JP4857850B2 - 測位装置、測位装置の制御方法 - Google Patents
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このGPS受信機は、GPS衛星の軌道等を示す航法メッセージ(概略衛星軌道情報:アルマナック、精密衛星軌道情報:エフェメリス等を含む)に基づいて、GPS衛星からの電波(以後、衛星電波と呼ぶ)に乗せられている擬似雑音符号(以後、PN(Psuedo random noise code)符号と呼ぶ)の一つであるC/A(Clear and AcquisionまたはCoarse and Access)コードを受信する。C/Aコードは、測位の基礎となる符号である。
GPS受信機は、そのC/AコードがどのGPS衛星から発信されたものであるかを特定する。そして、例えば、そのC/Aコードの発信時刻と受信時刻に基づいて、GPS衛星とGPS受信機の距離(擬似距離)を算出する。そして、GPS受信機は、3個以上のGPS衛星についての擬似距離と、各GPS衛星の衛星軌道上の位置に基づいて、GPS受信機の位置を測位するようになっている(特開平10−339772号公報等参照)。
GPS衛星からの信号を受信するためには、受信したC/AコードとGPS受信機内部で発生するレプリカC/Aコードの位相を合致させる必要がある。
受信したC/AコードとGPS受信機内部で生成したレプリカC/Aコードの位相を合致させるために、レプリカC/Aコードの位相と受信中間(IF)周波数をずらせながら相関処理が行われている。
この相関処理は、コヒーレントと、インコヒーレントから構成される。
コヒーレントは、GPS受信機が受信したC/Aコードを同期的に積算し、その積算結果とレプリカC/Aコードの相関をとる処理である。コヒーレント処理による出力値をコヒーレント値と呼ぶ。例えば、コヒーレント時間が10msecであれば、10msecの時間におけるコヒーレント値を算出する。コヒーレント処理の結果、相関をとった位相と、コヒーレント値が出力される。
インコヒーレントは、コヒーレント値を積算することによって、インコヒーレント値を算出する処理である。
C/Aコードは航法メッセージによって変調されているため、20ミリ秒ごとに極性が反転している可能がある。この極性反転によって、コヒーレント値が劣化する。この結果、インコヒーレント値も劣化する。
これに対して、極性反転を予想して相関処理を行うことで、感度を向上する技術が提案されている(例えば、特許文献1)。なお、本明細書において、「感度」は、C/Aコードを含むGPS衛星からの信号をノイズと区別して認識することができる能力を意味するものとして使用する。
なお、本明細書においては、「信号強度」は「電波強度」と同義で使用する。
感度を向上させ、測位位置を算出することができる測位装置、測位装置の制御方法、測位装置の制御プログラム、測位装置の制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供することを目的とする。
前記積算時間が長いほど、感度を向上させることができる。これは、ドリフトが発生し、かつ、信号強度が微弱である場合であっても同様である。
このため、第1の発明の構成によれば、ドリフトが発生し、かつ、信号強度が微弱である場合であっても、感度を向上させ、測位位置を算出することができる。
さらに、前記測位装置は、上述のように、前記第1積算時間及び前記第3積算時間のみならず、前記第2積算時間を設定することができる。これは、信号強度が微弱であっても、その微弱さの程度に応じて、前記第2積算時間又は前記第3積算時間を設定することができることを意味する。このため、例えば、極度に微弱な信号強度の場合には前記第3積算時間を設定するが、通常の信号強度よりもやや弱い程度の微弱な信号強度の場合には前記第2積算時間を設定することができる。前記第2積算時間で測位位置の算出が可能であれば、前記第3積算時間を使用する場合よりも、早期に測位位置を算出することができる。このため、前記測位装置は、信号強度の微弱さの程度に応じて、測位位置を早期に算出することができる。
信号強度が微弱である場合には、前記測位基礎符号の位相を決定することができる信号強度を強く設定すると、その信号強度に達せず、測位位置を算出することができない場合がある。ここで、前記測位基礎符号の位相を決定することができる信号強度を弱く設定すれば、位置精度は劣化するが、測位位置を算出することができる。
このため、第2の発明の構成によれば、信号強度が微弱である場合であっても、測位位置を算出することができる。
さらに、前記測位装置は、上述のように、前記第1信号強度閾値、前記第3信号強度閾値のみならず、前記第2信号強度閾値を設定することができる。これは、信号強度が微弱であっても、その微弱さの程度に応じて、前記第2信号強度閾値又は前記第3信号強度閾値を設定することができることを意味する。このため、例えば、極度に微弱な信号強度の場合には前記第3信号強度閾値を設定するが、通常の信号強度よりもやや弱い程度の微弱な信号強度の場合には前記第2信号強度閾値を設定することができる。前記第2信号強度閾値で測位位置の算出が可能であれば、前記第3信号強度閾値を使用する場合よりも、精度の良い測位位置を算出することができる。このため、前記測位装置は、信号強度の微弱さの程度に応じて、精度よく測位位置を算出することができる。
前記通常測位手段は、前記第1積算時間で測位を行うから、迅速に測位結果を出力することができる。また、前記通常測位手段は、前記第1信号強度閾値で測位を行うから、測位結果の精度が高い。しかし、信号強度が弱い場合には、前記第1積算時間では前記第1信号強度閾値を上回ることができない場合がある。この結果、測位位置を算出することができない場合がある。
この点、前記測位装置は、前記許容時間が経過した場合に、前記第1高感度モード又は前記第2高感度モードを開始することができるから、より信号強度が弱い場合であっても、測位位置を算出することができる。
前記ドリフト誤差が小さいほど、前記測位装置は前記測位基礎符号の周波数と一致した受信周波数を発生することができる。このため、感度が向上する。これは、前記ドリフト誤差が小さい場合には、前記第3信号強度閾値を使用しても、測位位置の精度を確保することができることを意味する。
この点、前記測位装置は、例えば、前記ドリフト誤差が前記許容誤差範囲内ではない場合には、前記第1高感度モードを開始し、前記ドリフト誤差が前記許容誤差範囲内であって十分に小さい場合には前記第2高感度モードを開始するから、信号強度が微弱であっても、前記ドリフト誤差に応じて、測位位置の精度を確保することができる。
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
図1に示すように、端末20は、測位衛星である例えば、GPS衛星12a,12b,12c及び12dから、電波S1,S2,S3及びS4を受信することができる。GPS衛星12a等は、発信源の一例でもある。
電波S1等には各種のコード(符号)が乗せられている。そのうちの一つがC/AコードScaである。このC/AコードScaは、1.023Mbpsのビット率、1,023bit(=1msec)のビット長の信号である。C/AコードScaは、1023チップ(chip)で構成されている。端末20は、現在位置を測位する測位装置の一例であり、このC/Aコードを使用して現在位置の測位を行う。このC/AコードScaは、測位基礎符号の一例である。
端末20は、まず、受信したC/AコードがどのGPS衛星に対応するものかを特定する。次に、C/Aコードの位相を特定することによって、各GPS衛星12a等と端末20との距離(以後、擬似距離と呼ぶ)を算出する。続いて、現在時刻における各GPS衛星12a等の衛星軌道上の位置と、上述の擬似距離に基づいて、現在位置の測位演算を行うことができるように構成されている。
端末20は、上述のC/Aコードの位相を特定するために、後述の相関処理を行う。この相関処理は、コヒーレントとインコヒーレントとからなる。
なお、本実施の形態とは異なり、端末20は、例えば、通信基地局50からの電波を使用して測位を行うようにしてもよい。また、本実施の形態とは異なり、端末20は、LAN(Local Area Network)から電波を受信して、測位を行うようにしてもよい。
図2は、端末20の主なハードウエア構成を示す概略図である。
図2に示すように、端末20は、コンピュータを有し、コンピュータは、バス22を有する。バス22には、CPU(Central Processing Unit)24、記憶装置26等が接続されている。記憶装置26は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等である。
また、バス22には、入力装置28、電源装置30、GPS装置32、表示装置34、通信装置36及び時計38が接続されている。
図3は、GPS装置32の構成を示す概略図である。
図3に示すように、GPS装置32は、RF部32aとベースバンド部32bで構成される。
RF部32aは、アンテナ33aで電波S1等を受信する。そして、増幅器であるLNA33bが、電波S1に乗せられているC/Aコード等の信号を増幅する。そして、ミキサー33cが、信号の周波数をダウンコンバートする。そして、直交(IQ)検波器33dが信号をIQ分離する。続いて、A/Dコンバータ33e1及び33e2が、IQ分離された信号をそれぞれデジタル信号に変換するように構成されている。
ベースバンド部32bは、RF部32aからデジタル信号に変換された信号を受信し、信号の各チップ(図示せず)をサンプリングして積算し、ベースバンド部32bが保持しているC/Aコードとの相関をとるように構成されている。ベースバンド部32bは、例えば、128個の相関器(図示せず)及び積算器(図示せず)を有し、同時に128の位相において、相関処理を行うことができるようになっている。
上述のように、相関処理は、コヒーレントと、インコヒーレントから構成される。
そして、相関器はコヒーレント処理を行うための構成である。積算器はインコヒーレント処理を行うための構成である。
コヒーレントは、ベースバンド部32bが、受信したC/AコードとレプリカC/Aコードの相関をとる処理である。
例えば、コヒーレント時間が10msecであれば、10msecの時間において同期積算したC/AコードとレプリカC/Aコードとの相関値等を算出する。コヒーレント処理の結果、相関をとった位相と、相関値が出力される。
インコヒーレントは、コヒーレント結果の相関値を積算することによって、インコヒーレント値を算出する処理である。
相関処理の結果、コヒーレント処理で出力された位相と、インコヒーレント値が出力される。
図4は、端末20の主なソフトウエア構成を示す概略図である。
図4に示すように、端末20は、各部を制御する制御部100、図2のGPS装置32に対応するGPS部102、通信装置36に対応する通信部104、時計38に対応する計時部106等を有している。
端末20は、また、各種プログラムを格納する第1記憶部110、各種情報を格納する第2記憶部150を有する。
端末20は、アルマナック152a及びエフェメリス152bを、測位のために使用する。
図4に示すように、端末20は、第1記憶部110に、通常モードプログラム112を格納している。
図5に示すように、通常モードプログラム112においては、コヒーレント時間α1が10ミリ秒(ms)、インコヒーレント時間β1が8秒(s)、信頼度閾値γ1が0.7に設定されている。このインコヒーレント時間β1は、第1積算時間の一例である。信頼度閾値γ1は、第1信号強度閾値の一例である。信頼度閾値γ1は、C/Aコードのコードフェーズ(位相)を所定の精度で特定することができる信号強度として規定されている。ここで、所定の精度とは、コードフェーズを使用した測位結果において、測位位置の誤差が、例えば、5メートル以内になるような誤差範囲である。
通常モードプログラム112は、制御部100が、インコヒーレント時間β1と信頼度閾値γ1を使用する測位を行うためのプログラムである。すなわち、通常モードプログラム112と制御部100は、通常測位手段の一例である。
通常モードプログラム112に基づく測位を、通常モードと呼ぶ。
図6(a)に示すように、制御部100は、観測可能なGPS衛星12a等からの発信周波数H1にドップラー偏移H2及びドリフトDRを加えて、推定周波数Aを算出する。
制御部100は、アルマナック152aを参照して、計時部106によって計測した現在時刻において観測可能なGPS衛星12a等を判断する。初期位置Q0は、例えば、前回の測位位置である。
GPS衛星12a等からの発信周波数H1は既知であり、例えば、1,575.42MHzである。
ドップラー偏移H2は、各GPS衛星12a等と端末20との相対移動によって生じる。制御部100は、エフェメリス152bによって現在時刻における各GPS衛星12a等の視線速度(端末20の方向に対する速度)を算出する。そして、その視線速度に基づいて、ドップラー偏移H2を算出する。
制御部100は、各GPS衛星12a等ごとに、推定周波数Aを算出する。
なお、ドリフトDRは、端末20のクロック(基準発振器:図示せず)の温度変化による発振周波数の変化である。このドリフトDRは、端末20のクロックの予めわかっている平均的なドリフトである例えば、500ヘルツ(Hz)に設定する。
図5(b)に示すように、ベースバンド部32bからは、2チップ分の位相C1乃至C64に対応する相関値Pが出力される。各位相C1乃至C64が、第1サンプリング位相SC1である。
制御部100は、例えば、C/Aコードの第1チップから第1023チップまでをサーチする。
このとき、このため、制御部100は、推定周波数Aを中心として、所定の幅の周波数において電波S1等をサーチする。例えば、(A−100)Hzの周波数から(A+100)Hzの周波数の範囲を、100Hzごとの周波数で電波S1等をサーチする。
コヒーレントは、ベースバンド部32bが、受信したC/AコードとレプリカC/Aコードの各chipについて相関をとる処理である。
例えば、図7(a)に示すように、コヒーレント時間αが10msecであれば、10msecの時間における相関積算値等を算出する。コヒーレント処理の結果、相関をとった位相と、相関積算値が出力される。
インコヒーレントは、インコヒーレント時間βにおいて、コヒーレント結果の相関積算値を積算することによって、インコヒーレント値を算出する処理である。インコヒーレント時間は、通常モードにおいては、8秒(s)である。
相関処理の結果、コヒーレント処理で出力された位相と、インコヒーレント値が出力される。相関値Pはインコヒーレント値である。
相関処理を行った位相C1乃至C64及び相関値Pを示すグラフ(以下、「相関グラフ」という)は、図7(b)に示すようになる。
例えば、制御部100は、既に算出している第1測位位相CP1を中心に、±256チップの範囲をサーチする。
また、周波数については、推定周波数Aを中心に、±1.0kHzの範囲を100Hz単位でサーチする。
GPS衛星12aの軌道上の位置はエフェメリス152bを使用して算出可能である。そして、GPS衛星12aの軌道上の位置と初期位置Q0との距離を算出すれば、C/Aコードの整数倍の部分を特定することができる。
そして、図8に示すように、レプリカC/Aコードの位相を例えば、矢印X1方向に移動させながら、相関処理を行を行う。
相関値が最大になった位相がコード端数C/Aaである。
制御部100は、測位位置Q1を示す測位位置情報156を第2記憶部150に格納する。
図9に示すように、第1高感度モードプログラム114においては、コヒーレント時間α2は10ミリ秒(ms)、インコヒーレント時間β2は24秒(s)、信頼度閾値γ2は0.4に設定されている。インコヒーレント時間β2は上述のインコヒーレント時間β1よりも長い時間として規定されている。このインコヒーレント時間β2は第2積算時間の一例である。信頼度閾値γ2は信頼度閾値γ1よりも弱い信号強度として規定されている。信頼度閾値γ2は第2信号強度閾値の一例である。
第1高感度モードプログラム114は、制御部100が、インコヒーレント時間β2と信頼度閾値γ2において測位を行うためのプログラムである。第1高感度モードプログラム114と制御部100は、第1高感度測位手段の一例である。
第1高感度モードプログラム114に基づく測位を第1高感度モードと呼ぶ。
測位方法は、上述の通常モードプログラム112と同様である。
ただし、インコヒーレント時間β2はインコヒーレント時間β1よりも長いから、第1高感度モードプログラム114による測位の方が、通常モードプログラム112による測位よりも、感度がよい。また、信頼度閾値γ2は信頼度閾値γ1よりも低いから、測位位置Q1を算出することができる可能性が大きい。
図10に示すように、第2高感度モードプログラム116においては、コヒーレント時間α3は10ミリ秒(ms)、インコヒーレント時間β3は64秒(s)、信頼度閾値γ3は0.2に設定されている。インコヒーレント時間β3は上述のインコヒーレント時間β2よりも長い時間として規定されている。このインコヒーレント時間β3は第3積算時間の一例である。信頼度閾値γ3は信頼度閾値γ2よりも弱い信号強度として規定されている。信頼度閾値γ3は第2信号強度閾値の一例である。
第2高感度モードプログラム116は、制御部100が、インコヒーレント時間β3と信頼度閾値γ3において測位を行うためのプログラムである。第2高感度モードプログラム116と制御部100は、第2高感度測位手段の一例である。
第2高感度モードプログラム116に基づく測位を第2高感度モードと呼ぶ。
測位方法は、上述の通常モードプログラム112と同様である。
ただし、インコヒーレント時間β3はインコヒーレント時間β2よりも長いから、第2高感度モードプログラム116による測位の方が、第1高感度モードプログラム114による測位よりも、感度がよい。また、信頼度閾値γ3は信頼度閾値γ2よりも低いから、測位位置Q1を算出することができる可能性が大きい。
第1高感度モードは、例えば、マイナス(−)156dBm以上の信号強度において測位位置Q1を算出可能な測位モードである。第1高感度モードは、マイナス(−)156dBm以上マイナス(−)154dBm未満の信号強度の場合に好適である。
第2高感度モードは、例えば、マイナス(−)160dBm以上の信号強度において測位位置Q1を算出可能な測位モードである。第2高感度モードは、マイナス(−)160dBm以上マイナス(−)156dBm未満の信号強度の場合に好適である。
高感度モード選択プログラム122は、ドリフト算出プログラム122a、ドリフト誤差算出プログラム122b及びドリフト誤差評価プログラム122cを含む。
図11に示すように、制御部100は、まず、例えば、エフェメリス152bを参照して現在時刻におけるGPS衛星12a等の軌道上の位置Qgを算出する。
続いて、3個以上のGPS衛星12a等からの電波S1等を受信し、予備測位を行い、測位位置Qpreを算出する。端末20は、少なくとも3個のGPS衛星12a等から信号強度の強い電波S1等を受信することができれば、測位位置Qpreを算出することができる。ただし、測位においては、より多数のGPS衛星を使用することによって、PDOP(Position Dilution Of Precision)等の向上を図ることができ、測位精度が向上する。この測位位置Qpreは表示装置34に表示しないから、位置精度は良好でなくてもよい。このため、予備測位においては、3個のGPS衛星12a等から信号強度の強い電波S1等を受信することができれば十分である。
続いて、エフェメリス152b、衛星位置Qg及び測位位置Qpreを使用して、ドップラー偏移H2を算出する。
受信周波数H3は、GPS衛星12a等からの発振周波数H1にドップラー偏移H2及びドリフトDRを加えたものである。
このため、式1によって、ドリフトDRを算出することができる。すなわち、受信周波数H3から発振周波数H1及びドップラー偏移H2を引くことで、ドリフトDRを算出することができる。
制御部100は、ドリフトDRを示すドリフト情報158を第2記憶部150に格納する。
このドリフトDRは、端末20の基準発振器(図示せず)のドリフトである。
ドリフト算出プログラム122aと制御部100は、ドリフト算出手段の一例である。
図12(a)に示すように、制御部100は、式3によって、ドリフト誤差DReを算出する。すなわち、時刻誤差dtに位置誤差dPを加算し、さらに、経過時間Δtと経過時間要因誤差bHzを乗じたものを加算することによって、ドリフト誤差DReを算出する。ドリフト誤差算出プログラム122bと制御部100は、ドリフト誤差算出手段の一例である。
時刻誤差dtは、計時部106の時刻誤差である。例えば、測位終了直後には、測位演算によって、計時部106の時刻誤差が算出され、時刻誤差を補正することができるから、時刻誤差dtは1ミリ秒(ms)である。そして、例えば、測位終了から時間が経過するに連れて時刻誤差dtは、10ミリ秒(ms)、1秒(s)、10秒(s)と大きくなる。そして、時刻誤差dtは周波数誤差に換算される。例えば、1ミリ秒(ms)には5ヘルツ(Hz)が対応し、10ミリ秒(ms)には10ヘルツ(Hz)が対応し、1秒(s)には15ヘルツ(Hz)が対応し、10秒(s)には30ヘルツ(Hz)が対応する。
経過時間Δtは、時刻誤差dt又は位置誤差dPが更新された場合には、リセットされ、0になる。
ドリフト誤差Dreは、図12(b)に示すように、ドリフトDRの誤差である。
制御部100は、ドリフト誤差DReを示すドリフト誤差情報160を第2記憶部150に格納する。
図13に示すように、通常モード移行条件Bは、例えば、信号強度SPが−154dBm以上であり、かつ、トラッキングしているGPS衛星が6個以上であることである。
信号強度SPは、信頼度Rに基づいて算出することができる。
制御部100は、通常モード移行条件Bが満たされていると判断した場合には、通常モードに移行する。
端末20は、インコヒーレント時間β1よりも長い時間として規定されるインコヒーレント時間β2を設定することができ、さらに、インコヒーレント時間β2よりも長い時間として規定されるインコヒーレント時間β3を設定することができる。
インコヒーレント時間が長いほど、相関処理においてC/Aコードをノイズと明確に区別することができる。これは、ドリフトが発生し、かつ、信号強度が微弱である場合であっても同様である。
このため、端末20は、ドリフトが発生し、かつ、信号強度が微弱である場合であっても、感度を向上させ、測位位置を算出することができる。
さらに、端末20は、上述のように、インコヒーレント時間β1及びβ3のみならず、β2を設定することができる。これは、信号強度が微弱であっても、その微弱さの程度に応じて、インコヒーレント時間β2又はβ3を設定することができることを意味する。このため、例えば、極度に微弱な信号強度の場合にはインコヒーレント時間β3を設定するが、通常の信号強度よりもやや弱い程度の微弱な信号強度の場合にはインコヒーレント時間β2を設定することができる。インコヒーレント時間β2で測位位置の算出が可能であれば、インコヒーレント時間β3を使用する場合よりも、早期に測位位置を算出することができる。このため、端末20は、信号強度の微弱さの程度に応じて、測位位置を早期に算出することができる。
なお、「通常の信号強度」とは、例えば、アンテナ33a(図3参照)に入力する信号強度がマイナス(−)154dBm以上の信号強度である。「通常の信号強度よりもやや弱い程度の微弱な信号強度」とは、例えば、マイナス(−)156dBm以上マイナス(−)154dBm未満であることを意味する。そして、「極度に微弱な信号強度」とは、マイナス(−)160dBm以上マイナス(−)156dBm未満であることを意味する。
信号強度が微弱である場合には、C/Aコードの位相を決定することができる信号強度を強く設定すると、その信号強度に達せず、測位位置を算出することができない場合がある。ここで、C/Aコードの位相を決定することができる信号強度を弱く設定すれば、位置精度は劣化するが、測位位置を算出することができる。
このため、端末20は、信号強度が微弱である場合であっても、測位位置Q1を算出することができる。
また、端末20上述のように、信頼度閾値γ1及びγ3のみならず、信頼度閾値γ2を設定することができる。これは、信号強度が微弱であっても、その微弱さの程度に応じて、信頼度閾値γ2又は信頼度閾値γ3を設定することができることを意味する。このため、例えば、極度に微弱な信号強度の場合には信頼度閾値γ3を設定するが、通常の信号強度よりもやや弱い程度の微弱な信号強度の場合には信頼度閾値γ2を設定することができる。信頼度閾値γ2で測位位置の算出が可能であれば、信頼度閾値γ3を使用する場合よりも、精度の良い測位位置を算出することができる。このため、端末20は、信号強度の微弱さの程度に応じて、精度よく測位位置を算出することができる。
通常モードにおいては、インコーレント時間β1で測位を行うから、迅速に測位結果を出力することができる。また、通常モードは、信頼度閾値γ1で測位を行うから、測位位置の精度が高い。しかし、信号強度が弱い場合には、インコーレント時間β1では信頼度閾値γ1を上回ることができない場合がある。この結果、測位位置を算出することができない場合がある。
この点、端末20は、24秒が経過した場合に、第1高感度モード又は第2高感度モードを開始することができるから、より信号強度が弱い場合であっても、測位位置を算出することができる。
ドリフト誤差DReが小さいほど、端末20はC/Aコードの周波数と一致した受信周波数を発生することができる。このため、感度が向上する。
この点、端末20は、ドリフト誤差DReが±50ヘルツ以内ではない場合には、第1高感度モードを開始し、ドリフト誤差DReが±50ヘルツ以内であって十分に小さい場合には第2高感度モードを開始するから、信号強度が微弱であっても、ドリフト誤差DReに応じて、測位位置の精度を確保することができる。
以下、図14を使用して、端末20の動作を要約して説明する。
まず、端末20は、通常モードを開始する(図14のステップST1)。このステップST1は、通常モード開始ステップの一例である。
続いて、端末20は、24秒経過したか否かを判断する(ステップST2)。このステップST2は、許容時間経過判断ステップの一例である。
端末20は、ステップST2において、24秒経過したと判断すると、測位位置Q1を算出したか否かを判断する(ステップST3)。ステップST3においては、通常モードの動作開始から24秒間において、測位位置Q1が算出されているか否かを判断する。ステップST3において、端末20が、測位位置Q1を算出したと判断すると、通常モードを継続し、ステップST2以下を繰り返す。
続いて、端末20は、ドリフト誤差DReを算出する(ステップST5)。このステップST5は、ドリフト誤差算出ステップの一例である。
続いて、端末20は、48秒(s)経過したか否かを判断する(ステップST8)。
ステップST8において、端末20が48秒(s)経過したと判断すると、測位位置Q1を算出したか否かを判断する(ステップST9)。ステップST9においては、第1高感度モードの動作を開始してから現在時刻までの間に、測位位置Q1が算出されたか否かを判断する。
これに対して、端末20は、ステップST9において、測位位置Q1が算出されたと判断すると、通常モード移行条件Bを満たすか否かを判断する(ステップST10)。
端末20は、ステップST10において、通常モード移行条件Bを満たさないと判断した場合には、再びステップST4以下を繰り返す。
これに対して、ステップST10において、通常モード移行条件Bを満たすと判断した場合には、ステップST1以下を繰り返す
続いて、端末20は、128秒(s)経過したか否かを判断する(ステップST8A)。
ステップST8Aにおいて、端末20が48秒(s)経過したと判断すると、測位位置を算出したか否かを判断する(ステップST9)。ステップST9においては、第2高感度モードの動作を開始してから現在時刻までの間に、測位位置Q1が算出されているか否かを判断する。
端末20は、図15に示す方法によって、ドリフトDRを算出してもよい。
例えば、通信基地局から精度の高い1秒パルスのタイミング信号TM1を受信し、端末20が発生する1秒パルスのタイミング信号TM2とのタイミング差分を算出し、このタイミング差分をドリフトDRとしてもよい。例えば、GPS衛星12a等からの電波S1等を使用してタイミング信号TM1をGPS衛星12a等の時間精度と同等の精度を有する1秒パルスの信号に維持すれば、このタイミング信号TM1を基準として、端末20のタイミング信号TM2のドリフトDRを算出することができる。
また、例えば、インコヒーレント時間β1等及び信頼度閾値γ1等を適宜組み合わせて、第1高感度モード及び第2高感度モード以外の高感度モードを実施することができるようにしてもよい。
Claims (3)
- 発信源から測位基礎符号を受信して、コヒーレントとインコヒーレントとからなる相関処理を行って、現在位置を測位する測位装置であって、
前記インコヒーレントを実施する時間である第1積算時間と、
前記第1積算時間よりも長い時間として規定される第2積算時間と、
前記第2積算時間よりも長い時間として規定される第3積算時間と、
前記測位基礎符号の位相を決定することができる信号強度として規定される第1信号強度閾値と、
前記第1信号強度閾値よりも弱い信号強度として規定される第2信号強度閾値と、
前記第2信号強度閾値よりも弱い信号強度として規定される第3信号強度閾値と、
を設定可能に構成され、
前記第1積算時間と前記第1信号強度閾値を使用する測位である通常モードを行う通常測位手段と、
前記第2積算時間と前記第2信号強度閾値を使用する測位である第1高感度モードを行う第1高感度測位手段と、
前記第3積算時間及び前記第3信号強度閾値を使用する測位である第2高感度モードを行う第2高感度測位手段と、
前記測位装置の基準発振器のドリフトを算出するドリフト算出手段と、
時刻誤差、位置誤差および、経過時間と経過時間要因誤差との乗算結果を加算して前記ドリフトの誤差であるドリフト誤差を算出するドリフト誤差算出手段と、
前記ドリフト誤差が予め規定した許容誤差範囲内か否かを判断するドリフト誤差評価手段と、
前記ドリフト誤差評価手段の評価結果に基づいて、前記第1高感度モード又は前記第2高感度モードのいずれかを開始する高感度モード選択手段と、
を有することを特徴とする測位装置。 - 前記通常モードを開始してから、予め規定される許容時間が経過したか否かを判断する許容時間経過判断手段と、
前記許容時間が経過した場合に、前記第1高感度モード又は前記第2高感度モードを開始する高感度モード開始手段と、
をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の測位装置。 - 発信源から測位基礎符号を受信して、コヒーレントとインコヒーレントとからなる相関処理を行って、現在位置を測位する測位装置が、第1積算時間において測位を行う通常モードを開始する通常モード開始ステップと、
前記測位装置が、前記通常モードを開始してから、予め規定される許容時間が経過したか否かを判断する許容時間経過判断ステップと、
前記測位装置が、前記測位装置の基準発振器のドリフトを算出するドリフト算出ステップと、
前記測位装置が、時刻誤差、位置誤差および、経過時間と経過時間要因誤差との乗算結果を加算して前記ドリフトの誤差を算出するドリフト誤差算出ステップと、
前記測位装置が、前記ドリフト誤差が予め規定した許容誤差範囲内か否かを判断するドリフト誤差評価ステップと、
前記第1積算時間よりも長い第2積算時間において測位を行う第1高感度モード又は、前記第2積算時間よりも長い第3積算時間において測位を行う第2高感度モードを開始する高感度モード開始ステップと、
を有することを特徴とする測位装置の制御方法。
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