JP2007309151A - エンジンの燃料噴射装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】この発明は、気体燃料の浪費を抑制しつつ、既存の構成を用いて筒内燃料噴射弁にかかる燃料圧力を低下させ、該筒内燃料噴射弁を開弁し易くできるエンジンの燃料噴射装置を提供することを目的とする。
【解決手段】エンジン始動時、遮断弁を開作動させるタイミング(s12)をオンディレータイマ手段の作動により所定時間遅延(s10)させ、コントロールユニットは、遮断弁の閉状態(s6)で気体水素噴射弁より気体水素の噴射を実行(s8)させるようにした。
【選択図】図8

Description

この発明は、筒内に直接気体燃料を噴射する筒内燃料噴射弁を備え、エンジン運転時開弁するとともに、エンジン停止時閉弁する制御弁を、前記筒内燃料噴射弁と燃料タンクとを接続する気体燃料通路に配設したエンジンの燃料噴射装置に関する。
従来より、作動室内に直接気体燃料を噴射する直噴式の筒内燃料噴射弁を備えたエンジンが知られている。かかる直噴式の筒内燃料噴射弁を備えたエンジンにおいては、元々気体に含まれる水分又は、気体燃料を使用した場合の、燃焼に伴い生じる水分が外気温の低下に伴い氷結し、それが筒内燃料噴射弁に付着して、その開弁を妨げるという問題が発生し得る。
また、エンジンの回転を潤滑にするために潤滑油を用いる場合、該潤滑油が筒内燃料噴射弁に浸入し、該筒内燃料噴射弁の開弁を妨げるという問題もある。
また、下記特許文献1には、気体燃料を燃料タンクに高圧充填する際に混入してしまったミスト状のオイルが筒内燃料噴射弁に付着して、低温始動時にこのオイルが固着して前記筒内燃料噴射弁の開弁を妨げる場合があることが記載されている。
かかる問題に対処して、例えば特許文献1には、エンジンの停止時に筒内燃料噴射弁にかかる燃料圧力(燃圧)を低下させることで、オイルの固着力を弱めて筒内燃料噴射弁を開弁し易くする方法が提案されている。
特開2000−274312号公報
ここで、前記特許文献1には、筒内燃料噴射弁にかかる燃料圧力を低下させる方法として、エンジン停止時に、燃料タンクと筒内燃料噴射弁との間に配設された制御弁を閉弁した状態で点火及び燃料噴射を実行し、気体燃料タンクと筒内燃料噴射弁との間の気体燃料通路(デリバリパイプ)内の燃料圧力を低下させる方法が開示されている。
また、前記特許文献1には、上述した方法の他、エンジンシリンダ内(筒内)に点火カットの燃料噴射を行った場合、エンジン始動時にエンジンシリンダ内の気体燃料を含む混合気を排出する掃気処理を実行する方法も開示されている。
しかしながら、このようにエンジン停止時に点火及び燃料噴射が実行されたり、掃気処理が実行されたりすることで、エンジンの運転に寄与することなく気体燃料が消費されてしまうため、燃料の浪費を招くという問題がある。
この発明は、気体燃料の浪費を抑制しつつ、既存の構成を用いて筒内燃料噴射弁にかかる燃料圧力を低下させ、該筒内燃料噴射弁を開弁し易くできるエンジンの燃料噴射装置を提供することを目的とする。
この発明のエンジンの燃料噴射装置は、筒内に直接気体燃料を噴射する筒内燃料噴射弁と、エンジン運転時開弁するとともに、エンジン停止時閉弁する制御弁とを備え、該制御弁を、前記筒内燃料噴射弁と気体燃料タンクとを接続する気体燃料通路に配設したエンジンの燃料噴射装置であって、エンジン始動時、前記制御弁の開作動を遅延する制御弁制御手段と、前記制御弁の閉弁状態で前記筒内燃料噴射弁より燃料噴射を実行する燃料制御手段とを備えたことを特徴とする。
この構成によれば、筒内燃料噴射弁に付着した水分の氷結や、オイル、潤滑油の固着等により前記筒内燃料噴射弁が開弁しにくい場合、制御弁を暫く閉弁し、気体燃料を供給しない状態で気体燃料を噴射することにより、燃料圧力を低下させることができるため、筒内燃料噴射弁を閉弁しようとする気体燃料の作用が小さくなり、これを開弁し易くできる。
さらに、制御弁を暫く閉弁し、気体燃料を供給しない状態で噴射された気体燃料は筒内に放出され、後のエンジン始動において有効に利用されるため、気体燃料の浪費を抑制することもできる。
また、既存の制御弁を燃料圧力補正手段として利用できるため、可変レギュレータを新たに設けることなく前記燃料圧力を低下させることができる。
この発明の一実施態様においては、前記筒内燃料噴射弁に関連する温度を検出する温度検出手段を備え、前記制御弁制御手段を、前記温度が所定温度未満である時に作動させることを特徴とする。
この構成によれば、特に、冷間時の水分の氷結や、オイル、潤滑油の固着等により筒内燃料噴射弁が開弁しにくい場合、エンジン始動時に燃料圧力を低下させることにより、筒内燃料噴射弁の作動を確保できる。
この発明の一実施態様においては、エンジン始動時の気体燃料の燃料圧力低下に基づいて、前記気体燃料通路を含む気体燃料供給系の燃料洩れを検出する洩れ検出手段を備えたことを特徴とする。
この構成によれば、エンジン始動時における気体燃料洩れの検出性を確保しつつ、筒内燃料噴射弁を開弁させ易くできる。
この発明の一実施態様においては、前記制御弁制御手段において、前記制御弁の開作動を遅延する遅延時間を、前記筒内燃料噴射弁により気体燃料の噴射が可能な燃料圧力に低下するまでの時間相当に設定したことを特徴とする。
この構成によれば、燃料圧力の低下により気体燃料が筒内に供給されにくくなるといった事態を回避でき、筒内への噴射を維持しつつ、筒内燃料噴射弁を開弁し易くすることができる。
この発明の一実施態様においては、前記制御弁制御手段において、前記制御弁の開作動を遅延する遅延時間を、気体燃料の燃料圧力が筒内圧よりも高い所定の値に低下するまでの時間相当に設定したことを特徴とする。
この構成によれば、燃料圧力の低下によって、筒内圧により気体燃料が筒内に供給されにくくなるといった事態を回避でき、筒内への噴射を維持しつつ、筒内燃料噴射弁を開弁し易くすることができる。
この発明の一実施態様においては、前記制御弁制御手段を、気体燃料の燃料圧力が低い時は、高い時に対して、前記制御弁の開作動を遅延する遅延時間が短くなるように構成したことを特徴とする。
この構成によれば、残圧に応じた時間、前記制御弁の開作動が遅延されることで、必要以上に制御弁の開作動が遅延することを抑制している。これにより、エンジンの正常な運転を可及的に早めることができる。
この発明の一実施態様においては、前記燃料制御手段を、気体燃料の燃料圧力に応じて無効噴射時間を補正するように構成したことを特徴とする。
この構成によれば、燃料圧力の低下を許容したまま気体燃料の噴射を実行することによる無効噴射時間のずれを補正することができるため、筒内の空燃比を所定値に維持することができ、エンジンの始動性を確保することができる。
この発明によれば、制御弁を暫く閉弁し、気体燃料を供給しない状態で気体燃料を噴射することにより、燃料圧力を低下させることができるため、これを開弁し易くできるとともに、前記噴射された気体燃料は筒内に放出され、後のエンジン始動において有効に利用されるため、気体燃料の浪費を抑制することができる。
また、既存の制御弁を燃料圧力補正手段として利用できるため、可変レギュレータを新たに設けることなく前記燃料圧力を低下させることができる。
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を詳述する。
図1は、本発明の実施形態に係るロータリタイプのエンジン本体1を概略的に表す図である。エンジン本体1は、外形をなす構成として、トロコイド状の内周面を備えたロータハウジングH1と、ロータRの平面方向に沿って広がるほぼ平面状のサイドハウジングH2とを有している。これらハウジングH1及びH2が組み合わせられ、その内部に形成された内部空間にロータRが収納された状態で、ロータRの周囲には、ロータハウジングH1の内周面とサイドハウジングH2とにより、3つの作動室E1〜E3が規定される。各作動室E1〜E3は、偏心軸CのまわりにおけるロータRの回転に伴い、拡大及び伸縮を繰り返し、ロータRが1回転する間に、各作動室E1〜E3にて吸気行程、圧縮行程、膨張行程、排気行程からなる一連の行程が完了される。
ロータハウジングH1には、作動室E1内に気体水素を直接噴射する気体水素噴射弁I1(以下、直噴式水素インジェクタI1という)と、作動室E1内に供給された燃料(気体水素)及びエアからなる混合気に点火するための点火プラグ8とが設けられている。他方、サイドハウジングH2には、吸気通路2に連通する吸気ポート2aが形成されるとともに、排気通路3に連通する排気ポート3aが形成されている。
図2は、エンジン本体1及びそれに関連する構成を概念的に表す制御系統図である。直噴式水素インジェクタI1には、電磁弁V1が設けられ、インジェクタI1における水素噴射は、電磁弁V1の開閉動作に基づき制御される。なお、図2では、インジェクタI1に対して、電磁弁V1が別個に設けられるように示されるが、実際には、直噴式水素インジェクタI1の断面構造を表す図3及び図4に示すように、電磁弁V1がインジェクタI1内部に組み込まれている。
また、図2に示すように、本実施形態では、エンジン本体1の本体に対して、エンジン本体1の冷却水の水温(エンジン水温)を検出するための水温センサ18と、エンジン回転数を検出するためのエンジン回転数センサ19と、イグニションスイッチ(不図示)によって駆動され、エンジン本体1をクランキングさせるスタータ20とが設けられている。また、上記吸気通路2には、アクセルペダル(不図示)の踏込量に応じて開閉されてエアを絞るスロットル弁(不図示)が設けられている。また、吸気通路2には、吸気通路2内に流れる空気の温度を検出する吸気温センサ(不図示)が設けられ、他方、排気通路3には、作動室E1内の空燃比を算出すべく酸素濃度を検出するための酸素濃度センサ(所謂λセンサ)24が設けられている。
さらに、図2に示すように、直噴式水素インジェクタI1は、水素供給管9を介して、気体水素を貯留する水素貯留タンク13に接続されている。水素貯留タンク13の排出口には、水素貯留タンク13から水素供給管9への水素排出を制御すべく開閉制御される停止弁14が設けられている。さらに、水素供給管9内には、直噴式水素インジェクタI1に対する水素供給を制御するための減圧弁15、遮断弁16が並設されている。減圧弁15は、水素貯留タンク13において約35(MPa)程度の高圧状態で貯留されている気体水素を約0.6〜0.7(MPa)程度の燃料圧力(以下、燃圧と略記する)に減圧して遮断弁16に供給するものである。遮断弁16は、エンジン運転時開弁されるとともに、エンジン停止時となった時、閉弁状態とされるものである。
また、さらに、水素供給管9内には、遮断弁16と直噴式水素インジェクタI1との間に、水素貯留タンク13内の水素残量を算出したり、水素供給管9を含む気体水素供給系からの気体水素の洩れを検出したりすべく水素供給管9内の残圧を検出する圧力センサ17が設けられている。なお、本発明における気体水素供給系とは、水素供給管9、後述する直噴式水素インジェクタI1の途中の気体通路4a、5a等、気体水素が水素貯留タンク13から作動室E1に至るまでの各部位を包括的に指しているものとする。
なお、特に図示しないが、エンジン本体1に関連する構成としては、吸気通路2内に設けられるエアクリーナ、吸入エア量を検出するエアフローセンサと、スロットル弁の開度を検出するスロットル開度センサ、エアの流れを安定化させるサージタンク等、及び、排気通路3内に設けられる排気ガス浄化触媒、排気温センサ等、並びに、水素供給管9内に設けられ、各種インジェクタへ供給される燃料の流量を検出する燃料流量計等、上記以外の構成が設けられる。
さらに、図2に示すように、以上のようなエンジン本体1及びそれに関連する構成を制御するコントロールユニット10が設けられている。このコントロールユニット10は、コンピュータからなる、エンジン本体1の総合的な制御装置であって、エアフローセンサによって検出される吸入エア量、圧力センサ17によって検出される水素供給管9内の燃圧(残圧)、水温センサ18によって検出されるエンジン水温、スロットル開度センサやアイドルスイッチ(アクセルペダル全閉時にオンされるスイッチであるが、ここでは不図示)によって検出されるスロットル開度、エンジン回転数センサ19によって検出されるエンジン回転数、排気温センサによって検出される排気温度、燃料流量計によって検出される直噴式水素インジェクタI1への水素流量等の各種制御情報に基づいて、エンジン本体1の燃料噴射制御や点火時期調整制御などの各種制御を行うとともに、遮断弁16に対しON/OFF指令信号を出力して駆動制御処理を行うようになっている。
なお、このコントロールユニット10は、その内部に、マイクロコンピュータ(不図示)を有しており、直噴式水素インジェクタI1、遮断弁16等の駆動制御を含む各種制御を行うに際して実行される補正、演算、判断等の処理は、そのマイクロコンピュータによってなされる。また、コントロールユニット10は、その内部にオンディレータイマ手段25を有しており、遮断弁16を駆動制御処理する際に作動するようになっている。
また、コントロールユニット10は、適宜の記憶手段(不図示)を有しており、該記憶手段には、水分の氷結の可能性や、潤滑油、オイルの固着の可能性の有無を判断するための温度閾値データ、気体水素供給系からの気体水素の洩れを判断するための燃圧閾値データ、遮断弁16の開作動のための遅延時間判定マップ、直噴式水素インジェクタI1の無効噴射時間補正マップ等、後述の各種設定データ、及び必要なプログラムが記憶されている。
コントロールユニット10は、圧力センサ17によって検出される水素供給管9の燃圧に基づいてこれを前記燃圧閾値と比較することにより、気体水素供給系からの水素洩れを検出できるようになっている。なお、前記燃圧閾値は、気体水素供給系に洩れがなく、エンジン停止後、遮断弁16を閉弁した状態で長時間放置した場合であっても気体水素の残圧により現れる燃圧値よりも小さい値に設定されている。
次に、コントロールユニット10により駆動制御される直噴式水素インジェクタI1の構造について説明する。図3及び図4は、それぞれ、閉弁状態及び開弁状態にある直噴式水素インジェクタI1を示す縦断面図である。この水素インジェクタI1は、軸方向に沿って延びる気体通路4aを備えたインジェクタ本体4と、該インジェクタ本体4の気体通路4a内に設けられ、同じく軸方向に沿って延びる気体通路5aを備えたニードルバルブ5とを有している。
インジェクタ本体4は、その一端側(図3及び図4における上端側)で水素供給管9(図2参照)に連通する一方、その他端側(図3及び図4における下端側)で噴射孔4bを構成しつつエンジン本体1の作動室E1に対向している。また、気体通路4a内に設けられるニードルバルブ5の可動部5bは、その一端側(図3及び図4における上端側)で気体通路4aの内周面に沿って摺動するように保持される一方、その他端側(図3及び図4における下端側)で、シール部5cを構成するとともに、該シール部5cの上流側に、気体通路5aから分岐しニードルバルブ5の側面で開口するように形成された複数の分岐通路5dを備えている。ニードルバルブ5のシール部5cに対応して、インジェクタ本体4の気体通路4a内には、噴射孔4bの上流側に弁座面4cが形成されている。ニードルバルブ5のシール部5cが弁座面4cに着座することで、インジェクタ本体4の噴射孔4bからの水素噴射が妨げられ、直噴式水素インジェクタI1からエンジン本体1の作動室E1内への水素供給が停止される。
なお、本実施形態のように、使用する燃料が気体水素等の気体燃料である場合、直噴式水素インジェクタI1は、噴射される燃料の噴射量が多くなるように大型のものが使用される。このような大型の直噴式水素インジェクタI1のシール部5cは、閉弁時の噴射孔4bにおける気密性を向上させるためにラバー材質の部材により構成されている。
また、ニードルバルブ5には、磁性体(不図示)が取付けられる一方、インジェクタ本体4には、気体通路4aの周囲に、ニードルバルブ5とともに電磁弁V1を構成するソレノイドコイル6が組み込まれている。
また、ニードルバルブ5のうち、気体通路5aは、インジェクタ本体4に取付けられていることにより所定位置に固定された部材である一方、可動部5bは、気体通路4aに沿って上下方向にシフト可能な部材である。
気体通路5aと可動部5bとの間には、これらに挟まれるようにしてコイルスプリング7が設けられており、該コイルスプリング7は、その一端部が気体通路5aの端部と当接していることにより、可動部5bを常に下方に押圧している。
かかる構成を備えることにより、直噴式水素インジェクタI1では、ソレノイドコイル6への駆動電流の供給に際して、図4に示すように、可動部5bがコイルスプリング7の弾性力に抗してインジェクタ本体4の気体通路4aに沿って上方へシフトさせられる。可動部5bの移動範囲内においては、駆動電流が大きくなるにつれ、可動部5bの上方へのシフト量が大きくなる。ここで、上述したように、直噴式水素インジェクタI1が大型となる場合には、開弁に必要な駆動電流として大電流が求められる。
即ち、駆動電流がソレノイドコイル6に供給されていない状態では、コイルスプリング7の弾性力によって可動部5bが下方に押圧され、シール部5cが、インジェクタ本体4の気体通路4a内に形成された弁座面4cに着座することで、電磁弁V1が閉じ(図3参照)、他方、駆動電流がソレノイドコイル6に供給されている状態では、コイルスプリング7の弾性力に抗してシール部5cが弁座面4cから離間することで、電磁弁V1が開く(図4参照)。電磁弁V1が開いた状態では、図4中の破線の矢印で示すように、気体水素が、インジェクタ本体4の気体通路4a、ニードルバルブ5の気体通路5a、ニードルバルブ5の分岐通路5d、インジェクタ本体4の気体通路4a、インジェクタ本体4の噴射孔4bの順に流れ、インジェクタ本体4の噴射孔4bから噴射されることとなる。
かかる構成を備えた直噴式水素インジェクタI1における気体水素の噴射タイミング及び噴射量は、マイクロコンピュータを含むコントロールユニット10によって制御される。より詳しくは、コントロールユニット10は、前記記憶手段に記憶されたプログラムに従って、エアフローメータ、スロットルセンサ、圧力センサ17、水温センサ18及びエンジン回転数センサ19等の各種センサから検出される信号に基づき、直噴式水素インジェクタI1へ出力する噴射指示信号のパルスパターン、つまり、電磁弁V1の開弁タイミング及び開弁時間を算出するようにして、気体水素の噴射タイミング及び噴射量を制御する。
ところで、従来の直噴式の筒内燃料噴射弁(直噴式気体燃料インジェクタ)を備えたエンジンでは、水分、ミスト状のオイル、潤滑油等が前記インジェクタに付着し、これらが外気温の低下によって氷結、固着することで、直噴式気体燃料インジェクタの開弁を妨げる可能性があった。これを解決すべく、エンジン停止時に点火を実行したり、エンジン始動時に掃気処理を実行することにより、気体燃料通路の燃圧を低下させ、直噴式気体燃料インジェクタを開弁し易くする方法が提案されているが、これらの方法では、気体水素の浪費を招いてしまうという問題がある。
そこで、本実施形態では、遮断弁16の開作動を遅延させ、該遮断弁16の閉状態で直噴式水素インジェクタI1より気体水素の噴射を実行させることで、気体燃料の浪費を抑制しつつ、直噴式水素インジェクタI1にかかる燃圧を低下させ、直噴式水素インジェクタI1を開弁し易くできるようにした。
具体的には、水分、オイル、潤滑油等の氷結、固着等により直噴式水素インジェクタI1が開弁しにくい状態である場合、エンジン始動時、遮断弁16を暫く閉弁し、気体水素を供給しない状態で、コントロールユニット10が直噴式水素インジェクタI1の駆動制御を実行することにより、水分が氷結した箇所、またはオイル、潤滑油が固着した箇所に形成された僅かな亀裂部分、隙間等から、水素供給管9内に残留した気体水素を噴射させるようにした。
これにより、新たな気体水素の供給による水素供給管9内の燃圧の増加を抑制し、ひいては気体水素の噴射によりこの燃圧を低下させることができるため、直噴式水素インジェクタI1を閉弁しようとする気体水素の作用が小さくなり、直噴式水素インジェクタI1を開弁し易くできる。さらに、前記水素供給管9内に残留した気体水素は作動室E1に放出され、後のエンジン始動において有効に利用されるため、気体水素の浪費を抑制することもできる。
また、既存の遮断弁16を燃料圧力補正手段として利用することができるため、可変レギュレータを新たに設けることなく燃圧を低下させることができる。
本実施形態では、遮断弁16を開作動させる際の遅延時間がコントロールユニット10で設定されており、該設定された遅延時間がオンディレータイマ手段25でセットされることにより、遮断弁16の開作動のタイミングを所定時間遅延させるようにしている。
前記遅延時間は、エンジン始動時の水素供給管9内の燃圧(残圧)値と関連付けて設定されており、直噴式水素インジェクタI1により気体水素の噴射が可能な燃圧に低下するまでの時間相当に設定されている。具体的には、前記遅延時間は、水素供給管9内の燃圧が作動室E1内の筒内圧よりも高い所定の燃圧値まで低下するのに要する時間相当に設定されている。
本実施形態においては、直噴式水素インジェクタI1の可動部5b(図3参照)がシフトし易くなる規定値を前記所定の燃圧値として選定しており、約0.5(MPa)程度としている。これにより、直噴式水素インジェクタI1が完全に開弁した時、作動室E1の筒内圧により気体水素が作動室内に供給されにくくなるといった事態を回避できるため、筒内への噴射を維持しつつ、直噴式水素インジェクタI1を開弁し易くすることができる。
エンジン始動時における水素供給管9内の燃圧は、エンジン停止時から次にエンジンを始動させるまでの間のエンジン放置時間や雰囲気温度によって異なり一定ではなく、遅延時間は燃圧値に依存するため、これも一定とはならない。但し、エンジン始動時における水素供給管9内の燃圧値が分かれば、前記遅延時間は理論値として予め算出することができる。本実施形態では、エンジン始動時の水素供給管9内の各燃圧値に対応して算出された前記遅延時間のデータが、図5に示すようなマップ(前記遅延時間判定マップ)の形でコントロールユニット10の前記記憶手段に記憶されている。
前記遅延時間判定マップにおいては、図5に示すように、エンジン始動時の燃圧が低い時は高い時に対して前記遅延時間を短くなるように、遅延時間が燃圧値に略比例する関係となっている。
直噴式水素インジェクタI1は、エンジン始動時における水素供給管9内の燃圧が低い程開弁し易く、その開弁のタイミングは早まる。そして、直噴式水素インジェクタI1が一旦完全に開弁されれば、水分の氷結や、オイル、潤滑油の固着等の影響は解消されるため、遮断弁16を開作動させ、水素貯留タンク13から気体水素を供給しても、直噴式水素インジェクタI1の開弁への支障はない。つまり、直噴式水素インジェクタI1の開弁のタイミングが早まれば、その分、遮断弁16の開作動のタイミングを早めることができる。そこで、前記遅延時間判定マップにおいては、エンジン始動時における水素供給管9内の燃圧が低い程遅延時間は短く設定されており、残圧に応じた時間、遮断弁16の開作動が遅延されることで、必要以上に遮断弁16の開作動が遅延することを抑制している。これにより、エンジンの正常な運転を可及的に早めることができる。
ところで、上述したように、水素供給管9内の燃圧を低下させると、直噴式水素インジェクタI1が開弁し易くなるため、その分、直噴式水素インジェクタI1の開弁のタイミングが早まることになるが、エンジンの運転にあたっては、予め最適の空燃比に基づいて直噴式水素インジェクタI1の開弁タイミングが設定されるため、実際には、前記最適の空燃比を維持すべく、直噴式水素インジェクタI1の噴射時間の補正が必要になる。そこで、本実施形態では、水素供給管9内の燃圧の低下に伴って、直噴式水素インジェクタI1による気体水素の噴射時間が短縮されるように、コントロールユニット10において補正可能となっている。
図6は、直噴式水素インジェクタI1を駆動する際の駆動電流波形を表す図であり、直噴式水素インジェクタI1に対してコントロールユニット10が噴射指示信号を供給し、ソレノイドコイル6への駆動電流の供給を開始すると、図示のように駆動電流は徐々に増加し始め、実線で示す通常時、例えば噴射指示信号の供給開始から時間t0経過後に電流値i1まで達すると、直噴式水素インジェクタI1の可動部5bが上方にシフトして実際に気体水素の噴射が開始される。そして、一旦気体水素の噴射が実行されると、ソレノイドコイル6に供給される駆動電流は、前記シフトした可動部5bの位置を保持できる程度の電流値i2まで減少する。
ここで、駆動電流が電流値i1まで増加するまでは、噴射指示信号が供給されてはいるものの、気体水素の噴射に有効に寄与していない所謂無効噴射時間となっている。従来より、バッテリ(不図示)の電圧が低下している場合、例えば二点鎖線で示すように時間t1まで噴射開始時期が遅延すると、気体水素の噴射量を確保すべく、無効噴射時間の増加分を通常の有効噴射時間に加算して、有効噴射時間を延長補正し、気体水素の噴射量を確保していた。
これに加え、本実施形態では、遮断弁16の開作動の遅延や、直噴式水素インジェクタI1による気体水素の噴射により水素供給管9内の燃圧が低下し、例えば噴射開始時期が一点鎖線で示すように時間t2まで早まると、コントロールユニット10は、前記通常の有効噴射時間に加算すべき無効噴射時間を、一点鎖線で示すように短縮補正するようになっている。
従って、本実施形態では、前記無効噴射時間は、エンジン始動時の水素供給管9内の燃圧に応じて異なることとなる。つまり、バッテリ電圧の値の他、エンジン始動時の燃圧値も、無効噴射時間を判定するパラメータとなっている。コントロールユニット10の前記記憶手段に記憶されている無効噴射時間補正マップでは、図7に示すように、バッテリ電圧が高く、燃圧がPn、…、P3、P2、P1と低くなる程前記無効噴射時間が短縮補正されるように設定されている。
このように、水素供給管9内の燃圧に応じて直噴式水素インジェクタI1の無効噴射時間を補正可能とすることにより、燃圧の低下を許容したまま気体水素の噴射を実行することによる無効噴射時間のずれを補正することができるため、作動室E1内の空燃比を所定値に維持することができ、エンジンの始動性を確保することができる。
なお、図7においては、縦軸を無効噴射時間としているが、これを遮断弁16の開作動遅延時間に置き換え、縦軸の1目盛りの値を適宜変更することで、これを図5に示す遅延時間判定マップの代わりとすることができる。
以下、コントロールユニット10により実行される、直噴式水素インジェクタI1、遮断弁16の駆動制御について、図8のフローチャートを参照しながら説明する。なお、エンジン停止状態となった後、以下に説明する直噴式水素インジェクタI1、遮断弁16の駆動制御をスタートする前の段階では、上述したように、遮断弁16は閉弁状態とされている。
先ず、コントロールユニット10は、図2に示すような、エンジン本体1に関連する構成により検出された各種信号を読込むと(ステップs1)、そのうち、圧力センサ17により検出される燃圧に基づいて、水素供給管9を含む気体水素供給系からの気体水素洩れの有無を検出する(ステップs2)。
ここでは、遮断弁16の閉弁状態が維持されており、気体水素供給系において気体水素の洩れがなければ、減圧弁15により低下させられた燃圧値(約0.6〜0.7(MPa)程度)が検出されることとなる。コントロールユニット10では、前記燃圧閾値を例えば0.4(MPa)に設定しており、コントロールユニット10は検出された燃圧値が0.4(MPa)を上回っていると判断すると(ステップs2:YES)、気体水素洩れの可能性がないものとして、水温センサ18により検出された信号に基づいて、直噴式水素インジェクタI1に付着した水分が氷結しているか否か、またはオイル、潤滑油が固着しているか否かを判断する(ステップs3)。
ここで、コントロールユニット10では、前記温度閾値を例えば0℃に設定しており、コントロールユニット10は前記エンジン水温が0℃未満であると判断すると(ステップs3:YES)、冷間時であるために直噴式水素インジェクタI1において水分の氷結の可能性や、オイル、潤滑油の固着の可能性があると判断する。なお、直噴式水素インジェクタI1の温度は、エンジン本体1のエンジン水温に略関連して変動すると考えることができ、コントロールユニット10は、水温センサ18により検出された信号に基づいて、直噴式水素インジェクタI1の温度を間接的に判定できる。
コントロールユニット10は、ステップs3にて、直噴式水素インジェクタI1において水分の氷結の可能性や、オイル、潤滑油の固着の可能性があると判断すると、オンディレータイマ手段25がセットされているか否かを判断し、オンディレータイマ手段25が未セットであると判断すると(ステップs4:YES)、ステップs1で検出した燃圧値と、図5に示す前記遅延時間判定マップとに基づいて、燃圧に応じた遅延時間をオンディレータイマ手段25にてセットする。この時、遮断弁16は、依然としてコントロールユニット10により閉弁状態を維持している(ステップs6)。
このように、遮断弁16の閉弁状態が維持され、新たな気体水素の供給が阻止された状態では、コントロールユニット10は、直噴式水素インジェクタI1における始動時の噴射量を設定する際、有効噴射時間(量)を、水温センサ18により検出されたエンジン水温と、吸気温センサにより検出された吸気温度とから設定し、無効噴射時間(量)を、バッテリ電圧と、圧力センサ17により検出された燃圧値と、図7に示す無効噴射時間補正マップとに基づいて設定する(ステップs7)。
ここで、有効噴射時間を、エンジン水温と、吸気温度とから設定するのは、潤滑油の粘性がエンジン回転の抵抗となるからであり、さらに、雰囲気温度の低下により前記抵抗がより増大する傾向にあるからである。
コントロールユニット10は、ステップs7において設定された有効噴射時間、及び無効噴射時間に基づいて直噴式水素インジェクタI1に噴射指示信号を供給し、気体水素の噴射を実行させるとともに(ステップs8)、スタータ20を作動させることにより(ステップs9)、クランキングを開始させ、処理をリターンする。この時、遮断弁16は閉弁状態であるため、ここでは、エンジン停止後に気体水素供給系に残留していた気体水素が使用される。
この時、遮断弁16を暫く閉弁し、気体水素が供給されない状態で、前記気体水素が、上述したように水分が氷結した箇所、またはオイル、潤滑油が固着した箇所に形成された僅かな亀裂部分、隙間等から作動室E1内へ噴射されるため、時間経過とともに徐々に水素供給管9内の燃圧が低下することとなる。この燃圧の低下により、直噴式水素インジェクタI1を閉弁しようとする気体水素の作用が小さくなるため、直噴式水素インジェクタI1を開弁させ易くすることができる。
ここで、ステップs4において、オンディレータイマ手段25が未セットでなかった場合、即ち、オンディレータイマ手段25が既にセットされ、タイマカウント中であった場合(ステップs4:NO)、オンディレータイマ手段25のカウント値がデクリメントされ(ステップs10)、コントロールユニット10はタイマのカウント値が「0」になったか否かを都度判断する(ステップs11)。
ここで、前記カウント値が「0」にならない場合(ステップs11:NO)、コントロールユニット10は、燃圧値が上述した0.5(MPa)程度の規定値まで低下していないと判断し、引き続き、遮断弁16の閉弁状態を維持し(ステップs6)、上述したステップs7〜ステップs9の処理、及びリターン後のステップs4、s10、s11の処理を繰り返す。
一方、ステップs11にて、前記カウント値が「0」になった場合(ステップs11:YES)、コントロールユニット10は、燃圧値が上述した規定値まで低下し、直噴式水素インジェクタI1が完全に開弁されたと判断して、遮断弁16にON指令信号を出力して、これを開作動させる(ステップs12)。
このように、遮断弁16が開作動され、水素貯留タンク13気体水素の供給が開始されると、コントロールユニット10は、直噴式水素インジェクタI1における噴射量を設定する(ステップs13)。この時、ステップs7の場合とは異なり、コントロールユニット10は、無効噴射時間をバッテリ電圧のみに基づいて設定する。
ところで、ステップs3で、コントロールユニット10は、前記水温が0℃未満でない、即ち0℃以上であると判断すると(ステップs3:NO)、直噴式水素インジェクタI1における水分の氷結の可能性や、オイル、潤滑油の固着の可能性はなく、水素供給管9内の燃圧を低下させる必要はないとして、遮断弁16を開作動させて水素貯留タンク13からの気体水素の供給を実行する(ステップs12)。この場合、無効噴射時間は、ステップs13の処理によりバッテリ電圧のみに基づいて設定される。
このように、コントロールユニット10が、ステップs3にて冷間時であるか否かを判断し、水分の氷結の可能性や、オイル、潤滑油の固着の可能性を判断することにより、特に冷間時における直噴式水素インジェクタI1の作動を確保できる。
また、コントロールユニット10が冷間時であるか否かを判断する効果は、本実施形態のように、燃料として気体燃料が使用される場合において顕著となる。即ち、上述したような理由により、開弁に必要な駆動電流として大電流が必要となる上、シール部5cにラバー材質の部材が使用されるため、シール部5cに水分が付着、氷結し易いことから、可動部5bがより開弁しにくい傾向にあるものの、本実施形態のように、冷間時と判断された場合に気体水素の燃圧を低下させることで、直噴式水素インジェクタI1をより確実に開弁させることができる。
なお、ステップs3において、オイル、潤滑油は、水分に比べて凝固点が低く、外気温がマイナス数十℃で固化する傾向にあることから、直噴式水素インジェクタI1の開弁を妨げる主要因がオイル、潤滑油であれば、前記温度閾値を低く設定してもよい。
また、コントロールユニット10は、ステップs2において検出された燃圧値が所定の閾値以下であると判断すると(ステップs2:NO)、気体水素供給系の一部に洩れが発生したと判断し(ステップs14)、エンジンの始動を禁止するための信号を出力する。この時、コントロールユニット10は、警告音の発信や、警告灯の点灯表示等の適宜の方法により乗員に対して洩れ発生を報知し(ステップs15)、処理をリターンする。
ところで、前記特許文献1には、エンジンの停止時に筒内燃料噴射弁にかかる燃圧を低下させることで、オイルの固着力を弱めて筒内燃料噴射弁を開弁し易くする方法が提案されているが、本実施形態のように、気体水素洩れを検出するステップを有する場合、前記特許文献1に開示された方法を採用してしまうと、コントロールユニット10は、上述の方法により燃圧が低下した状態を、誤って燃料洩れが発生した状態として検出してしまう虞がある。
本実施形態においては、ステップs2において、コントロールユニット10がエンジン始動時の燃圧低下に基づいて気体燃料供給系の洩れを検出することにより、エンジン停止時に燃圧を低下させる場合に比べて、洩れ検出時における燃圧の低下の影響を抑制できる。つまり、コントロールユニット10がより正確に気体水素洩れを検出することができるため、エンジン始動時における気体水素洩れの検出性を確保しつつ、直噴式水素インジェクタI1を開弁させ易くできる。
また、気体水素洩れの検出時には遮断弁16が閉弁状態であるため、水素供給管9内が高圧になることが防止される。これにより、仮に気体水素供給系から気体水素洩れが発生していた場合、水素貯留タンク13から供給される高圧の気体水素により、コントロールユニット10が気体水素洩れの発生を見逃すといった誤検出を確実に防止できる。
ところで、本実施形態においては、水素供給管9内の燃圧が0.5(MPa)程度まで低下したとされるタイミングをオンディレータイマ手段25のタイマカウントによりコントロールユニット10が間接的に判断するものとしているが、必ずしもこれに限定されることはない。例えば、直噴式水素インジェクタI1による気体水素の噴射を開始した後、圧力センサ17により検出された燃圧値に基づいて、遮断弁16を開作動させるタイミングを判断するようにしてもよい。
即ち、圧力センサ17が検出した燃圧値が規定値の0.5(MPa)程度になった時、コントロールユニット10が遮断弁16に対してON指令信号を出力するようなプログラムとし、0.5(MPa)程度まで燃圧が低下したとされる時間を直接的に判断することによっても同様の効果を奏することができる。
さらに、水分の氷結や、オイル、潤滑油の固着の度合いによって燃圧低下の速度は異なると考えられるため、上述のように、0.5(MPa)程度まで燃圧が低下したとされる時間を直接的に判断することで、遮断弁16を開作動させるタイミングをより正確に見極めることができる。これにより、直噴式水素インジェクタI1をより確実に開弁させることができるとともに、前記遅延時間をさらに短縮させることも可能になる。また、圧力センサ17といった既存の構成を利用することにより、オンディレータイマ手段25のような特別な手段を省略することができる。
なお、上述の各実施形態においては、エンジン本体1をロータリタイプのエンジンとしているが、これに限定されることはなく、本発明は、レシプロエンジンにも適用可能である。
また、上述の各実施形態においては、気体水素を利用するエンジンについて述べているが、エンジン本体の作動室内に直接気体燃料を噴射する方式であれば、圧縮天然ガス、液化石油ガス等の気体燃料を利用したエンジンであってもよい。
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明の筒内燃料噴射弁は、気体水素噴射弁I1に対応し、
以下同様に、
制御弁は、遮断弁16に対応し、
気体燃料タンクは、水素貯留タンク13に対応し、
気体燃料通路は、水素供給管9に対応し、
制御弁制御手段は、ステップs4〜s6、s10〜s12を実行するコントロールユニット10に対応し、
燃料制御手段は、ステップs7、s8、s13を実行するコントロールユニット10に対応し、
温度検出手段は、水温センサ18に対応し、
洩れ検出手段は、ステップs2を実行するコントロールユニット10に対応するも、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
本発明の実施形態に係るロータリタイプのエンジン本体を概略的に表す図。 本発明の実施形態に係るエンジン本体及びそれに関連する構成を概念的に表す制御系統図。 閉状態にある直噴式水素インジェクタを示す縦断面図。 開状態にある直噴式水素インジェクタを示す縦断面図。 遮断弁を開作動させる際の遅延時間判定マップを示す図。 気体水素噴射弁を駆動する際の駆動電流波形を表す図。 気体水素噴射弁を駆動する際の無効噴射時間補正マップを示す図。 本発明の実施形態に係るコントロールユニットにより実行される気体水素噴射弁、遮断弁の駆動制御処理を示すフローチャート。
符号の説明
9…水素供給管
10…コントロールユニット
13…水素貯留タンク
16…遮断弁
17…圧力センサ
18…水温センサ
I1…気体水素噴射弁

Claims (7)

  1. 筒内に直接気体燃料を噴射する筒内燃料噴射弁と、
    エンジン運転時開弁するとともに、エンジン停止時閉弁する制御弁とを備え、
    該制御弁を、前記筒内燃料噴射弁と気体燃料タンクとを接続する気体燃料通路に配設したエンジンの燃料噴射装置であって、
    エンジン始動時、前記制御弁の開作動を遅延する制御弁制御手段と、
    前記制御弁の閉弁状態で前記筒内燃料噴射弁より燃料噴射を実行する燃料制御手段とを備えた
    エンジンの燃料噴射装置。
  2. 前記筒内燃料噴射弁に関連する温度を検出する温度検出手段を備え、
    前記制御弁制御手段を、前記温度が所定温度未満である時に作動させる
    請求項1記載のエンジンの燃料噴射装置。
  3. エンジン始動時の気体燃料の燃料圧力低下に基づいて、前記気体燃料通路を含む気体燃料供給系の燃料洩れを検出する洩れ検出手段を備えた
    請求項1または2記載のエンジンの燃料噴射装置。
  4. 前記制御弁制御手段において、前記制御弁の開作動を遅延する遅延時間を、前記筒内燃料噴射弁により気体燃料の噴射が可能な燃料圧力に低下するまでの時間相当に設定した
    請求項1または2記載のエンジンの燃料噴射装置。
  5. 前記制御弁制御手段において、前記制御弁の開作動を遅延する遅延時間を、気体燃料の燃料圧力が筒内圧よりも高い所定の値に低下するまでの時間相当に設定した
    請求項1または2記載のエンジンの燃料噴射装置。
  6. 前記制御弁制御手段を、気体燃料の燃料圧力が低い時は、高い時に対して、前記制御弁の開作動を遅延する遅延時間が短くなるように構成した
    請求項1または2記載のエンジンの燃料噴射装置。
  7. 前記燃料制御手段を、気体燃料の燃料圧力に応じて無効噴射時間を補正するように構成した
    請求項1または2記載のエンジンの燃料噴射装置。
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