツタケ菌を培養する栄養源基質を有する培地であれば特に制限なく使用することができる。例えば、太田培地(Ohtaら、"Trans. Mycol. Soc. Jpn.", 31, 323-334, 1990)、MMN培地(Marx, D. H., "Phytopathology", 59:153-163, 1969)、浜田培地(浜田、"マツタケ", 97-100, 1964)等が挙げられるが、これら例示に限定されるものでない。
固形培地用の固形化剤としては、カラギーナン、マンナン、ペクチン、寒天、カードラン、デンプン、アルギン酸等が好適例として挙げられる。これらのうち寒天が好ましい。
使用可能な培地の栄養源基質には、炭素源、窒素源、無機元素源などが挙げられる。
上記炭素源としては、米デンプン、小麦粉デンプン、バレイショデンプン、サツマイモデンプン等のデンプン類;デキストリン、アミロペクシン等の多糖類;マルトース、シュクロース等の少糖類;フラクトース、グルコース等の単糖類などが挙げられる。さらに麦芽エキスを挙げることができる。マツタケ菌の生長速度から、グルコースなどの単糖類が好ましい時期と、デンプン類が好ましい時期とがあるので、時期に応じた炭素源を選択し、必要に応じて組合せて使用する。
上記窒素源としては、酵母エキス、乾燥酵母、コーンスティーブリカー、大豆粉、大豆ペプトンなどの天然由来物質や、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、尿素などが挙げられる。これらは単独で、あるいは組合せて用いることができる。一般に生長速度を考慮すると、天然由来物質、特に酵母エキスが好ましい。
上記無機元素源は、リン酸および微量元素を供給するために使用される。例を挙げると、リン酸塩のほか、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、マンガン、銅、鉄などの金属イオンの無機塩(例えば、硫酸塩、塩酸塩、硝酸塩、リン酸塩、等)があり、必要量を培地中に溶解する。
また、培地にビタミンB1などのビタミン類、アミノ酸類を添加することもできる。
さらに、使用するマツタケ菌の性質に応じて、植物抽出物、有機酸、核酸関連物質などを添加することができる。植物抽出物としては、果菜類、根菜類、葉菜類などの抽出物が例示される。有機酸としては、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、フマル酸、乳酸などが例示される。核酸関連物質としては、市販の核酸、核酸抽出物、酵母、酵母エキスなどが例示される。
固形培地を調製する場合、炭素源の使用量は、好ましくは10〜100g/L、より好ましくは10〜50g/L、特に好ましくは20〜30g/Lである。
窒素源の使用量は、窒素元素相当量で0.005〜0.1モル/Lが好ましく、より好ましくは0.007〜0.07モル/L、特に好ましくは0.01〜0.05モル/Lである。
リン酸塩の使用量は、リン元素相当量で0.001〜0.05モル/Lが好ましく、より好ましくは0.005〜0.03モル/L、特に好ましくは0.01〜0.02モル/Lである。さらに他の無機塩、ビタミン類、植物抽出物、有機酸、核酸関連物質など、マツタケ菌の性質に応じて適宜添加することができる。また、調製した栄養源基質溶液のpHを、好ましくは4〜7、より好ましくは4.5〜6.0、特に好ましくは5.0〜5.5とする。
〈静置液体培養〉
次に、マツタケ菌II(マツタケ菌Iを固形培地または液体培地で培養または保存したマツタケ菌)を静置液体培養してマツタケ菌IIIを製造する方法について記載する。
通常、100mL〜2L容の三角フラスコを用いて行う。
この静置液体培養は、液体培地にマツタケ菌IIを接種することにより開始する。
接種したマツタケ菌IIを含有する培養液と液体培地とを合せた混合物と、接種したマツタケ菌IIを含有する培養液との体積比(「接種時拡大倍率」)が好ましくは2〜50倍、より好ましくは3〜30倍となる量の液体培地を使用する。
接種したマツタケ菌IIを含有する培養液中のマツタケ菌IIの乾燥菌糸体質量と、接種したマツタケ菌IIを含有する培養液と液体培地とを合せた混合物の体積比(「初発菌糸体濃度」)を、好ましくは0.05〜3g/L、より好ましくは0.1〜2g/Lとなるように、液体培地にマツタケ菌IIを含有する培養液を接種する。
該静置液体培養での培養温度は15〜30℃が好ましく、より好ましくは20〜25℃であり、培養期間は30〜400日間が好ましく、より好ましくは120〜240日間である。培養期間が30日未満、あるいは400日超では、大量培養に適した生育能を有するマツタケ菌IIIを得ることが困難となる。
静置液体培養後の培養液中の乾燥菌糸体含有量(単位:g/L)を初発菌糸体濃度との比(「菌糸体増加率」)が、2〜25倍となるように培養することが、生育能の点から好ましい。
静置液体培養に使用する液体培地は、その浸透圧を、好ましくは0.01〜0.8MPa、より好ましくは0.02〜0.7MPa、特に好ましくは0.03〜0.5MPaとなるように、栄養源基質を使用する。
静置液体培養に用いる栄養源基質として、マツタケ菌Iを培養する固形培地と同じ炭素源、窒素源、無機元素源、ビタミンB1などのビタミン類、アミノ酸類等を使用することができる。
炭素源の使用量は、好ましくは10〜100g/L、より好ましくは20〜60g/L、特に好ましくは25〜45g/Lである。通常、グルコース等の単糖類を使用する。
窒素源の使用量は、窒素元素相当量で0.005〜0.1モル/Lが好ましく、より好ましくは0.007〜0.07モル/L、特に好ましくは0.01〜0.05モル/Lである。
リン酸塩を使用する場合は、リン元素相当量で0.001〜0.05モル/Lが好ましく、より好ましくは0.005〜0.03モル/L、特に好ましくは0.01〜0.02モル/Lになるようにする。
さらに、他の無機塩、ビタミン類、植物抽出物、有機酸、核酸関連物質など、マツタケ菌の性質に応じて適宜添加することができる。
調製した栄養源基質溶液のpHを、好ましくは4〜7、より好ましくは4.5〜6.5、特に好ましくは5.0〜6.0とする。
マツタケ菌IIIを含有する静置液体培養による培養液の一部若しくは全部を、マツタケ菌IIを含有する培養液(若しくは培養物)と同様に静置液体培養の接種源として、再度、静置液体培養工程で使用することもできる。
〈振盪培養〉
次いで、マツタケ菌III(マツタケ菌IIを静置液体培養して得られたマツタケ菌)を振盪培養して、マツタケ菌IVを製造する方法について記載する。
通常、300mL〜5L容の三角フラスコを用いて行う。
この振盪培養は、液体培地にマツタケ菌IIIを接種することにより開始する。
接種したマツタケ菌IIIを含有する培養液と液体培地とを合せた混合物と、接種したマツタケ菌IIIを含有する培養液との体積比(「接種時拡大倍率」)が、好ましくは2〜50倍、より好ましくは3〜30倍、特に好ましくは5〜10倍となる量の液体培地を使用する。
なお、接種時拡大倍率に見合う培養液の量を確保するために、静置液体培養を複数の培養装置を用いて製造することもできる。
接種したマツタケ菌IIIを含有する培養液中のマツタケ菌IIIの乾燥菌糸体質量と、接種したマツタケ菌IIIを含有する培養液と液体培地とを合せた混合物の体積比(「初発菌糸体濃度」)を、好ましくは0.05〜3g/L、より好ましくは0.1〜2g/Lとなるように、液体培地にマツタケ菌IIIを含有する培養液を接種する。
振盪培養では、培養温度は15〜30℃が好ましく、より好ましくは20〜25℃であり、培養期間は7〜50日間が好ましく、より好ましくは14〜28日間である。
振盪培養に要する動力として、通常、三角フラスコ内の培養液単位体積あたりの攪拌所要動力0.05〜0.4kW/m3を用いる。
静置液体培養後の培養液中の乾燥菌糸体含有量(単位:g/L)と初発菌糸体濃度との比(「菌糸体増加倍率」)が2〜25倍となるように培養することが、生育能の点で好ましい。
振盪培養に使用する液体培地は、その浸透圧を、好ましくは0.01〜0.8MPa、より好ましくは0.02〜0.7MPa、特に好ましくは0.03〜0.5MPaとなるように、栄養源基質を使用する。
振盪培養に用いられる栄養源基質として、マツタケ菌IIを培養する液体培地と同じ炭素源、窒素源、無機元素源、ビタミンB1などのビタミン類、アミノ酸類を使用することができる。
炭素源の使用量は、好ましくは10〜100g/L、より好ましくは20〜60g/L、特に好ましくは25〜45g/Lである。通常、グルコース等の単糖類を使用する。
窒素源の使用量は、窒素元素相当量で0.005〜0.1モル/Lが好ましく、より好ましくは0.007〜0.07モル/L、特に好ましくは0.01〜0.05モル/Lである。
リン酸塩の使用量は、リン元素相当量で0.001〜0.05モル/Lが好ましく、より好ましくは0.005〜0.03モル/L、特に好ましくは0.01〜0.02モル/Lになるようにする。
さらに、他の無機塩、ビタミン類、アミノ酸類、植物抽出物、有機酸、核酸関連物質など、マツタケ菌の性質に応じて適宜添加することができる。
調製した栄養源基質溶液のpHを、好ましくは4〜7、より好ましくは4.5〜6.5、特に好ましくは5.0〜6.0とする。
〈攪拌培養〉
次に、攪拌培養により、マツタケ菌V、マツタケ菌VI、マツタケ菌VII、マツタケ菌VIIIを製造する方法について記載する。
この攪拌培養は、液体培地にマツタケ菌(IV〜VII)を接種することにより開始する。以下の説明において、マツタケ菌IVは、マツタケ菌IIIを振盪培養して得られるマツタケ菌をいい;マツタケ菌Vは、マツタケ菌IVを100L未満の小型培養装置を用いて培養液中に通気を行わない撹拌培養を行って得られたマツタケ菌をいい;マツタケ菌VIは、マツタケ菌Vを100L以上の中型・大型培養装置を用いて深部撹拌培養して得られたマツタケ菌をいい;マツタケ菌VIIは、マツタケ菌VIを100L以上の中型・大型培養装置を用いて深部撹拌培養して得られたマツタケ菌をいい;マツタケ菌VIIIは、マツタケ菌VIIを100L以上の中型・大型培養装置を用いて深部撹拌培養して得られたマツタケ菌をいう。
攪拌培養で用いる液体培地は、次のようにして調製することができる。
栄養源基質は、振盪培養で使用する、炭素源、窒素源、無機元素源、ビタミンB1などのビタミン類、アミノ酸類と同じものを使用することができる。
炭素源の使用量は、好ましくは10〜100g/L、より好ましくは20〜60g/L、特に好ましくは25〜45g/Lである。デンプン類を好ましく使用できる。
攪拌を行う培養液中の浸透圧に影響するグルコースなどの単糖類を併用する場合、その使用量は、好ましくは0.1〜60g/L、より好ましくは0.5〜40g/L、特に好ましくは0.7〜20g/Lである。
窒素源の使用量は、窒素元素相当量で0.005〜0.1モル/Lが唖好ましく、より好ましくは0.007〜0.07モル/L、特に好ましくは0.01〜0.05モル/Lである。
リン酸塩の使用量は、リン元素相当量で0.001〜0.05モル/Lが好ましく、より好ましくは0.005〜0.03モル/L、特に好ましくは0.01〜0.05モル/Lである。
さらに、他の無機塩、ビタミン類、アミノ酸類、植物抽出物、有機酸、核酸関連物質など、マツタケ菌の性質に応じて適宜、添加することができる。
調製した栄養源基質溶液のpHを、好ましくは4〜7、より好ましくは4.5〜6.5、特に好ましくは5.0〜6.0とする。
攪拌培養に使用する液体培地は、その浸透圧を、好ましくは0.01〜0.8MPa、より好ましくは0.02〜0.7MPa、特に好ましくは0.03〜0.5MPaとなるように、栄養源基質を使用する。
攪拌培養の培養温度は、15〜30℃、好ましくは20〜25℃とする。
接種したマツタケ菌(IV〜VII)を含有する培養液と液体培地とを合せた混合物と、接種したマツタケ菌(IV〜VII)を含有する培養液との体積比(「接種時拡大倍率」)が、好ましくは2〜50倍、より好ましくは3〜30倍、特に好ましくは5〜10倍となる量の液体培地を使用する。
接種したマツタケ菌(IV〜VII)を含有する培養液中のマツタケ菌(IV〜VII)の乾燥菌糸体質量と、接種したマツタケ菌(IV〜VII)を含有する培養液と液体培地とを合せた混合物の体積比(「初発菌糸体濃度」)を、好ましくは0.01〜5g/L、より好ましくは0.05〜3g/L、特に好ましくは0.1〜2g/Lとなるように、液体培地にマツタケ菌(IV〜VII)を含有する培養液を接種する。
攪拌培養で得られるマツタケ菌(V〜VII)を、さらに攪拌培養の母菌として用いる場合の培養日数は、3〜20日間が好ましく、特には5〜14日間である。
これらの培養日数後に、マツタケ菌(V〜VII)の乾燥菌糸体含有量が、好ましくは0.5〜10g/L、より好ましくは1〜8g/L、特に好ましくは1〜6g/Lになっている培養液は、攪拌培養に適した生育能を有するマツタケ菌(V〜VII)を含有している。
静置液体培養後の培養液中の乾燥菌糸体含有量(単位:g/L)と初発菌糸体濃度との比(「菌糸体増加率」)が2〜25倍となるように培養することが、生育能の点で好ましい。
他方、攪拌培養で得られるマツタケ菌(V〜VIII)を、マツタケ菌糸体として分離する場合の培養日数は5〜30日間であり、好ましくは7〜20日間、特に好ましくは10〜15日間である。
これらの培養日数から、炭素源の資化速度が著しく低下した時を培養終了とするのが好ましいが、適宜、製造サイクル、製造コスト等の製造形態に合せて決定することができる。
静置液体培養後の培養液中の乾燥菌糸体含有量(単位:g/L)と初発菌糸体濃度との比(「菌糸体増加倍率」)が35〜100倍となるように培養することが、工業的な生産の点で好ましい。
マツタケ菌IVを含有する振盪培養で製造した培養液を、100L以上の中型、および大型培養槽などの培養装置による攪拌培養工程で使用することもできる。
攪拌培養に使用する培養装置は、通気攪拌ができ、無菌性が確保できれば特に制限なく使用することが可能で、必要に応じて通気することができ、または通気装置を装着できるものを使用する。したがって、通常の、小型、中型および大型の培養槽、またはジャーファーメンターを使用することができる。
100L未満のジャーファーメンターまたは小型培養槽を用いて、マツタケ菌IVの培養を行いマツタケ菌Vを製造する場合、液体培地中に通気せずに、攪拌培養を行うのが好ましい。100L未満のジャーファーメンターまたは小型培養槽で通気を行って培養すると、菌糸が凝集し、成長点が欠失して母菌としての生育能が損われる場合があるからである。
また、100L以上の中型、および大型培養槽などの培養装置により工業スケールで深部攪拌培養を行う場合、必要に応じて通気を行う。この場合の通気量は0.05〜1.0vvm、特には0.2〜0.5vvmとするのが好ましい。
攪拌培養における攪拌は、培養初期では培養液単位体積あたりの所要攪拌動力で制御する。通常、0.01〜2kW/m3、好ましくは0.05〜1kW/m3の範囲で攪拌を行うことにより、マツタケ菌糸体が良好に生育する。培養初期を過ぎれば菌が生育を始め、酸素供給量が不足し、さらに、生育した菌糸体の分散が不十分になるので、適宜、攪拌の強度を大きくすることが必要になる。当該深部攪拌では、培養初期には低通気、低撹拌速度で培養し、培養後期には高通気、高攪拌速度で培養するのが好ましい。
深部攪拌培養から得られたマツタケ菌糸体の分離・回収は、常法によって行うことができる。例えば、フィルタープレスなどによる濾過、遠心分離などである。
得られた菌糸体は、例えば蒸留水により充分に洗浄してから、次の熱水抽出工程を実施するのが好ましい。また抽出効率が向上するように、破砕物または粉体の状態に加工するのが好ましい。
本発明の肥満予防・治療剤および食品における有効成分として用いられ得るマツタケFERM BP−7304株の子実体としては、例えば、子実体をそのままで、または子実体を破砕した状態で使用することもできるし、あるいは、子実体から適当な除去手段(例えば、凍結乾燥)により水分を除去した子実体乾燥物の状態で使用することもでき、さらには、前記子実体乾燥物を粉砕した子実体乾燥物粉末の状態で使用することもできる。
本発明の肥満予防・治療剤および食品における有効成分として用いられ得るマツタケFERM BP−7304株の熱水抽出液は、例えば培養により得られるマツタケFERM
BP−7304株の菌糸体(すなわち培養菌糸体)、培養物(Broth)、または子実体を熱水で抽出することにより得ることができる。
熱水抽出に用いる熱水の温度は、マツタケFERM BP−7304株に含有される肥満予防・治療効果を示す成分が、熱水抽出液中に充分に抽出される温度である限り特に限定されるものではないが、60〜100℃程度が好ましく、80〜98℃程度がより好ましい。
菌糸体または子実体を熱水抽出に用いる場合には、抽出効率が向上するように、破砕物または粉体の状態に加工することが好ましい。
また抽出の際には、抽出効率が向上するように、攪拌または振盪しながら実施するのが好ましい。抽出時間は、例えば、菌糸体の状態(例えば、破砕物または粉体の状態に加工した場合にはその加工状態)、熱水の温度、または攪拌若しくは振盪の有無若しくは条件に応じて、適宜決定することができるが、通常1〜6時間程度であり、2〜3時間程度が好ましい。
得られた熱水抽出液は、不要物が混在する状態で、そのまま、本発明の肥満予防・治療剤の有効成分として用いることもできるし、あるいは不溶物を除去してから、さらにはそこから抽出液中の低分子画分(好ましくは分子量3500以下の画分)を除去してから、本発明の肥満予防・治療剤の有効成分として用いることもできる。
本発明の肥満予防・治療剤および食品における有効成分として用いられ得るマツタケFERM BP−7304株のアルカリ抽出液は、例えば、上述したマツタケFERM BP−7304株の熱水抽出液の製造方法において、熱水の代わりにアルカリ溶液を用いること以外は、上記熱水抽出液の製造方法に準じた方法により得ることができる。
アルカリ溶液抽出に用いるアルカリ溶液としては、特に限定されるものではないが、例えば、アルカリ金属(ナトリウム、カリウムなど)の水酸化物、特には水酸化ナトリウムの水溶液を用いることができる。アルカリ溶液のpHは8〜13が好ましく、9〜12がより好ましい。アルカリ溶液抽出は0〜30℃程度で実施するのが好ましく、0〜25℃程度がより好ましい。抽出時間は、例えば、菌糸体残渣の状態(例えば、破砕物または粉体の状態に加工した場合にはその加工状態)、アルカリ溶液のpH若しくは温度、または攪拌若しくは振盪の有無若しくは条件に応じて、適宜決定することができるが、通常30分間〜5時間程度であり、1〜3時間程度が好ましい。得られたアルカリ溶液抽出液は、そのまま、あるいは所望により中和処理を実施してから、本発明の肥満予防・治療剤および食品に用いる。
さらに、熱水抽出液および/またはアルカリ溶液抽出液に、有機溶媒(例えば、クロロホルム、メタノール、エーテル、エタノール、酢酸エチル、ヘキサン等)またはそれらの混合物(例えば、クロロホルムとメタノールとの混合液)を加えて、好ましくは15〜30℃の温度で30分間〜5時間程度、攪拌することにより、有機溶媒可溶層若しくは水可溶層に移行する画分を回収して、本発明の肥満予防・治療剤および食品に用いることもできる。
本発明の肥満予防・治療剤および食品は、有効成分であるマツタケ、特にはマツタケFERM BP−7304株、あるいはその抽出物を、単独で、あるいは所望により薬剤学的に許容し得る担体とともに、ヒトや動物に投与することができる。
本発明において「肥満予防・治療」とは、動物やヒトなどにおいて、肥満症の予防、肥満症後(病的状態)の治療を意味するが、肥満症を遅延・抑制せしめる効果も含む。また肥満により誘発され得る疾患の発症防止効果も含む。したがって、本発明の肥満予防・治療剤および食品の投与・摂取時期は、特に限定されるものではないが、日常的に継続投与・摂取するのが好ましい。
本発明における肥満予防・治療効果は、肥満のタイプを問うものでなく、いずれのタイプの肥満に対しても奏功し得る。
本発明の肥満予防・治療剤および食品の投与・摂取剤型としては特に限定されるものでなく、例えば、散剤、細粒剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、懸濁液、エマルジョン剤、シロップ剤、エキス剤、若しくは丸剤等の経口剤、または注射剤、外用液剤、軟膏剤、座剤、局所投与のクリーム、点眼薬などの非経口剤を挙げることができる。
経口剤は、例えば、ゼラチン、アルギン酸ナトリウム、澱粉、コーンスターチ、白糖、乳糖、ぶどう糖、マンニット、カルボキシメチルセルロース、デキストリン、ポリビニルピロリドン、結晶セルロース、大豆レシチン、ショ糖、脂肪酸エステル、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール、ケイ酸マグネシウム、無水ケイ酸、または合成ケイ酸アルミニウムなどの賦形剤、結合剤、崩壊剤、界面活性剤、滑沢剤、流動性促進剤、希釈剤、保存剤、着色剤、香料、矯味剤、安定化剤、保湿剤、防腐剤、または酸化防止剤等を用いて、常法により製造することができる。
非経口投与方法としては、注射(皮下、静脈内など)等が例示される。なかでも注射剤が最も好適に用いられる。
例えば、注射剤の調製においては、有効成分の他に生理食塩水若しくはリンゲル液等の水溶性溶剤、植物油若しくは脂肪酸エステル等の非水溶性溶剤、ブドウ糖若しくは塩化ナトリウム等の等張化剤、溶解補助剤、安定化剤、防腐剤、懸濁化剤、または乳化剤などを任意に用いることができる。
また、本発明の肥満予防・治療剤および食品は、徐放性ポリマーなどを用いた徐放性製剤の手法を用いて投与してもよい。例えば、本発明の肥満予防・治療剤および食品をエチレンビニル酢酸ポリマーのペレットに取り込ませて、このペレットを治療すべき組織中に外科的に移植することができる。
本発明の肥満予防・治療剤および食品は、これに限定されるものではないが、マツタケFERM BP−7304株あるいはその抽出物等の有効成分を0.01〜99質量%、好ましくは0.1〜80質量%の量で含有することができる。
本発明の肥満予防・治療剤および食品を用いる場合の投与・摂取量は、被投与者の年齢、性別、体重、または投与・摂取方法などに応じて適宜決定することができ、経口的にまた非経口的に投与・摂取することが可能である。
また、投与・摂取形態も医薬品に限定されるものではなく、種々の形態、例えば、保健機能食品(特定保健用食品、栄養機能食品)やいわゆる健康食品(いずれも飲料を含む)、または飼料として飲食物の形で与えることも可能である。さらには、口中に一時的に含むものの、そのほとんどを口中より吐き出す形態、例えば、歯磨き剤、洗口剤、チューインガム、うがい剤などの形で与えることも、あるいは鼻から吸引させる吸入剤の形で与えることも可能である。例えば、マツタケFERM BP−7304株あるいはその抽出物等の有効成分を、添加剤(食品添加剤など)として、所望の食品(飲料を含む)、飼料、歯磨剤、洗口剤、チューインガム、またはうがい剤等に添加することができる。
なお、上記において、特定保健用食品は、その食品が持つ健康機能の表示が認められる食品(食品ごとに厚生労働省の許可を必要とする)をいい、栄養機能食品は栄養成分の機能を明記できる食品(厚生労働省が作成した規格基準を満たす必要あり)をいい、いわゆる健康食品とは上記保健機能食品以外の食品一般を広く意味するもので、健康補助食品等を含むものである。
次に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの実施例によってなんら限定されるものでない。
(実施例1)
[マツタケ菌糸体の有機溶媒可溶性画分の調製]
株式会社クレハ 生物医学研究所で樹立および維持しているマツタケCM6271株(マツタケFERM BP−7304株)菌糸体を、滅菌済み培地(3%グルコース、0.3%酵母エキス、pH6.0)100mLの入った500mL容三角フラスコ20本に接種し、22℃で250rpmの振盪培養機で4週間培養を行った。
培養終了後、培養物(Broth)を濾紙濾過により菌糸体を分離し、蒸留水で充分に洗浄した後、凍結乾燥した。得られた乾燥物を粉砕して菌糸体粉末20gを得た。
上記菌糸体粉末1.0gを、300mL容のビーカーに入れ、100mLの蒸留水を加え、98℃で1時間攪拌抽出した。この操作を2回繰り返した後、遠心分離により、上清と残渣に分け、それぞれを回収した。次いで、残渣に0.2モル/Lの水酸化ナトリウム溶液100mLを加え、25℃で1時間攪拌抽出した。この操作を2回繰り返した後、遠心分離により、上清を回収し、1.0モル/Lの塩酸溶液を用いて中和した。これら熱水抽出液とアルカリ抽出液を混合し、ロータリーエバポレーターを用いて50mLにまで濃縮した。この濃縮液に、クロロホルムとメタノールとの混合液(2:1、v/v。以下、「ChMe液」と記す)50mLを加え、25℃で1時間攪拌抽出した。この操作を3回繰り返した後、水層部、中間層、およびChMe液層をそれぞれ回収した。ChMe液層と中間層とを合わせ(「非水層」)、ロータリーエバポレーターを用いて乾固し、乾固物0.55g(C画分。以下、「CM6271由来C画分」、あるいは単に「CM6271」とも記す)を得た。
(実施例2)
[高脂肪食誘発肥満に対する作用]
高脂肪食の摂取により、グルコース耐性の寛容や脂肪組織増加などを特徴とする、ヒト類似の肥満動物モデルが開発されている(Tschop Mら、げっ歯類の肥満モデル:総説、"Expl Clin Endocrinol Diabetes", 2001; 109: 307-19)。
本実施例では、高脂肪食飼料を摂取させたマウスの肥満関連パラメーターに対するCM6271成分の作用を調べた。
(i)試験動物
日本クレア(株)から3週齢の雌性ICRマウスを購入し、温度25.0±0.5C、湿度55%、12時間の明暗サイクル下で1週間予備飼育を行った。予備飼育期間中は普通飼料CE−2(日本クレア(株))と滅菌水道水を自由に与えた。
(ii)CM6271の投与
実施例1で得たCM6271由来C画分をジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解後、所定量を0.5%メチルセルロース400CP(信越化学工業(株)製)溶液に懸濁したものを用いた。
(iii)飼料の調製、実験群構成および処置
普通食飼料として飼料CE−2を、高脂肪食飼料としてQuick Fat(日本クレア(株))を、それぞれ用意した。
そして、マウス(上記(i))が4週齢になった時点で、平均体重が等しくなるように、下記A〜D群の4群(各群:n=8)に分け、それぞれ飼料を与えた。併せて、CM6271投与・非投与の影響を調べるため、CM6271(上記(ii))あるいは溶媒のいずれかを宗回経口投与した。飼育期間は8週間とし、体重は週1回測定した。
A群: 普通食飼料摂取+溶媒投与(0.5%メチルセルロース400CP液0.2mLを週5回経口投与。CM6271非投与)[普通食・対照群]、
B群: 普通食飼料摂取+CM6271投与(100mg/kgを週5回経口投与)[普通食・CM6271投与群]、
C群: 高脂肪食飼料摂取+溶媒投与(0.5%メチルセルロース400CP液0.2mLを週5回経口投与。CM6271非投与)[高脂肪食・対照群]、
D群: 高脂肪食飼料摂取+CM6271投与(100mg/kgを週5回経口投与)[高脂肪食飼料摂取・CM6271投与群]。
実験最終日(12週齢)に、マウスをエーテル麻酔下開腹して、腹部大静脈から採血、へパリンを加えて遠心分離して血漿を得、測定まで−80℃下で保存した。血漿中のグルコースは「グルコースII−テストワコー」(和光純薬(株))を、トリグリセライドは「トリグリセライドE−テストワコー」(和光純薬(株))を、および総コレステロールは「コレステロールE−テストワコー」(和光純薬(株))を、それぞれ用いて測定した。また血漿中のインスリンは「インスリン測定キット」((株)森永生科学研究所)を、レプチンは「マウスレプチン測定キット」((株)森永生科学研究所)を、アディポネクチンは「マウス/ラットアディポネクチンELISAキット」(大塚製薬(株))を、それぞれ用いて測定した。さらに、肝、腎および子宮傍脂肪組織を採取してそれらの質量を測定した。
〈体重に及ぼす影響〉
普通食または高脂肪食摂取マウスの体重に及ぼすCM6271成分の影響を表1、2に示す。
Figure 2007320869
Figure 2007320869
表1、2の結果から明らかなように、普通食摂取群(A群およびB群)では、実験期間中(4週齢〜12週齢)、マウス体重は順調に増加し、対照群(A群)とCM6271投与群(B群)との間にほとんど差はなかった。
一方、高脂肪食摂取・対照群(C群)では、実験開始以降、体重は著明に増加し、12週齢時点では、約40gに達した。一方、高脂肪食摂取にCM6271を投与した群(D群)では、体重の急激な増加は抑制され、11週齢および12週齢の時点、対照群(C群)との間に有意差があった。
〈組織・臓器重量に及ぼす影響〉
供試マウスが12週齢に達した時点で、マウスをと殺して組織または臓器重量を測定するとともに、血漿を分離して肥満関連指標を測定した。結果を表3に示す。
Figure 2007320869
表3に示すように、高脂肪食・対照群(C群)の子宮傍脂肪組織質量は、普通食・対照群(A群)に比べて明らかに高かったが、高脂肪食・CM6271投与群(D群)では有意に低かった。高脂肪食・対照群(C群)の肝においても、同様に、高値傾向にあった。一方、腎ではほとんど同じレベルであった。肝および腎質量に関しては、CM6271由来C画分の投与の影響は明確でなかった。なお、普通食群(A群、B群)では、いずれの組織または臓器においても、CM6271由来C画分投与はこれら重量にほとんど影響を及ぼさなかった。
さらに、12週齢マウス血漿の肥満関連指標を表4に示す。
Figure 2007320869
表4の結果から明らかなように、12週齢マウス血漿の肥満関連指標に関しては、高脂肪食群(C群およびD群)で明らかに高い値を示した。高脂肪食群における対照群(C群)とCM6271投与群(D群)との間の比較では、CM6271投与群(D群)のレプチンとアジポネクチンレベルが対照群(C群)に比べ有意に低く、肥満との関連がうかがわれた。普通食群(A群、B群)では、CM6271由来C画分はこれら指標にほとんど影響を及ぼさなかった。
(実施例3)
[遺伝性肥満C57BL−db/dbマウスに対するCM6271の作用]
遺伝性肥満性C57BL−db/dbマウスは、レプチン(抗肥満分子)受容体に機能障害をもつ動物であり、生後より著しい肥満とインスリン抵抗性を示し、糖尿病発症に至る。本実施例では、当該マウスの肥満関連パラメーターに対するCM6271成分の作用を調べた。
(i)試験動物
日本クレア(株)から5週齢のC57BL/KsJ−db/dbJcl<dbm雌性および雄性マウスを購入し、温度25.0±0.5C、湿度55%、12時間の明暗サイクル下で1週間予備飼育し、飼料CE−2(日本クレア(株))と滅菌水道水を自由に与えた。
(ii)CM6271の投与
実施例1で得たCM6271由来C画分をジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解後、所定量を0.5%メチルセルロース400CP(信越化学工業(株)製)溶液に懸濁したものを用いた。
(iii)飼料の調製、実験群構成および処置
本マウスが6週齢になった時点で、下記E〜H群の4群(各群:n=6)に分け、飼料CE−2を与えた。併せて、CM6271投与・非投与の影響を調べるため、CM6271(上記(ii))あるいは溶媒のいずれかを週5回経口投与した。飼育期間は8週間とし、経時的に体重を測定した。
E群(C57BL−db/db雄性マウス): 飼料摂取+溶媒投与(0.5%メチルセルロース400CP液0.2mLを週5回経口投与。CM6271非投与)[雄性マウス・対照群]、
F群(C57BL−db/db雄性マウス): 飼料摂取+CM6271投与(100mg/kgを週5回経口投与)[雄性マウス・CM6271投与群]、
G群(C57BL−db/db雌性マウス): 飼料摂取+溶媒投与(0.5%メチルセルロース400CP液0.2mLを週5回経口投与。CM6271非投与)[雌性マウス・対照群]、
H群(C57BL−db/db雌性マウス): 飼料摂取+CM6271投与(100mg/kgを週5回経口投与)[雌性マウス・CM6271投与群]。
実験開始前、6週目および9週目に、マウス眼窩静脈叢から部分採血し、へパリンを加えて遠心分離、血漿を分離後、「グルコースII−テストワコー」(和光純薬(株))を用いてグルコース量を測定した。
C57BL−db/dbマウスの体重に及ぼすCM6271成分の影響を表5〜6に示す。
Figure 2007320869
Figure 2007320869
表5および表6に示すように、雄性および雌性のC57BL−db/dbマウスの対照群(E群およびG群)では、9週齢以降、体重は著明に増加したが、CM6271投与群(F群およびH群)の増加は軽度であり、15週目では対照群との間に有意差があった。
〈C57BL−db/dbマウスの血糖値に及ぼすCM6271成分の影響〉
表7にC57BL−db/dbマウスの血糖値に及ぼすCM6271成分の影響を表7に示す。
Figure 2007320869
表7の結果から明らかなように、15週目の血糖に関しても、CM6271投与群(F群、H群)の値は対照群(E群、G群)に比べて有意に低かった。
(実施例4)
[拘束負荷db/dbマウス対するCM6271の作用]
ストレスは副腎皮質ホルモンを介して遊離脂肪酸を増加させ、食欲増加させて、肥満を引き起こすと考えられている。動物実験でも、ストレス刺激を与えたマウスは肥満しやすいことが報告されている。
本実施例では、C57BL−db/dbマウスの体重および血糖値に対するCM6271成分の作用を調べた。
(i)試験動物
日本クレア(株)から5週齢のC57BL/KsJ−db/dbJcl<dbm雌性および雄性マウスを購入し、温度25.0±0.5C、湿度55%、12時間の明暗サイクル下で1週間予備飼育し、飼料CE−2(日本クレア(株))と滅菌水道水を自由に与えた。
(ii)CM6271の投与
実施例1で得たCM6271由来C画分をジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解後、所定量を0.5%メチルセルロース400CP(信越化学工業(株)製)溶液に懸濁したものを用いた。
(iii)飼料の調製、実験群構成および処置
本マウスが16週齢になった時点で、下記E〜H群の4群(各群:n=6)に分け、1日3時間、週4回の50mL容チューブ内拘束を2週間(1日3時間、週4回)、合計8回繰り返した。併せて、CM6271投与・非投与の影響を調べるため、CM6271(上記(ii))あるいは溶媒のいずれかを週5回経口投与した。
E群(C57BL−db/db雄性マウス): チューブ内拘束+溶媒投与(0.5%メチルセルロース400CP液0.2mLを週5回経口投与。CM6271非投与)[雄性マウス・対照群]、
F群(C57BL−db/db雄性マウス): チューブ内拘束+CM6271投与(100mg/kgを週5回経口投与)[雄性マウス・CM6271投与群]、
G群(C57BL−db/db雌性マウス): チューブ内拘束+溶媒投与(0.5%メチルセルロース400CP液0.2mLを週5回経口投与。CM6271非投与)[雌性マウス・対照群]、
H群(C57BL−db/db雌性マウス): チューブ内拘束+CM6271投与(100mg/kgを週5回経口投与)[雌性マウス・CM6271投与群]。
1回目拘束開始前、最終拘束(週4回の2週間、合計8回)終了直後、および最終拘束(週4回の2週間、合計8回)終了後2週目に、体重と血漿グルコース量(血糖値)を測定した。結果を表8〜9に示す。
Figure 2007320869
Figure 2007320869
表8の結果から明らかなように、拘束期間中、雄性および雌性マウスとも、体重は緩やかに増加し、解放後、リバウンド的に増加した。対照群(E群、G群)に比べ、CM6271投与群(F群、H群)では、拘束解放後のリバウンド的増加は抑制され、解放1週目で有意差があった。また表9の結果から明らかなように、血糖値に関しても、同様の傾向であった。
(まとめ)
高脂肪食摂取マウスおよび遺伝性肥満モデルマウスを用いて、肥満関連指標に対するマツタケ菌糸体の作用を調べた。
(1)高脂肪食摂取ICRマウスにおいて、CM6271の投与は、体重および子宮傍脂肪組織重量、血漿レプチンレベルの増加を抑制した。
(2)遺伝性肥満モデルC57BL−db/dbマウスにおいて、9週齢以降、体重および血糖値は著明に増加するが、CM6271の投与は増加を軽減した。
(3)16週齢のC57BL−db/dbマウスに、3時間/日の拘束負荷を、5日/週、2週間行うと、解放後の体重および血糖は著明に増加するが、CM6271の投与は増加を軽減した。
以上のことから、CM6271が、肥満の予防・治療に優れた効果を奏するということができる。

Claims (10)

  1. マツタケ(Tricholoma matsutake)またはその抽出物を含む、肥満の予防・治療剤。
  2. マツタケ(T. matsutake)が菌糸体、培養物(Broth)または子実体(胞子を含む)である、請求項1記載の肥満の予防・治療剤。
  3. マツタケ(T. matsutake)がFERM BP−7304株である、請求項1または2記載の肥満の予防・治療剤。
  4. マツタケ(T. matsutake)がFERM BP−7304株の菌糸体の乾燥粉末である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の肥満の予防・治療剤。
  5. マツタケ抽出物が、FERM BP−7304株の菌糸体の熱水抽出液、アルカリ溶液抽出液、またはそれら抽出液の有機溶媒抽出液である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の肥満の予防・治療剤。
  6. マツタケ(Tricholoma matsutake)またはその抽出物を含む、肥満の予防・治療のための食品。
  7. マツタケ(T. matsutake)が菌糸体、培養物(Broth)または子実体(胞子を含む)である、請求項6記載の食品。
  8. マツタケ(T. matsutake)がFERM BP−7304株である、請求項6または7記載の食品。
  9. マツタケ(T. matsutake)がFERM BP−7304株の菌糸体の乾燥粉末である、請求項6〜8のいずれか1項に記載の食品。
  10. マツタケ抽出物が、FERM BP−7304株の菌糸体の熱水抽出液、アルカリ溶液抽出液、またはそれら抽出液の有機溶媒抽出液である、請求項6〜9のいずれか1項に記載の食品。
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