JP2007316427A - 画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 転写材の突入、抜けショックに起因する画像不良およびこれらが中間転写体を媒体として感光体に及ぼす画像不良を防止し、成果物の不良・落丁を防止する。また、幅広い種類のメディアに対して、生産性(搬送速度)を維持したままショックを回避する。
【解決手段】 電界または磁界の印加の強度により粘性特性が変化する流体を用い、回転体の圧接部に対する転写材の突入や抜けに応じて、流体に印加する電界または磁界の強度を任意に変化させて、回転体の圧接部における加圧力を制御する。
【選択図】 図1
【解決手段】 電界または磁界の印加の強度により粘性特性が変化する流体を用い、回転体の圧接部に対する転写材の突入や抜けに応じて、流体に印加する電界または磁界の強度を任意に変化させて、回転体の圧接部における加圧力を制御する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、電子写真方式の画像形成装置(モノクロおよびカラーのプリンタ、複写機等)に関する発明である。
一般に電子写真方式を用いた画像形成装置にはモノクロとカラ−があり、さらに装置の構成面でも直接転写方式と中間転写方式がある。また、像担持体たる感光体の数も1つのものと複数有するものがある。ここでは、それらの中から感光体を4つ有するフルカラーの画像形成装置を例に挙げて説明する。
中間転写方式は、像担持体たる感光体上に形成されたトナー像を一旦中間転写ベルト等の中間転写体上に一次転写し、その後二次転写部において転写材に転写する方式である。図8は中間転写方式のフルカラー画像形成装置について説明する断面図である。複数の像形成部80Y〜80Kを並べて配置し、並列処理によって各色のトナー像を形成するタンデム構成である。なお、Y、M、CおよびKはそれぞれイエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックを意味するものとする。各像形成部80Y〜80Kにはそれぞれ帯電装置81Y〜81K、露光装置82Y〜82K、現像装置83Y〜83Kおよび感光体84Y〜84Kから構成される。図8では中間転写体として中間転写ベルト85を有する。該中間転写ベルト85はポリイミド等により形成された無端ベルトであり、駆動ローラー86、テンションローラー87および二次転写内ローラー88により張架され、図中の矢印方向に駆動される。なお、図8では前記中間転写ベルト85を張架するローラー数を3本としているが、勿論この限りではない。以上より、各像形成部80Y〜80Kにおいて形成された各色トナー像は、循環する前記中間転写ベルト85上にタイミングを合わせて順次一次転写装置89Y〜89Kによって重ねて転写(一次転写)される。なお、図8では色順をY、M、C、Kとしているがこの限りではない。こうして得られたフルカラーのトナー像を二次転写装置800において転写材P上に一括転写する。前記二次転写装置800は、二次転写外ローラー801を有し、前記中間転写ベルト85を挟んで前記ニ次転写内ローラー88に対向および加圧されることで二次転写ニップを形成し、静電的に前記転写材P上にトナー像を吸着させる。なお、給紙部より搬送された転写材Pはレジストローラー対802によって、斜行等が補正された後、前記中間転写ベルト85上の画像とタイミングが合うように前記二次転写部へと搬送される。
二次転写後、前記転写材Pは定着装置803へと受け渡される。前記定着装置803は定着ローラー804及び加圧ローラー805により定着ニップを形成し、前記転写材P上のトナー像を加熱・加圧しながら搬送する。その結果、前記転写材P上に定着されたフルカラー画像が得られる。なお、図8ではヒーター等の熱源を備えたローラー対による熱定着方式を例に挙げたが、ベルト定着方式や圧定着方式等の他の定着装置であっても構わない。
以上説明したように、中間転写方式は直接転写方式のように転写材Pを転写ドラムや転写ベルト上に保持する必要がないため、超厚紙やコート紙等の多種多様な転写材に対応できる点や、二次転写部までの紙パスがシンプルに構成できる点、さらに中間転写ベルトの張架方法の自由度が高いため、画像形成装置の小型化においても有利である点がメリットとして挙げられる。以上のメリットに加え、フルカラー画像を一括転写できるためスピードアップを図る上で非常に有利な構成であり、高生産性をタ−ゲットとする画像形成装置として注目されている。
しかし、ローラー対によって形成されるニップ部に対して転写材Pが突入および脱出する際のショックにより、転写材の搬送速度に急激な変動やムラが生じることが一般的に知られている。この課題を解決する手段として、例えば特許文献1では、像担持体と転写ローラーの当接により形成される転写ニップ部において、一端が所定の位置に固定されたアーム部材の移動可能な他端に前記転写ローラーを回転可能に支持し、加圧バネによって前記像担持体に対して加圧当接させる構成が提案されている。
また、特許文献2では、像担持体と転写手段の当接により形成される転写ニップ部において、転写材の有無に応じて前記転写手段を前記像担持体に対して接離する構成をとり、当接する際にはカムまたは回転速度が変化するギア等の手段により衝撃を緩和する構成が提案されている。
さらに、特許文献3では、像担持体と連動して回転する圧力ローラーの周面の一部に転写材の先端部の厚みを吸収する転写媒体厚さ吸収手段を設けることでショックを緩和する構成が提案されている。
また、特許文献4では、対向および圧接する回転体の表層に電界または磁界、あるいは電界および磁界の印加により粘性が変化する変形層を有し、対向する回転体の軸間で電界または磁界、電界および磁界を印加するフィールド形成手段を備えた構成が提案されている。
特開2001−109280号公報
特開平06−317994号公報
特開平08−248784号公報
特開平09-026712号公報
しかし、高生産性を要求される画像形成装置に対しては、特許文献1のような加圧バネによる揺動構成だけでは転写材の間隔が狭くなるため揺動動作に伴う振動減衰が安定せず、また、特許文献2のようにモ−タ−やソレノイドを用いる構成では電気部品の応答時間が搬送シ−ケンスを実現する上でネックとなるため高生産性の限界が低くなる。
さらに、特許文献3のような構成では、ショック回避のタイミング合わせが不可欠となるため、高生産性を実現する上では大きな弊害となる。このように、いずれも画像形成装置の生産性向上に伴い転写材がより狭い間隔で連続搬送される場合のショック回避には対応できない構成である。
また、特許文献1〜特許文献3では主に転写ニップのみに留意して記述されているが、ショックの発生要因としては不十分である。例えば前述の中間転写方式の場合には、前記二次転写内ローラー88と二次転写外ローラー801により形成されるニップ部に与えられたショックは二次転写部における直接的な画像ショックやズレのみならず、前記中間転写ベルト85の速度変動という形で媒介して感光体等に伝わるため、前記一次転写部での画像ショックやズレ、または前記感光体上での露光ズレにまで波及する。これらの原因となる二次転写ニップ部へのショックとしては、二次転写ニップ部に対する転写材Pの突入および脱出だけでなく、レジストローラーニップや定着ニップに起因するものも多い。
画像形成装置の小型化の観点から、一般的には前記レジストローラー対802、前記二次転写装置800よび前記定着装置803の各々の間隔は最大転写材サイズよりも短いことが多い。従って、画像形成過程で転写材Pがレジストローラーニップと二次転写ニップ、または二次転写ニップと定着ニップといった形で複数のニップにまたがって挟持される場面が存在する。その結果、転写材Pの後端がレジストローラーニップを抜けた瞬間のショックや、あるいは転写材Pの先端が定着ニップに突入した瞬間のショックが二次転写中の画像に現れる。
これらのショックに伴う画像不良は転写材の厚さが厚いほど顕著に現れ、厚紙に対して有利な搬送パス形状を形成できる点がメリットである中間転写方式にとっては致命的な問題となる。また、これらのショックはニップ部の圧が高ければ高いほど顕著に現れるが、高画質の実現に不可欠な転写性、定着性、および搬送性を得るために各々最適な圧が与えられている。従って、ショック低減と高画質実現がトレードオフの関係にあるため、安易な低ニップ圧設定は困難である。さらに、上述のショックは画像不良の原因になるばかりでなく、搬送時の騒音の原因にもなる。特に、転写材の厚さが厚い場合にはコシが強いため、後端がニップ部を抜ける際の開放音が非常に大きい点が問題となる。また、多種多様な転写材の条件に応じて搬送速度を容易に微調整できるという点や位置精度に優れているという点から近年ステッピングモ−タ−の使用が多いが、ショックに伴う急激な負荷変動は脱調の原因になるため、ステッピングモ−タ−の使いこなしという観点からも重要な課題と言える。
これらの課題を解決する手段として、特許文献4のように対向および圧接する回転体の表層に電界または磁界、あるいは電界および磁界の印加により粘性が変化する変形層を有し、対向する回転体の軸間で電界または磁界、電界および磁界を印加するフィールド形成手段を備えた構成が提案されている。高生産性を実現する上で、電界または磁界、あるいは電界および磁界の印加により粘性が変化する流体の高応答性は非常に有効な手段である。特許文献4では印加される電界または磁界、あるいは電界および磁界の強度分布を変形層の粘性分布に利用することで、転写/定着に必要な加圧力と突脱ショックを回避する加圧力の分布をニップの入口から出口にかけて回転方向に形成している。
しかし、特許文献4では転写材の種類や環境条件等に応じて電界または磁界、あるいは電界および磁界の印加強度を変化させる、すなわちニップ圧をアクティブ制御するという思想はない。構成的にもニップ圧の制御手段となるのはカムであるため、アクティブ制御を実施したとしても応答性はカム動作に依存するものであり、流体が有する高応答性は活かせない。また、変形層は流体を封入する薄膜や流体を含浸させたスポンジ部材からなるため、任意のニップ形状における形状保持効果や硬度変化は瞬間的に実現できるが、あるニップ形状からあるニップ形状への変化の追従性については、あくまでも薄膜やスポンジ部材自体の追従性に依存してしまう。
したがって、特許文献4により提案された構成では、流体の粘性変化の高応答性を活かした高生産性条件下のアクティブ制御は困難である。高生産性の画像形成装置に要求される項目として、多種多様な転写材によらず生産性が一定であることは勿論であるが、装置の性格上、成果物が商品であることが多い。したがって、乱丁・落丁を無くすことも生産性向上にとっては重要となるため、多種多様な転写材に対する画像ショック対応や環境条件によらない転写・定着の安定化等により、画像不良を回避することが課題となる。すなわち、高生産性条件下におけるニップ圧のアクティブ制御の必要性が高い。アクティブ制御の手段については、例えば印刷機器等に見られるエアを利用したニップ圧制御が挙げられるが、巨大なエアコンプレッサ−や複雑なエアダクト・ホース類の配置による装置の大型化・煩雑化や稼動時の騒音等が課題となる。
また、高生産性の画像形成装置にとってコンティニュアスランは重要な要素であり、交換部品の長寿命化はメンテナンス間隔を延長させる効果があるため有効である。一般に、ローラー表層を形成するゴム層等は硬度をはじめとする特性が経時的に劣化するため、同じローラー加圧力の設定条件であってもニップ圧が低下し、安定した転写性や定着性を維持できなくなるという課題がある。このような課題に対しても電界または磁界、あるいは電界および磁界の印加強度に応じて粘性変化する流体は硬度の調整が可能であるため、ローラー長寿命化に対して非常に有効な手段となる。しかし、特許文献4の構成では、硬度復帰のために上げた印加強度によってニップ入口と出口の硬度も一緒に上がるため、ニップへの突脱ショックとトレ−ドオフの関係になってしまうという問題がある。
以上の課題を鑑みた結果、ニップ部に対する突脱ショック回避の技術として提案されている例えば特許文献4の手段では、高生産性の画像形成装置を実現する上での課題を解決することは出来ない。
そこで本発明では、以上のような課題を解決すべく、多種多様な転写材や環境条件等に応じた最適なニップ圧をアクティブ制御し、ショック画像をはじめとする画像不良の回避を行うことが可能な高生産性の画像形成装置を提案することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明は、少なくとも帯電装置、露光装置、現像装置、感光体、転写体、転写装置、定着装置および転写材の搬送装置を備え、互いに対向する回転体が圧接することによる加圧力で転写材の搬送または画像形成プロセスが行われる電子写真方式の画像形成装置において、互いに対向および圧接する回転体のうちいずれか一方は、電界または磁界、あるいは電界および磁界の印加の強度により粘性特性が変化する流体が封入されたピストンシリンダの一端に設けられたシリンダ軸方向へ可動な蓋部材によって支持され、該ピストンシリンダの他端は加圧力付与手段により押圧されるシリンダ軸方向へ可動なピストン部材を備えるとともに、少なくとも該ピストン部材と内部に封入される前記流体との接触面を含むシリンダ軸方向の一部の領域における流体に対して、シリンダを挟む対向位置からシリンダ軸に対して略垂直方向に電界または磁界、あるいは電界および磁界を印加するフィールド形成手段を備え、該フィールド形成手段により印加される電界または磁界、あるいは電界および磁界の強度を、回転体の圧接部に対する転写材の状況に応じて任意に変化させることによって、回転体の圧接部における加圧力を制御することを特徴としている。
回転体の圧接部に対して転写材が突入または脱出したりする等の転写材の搬送状況に応じて生じる回転変動やショックを回避する加圧力と、搬送または画像形成プロセスに要する所望の加圧力とを選択することで、状況に応じた最適な加圧力の制御が可能となる。
以下、本発明に関して図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は本発明に係る実施例1の画像形成装置が有するローラー対の断面の模式図である。ここではその一例として、中間転写構成を有する画像形成装置の二次転写部を挙げて説明する。図1において、二次転写内ローラー1および二次転写外ローラー2は中間転写ベルト3を挟んで互いに略対向する位置にある。二次転写内ローラー1および二次転写外ローラー2はいずれも軸両端部を回転可能に支持され、二次転写外ローラー2が二次転写内ローラー1に対して圧接することで二次転写ニップを形成している。該二次転写ニップに対して、前記中間転写ベルト上に既に感光体からの一次転写プロセスにより転写されたトナー像Tが図中の矢印M方向から来るタイミングに合わせて、転写材Pが上流のレジストローラー対12により送り出される。その後、前記二次転写ニップにて挟持搬送される転写材P上に、静電的にトナー像Tが二次転写される。なお、二次転写内ローラー1および二次転写外ローラー2は不図示の駆動源および駆動伝達手段により回転駆動または従動するものとする。
ここで、本実施例における前記二次転写外ローラー2は軸両端部を流体が封入されたピストンシリンダ11により支持されている。該ピストンシリンダ11はシリンダ部6、二次転写外ローラー2の軸受け部を兼ねるシリンダ軸方向に移動可能な蓋部材4、加圧力を付与する弾性部材8、該弾性部材からの加圧力を受けてシリンダ軸方向に移動可能なピストン部材7からなる。ピストンシリンダ11の内部には、印加電圧の強度に応じて粘性特性が変化する電気粘性流体(Electro Rheological Fluid ;ER流体)5が封入されている。さらに、前記ピストン部材7と電気粘性流体5の接触面を含むシリンダ軸方向の一部の領域の電気粘性流体に対して、対向する位置からシリンダ軸に対して略垂直方向に電界を印加する一対の電極9を有する。該電極9には高圧装置10から電圧が供給され、電極9および高圧装置10は内部に封入された電気粘性流体に対する電界フィールド形成手段として機能する。
ここで、前記電気粘性流体5は印加される電界強度により見かけの粘度が瞬間的かつ可逆的に変化する流体であり、図2に示す例のように一般的には印加電圧を上げると粘度が広範囲で連続的に増加する特性を示す。構造的には、電気絶縁性を有する液体からなる分散溶媒に誘電性の固体粒子からなる分散相を分散および懸濁させたものである。図3に簡単な粘性変化の原理(分散系電気粘性流体)を示す。図3(a)は電界印加がない状態であり、分散溶媒30に対して分散相31の粒子は分散および懸濁した状態にある。図3(b)は高圧装置32および電極33による電界印加がある状態であり、分散溶媒30中の分散相31の粒子が鎖状のクラスタを形成し、流動抵抗を変えた状態にある。電界の印加強度によりこの鎖状のクラスタ形成が変化し、流体の見かけの粘性が変化する。また、電界の印加強度により分子配向が変化し、流動抵抗が変化するものもある。なお、分散溶媒としては粘性が低く電気絶縁性に優れるシリコンオイルや炭化水素系の鉱油等があり、分散相としてはイオン交換樹脂、分極する固体微粒子、電気絶縁性の被膜を有する金属微粒子等があり、組成により特性の異なる分散系電気粘性流体または均一系電気粘性流体ができるため、必要に応じた選択をすればよい。本実施例では、分散溶媒としてシリコンオイル、分散相としてシリカを選択する。
次に、本実施例におけるニップ圧の可変制御について説明する。本実施例では、前記電極9および高圧装置10からなる電界フィールド形成手段による電界の印加がない場合、前記弾性部材8により与えられた加圧力Fはパスカルの原理に基づき前記ピストン部材7の断面積Aと前記蓋部材4の断面積Bの比でニップ圧として得られる。これに対し、電界フィールド形成手段により電界の印加が行われた場合、前記電気粘性流体5のうち前記電極9の間に存在する領域において図2で説明したような特性に基づく粘性特性の変化が生じる。その結果、前記断面積Bを絞るのと等価な現象により、ニップ圧が増加する。逆に印加される電界強度を下げた場合には、電気粘性流体5の粘性が低くなるため、一旦絞られた前記断面積Bが広がるのと等価となりニップ圧が減少する。以上の原理により、二次転写ニップにおけるニップ圧を広範囲にわたり連続的に可変とすることができる。なお、電気粘性流体の電界印加に対する粘度変化の応答速度は数msec程度であり、従来のモ−タ−やソレノイド等の電気部品を用いた機械構成に比べると非常に高応答であり、制御の限界を高くすることができる。また、印加電圧の大きさは2〜3kV/mm程度の高電圧を必要とするが、電流密度は5〜10μA/cm2程度と低く、比較的低消費電力である。
次に、上記のニップ圧可変機構を用いた二次転写ニップ圧のアクティブ制御について説明する。一般に二次転写部でのニップ圧は転写不良のない良好な転写性を実現するために総圧で3〜5kgf程度は必要である。しかし、このような圧設定の二次転写ニップに対して転写材Pが突入してきた場合、前記二次転写内ローラー1と前記二次転写外ローラー2の圧接面を押し広げる形で転写材Pが侵入するため、二次転写部に関わる駆動源には突発的な負荷変動が生じる。二次転写部におけるこのような突発的な負荷変動は、ショック画像として現れるため致命的である。同様に、転写材Pが二次転写ニップから脱出する際には、押し広げられた前記二次転写内ローラー1と二次転写外ローラー2の圧接面が急激に開放されるため、突発的な負荷変動が生じる。さらに、中間転写構成の画像形成装置の場合、二次転写部に入力された突発的な負荷変動は中間転写体を媒介して感光体上での露光ズレや一次転写部でのズレにも波及する(図8参照)。また、駆動源としてステッピングモ−タ−を使用している場合には、急激な負荷変動はモ−タ−脱調の原因にもなる。したがって、図4に示すような電界強度の制御を行う。図4の上段の図は横軸が時間、縦軸が画像形成装置内の搬送路の位置を示したものであり、二次転写部近傍のみを抜粋している。実線がある1枚の転写材Pの先端の動きを示し、破線がその後端の動きを示す。したがって、図中Lは転写材Pの副走査方向の長さ、Tは二次転写ニップの通過時間に相当し、aおよびbはそれぞれ転写材Pの二次転写ニップへの突脱ポイントになる。一方、図4の下段の図は同じ時間軸における電界の印加強度(縦軸)を示したダイアグラムである。すなわち、図4より、転写材Pが二次転写ニップに突入および脱出するタイミングでは電界の印加強度S2を低く設定し、一旦二次転写ニップに転写材Pが挟持された後に中間転写ベルト3上のトナー像Tを転写材Pに転写する際には電界の印加強度S1を高く設定し、転写性に要する所望のニップ圧を確保するように制御する。高生産性の画像形成装置になればなる程、ニップ突入後から転写開始までの時間または転写完了後からニップ脱出までの時間、および連続ジョブの場合の転写材Pの間隔が短くなるため、図4の下段の図に示すような矩形波の立ち上がりおよび立ち下がりを示す勾配Δを大きくする必要があり、電気粘性流体が有する高応答性かつ電圧印加強度に応じた連続的な粘性変化を利用することで、機械式のみの構成では限界であった生産性よりもさらに高い領域の画像形成装置が実現可能となる。なお、二次転写ニップへの転写材Pの突脱タイミングは、画像形成装置が有しているジャム検知用センサ等を利用すれば、搬送シ−ケンス上から容易に求めることができる。
次に、万一画像形成装置内において転写材Pの搬送が滞留または遅延を起こし、ジャムが発生した場合の制御について説明する。ジャム検知センサ等によりジャムが検知された時、前記電極9および前記高圧装置からなる電界フィールド形成装置によって印加される電界強度S3を前記S2以下のより低い値にする制御を行う。したがって、ジャム検知が行われたときのニップ圧はショック回避時のニップ圧よりも小さい圧となるため、ジャム処理時に転写材Pをニップから引き抜く作業が容易となり、また転写材Pが破れて破片が画像形成装置内に残ったりするトラブルを防止することができる。なお、前記電界強度S3はゼロ、すなわち図1における前記ピストンシリンダ11の構成(前記断面積AおよびB、前記加圧力F等)によって決まるニップ圧であっても構わない。したがって、図1では断面積AおよびBの大きさを異なる設定としたが、電界の印加強度がS1のときに転写性に要する所望のニップ圧が十分得られ、なおかつ電界の印加強度がS3のときにジャム処理性に弊害がないニップ圧まで下げることが可能であれば断面積AおよびBの比はこの限りではなく、加圧力Fの設定や電気粘性流体5の特性に合わせて最適値に設定すればよい。以上をまとめると、印加される電界強度の関係はS1>S2≧S3≧0となる。
次に、高生産性の画像形成装置の仕様に含まれる多種多様な転写材や気温や湿度等の使用環境の変化等に対応する制御について説明する。本実施例に示す二次転写装置を備えた画像形成装置は転写材の厚さ検知手段や種類検知手段や環境センサ等(いずれも不図示)を有し、これらの検知手段から得られた情報をもとに各条件下における最適ニップ圧を与える粘性にすべく電気粘性流体5に印加する電界強度S1およびS2の値を変化させる制御を行う。すなわち、図4の下段に示す図において、矩形波のS1およびS2のレベルを調整する制御を行う。その結果、気温や湿度等の環境条件による転写材の抵抗値や水分量の変化、あるいは普通紙やコート紙等の転写材条件による表面性や抵抗値の変化に応じた最適な転写性を確保することができ、安定した画像品質を得ることができる。また、転写材の坪量、厚さ、剛度等の変化に伴う突脱ショックの大小に応じた最適なショック回避動作を確保することができ、ショック画像のない安定した画像品質を得ることができる。なお、印加する電界強度の制御は、既知の条件テ−ブル等に基づいて行われるものとする。
次に、前記二次転写外ローラー2の表層材質の劣化等の経時変化に対する制御について説明する。二次転写外ローラーはスポンジローラーやゴムローラー等の表層が弾性材質で形成されたローラーであり、硬度や弾性等の特性が経時的に劣化するため、初期の加圧力設定のままではニップ圧が次第に減少していってしまう。そこで本実施例に示す二次転写装置は、前記二次転写内ローラー1の軸に前記二次転写外ローラー2から受ける力を検知する圧検知手段(不図示)を備えている。該圧検知手段は例えば、前記二次転写内ローラー1の軸の歪みを検知する歪みセンサや軸受け部での圧を検知する圧力センサ等を利用し、前記二次転写内ローラー2から受ける正味のニップ圧が求められる手段であればよい。該圧検知手段により得られた測定圧、すなわちその時点での実作用ニップ圧が転写性の観点から本来作用していなければならない所望の設定ニップ圧に対して差分を有していた場合、その差分を無くす補正をすべく印加される電界強度S1の値を調整し、電気粘性流体5の粘性を変化させる制御を行う。すなわち、図4の下段に示す図において、矩形波のS1のレベルを調整する制御を行う。その結果、耐久に伴うニップ圧の変動を常に一定に補正および維持できるため、これに起因する転写性の悪化を防ぎ、長期間にわたる画像品質の安定化が実現できる。また、交換部品の延命効果にもつながるため、メンテナンス作業に伴う画像形成装置のダウンタイム頻度も減少させることができる。
以上、本実施例で説明した構成によると、特に成果物に高い品質が要求される高生産性の画像形成装置において重要な課題となる、画像品質の安定化、生産性限界の引き上げ、およびダウンタイムの低減等に対して多大なメリットを有することができる。ちなみに、同様の課題を解決できる方式としてエア方式によるニップ圧可変制御が挙げられるが、本実施例の場合、少量の電気粘性流体と電界フィールド形成手段があれば制御可能であるため、コンプレッサ−やエアダクト等の大型で煩雑な付随装置が不要な小型化が実現できる点、また静音化が可能な点がメリットとなる。
なお、本実施例では中間転写ベルトを有する構成の二次転写部への適用について説明したが、転写体の種類、あるいは転写方式の種類、あるいはモノクロ・カラ−方式の種類等はこの限りではなく、対向および圧接する一対の回転体により静電転写プロセスが行われる構成であれば同様の効果が得られる。また、本実施例ではピストンシリンダ内に封入される流体として電気粘性流体を、フィールド形成手段として電極および高圧装置からなる電界フィールド形成手段を利用したが、電界または磁界、あるいは電界および磁界の印加により粘性特性が変化する流体およびそれに応じた電界または磁界、あるいは電界および磁界のフィールド形成手段であれば同様の効果が得られる。
図5は本発明に係る実施例2の画像形成装置が有するローラー対の断面の模式図である。ここではその一例として、中間転写構成を有する画像形成装置の定着部を挙げて説明する。図5において、定着装置50は内部にヒ−タ−51等の熱源を備えた定着ローラー52と該定着ローラー52に対して略対向および圧接することにより定着ニップを形成する加圧ローラー53を有する。定着ローラー52および加圧ローラー53はそれぞれアルミや鉄等の中空の芯金ローラー54の表層にゴム等の弾性層55を巻き付けることにより形成される。ここで、前記定着ローラー52および前記加圧ローラー53は各々回転可能な状態で軸両端を筺体56に支持され、各々不図示の駆動源および駆動伝達手段により回転駆動または従動する。前記定着ニップに対して、既に上流の二次転写部Sにおいて未定着のトナー像Tが二次転写された転写材Pが矢印Nの方向から突入する。その後、前記定着ニップにて挟持搬送される過程で、転写材P上の未定着トナー像Tは熱および圧により溶融し、永久画像として固着される。二次転写部の詳細については実施例1で述べたのでここでは省略する。なお、図5では定着方式の一例として加熱・加圧によるローラー定着方式を挙げたが、加圧による方式やローラー以外のパッドやベルト等を用いた定着方式であってもよく、対向および圧接する回転体により定着ニップが形成される構成であれば以下問題ない。
ここで、本実施例における前記加圧ローラー53は軸両端部を流体が封入されたピストンシリンダ57により支持されている。該ピストンシリンダ57はシリンダ部58、加圧ローラー53の軸受け部を兼ねるシリンダ軸方向に移動可能な蓋部材59、加圧力を付与する弾性部材500、該弾性部材からの加圧力を受けてシリンダ軸方向に移動可能なピストン部材501からなる。ピストンシリンダ57の内部には、印加する磁界の強度に応じて粘性特性が変化する磁気粘性流体(Magneto Rheological Fluid ;MR流体)502が封入されている。さらに、前記ピストン部材501と磁気粘性流体502の接触面を含むシリンダ軸方向の一部の領域の磁気粘性流体に対して、対向する位置からシリンダ軸に対して略垂直方向に磁界を印加する一対の電磁石503を有する。該電磁石503は鉄芯等の芯金504に巻かれたコイル505に電圧可変装置506からの印加電圧の強度に応じた電流Iが流れることでN極およびS極を形成し、図5に示すように磁気粘性流体を挟む一対の電磁石のN極とS極を互いに対向させるように配置する。したがって、本実施例では電磁石503および電圧可変装置10は内部に封入された磁気粘性流体に対する磁界フィールド形成手段として機能する。
ここで、前記磁気粘性流体502は印加される磁界強度により見かけの粘度が瞬間的かつ可逆的に変化する流体であり、一般的には磁界の印加強度を上げると粘度が広範囲で連続的に増加する特性を示す。構造的には、ベース液となる溶媒に表面を強固に化学吸着する界面活性剤で処理した強磁性物質の超微粒子(直径10nm以下)を高濃度に分散させた極めて安定的なコロイド溶液である。粘性変化の原理は図3に示した電気粘性流体と同様、磁界の印加に伴う超微粒子の配列化やクラスタ−形成によるものであると考えられている。なお、分散溶媒としては水やアルキルナフタリン、イソパラフィン、ポリαオレフィン等の炭化水素系オイルやフッ素系オイルがあり、磁性材としてはほとんどがマグネタイト等のスピネル形のフェライトが使用される。組成により特性の異なる磁気粘性流体ができるため用途に応じた選択をすればよく、本実施例では分散溶媒としてアルキルナフタリン、磁性体としてMn−Zn系複合フェライトを選択する。
次に、本実施例におけるニップ圧の可変制御について説明する。本実施例では、前記電磁石503および電圧可変装置506からなる磁界フィールド形成手段による磁界の印加がない場合、前記弾性部材500により与えられた加圧力Fはパスカルの原理に基づき前記ピストン部材501の断面積Aと前記蓋部材59の断面積Bの比でニップ圧として得られる。これに対し、磁界フィールド形成手段により磁界の印加が行われた場合、前記磁気粘性流体502のうち前記電磁石503の間に存在する領域においてベース液および磁性体等の組成に基づく粘性特性の変化が生じる。その結果、前記断面積Bを絞るのと等価な現象により、ニップ圧が増加する。逆に印加される磁界強度を下げた場合には、磁気粘性流体502の粘性が低くなるため、一旦絞られた前記断面積Bが広がるのと等価となりニップ圧が減少する。以上の原理により、定着ニップにおけるニップ圧を広範囲にわたり連続的に可変とすることができる。なお、磁気粘性流体の磁界印加に対する粘度変化の応答速度は数msec程度であり、従来のモ−タ−やソレノイド等の電気部品を用いた機械構成に比べると非常に高応答であり、制御の限界を高くすることができる。また、比較的弱い磁場でも粘度が大幅に増加し、103倍程度の広範囲にわたる粘性変化を容易に実現することができる。
次に、上記のニップ圧可変機構を用いた定着ニップ圧のアクティブ制御について説明する。一般に定着部でのニップ圧は良好な定着性を実現するために総圧で50〜100kgf程度は必要である。しかし、このような圧設定の定着ニップに対して転写材Pが突入してきた場合、転写材Pは前記定着ローラー52と前記加圧ローラー53の圧接面を押し広げる形で侵入しなければならないため、搬送速度に突発的は変動が生じる。一般に、転写材Pは二次転写ニップおよび定着ニップの双方にまたがって挟持されることが多く、このような定着突入時における突発的な搬送速度変動は、二次転写部におけるショック画像として現れるため致命的である。従来、定着突入時のショックを回避する方法として、二次転写ニップから定着ニップまでの距離を仕様中の最大紙サイズ以上とする構成があるが、必然的に画像形成装置のサイズが大型化してしまうという欠点がある。また、近年は様々な条件に基づく微調整や制御が容易であるというメリットから、駆動源としてステッピングモ−タ−を使用している場合があるが、先述のような転写材Pの突入に伴う急激な負荷変動はモ−タ−脱調の原因にもなる。同様に、転写材Pが定着ニップから脱出する際にも、押し広げられた前記定着ローラー52と加圧ローラー53の圧接面が急激に開放されるため、突発的な負荷変動によるモ−タ−脱調が懸念される。したがって、図6に示すような磁界強度の制御を行う。図6の上段の図は横軸が時間、縦軸が画像形成装置内の搬送路の位置を示したものであり、定着部近傍のみを抜粋している。実線がある1枚の転写材Pの先端の動きを示し、破線がその後端の動きを示す。したがって、図中Lは転写材Pの副走査方向の長さ、Tは定着ニップの通過時間に相当し、aおよびbはそれぞれ転写材Pの定着ニップへの突脱ポイントになる。一方、図6の下段の図は同じ時間軸における磁界の印加強度(縦軸)を示したダイアグラムである。すなわち、図6より、転写材Pが定着ニップに突入および脱出するタイミング(ポイントaおよびb)では磁界の印加強度S2を低く設定し、一旦定着ニップに転写材Pが挟持された後に転写材P上の未定着トナー像を溶融・定着する際には磁界の印加強度S1を高く設定し、定着性に要する所望のニップ圧を確保するように制御する。なお、磁界の印加強度の制御は前記磁界フィールド形成手段により、前記コイル505に流す電流Iの大きさを変化させて行う。高生産性の画像形成装置になればなる程、ニップ突入後から定着開始までの時間または定着完了後からニップ脱出までの時間、および連続ジョブの場合の転写材Pの間隔が短くなるため、図6の下段の図に示すような矩形波の立ち上がりおよび立ち下がりを示す勾配Δを大きくする必要があり、さらに定着ニップの場合は変化させなければならない圧の幅が非常に大きい。これに対して本実施例では、磁気粘性流体が有する高応答性かつ磁界印加強度に応じた連続的で広範囲にわたる粘性変化の特長を利用することで、機械式のみの構成では限界であった生産性よりもさらに高い領域の画像形成装置の実現を可能としている。なお、定着ニップへの転写材Pの突脱タイミングは、画像形成装置が有しているジャム検知用センサ等を利用すれば、搬送シ−ケンス上から容易に求めることができる。
次に、万一画像形成装置内において転写材Pの搬送が滞留または遅延を起こし、ジャムが発生した場合の制御について説明する。ジャム検知センサ等によりジャムが検知された時、前記電磁石503および前記電圧可変装置506からなる磁界フィールド形成手段によって印加される磁界強度S3を前記S2以下のより低い値にする制御を行う。したがって、ジャム検知が行われたときのニップ圧はショック回避時のニップ圧よりも小さい圧となるため、ジャム処理時に転写材Pをニップから引き抜く作業が容易となり、また転写材Pが破れて破片が画像形成装置内に残ったりするトラブルを防止することができる。なお、前記磁界強度S3はゼロ、すなわち図5における前記ピストンシリンダ57の構成(前記断面積AおよびB、前記加圧力F等)によって決まるニップ圧であっても構わない。したがって、図5では断面積AおよびBの大きさを異なる設定としたが、磁界の印加強度がS1のときに定着性に要する所望のニップ圧が十分得られ、なおかつ磁界の印加強度がS3のときにジャム処理性に弊害がないニップ圧まで下げることが可能であれば断面積AおよびBの比はこの限りではなく、加圧力Fの設定や磁気粘性流体502の特性に合わせて最適値に設定すればよい。以上をまとめると、印加される磁界強度の関係はS1>S2≧S3≧0となる。
次に、高生産性の画像形成装置の仕様に含まれる多種多様な転写材や気温や湿度等の使用環境の変化等に対応する制御について説明する。本実施例に示す定着装置を備えた画像形成装置は転写材の厚さ検知手段や種類検知手段や環境センサ等(いずれも不図示)を有し、これらの検知手段から得られた情報をもとに各条件下における最適ニップ圧を与える粘性にすべく磁気粘性流体502に印加する磁界強度S1およびS2の値を変化させる制御を行う。すなわち、図6の下段に示す図において、矩形波のS1およびS2のレベルを調整する制御を行う。その結果、気温や湿度等の環境条件による転写材の水分量の変化、あるいは普通紙やコート紙等の転写材条件による坪量や表面性の変化に応じた最適な定着性を確保することができ、光沢性や発色性の安定した良好な画像品質を得ることができる。また、転写材の坪量、厚さ、剛度等の変化に伴う突脱ショックの大小に応じた最適なショック回避動作を確保することができ、ショック画像のない安定した画像品質を得ることができる。なお、印加する磁界強度の制御は、既知の条件テ−ブル等に基づいて最適な電流Iを前記コイル505に流すことにより行われるものとする。
次に、前記定着ローラー52および前記加圧ローラー53の表層材質の劣化等の経時変化に対する制御について説明する。前記定着ローラー52および前記加圧ローラー53の表層はゴム等の弾性材質で形成されており、硬度や弾性等の特性が経時的に劣化するため、初期の加圧力設定のままではニップ圧が次第に減少していってしまう。そこで本実施例に示す定着装置は、前記定着ローラー52の軸に前記加圧ローラー53から受ける力を検知する圧検知手段(不図示)を備えている。該圧検知手段は例えば、前記定着ローラー52の軸の歪みを検知する歪みセンサや軸受け部での圧を検知する圧力センサ等を利用し、前記加圧ローラー53から受ける正味のニップ圧が求められる手段であればよい。該圧検知手段により得られた測定圧、すなわちその時点での実作用ニップ圧が定着性の観点から本来作用していなければならない所望の設定ニップ圧に対して差分を有していた場合、その差分を無くす補正をすべく印加される磁界強度S1の値を調整し、磁気粘性流体502の粘性を変化させる制御を行う。すなわち、図6の下段に示す図において、矩形波のS1のレベルを調整する制御を行う。その結果、耐久に伴うニップ圧の変動を常に一定に補正および維持できるため、これに起因する定着性の悪化を防ぎ、長期間にわたる画像品質の安定化が実現できる。また、定着ローラー52や加圧ローラー53等の交換部品の延命効果にもつながるため、メンテナンス作業に伴う画像形成装置のダウンタイム頻度も減少させることができる。
以上、本実施例で説明した構成によると、特に成果物に高い品質が要求される高生産性の画像形成装置において重要な課題となる、画像品質の安定化、生産性限界の引き上げ、およびダウンタイムの低減等に対して多大なメリットを有することができる。また、二次転写ニップから定着ニップまでの距離を短くする構成が可能となるため、画像形成装置の小型化にも貢献する。ちなみに、エア加圧方式に装置の場合も、定着ニップ圧の可変制御が応答性よく広範囲にわたって行えるが、本実施例の場合、少量の磁気粘性流体と磁界フィールド形成手段があれば制御可能であるため、コンプレッサ−やエアダクト等の大型で煩雑な付随装置が不要な小型化が実現できる点、また静音化が可能な点がメリットとなる。
なお、本実施例における転写部は中間転写ベルトを有する構成であったが、転写体の種類、あるいは転写方式の種類、あるいはモノクロ・カラ−方式の種類等はこの限りではなく、対向および圧接する一対の回転体により静電転写プロセスが行われる構成の転写装置と定着装置の間の関係であれば同様の効果が得られる。また、本実施例ではピストンシリンダ内に封入される流体として磁気粘性流体を、フィールド形成手段として電磁石および電圧可変装置からなる磁界フィールド形成手段を利用したが、電界または磁界、あるいは電界および磁界の印加により粘性特性が変化する流体およびそれに応じた電界または磁界、あるいは電界および磁界のフィールド形成手段であれば同様の効果が得られる。
図7は本発明に係る画像形成装置が有するローラー対の断面の模式図である。ここではその一例として、中間転写構成を有する画像形成装置のレジスト部を挙げて説明する。図7において、レジスト駆動ローラー70およびレジスト従動ローラー71は互いに略対向した位置にあり、いずれも軸両端部を回転可能に支持され、レジスト従動ローラー71がレジスト駆動ローラー70に対して圧接することでレジストニップを形成している。該レジストニップに対して上流にある搬送ローラー対79は、前記レジスト駆動ローラー70による搬送速度よりも大きな搬送速度で転写材Pを矢印Nの方向に突入させることで、両者の搬送速度差によりレジストニップ部にて転写材Pにル−プを形成する。その結果、給紙部からの搬送過程で発生した転写材Pの斜行量等をレジストニップ部においてキャンセルすることができる構成となっている。以上の原理により斜行量がキャンセルされた転写材Pは、中間転写ベルト3上のトナー像Tが図中の矢印M方向から二次転写ニップSに来るタイミングに合わせて、前記レジスト駆動ローラー70および前記レジスト従動ローラー71により送り出される。なお、前記レジスト駆動ローラー70および前記レジスト従動ローラー71は不図示の駆動源および駆動伝達手段により回転駆動または従動するものとする。
ここで、本実施例における前記レジスト従動ローラー71は軸両端部を流体が封入されたピストンシリンダ72により支持されている。該ピストンシリンダ72はシリンダ部73、レジスト従動ローラー71の軸受け部を兼ねるシリンダ軸方向に移動可能な蓋部材74、加圧力を付与する弾性部材75、該弾性部材からの加圧力を受けてシリンダ軸方向に移動可能なピストン部材76からなる。ピストンシリンダ72の内部には、印加される電界および磁界の強度に応じて粘性特性が変化する電気磁気粘性流体77が封入されている。さらに、前記ピストン部材76と電気磁気粘性流体77の接触面を含むシリンダ軸方向の一部の領域の電気磁気粘性流体に対して、対向する位置からシリンダ軸に対して略垂直方向から電界および磁界を印加する電磁界フィールド形成手段78を有する。電界および磁界を印加するフィールド形成手段の構成は既に実施例1および2で説明したため、ここでは省略する。
ここで、前記電気磁気粘性流体77は印加される電界および磁界の強度により見かけの粘度が瞬間的かつ可逆的に変化する流体であり、一般的には印加電圧を上げると粘度が広範囲で連続的に増加する特性を示す。構造および粘性変化の原理は実施例1で説明した電気粘性流体および実施例2で説明した磁気粘性流体とほぼ同様であるため、省略する。
次に、本実施例におけるニップ圧の可変制御について説明する。本実施例では、前記電磁界フィールド形成手段78による電界および磁界の印加がない場合、前記弾性部材75により与えられた加圧力Fはパスカルの原理に基づき前記ピストン部材76の断面積Aと前記蓋部材74の断面積Bの比でニップ圧として得られる。これに対し、前期電磁界フィールド形成手段78により電界および磁界の印加が行われた場合、前記電気磁気粘性流体77のうち前記電磁界フィールド形成手段78の間に存在する領域において粘性特性の変化が生じる。その結果、前記断面積Bを絞るのと等価な現象により、ニップ圧が増加する。逆に印加される電界および磁界の強度を下げた場合には、電気磁気粘性流体77の粘性が低くなるため、一旦絞られた前記断面積Bが広がるのと等価となりニップ圧が減少する。以上の原理により、レジストニップにおけるニップ圧を広範囲にわたり連続的に可変とすることができる。なお、電気磁気粘性流体の電界および磁界印加に対する粘度変化の応答速度は数msec程度であり、従来のモ−タ−やソレノイド等の電気部品を用いた機械構成に比べると非常に高応答であり、制御の限界を高くすることができる。
次に、上記のニップ圧可変機構を用いたレジストニップ圧のアクティブ制御について説明する。一般にレジスト部でのニップ圧は、図7に示した上流の搬送ローラー対72が押し込む力によって転写材Pがレジストニップから突き抜けてしまわないように総圧で2〜4kgf程度は必要である。しかし、このような圧設定のレジストニップに対して転写材Pが突入してきた場合、前記レジスト駆動ローラー70と前記レジスト従動ローラー71の圧接面を押し広げる形で転写材Pが侵入するため、レジスト部に関わる駆動源には突発的な搬送速度変動および負荷変動が生じる。同様に、転写材Pがレジストニップから脱出する際には、押し広げられた前記レジスト駆動ローラー70とレジスト従動ローラー71の圧接面が急激に開放されるため、突発的な搬送速度変動および負荷変動が生じる。一般に、転写材Pはレジストニップと二次転写ニップの両方に挟持された状態で搬送されるため、特に転写材Pの後端がレジストニップから脱出する際の突発的な搬送速度変動は二次転写部におけるショック画像として現れてしまう。また、駆動源としてステッピングモ−タ−を使用している場合には、先述のような突脱時に伴う急激な負荷変動はモ−タ−脱調の原因にもなる。したがって、本実施例では転写材Pがレジストニップに対して突入および脱出するタイミングと挟持搬送中のニップ圧を制御することで上記のようなショックを回避する。具体的な電磁界強度の制御については、既に実施例1および実施例2において説明した概念と同様であるため、ここでは詳細は省略する(図4および図6参照)。さらに、画像形成装置内においてジャムが発生した場合の制御についても既に実施例1および実施例2において説明した概念と同様、印加される電磁界強度の関係をS1>S2≧S3≧0とすることで搬送性、ショック回避およびジャム処理性を実現できる。
また、高生産性の画像形成装置の仕様に含まれる多種多様な転写材や気温や湿度等の使用環境の変化等に対応する制御についても、既に実施例1および実施例2で説明した方法と同様である。すなわち、画像形成装置内に有する転写材の厚さ検知手段や種類検知手段や環境センサ等の情報をもとに、各条件下における最適ニップ圧を与える粘性にすべく電気磁気粘性流体に印加する電磁界強度S1およびS2の値を変化させる制御を行う。その結果、気温や湿度等の環境条件による転写材の水分量や剛度の変化、あるいは普通紙やコート紙等の転写材条件による坪量、厚さ、剛度等の変化に応じた突脱ショックの大小に追従する最適なショック回避動作を確保することができる。さらに、前記レジスト駆動ローラー70およびレジスト従動ローラー71の表層材質の劣化等の経時変化に対する制御についても実施例1および実施例2で既に説明した通りである。すなわち、本実施例に示すレジスト装置は、前記レジスト駆動ローラー70の軸に前記レジスト加圧ローラー71から受ける力を検知する圧検知手段を備え、該圧検知手段により得られた実作用ニップ圧と搬送性の観点から本来作用していなければならない所望の設定ニップ圧との差分を補正すべく印加される電磁界強度S1の値を調整する制御を行う。その結果、耐久に伴うニップ圧の変動を常に一定に補正および維持できるため、これに起因する搬送性の悪化を防ぎ、長期間にわたる斜行安定化が実現できる。また、交換部品の延命効果にもつながるため、メンテナンス作業に伴う画像形成装置のダウンタイム頻度も減少させることができる。
以上、本実施例で説明した構成によると、特に成果物に高い品質が要求される高生産性の画像形成装置において重要な課題となる、画像品質の安定化、生産性限界の引き上げ、およびダウンタイムの低減等に対して実施例1および実施例2と同等のメリットを有することができる。なお、本実施例における転写部は中間転写ベルトを有する構成であったが、転写体の種類、あるいは転写方式の種類、あるいはモノクロ・カラ−方式の種類等はこの限りではなく、対向および圧接する一対の回転体により静電転写プロセスが行われる構成の転写装置とレジスト装置の間の関係であれば同様の効果が得られる。また、本実施例ではピストンシリンダ内に封入される流体として電気磁気粘性流体を、フィールド形成手段として電磁界フィールド形成手段を利用したが、実施例1で説明したような電界の印加のみに感応する電気粘性流体と電界フィールド形成手段の組み合わせや、実施例2で説明したような磁界の印加のみに感応する磁気粘性流体と磁界フィールド形成手段の組み合わせであっても勿論構わない。
また、実施例1から実施例3に至る構成を複合させることにより、レジスト部、二次転写部、および定着部の一連の転写材Pの流れに対してショックを回避する制御を行うこともできる。
上記の実施形態においては以下の効果が得られる。
(1)少なくとも帯電装置、露光装置、現像装置、感光体、転写体、転写装置、定着装置および転写材の搬送装置を備え、互いに対向する回転体が圧接することによる加圧力で転写材の搬送または画像形成プロセスが行われる電子写真方式の画像形成装置に関する。該構成を備えた画像形成装置において、互いに対向および圧接する回転体のうちいずれか一方が、電界または磁界、あるいは電界および磁界の印加の強度により粘性特性が変化する流体が封入されたピストンシリンダの一端に設けられたシリンダ軸方向へ可動な蓋部材によって支持される。一方、該ピストンシリンダの他端は加圧力付与手段により押圧されるシリンダ軸方向へ可動なピストン部材を備える。さらに、少なくとも該ピストン部材と内部に封入される前記流体との接触面を含むシリンダ軸方向の一部の領域における流体に対して、シリンダを挟む対向位置からシリンダ軸に対して略垂直方向に電界または磁界、あるいは電界および磁界を印加するフィールド形成手段を備える。該フィールド形成手段により印加される電界または磁界、あるいは電界および磁界の強度を回転体の圧接部に対する転写材の状況、すなわち突入、挟持中、脱出に応じて任意に変化させることによって、回転体の圧接部における加圧力を制御する。以上によって、回転体の圧接部に対して転写材が突入または脱出した際に生じる回転変動やショックを回避する加圧力と、搬送または画像形成プロセスに要する所望の加圧力とを選択することで、状況に応じた最適な加圧力の制御が可能となる。また、電界または磁界、電界および磁界の印加強度に応じた連続的かつ高応答な粘性特性の変化により、転写材間隔が狭い高生産性の画像形成条件下においても滑らかに追従できる。その結果、ショック跡やムラ等の画像不良や、急激なトルク変動に伴うモ−タ−の脱調を防止することができる。
(2)(1)に記載の画像形成装置において、互いに対向する回転体の圧接部に対して転写材が挟持中の状況、すなわち搬送や画像形成プロセスの過程にある場合において、前記フィールド形成手段により前記ピストンシリンダ内に封入された流体に対して印加される電界または磁界、電界および磁界の強度をS1とする。また、圧接部に対して転写材が突入または脱出する場合において、前記フィールド形成手段により前記ピストンシリンダ内に封入された流体に対して印加される電界または磁界、電界および磁界の強度をS2とする。また、画像形成装置内における転写材の滞留または遅延によるジャムが検知された場合において、前記フィールド形成手段により前記ピストンシリンダ内に封入された流体に対して印加される電界または磁界、電界および磁界の強度をS3とする。このとき、S1、S2およびS3の間にはS1>S2≧S3≧0 の関係がある。以上により、搬送や画像形成プロセスに要する所望の加圧力が最も大きく、転写材の突入および脱出時のショック発生時にはショックが発生しないレベルまで加圧力を低下させ、ジャム発生時には転写材が破れて破片が残留したり、ジャム処理性の弊害がないようにさらに加圧力を低下させることができる。
(3)(2)に記載の画像形成装置において、使用環境および転写材の種類の情報を検知する検知手段を備える。該検知情報に基づいて電界または磁界、電界および磁界の前記強度S1およびS2の値を任意に選択し、回転体の圧接部における加圧力を制御する。以上により、幅広い坪量の転写材に応じた様々な突入および脱出時のショックを回避できる。また、温度や湿度等の使用環境や、コ−トの有無等の転写材表面の条件に応じた最適な画像形成プロセス条件に寄与する加圧力に制御することができる。いずれも、電界または磁界、電界および磁界の印加強度に応じて粘性特性が広い範囲で連続的に変化する特長と高応答な変化が可能な特長を利用することで、画像安定性や高生産性を実現できる。
(4)(2)〜(3)に記載の画像形成装置において、互いに対向する回転体の圧接部における加圧力を検知する圧検知手段を備える。該圧検知手段により得られた測定圧が予め規定されている転写材の搬送または画像形成プロセスに係る所望の圧に対して差異が発生した場合には、前記フィールド形成手段により印加する電界または磁界、電界および磁界の強度S1の設定値を調整して、該差異を無くすように補正する。以上により、回転体の表層を形成する弾性体の経時変化等に起因する圧接部における加圧力の変化に対しても、随時補正をかけることで一定に保つことができる。その結果、長期にわたる画像安定性や部品交換サイクルの延長が可能となる。
(5)(1)〜(4)に記載の画像形成装置において、互いに対向する回転体の圧接部はトナー像を転写材上に転写する転写ニップである。該転写ニップを形成するいずれか一方の回転体が電界または磁界、あるいは電界および磁界の印加の大きさにより粘性特性が変化する流体が封入された前記ピストンシリンダにより支持される。さらに、転写ニップに対する転写材の状況、すなわち突入、転写、脱出に応じて前記フィールド形成手段により印加される電界または磁界、あるいは電界および磁界の強度を任意に変化させることにより、転写圧を制御する。以上により、転写材の突入および脱出時のショックに伴う転写ズレや、中間転写体等を媒介することで発生する感光体上での露光ズレ等の画像不良を回避することができる。また、温度や湿度等の使用環境や、転写材の種類等の条件によって影響を受けやすい転写性の課題に対しても、最適な加圧力を広範囲、高応答で連続的に変化する粘性特性の中から任意に選択することができるため、アクティブ制御が可能となる。
(6)(1)〜(4)に記載の画像形成装置において、互いに対向する回転体の圧接部は転写材上に転写された未定着トナー像を定着する定着ニップである。該定着ニップを形成するいずれか一方の回転体が電界または磁界、あるいは電界および磁界の印加の大きさにより粘性特性が変化する流体が封入された前記ピストンシリンダにより支持される。さらに、定着ニップに対する転写材の状況、すなわち突入、定着、脱出に応じて前記フィールド形成手段により印加される電界または磁界、あるいは電界および磁界の強度を任意に変化させることにより、定着圧を制御する。以上により、転写材の定着突入時のショックに伴う転写ズレ等の画像不良を回避することができる。また、加圧力が比較的高い定着ニップへの突入または脱出時に発生する急激なトルク変動を回避できるため、モ−タ−の脱調防止にもなる。また、温度や湿度等の使用環境や、転写材の種類等の条件によって影響を受けやすい定着性の課題に対しても、最適な加圧力を、広範囲、高応答で連続的に変化する粘性特性の中から任意に選択することができるため、アクティブ制御が可能となる。
(7)(1)〜(4)に記載の画像形成装置において、互いに対向する回転体の圧接部は給紙部からの搬送過程で発生した転写材の斜行補正と転写部への受け渡し搬送を行うレジストニップである。該レジストニップを形成するいずれか一方の回転体が電界または磁界、あるいは電界および磁界の印加の大きさにより粘性特性が変化する流体が封入された前記ピストンシリンダにより支持される。さらに、レジストニップに対する転写材の状況、すなわち突入、搬送、脱出に応じて前記フィールド形成手段により印加される電界または磁界、あるいは電界および磁界の強度を任意に変化させることにより、レジスト圧を制御する。以上により、転写材のレジストニップ脱出時のショックに伴う転写ズレ等の画像不良を回避することができる。
(1)少なくとも帯電装置、露光装置、現像装置、感光体、転写体、転写装置、定着装置および転写材の搬送装置を備え、互いに対向する回転体が圧接することによる加圧力で転写材の搬送または画像形成プロセスが行われる電子写真方式の画像形成装置に関する。該構成を備えた画像形成装置において、互いに対向および圧接する回転体のうちいずれか一方が、電界または磁界、あるいは電界および磁界の印加の強度により粘性特性が変化する流体が封入されたピストンシリンダの一端に設けられたシリンダ軸方向へ可動な蓋部材によって支持される。一方、該ピストンシリンダの他端は加圧力付与手段により押圧されるシリンダ軸方向へ可動なピストン部材を備える。さらに、少なくとも該ピストン部材と内部に封入される前記流体との接触面を含むシリンダ軸方向の一部の領域における流体に対して、シリンダを挟む対向位置からシリンダ軸に対して略垂直方向に電界または磁界、あるいは電界および磁界を印加するフィールド形成手段を備える。該フィールド形成手段により印加される電界または磁界、あるいは電界および磁界の強度を回転体の圧接部に対する転写材の状況、すなわち突入、挟持中、脱出に応じて任意に変化させることによって、回転体の圧接部における加圧力を制御する。以上によって、回転体の圧接部に対して転写材が突入または脱出した際に生じる回転変動やショックを回避する加圧力と、搬送または画像形成プロセスに要する所望の加圧力とを選択することで、状況に応じた最適な加圧力の制御が可能となる。また、電界または磁界、電界および磁界の印加強度に応じた連続的かつ高応答な粘性特性の変化により、転写材間隔が狭い高生産性の画像形成条件下においても滑らかに追従できる。その結果、ショック跡やムラ等の画像不良や、急激なトルク変動に伴うモ−タ−の脱調を防止することができる。
(2)(1)に記載の画像形成装置において、互いに対向する回転体の圧接部に対して転写材が挟持中の状況、すなわち搬送や画像形成プロセスの過程にある場合において、前記フィールド形成手段により前記ピストンシリンダ内に封入された流体に対して印加される電界または磁界、電界および磁界の強度をS1とする。また、圧接部に対して転写材が突入または脱出する場合において、前記フィールド形成手段により前記ピストンシリンダ内に封入された流体に対して印加される電界または磁界、電界および磁界の強度をS2とする。また、画像形成装置内における転写材の滞留または遅延によるジャムが検知された場合において、前記フィールド形成手段により前記ピストンシリンダ内に封入された流体に対して印加される電界または磁界、電界および磁界の強度をS3とする。このとき、S1、S2およびS3の間にはS1>S2≧S3≧0 の関係がある。以上により、搬送や画像形成プロセスに要する所望の加圧力が最も大きく、転写材の突入および脱出時のショック発生時にはショックが発生しないレベルまで加圧力を低下させ、ジャム発生時には転写材が破れて破片が残留したり、ジャム処理性の弊害がないようにさらに加圧力を低下させることができる。
(3)(2)に記載の画像形成装置において、使用環境および転写材の種類の情報を検知する検知手段を備える。該検知情報に基づいて電界または磁界、電界および磁界の前記強度S1およびS2の値を任意に選択し、回転体の圧接部における加圧力を制御する。以上により、幅広い坪量の転写材に応じた様々な突入および脱出時のショックを回避できる。また、温度や湿度等の使用環境や、コ−トの有無等の転写材表面の条件に応じた最適な画像形成プロセス条件に寄与する加圧力に制御することができる。いずれも、電界または磁界、電界および磁界の印加強度に応じて粘性特性が広い範囲で連続的に変化する特長と高応答な変化が可能な特長を利用することで、画像安定性や高生産性を実現できる。
(4)(2)〜(3)に記載の画像形成装置において、互いに対向する回転体の圧接部における加圧力を検知する圧検知手段を備える。該圧検知手段により得られた測定圧が予め規定されている転写材の搬送または画像形成プロセスに係る所望の圧に対して差異が発生した場合には、前記フィールド形成手段により印加する電界または磁界、電界および磁界の強度S1の設定値を調整して、該差異を無くすように補正する。以上により、回転体の表層を形成する弾性体の経時変化等に起因する圧接部における加圧力の変化に対しても、随時補正をかけることで一定に保つことができる。その結果、長期にわたる画像安定性や部品交換サイクルの延長が可能となる。
(5)(1)〜(4)に記載の画像形成装置において、互いに対向する回転体の圧接部はトナー像を転写材上に転写する転写ニップである。該転写ニップを形成するいずれか一方の回転体が電界または磁界、あるいは電界および磁界の印加の大きさにより粘性特性が変化する流体が封入された前記ピストンシリンダにより支持される。さらに、転写ニップに対する転写材の状況、すなわち突入、転写、脱出に応じて前記フィールド形成手段により印加される電界または磁界、あるいは電界および磁界の強度を任意に変化させることにより、転写圧を制御する。以上により、転写材の突入および脱出時のショックに伴う転写ズレや、中間転写体等を媒介することで発生する感光体上での露光ズレ等の画像不良を回避することができる。また、温度や湿度等の使用環境や、転写材の種類等の条件によって影響を受けやすい転写性の課題に対しても、最適な加圧力を広範囲、高応答で連続的に変化する粘性特性の中から任意に選択することができるため、アクティブ制御が可能となる。
(6)(1)〜(4)に記載の画像形成装置において、互いに対向する回転体の圧接部は転写材上に転写された未定着トナー像を定着する定着ニップである。該定着ニップを形成するいずれか一方の回転体が電界または磁界、あるいは電界および磁界の印加の大きさにより粘性特性が変化する流体が封入された前記ピストンシリンダにより支持される。さらに、定着ニップに対する転写材の状況、すなわち突入、定着、脱出に応じて前記フィールド形成手段により印加される電界または磁界、あるいは電界および磁界の強度を任意に変化させることにより、定着圧を制御する。以上により、転写材の定着突入時のショックに伴う転写ズレ等の画像不良を回避することができる。また、加圧力が比較的高い定着ニップへの突入または脱出時に発生する急激なトルク変動を回避できるため、モ−タ−の脱調防止にもなる。また、温度や湿度等の使用環境や、転写材の種類等の条件によって影響を受けやすい定着性の課題に対しても、最適な加圧力を、広範囲、高応答で連続的に変化する粘性特性の中から任意に選択することができるため、アクティブ制御が可能となる。
(7)(1)〜(4)に記載の画像形成装置において、互いに対向する回転体の圧接部は給紙部からの搬送過程で発生した転写材の斜行補正と転写部への受け渡し搬送を行うレジストニップである。該レジストニップを形成するいずれか一方の回転体が電界または磁界、あるいは電界および磁界の印加の大きさにより粘性特性が変化する流体が封入された前記ピストンシリンダにより支持される。さらに、レジストニップに対する転写材の状況、すなわち突入、搬送、脱出に応じて前記フィールド形成手段により印加される電界または磁界、あるいは電界および磁界の強度を任意に変化させることにより、レジスト圧を制御する。以上により、転写材のレジストニップ脱出時のショックに伴う転写ズレ等の画像不良を回避することができる。
1 二次転写内ローラー
2 二次転写外ローラー
4 蓋部材
5 電気粘性流体
6 シリンダ部
7 ピストン部材
11 ピストンシリンダ
2 二次転写外ローラー
4 蓋部材
5 電気粘性流体
6 シリンダ部
7 ピストン部材
11 ピストンシリンダ
Claims (8)
- 少なくとも帯電装置、露光装置、現像装置、感光体、転写体、転写装置、定着装置および転写材の搬送装置を備え、互いに対向する回転体が圧接することによる加圧力で転写材の搬送または画像形成プロセスが行われる電子写真方式の画像形成装置において、
互いに対向および圧接する回転体のうちいずれか一方は、電界または磁界、あるいは電界および磁界の印加の強度により粘性特性が変化する流体が封入されたピストンシリンダの一端に設けられたシリンダ軸方向へ可動な蓋部材によって支持され、該ピストンシリンダの他端は加圧力付与手段により押圧されるシリンダ軸方向へ可動なピストン部材を備えるとともに、少なくとも該ピストン部材と内部に封入される前記流体との接触面を含むシリンダ軸方向の一部の領域における流体に対して、シリンダを挟む対向位置からシリンダ軸に対して略垂直方向に電界または磁界、あるいは電界および磁界を印加するフィールド形成手段を備え、該フィールド形成手段により印加される電界または磁界、あるいは電界および磁界の強度を、回転体の圧接部に対する転写材の状況に応じて任意に変化させることによって、回転体の圧接部における加圧力を制御することを特徴とする画像形成装置。 - 前記回転体の圧接部に対する転写材の状況は、前記回転体に転写材が突入するとき、前記回転体に転写材が挟持されているとき、前記回転体から転写材が脱出するときの状況であって、該状況に応じて回転体の圧接部における加圧力を変化させるように制御することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
- 請求項1または請求項2に記載の画像形成装置において、互いに対向する回転体の圧接部に対して転写材が挟持中の状況、又は、搬送や画像形成プロセスの過程にある場合において、前記フィールド形成手段により前記ピストンシリンダ内に封入された流体に対して印加される電界または磁界、電界および磁界の強度をS1、圧接部に対して転写材が突入または脱出する場合において、前記フィールド形成手段により前記ピストンシリンダ内に封入された流体に対して印加される電界または磁界、電界および磁界の強度をS2、画像形成装置内における転写材の滞留または遅延によるジャムが検知された場合において、前記フィールド形成手段により前記ピストンシリンダ内に封入された流体に対して印加される電界または磁界、電界および磁界の強度をS3とすると、これらの間にはS1>S2≧S3≧0 の関係があることを特徴とする画像形成装置。
- 請求項3に記載の画像形成装置において、使用環境および転写材の種類の情報を検知する検知手段を備え、該検知情報に基づいて電界または磁界、電界および磁界の前記強度S1およびS2の値を任意に選択することによって、回転体の圧接部における加圧力を制御することを特徴とする画像形成装置。
- 請求項3または請求項4に記載の画像形成装置において、互いに対向する回転体の圧接部における加圧力を検知する圧検知手段を備え、該圧検知手段により得られた測定圧が予め規定されている転写材の搬送または画像形成プロセスに係る予め定められた圧に対して差異を有する場合、該差異を補正すべく前記フィールド形成手段により前記ピストンシリンダ内に封入された流体に対して印加される電界または磁界、電界および磁界の強度S1の設定値を調整することを特徴とする画像形成装置。
- 請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の画像形成装置において、互いに対向する回転体の圧接部はトナー像を転写材上に転写する転写ニップであって、転写ニップを形成するいずれか一方の回転体が電界または磁界、あるいは電界および磁界の印加の大きさにより粘性特性が変化する流体が封入された前記ピストンシリンダにより支持されるとともに、転写ニップに対する転写材の状況、又は、突入、転写、脱出に応じて前記フィールド形成手段により印加される電界または磁界、あるいは電界および磁界の強度を任意に変化させることによって、転写圧を制御することを特徴とする画像形成装置。
- 請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の画像形成装置において、互いに対向する回転体の圧接部は転写材上に転写された未定着トナー像を定着する定着ニップであって、定着ニップを形成するいずれか一方の回転体が電界または磁界、あるいは電界および磁界の印加の大きさにより粘性特性が変化する流体が封入された前記ピストンシリンダにより支持されるとともに、定着ニップに対する転写材の状況、又は、突入、定着、脱出に応じて前記フィールド形成手段により印加される電界または磁界、あるいは電界および磁界の強度を任意に変化させることによって、定着圧を制御することを特徴とする画像形成装置。
- 請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の画像形成装置において、互いに対向する回転体の圧接部は給紙部からの搬送過程で発生した転写材の斜行補正と転写部への受け渡し搬送を行うレジストニップであって、レジストニップを形成するいずれか一方の回転体が電界または磁界、あるいは電界および磁界の印加の大きさにより粘性特性が変化する流体が封入された前記ピストンシリンダにより支持されるとともに、レジストニップに対する転写材の状況、又は、突入、搬送、脱出に応じて前記フィールド形成手段により印加される電界または磁界、あるいは電界および磁界の強度を任意に変化させることによって、レジスト圧を制御することを特徴とする画像形成装置。
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-
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- 2006-05-26 JP JP2006146935A patent/JP2007316427A/ja not_active Withdrawn
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