JP2007309730A - 測位装置、測位装置の制御方法及びプログラム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】各発信源ごとに少なくとも1つの周波数系列において測位装置20が発生するレプリカ測位基礎符号と測位基礎符号との相関処理を行って測位基礎符号の位相を算出する位相算出手段と、現在の前記位相を予測して予測位相を算出する予測位相算出手段と、現在の位相と予測位相との位相差が予め規定した位相差許容範囲内か否かを判断する位相差評価手段と、各発信源ごとに位相差が最小の位相を選択して選択位相とする位相選択手段と、選択位相の信号強度が最大か否かを判断する選択位相第1評価手段と、選択位相が属する周波数系列における前記位相が、連続して位相差許容範囲内であった回数が予め規定した規定回数範囲内であるか否かを判断する選択位相第2評価手段等を有する。
【選択図】図9
Description
このGPS受信機は、GPS衛星の軌道等を示す航法メッセージ(概略衛星軌道情報:アルマナック、精密衛星軌道情報:エフェメリス等を含む)に基づいて、GPS衛星からの電波(以後、衛星電波と呼ぶ)に乗せられている擬似雑音符号(以後、PN(Psuedo random noise code)符号と呼ぶ)の一つであるC/A(Clear and AcquisionまたはCoarse and Access)コードを受信する。C/Aコードは、測位の基礎となる符号である。
GPS受信機は、そのC/AコードがどのGPS衛星から発信されたものであるかを特定したうえで、例えば、そのC/Aコードの位相(コードフェーズ)に基づいて、GPS衛星とGPS受信機の距離(擬似距離)を算出する。そして、GPS受信機は、3個以上のGPS衛星についての擬似距離と、各GPS衛星の衛星軌道上の位置に基づいて、GPS受信機の位置を測位するようになっている。例えば、C/Aコードは、1.023Mbpsのビット率で、コードの長さは1,023チップである。したがってC/Aコードは、1ミリ秒(ms)間に電波が進む距離である約300キロメートル(km)ごとに、並んで走っていると考えることができる。このため、衛星軌道上のGPS衛星の位置と、GPS受信機の概略位置からGPS衛星とGPS受信機との間にC/Aコードがいくつあるかを算出することで、擬似距離を算出することができる。より詳細には、C/Aコードの1周期(1,023チップ)分(C/Aコードの整数部分)を算出し、さらに、C/Aコードの位相(C/Aコードの端数部分)を特定すれば、擬似距離を算出することができる。ここで、C/Aコードの整数部分は、GPS受信機の概略位置が一定の精度である例えば、150km以内であれば推定可能である。このため、GPS受信機は、C/Aコードの位相を特定することにより、擬似距離を算出することができる。
GPS受信機は、例えば、受信したC/AコードとGPS受信機内部で生成したレプリカC/Aコードの相関をとって積算し、相関積算値が一定のレベルに達した場合に、C/Aコードの位相を特定する。このとき、GPS受信機は、レプリカC/Aコードの位相及び周波数をずらしながら相関処理を行っている。
ところが、C/Aコードを乗せた衛星電波の電波強度が弱い場合には、十分な信号強度を得られず、C/Aコードの位相を特定することが困難になる。
これに対して、受信信号のセグメントを処理した結果を、スレショルド信号雑音比(SNR)が達成されるまで、コヒーレントに(同期的に)連続して組み合わせる技術が提案されている(例えば、特許文献1)。
ここで、信号強度が弱い場合には、GPS受信機側の同期用周波数を継続的に変化する到達周波数に同期することが困難な場合がある。
そして、GPS受信機側の同期用周波数が到達周波数と乖離している場合には、相関積算値が一定のレベルに達したとしても、そのときのC/Aコードの位相の精度は劣化する。このため、その位相を使用して測位すると、測位位置の精度が劣化する場合があるという問題がある。
また、前記測位装置は、前記位相選択手段を有するから、各前記発信源ごとに前記選択位相を算出することができる。前記選択位相は、前記位相差が最小の前記位相であるから、他の周波数系列の前記位相よりも精度が高い。
前記測位装置は、さらに、前記選択位相第1評価手段を有するから、前記選択位相の信号強度が最大か否かを判断することができる。前記選択位相の信号強度が最大であれば、前記選択位相は、他の前記位相に比べて精度が高いことが保証されたと考えることができる。そして、前記測位装置は前記測位手段を有するから、前記選択位相第1評価手段による判断結果が肯定的である場合には、前記選択位相を使用して、現在位置を測位することができる。
これにより、前記測位装置は、電波強度が微弱な弱電界下において、測位基礎符号の位相の精度を検証したうえで、精度良く測位することができる。
ここで、特に弱電界化においては、前記位相差が最小の前記位相の信号強度が最大であるとは限らない。すなわち、前記選択位相の精度が他の前記位相に比べて高いにもかかわらず、その信号強度は最大ではない場合がある。このため、信号強度が最大ではない場合であっても、前記選択位相の精度を確認することができる限り、前記選択位相を測位に使用することが望ましい。
この点、前記測位装置は前記選択位相第2評価手段を有するから、前記選択位相が属する前記周波数系列における前記位相が、連続して前記位相差許容範囲内であった回数が前記規定回数範囲内である場合には、前記選択位相を使用して、現在位置を測位することができる。
これにより、前記測位装置は、前記選択位相第1評価手段による判断結果が否定的である場合であっても、精度が高い前記位相を使用して測位をすることができる。
この点、第2の発明の構成によれば、前記予測位相算出手段は、前回測位時の前記位相であって、さらに、前記相関処理の完了時における前記位相を使用して、前記予測位相を算出する構成となっているから、精度の高い前記予測位相を算出することができる。
すなわち、前記測位装置は、精度よく測位するための基礎となる精度の高い前記予測位相を算出することができる。
これは、前記測位装置が、前記位相を算出したときの前記受信周波数の精度も検証することができることを意味する。そして、前記受信周波数の精度が高いほど、前記位相の精度も高い。
これにより、前記測位装置は、電波強度が微弱な弱電界下において、測位基礎符号の位相の精度を前記受信周波数によって検証したうえで、一層精度良く測位することができる。
これにより、前記測位装置に到達する電波の周波数のドップラー偏移に最も良く追従している前記周波数系列において算出された前記位相を測位に使用することができるから、電波強度が微弱な弱電界下において、なお一層精度良く測位することができる。
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
図1に示すように、端末20は、測位衛星である例えば、GPS衛星12a,12b,12c,12d,12e,12f,12g及び12hから、電波S1,S2,S3,S4,S5,S6,S7及びS8を受信することができる。GPS衛星12a等は、発信源の一例でもある。なお、測位衛星は、GPS衛星に限らず、広くSPS(Satellite Positioing System)において使用される衛星であってもよい。
電波S1等には各種のコード(符号)が乗せられている。そのうちの一つがC/AコードScaである。このC/AコードScaは、1.023Mbpsのビット率、1,023bit(=1msec)のビット長の信号である。C/AコードScaは、1,023チップ(chip)で構成されている。端末20は、現在位置を測位する測位装置の一例であり、このC/Aコードを使用して現在位置の測位を行う。このC/AコードScaは、測位基礎符号の一例である。
図2に示すように、例えば、GPS衛星12aと端末20との間には、C/Aコードが連続的に並んでいると観念することができる。そして、GPS衛星12aと端末20との間の距離は、C/Aコードの長さ(300キロメートル(km))の整数倍とは限らないから、コード端数部C/Aaが存在する。つまり、GPS衛星12aと端末20との間には、C/Aコードの整数倍の部分と、端数部分が存在する。C/Aコードの整数倍の部分と端数部分の合計の長さが擬似距離である。端末20は、3個以上のGPS衛星12a等についての擬似距離を使用して測位を行う。
本明細書において、C/Aコードの端数部C/Aaをコードフェーズ(位相)と呼ぶ。コードフェーズは、例えば、C/Aコードの1,023あるチップの何番目かで示すこともできるし、距離に換算して示すこともできる。擬似距離を算出するときには、コードフェーズを距離に換算している。
相関積算値が最大になった位相がコード端数C/Aaである。
なお、本実施の形態とは異なり、端末20は、例えば、携帯電話の通信基地局からの電波を使用して測位を行うようにしてもよい。また、本実施の形態とは異なり、端末20は、LAN(Local Area Network)から電波を受信して、測位を行うようにしてもよい。
コヒーレントは、端末20が受信したC/AコードとレプリカC/Aコードとの相関をとる処理である。レプリカC/Aコードは、端末20が発生する符号である。レプリカC/Aコードは、レプリカ測位基礎符号の一例である。
例えば、図3に示すように、コヒーレント時間が10msecであれば、10msecの時間において同期積算したC/AコードとレプリカC/Aコードとの相関値等を算出する。コヒーレント処理の結果、相関をとったときのコードフェーズと、相関値が出力される。
インコヒーレントは、コヒーレント結果の相関値を積算することによって、相関積算値(インコヒーレント値)を算出する処理である。
相関処理の結果、コヒーレント処理で出力されたコードフェーズと、相関積算値が出力される。
図4の相関積算値の最大値Pmaxに対応するコードフェーズCP1が、C/Aコードのコードフェーズ(レプリカC/Aコードのコードフェーズと等しい)である。
そして、端末20は、例えば、コードフェーズCP1から2分の1チップ離れたコードフェーズのうち、相関積算値が小さい方の相関積算値をノイズの相関積算値Pnoiseとする。
端末20は、PmaxとPnoiseとの差分をPmaxで除した値を信号強度XPRとして規定する。信号強度XPRは、信号強度の一例である。
そして、端末20は、XPRが例えば、0.2以上である場合に、コードフェーズCP1を測位に使用するコードフェーズの候補とする。以下、このコードフェーズを、「候補コードフェーズ」とも呼ぶ。候補コードフェーズは測位に使用する候補であり、端末20が実際に測位に使用するとは限らない。
図5は、例えば、GPS衛星12aが端末20に近づいている状態を示している。
例えば、GPS衛星12aが端末20に近づくと、GPS衛星12aと端末20との距離が短くなるから、候補コードフェーズC1は時間経過とともに、0に近づく。
また、周波数系列F1に属する周波数は、時間経過とともに、高くなるように設定されている。これは、GPS衛星12aが端末20に近づいているために生じるドップラー偏移によって、電波S1が端末20に到達するときの到達周波数が高くなることに対応するためである。
なお、周波数系列F1等は少なくとも1つであればよく、本実施の形態とは異なり、例えば、1つでもよいし、4つ以上でもよい。
図6に示すように、各周波数系列F1等は、到達周波数のドップラー偏移を予想して時間経過とともに変化するように設定される。
そして、各周波数系列F1等のいずれかが、到達周波数のドップラー偏移に最も精度良く追随しているはずである。
このように、3つのコードフェーズC1等が並行して算出されるのであるが、信号強度XPRが最も高い状態で算出されたコードフェーズが最も信頼度が高いのが一般的である。
ところが、XPRが最も高い周波数系列F1等が維持されるとは限らない。例えば、図6に示すように、例えば、時刻t1とt2との間においては周波数系列F1で算出したコードフェーズC1のXPRが最も高く、時刻t2とt3との間においては周波数系列F2で算出したコードフェーズC2のXPRが最も高い。
各周波数系列F1等の周波数は、予想されるドップラー偏移という共通の要素に基づいて変更されているのであるから、いずれか1つの周波数系列で算出したコードフェーズが精度が高いものであれば、継続的に、他の周波数系列で算出したコードフェーズよりも精度が高いはずである。
ここで、「精度が高い」とは、算出したコードフェーズと真のコードフェーズとの乖離が小さいことを意味する。
例えば、周波数系列F1の精度が他の周波数系列F2及びF3よりも精度が高い場合には、周波数系列F1が他の周波数系列F2及びF3に比べて、実際の到達周波数に最も精度良く追随し続けているはずである。このため、周波数系列F1において、他の周波数系列F2及びF3よりも信号強度XPRが低い時間帯があったとしても、周波数系列F1において算出された候補コードフェーズが、精度が最も高いはずである。
この点、端末20は、以下のハードウエア構成及びソフトウエア構成によって、弱電界下において、候補コードフェーズの精度を検証したうえで、精度良く測位することができる。
図7は、端末20の主なハードウエア構成を示す概略図である。
図7に示すように、端末20は、コンピュータを有し、コンピュータは、バス22を有する。バス22には、CPU(Central Processing Unit)24、記憶装置26等が接続されている。記憶装置26は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等である。
また、バス22には、入力装置28、電源装置30、GPS装置32、表示装置34、通信装置36及び時計38が接続されている。
図8は、GPS装置32の構成を示す概略図である。
図8に示すように、GPS装置32は、RF部32aとベースバンド部32bで構成される。
RF部32aは、アンテナ33aで電波S1等を受信する。そして、増幅器であるLNA33bが、電波S1に乗せられているC/Aコード等の信号を増幅する。そして、ミキサ33cが、信号の周波数をダウンコンバートする。そして、直交(IQ)検波器33dが信号をIQ分離する。続いて、A/Dコンバータ33e1及び33e2が、IQ分離された信号をそれぞれデジタル信号に変換するように構成されている。
図9は、端末20の主なソフトウエア構成を示す概略図である。
図9に示すように、端末20は、各部を制御する制御部100、図7のGPS装置32に対応するGPS部102、時計38に対応する計時部104等を有している。
端末20は、また、各種プログラムを格納する第1記憶部110、各種情報を格納する第2記憶部150を有する。
端末20は、アルマナック152a及びエフェメリス152bを、測位のために使用する。
具体的には、制御部100は、アルマナック152aを参照して、計時部104によって計測した現在時刻において観測可能なGPS衛星12a等を判断する。制御部100は、観測可能なGPS衛星12a等(以下、「観測可能衛星」と呼ぶ)を示す観測可能衛星情報156を第2記憶部150に格納する。本実施の形態においては、観測可能衛星は、GPS衛星12a乃至12hである(図1及び図9参照)。
この到達周波数は、電波S1が端末20に到達するときの周波数である。より詳細には、この到達周波数は、電波S1が端末20に到達し、さらに端末20においてダウンコンバートされたときの中間(IF)周波数である。
図10に示すように、制御部100は、GPS衛星12a等からの発信周波数H1にドップラー偏移H2を加えて、推定周波数Aを算出する。GPS衛星12a等からの発信周波数H1は既知であり、例えば、1,575.42MHzである。
ドップラー偏移H2は、各GPS衛星12a等と端末20との相対移動によって生じる。制御部100は、エフェメリス152bと初期位置Q0によって現在時刻における各GPS衛星12a等の視線速度(端末20の方向に対する速度)を算出する。そして、その視線速度に基づいて、ドップラー偏移H2を算出する。
制御部100は、観測可能衛星であるGPS衛星12a等ごとに、推定周波数Aを算出する。
なお、推定周波数Aには、端末20のクロック(基準発振器:図示せず)のドリフト分の誤差を含む。ドリフトとは、温度変化による発振周波数の変化である。
このため、制御部100は、推定周波数Aを中心として、所定の幅の周波数において電波S1等をサーチする。例えば、(A−100)kHzの周波数から(A+100)kHzの周波数の範囲を、100Hzごとの周波数で電波S1等をサーチする。
なお、本実施の形態とは異なり、ドリフトを予め推定することができる場合には、推定周波数A及び推定したドリフトに基づいて、サーチを開始する中心周波数を算出することにしてもよい。
図11(a)に示すように、制御部100はベースバンド部32bによって、C/Aコードの1チップを例えば、等間隔で分割して、相関処理を行う。C/Aコードの1チップは、例えば、32等分される。すなわち、32分の1チップの位相幅(第1位相幅W1)間隔で相関処理を行う。そして、制御部100が相関処理を行うときの第1位相幅W1間隔の位相を第1サンプリング位相SC1と呼ぶ。
第1位相幅W1は、電波S1等が端末20に到達するときの信号強度が−155dBm以上である場合に、相関最大値Pmaxを検出することができる位相幅として規定されている。32分の1チップの位相幅であれば、信号強度が−155dBm以上であれば弱電界であっても、相関最大値Pmaxを検出することができることがシミュレーションによって明らかになっている。
図11(c)に示すように、ベースバンド部32bからは、2チップ分の位相C1乃至C64に対応する相関値積算Pが出力される。各位相C1乃至C64が、第1サンプリング位相SC1である。
なお、コードフェーズCP1は、距離に換算されている。上述のように、C/Aコードのコード長は、例えば、300キロメートル(km)であるから、C/Aコードの端数部分であるコードフェーズを距離に換算することができる。
図12に示すように、現在メジャメント情報160は、例えば、GPS衛星12aについて周波数系列F1における周波数f11a、コードフェーズCP11a、Pmax11a、Pnoise11aを示している。
また、現在メジャメント情報160は、GPS衛星12aについての周波数系列F2における周波数f12a、コードフェーズCP12a、Pmax12a、Pnoise12aを示している。
また、現在メジャメント情報160は、GPS衛星12aについての周波数系列F3における周波数f13a、コードフェーズCP13a、Pmax13a、Pnoise13aを示している。
周波数f11a乃至13aは、GPS衛星12aからの電波S1を受信したときの受信周波数である。
なお、本実施の形態とは異なり、相関処理の方法としては、ナローコリレータ(例えば、特開2000−312163号公報参照)を採用してもよい。
制御部100は、新たなメジャメントを現在メジャメント情報160として第2記憶部150に格納するとともに、既存の現在メジャメント情報160を前回メジャメント情報162として第2記憶部150に格納する。前回メジャメント情報162は、前回測位時のコードフェーズCP0、周波数f0、Pmax0及びPnoise0を含む。
図13に示すように、前回メジャメント情報162は、各GPS衛星12a等ごとに各周波数系列F1乃至F3において算出された周波数F01a等を示している。なお、図13においては、GPS衛星12aについてのメジャメントのみを図示し、他のGPS衛星12b等のメジャメントについては図示を省略している。
上述の周波数評価プログラム120及び制御部100は、周波数差評価手段の一例である。そして、周波数閾値α以下の範囲は、予め規定した周波数差許容範囲内の一例である。
制御部100は、現在メジャメント情報160に示されるすべてのコードフェーズCP11a等(図12参照)について、上述の判断を行う。例えば、GPS衛星12aについての現在の周波数f11aと前回の周波数f01aとの周波数差が周波数閾値α以下であるか否かを判断する。同様に、周波数f12aと周波数f02aとの周波数差が周波数閾値α以下であるか否かを判断し、周波数f13aと周波数f03aとの周波数差が周波数閾値α以下であるか否かを判断する。同様に、GPS衛星12b乃至12fについても、同様に周波数についての判断を行う。
端末20は、周波数差が周波数閾値α以下ではない場合には、対応するコードフェーズCP11a等を測位に使用しない。すなわち、周波数評価プログラム120と制御部100は、位相排除手段の一例である。
なお、予測コードフェーズCPeは、距離に換算されている。
図14に示すように、制御部100は、例えば、式1によって、予測コードフェーズCPeを算出する。
制御部100は、式1に示すように、前回測位時のコードフェ−ズCP0から、例えば、GPS衛星12aと端末20の相対移動速度に前回測位時からの経過時間dtを乗じた値を減じることによって、予測コードフェーズCPeを算出する。
なお、式1において、予測コードフェーズCPe、前回コードフェーズCP0は、距離に換算されている。
なお、式1は、前回測位時からの経過時間が短時間であるという条件において成立するものである。言い換えると、式1は、コードフェーズと経過時間との関係をグラフ上で直線として示せる限りにおいて成立する。
また、本実施の形態とは異なり、前回測位時の周波数f0と発信周波数H1との差分と、現在測位時の周波数f1と発信周波数H1との差分との平均値を、ドップラー偏移としてもよい。これにより、予測コードフェーズCPeを一層正確に算出することができる。
また、本実施の形態とは異なり、制御部100は、前回測位時のコードフェーズCP0であって、さらに、相関処理の完了時におけるコードフェーズCP0を使用して、予測コードフェーズCPeを算出するようにしてもよい。相関処理の完了時のコードフェーズCP0は、積算によってノイズが相殺されているため、相関処理の開始時や相関処理の過程におけるコードフェーズよりも精度が高いから、予測コードフェーズCPeの精度も高くなる。
図15に示すように、予測コードフェーズ情報164は、例えば、GPS衛星12aについての周波数系列F1における予測コードフェーズCPe1a、周波数系列F2における予測コードフェーズCPe2a、周波数系列F3における予測コードフェーズCPe3aを示す。同様に、予測コードフェーズ情報164は、GPS衛星12b乃至12fについて各周波数系列F1乃至F3における予測コードフェーズCPe1b等(図示せず)を示す。
制御部100は、上述の周波数評価プログラム120によって閾値α以下であると判断した周波数差分に対応するコードフェーズCP1を、コードフェーズ評価プログラム124に基づく判断の対象とする。
制御部100は、パス回数を示すコードフェーズ評価パス情報166を第2記憶部150に格納する。
図16に示すように、制御部100は、例えば、GPS衛星12aについて、周波数系列F1におけるコードフェーズCP11aとCPe1aとの差分の絶対値dCP11aを算出する。また、制御部100は、周波数系列F2におけるコードフェーズCP12aとCPe2aとの差分の絶対値dCP12a、周波数系列F3におけるコードフェーズCP13aとCPe3aとの差分の絶対値dCP13aを算出する。
そして、例えば、図16に示すように、絶対値dCP11a乃至絶対値dCP13aの中で、絶対値dCP11aが最小である場合には、コードフェーズCP11aを選択する。
そして、制御部100は、コードフェーズCP11aを選択コードフェーズCP1saとする。
制御部100は、各GPS衛星12a等について、それぞれ上述の選択を行う。
制御部100は、選択した選択コードフェーズCP1sを第2格納部150に格納する。
選択コードフェーズ情報168は、各GPS衛星12a等ごとに周波数系列F1乃至F3のうちいずれかにおいて算出されたコードフェーズを示す。
は、選択位相第1評価手段の一例である。
具体的には、制御部100は、各GPS衛星12a等ごとに、選択コードフェーズCP1saのXPRが、コードフェーズCP1等のなかで最大か否かを判断する。
なお、パス回数は、コードフェーズ差が閾値β以下であることが連続しない限り、0にされるから、パス回数がγ回以上であるということは、連続してコードフェーズが閾値β以下であることが連続してγ回以上であることを意味する。
また、選択コードフェーズ第2評価プログラム130は、制御部100が、積算時間中におけるXPRの低下回数が、予め規定した例えば、10回以上か否かを判断するためのプログラムでもある。
具体的には、制御部100は、上述の選択コードフェーズ第1評価プログラム128によって、選択コードフェーズCP1sa等の信号強度XPRが最大ではないと判断した場合に、選択コードフェーズ第2評価プログラム130による判断を行う。
図18(a)に示すように、例えば、積算時間を16秒(s)とすれば、16秒(s)経過時(積算完了時)におけるXPRが最大である。これは、ノイズは互いに相殺されるのに対して、C/Aコードは積算されるからである。この積算完了時におけるコードフェーズは信頼性が高い。
そして、XPRは、理論には、積算開始時から積算完了時にかけて、大きくなっていく。
ところが、実際には、図18(b)におけるように、積算開始直後においてはXPRは低減する場合がある。このため、コードフェーズを正確に算出することができない。
そして、端末20が受信している信号がノイズ(偽信号)である場合には、図18(c)に示すように、積算完了時に至っても、XPRは大きくならない。このため、コードフェーズを算出することは困難である。
このように、受信している電波がC/Aコードを乗せた電波であってもノイズであっても、積算開始直後においてはXPRが小さく、かつ、XPRが低下する場合がある。そして、受信している電波がC/Aコードを乗せた電波である場合には、積算時間の経過に伴って、XPRが大きくなる。
このため、積算開始から相当程度の時間が経過した後に、コードフェーズ差が閾値β以下であるという状態が継続した場合には、受信している信号が、ノイズではないと考えることができる。
また、XPRの低下が積算時間開始から相当程度の時間が継続しても発生する場合には、受信している信号がノイズであると考えることができる。言い替えると、XPRの低下が積算時間開始から相当程度の時間が継続した後に発生しない場合には、受信している信号がノイズではないと考えることができることを意味する。
そこで、端末20においては、コードフェーズ差が閾値β以下であるという状態が継続したか否かと、XPRの低下が連続したか否かを、受信している信号がノイズか否かを判断するための基準としている
制御部100は、選択コードフェーズCP1saのXPRが最大ではない場合であっても、コードフェーズ評価パス回数がγ回以上であって、かつ、XPRの低減が10回未満である場合には、選択コードフェーズCP1saを測位使用コードフェーズCP1faとする。
これに対して、制御部100は、選択コードフェーズCP1saのXPRが最大ではない場合において、コードフェーズ評価パス回数がγ回未満であるか、又は、XPRの低減が10回以上である場合には、選択コードフェーズCP1sa(コードフェーズCP11a)以外のコードフェーズCP12a及びCP13aのうち、XPRが大きい方を測位使用コードフェーズCP1faとする。
制御部100は、決定した測位使用コードフェーズCP1fを示す測位使用コードフェーズ情報170を第2記憶部150に格納する。
図19に示すように、測位使用コードフェーズ情報170は、例えば、GPS衛星12a,12b,12c及び12dにそれぞれ対応する測位使用コードフェーズCP1fa,CP1fb,CP1fc及びCP1fdを示す情報である。
制御部100は、算出した測位位置Q1を示す測位位置情報172を第2記憶部150に格納する。
端末20は、コードフェーズ差が閾値β以下か否かを判断することができる。すなわち、端末20は、コードフェーズCP1の精度を検証することができる。
また、端末20は、コードフェーズ差が閾値β以下のコードフェーズ差に対応するコードフェーズCP1のうち、各GPS衛星12a等ごとにコードフェーズ差が最小のコードフェーズCP1を選択し、選択コードフェーズCP1sとすることができる。選択コードフェーズCP1sは、コードフェーズ差が最小のコードフェーズであるから、他の周波数系列のコードフェーズCP1よりも精度が高い。
さらに、端末20は、選択コードフェーズCP1sの信号強度XPRが最大か否かを判断することができる。選択コードフェーズCP1sのXPRが最大であれば、選択コードフェーズCP1sは、他のコードフェーズCP1よりも精度が高いことが保証されたと考えることができる。
そして、端末20は、選択コードフェーズ第1評価プログラム128による判断結果が肯定的である場合には、選択コードフェーズCP1sを測位使用コードフェーズCP1fとして、現在位置を測位することができる。
これにより、端末20は、電波強度が微弱な弱電界下において、測位基礎符号の位相の精度を検証したうえで、精度良く測位することができる。
また、端末20は選択コードフェーズ第2評価プログラム130を有するから、選択コードフェーズCP1sが属する周波数系列F1乃至F3におけるコードフェーズが、連続して閾値β以下であった回数が3回以上である場合には、選択コードフェーズCP1sを使用して、現在位置を測位することができる。
選択コードフェーズCP1sが属する周波数系列F1等におけるコードフェーズが、連続して閾値β以下であった回数が3回以上であるということは、選択コードフェーズCP1sが属する周波数系列F1等におけるコードフェーズは、他の周波数系列におけるコードフェーズよりも精度が高いことを意味する。
これにより、端末20は、選択コードフェーズ第1評価プログラム128による判断結果が否定的である場合であっても、精度が高いコードフェーズを使用して測位をすることができる。
これは、端末20が、C/AコードのコードフェーズCP1の精度を検証するのみならず、コードフェーズCP1を算出したときの受信周波数f1の精度も検証することができることを意味する。
これにより、端末20は、信号強度が微弱な弱電界下において、測位基礎符号のコードフェーズの精度を検証したうえで、一層精度良く測位することができる
図20は端末20の動作例を示す概略フローチャートである。
続いて、端末20は、メジャメントを保存する(ステップST2)。
続いて、端末20は、現在周波数f1と前回周波数f0との周波数差分の絶対値が、周波数閾値α以下か否かを判断する(ステップST3)。
端末20は、ステップST5において、閾値β以下ではないと判断したコードフェーズ差に対応するコードフェーズCP1を測位に使用しない(ステップST11)。
ここで、図21を使用して、GPS衛星12aの測位系列F1における選択コードフェーズCP1saを測位に使用するか否かを決定する場合を例にして、ステップST7の詳細を説明する。
まず、端末20は、選択コードフェーズCP1saのXPRが最大か否かを判断する(図21のステップST101)。このステップST101は、選択位相第1評価ステップの一例である。
端末20は、ステップST101における判断が肯定的であった場合には、選択コードフェーズCP1saを測位使用コードフェーズCP1faに決定する(ステップST104)。
端末20は、ステップST102における判断が肯定的であった場合には、周波数系列F1のXPR低下回数が10回未満か否かを判断する(ステップST103)。
端末20は、ステップST103において、周波数系列F1のXPR低下回数が10回未満であると判断した場合には、選択コードフェーズCP1saを測位使用コードフェーズCP1faに決定する(ステップST104)。
端末20は、各GPS衛星12a等ごとに、上述の各ステップST101乃至ステップST105を実施する。
ステップST8において、端末20が、測位使用コードフェーズCP1fが3個未満であると判断した場合には、測位不能であるから、測位することなく終了する。
続いて、端末20は、測位位置Q1(図9参照)を出力する(ステップST10)。
Claims (8)
- 発信源からの測位基礎符号に基づいて現在位置を測位する測位装置であって、
各前記発信源ごとに少なくとも1つの周波数系列において前記測位装置が発生するレプリカ測位基礎符号と前記測位基礎符号との相関処理を行って前記測位基礎符号の位相を算出する位相算出手段と、
前回測位時の前記位相と、前記測位基礎符号を乗せた電波の周波数のドップラー偏移と、前回測位時からの経過時間に基づいて、現在の前記位相を予測して予測位相を算出する予測位相算出手段と、
現在の前記位相と前記予測位相との位相差が予め規定した位相差許容範囲内か否かを判断する位相差評価手段と、
前記位相差許容範囲内の前記位相差に対応する前記位相のうち、各前記発信源ごとに前記位相差が最小の前記位相を選択して選択位相とする位相選択手段と、
前記選択位相の信号強度が最大か否かを判断する選択位相第1評価手段と、
前記選択位相が属する前記周波数系列における前記位相が、連続して前記位相差許容範囲内であった回数が予め規定した規定回数範囲内であるか否かを判断する選択位相第2評価手段と、
前記選択位相第1評価手段による判断結果及び/又は前記選択位相第2評価手段による判断結果が肯定的である場合に、前記選択位相を使用して、現在位置を測位する測位手段と、
を有することを特徴とする測位装置。 - 前記予測位相算出手段は、前回測位時の前記位相であって、さらに、前記相関処理の完了時における前記位相を使用して、前記予測位相を算出する構成となっていることを特徴とする請求項1に記載の測位装置。
- 前記測位基礎符号を乗せた電波を受信したときの受信周波数を特定する受信周波数特定手段と、
前回測位時の前記受信周波数と現在の前記受信周波数との周波数差が予め規定した周波数差許容範囲内か否かを判断する周波数差評価手段と、
前記周波数差許容範囲外の前記周波数差に対応する前記位相を測位から排除する位相排除手段と、
を有することを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の測位装置。 - 複数の前記周波数系列は、
互いに予め規定した周波数間隔だけ乖離しており、
前記周波数差許容範囲は、前記周波数間隔未満の閾値によって規定されることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の測位装置。 - 前記発信源は、SPS(Satellite Positioning System)衛星であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の測位装置。
- 発信源からの測位基礎符号に基づいて現在位置を測位する測位装置が、各前記発信源ごとに少なくとも1つの周波数系列において前記測位装置が発生するレプリカ測位基礎符号と前記測位基礎符号との相関処理を行って前記測位基礎符号の位相を算出する位相算出ステップと、
前記測位装置が、前回測位時の前記位相と、前記測位基礎符号を乗せた電波の周波数のドップラー偏移と、前回測位時からの経過時間に基づいて、現在の前記位相を予測して予測位相を算出する予測位相算出ステップと、
前記測位装置が、現在の前記位相と前記予測位相との位相差が予め規定した位相差許容範囲内か否かを判断する位相差評価ステップと、
前記測位装置が、前記位相差許容範囲内の前記位相差に対応する前記位相のうち、各前記発信源ごとに前記位相差が最小の前記位相を選択して選択位相とする位相選択ステップと、
前記測位装置が、前記選択位相の信号強度が最大か否かを判断する選択位相第1評価ステップと、
前記測位装置が、前記選択位相が属する前記周波数系列における前記位相が、連続して前記位相差許容範囲内であった回数が予め規定した規定回数範囲内であるか否かを判断する選択位相第2評価ステップと、
前記測位装置が、前記選択位相第1評価ステップにおける判断結果及び/又は前記選択位相第2評価ステップにおける判断結果が肯定的である場合に、前記選択位相を使用して、現在位置を測位する測位ステップと、
を有することを特徴とする測位装置の制御方法。 - コンピュータに、
発信源からの測位基礎符号に基づいて現在位置を測位する測位装置が、各前記発信源ごとに少なくとも1つの周波数系列において前記測位装置が発生するレプリカ測位基礎符号と前記測位基礎符号との相関処理を行って前記測位基礎符号の位相を算出する位相算出ステップと、
前記測位装置が、前回測位時の前記位相と、前記測位基礎符号を乗せた電波の周波数のドップラー偏移と、前回測位時からの経過時間に基づいて、現在の前記位相を予測して予測位相を算出する予測位相算出ステップと、
前記測位装置が、現在の前記位相と前記予測位相との位相差が予め規定した位相差許容範囲内か否かを判断する位相差評価ステップと、
前記測位装置が、前記位相差許容範囲内の前記位相差に対応する前記位相のうち、各前記発信源ごとに前記位相差が最小の前記位相を選択して選択位相とする位相選択ステップと、
前記測位装置が、前記選択位相の信号強度が最大か否かを判断する選択位相第1評価ステップと、
前記測位装置が、前記選択位相が属する前記周波数系列における前記位相が、連続して前記位相差許容範囲内であった回数が予め規定した規定回数範囲内であるか否かを判断する選択位相第2評価ステップと、
前記測位装置が、前記選択位相第1評価ステップにおける判断結果及び/又は前記選択位相第2評価ステップにおける判断結果が肯定的である場合に、前記選択位相を使用して、現在位置を測位する測位ステップと、
を実行させることを特徴とする測位装置の制御プログラム。 - コンピュータに、
発信源からの測位基礎符号に基づいて現在位置を測位する測位装置が、各前記発信源ごとに少なくとも1つの周波数系列において前記測位装置が発生するレプリカ測位基礎符号と前記測位基礎符号との相関処理を行って前記測位基礎符号の位相を算出する位相算出ステップと、
前記測位装置が、前回測位時の前記位相と、前記測位基礎符号を乗せた電波の周波数のドップラー偏移と、前回測位時からの経過時間に基づいて、現在の前記位相を予測して予測位相を算出する予測位相算出ステップと、
前記測位装置が、現在の前記位相と前記予測位相との位相差が予め規定した位相差許容範囲内か否かを判断する位相差評価ステップと、
前記測位装置が、前記位相差許容範囲内の前記位相差に対応する前記位相のうち、各前記発信源ごとに前記位相差が最小の前記位相を選択して選択位相とする位相選択ステップと、
前記測位装置が、前記選択位相の信号強度が最大か否かを判断する選択位相第1評価ステップと、
前記測位装置が、前記選択位相が属する前記周波数系列における前記位相が、連続して前記位相差許容範囲内であった回数が予め規定した規定回数範囲内であるか否かを判断する選択位相第2評価ステップと、
前記測位装置が、前記選択位相第1評価ステップにおける判断結果及び/又は前記選択位相第2評価ステップにおける判断結果が肯定的である場合に、前記選択位相を使用して、現在位置を測位する測位ステップと、
を実行させることを特徴とする測位装置の制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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