JP2007309481A - 固形潤滑剤内蔵の転がり軸受の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ペースト状の固形潤滑剤を転がり軸受の要部に充填し加熱硬化する際に、可及的に簡単な器具や方法でもって固形潤滑剤の垂れ落ちを防止し、これによって加熱(焼成)工程を単純化し、固形潤滑剤を内蔵する転がり軸受を効率よく製造できるようにすることである。
【解決手段】潤滑油または潤滑グリースに樹脂粉末を混合した半固形状の潤滑性組成物を、転がり軸受の保持器2の少なくとも一部の軸方向両端面に付着させ、この潤滑性組成物を加熱して固形状化する際、前記加熱するときに内輪3と外輪4の上端面における間隙を塞ぐように、耐熱性断熱体9を被せて加熱する固形潤滑剤内蔵の転がり軸受の製造方法とする。保持器2の下側の半固形状潤滑性組成物1bの温度は、保持器2の上側の半固形状潤滑性組成物1aの温度よりも早く上昇し、先に硬化した保持器2の下側の固形潤滑剤が、保持器2の上側の半固形状潤滑性組成物1aの垂れ落ちを防止する。
【選択図】図2

Description

この発明は、固形潤滑剤内蔵の転がり軸受の製造方法およびこの方法によって製造される固形潤滑剤内蔵の転がり軸受に関するものである。
潤滑油や潤滑グリースなどの液体潤滑剤を含む組成物を、例えば硬質ゴム程度の硬さに固形状化して転がり軸受内に保持させた固形潤滑剤内蔵の転がり軸受が周知である。
この種の転がり軸受は、使用中に液体潤滑剤が飛散しないので、使用環境を油汚染せず、そのため食品製造機械などでも所要食品を汚染しないものであり、また軸受内に水分が浸入し難く、グリースは乳化し難く耐水性の面でも優れており、さらにまた軸受のメンテナンスの頻度が少なくなって屋外で使用される自動車その他の機械、食品機械、遠心力のかかる撚線機などにも適当な転がり軸受として賞用されている。
このような固形潤滑剤を内蔵する転がり軸受の製造工程は、潤滑油または潤滑グリースと熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂との混合物をペースト状化し、これを転がり軸受内に金型などを用いて垂れ落ちないように一時的にシールし、次いで加熱して金型と前記混合物との接触面を固形状化し、金型を取り外して転がり軸受全体を加熱して混合物全体を固形状化し、必要に応じて放冷などにより冷却する(特許文献1)。
このような潤滑油または潤滑グリースと熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂との混合物からなる未硬化の固形潤滑剤を加熱すると、所定温度から潤滑油は樹脂分子間に侵入して膨潤と吸油現象が起こり、次いで膨潤した樹脂粒子同士の結合が起こり固形状化する。
特開平9−094893号公報
しかし、上記した従来技術では、金型などを使用しなければ加熱時に軟化したペースト状混合物をそのまま保持することは困難であり、具体的には液状物が垂れ落ちないように、ペースト状混合物を硬化するまで密封しておくための金型などシール部品が必要であり、その設置のための工程数の増加と、製造効率の低下は免れなかった。
図7に示すように、このような液状物の垂れ落ちの問題を転がり軸受の構造から調べてみると、問題の多い箇所は、2枚の帯状金属で転動体5を上下方向から包み込む環状の保持器2に、転動体同士の間隔を保持する部分として、2枚の帯状金属板が扁平状に重ねられてリベット6などで固定された間隔保持部2aである。
このような転動体の間隔保持部2aにより、軸受内の保持器2の上下には比較的広い空間が形成され、この保持器2の上側に充填された半固形状潤滑性組成物1aが加熱によって流動性を増すと、これは重力によって保持器2の下側に移動し、半固形状潤滑性組成物1bが増加した自重によって垂れ落ちていると考えられる。
そのような原因であるならば、転がり軸受に金型を取り付けて固形潤滑剤の未焼成原料を加熱硬化処理時に養生し、その脱落を防止できると考えられる。
しかし、実際にその部分を確実に養生するには、軸受の型式毎に異なる形状の金型が必要となり、それでは軸受の形式毎に各種の金型を揃えなければならず、加熱前後に工程数も増加するなど、生産コストの上昇と生産効率の低下を招くため、多種類の軸受を少量生産するための対応に反し、また軸受の生産数量を急増する場合には対応できないという欠点もあった。
そこで、この発明の課題は、上記した問題点を解決して、ペースト状の固形潤滑剤を転がり軸受の要部に充填し加熱硬化する際に、可及的に簡単な器具や方法でもって固形潤滑剤の加熱固形化時の垂れ落ちを防止し、これによって加熱(焼成)工程を単純化し、固形潤滑剤を内蔵する転がり軸受を効率よく製造できるようにすることである。
上記の課題を解決するために、この発明においては、潤滑油または潤滑グリースに樹脂粉末を混合した半固形状の潤滑性組成物を、転がり軸受の保持器の少なくとも一部の軸方向両端面に付着させ、この潤滑性組成物を加熱して固形状化する固形潤滑剤内蔵の転がり軸受の製造方法において、前記加熱するときに内・外両輪の上端面における間隙を塞ぐように、耐熱性断熱体を被せて加熱する固形潤滑剤内蔵の転がり軸受の製造方法としたのである。
上記した工程からなるこの発明の転がり軸受の製造方法では、転がり軸受の軸方向を上下方向に向けて重力方向に一致させ、内・外両輪の上端面の間隙開口部を塞ぐように耐熱性断熱体を設けることにより、転がり軸受を加熱するときに、保持器の上側に加熱雰囲気(熱気)が直接に接しない、一方、保持器下側の固形潤滑剤には直接に加熱雰囲気が接する。そのため、半固形状の潤滑性組成物の保持器上側の温度上昇速度は、保持器下側の半固形状の潤滑性組成物の温度上昇速度より遅くなる。
このように保持器上側より下側を速やかに加熱すると、保持器の下側の半固形状の潤滑性組成物は、保持器の上側に保持されている半固形状潤滑性組成物より先に加熱されて樹脂粉末同士が結合して固形状化され、すなわち硬化する。このとき、保持器の下側の半固形状潤滑性組成物は、一時的に流動しやすい温度に達した後に固形状化される温度に達するが、特に自重が増加することはないので、保持器下側の半固形状潤滑性組成物が垂れ落ちることはない。
その後、保持器の上側に付着している潤滑性組成物が、加熱されて流動しやすい温度に達したときには、既に保持器の下側の潤滑性組成物は、樹脂粉末同士が結合して固形状化されており、保持器の上側の潤滑性組成物は、垂れ落ちることなく樹脂粉末同士が結合する温度に過熱されて硬化する。
これにより、従来の潤滑性組成物の垂れ落ち防止のためのシール用金型の取り付けの必要はなくなり、加熱処理作業は簡単化されて効率よく固形潤滑剤が内蔵された転がり軸受を製造できる。
このような固形潤滑剤を内蔵する転がり軸受の製造をより確実に効率よく行なうには、前記耐熱性断熱体を、内・外両輪の上端面を全て覆うように設けて行なうことが好ましい。このようにすると、内・外両輪の上端面から内・外両輪を経由して保持器上側の潤滑性組成物により確実に熱が伝わり難くなり、温度上昇の速度がその保持器下側の温度上昇速度より充分に遅くなる。
このような加熱方法は、炉内雰囲気温度が比較的均一な汎用の熱風循環型の加熱炉で行なうことができるから、実用的で好ましい方法である。
この発明は、内・外両輪の上端面の間隙開口部を塞ぐように耐熱性断熱体を設け、保持器の下側に保持されている半固形状の潤滑性組成物を保持器の上側に保持されている半固形状の潤滑性組成物より先に加熱硬化させるようにしたので、半固形状の潤滑性組成物を転がり軸受に付着させて加熱硬化する際に、簡単な器具や方法で固形潤滑剤の垂れ落ちを防止し、加熱(焼成)工程を簡単化して固形潤滑剤を保持する転がり軸受を効率よく製造できるという利点がある。
また、前記耐熱性断熱体を、内・外両輪の両端面を覆うように設けることにより、より確実に熱風循環型の加熱炉などでも潤滑性組成物の垂れ落ちがなく加熱工程を簡単化してより効率よく固形潤滑剤内蔵の転がり軸受を製造できるという利点がある。
この発明の実施形態を以下に添付図面に基づいて説明する。
図1〜3に示すように、まず、潤滑油または潤滑グリースに樹脂粉末を混合した半固形状潤滑性組成物1a、1bを転がり軸受の内部に環状の保持器2の軸方向両端面に付着させ、好ましくは特に図2に示すように少なくとも保持器2の一部を包むように充填する。転がり軸受は、特にその種類を限定したものではなく、図中の符号3は内輪、4は外輪、5は転動体である。
また保持器2についても、特にその形態や型式を限定したものではなく、図示したものは2枚の帯状金属で形成され、転動体5を上下方向から包むと共に、転動体5の間隔保持部分は、2枚の帯状金属板が扁平状に重ねられリベット6などで固定されている。そして、環状の保持器2の一部または全部に半固形状潤滑性組成物1a、1bを充填する。すなわち、スポットパックおよびフルパックのいずれの場合でも扁平状の間隔保持部分は、半固形状潤滑性組成物1a、1bで包まれた状態である。
そして、内輪3および外輪4の上端面の間隙開口部を塞ぐように、好ましくは内・外両輪の上端面、さらには内輪3の軸穴まで完全に覆うように、適当な大きさの円板状の耐熱性断熱体9が載置された状態で設ける。
これらの耐熱性断熱体9は、軸受の端面の形状に合わせて、少なくとも内・外両輪の上端面の間隙開口部を塞ぐように設ければよく、リング状の円板を採用することもできる。リングの幅は内・外両輪の上端面の間隙開口部を塞ぐ幅があればよく、内・外両輪の上端面の内縁や外縁まで覆わない細幅のリング状のものでも採用できる。
または内・外両輪の上端面を全て覆うように、円板、三角板以上の多角形板、または板の厚みを特に限定せずに、シート状のもの、または厚肉のブロック状のものを採用することもできる。また、内・外両輪の上端面の外周縁から径方向外側に庇のようにはみ出た縁部分を有していてもよい。
この発明に用いる耐熱性断熱体の材質は、その耐熱性が以下の樹脂の加熱温度より高いものを採用すればよく、周知の無機質または有機質の断熱体を採用できる。具体的には、周知の耐熱性断熱体の素材として、炭素繊維、グラスファイバーその他のセラミックス繊維からなる不織布、またはこれにフェノール樹脂などの耐熱性樹脂やセメントを含浸させた無機質繊維系の成形品、またはマイカ配合の耐熱性樹脂製品などが挙げられる。その他にもロックウール、グラスウール、アルミナシリケート繊維等の無機繊維を、コロイダルシリカ、アミナゾル等の無機質のバインダーで結合したもの、フォームグラス、パーライト、パーミキュライト、発泡シラス成形体、ケイ酸化カルシューム保温材、耐熱レンガなどが挙げられる。
この発明に用いる固形潤滑剤1は、潤滑油または潤滑グリースに樹脂粉末を混合した半固形状潤滑性組成物1a、1bを加熱硬化(固形化)して得られるものであり、各種材料を広く採用でき、材料の配合割合も設計的な配慮により適宜に調整できる周知の組成物である。
また、この発明における潤滑剤は、潤滑油または潤滑グリースのいずれでも採用できる。
潤滑油としては、鉱油、合成炭化水素油、ポリアルキレングリコール油、ジエステル油、ポリオールエステル油、リン酸エステル油、ポリフェニルエーテル油、シリコーン油などが挙げられ、周知の潤滑油を特に限定することなく使用できる。
潤滑グリースは、いずれも石けんまたは非石けんで増稠した潤滑グリースであって、基油や増稠剤の種類を特に限定したものでなく、増稠剤−基油系グリースの分類名称で挙げれば、例えばリチウム石けん−ジエステル系グリース、リチウム石けん−鉱油系グリース、ナトリウム石けん−鉱油系グリース、アルミニウム石けん−鉱油系グリース、リチウム石けん−ジエステル鉱油系グリース、非石けん−ジエステル系グリース、非石けん−鉱油系グリース、非石けん−ポリオールエステル系グリース、リチウム石けん−ポリオールエステル系グリース、リチウム石けん−シリコーン油系グリースなどの各系のグリースが挙げられる。ウレア−合成油系グリースは、特に耐熱性の点で好ましいものである。
上記したような潤滑油を基油として金属石けんや非石けん(ジウレア、ベントン、ポリウレア等)の増稠剤を添加して適当な粘度にしたグリース、または潤滑油には、必要に応じて極圧剤等の各種添加剤を添加して使用することもできる。
この発明に用いる固形潤滑剤の原料として使用する樹脂粉末の樹脂種としては、超高分子量ポリオレフィン樹脂などの熱可塑性樹脂が適用できる。
熱可塑性樹脂粉末は、周知の熱可塑性樹脂の粉末を限定することなく採用でき、例えば超高分子量ポリオレフィン粉末の他、ポリアミド樹脂(ナイロン)、ポリアセタール樹脂、メチルメタアクリル樹脂、アクリル−スチレン共重合樹脂、ポリスチレン、ABS樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリビニリデンフルオライド、ポリカーボネイト、フッ化樹脂、アセテートセルロース、セルロイドなどの熱可塑性樹脂を例示できる。
超高分子量ポリオレフィン粉末は、超高分子量ポリエチレン、超高分子量ポリプロピレン、超高分子量ポリブテンもしくはこれらの共重合体からなる粉末またはそれぞれ単独の粉末であってよく、各粉末の分子量は、粘度法により測定される平均分子量が1×106 〜5×106 である。このような平均分子量の範囲にあるポリオレフィンは、剛性及び保油性において低分子量のポリオレフィンより優れ、高温に加熱してもほとんど流動することはない。また、熱可塑性樹脂粉末の平均粒径は、10〜30μmのものを採用して、好ましい結果を得ている。
熱可塑性樹脂の固形潤滑剤中の配合割合は95〜1重量%であれば好ましく、その量は組成物の所望の離油度、粘り強さおよび硬さに依存する。したがって、超高分子量ポリオレフィン等の熱可塑性樹脂の配合量が多い程、所定温度で分散保持させた後のゲルは硬くなる。
この発明に用いる固形潤滑剤の原料として使用する樹脂粉末の樹脂種としては、超高分子量ポリオレフィン樹脂などの熱可塑性樹脂の他、熱硬化性樹脂も採用でき、熱硬化性樹脂の具体例として、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、エポキシ樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。
特に、アミノ基その他の反応性有機基を持つ変性シリコーン油と、前記反応性有機基に反応する有機基を有するエポキシ樹脂との組み合わせからなるエポキシ・シリコーン樹脂とも称されるものは、固形化状態や耐熱性の点で好ましいものである。
変性シリコーンと所定の硬化剤を重合した熱硬化性樹脂を使用する場合は、シリコーンと相溶性のない潤滑油を使用することが好ましく、そのような潤滑油として、例えば鉱油、合成炭化水素油、ジエステル油、ポリオールエステル油、エーテル油、フッ素油、リン酸エステル油などのシリコーン油以外の潤滑油が挙げられる。
熱硬化性樹脂は、その未硬化原料粉末を用いて潤滑油または潤滑グリースと混合するが、配合比率は特に限定されたものではなく、例えば5〜95重量%の範囲で両者を配合し、全体が均一なペースト状で離油していない半固形状態のものとすればよく、これを転がり軸受内部の空隙に部分充填(いわゆるスポットパック)し、または空隙全体に充填(いわゆるフルパック)してもよい。
また、上記したような熱硬化性樹脂を主成分として、さらに潤滑性のよい樹脂を添加してもよく、そのような樹脂としてはポリエチレン樹脂やポリアミド樹脂などの熱可塑性樹脂を採用することもできる。
上記のような潤滑油または潤滑グリースに樹脂粉末を混合した半固形状の潤滑性組成物を転がり軸受の内部に充填し、保持器の少なくとも転動体同士の間隔保持部2aの上下両面に付着させてこれを包むように保持させた後、熱風が循環する加熱炉内の任意の位置に転がり軸受を置いて加熱する。炉内の雰囲気温度の調節および均一化のためには、適宜の周知の手法を採用してもよく、冷却のために部分的に空気や液体を導入して温度調節することもできる。
図4に示すような加熱炉(一般に焼成炉とも呼ばれる)は、電熱ヒータなどからなる熱源7により加熱された高温の空気をファン8によって炉中央部の奥から炉内前部へ流通させ、さらに上下に対流するように流通させる。このような構造の加熱炉は、加熱炉の上部と下部との温度差も小さく、必要に応じて炉の頂上部からダクトなどの循環路(図示せず。)を経由してファン8の空気取り入れ口へ熱風を返送して熱循環ができる。
上記構造の加熱炉を用いて、転がり軸受Aの内部に潤滑グリースに樹脂粉末を混合した半固形状の潤滑性組成物を保持させて固形状化した。固形潤滑剤は、ポリエチレン樹脂粉末を含有したリチウム−鉱油系グリースと潤滑油を混合し、軟化温度80℃前後、硬化温度約130℃のNTN社製:一般用ポリルーブLP03を使用した。
このとき、熱源7とファン8が配置された中央部の炉内の棚B上に、転がり軸受Aを軸方向が垂直になる姿勢で載置し、その上にグラスウールで形成された厚さ0.3〜0.8cmの円板状の耐熱性断熱体9を内・外両輪の上端面の間隙開口部を塞ぐように被せて転がり軸受Aの外輪に側面から150℃の加熱雰囲気が接するようにして加熱した。
そして、転がり軸受内部の半固形状の潤滑性組成物の温度を、保持器2の上側の半固形状潤滑性組成物1aと保持器2の下側の半固形状潤滑性組成物1bとに分けてそれぞれ経時的に測定し、この結果を図5に示した。
[比較例1]
実施例1において、転がり軸受Aを加熱する際、加熱炉内で耐熱性断熱体9を用いなかったこと以外は全く同様にして、潤滑グリースに樹脂粉末を混合した半固形状の潤滑性組成物を保持させた転がり軸受Aを固形状化した。
そして、転がり軸受内部の半固形状潤滑性組成物の温度を、保持器2の上側の半固形状潤滑性組成物1aと保持器2の下側の半固形状潤滑性組成物1bとに分けてそれぞれ経時的に測定し、この結果を図6に示した。
図5の結果からも明らかなように、耐熱性断熱体を用いた実施例1の転がり軸受は、保持器下側の半固形状潤滑性組成物1bの温度は、保持器上側の半固形状潤滑性組成物1aの温度よりも11℃程度高く、そのため早く温度上昇しており、先に硬化した保持器下側の固形潤滑剤が、保持器上側の半固形状潤滑性組成物の垂れ落ちを防止した。
これに対して、図6の結果からは、比較例1の半固形状潤滑性組成物の温度分布をみると、保持器の上側と下側のエポキシ・シリコーン樹脂の温度差は3℃程度であった。この場合、図7に示すように保持器上側の半固形状潤滑性組成物1aが加熱によって流動性を増し、重力によって保持器下側に移動し、未硬化の保持器下側の半固形状潤滑性組成物1bと合わさって垂れ落ちが生じた。
さらに、上記の加熱時の温度差の調整による理想的な条件を調べた結果、50℃以上の場合に理想的な形状で半固形状潤滑性組成物を固形状化できることが判明した。
固形潤滑剤を内蔵する転がり軸受の平面図 固形潤滑剤を内蔵する転がり軸受の要部拡大断面図 実施形態の製法により加熱硬化された固形潤滑剤を示す転がり軸受の断面図 実施例に用いた加熱炉の概略構造の説明図 実施例の保持器の上・下側の半固形状潤滑性組成物の加熱時間と温度の関係を示す図表 比較例の保持器の上・下側の半固形状潤滑性組成物の加熱時間と温度の関係を示す図表 従来の製法により加熱硬化された固形潤滑剤を示す転がり軸受の断面図
符号の説明
1 固形潤滑剤
1a、1b 半固形状潤滑性組成物
2 保持器
3 内輪
4 外輪
5 転動体
6 リベット
7 熱源
8 ファン
9 耐熱性断熱体
A 転がり軸受
B 炉内の棚

Claims (4)

  1. 潤滑油または潤滑グリースに樹脂粉末を混合した半固形状の潤滑性組成物を、転がり軸受の保持器の少なくとも一部の軸方向両端面に付着させ、この潤滑性組成物を加熱して固形状化する固形潤滑剤内蔵の転がり軸受の製造方法において、
    前記加熱するときに転がり軸受の軸方向を重力方向に一致させ、内・外両輪の上端面の間隙開口部を塞ぐように耐熱性断熱体を被せて加熱することを特徴とする固形潤滑剤内蔵の転がり軸受の製造方法。
  2. 前記耐熱性断熱体を、内・外両輪の上端面を覆うように設ける請求項1に記載の固形潤滑剤内蔵の転がり軸受の製造方法。
  3. 加熱が、熱風循環型の加熱炉内の加熱である請求項1または2に記載の固形潤滑剤内蔵の転がり軸受の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の固形潤滑剤内蔵の転がり軸受の製造方法で得られる固形潤滑剤内蔵の転がり軸受。
JP2006141359A 2006-05-22 2006-05-22 固形潤滑剤内蔵の転がり軸受の製造方法 Pending JP2007309481A (ja)

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