JP2007307347A - 自然座位姿勢を誘導する着座装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 着座状態において使用者の骨格、筋肉群の負荷バランスを得るように、背もたれ本体3と座席本体2との境界部には、後傾した骨盤B1部を支承する骨盤後傾支承部4を具える。このとき骨盤B1の後傾角度は、直立姿勢時と比較して8°〜25°後傾した状態とする。また着座時において、前記骨盤B1の後端から、第7肋骨B31の後端の垂直延長線までの間隔d1を、150〜200mmとし、骨盤B1の後端から、肩胛骨B4の後端の垂直延長線までの間隔d2を、200〜250mmとしたことを特徴とする。
【選択図】図1
Description
すなわち請求項1記載の自然座位姿勢を誘導する着座装置によれば、椅子座位姿勢になったときの本来の骨盤の姿勢になり、この位置でその骨盤を骨盤後傾支承部で支持されるため、頭部が自然に支持されると共に腰部への負担が少なく疲れにくい姿勢が得られる。
具体的には、骨盤1は、立ち姿勢のような垂直位ではなく、若干の後傾位で(頭部B6のバランスによってこの角度は決定される。)、胸郭下部B30から肩胛骨(肩胛帯)B4をそれより後方へ逃がし、頭部B6、首(頸椎)B5、肩胛骨(肩胛帯)B4が重力に対して垂直位になるように姿勢設定する。なお図2(a)中、符号Pで示すラインは垂直線(鉛直線)であり、符号Eで示すラインは視線を示す。人体Hに記載される矢印A1〜A4は、背もたれにかかる荷重を示すものであり、矢印の大きさはその荷重の大きさを示している。すなわち骨盤1の部位が最も背もたれに対し大きな荷重A1がかかるもので、背中の上方箇所ほど背もたれに対しかかる荷重は小さくなる。そして立ち姿勢と同様の垂直に近い肩胛骨B4の部位は、背もたれに対してほとんど荷重A4はかからないものである。また水平線Lと、座面に接する下肢の延長線とで挟まれる傾斜角度αは、図7(a)のような立ち姿勢と比較して、大腿骨B7が骨盤B1に対してほぼ90°となるような角度に設定する。
以上のような体重のかかりかたになると、骨盤から胸郭が安定した土台となり、その上の肩胛骨(肩胛帯)B4、首(頸椎)B5、頭部B6が空間の中での正中位(重力に対して前後左右バランスのとれた状態)に保持しやすくなる。
(1)骨盤
倒れようとする骨盤B1を、ある程度後傾位置で乗せることが出来る土台を作り、それに無理なく載るところに骨盤B1を設定する。なお骨盤B1を正しくない姿勢設定とした場合には、次のような反応が体に出現する。
a.骨盤B1を後ろに倒しすぎた場合
しばらくすると、身体全体が「下」へ落ち込むように背中が丸まり、肩胛骨B4や頭部B6が背もたれ面3aから離れ、それを代償するために頭部B6は後へ倒れ、それに伴いあごが突き出て首B5の後が縮んだ姿勢となる。
b.骨盤B1を起こしすぎた場合
しばらくすると、身体全体が「前」へ倒れ込むように背中が丸まり、肩胛骨B4や頭部B6が背もたれ面3aから離れ、頭部B6は前に倒れ込んだ姿勢になる。前を向こうとすると、離れた肩胛骨B4の代償として頭部B6は後へ倒れ、それに伴いあごが突き出て首B5の後が縮んだ姿勢となる。
骨盤B1と胸郭B3とを繋ぐフレキシブルなジョイントのような部位であるため、基本的に腰椎B2を意識的な形状となるような姿勢設定を行う必要はない。
胸郭下部B30は、腰椎B2をジョイントとして、骨盤B1より後方に位置させる。図3中、腰椎B2から胸郭B3に移行する部分(斜線の部分)がその時最も重要であり、図3に示されるように斜線の部分を、重力の方向を意識しながら、支え上げるような形状で背もたれ面3aを形成する。ここの形状の造り方によって、それより上の荷重が効率よく受けられ、胸郭B3全体の安定につながるものである。
図4に示されるように肩胛骨上部B41がほぼ垂直となるようなラインにする。胸郭B3全体は側方から見たときにほとんど変形性を有さない一つのカゴのようなイメージのものであるため、肩胛骨下部B42は、この肩胛骨上部B41のラインに応じたやや後傾したラインとなる。
更に肩胛骨B4の部位は、図5に示されるように腕を伸ばして内側に入れようとした場合などのように、腕の動きと連動して後に膨らむことがあるので、背もたれ面3aに対して少し余裕の隙間空間を設けた方が好ましい。
首(頸椎)B5は、胸郭B3が土台となり、重力方向にまっすぐな姿勢(垂直な姿勢)とする。なぜなら、重たい頭部B6は細い首B5で胸郭B3とつながれているため、その細い首B5が重力に対して一番良いバランスのとれた姿勢(正中位)にならなければ、その上の重たい頭部B6を支持することはとても難しくなるためである。
頭部B6は、重力に対して前後のバランスが一番良い位置でほぼ垂直位(正中位)に位置させる。厳密に言えば、ほんの少しだけ前傾して、首B5の後の筋群で保持するような姿勢である。バランスシーティングの最大の評価基準は、「空間の中で頭部B6が前後左右バランスのとれた状態」を作り出すことであり、この頭部B6の前後左右のバランス状態を得るために骨盤B1、腰椎B2、胸郭B3、肩胛骨(肩胛帯)B4及び首B5の姿勢を決定していくとも言える。
またヘッドレスト33を備えた着座装置の場合には、上述したように重力に対して前後のバランスが一番良い位置でほぼ垂直位(正中位)に位置させた状態の頭部B6の後端から約1cm〜2cm後方の箇所にヘッドレスト33を位置させる。このようなヘッドレスト33の位置設定を採った場合、ヘッドコントロール出来るうちは、ヘッドレスト33から頭部B6をほんの少し離して空間の中でヘッドコントロールを行い、疲れたらヘッドレスト33に軽く頭部B6をもたれさせて休憩させることができる。ヘッドレスト33の位置を頭部B6の後端から後方へ離しすぎると、ヘッドレスト33に頭部B6を載せておく姿勢が、むしろ疲れを生じさせるため、自然とヘッドレスト33に頭部B6を載せなくなり、頭部B6を前に倒して安定させようとされる。これは頭部B6を支える筋群は、基本的に前筋より後筋の方が発達しているため、後筋を使って頭部B6を前で安定させようとするためであると考えられる。
自然座位姿勢を誘導する着座装置1に、着座すると、図1に示すように骨盤B1が直立姿勢時より約8°〜25°(使用者の体型等によって異なる。)後傾する(図7(a)の直立時の骨盤姿勢参照)。このため、椅子座位姿勢になったときの本来の骨盤の自然な姿勢、すなわち骨盤を取りまく筋肉群に無理な力が働いていない状態の姿勢になり、腰部への負担が少なく疲れにくい姿勢が得られる。
2 座席本体
2a 座面
3 背もたれ本体
3a 背もたれ面
4 骨盤後傾支承部
20 車体フレーム
21 前輪
22 後輪
23 フットレスト
24 座板
25 マット
30 背もたれフレーム
31 背板
32 マット
33 ヘッドレスト
H 人体
B1 骨盤
B2 腰椎
B3 胸郭
B30 胸郭下部
B31 第7肋骨
B4 肩胛骨
B41 肩胛骨上部
B42 肩胛骨下部
B5 首(頸椎)
B6 頭部
B7 大腿骨
J 股関節
M1 腸腰筋
M1a 起始
M1b 停止
M2 臀筋群
M2a 起始
M2b 停止
d1 骨盤の後端から、第7肋骨の後端の垂直延長線までの間隔
d2 骨盤の後端から、肩胛骨の後端の垂直延長線までの間隔
E 視線
L 水平線
P 垂直線(鉛直線)
α (座面の)傾斜角度
A1 荷重
A2 荷重
A3 荷重
A4 荷重
Claims (7)
- 座席本体と背もたれ本体とを具えた着座するための装置であって、着座状態において使用者の骨格、筋肉群の負荷バランスを得るように、背もたれ本体と座席本体との境界部には、後傾した骨盤部を支承する骨盤後傾支承部を具え、更に背もたれ本体は、上方を更に後傾させた状態で胸郭後方部、肩胛骨後方部の支持を可能とした形状に構成されていることを特徴とする自然座位姿勢を誘導する着座装置。
- 前記骨盤後傾支承部は、骨盤の後傾角度が、直立姿勢時から8°〜25°後傾している状態に支承する形態であることを特徴とする請求項1記載の自然座位姿勢を誘導する着座装置。
- 前記座席本体と背もたれ本体とによってもたらされる使用者の側面アライメントは、着座時において、前記骨盤の後端から、第7肋骨の後端の垂直延長線までの間隔を、150〜200mmとされることを特徴とする請求項1または2記載の自然座位姿勢を誘導する着座装置。
- 前記座席本体と背もたれ本体とによってもたらされる使用者の側面アライメントは、着座時において、前記骨盤の後端から、肩胛骨の後端の垂直延長線までの間隔を、200〜250mmとされることを特徴とする請求項1、2または3記載の自然座位姿勢を誘導する着座装置。
- 前記座席本体と背もたれ本体とによってもたらされる使用者の側面アライメントは、着座時において、立ち姿勢状態と比較して大腿骨が骨盤に対してほぼ90°の角度に曲げられた状態であることを特徴とする請求項1、2、3または4記載の自然座位姿勢を誘導する着座装置。
- 前記背もたれ本体上部にはヘッドレストが設けられ、このヘッドレストは、頭部が重力に対し前後左右にバランスのとれた状態で、頭部後端より1〜2cm離れた個所に位置されていることを特徴とする請求項1、2、3、4または5記載の自然座位姿勢を誘導する着座装置。
- 前記着座装置は、車椅子であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5または6記載の自然座位姿勢を誘導する着座装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006202489A JP2007307347A (ja) | 2006-04-20 | 2006-07-25 | 自然座位姿勢を誘導する着座装置 |
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Publications (1)
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Family Applications (1)
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JP2006202489A Pending JP2007307347A (ja) | 2006-04-20 | 2006-07-25 | 自然座位姿勢を誘導する着座装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009221442A (ja) * | 2008-03-19 | 2009-10-01 | Toyo Ink Mfg Co Ltd | 有機エレクトロルミネッセンス素子用材料ならびに有機エレクトロルミネッセンス素子 |
JP2013176495A (ja) * | 2012-02-29 | 2013-09-09 | Toyota Boshoku Corp | 着座快適評価方法 |
Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JPH06133828A (ja) * | 1992-10-21 | 1994-05-17 | Itooki:Kk | 椅子における着座者の背もたれによる支持方法とこの支持方法を用いた椅子 |
JPH0951918A (ja) * | 1995-06-07 | 1997-02-25 | Takano Co Ltd | クッション構造 |
JP2006075257A (ja) * | 2004-09-08 | 2006-03-23 | Shunichi Kihara | 椅子 |
-
2006
- 2006-07-25 JP JP2006202489A patent/JP2007307347A/ja active Pending
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