JP2007319052A - イヌホタルイにおけるスルホニルウレア系除草剤抵抗性能力の評価方法 - Google Patents

イヌホタルイにおけるスルホニルウレア系除草剤抵抗性能力の評価方法 Download PDF

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Abstract

【課題】イヌホタルイにおけるスルホニルウレア系除草剤抵抗性能力(本能力)の評価方法等を提供すること。
【解決手段】イヌホタルイの本能力評価方法で、イヌホタルイ含有の2種のアセト乳酸合成酵素(ALS)遺伝子において、ALSドメインA(本領域)の第7アミノ酸の塩基配列がプロリンコドンであるかを検定する第一工程、及び、第一工程により得られる検定結果に基づきイヌホタルイの本能力有無を判定する第二工程を有し、且つ、第一工程が前記遺伝子を鋳型とするように選択的にアニールし且つALS遺伝子のイントロン領域の塩基配列と本領域の第7アミノ酸の塩基配列とを含む領域からなるDNA断片を増幅し得るプライマーセットを用いたPCRを行う工程、及び、制限酵素を用いたRFLP等に基づき本領域の第7アミノ酸の塩基配列を解析する工程を含む方法等。
【選択図】なし

Description

本発明は、イヌホタルイ由来のアセト乳酸合成酵素遺伝子の一部であり、アセト乳酸合成酵素におけるドメインAの第5番目のアミノ酸をコードする塩基配列と第6番目のアミノ酸をコードする塩基配列との間に存在するイントロン領域からなるポリヌクレオチド、及び、イヌホタルイにおけるスルホニルウレア系除草剤抵抗性能力の評価方法等に関する。
アセト乳酸合成酵素は、バリン、ロイシン、イソロイシン等の分岐鎖アミノ酸の生合成経路における律速酵素である。アセト乳酸合成酵素の阻害剤としては、スルホニルウレア系除草剤、イミダゾリノン系除草剤、ピリミジニルカルボキシル系除草剤、トリアゾロピリミジン系除草剤及びスルホニルアミノカルボニルトリアゾリノン系除草剤が知られている。
日本の水田においては、アセト乳酸合成酵素の阻害剤として、スルホニルウレア系除草剤であるベンスルフロンメチル、ピラゾスルフロンエチル、イマゾスルフロン等が広く利用されてきたが、近年、これらのスルホニルウレア系除草剤に対して抵抗性を有するイヌホタルイが出現し、問題となっている。
植物由来のアセト乳酸合成酵素には、ドメインA(アミノ酸配列:Ala−Ile−Thr−Gly−Gln−Val−Pro−Arg−Arg−Met−Ile−Gly−Thr)と呼ばれる高度に保存された領域が存在している。当該ドメインの第7番目のプロリン(Pro)は、シロイヌナズナ由来のアセト乳酸合成酵素では上流から第197番目に存在していたことから、通常「Pro197」と呼ばれている。
Pro197は、アセト乳酸合成酵素の阻害剤であるスルホニルウレア系除草剤が当該酵素へ結合する際に相互作用するアミノ酸残基の1つである。Pro197部位が別のアミノ酸によって置換されると、当該酵素とスルホニルウレア系除草剤との結合性は大幅に低下することが知られている。例えば、スルホニルウレア系除草剤に抵抗性を示す植物及び酵母のアセト乳酸合成酵素から、Pro197部位におけるSer、Leu、Ala、His、Arg、Thr、Gln、Ile、Glu、Val、Trp及びTyrへの置換突然変異が見出されている。以下、それぞれの変異を、P197S、P197L、P197A、P197H、P197R、P197T、P197Q、P197I、P197E、P197V、P197W及びP197Yと表記することもある(例えば、非特許文献1、2及び3参照)。
以上の知見から、植物におけるスルホニルウレア系除草剤抵抗性能力を評価するには、アセト乳酸合成酵素のPro197部位における他のアミノ酸への置換突然変異(以下、P197Xと表記することもある)が存在するか否かを調査することが重要であり、このために、P197Xをより簡便に検出する方法の開発が望まれていた。
これまでに、P197Xを検出する方法としては、例えば、セイヨウノダイコン(Raphanus raphanistrum)においてPCR−RFLPを適用した事例が知られている(例えば、非特許文献4参照)。当該事例では、セイヨウノダイコン由来のアセト乳酸合成酵素遺伝子においてPro197部位をコードする領域を含むDNA断片をPCRにより増幅し、増幅されたDNA断片を制限酵素NlaIVにより消化することにより得られる消化産物の断片長多型を解析することで、P197Xの存在有無を検出している。
一方、イヌホタルイにおいては、2種類のアセト乳酸合成酵素が存在しており、各々をコードする遺伝子が存在するとされている(例えば、非特許文献5参照)。しかしながら、各々のアセト乳酸合成酵素遺伝子の塩基配列は未だ知られておらず、例えば、両アセト乳酸合成酵素遺伝子の全長は如何なのか、どのようなエキソン−イントロン構造を有しているのか、塩基配列にはどのような差異が存在しているのか等々は不明である。勿論、各々のアセト乳酸合成酵素遺伝子におけるPro197部位とイントロンとの位置関係も同様に不明である。さらにまた、イントロンの塩基配列を利用することにより、各々のアセト乳酸合成酵素遺伝子を区別してPro197部位の塩基配列を解析する方法については何ら開示されていない。
Duggleby & Pang,Journal of Biochemistry and Molecular Biology,33,1−36,2000 Patric & Wright,Weed Science,50,700−712,2002 Duggleby et al.,European Journal of Biochemistry,270,2895−2904,2003 Tan & Medd,Plant Science,163,195−205,2002 内野ら,雑草研究,49(別),58−59,2004
本発明は、イヌホタルイ由来の2種類のアセト乳酸合成酵素遺伝子においてP197Xをより簡便に検出する方法の一つとなり得るような、イヌホタルイにおけるスルホニルウレア系除草剤抵抗性能力の評価方法等を提供することを課題とする。
本発明者は、このような状況下で鋭意検討した結果、イヌホタルイ由来の2種類のアセト乳酸合成酵素遺伝子の各々におけるPro197部位とイントロンとが近接した位置関係を有すること、当該遺伝子の各々におけるPro197部位と近接するイントロンは異なる長さを有しその差異は47bpであること等を見出し、さらに当該イントロンの塩基配列を利用してイヌホタルイ由来の2種類のアセト乳酸合成酵素遺伝子の各々を区別しながらPro197部位の塩基配列を解析することにより、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、
1.イヌホタルイ由来のアセト乳酸合成酵素遺伝子の一部であり、アセト乳酸合成酵素におけるドメインAの第5番目のアミノ酸をコードする塩基配列と第6番目のアミノ酸をコードする塩基配列との間に存在するイントロン領域からなるポリヌクレオチド(以下、本発明ポリヌクレオチドと記す。);
2.イントロン領域が、下記のいずれかのイントロン領域であることを特徴とする請求項1記載のポリヌクレオチド若しくはその一部
(1)配列番号1で示される塩基配列における第200番目の塩基から第1343番目の塩基までのイントロン領域
(2)配列番号2で示される塩基配列における第200番目の塩基から第1296番目の塩基までのイントロン領域;
2.イヌホタルイにおけるスルホニルウレア系除草剤抵抗性能力の評価方法であって、
(1)供試されるイヌホタルイに含まれる2種類のアセト乳酸合成酵素遺伝子の各々において、アセト乳酸合成酵素のドメインAにおける第7番目のアミノ酸をコードする塩基配列がプロリンをコードする塩基配列であるか否かを、前記遺伝子の各々について検定する第一工程、及び、
(2)第一工程により得られる検定結果が、前記遺伝子の各々において、いずれもアセト乳酸合成酵素のドメインAにおける第7番目のアミノ酸をコードする塩基配列がプロリンをコードする塩基配列である場合には、供試されるイヌホタルイはスルホニルウレア系除草剤抵抗性能力を有さないと判定し、一方、前記遺伝子の各々において、いずれか若しくはいずれもアセト乳酸合成酵素のドメインAにおける第7番目のアミノ酸をコードする塩基配列がプロリンをコードする塩基配列でない場合には、供試されるイヌホタルイはスルホニルウレア系除草剤抵抗性能力を有すると判定する第二工程、
を有し、且つ、第一工程が、
(a)供試されるイヌホタルイに含まれる2種類のアセト乳酸合成酵素遺伝子の両者又はいずれか一方を鋳型とするように選択的にアニールし、且つ、前項1若しくは2記載のポリヌクレオチドが有する塩基配列の一部若しくは全部と、アセト乳酸合成酵素のドメインAにおける第7番目のアミノ酸をコードする塩基配列とを含む領域からなるDNA断片を増幅し得るプライマーセットを用いたPCRを行う第A工程、及び、
(b)電気泳動、制限酵素を用いたRFLP又はダイレクトシーケンスに基づき、アセト乳酸合成酵素のドメインAにおける第7番目のアミノ酸をコードする塩基配列を解析する第B工程を含むことを特徴とする評価方法(以下、本発明評価方法と記す。);
3.イヌホタルイに含まれる2種類のアセト乳酸合成酵素遺伝子の各々において、アセト乳酸合成酵素のドメインAにおける第7番目のアミノ酸をコードする塩基配列がプロリンをコードする塩基配列であるか否かを、前記遺伝子の各々について検定する方法であって、
(a)供試されるイヌホタルイに含まれる2種類のアセト乳酸合成酵素遺伝子の両者又はいずれか一方を鋳型とするように選択的にアニールし、且つ、前項1若しくは2記載のポリヌクレオチドが有する塩基配列の一部若しくは全部と、アセト乳酸合成酵素のドメインAにおける第7番目のアミノ酸をコードする塩基配列とを含む領域からなるDNA断片を増幅し得るプライマーセットを用いたPCRを行う第A工程、及び、
(b)電気泳動、制限酵素を用いたRFLP又はダイレクトシーケンスに基づき、アセト乳酸合成酵素のドメインAにおける第7番目のアミノ酸をコードする塩基配列を解析する第B工程
を含むことを特徴とする検定方法(以下、本発明検定方法と記す。);
4.第B工程がダイレクトシーケンスに基づき塩基配列を解析する工程であり、且つ、第A工程において用いられるプライマーセットが供試されるイヌホタルイに含まれる2種類のアセト乳酸合成酵素遺伝子の両者を鋳型とするように選択的にアニールし得るプライマーセットである場合には、前記ダイレクトシーケンスにおいて用いられるシーケンシングプライマーが、第A工程において増幅されるDNA断片のいずれか一方を鋳型とするように選択的にアニールし得るプライマーであることを特徴とする前項3又は4記載の方法;
5.第B工程がダイレクトシーケンスに基づき塩基配列を解析する工程であり、且つ、第A工程において用いられるプライマーセットが供試されるイヌホタルイに含まれる2種類のアセト乳酸合成酵素遺伝子のいずれか一方を鋳型とするように選択的にアニールし得るプライマーセットである場合には、前記ダイレクトシーケンスにおいて用いられるシーケンシングプライマーが、第A工程において増幅されるDNA断片を鋳型とするように選択的にアニールし得るプライマーであることを特徴とする前項3又は4記載の方法;
6.第B工程が制限酵素を用いたRFLPに基づき塩基配列を解析する工程であり、且つ、RFLPにおいて用いられる制限酵素が、アセト乳酸合成酵素のドメインAにおける第7番目のアミノ酸をコードする塩基配列の全部若しくは一部を制限酵素認識部位として含む制限酵素であることを特徴とする前項3又は4記載の方法;
7.第B工程が制限酵素を用いたRFLPに基づき塩基配列を解析する工程であり、且つ、PCRにおいて用いられるプライマーセットが、ミスマッチ塩基を導入し得るアンチセンスプライマーを含むプライマーセットであり、且つ、RFLPにおいて用いられる制限酵素が、前記ミスマッチ塩基の導入により増幅されるDNA断片に付与された塩基配列の全部若しくは一部を制限酵素認識部位として含む制限酵素であることを特徴とする前項3又は4記載の方法;
8.スルホニルウレア系除草剤抵抗性能力を有するイヌホタルイの分布状況を、前項3記載の評価方法に基づいて調査する工程を有することを特徴とするモニタリング方法(以下、本発明モニタリング方法と記す。);
9.前項3記載の評価方法により評価されたスルホニルウレア系除草剤抵抗性能力に基づきスルホニルウレア系除草剤抵抗性能力を有するイヌホタルイを選抜することを特徴とするスルホニルウレア系除草剤抵抗性イヌホタルイの探索方法(以下、本発明探索方法と記す。);
10.イヌホタルイにおけるスルホニルウレア系除草剤抵抗性能力を評価するための試薬が有する塩基配列を提供する塩基配列情報源としての、前項1若しくは2記載のポリヌクレオチドの使用(以下、本発明使用と記す。);
等を提供するものである。
本発明により、イヌホタルイ由来の2種類のアセト乳酸合成酵素遺伝子においてP197Xをより簡便に検出する方法の一つとなり得るような、イヌホタルイにおけるスルホニルウレア系除草剤抵抗性能力の評価方法等を提供することが可能となる。
以下に本発明を詳細に説明する。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、イヌホタルイ(Scirpus juncoides var. ohwianus)由来のアセト乳酸合成酵素遺伝子に関連する技術である。高等植物由来のアセト乳酸合成酵素のアミノ酸配列には互いに相同性が存在しているが、アミノ酸数においては差異がある。しかしながら、任意の高等植物由来のアセト乳酸合成酵素における特定のアミノ酸について言及する際には、シロイヌナズナ由来のアセト乳酸合成酵素におけるアミノ酸順位に置き換えて呼ぶことがある。例えば、前記ドメインAのプロリンは、各植物種における実際のアミノ酸順位に拠らず、共通して「Pro197」と呼ばれている。本発明でもこのような呼び方を採用する。
本発明におけるスルホニルウレア系除草剤の具体例としては、例えば、ベンスルフロンメチル、ピラゾスルフロンエチル、イマゾスルフロン、アジムスルフロン、シクロスルファムロン、エトキシスルフロン、ハロスルフロンメチル、シノスルフロン、フルセトスルフロン、オルトスルファムロン及びクロリムロンエチル等を挙げることができる。
イヌホタルイ由来のアセト乳酸合成酵素遺伝子を取得する方法としては、例えば、ディジェネレートPCR法を挙げることができる。当該方法において用いられるディジェネレートプライマーとしては、例えば、シロイヌナズナ(GeneBank accession:X51514)、トウモロコシ(GeneBank accession:X63554)、コムギ(GeneBank accession:AY210408)、タバコ(GeneBank accession:X07644.)、ナタネ(GeneBank accession:Z11524)、ワタ(GeneBank accession:Z46960)等の高等植物由来のアセト乳酸合成酵素遺伝子に共通する比較的保存された領域に基づいて、混合塩基を含みながら設計することができる。具体的には例えば、センスプライマーとしては、tcmatggagatycaycargc(プライマー1:配列番号5)及びggncarcaycaratgtgggc(プライマー2:配列番号6)等が挙げられる。。アンチセンスプライマーとしては、gcyttrtaraacckrtcytc(プライマー3:配列番号7)及びayatccarcargtanggycc(プライマー4:配列番号8)等が挙げられる。
ディジェネレートPCR法により得られるPCR産物は、通常の遺伝子工学的手法によりシーケンスすることができる。例えば、まず当該PCR産物をそのまま、TOPO Blunt Cloningキットや、TOPO TA Cloningキット(Invitrogen社製)におけるクローニングベクターに組み込む。または、制限酵素の認識部位(クローニングサイト)を設けたディジェネレートプライマーを用いたディジェネレートPCR法により得られるPCR産物を当該制限酵素で処理することにより付着末端を付与し、これを当該付着末端に対して相補的な付着末端を有するクローニングベクターにライゲーションさせることにより組み込む。次いで、このようにして得られた組み換えプラスミドを大腸菌等の宿主生物に導入しクローニングした後、当該プラスミドに特異的なプライマーを用いてシーケンスする。または、前記PCR産物を、当該PCR産物の増幅に使用されたディジェネレートプライマー若しくは断片内部にアニールする別のプライマーを用いてダイレクトシーケンスしてもよい。
供試されるイヌホタルイに含まれる2種類のアセト乳酸合成酵素遺伝子の各々は、以下のようにして調製すればよい。
まず供試されるイヌホタルイからゲノムDNAを通常の方法に従い抽出する。ゲノムDNAの抽出法としては、例えば、CTAB法、Isoplantキット(ニッポンジーン社製)、Prepman Ultraキット(Applied Biosystems社製)等を挙げることができる。また、RNAを抽出し、抽出されたRNAに基づき逆転写酵素を用いてcDNAを作製してもよい。尚、RNAの抽出法としては、例えば、RNeasyキット(Qiagen社製)等を挙げることができる。
DNAを抽出する器官としては、特に限定されず、例えば、種子、葉、花茎、小穂等を挙げることができる。RNAを抽出する好ましい器官としては、例えば、葉、花茎等が挙げられる。
このようにして調製されたイヌホタルイ由来の2種類のアセト乳酸合成酵素遺伝子のうち、より長いものを「ALSa遺伝子」(尚、その塩基配列は、(1)配列番号1で示される塩基配列、(2)配列番号21で示される塩基配列(全長)、及び(3)図1〜3中の「StrainG ALSa」で示される行に記載される塩基配列に相当する。)、より短いものを「ALSb遺伝子」(尚、その塩基配列は、(1)配列番号2で示される塩基配列、(2)配列番号22で示される塩基配列(全長)、及び(3)図1〜3中の「StrainG ALSb」で示される行に記載される塩基配列に相当する。)と記すが、特に両者の遺伝子を限定しない場合には、単に「ALS遺伝子」と呼ぶこともある。
両者の遺伝子が有する塩基配列を比較解析するには、例えば、ALSa遺伝子とALSb遺伝子との塩基配列における相同性に基づいて、DNASIS(日立ソフト社製)を用いて整列化(アラインメント)すればよい。図1〜3には、当該整列化による塩基配列の比較解析結果を示す。ここで図1〜3中に記載されるハイフン「−」は、一方のALS遺伝子における特定の塩基について、もう一方のALS遺伝子において相当する特定の塩基が存在しないことを意味する。
イヌホタルイ由来の2種類のアセト乳酸合成酵素遺伝子におけるイントロンは、ALS遺伝子の各々において、そのゲノムDNAの塩基配列とそのcDNAの塩基配列とを比較することにより見出すことができる。例えば、図4に示されたALSa遺伝子のcDNAの塩基配列は、図1〜3に示されたALSa遺伝子のゲノムDNAの塩基配列における第1番目の塩基から第1396番目の塩基までの領域から、第200番目の塩基から第1350番目の塩基までの領域を削除した塩基配列に相当する。また、図4に示されたALSb遺伝子のcDNAの塩基配列は、図1〜3に示されたALSb遺伝子のゲノムDNAの塩基配列における第1番目の塩基から第1396番目の塩基までの領域から、第200番目の塩基から第1350番目の塩基までの領域を削除した塩基配列(但し、後述するPro197部位となる1塩基を除く。)に相当する。従って、図1〜3に示されたALSa遺伝子又はALSb遺伝子のゲノムDNAの塩基配列における第200番目の塩基から第1350番目の塩基までの領域が、イヌホタルイ由来の2種類のアセト乳酸合成酵素遺伝子におけるイントロンと判明する。
尚、ここで「図4に示されたALSa遺伝子のcDNAの塩基配列」又は「図4に示されたALSb遺伝子のcDNAの塩基配列」とは、図1〜3に示されたALSa遺伝子又はALSb遺伝子のゲノムDNAの塩基配列が解析されたゲノムDNAを提供する個体とは別個体から調製されたALSa遺伝子又はALSb遺伝子のcDNAを解析して得られた塩基配列である。
イヌホタルイ由来の2種類のアセト乳酸合成酵素遺伝子のcDNAの塩基配列、及び、イヌホタルイ由来の2種類のアセト乳酸合成酵素遺伝子のイントロンを除くゲノムDNAの塩基配列は、アミノ酸配列へ翻訳することができる。3種類の想定フレームのうちどれがオープンリーディングフレーム(ORF)であるかは、公知のアセト乳酸合成酵素のアミノ酸配列との相同性を確保できるもの、という基準で容易に選択することができる。このようにして確定されたORFを翻訳して得られるアミノ酸配列におけるPro197部位は、アセト乳酸合成酵素のドメインAを検索することにより、特定することができる。アセト乳酸合成酵素のドメインAにおける第7番目のアミノ酸がPro197部位であるが、スルホニルウレア系除草剤に抵抗性を示すイヌホタルイ由来のアセト乳酸合成酵素遺伝子を解析した際には、Pro197部位がプロリン(Pro)ではない別のアミノ酸により置換されている可能性がある。従って、アセト乳酸合成酵素のドメインAの検索は、アミノ酸配列:Ala−Ile−Thr−Gly−Gln−Val−Xxx−Arg−Arg−Met−Ile−Gly−Thrを検索するのがよい。ここで、「Xxx」は任意のアミノ酸を意味する。そのようにして検索されるイヌホタルイのPro197部位は、図1〜3に示されるALS遺伝子のゲノムDNAの塩基配列における第1354番目の塩基から第1356番目の塩基までの領域、又は、図4に示されるALS遺伝子のcDNAの塩基配列における第203番目の塩基から第205番目の塩基までの領域に相当する。

そしてまた、イヌホタルイ由来の2種類のアセト乳酸合成酵素遺伝子のイントロン(図1〜3に示されたALS遺伝子のゲノムDNAの塩基配列における第200番目の塩基から第1350番目の塩基までの領域)とPro197部位(図1〜3に示されるALS遺伝子のゲノムDNAの塩基配列における第1354番目の塩基から第1356番目の塩基までの領域)は極めて近接して存在する。
因みに、本発明は、本来、イヌホタルイにおけるスルホニルウレア系除草剤抵抗性能力の発現の主要因となっている(2種類の)アセト乳酸合成酵素のアミノ酸配列における置換突然変異とは全く直接的な関係が無いアセト乳酸合成酵素遺伝子のイントロンと、前記置換突然変異との遺伝子上での特異的な位置関係(「極めて近接して存在する」)等に注目し、当該知見を利用することを本願発明者が鋭意検討することにより、初めて成し遂げられたものである。
本発明ポリヌクレオチドは、イヌホタルイ由来のアセト乳酸合成酵素遺伝子の一部であり、アセト乳酸合成酵素におけるドメインAの第5番目のアミノ酸をコードする塩基配列と第6番目のアミノ酸をコードする塩基配列との間に存在するイントロン領域からなるポリヌクレオチドである。より具体的には、イントロン領域が、下記のいずれかのイントロン領域であることを特徴とする。
(1)配列番号1で示される塩基配列における第200番目の塩基から第1343番目の塩基までのイントロン領域(尚、図1〜3に示されたALSa遺伝子のゲノムDNAの塩基配列における第200番目の塩基から第1350番目の塩基までの領域からなる塩基配列に相当する。また、配列番号21で示される塩基配列における第510番目の塩基から第1654番目の塩基までの領域からなる塩基配列にも相当する。)
(2)配列番号2で示される塩基配列における第200番目の塩基から第1296番目の塩基までのイントロン領域(尚、図1〜3に示されたALSb遺伝子のゲノムDNAの塩基配列における第200番目の塩基から第1350番目の塩基までの領域からなる塩基配列に相当する。また、配列番号22で示される塩基配列における第502番目の塩基から第1598番目の塩基までの領域からなる塩基配列にも相当する。)
イヌホタルイ由来の2種類のアセト乳酸合成酵素遺伝子の塩基配列には、個体の産地や来歴の差異によって一部の塩基にバリエーションが存在する部位が含まれることがある。例えば、本発明ポリヌクレオチドにおいて「アセト乳酸合成酵素におけるドメインAの第5番目のアミノ酸をコードする塩基配列と第6番目のアミノ酸をコードする塩基配列との間に存在するイントロン領域」とは、任意のイヌホタルイ個体由来の2種類のアセト乳酸合成酵素遺伝子の塩基配列が、配列番号1で示される塩基配列における第200番目の塩基から第1343番目の塩基までのイントロン領域からなる塩基配列、又は、配列番号2で示される塩基配列における第200番目の塩基から第1296番目の塩基までのイントロン領域からなる塩基配列と完全一致するものだけを意味するものではなく、例えば、DNASIS(日立ソフト社製)、Genetyx(ゼネティックス社製)及びVectorNTI(ワールドフュージョン社製)等の配列解析ソフトの相同性検索機能を用いて、ALSa遺伝子のゲノムDNAの塩基配列若しくはALSb遺伝子のゲノムDNAの塩基配列のいずれかの塩基配列を相手に整列化(アラインメント)した際に、図1〜3に示されたALS遺伝子の塩基配列における第200番目の塩基から第1350番目の塩基までの領域として特定される領域からなる塩基配列(即ち、配列番号1で示される塩基配列における第200番目の塩基から第1343番目の塩基までのイントロン領域からなる塩基配列、又は、配列番号2で示される塩基配列における第200番目の塩基から第1296番目の塩基までのイントロン領域からなる塩基配列と実質的に同一であって、当該塩基配列との最適な整列化において1若しくは数個の塩基が欠失、置換若しくは付加されてもよい塩基配列に相当する。)も含み意味するものである。好ましくは、配列番号1で示される塩基配列における第200番目の塩基から第1343番目の塩基までのイントロン領域からなる塩基配列、又は、配列番号2で示される塩基配列における第200番目の塩基から第1296番目の塩基までのイントロン領域からなる塩基配列と完全一致するものが挙げられる。
本発明評価方法は、イヌホタルイにおけるスルホニルウレア系除草剤抵抗性能力の評価方法であって、
(1)供試されるイヌホタルイに含まれる2種類のアセト乳酸合成酵素遺伝子の各々において、アセト乳酸合成酵素のドメインAにおける第7番目のアミノ酸をコードする塩基配列がプロリンをコードする塩基配列であるか否かを、前記遺伝子の各々について検定する第一工程、及び、
(2)第一工程により得られる検定結果が、前記遺伝子の各々において、いずれもアセト乳酸合成酵素のドメインAにおける第7番目のアミノ酸をコードする塩基配列がプロリンをコードする塩基配列である場合には、供試されるイヌホタルイはスルホニルウレア系除草剤抵抗性能力を有さないと判定し、一方、前記遺伝子の各々において、いずれか若しくはいずれもアセト乳酸合成酵素のドメインAにおける第7番目のアミノ酸をコードする塩基配列がプロリンをコードする塩基配列でない場合には、供試されるイヌホタルイはスルホニルウレア系除草剤抵抗性能力を有すると判定する第二工程、
を有し、且つ、第一工程が、
(a)供試されるイヌホタルイに含まれる2種類のアセト乳酸合成酵素遺伝子の両者又はいずれか一方を鋳型とするように選択的にアニールし、且つ、本発明ポリヌクレオチドが有する塩基配列の一部若しくは全部と、アセト乳酸合成酵素のドメインAにおける第7番目のアミノ酸をコードする塩基配列とを含む領域からなるDNA断片を増幅し得るプライマーセットを用いたPCRを行う第A工程、及び、
(b)電気泳動、制限酵素を用いたRFLP又はダイレクトシーケンスに基づき、アセト乳酸合成酵素のドメインAにおける第7番目のアミノ酸をコードする塩基配列を解析する第B工程を含むことを特徴とする。
本発明評価方法の第一工程では、供試されるイヌホタルイに含まれる2種類のアセト乳酸合成酵素遺伝子の各々において、アセト乳酸合成酵素のドメインAにおける第7番目のアミノ酸をコードする塩基配列がプロリンをコードする塩基配列であるか否かを、前記遺伝子の各々について検定する。そして当該検定のための工程には、(a)供試されるイヌホタルイに含まれる2種類のアセト乳酸合成酵素遺伝子の両者又はいずれか一方を鋳型とするように選択的にアニールし、且つ、本発明ポリヌクレオチドが有する塩基配列の一部若しくは全部と、アセト乳酸合成酵素のドメインAにおける第7番目のアミノ酸をコードする塩基配列とを含む領域からなるDNA断片を増幅し得るプライマーセットを用いたPCRを行う第A工程、及び、(b)電気泳動、制限酵素を用いたRFLP又はダイレクトシーケンスに基づき、アセト乳酸合成酵素のドメインAにおける第7番目のアミノ酸をコードする塩基配列を解析する第B工程を含む。尚、当該第一工程は、後述する本発明検出方法に実質的に相当するものである。以下、必要に応じて本発明評価方法の第一工程、後述する本発明評価方法とを合わせて説明することもある。
本発明評価方法(及び後述する本発明検定方法)の第A工程において用いられる、「供試されるイヌホタルイに含まれる2種類のアセト乳酸合成酵素遺伝子の両者を鋳型とするように選択的にアニールし得るプライマーセット」における「両者を鋳型とするように選択的にアニールし得る」とは、当該プライマーセットをなす2つのプライマーの各々の塩基配列が、配列番号1で示される塩基配列と、配列番号2で示される塩基配列との間で完全一致する領域に含まれる塩基配列に相当するように調製することが最も好ましいが、必ずしもそれに限られない。
例えば、配列番号1で示される塩基配列と、配列番号2で示される塩基配列との間で一致しない塩基を含む領域に含まれる塩基配列に相当するように調製する場合には、一致しない塩基が当該プライマーセットをなす2つのプライマーの各々において、1若しくは2個程度であれば、所望のDNA断片を増幅し得るプライマーセットとして用いることもできる。その際には、一致しない塩基が当該プライマーの、3´末端の3塩基に含まれないようにすればよい。また、塩基が一致しない部位については、2種類のアセト乳酸合成酵素遺伝子の両者が有する塩基(2種類の塩基)を混合塩基として有するプライマーを設計してもよい。
本発明評価方法(及び後述する本発明検定方法)の第A工程において用いられる、「供試されるイヌホタルイに含まれる2種類のアセト乳酸合成酵素遺伝子の両者を鋳型とするように選択的にアニールし得るプライマーセット」における一方をなすセンスプライマーとしては、当該センスプライマーの3´末端が、図1〜3に示されたALS遺伝子の塩基配列における第1201番目の塩基よりも上流部位にアニールし得るような塩基配列からなることが好ましい。より好ましくは、当該センスプライマーの3´末端が、図1〜3に示されたALS遺伝子の塩基配列における第1201番目の塩基よりも上流部位であって且つ第750番目の塩基よりも下流部位にアニールし得るような塩基配列からなることがよい。具体的には例えば、当該センスプライマーとしては、ttatgtcatcttaatcgaaggt(プライマー5:配列番号9:図1〜3に示されたALS遺伝子の塩基配列における第1151番目の塩基から第1172番目の塩基までの領域に相当する。)及びcattgcttgattctgtgccta(プライマー6:配列番号10:図1〜3に示されたALS遺伝子の塩基配列における第159番目の塩基から第179番目の塩基までの領域に相当する。)等を挙げることができる。
これに対して本発明評価方法(及び後述する本発明検定方法)の第A工程において用いられる、「供試されるイヌホタルイに含まれる2種類のアセト乳酸合成酵素遺伝子の両者を鋳型とするように選択的にアニールし得るプライマーセット」における一方をなすアンチセンスプライマーとしては、当該アンチセンスプライマーの3´末端が、Pro197部位(図1〜3に示されたALS遺伝子の塩基配列における第1354番目の塩基から第1356番目の塩基までの領域に相当する。)よりも下流部位にアニールし得るような塩基配列からなることが必要である。具体的には例えば、当該アンチセンスプライマーとしては、ctatgtcaagtacaagatagttgtg(プライマー7:配列番号11:図1〜3に示されたALS遺伝子の塩基配列における第1425番目の塩基から第1450番目の塩基までの領域に相当する。)及びggtgtctccaacattttcctcactgcctcc(プライマー8:配列番号12:図1〜3に示されたALS遺伝子の塩基配列における第2631番目の塩基から第2660番目の塩基までの領域に相当する。)等を挙げることができる。
本発明評価方法(及び後述する本発明検定方法)の第A工程において用いられる、「供試されるイヌホタルイに含まれる2種類のアセト乳酸合成酵素遺伝子のいずれか一方を鋳型とするように選択的にアニールし得るプライマーセット」における「いずれか一方を鋳型とするように選択的にアニールし得る」は、例えば、下記(3)のような設計においては、当該プライマーセットをなす2つのプライマーのいずれかまたは双方の塩基配列が、配列番号1で示される塩基配列における第200番目の塩基から第1343番目の塩基までのイントロン領域からなる塩基配列、又は、配列番号2で示される塩基配列における第200番目の塩基から第1296番目の塩基までのイントロン領域からなる塩基配列との間で完全一致しない領域に含まれる塩基配列に相当するように調製すればよい。そして、配列番号1で示される塩基配列における第200番目の塩基から第1343番目の塩基までのイントロン領域からなる塩基配列、又は、配列番号2で示される塩基配列における第200番目の塩基から第1296番目の塩基までのイントロン領域からなる塩基配列との間で一致しない塩基を含む領域に含まれる塩基配列に相当するように調製する場合には、一致しない塩基が当該プライマーセットをなす2つのプライマーのいずれかまたは双方において少なくとも2個程度以上であれば、所望のDNA断片を増幅し得るプライマーセットとして用いることもできる。その際には、一致しない塩基の少なくとも1つを当該プライマーの3´末端の3塩基のいずれかに相当させることがよい。また、必ずしも上記の調製方法には限られず、前記イントロン領域以外の領域からなる塩基配列を情報源として適宜選択することもできる。一方、下記(1)又は(2)のような設計においては、2つのALS遺伝子間における塩基の一致/不一致ではなく、一方のALS遺伝子における挿入配列または欠損配列を利用すればよい(後述参照)。
本発明評価方法(及び後述する本発明検定方法)の第A工程において用いられる、「供試されるイヌホタルイに含まれる2種類のアセト乳酸合成酵素遺伝子のいずれか一方を鋳型とするように選択的にアニールし得るプライマーセット」における一方をなすセンスプライマー及びアンチセンスプライマーとしては、当該センスプライマーと当該アンチセンスプライマーとの少なくとも一方が、2種類のアセト乳酸合成酵素遺伝子のいずれか一方に対して優先的にアニールし得るような塩基配列からなることが必要である。ここで「選択的に」とは、結果として増幅されるDNA断片のうち、一方のDNA断片の割合が70%以上、望ましくは90%以上である場合を意味する。
このようなセンスプライマー及びアンチセンスプライマーとしては、例えば、下記の(1)、(2)又は(3)のようにして設計すればよい。
(1)2種類のアセト乳酸合成酵素遺伝子のいずれか一方のみにしか存在していない挿入配列(図1〜3に示されたALS遺伝子の塩基配列における第200番目の塩基から第1350番目の塩基までの領域からなる塩基配列において、アラインする対象塩基がなく、連続したハイフンがアライン相手として示されている部分)に相当するセンスプライマーを設計する。具体的には例えば、当該挿入配列としては、図1〜3に示されたALSa遺伝子の塩基配列における第1201番目の塩基から第1241番目の塩基までの領域、図1〜3に示されたALSb遺伝子の塩基配列における第644番目の塩基から第646番目の塩基までの領域、図1〜3に示されたALSa遺伝子の塩基配列における第546番目の塩基から第555番目の塩基までの領域等を挙げることができる。その中でも、プライマーの全長すべてを当該挿入配列から設計することが好ましく、例えば、図1〜3に示されたALSa遺伝子の塩基配列における第1201番目の塩基から第1241番目の塩基までの領域が挙げられる。もっとも、必ずしも当該領域にプライマーの全長すべてが収まる必要はなく、プライマーの一部が当該領域に相当するものでもよい。また、挿入配列が、プライマーの全長よりも短い場合にもプライマーの一部が当該領域に相当するように設計すればよい。
具体的には例えば、当該センスプライマーとしては、cagaaaaatatgtagatcataagaggaa(プライマー9:配列番号13:図1〜3に示されたALSa遺伝子の塩基配列における第1201番目の塩基から第1228番目の塩基までの領域に相当する。)及びcattcgcagcagcaatta(プライマー10:配列番号14:図1〜3に示されたALSb遺伝子の塩基配列における塩基配列における第635番目の塩基から第652番目の塩基までの領域に相当する。)等を挙げることができる。
(2)上記(1)の各挿入配列部位に対応し、配列欠損(連続したハイフンに相当する。)を有する側の遺伝子に注目し、図1〜3に示されたALSa遺伝子若しくはALSb遺伝子の塩基配列において連続したハイフンを挟む形でプライマーを設計すれば、当該配列欠損を有する側の遺伝子に対して優先的にアニールし得るような塩基配列からなるセンスプライマーが得られる。
具体的には例えば、当該センスプライマーとしては、tatatttgtttataacatcttatacttaag(プライマー11:配列番号15:図1〜3に示されたALSb遺伝子の塩基配列における第1188番目の塩基から第1258番目の塩基までの領域に相当する。)等を挙げることができる。
(3)上記(1)又は(2)のように、両者の遺伝子で3塩基以上長さの異なる領域以外においても、連続若しくは近接する2またはそれ以上の塩基において両者の遺伝子で塩基配列が異なる領域に、プライマーが相当するように設計すれば、一方の遺伝子に対して優先的にアニールし得るような塩基配列からなるプライマーが得られる。この際には、両者の遺伝子の間で一致しない少なくとも1つの塩基を当該プライマーの3´末端の3塩基のいずれかに相当させるとよい。
具体的には例えば、当該センスプライマーとして、aagtcaaattcagaatatactttacc(プライマー12:配列番号16:図1〜3に示されたALSa遺伝子の塩基配列における第360番目の塩基から第385番目の塩基までの領域に相当する。)及びcgctcaaattttacattcttg(プライマー13:配列番号17:図1〜3に示されたALSb遺伝子の塩基配列における第701番目の塩基から第722番目の塩基までの領域に相当する。)等を挙げることができる。一方、当該アンチセンスプライマーとしては、tcccgtacctcactcctc(プライマー14:配列番号18:図1〜3に示されたALSa遺伝子の塩基配列における第2616番目の塩基から第2633番目の塩基までの領域に相当する。)及びtcccgtacctcactccgt(プライマー15:配列番号19:図1〜3に示されたALSb遺伝子の塩基配列における第2616番目の塩基から第2633番目の塩基までの領域に相当する。)等を挙げることができる。
上記(1)、(2)及び(3)から選ばれるセンスプライマーと対をなしてプライマーセットとなるアンチセンスプライマーとしては、例えば、プライマー7、プライマー8等を挙げることができる。また上記(3)から選ばれるアンチセンスプライマーと対をなしてプライマーセットとなるセンスプライマーとしては、例えば、プライマー5、プライマー6等を挙げることができる。また場合により、(1)、(2)及び(3)から選ばれるセンスプライマーと、(3)から選ばれるアンチセンスプライマーとをプライマーセットとして用いることもできる。
本発明評価方法(及び後述する本発明検定方法)の第B工程が、ダイレクトシーケンスに基づき塩基配列を解析する工程である場合には、第A工程において用いられるプライマーセットの種類に応じて、当該ダイレクトシーケンスにおいて用いられるシーケンシングプライマーを適切に選択する必要がある。
具体的には、第A工程において用いられるプライマーセットが供試されるイヌホタルイに含まれる2種類のアセト乳酸合成酵素遺伝子の両者を鋳型とするように選択的にアニールし得るプライマーセットである場合には、第A工程において増幅されるDNA断片が2種類生じるために、前記ダイレクトシーケンスにおいて用いられるシーケンシングプライマーが、第A工程において増幅されるDNA断片のいずれか一方を鋳型とするように選択的にアニールし得るプライマーを選択する必要がある。
上記のようなシーケンシングプライマーとしては、例えば、プライマー9、プライマー10、プライマー11、プライマー12、プライマー13等を挙げることができる。尚、ダイレクトシーケンスを実施する際には、PCRによる反応物中に含まれる未反応のdNTP及び未反応のPCRプライマーを、ExoSAP−IT(USB社)等を用いて予め除去しておくことが好ましい。
また、第A工程において用いられるプライマーセットが供試されるイヌホタルイに含まれる2種類のアセト乳酸合成酵素遺伝子のいずれか一方を鋳型とするように選択的にアニールし得るプライマーセットである場合には、第A工程において増幅されるDNA断片が1種類のみ生じるために、前記ダイレクトシーケンスにおいて用いられるシーケンシングプライマーが、第A工程において増幅されるDNA断片を鋳型とするように選択的にアニールし得るプライマーであればよい。
上記のようなシーケンシングプライマーとしては、例えば、例えば、プライマー5、プライマー6、プライマー7、プライマー8等を挙げることができる。勿論、第A工程において増幅されたDNA断片に対応する「一方の遺伝子」に特異的なシーケンシングプライマーであってもよい。例えば、プライマー9、プライマー10、プライマー11、プライマー12、プライマー13等が挙げられる。
本発明評価方法(及び後述する本発明検定方法)の第B工程は、電気泳動、制限酵素を用いたRFLP又はダイレクトシーケンスに基づき、アセト乳酸合成酵素のドメインAにおける第7番目のアミノ酸をコードする塩基配列を解析する工程である。
第A工程で増幅されたDNA断片を2種類のアセト乳酸合成酵素遺伝子のいずれかに由来するDNA断片であるかを判定するには、通常、ALSa遺伝子に由来するDNA断片の方がALSb遺伝子に由来するDNA断片に比較して長いことにより、区別すればよい。また塩基数が同じ場合には塩基配列の違いを利用して、第A工程で増幅されたDNA断片を、一方の遺伝子に由来するDNA断片のみを選択的に切断する制限酵素を用いて、消化処理した後、当該消化物のサイズを比較することにより、区別すればよい。また第A工程において増幅されるDNA断片のいずれか一方を鋳型とするように選択的にアニールし得るシーケンシングプライマーを用いてダイレクトシーケンスすることにより、区別してもよい。
このような方法により、2種類のアセト乳酸合成酵素遺伝子の両者に由来するDNA断片が混在していても、クローニング等による両者の区別を行うことなく、イヌホタルイ由来の2種類のアセト乳酸合成酵素遺伝子においてP197Xをより簡便に検出することが可能となる。
本発明評価方法(及び後述する本発明検定方法)の第B工程が、制限酵素を用いたRFLPに基づき塩基配列を解析する工程である場合には、RFLPにおいて用いられる制限酵素が、アセト乳酸合成酵素のドメインAにおける第7番目のアミノ酸をコードする塩基配列の全部若しくは一部を制限酵素認識部位として含む制限酵素であればよい。
この場合には、2種類のアセト乳酸合成酵素遺伝子の両者又はいずれか一方を鋳型として増幅されるDNA断片が、Pro197部位において前記制限酵素で切断されるか否かで、Pro197部位における置換突然変異の有無を検出することが可能となる。前述のように、2種類のアセト乳酸合成酵素遺伝子を鋳型として、本発明ポリヌクレオチドが有する塩基配列の特定な一部若しくは全部(即ち、イントロンの特定な一部若しくは全部)及びPro197部位を含んで増幅しDNA断片を得ると、ALSa遺伝子に由来するDNA断片の方がALSb遺伝子に由来するDNA断片よりも長い。そのため、長いDNA断片におけるPro197部位での切断の成否、短いDNA断片におけるPro197部位での切断の成否、の各々により、ALSa遺伝子及びALSb遺伝子の各々におけるP197Xの存在を独立且つ同時に検出することが可能となる。当該RFLPに用いられる制限酵素としては、例えばBspLI又はそのアイソシゾマー(例えば、NlaIV)が挙げられる。
また、第A工程において用いられるプライマーセットの種類に応じては、具体的には、PCRにおいて用いられるプライマーセットが、ミスマッチ塩基を導入し得るアンチセンスプライマーを含むプライマーセットである場合には、RFLPにおいて用いられる制限酵素が、前記ミスマッチ塩基の導入により増幅されるDNA断片に付与された塩基配列の全部若しくは一部を制限酵素認識部位として含む制限酵素を選択する必要がある。
この場合には、アンチセンスプライマーにミスマッチ塩基を導入することにより、増幅されるDNA断片に、本来鋳型となる遺伝子には存在していない制限酵素認識部位を付与する。当該RFLPに用いられる制限酵素は、前記ミスマッチ塩基の導入により増幅DNA断片に付与された塩基配列の全部若しくは一部を制限酵素認識部位として含む制限酵素であればよいが、例えば、BseDI又はそのアイソシゾマー(例えば、SecI)、BseLI又はそのアイソシゾマー(例えば、BsiYI)、XagI又はそのアイソシゾマー(例えば、EcoNI)等を挙げることができる。好ましくは、BseLI又はそのアイソシゾマー(例えば、BsiYI)が挙げられる。
RFLPにおいてDNA断片長の多型を検出する方法としては、例えば、アガロースゲル電気泳動、ポリアクリルアミドゲル電気泳動、キャピラリー電気泳動、各種クロマトグラフィー等を挙げることができる。
本発明評価方法の第二工程では、第一工程により得られる検定結果が、前記遺伝子の各々において、いずれもアセト乳酸合成酵素のドメインAにおける第7番目のアミノ酸をコードする塩基配列がプロリンをコードする塩基配列である場合には、供試されるイヌホタルイはスルホニルウレア系除草剤抵抗性能力を有さないと判定し、一方、前記遺伝子の各々において、いずれか若しくはいずれもアセト乳酸合成酵素のドメインAにおける第7番目のアミノ酸をコードする塩基配列がプロリンをコードする塩基配列でない場合には、供試されるイヌホタルイはスルホニルウレア系除草剤抵抗性能力を有すると判定する。
本発明検定方法は、イヌホタルイに含まれる2種類のアセト乳酸合成酵素遺伝子の各々において、アセト乳酸合成酵素のドメインAにおける第7番目のアミノ酸をコードする塩基配列がプロリンをコードする塩基配列であるか否かを、前記遺伝子の各々について検定する方法であって、
(a)供試されるイヌホタルイに含まれる2種類のアセト乳酸合成酵素遺伝子の両者又はいずれか一方を鋳型とするように選択的にアニールし、且つ、本発明ポリヌクレオチドが有する塩基配列の一部若しくは全部と、アセト乳酸合成酵素のドメインAにおける第7番目のアミノ酸をコードする塩基配列とを含む領域からなるDNA断片を増幅し得るプライマーセットを用いたPCRを行う第A工程、及び、
(b)電気泳動、制限酵素を用いたRFLP又はダイレクトシーケンスに基づき、アセト乳酸合成酵素のドメインAにおける第7番目のアミノ酸をコードする塩基配列を解析する第B工程
を含むことを特徴とする。
尚、本発明検定方法は、前述する本発明評価方法の第一工程に実質的に相当するものであり、詳細な説明は前述する本発明評価方法の第一工程における詳細な説明と同様である。
本発明は、本発明ポリヌクレオチド、本発明評価方法、本発明検定方法の他に、例えば、本発明モニタリング方法、本発明探索方法、本発明使用、ALS遺伝子等のイヌホタルイ由来の2種類のアセト乳酸合成酵素遺伝子に関連する技術を含む。
本発明モニタリング方法は、スルホニルウレア系除草剤抵抗性能力を有するイヌホタルイの分布状況を、本発明評価方法に基づいて調査する工程を有することを特徴とする。
本発明探索方法は、本発明評価方法により評価されたスルホニルウレア系除草剤抵抗性能力に基づきスルホニルウレア系除草剤抵抗性能力を有するイヌホタルイを選抜することを特徴とする。
本発明使用は、イヌホタルイにおけるスルホニルウレア系除草剤抵抗性能力を評価するための試薬が有する塩基配列を提供する塩基配列情報源としての、本発明ポリヌクレオチドの使用である。
以下に、実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
参考例1 (供試されるイヌホタルイ系統におけるスルホニルウレア系除草剤抵抗性能力の従来法に基づく評価(その1))
遺伝子解析に供試されるイヌホタルイ5系統におけるスルホニルウレア系除草剤抵抗性能力を評価した。表1に示されるイヌホタルイ系統を、予め水田土壌が詰められた1/5000アールワグネルポットに播種した。当該植物を湛水条件下で本葉が2枚になるまで温室内で育成した後、ベンスルフロンメチル、イマゾスルフロン又はピラゾスルフロンエチル(有効成分)がTween20含有(2%(w/v))アセトンに溶解してなる薬剤を、表1に示される有効成分量が施用されるように、田面水に滴下処理した。薬剤処理後、前記供試植物を35日間温室内で育成したのち、除草効力を後述の評価基準に従い目視で評価した。評価基準は、前記供試植物の生育状態が無処理区における生育状態と比較して全く乃至殆ど差異が無いものを「0」とし、前記供試植物が完全枯死又は生育が完全に抑制されているものを「5」として、0〜5の6段階に区分し、0、1、2、3、4、5で判定した。結果を表1に示した。
系統Aは実用的な有効成分量のスルホニルウレア系除草剤に対して感受性であり、系統B、C、D及びEは同有効成分量のスルホニルウレア系除草剤に対して抵抗性であった。
Figure 2007319052
参考例2 (供試されるイヌホタルイ系統におけるスルホニルウレア系除草剤抵抗性能力の従来法に基づく評価(その2))
参考例1で供試されたイヌホタルイ5系統とは異なるイヌホタルイ2系統におけるスルホニルウレア系除草剤抵抗性能力を評価した。表2に示されるイヌホタルイ系統を、予め水田土壌が詰められた1/5000アールワグネルポットに播種した。当該植物を湛水条件下で本葉が1枚になるまで温室内で育成した後、ベンスルフロンメチルの顆粒水和剤(商品名Londax、DuPont社製)又はイマゾスルフロンの粒剤(商品名テイクオフ、住化武田農薬社製)を、表2に示される有効成分量が施用されるように、水面処理した。薬剤処理後、前記供試植物を26日間温室内で育成したのち、除草効力を参考例1に記載される評価基準に従い目視で評価した。結果を表2に示す。
系統Fは実用的な有効成分量のスルホニルウレア系除草剤に対して感受性であり、系統Gは同有効成分量のスルホニルウレア系除草剤に対して抵抗性であった。
Figure 2007319052
実施例1 (イヌホタルイ由来のアセト乳酸合成酵素遺伝子の取得)
ワグネルポットで栽培された系統G(スルホニルウレア系除草剤抵抗性系統)の花茎を5mm長に刻み、当該植物器官片からIsoplantキット(ニッポンジーン社製)を用いてゲノムDNAを抽出した。抽出されたゲノムDNAを鋳型とし、且つ、プライマー1(センスプライマー)及びプライマー4(アンチセンスプライマー)をプライマーセットとし、ExTaqキット(タカラバイオ社製)を用いてPCRを行った。当該PCRにより増幅されたDNA断片をTOPO TA Cloningキット(Invitrogen社製)のプラスミドpCR2.1のクローニング部位に連結することにより、組換えプラスミドを得た。
次いで、当該プラスミドを大腸菌(コンピテントセル(タカラバイオ社製))に導入し、アンピシリン耐性になった大腸菌(アンピシリン耐性株)を11株選抜した。次いで、選抜されたアンピシリン耐性株に含まれるプラスミドの塩基配列を、BigDye Terminator Cycle Sequencing Kit及びDNAシークエンサー3100(Applied Biosystems社製)を用いて決定した。
その結果、シロイヌナズナ由来のアセト乳酸合成酵素遺伝子の塩基配列(GeneBank accession:X51514)に対して高い相同性を有する塩基配列(具体的には、配列番号1で示される塩基配列)を有する遺伝子を保持する8株と、シロイヌナズナ由来のアセト乳酸合成酵素遺伝子の塩基配列に対して高い相同性を有する塩基配列であって前者8株が有する遺伝子の塩基配列とは一部異なる塩基配列(具体的には、配列番号2で示される塩基配列)を有する遺伝子を保持する3株との2つのグループを見出した。
上記の「配列番号1で示される塩基配列」と「配列番号2で示される塩基配列」とは、イヌホタルイ由来の2種類のアセト乳酸合成酵素遺伝子の部分塩基配列と考えられ、各々の遺伝子を「ALSa遺伝子」及び「ALSb遺伝子」と命名した。尚、配列番号1で示される塩基配列(因みに、当該配列は、後述で明らかなように、図1〜3に示されたALSa遺伝子の塩基配列に対応している。)を有する遺伝子を保持する8株、又は、配列番号2で示される塩基配列(因みに、当該配列は、後述で明らかなように、図1〜3に示されたALSb遺伝子の塩基配列に対応している。)を有する遺伝子を保持する3株の各々のグループ内で、まれに1株における特定の1塩基が他7株(ALSa遺伝子の場合)又は他2株(ALSb遺伝子の場合)と一致しないことがあったが、これはExTaqポリメラーゼのPCRエラーによるものであると判断されることから、その部分については各グループにおける多数決で塩基を確定し、一義的な塩基配列として配列番号1又は配列番号2に示した。
実施例2 (cDNAにおけるALSa遺伝子及びALSb遺伝子の取得、並びに、イントロンの特定)
系統Aの花茎から、RNeasy Plant Miniキット(Qiagen社製)を用いてtotalRNAを抽出した。抽出されたtotalRNAに含まれる完全長mRNAからGeneRacerキット(Invitrogen社製)を用いてcDNAを得た。当該キットに添付されるプライマーとプライマー14とのプライマーセット、及び、当該キットに添付されるプライマーとプライマー15とのプライマーセットを用いてPCRを行うことにより、ALSa遺伝子に由来するDNA断片及びALSb遺伝子に由来するDNA断片を得た。
得られた各々のDNA断片がExoSAP IT(USB社製)を用いて精製されたものを鋳型にし、且つ、「gagaggtgtaccctggaaga」(配列番号20)という塩基配列からなるプライマー(配列番号1に示された塩基配列における第1574番目の塩基から第1593番目の塩基までの領域、配列番号2に示された塩基配列における第1527番目の塩基から第1546番目の塩基までの領域に相当する。)を用いてダイレクトシーケンスすることにより、ALSa遺伝子のcDNAの部分塩基配列とALSb遺伝子のcDNAの部分塩基配列とを決定した。
その結果、ALSa遺伝子のcDNAの部分塩基配列は、配列番号1に示された塩基配列における第1番目の塩基から第1389番目の塩基までの領域からなる塩基配列(即ち、配列番号3)に相当するものであり、また、ALSb遺伝子のcDNAの部分塩基配列は、配列番号2に示された塩基配列における第1番目の塩基から第1342番目の塩基までの領域からなる塩基配列(即ち、配列番号4)に相当するものであった。因みに、配列番号3で示される塩基配列は、配列番号1に示された塩基配列から当該塩基配列における第200番目の塩基から第1343番目の塩基までの領域を除いてなる塩基配列に一致しており、また、配列番号4で示される塩基配列は、配列番号2に示された塩基配列から当該塩基配列における第200番目の塩基から第1296番目の塩基までの領域を除いてなる塩基配列において、さらに1塩基(配列番号2に示された塩基配列における第1300番目の「T」、配列番号4で示される塩基配列における第203番目の「C」)を除き一致していた。
次に、ALSa遺伝子及びALSb遺伝子の各々において、ゲノムDNAが有する塩基配列とcDNAが有する塩基配列とを比較することにより、イヌホタルイ由来のALSa遺伝子中に存在しているイントロン及びイヌホタルイ由来のALSb遺伝子中に存在しているイントロンを特定した。
その結果、イヌホタルイ由来のALSa遺伝子中に存在しているイントロンは、配列番号1に示された塩基配列における第200番目の塩基から第1343番目の塩基までの領域であり、また、イヌホタルイ由来のALSb遺伝子中に存在しているイントロンは、配列番号2に示された塩基配列における第200番目の塩基から第1296番目の塩基までの領域であることが判明した。
次いで、ALSa遺伝子のゲノムDNAの塩基配列とALSb遺伝子のゲノムDNAの塩基配列とを、両者の相同性に基づき、DNA配列解析ソフトウエアDNASIS(日立ソフト社製)を用いて整列化(アラインメント)することにより、両者の塩基配列を比較解析した。その結果を図1〜3に示した。また、ALSa遺伝子のcDNAの塩基配列とALSbのcDNAの塩基配列とを、両者の相同性に基づき、同様に整列化した結果を図4に示した。
図1〜3においてハイフン「−」は、一方のALS遺伝子における特定の塩基について、もう一方のALS遺伝子においては相当する塩基が存在しないことを意味している。図1〜3においてイントロンは、第200番目の塩基から第1350番目の塩基までの領域に相当しているが、2つのイントロンにおいて長さを相違させる要因は、ほぼ、一方のALS遺伝子に特異的な挿入配列(図1〜3における、ALSa遺伝子の塩基配列における第1201番目の塩基から第1241番目の塩基までの領域からなる塩基配列、ALSb遺伝子の塩基配列における第644番目の塩基から第646番目の塩基までの領域からなる塩基配列、及び、ALSa遺伝子の塩基配列における第546番目の塩基から第555番目の塩基までの領域からなる塩基配列のような、アラインする相手が連続したハイフンとなる領域からなる塩基配列)に拠っていた。即ち、2つのイントロンにおいて長さを相違させる部位は、特定の箇所に局在して存在していた。
このようにして特定されたイントロンを、図1〜3に示されたALSa遺伝子の塩基配列及び図1〜3に示されたALSb遺伝子の塩基配列から除くことにより、図1〜3に示されたALSa遺伝子の塩基配列及び図1〜3に示されたALSb遺伝子の塩基配列をアミノ酸配列に翻訳することが可能になる。
系統G(スルホニルウレア系除草剤抵抗性系統)のPro197部位は、図1〜3に示されたALSa遺伝子の塩基配列における第1354番目の塩基から第1356番目の塩基までの領域に相当していた。より具体的には、ALSa遺伝子の塩基配列の場合にはCCT(Pro)であり、またALSb遺伝子の塩基配列の場合にはTCT(Ser)であった。以上より、系統G由来のALSb遺伝子は、P197S変異体であると判明した。
一方、系統A(スルホニルウレア系除草剤感受性系統)のPro197部位は、図4に示されたALS遺伝子の塩基配列における第203番目の塩基から第205番目の塩基までの領域に相当していた。より具体的には、ALSa遺伝子の塩基配列及びALSb遺伝子の塩基配列のいずれの場合にもCCT(Pro)であった。以上より、系統A由来のALSa遺伝子及びALSb遺伝子は、Pro197部位の置換突然変異体ではないと判明した。
実施例3 (本発明評価方法(その1):ALSa遺伝子選択的ダイレクトシーケンス及びALSb遺伝子選択的なダイレクトシーケンス)
系統A、系統B、系統C、系統D又は系統EのゲノムDNAを鋳型とし且つプライマー5及びプライマー8のプライマーセットを用いて、ALS遺伝子の両者を由来とするDNA断片を増幅するためのPCRを行った。当該PCRにより増幅されたDNA断片をExoSAP−IT(USB社製)を用いて精製した後、当該精製物について、プライマー9又はプライマー11がシーケンシングプライマーとして用いられるダイレクトシーケンスを実施した。尚、ダイレクトシーケンスを実施する際には、BigDye Terminator Cycle Sequencing Kit及びDNAシークエンサー3100(Applied Biosystems社製)を用いた。
解読した領域(図1〜3に示されたALS遺伝子の塩基配列における第1321番目の塩基から第1550番目の塩基までの領域)の塩基配列は、いずれの系統でも、プライマー9がシーケンシングプライマーとして用いられるダイレクトシーケンスの場合には、Pro197部位を除き、図1〜3に示されたALSa遺伝子の塩基配列と完全一致していることが判明した。一方、プライマー11がシーケンシングプライマーとして用いられるダイレクトシーケンスの場合には、Pro197部位を除き、図1〜3に示されたALSb遺伝子の塩基配列で示される塩基配列と完全一致していることが判明した。
以上より、ALS遺伝子の両者の各々に由来するDNA断片が混在する試料であっても、プライマー9がシーケンシングプライマーとして用いられるダイレクトシーケンスの場合には、ALSa遺伝子を選択的にダイレクトシーケンスすることができ、またプライマー11がシーケンシングプライマーとして用いられるダイレクトシーケンスの場合には、ALSb遺伝子を選択的にダイレクトシーケンスすることができることが確認された。
尚、上記の試験により確認された、各系統の2種類のアセト乳酸合成酵素遺伝子の両者におけるPro197部位の塩基配列と当該塩基配列がコードするアミノ酸とを表3に示した。
系統AのALS遺伝子の両者の各々におけるPro197部位には、置換突然変異が存在していないことが実施例2と同様に確認された。また系統BのALSa遺伝子におけるPro197部位には、P197Hという置換突然変異が存在していることが確認された。また系統CのALSb遺伝子におけるPro197部位には、P197Sという置換突然変異が存在していることが確認された。また系統DのALSa遺伝子におけるPro197部位には、P197Lという置換突然変異が存在していることが確認された。また系統EのALSa遺伝子におけるPro197部位には、P197Aという置換突然変異が存在していることが確認された。
Figure 2007319052
実施例4 (本発明評価方法(その2):ALSa遺伝子選択的ダイレクトシーケンス又はALSb遺伝子選択的なダイレクトシーケンス)
系統DのゲノムDNAを鋳型とし、且つ、プライマー12及びプライマー8のプライマーセット或いはプライマー13及びプライマー8のプライマーセットを用いて、ALS遺伝子の両者の各々を由来とするDNA断片を別々に増幅するためのPCRを行った。当該PCRにより増幅された各々のDNA断片をExoSAP−IT(USB社製)を用いて精製した後、当該精製物について、プライマー5がシーケンシングプライマーとして用いられるダイレクトシーケンスを実施した。尚、ダイレクトシーケンスを実施する際には、BigDye Terminator Cycle Sequencing Kit及びDNAシークエンサー3100(Applied Biosystems社製)を用いた。
解読した領域(図1〜3に示されたALS遺伝子の塩基配列における第1321番目の塩基から第1550番目の塩基までの領域)の塩基配列は、プライマー12及びプライマー8のプライマーセットとして用いられるPCRの場合には、Pro197部位を除き、図1〜3に示されたALSa遺伝子の塩基配列と完全一致していることが判明した。一方、プライマー13及びプライマー8のプライマーセットとして用いられるPCRの場合には、Pro197部位を除き、図1〜3に示されたALSb遺伝子の塩基配列と完全一致していることが判明した。
以上より、ALS遺伝子の両者の各々に由来するDNA断片が混在して存在するゲノムDNAの試料であっても、プライマー12及びプライマー8のプライマーセットとして用いられるPCRの場合には、ALSa遺伝子を選択的にダイレクトシーケンスすることができ、またプライマー13及びプライマー8のプライマーセットとして用いられるPCRの場合には、ALSb遺伝子を選択的にダイレクトシーケンスすることができることが確認された。
尚、上記の試験により確認された、D系統の2種類のアセト乳酸合成酵素遺伝子の両者におけるPro197部位の塩基配列と当該塩基配列がコードするアミノ酸とを表4に示した。
系統DのALSa遺伝子におけるPro197部位には、P197Lという置換突然変異が存在していることが実施例3と同様に確認された。
Figure 2007319052
実施例5 (本発明評価方法(その3):ALSa遺伝子及びALSb遺伝子の両者を一括で増幅するPCR−RFLP)
系統A、系統B、系統C、系統D、系統E又は系統GのゲノムDNAを鋳型とし且つプライマー5及びプライマー7のプライマーセットを用いて、ALS遺伝子の両者を由来とするDNA断片を増幅するためのPCRを行った。当該PCRにより増幅されたDNA断片をアガロースゲル電気泳動により分離し、2つのDNA断片バンド(約300塩基対付近及び約260塩基対付近)を得た。
因みに、理論的な計算結果に基づけば、上記プライマーセットにより挟まれた塩基配列からなる領域(図1〜3に示されたALS遺伝子の塩基配列における第1151番目の塩基から第1450番目の塩基までの領域に相当する。)が増幅されたとすると、ALSa遺伝子に由来するDNA断片は300塩基対となり、またALSb遺伝子に由来するDNA断片は258塩基対となる。
上記のように得られた泳動結果と理論的な計算結果とが略一致することから、ALS遺伝子の両者の各々に由来するDNA断片が混在する試料であっても、プライマー5及びプライマー7のプライマーセットとして用いられるPCRの場合には、当該PCRにより増幅されるDNA断片は長さの異なる2つのDNA断片となることができることが確認された。
次に、前記の各々の系統に由来するDNA断片を、制限酵素BspLI(フェルメンタス社製:認識配列はGGN|NCC)を用いて消化した後、消化されたDNA断片をアガロースゲル電気泳動に供した。その結果、系統Aに由来するDNA断片の場合には、前記の双方(300塩基対及び258塩基対)のバンドが消滅した。また系統Bに由来するDNA断片の場合には、300塩基対のバンドが残存し且つ258塩基対のバンドが消滅した。また系統Cに由来するDNA断片の場合には、300塩基対のバンドが消滅し且つ258塩基対のバンドが残存した。また系統Dに由来する300塩基対のバンドが残存し且つ258塩基対のバンドが消滅した。また系統Eに由来するDNA断片の場合には、300塩基対のバンドが残存し且つ258塩基対のバンドが消滅した。また系統Gに由来するDNA断片の場合には、300塩基対のバンドが消滅し且つ258塩基対のバンドが残存した。
以上より、供試された全ての系統において、BspLI(フェルメンタス社製:認識配列はGGN|NCC)が制限酵素として用いられる場合には、Pro197部位がP197XであるDNA断片は切断されず、Pro197部位がP197Xでない(プロリンでである)DNA断片は切断された。よって、Pro197部位での制限酵素による切断の可否を検定することにより、ALS遺伝子の両者の各々におけるPro197Xの存在を検出でき、その結果として、アセト乳酸合成酵素のドメインAにおける第7番目のアミノ酸をコードする塩基配列を解析することが可能であった。
実施例6 (本発明評価方法(その4):ALSa遺伝子又はALSb遺伝子のいずれか一方を選択的に増幅するPCR−RFLP)
系統B又は系統GのゲノムDNAを鋳型とし且つプライマー9及びプライマー7のプライマーセット、及び、プライマー11及びプライマー7のプライマーセットを用いて、ALS遺伝子のいずれか一方を由来とするDNA断片を増幅するためのPCRを行った。当該PCRにより増幅されたDNA断片をアガロースゲル電気泳動により分離し、1つのDNA断片バンド(200数十塩基対付近)を得た。
次に、前記の各々の系統に由来するDNA断片を、制限酵素BspLI(フェルメンタス社製:認識配列はGGN|NCC)を用いて消化した後、消化されたDNA断片をアガロースゲル電気泳動に供した。その結果、
(1)プライマー9及びプライマー7のプライマーセットを用いて増幅されたDNA断片の場合には、系統Bに由来するDNA断片のバンドは残存した。また系統Gに由来するDNA断片のバンドは消滅した。また、
(2)プライマー11及びプライマー7のプライマーセットを用いて増幅されたDNA断片の場合には、系統Bに由来するDNA断片のバンドは消滅した。また系統Gに由来するDNA断片のバンドは残存した。
以上より、プライマー9とプライマー11とは、各々がプライマー7を相手に、ALSa遺伝子又はALSb遺伝子のいずれか一方を選択的に増幅することが可能であり、このようにして増幅されたDNA断片をBspLI(フェルメンタス社製:認識配列はGGN|NCC)で消化することにより、Pro197部位での制限酵素による切断の可否を検定することが可能となり、ALS遺伝子の両者の各々におけるPro197Xの存在を検出できる。その結果として、アセト乳酸合成酵素のドメインAにおける第7番目のアミノ酸をコードする塩基配列を解析することが可能であった。
本発明により、イヌホタルイ由来の2種類のアセト乳酸合成酵素遺伝子においてP197Xをより簡便に検出する方法の一つとなり得るような、イヌホタルイにおけるスルホニルウレア系除草剤抵抗性能力の評価方法等を提供することが可能となる。
図1は、ALSa遺伝子のゲノムDNAの塩基配列とALSb遺伝子のゲノムDNAの塩基配列とを、両者の相同性に基づき、DNA配列解析ソフトウエアDNASIS(日立ソフト社製)を用いて整列化(アラインメント)することにより、両者の塩基配列を比較解析した結果を示す図であり、第1番目の塩基から第1140番目の塩基までの領域からなる塩基配列を対象にした図である。尚、これ以降の塩基配列については、順次、図2及び図3に示されている。 図中の「StrainG ALSa」で示される行に記載される塩基配列は、ALSa遺伝子のゲノムDNAの塩基配列に相当し、且つ、「StrainG ALSb」で示される行に記載される塩基配列は、ALSb遺伝子のゲノムDNAの塩基配列に相当する。また図中に記載されるハイフン「−」は、一方のALS遺伝子における特定の塩基について、もう一方のALS遺伝子において相当する特定の塩基が存在しないことを意味している。 図中の大きな枠(図1〜2に跨る枠)は、アセト乳酸合成酵素におけるドメインAの第5番目のアミノ酸をコードする塩基配列と第6番目のアミノ酸をコードする塩基配列との間に存在するイントロン領域を示している。また図中の小さな枠(前記の大きな枠に近接して存在する(図2中の)枠)は、アセト乳酸合成酵素遺伝子においてPro197部位をコードする領域を示している。 図2は、図1の続きの図であり、第1141番目の塩基から第2220番目の塩基までの領域からなる塩基配列を対象にした図である。 図3は、図2の続きの図であり、第2221番目の塩基から第2661番目の塩基までの領域からなる塩基配列を対象にした図である。 図4は、ALSa遺伝子のcDNAの塩基配列とALSb遺伝子のcDNAの塩基配列とを、両者の相同性に基づき、DNA配列解析ソフトウエアDNASIS(日立ソフト社製)を用いて整列化(アラインメント)することにより、両者の塩基配列を比較解析した結果を示す図である。尚、図4に示されたALSa遺伝子のcDNAの塩基配列又はALSb遺伝子のcDNAの塩基配列は、図1〜3に示されたALSa遺伝子又はALSb遺伝子のゲノムDNAの塩基配列が解析されたゲノムDNAを提供する個体とは別個体から調製されたALSa遺伝子のcDNAの塩基配列又はALSb遺伝子のcDNAの塩基配列である。 図中の仕切り記号は、アセト乳酸合成酵素におけるドメインAの第5番目のアミノ酸をコードする塩基配列と第6番目のアミノ酸をコードする塩基配列との間に存在するイントロン領域が挿入される位置を示している。また図中の小さな枠は、アセト乳酸合成酵素遺伝子においてPro197部位をコードする領域を示している。
[配列表フリーテキスト]
配列番号5
PCRのために設計されたプライマー
配列番号6
PCRのために設計されたプライマー
配列番号7
PCRのために設計されたプライマー
配列番号8
PCRのために設計されたプライマー
配列番号9
PCRのために設計されたプライマー
配列番号10
PCRのために設計されたプライマー
配列番号11
PCRのために設計されたプライマー
配列番号12
PCRのために設計されたプライマー
配列番号13
PCRのために設計されたプライマー
配列番号14
PCRのために設計されたプライマー
配列番号15
PCRのために設計されたプライマー
配列番号16
PCRのために設計されたプライマー
配列番号17
PCRのために設計されたプライマー
配列番号18
PCRのために設計されたプライマー
配列番号19
PCRのために設計されたプライマー
配列番号20
PCRのために設計されたプライマー

Claims (11)

  1. イヌホタルイ由来のアセト乳酸合成酵素遺伝子の一部であり、アセト乳酸合成酵素におけるドメインAの第5番目のアミノ酸をコードする塩基配列と第6番目のアミノ酸をコードする塩基配列との間に存在するイントロン領域からなるポリヌクレオチド。
  2. イントロン領域が、下記のいずれかのイントロン領域であることを特徴とする請求項1記載のポリヌクレオチド若しくはその一部。
    (1)配列番号1で示される塩基配列における第200番目の塩基から第1343番目の塩基までのイントロン領域。
    (2)配列番号2で示される塩基配列における第200番目の塩基から第1296番目の塩基までのイントロン領域。
  3. イヌホタルイにおけるスルホニルウレア系除草剤抵抗性能力の評価方法であって、
    (1)供試されるイヌホタルイに含まれる2種類のアセト乳酸合成酵素遺伝子の各々において、アセト乳酸合成酵素のドメインAにおける第7番目のアミノ酸をコードする塩基配列がプロリンをコードする塩基配列であるか否かを、前記遺伝子の各々について検定する第一工程、及び、
    (2)第一工程により得られる検定結果が、前記遺伝子の各々において、いずれもアセト乳酸合成酵素のドメインAにおける第7番目のアミノ酸をコードする塩基配列がプロリンをコードする塩基配列である場合には、供試されるイヌホタルイはスルホニルウレア系除草剤抵抗性能力を有さないと判定し、一方、前記遺伝子の各々において、いずれか若しくはいずれもアセト乳酸合成酵素のドメインAにおける第7番目のアミノ酸をコードする塩基配列がプロリンをコードする塩基配列でない場合には、供試されるイヌホタルイはスルホニルウレア系除草剤抵抗性能力を有すると判定する第二工程、
    を有し、且つ、第一工程が、
    (a)供試されるイヌホタルイに含まれる2種類のアセト乳酸合成酵素遺伝子の両者又はいずれか一方を鋳型とするように選択的にアニールし、且つ、請求項1若しくは2記載のポリヌクレオチドが有する塩基配列の一部若しくは全部と、アセト乳酸合成酵素のドメインAにおける第7番目のアミノ酸をコードする塩基配列とを含む領域からなるDNA断片を増幅し得るプライマーセットを用いたPCRを行う第A工程、及び、
    (b)電気泳動、制限酵素を用いたRFLP又はダイレクトシーケンスに基づき、アセト乳酸合成酵素のドメインAにおける第7番目のアミノ酸をコードする塩基配列を解析する第B工程を含むことを特徴とする評価方法。
  4. イヌホタルイに含まれる2種類のアセト乳酸合成酵素遺伝子の各々において、アセト乳酸合成酵素のドメインAにおける第7番目のアミノ酸をコードする塩基配列がプロリンをコードする塩基配列であるか否かを、前記遺伝子の各々について検定する方法であって、
    (a)供試されるイヌホタルイに含まれる2種類のアセト乳酸合成酵素遺伝子の両者又はいずれか一方を鋳型とするように選択的にアニールし、且つ、請求項1若しくは2記載のポリヌクレオチドが有する塩基配列の一部若しくは全部と、アセト乳酸合成酵素のドメインAにおける第7番目のアミノ酸をコードする塩基配列とを含む領域からなるDNA断片を増幅し得るプライマーセットを用いたPCRを行う第A工程、及び、
    (b)電気泳動、制限酵素を用いたRFLP又はダイレクトシーケンスに基づき、アセト乳酸合成酵素のドメインAにおける第7番目のアミノ酸をコードする塩基配列を解析する第B工程
    を含むことを特徴とする検定方法。
  5. 第B工程がダイレクトシーケンスに基づき塩基配列を解析する工程であり、且つ、第A工程において用いられるプライマーセットが供試されるイヌホタルイに含まれる2種類のアセト乳酸合成酵素遺伝子の両者を鋳型とするように選択的にアニールし得るプライマーセットである場合には、前記ダイレクトシーケンスにおいて用いられるシーケンシングプライマーが、第A工程において増幅されるDNA断片のいずれか一方を鋳型とするように選択的にアニールし得るプライマーであることを特徴とする請求項3又は4記載の方法。
  6. 第B工程がダイレクトシーケンスに基づき塩基配列を解析する工程であり、且つ、第A工程において用いられるプライマーセットが供試されるイヌホタルイに含まれる2種類のアセト乳酸合成酵素遺伝子のいずれか一方を鋳型とするように選択的にアニールし得るプライマーセットである場合には、前記ダイレクトシーケンスにおいて用いられるシーケンシングプライマーが、第A工程において増幅されるDNA断片を鋳型とするように選択的にアニールし得るプライマーであることを特徴とする請求項3又は4記載の方法。
  7. 第B工程が制限酵素を用いたRFLPに基づき塩基配列を解析する工程であり、且つ、RFLPにおいて用いられる制限酵素が、アセト乳酸合成酵素のドメインAにおける第7番目のアミノ酸をコードする塩基配列の全部若しくは一部を制限酵素認識部位として含む制限酵素であることを特徴とする請求項3又は4記載の方法。
  8. 第B工程が制限酵素を用いたRFLPに基づき塩基配列を解析する工程であり、且つ、PCRにおいて用いられるプライマーセットが、ミスマッチ塩基を導入し得るアンチセンスプライマーを含むプライマーセットであり、且つ、RFLPにおいて用いられる制限酵素が、前記ミスマッチ塩基の導入により増幅されるDNA断片に付与された塩基配列の全部若しくは一部を制限酵素認識部位として含む制限酵素であることを特徴とする請求項3又は4記載の方法。
  9. スルホニルウレア系除草剤抵抗性能力を有するイヌホタルイの分布状況を、請求項3記載の評価方法に基づいて調査する工程を有することを特徴とするモニタリング方法。
  10. 請求項3記載の評価方法により評価されたスルホニルウレア系除草剤抵抗性能力に基づきスルホニルウレア系除草剤抵抗性能力を有するイヌホタルイを選抜することを特徴とするスルホニルウレア系除草剤抵抗性イヌホタルイの探索方法。
  11. イヌホタルイにおけるスルホニルウレア系除草剤抵抗性能力を評価するための試薬が有する塩基配列を提供する塩基配列情報源としての、請求項1若しくは2記載のポリヌクレオチドの使用。
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