JP2007307136A - 梅の木の徒長枝を用いた箸の製造方法 - Google Patents

梅の木の徒長枝を用いた箸の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】産業廃棄物として焼却処理されていた梅の木の徒長枝を有効利用して、使い勝手の良い梅箸を製造する。
【解決手段】この発明の箸の製造方法は、徒長枝を真直ぐに矯正する処理工程、真直ぐに矯正された徒長枝を所定の長さに切断する工程、および所定の長さに切断された徒長枝の先端側を先細に削る工程を含む。
【選択図】図1

Description

この発明は、梅の木の徒長枝を材料として用いる箸の製造方法、および該方法により製造された箸に関するものである。
われわれ日本人が1年間に使用する割り箸は、約250億本と言われているが、そのほとんどすべてが使い捨てとされている。そして、この割り箸の製造に使われる木材で木造家屋を建てるとすると、約20000戸分にも相当すると言われており、膨大な量の木材が浪費されているということになる。
日本と同様に箸が食事に使われている中国では、政府が森林保護を目的として割り箸の生産を制限したため、隣国のロシアに割り箸の材料となる木材の供給を求めていると言われている。
昨今のこのような状況下、森林資源の有効利用という観点から、割り箸の使用は、早晩、国の内外から問題視されるものと予想される。
近い将来、顕在化すると予想される上記のような問題をわずかでも軽減するのに有効な手だてとして、毎年、大量に生育しながら剪定後はそのまま焼却処分されている梅の木の徒長枝を箸の製造に有効利用することが、最近になって行われるようになった。
かかる技術は、無駄に捨てられていた梅の木の徒長枝の有効利用という点では、確かに役立っている。
しかしながら、従来の徒長枝から得られた箸は、自然に伸びた徒長枝をそのまま所定の長さに切断し、その一端を先細になるように削った後、箸全体を蜜蝋で被覆することにより製造されていたため、箸の1本1本が少しずつ曲がっている場合があり、使用に際して不都合をきたすことがあった。
この発明は、上記のような問題を解決するため、梅の木の徒長枝を材料として用いながら、普通の箸のように真直ぐで使いやすい箸を提供することを課題とするものである。
本発明者は、上記の課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、毎年9月頃から翌年3月頃にかけて行われている梅の木の徒長枝の剪定後、直ちに、遅くとも剪定後1か月以内に、すなわち徒長枝表面の青いうちに、該徒長枝を真直ぐに矯正する処理(以下、「矯正処理」という)に付し、真直ぐに矯正された徒長枝を用いて箸(以下、「梅箸」という)を製造することにより、上記の課題を解決できることを見出して、この発明を完成した。
かくして、この発明は、梅の木から切り取った徒長枝を真直ぐに矯正する処理工程、真直ぐに矯正された徒長枝を所定の長さに切断する工程、および所定の長さに切断された徒長枝の先端側を先細に削る工程を含むことを特徴とする箸の製造方法、および該方法により製造された箸を提供するものである。
この発明の方法によれば、所定の長さに切断された徒長枝の先端側を先細に削る工程の前に、自然に伸びてそれぞれ勝手な方向に曲がっている徒長枝が矯正処理工程に付されるため、普通の箸のように真直ぐで使いやすい梅箸を提供することができる。
しかも、従来、焼却処分されていた梅の木の徒長枝を有効利用できるばかりか、大量に浪費されていた割り箸製造のための木材を節減できるため、地球の温暖化抑制および森林資源の保護を通して、地球環境の保全に微力ながら貢献することもできる。
この発明の方法で材料として用いられる梅の木の徒長枝は、春に新芽が出て約50〜300cmに伸長した1年生の枝のことであり、普通、1本の梅の木から約30〜100本の徒長枝が生まれる。
このように伸長した徒長枝を毎年9月頃から翌年3月頃にかけて剪定したものが、この発明の方法で材料として用いられる徒長枝である。
剪定された徒長枝は、長期間雨にさらされると、強度が低下し、色合いも劣化するので、剪定した後、直ちに、遅くとも約1か月以内に、矯正処理に付されることが好ましい。
矯正処理の方法について、その一例を以下に説明するが、本発明の方法はこれらの方法に限定されるものではない。
まず、剪定された徒長枝の中から箸に加工できそうな太さ(直径約5〜10mm)の徒長枝を集め、箸の2〜6本分に相当する長さ(約50cm〜150cm)に切りそろえるのが好ましい。
次いで、同じ長さの徒長枝を集めて、煮沸するか、または熱湯で洗浄して、矯正処理されるべき徒長枝に予め水分を補給するとともに、徒長枝を殺菌して、矯正処理中に徒長枝にカビが発生しないようにするのが好ましい。
上記の殺菌処理は、徒長枝をオゾンまたは次亜塩素酸塩などの殺菌剤で処理する方法、あるいは徒長枝に紫外線を照射する方法などによっても行うことができる。
このようにして殺菌処理された徒長枝を、次いで、徒長枝の長さよりやや大きい長さを有するコンクリート製または金属製の箱型の耐圧容器に収容する。このとき、徒長枝の縦方向の向きを180°変えて、収容された徒長枝の層の厚みが徒長枝の両端側でほぼ等しくなるようにするのが好ましい。
上記の耐圧容器は、その上部に取り外しのできる蓋を備えており、その蓋に上方から圧力を加えることにより容器内に収容された徒長枝に所定の圧力を加えることができるように構成されている。そして、この上蓋は、矯正処理中に蒸気または乾燥空気を耐圧容器内の徒長枝に適宜供給できるように構成されていると都合が良い。
加圧時の圧力および時間は、処理される徒長枝の太さや処理前の水分含有量によっても異なるが、通常、5〜10mmの太さの徒長枝の場合、約2kg/cm2〜約100kg/cm2ほどの圧力で、約10〜20日程度で十分である。
なお、矯正処理の最初の2〜3日間は、蒸気を容器内へ時々供給して、徒長枝を蒸した状態に維持すると、徒長枝が真直ぐになりやすいので好ましい。
また、剪定直後の徒長枝を用いたような場合、予め殺菌してあっても、処理中の徒長枝にカビが発生する恐れがあるため、最初の2〜3日経過後は、処理中の徒長枝に乾燥空気を時々供給して、カビの発生を防止するのが好ましい。
矯正処理終了後、真直ぐに矯正された徒長枝を耐圧容器から取り出し、陰干しをして徐々に乾燥させた後、箸に加工する工程に付す。
この加工工程は、まず、各徒長枝を所望の長さ、例えば約25〜30cmの長さに切りそろえた後、徒長枝の先端側の部分を長さ約8〜10cmにわたって先細に削ることにより行われる。
この作業は、通常の鉛筆削りの方式で行うことができ、先細に削られた面をグラインダーなどによりさらに削って滑らかにしてもよい。なお、先細に削る工程は、手作業によってもよい。
また、徒長枝の反対側の端は、周縁を少し削って丸みをもたせてもよい。
削り終わった梅箸は、樹皮が残っている部分も含めてサンドペーパーなどで研磨し、徒長枝に残っている芽の部分を取り除くなどして、梅箸全体をさらに滑らかにするのが好ましい。
このようにして形の整えられた梅箸を、次いで、蜜蝋でコーティングすると、梅箸全体に光沢が出るとともに、表面が滑らかになって水をはじきやすくなり、衛生的にも好ましい。
コーティングを施された梅箸を、次いでオーブンレンジ中、80〜100℃で10〜20分間加熱処理して、蜜蝋を梅箸の内部にまで浸透させると、上記の効果がより一層長く持続して好ましい。
このようにして仕上げられた梅箸は、次いで、ほぼ同じ太さを有する梅箸どうしを1対として袋詰めし、製品とされる。
この発明の方法によれば、従来、産業廃棄物として焼却処理されていた梅の木の徒長枝を材料として用い、使い勝手が良くて、味わいのある梅箸を製造することができる。
その上、前記のとおり、地球環境の保全という面でも好ましい結果がもたらされる。
この発明の方法により製造された梅箸の斜視図である。
符号の説明
1 梅箸
2 削られた面
3 樹皮が表れている面

Claims (7)

  1. 梅の木から切り取った徒長枝を真直ぐに矯正する処理工程、
    真直ぐに矯正された徒長枝を所定の長さに切断する工程、および
    所定の長さに切断された徒長枝の先端側を先細に削る工程
    を含むことを特徴とする箸の製造方法。
  2. 上記の矯正処理工程が、耐圧容器内に収容された徒長枝を横方向から加圧することにより行われる、請求項1に記載の製造方法。
  3. 上記の矯正処理工程の前に、徒長枝を煮沸するか、または熱湯で洗浄する工程をさらに含む、請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 先細に削る工程が、鉛筆削り方式により行われる、請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
  5. 先細に削られた箸を蜜蝋でコーティングする工程をさらに含む、請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
  6. 蜜蝋でコーティングされた箸をオーブンレンジ中で加熱処理する工程をさらに含む、請求項5に記載の製造方法。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の方法で製造された箸。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN106820873A (zh) * 2017-03-30 2017-06-13 龙金海 一种筷子的制作方法

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