JP2007318008A - 太陽電池モジュール用充填材、太陽電池モジュール用充填材層、および太陽電池モジュール - Google Patents
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Abstract
【解決手段】エチレン性不飽和シラン化合物と重合用ポリエチレンとを重合させてなるシラン変性樹脂を有する充填材用樹脂を含む太陽電池モジュール用充填材であって、Si(珪素)含有量が重合Siとして8ppm〜3500ppmの範囲内であり、ゲル分率が1%〜30%の範囲内であり、かつ、縮合反応を促進する触媒を含むことを特徴とする太陽電池モジュール用充填材を提供することにより、上記課題を達成するものである。
【選択図】図1
Description
太陽電池素子は単結晶シリコン基板や多結晶シリコン基板を用いて作製することが多い。このため太陽電池素子は物理的衝撃に弱く、また屋外に太陽電池を取り付けた場合に雨などからこれを保護する必要がある。また、太陽電池素子1枚では発生する電気出力が小さいため、複数の太陽電池素子を直並列に接続して、実用的な電気出力が取り出せるようにする必要がある。このため複数の太陽電池素子を接続し透明基板および充填材で封入して太陽電池モジュールを作製することが通常行われている。一般に太陽電池モジュールは、透明前面基板、充填材、太陽電池素子、充填材および裏面保護シート等を順次積層し、これらを真空吸引して加熱圧着するラミネーション法等を利用して製造される。
まず、本発明の太陽電池モジュール用充填材について説明する。本発明の太陽電池モジュール用充填材は、エチレン性不飽和シラン化合物と重合用ポリエチレンとを重合させてなるシラン変性樹脂を含む太陽電池モジュール用充填材であって、Si(珪素)含有量が重合Siとして8ppm〜3500ppmの範囲内であり、ゲル分率が1%〜30%の範囲内であり、かつ、縮合反応を促進する触媒を含むことを特徴とするものである。
なお、本発明の太陽電池モジュール用充填材は、ホットスポット現象が発生したときに、モジュールが高温になっても樹脂の流動が抑えられるという効果もある。
まず、本発明の太陽電池モジュール用充填材(以下、単に充填材と称する場合もある。)に用いられる縮合反応を促進する触媒(以下、単に触媒と称する場合もある。)について説明する。本発明に用いられる縮合反応を促進する触媒は、シラノール基等の反応性に富む官能基の縮合反応を促す機能を有するものである。本発明においては、このような触媒を含有することにより、太陽電池モジュールを作製する際に、充填材層のゲル分率を所望の範囲内に制御することができ、その結果として、ホットスポット現象等に伴う充填材層の白濁が生じることのない優れた外観を備え、かつリサイクル性を有する太陽電池モジュールを得ることができる。
次に、本発明に用いられる充填材用樹脂について説明する。本発明に用いられる充填材用樹脂は、エチレン性不飽和シラン化合物と重合用ポリエチレンとを重合させてなるシラン変性樹脂を含有するものであれば特に限定されるものではないが、さらに添加用ポリエチレンを含有することが好ましい。すなわち、充填材用樹脂がシラン変性樹脂と添加用ポリエチレンとを含有することが好ましい。上記シラン変性樹脂はコストが高いため、添加用ポリエチレンを併用することによりコストダウンを図ることができるからである。
本発明における充填材用樹脂に含まれるシラン変性樹脂は、エチレン性不飽和シラン化合物と重合用ポリエチレンとを重合させてなり、エチレン性不飽和シラン化合物と重合用ポリエチレンとラジカル発生剤とを混合し、高温で溶融、混練し、エチレン性不飽和シラン化合物を重合用ポリエチレンにグラフト重合させることにより得ることができる。
一方、エチレン性不飽和シラン化合物の含有量は、4000ppm以下が好ましく、より好ましくは3000ppm以下である。上限値は、ガラス等との密着性の観点からは限定されるものではないが、上記範囲を超えるとガラス等との密着性は変わらずコストが高くなる。
さらに、上記シラン変性樹脂の融点は、110℃以下であることが好ましい。本発明の太陽電池モジュール用充填材を用いた太陽電池モジュールの製造時において、加工性等の面から上記範囲が好適である。
本発明における充填材用樹脂に含まれる添加用ポリエチレンとしては、上記シラン変性樹脂に用いられる重合用ポリエチレンと同様なものを挙げることができる。本発明においては、添加用ポリエチレンが上記重合用ポリエチレンと同一のポリエチレンであることが特に好ましい。上記シラン変性樹脂はコストが高いため、シラン変性樹脂のみを含む充填材用樹脂で太陽電池モジュール用充填材を構成するよりも、シラン変性樹脂と添加用ポリエチレンとを含む充填材用樹脂で太陽電池モジュール用充填材を構成する方が、コスト的に有利であるからである。
さらに、上記添加用ポリエチレンの融点は、130℃以下であることが好ましい。本発明の太陽電池モジュール用充填材を用いた太陽電池モジュールの製造時における加工性等の面から上記範囲が好適である。
なお、上記融点は、プラスチックの転移温度測定方法(JIS K 7121)に準拠し、示差走査熱量分析(DSC)により測定した値とする。この際、融点ピークが2つ以上存在する場合は高い温度の方を融点とする。
本発明においては、充填材用樹脂中に含まれるポリエチレンの平均密度が、0.890g/cm3〜0.935g/cm3の範囲内であることが好ましく、より好ましくは0.890g/cm3〜0.930g/cm3の範囲内であり、最も好ましくは0.890g/cm3〜0.920g/cm3の範囲内である。充填材用樹脂中に含まれるポリエチレンの平均密度が上記範囲のように比較的低いものであれば、ホットスポット現象が生じたときなどの温度変化によりポリエチレンが結晶化するのを妨げることができるからである。したがって、温度変化による充填材用樹脂の白濁を効果的に抑制することが可能である。
ここで、本発明の太陽電池モジュール用充填材を作製する際、触媒等の添加剤を充填材用樹脂に分散させるが、この添加剤を分散させる際には分散性を良くするためにポリエチレンを粉砕する場合がある。高密度のポリエチレンは、低密度のポリエチレンよりも粉砕しやすく加工性に優れることから、低コスト化が図れる。したがって、充填材用樹脂中に含まれるポリエチレンの平均密度が所定の範囲であり、充填材用樹脂が例えば上記の密度が所定の範囲であるポリエチレンと、さらに比較的密度が高いポリエチレンとを含有する場合は、低コストで太陽電池モジュール用充填材を提供することができる。
本発明における充填材用樹脂は、190℃でのメルトマスフローレートが0.5〜10g/10分であるものが好ましく、1〜8g/10分であるものがより好ましい。太陽電池モジュール用充填材の成形性、透明前面基板および裏面保護シートとの接着性等に優れるからである。
また、充填材用樹脂の融点は130℃以下であることが好ましい。本発明の太陽電池モジュール用充填材を用いた太陽電池モジュールの製造時において、加工性等の面から上記範囲が好適である。また、太陽電池モジュールの構成部材、例えば太陽電池素子や透明前面基板を再利用する場合に、融点がこの程度であれば容易に再利用することができるからである。
なお、上記融点は、上述した方法により測定した値とする。
本発明の太陽電池モジュール用充填材は、上記充填材用樹脂以外に添加剤を含有していても良い。本発明に用いられる添加剤としては、例えば、光安定化剤、紫外線吸収剤、熱安定化剤等の添加剤等を挙げることができる。本発明の太陽電池モジュール用充填材が、上述したシラン変性樹脂を含有し、これに光安定化剤、紫外線吸収剤、熱安定化剤を添加することで長期にわたり安定した機械強度、接着強度、黄変防止、ひび割れ防止、優れた加工適性を得ることができる。
本発明においては、太陽電池モジュール用充填材中に、Si(珪素)含有量が、重合Si量として8ppm〜3500ppmの範囲内で含有されていることを特徴とする。このようにSi量を規定するのは、Si量が上記範囲よりも少ないと、本発明の太陽電池モジュール用充填材を用いて太陽電池モジュールを形成した場合に、充填材層と透明前面基板および裏面保護シートとの密着性が不十分になり、密着性の経時安定性に優れた太陽電池モジュールを作製することができないからである。また、Si量が上記範囲よりも多いと、本発明の太陽電池モジュール用充填材を用いて太陽電池モジュールを作製する際に、コストが高くなってしまうからである。本発明におけるSi量は、20ppm〜2000ppmの範囲内がより好ましく、100ppm〜1000ppmの範囲内がさらに好ましい。
ここで、太陽電池モジュール用充填材のみを加熱し燃焼させ灰化することによって重合SiがSiO2に変換される。よって、上記重合Si量は、灰分をアルカリ融解して純水に溶解後定容し、高周波プラズマ発光分析装置((株)島津製作所製 ICPS8100)を用いてICP発光分析法により重合Si量の定量を行うことにより測定した値とする。
であることを特徴とする。ゲル分率をこのように規定するのは、ゲル分率が上記範囲よりも高いと、本発明の太陽電池モジュール用充填材を用いて太陽電池モジュールを作製した際に、充填材層の熱溶融性や溶媒溶解性が不十分となるため、充分なリサイクル性が得られないからである。また上記範囲よりも低いと、同じく太陽電池モジュールを作製した際に、ホットスポット現象等に伴って充填材層が白濁してしまうからである。本発明におけるゲル分率は、より好ましくは3%〜20%の範囲内であり、さらに好ましくは5%〜10%である。
なお、上記ゲル分率は、(1)表側充填材を1g秤量し、80メッシュの金網袋に入れる(2)ソックスレー抽出器内に金網ごとサンプル投入し、キシレンを沸点下において還流させる(3)10時間連続抽出したのち、金網ごとサンプルごと取出し乾燥処理後秤量し、抽出前後の重量比較を行い残留不溶分の質量%を測定する、ことにより得られた値とする。
次に、本発明の太陽電池モジュール用充填材の製造方法について説明する。
以下、本発明に用いられるマスターバッチ、および本発明の太陽電池モジュール用充填材の製造方法におけるその他の点について説明する。
本発明に用いられるマスターバッチは、触媒または添加剤と、ポリエチレンとを含有するものであれば特に限定されるものではない。したがって、本発明においては後述する各マスターバッチにシラン変性樹脂が含まれていてもよく、また各マスターバッチに添加用ポリエチレンが含まれていてもよい。
以下、触媒とポリエチレンとを含有するマスターバッチを触媒マスターバッチ、添加剤とポリエチレンとを含有するマスターバッチを耐候剤マスターバッチと称する。
高密度のポリエチレンの方が粉砕しやすく加工性に優れており、低コスト化が図れるからである。よって、比較的密度の高いポリエチレンを粉砕してパウダーとし、この比較的密度の高いポリエチレンのパウダーと、上記の密度が所定の範囲であるポリエチレンと、添加剤とを混合してマスターバッチを作製することにより、マスターバッチの製造コストを抑えることができる。
触媒マスターバッチに用いられる触媒は、上記「1.縮合反応を促進する触媒」の項に記載したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
耐候剤マスターバッチに用いられる添加剤は、上記「3.添加剤」の項に記載したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
次に、本発明に用いられるシラン変性樹脂の調製方法について説明する。シラン変性樹脂は、エチレン性不飽和シラン化合物と重合用ポリエチレンとラジカル発生剤との混合物を、加熱溶融混合し、エチレン性不飽和シラン化合物を重合用ポリエチレンにグラフト重合させることにより得ることができる。
次に、本発明の太陽電池モジュール用充填材の作製方法について説明する。本発明においては、例えば上記各マスターバッチとシラン変性樹脂と添加用ポリエチレンとを加熱溶融することにより太陽電池モジュール用充填材を作製することができる。また、上記マスターバッチのいずれかにシラン変性樹脂が含まれている場合は、上記各マスターバッチと添加用ポリエチレンとを加熱溶融することにより太陽電池モジュール用充填材を作製することもできる。さらに、上記各マスターバッチのいずれかに添加用ポリエチレンが含まれている場合は、マスターバッチとシラン変性樹脂とを加熱溶融することにより太陽電池モジュール用充填材を作製することもできる。
この際、上述したようにシラン変性樹脂をペレット化し、再度加熱溶融して押出し加工することも可能であるが、押出し機のホッパー内にシラン変性樹脂と添加用ポリエチレンとマスターバッチとを混合して投入し、シリンダ内で加熱溶融することも可能であり、コストの点では後者が優れている。
また、加熱温度は300℃以下が好ましく、さらには270℃以下が好ましく、特に好ましい加熱温度は230℃以下である。上記シラン変性樹脂は、加熱によりシラノール基部分が架橋しゲル化しやすいので、上記範囲で溶融混合するのが好適である。
再度加熱溶融する際の加熱温度は、300℃以下が好ましく、より好ましくは270℃以下であり、特に好ましい加熱温度は230℃以下である。上述したように、シラン変性樹脂は加熱によりシラノール基部分が架橋しゲル化しやすいので、上記範囲で加熱溶融して押出すことが好ましい。
次に本発明の太陽電池モジュール用充填材層について説明する。本発明の太陽電池モジュール用充填材層は、エチレン性不飽和シラン化合物と重合用ポリエチレンとを重合させてなるシラン変性樹脂を有する充填材用樹脂を含み、Si(珪素)含有量が重合Si量として8ppm〜3500ppmの範囲内であり、ゲル分率が1%〜30%の範囲内であり、かつ、縮合反応を促進する触媒を含むことを特徴とするものである。
また、ゲル分率が上記範囲内であることにより、ホットスポット等による白濁を抑制することができるため、本発明の太陽電池モジュール用充填材層を有する太陽電池モジュールの外観を良化することができる。また、ゲル分率が上記範囲内であることにより、本発明の太陽電池モジュール用充填材は、熱溶融性や溶媒溶解性を示すため、本発明の太陽電池モジュール用充填材層を有する太陽電池モジュールにリサイクル性を付与することができる。
さらに本発明は、縮合反応を促進する触媒を含むことにより、ゲル分率を所望の範囲に制御することが可能になるため、本発明の太陽電池モジュール用充填材層を有する太陽電池モジュールを、ホットスポット等による白濁の発生のない優れた外観を有し、かつ優れたリサイクル性をも備えるものにすることがきる。
なお、本発明の充填材層中における触媒量の測定方法は、上記「A.太陽電池モジュール用充填材」の「1.縮合反応を促進する触媒」の項に記載した方法と同様であるため、ここでの説明は省略する。
ここで、太陽電池モジュール用充填材層のみを加熱し燃焼させ灰化することによって重合SiがSiO2に変換される。よって、上記重合Si量は、灰分をアルカリ融解して純水に溶解後定容し、高周波プラズマ発光分析装置((株)島津製作所製 ICPS8100)を用いてICP発光分析法により重合Si量の定量を行うことにより測定した値とする。
なお、上記ゲル分率は、(1)本発明の太陽電池モジュール用充填材層を1g秤量し、80メッシュの金網袋に入れる(2)ソックスレー抽出器内に金網ごとサンプル投入し、キシレンを沸点下において還流させる(3)10時間連続抽出したのち、金網ごとサンプルごと取出し乾燥処理後秤量し、抽出前後の重量比較を行い残留不溶分の質量%を測定する、ことにより得られた値とする。
試験機:エー・アンド・ディー(A&D)株式会社製の引っ張り試験機〔機種名:テンシロン〕
測定角度:180°剥離
剥離速度:50mm/min
なお、測定方法は上述した方法と同様の方法が用いられる。
次に、本発明の太陽電池モジュールについて説明する。本発明の太陽電池モジュールは、上記太陽電池モジュール用充填材層を有することを特徴とするものである。
本発明の太陽電池モジュールに用いられる充填材層は、上記「B.太陽電池モジュール用充填材層」の項に記載したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
本発明に用いられる透明前面基板としては、例えばガラス、フッ素系樹脂シート、耐候性フィルムとバリアフィルムとをラミネート積層した透明複合シート等を用いることができる。
また、本発明に用いられる裏面保護シートとしては、例えばアルミニウム等の金属、フッ素系樹脂シート、耐候性フィルムとバリアフィルムとをラミネート積層した複合シート等を用いることができる。
本発明に用いられる太陽電池素子としては、特に限定されず一般的な太陽電池素子を用いることができる。
本発明の太陽電池モジュールにおいては、太陽光の吸収性、補強、その他等の目的のもとに、さらに、他の層を任意に加えて積層することができるものである。
本発明の太陽電池モジュールの製造方法は、後述する「D.太陽電池モジュール用充填材層、および太陽電池モジュールの製造方法」の項において説明するため、ここでの説明は省略する。
次に、本発明の太陽電池モジュール用充填材層および太陽電池モジュールの製造方法について説明する。
ラミネート時間は、5〜60分の範囲内が好ましく、特に8〜40分の範囲内が好ましい。ラミネート時間が短すぎると十分に溶融せず同上の部材との密着性が悪くなる可能性があり、ラミネート時間が長すぎると工程上の問題となる場合があり、特に温度や湿度条件次第ではゲル分率の増加の要因となるからである。
また、湿度に関しては、高すぎるとゲル分率の増加につながり、低すぎると各種部材との密着性を低下させる可能性があるが、通常の大気環境下における湿度であれば特に問題は生じない。
(1)シラン変性樹脂の調整
密度0.898g/cm3のメタロセン直鎖低密度ポリエチレン100重量部に対し、ビニルトリメトキシシラン0.5重量部、ラジカル発生剤(反応触媒)としてジクミルパーオキサイド0.1重量部を混合し、200℃で溶融、混練し、シラン変性樹脂を得た。
a.耐候剤マスターバッチ
マスターバッチベース密度0.920g/cm3のメタロセン直鎖低密度ポリエチレン100重量部に対して、光安定化剤(ヒンダードアミン系光安定化剤)10重量部、紫外線吸収剤3.75重量部、および熱安定剤0.5重量部を混合して溶融加工し、耐候剤マスターバッチを得た。
また、マスターバッチベース密度0.920g/cm3のメタロセン直鎖低密度ポリエチレンと触媒とを混合して溶融加工し、ペレット化した触媒マスターバッチを予め作製した。この際、触媒マスターバッチ中の触媒添加量は5質量%とした。
上記シラン変性樹脂20重量部に対し、密度0.900g/cm3、190℃でのメルトマスフローレート3.5g/10分のメタロセン直鎖状低密度ポリエチレン(添加用ポリエチレン)80重量部、および上記耐候剤マスターバッチ5重量部、触媒マスターバッチ1重量部を加え混合し、150mmφ押出し機、1000幅のTダイスを有するフィルム成形機を使用し、樹脂温度230℃、引き取り速度4m/minで厚み400μmのフィルムを成膜化した。
成膜化は支障なく実施することができた。また、得られたフィルムの外観および全光線透過率は良好であった。得られたフィルム中の重合Si量は700ppmであった。
得られたフィルムを充填材層として使用し、厚み3mmのガラス板(透明前面基板)、厚み400μmの充填材層、多結晶シリコンからなる太陽電池素子、厚み400μmの充填材層、および裏面保護シートとして、厚み38μmのポリフッ化ビニル系樹脂シート(PVF)と、厚み30μmのアルミニウム箔と、厚み38μmのポリフッ化ビニル系樹脂シート(PVF)とからなる積層シートをこの順に積層し、太陽電池素子面を上に向けて、太陽電池モジュールの製造用の真空ラミネーターにて150℃で15分間圧着して、本発明の太陽電池モジュールを製造した。得られた太陽電池モジュールから充填材層を切り出してゲル分率を測定した結果、9%であった。
実施例2〜6および比較例1は、組成を変化させたこと以外は、実施例1と同様にして、太陽電池モジュールを作製した。組成を表1に示す。
上記実施例1〜4および比較例1、2により得られた太陽電池モジュールに使用している充填材層について、下記の試験を行った。各試験の測定結果を下記表2に示す。
太陽電池モジュールの製造直後と、温度85℃、湿度85%の高温多湿状態にて1000時間放置した後の、太陽電池モジュール用充填材層と透明前面基板との室温(25℃)下での剥離強度(N/15mm幅)を測定した。
太陽電池モジュールについてJIS規格C8917に基づいてホットスポット試験を行い、試験後の外観を評価した。
FT−IR610(日本分光株式会社製)を用いて、赤外分光法により透過法によって赤外吸収スペクトルを測定し、得られた赤外吸収スペクトルの波長15000nm〜25000nmにおける1nm毎の透過率を加算し、平均した値を平均赤外線透過率とした。
これに対し、比較例1における太陽電池モジュールでは、ホットスポット試験後に白濁した。
2 … 配線
3 … 取り出し線
4a … 表面充填材層
4b … 裏面充填材層
5 … 透明前面基板
6 … 裏面保護シート
7 … 外枠
T … 太陽電池モジュール
Claims (6)
- エチレン性不飽和シラン化合物と重合用ポリエチレンとを重合させてなるシラン変性樹脂を有する充填材用樹脂を含む太陽電池モジュール用充填材であって、Si(珪素)含有量が重合Siとして8ppm〜3500ppmの範囲内であり、ゲル分率が1%〜30%の範囲内であり、かつ、縮合反応を促進する触媒を含むことを特徴とする太陽電池モジュール用充填材。
- 前記縮合反応を促進する触媒の含有量が、0.0002質量%〜0.09質量%の範囲内であることを特徴とする、請求項1に記載の太陽電池モジュール用充填材。
- 前記縮合反応を促進する触媒が、錫系のシラノール縮合触媒であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の太陽電池モジュール用充填材。
- エチレン性不飽和シラン化合物と重合用ポリエチレンとを重合させてなるシラン変性樹脂を有する充填材用樹脂を含む太陽電池モジュール用充填材層であって、
Si(珪素)含有量が重合Si量として8ppm〜3500ppmの範囲内であり、ゲル分率が1%〜30%の範囲内であり、かつ、縮合反応を促進する触媒を含むことを特徴とする太陽電池モジュール用充填材層。 - 上記縮合反応を促進する触媒の含有量が、0.0002質量%〜0.09質量%の範囲内であることを特徴とする請求項4に記載の太陽電池モジュール用充填材層。
- 請求項4または請求項5に記載の太陽電池モジュール用充填材層を有することを特徴とする太陽電池モジュール。
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