JP2007303899A - 熱式流量計 - Google Patents

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仁章 田中
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Abstract

【課題】小流量から大流量までのより広い流量範囲で測定することを可能とする熱式流量計を実現すること。
【解決手段】流路を流れる液体の温度を制御し温度制御部分の上流側及び下流側の流体の温度差に基づき流量を測定する熱式流量計において、
液体が流入する接液部が全てガラスで構成された流入流路と、液体が排出される接液部が全てガラスで構成された排出流路と、分岐部で流入流路から分岐し合流部で排出流路に合流する断面積が互いに異なり接液部が全てガラスで構成された第1及び第2の流路と、第1及び第2の流路にそれぞれ設けられた第1及び第2の流量測定部と、分岐部、若しくは、合流部に設けられ第1若しくは第2の流路を選択する切替手段と、第1若しくは第2の流量測定部で検出された温度に基づき第1若しくは第2の流路の流量を測定するとともに測定された流量に基づき切替手段を制御して流路の切り替えを行う演算制御手段とを設ける。
【選択図】 図1

Description

本発明は、流路を流れる液体の温度を制御し温度制御部分の上流側及び下流側の流体の温度差に基づき流量を測定する熱式流量計に関し、特に耐腐食性が強く、広い流量範囲を測定することが可能な熱式流量計に関する。
従来の流路を流れる液体の温度を制御し温度制御部分の上流側及び下流側の流体の温度差に基づき流量を測定する熱式流量計に関連する先行技術文献としては次のようなものがある。
特開平05−079875号公報 特開平07−159215号公報 特開平10−082678号公報 特開2002−168668号公報
図6はこのような従来の熱式流量計の一例を示す構成ブロック図である。図6において1は金属の細管等で構成される流路、2は流路1を流れる流体の温度を加熱して一定温度にするヒータ等の伝熱手段、3及び4はサーミスタや白金測温抵抗体等の温度検出手段、5は上流側及び下流側の流体の温度差に基づき流量を算出するCPU(Central Processing Unit)等の演算制御手段である。
図6中”FL01”に示すように被測定液体が流れる流路1の中央部分には伝熱手段2が設けられ、この流路1上であって伝熱手段2から等間隔の位置には温度検出手段3及び温度検出手段4が設けられる。
また、温度検出手段3及び温度検出手段4の出力はそれぞれ演算制御手段5に接続され、演算制御手段5からの温度制御のための制御信号は伝熱手段2に接続される。
ここで、図6に示す従来例の動作を図7を用いて説明する。図7は流路の位置に対する流路内の被測定液体の温度分布の一例を示す特性曲線図である。演算制御手段5は予め測定された被測定液体の温度に対して、被測定液体が数度程度高い一定温度になるように伝熱手段2を制御する。
このような状態で、流量がゼロの場合には図7中”CH11”に示すように図7中”HT11”に示す伝熱手段2の設置位置を中心にして対称な温度分布を有する。このため、図7中”TS11及び”TS12”に示す温度検出手段3及び4の設置位置における温度は等しくなる。言い換えれば、温度差はゼロになる。
一方、流路1の流体が流れると図7中”CH12”に示すように温度分布のピークが下流側にシフトする。このため、図7中”TS11”及び”TS12”に示す温度検出手段3及び4の設置位置における温度はそれぞれ異なることになり、図7中”DT11”に示すような温度差が生じることになる。
このような温度差は被測定液体の流量に依存した信号となるので、このような温度差に基づき演算制御手段5で流路1を流れる被測定液体の流量を求めることができる。
この結果、流路1を流れる被測定液体の温度を伝熱手段2で制御し2つの温度検出手段3及び温度検出手段4によって伝熱手段2の上流側及び下流側の流体の温度を測定し、演算制御手段5で測定された温度の温度差に基づき流量を算出することにより、被測定液体の流量を測定することが可能になる。
但し、図6に示す従来例では、流路1として金属の細管等を用いるために金属を腐食するような液体の流量を測定することはできないといった問題点があった。
このため、前述した”特許文献2”においては耐腐食性に優れたガラス基板に流路を形成した熱式流量計(質量流量センサ)が記載されている。
図8及び図9は”特許文献2”に記載された従来の熱式流量計の他の例を示す斜視図及び断面図である。図8及び図9において6はガラス基板、7及び9はシリコン基板、8は伝熱手段、10はガラス基板6に形成された流路である。
ガラス基板6の中央部分には超音波加工やレーザ加工等によって長孔である流路10が形成される。また、ガラス基板6の上面にはシリコン基板7が陽極接合により貼り合わされる。
また、ガラス基板6の下面にはシリコン基板9が陽極接合により貼り合わされ、ガラス基板6に形成された流路10の両端部分に隣接するシリコン基板9には図8中”HL21”及び”HL22”に示すような孔が形成され、それぞれ被測定液体の流入孔、若しくは、排出孔として機能する。
さらに、シリコン基板7上には白金やニッケル等の抵抗温度係数の大きい金属から構成されるヒータ等の伝熱手段8(温度検出手段を兼ねる)が形成され、シリコン基板7及びガラス基板6上には配線が適宜形成される。
ここで、図8及び図9に示す従来例では、ガラス基板6に流路10を形成する構成ではあるものの、流路10の上面及び下面にはシリコン基板7及び9が用いられているので、やはり、耐腐食性に問題がある。
一方、図8及び図9に示す従来例においてシリコン基板7及び9をガラス基板に置換することにより、接液部分が全てガラスとなり耐腐食性が向上するものの、ガラスは熱伝導率が小さいので、流路を流れる液体の流量が大きい場合には、伝熱手段8直下の液体が十分に温まらない。
このため、伝熱手段8直下の温度が十分に温まっていない場合には、流量の増加に伴なって上流側と下流側との温度差が小さくなるように変化する。
一方、流量が小さく、伝熱手段8直下の温度が十分に温まっている場合には、流量の増加に伴なって上流側と下流側との温度差が大きくなるように変化する。
すなわち、図10は上流側と下流側との温度差と、流量との関係を示す特性曲線図であり、図10中”TD31”に示すように上流側と下流側との温度差は、ピークを有する特性となり、測定可能な流量範囲が極めて狭くなってしまうといった問題点があった。
例えば、図8及び図9に示す従来例においてシリコン基板7及び9をガラス基板に置換することにより、耐腐食性が向上するものの、図10中”AR31”に示すような流量が小さく、伝熱手段8直下の温度が十分に温まっている状況下でのみしか流量の測定ができなくなってしまうといった問題点があった。
このような問題点を解決するために本願出願人の出願に係る「特願2004−183402」が考案された。図11は「特願2004−183402」に記載された熱式流量計の一例を示す構成ブロック図、図12は熱式流量計の一例のセンサ部分の具体例を示す平面図及び断面図である。
図11及び図12において11及び12はガラス基板、13はヒータ等の伝熱手段、14及び15はサーミスタや白金測温抵抗体等の温度検出手段、16は被測定液体が流れる流路、17は上流側及び下流側の流体の温度差に基づき流量を算出するCPU等の演算制御手段である。
図11中”FL41”に示すように被測定液体が流れる流路16の中央部分には伝熱手段13が設けられ、この流路16上であって伝熱手段13から等間隔の位置には温度検出手段14及び温度検出手段15が設けられる。
また、図11中”TU41”及び”TD41”に示すように温度検出手段14及び15の出力はそれぞれ演算制御手段17に接続され、図11中”CT41”に示すように演算制御手段17からの温度制御のための制御信号は伝熱手段13に接続される。
さらに、図12を用いて本発明に係る熱式流量計の一例のセンサ部分の具体例をより詳細に説明する。
超音波加工やレーザ加工等によってガラス基板12の短手方向の中央部分であってガラス基板12の長手方向に沿うように長方形の溝が形成される。また、当該長方形の溝が形成された側のガラス基板12にはガラス基板11が接着等により貼り合わされ、接液部分が全てガラスで構成された流路16が形成される。
また、流路16に接しない側のガラス基板11上であって流路16の中央部分上に位置する部分にはヒータ等の伝熱手段13が蒸着等によって形成され、流路16の上に位置し流路16に接しない側のガラス基板11上であって伝熱手段13から等間隔の位置には温度検出手段14及び温度検出手段15が蒸着等によって形成される。
すなわち、伝熱手段13、温度検出手段14及び温度検出手段15は流路16に接しない側のガラス基板11に形成されるので非接液の状態にある。
ここで、図11及び図12に示す一例の動作を図13を用いて説明する。図13は流量に対する上流側と下流側との温度差、温度和及び温度差を温度和で除算した値の関係をそれぞれ示す特性曲線図である。但し、図6に示す従来例と同様の動作に関しては説明を適宜省略する。
演算制御手段17は予め測定された被測定液体の温度に対して、被測定液体が数度程度高い一定温度になるように伝熱手段13を制御する。
このような状態で、上流側の温度検出手段14及び下流側の温度検出手段15で検出される温度の温度差は被測定液体の流量に依存した信号となるので、このような温度差に基づき演算制御手段17で流路16を流れる被測定液体の流量を求めることができる。
但し、前述の従来例の説明のように、流路の接液部分が全てガラスとした場合には、ガラスの小さな熱伝導率のために、例えば、温度差は図13中”TD51”に示すようにピークを有する特性となり、測定可能な流量範囲が極めて狭くなってしまうといった問題点があった。
このため、演算制御手段17は上流側の温度検出手段14及び下流側の温度検出手段15で検出される温度の温度差を求めると共に上流側の温度検出手段14及び下流側の温度検出手段15で検出される温度の温度和を求めて温度差を温度和で除算することにより、温度差を規格化する。
例えば、上流側の温度検出手段14及び下流側の温度検出手段15で検出される温度の温度和は、図13中”TA51”に示すような特性曲線となり、このような特性曲線の温度和で図13中”TD51”に示す温度差を除算することにより、図13中”NT51”に示すような規格化された温度差の特性曲線が得られる。
図13中”NT51”に示すような規格化された温度差は、広い流量範囲において単調増加を指名しているので、広い流量範囲を測定することが可能であることがわかる。
この結果、接液部分が全てガラスで構成された流路16を流れる被測定液体の温度を伝熱手段13で制御し2つの温度検出手段14及び温度検出手段15によって伝熱手段13の上流側及び下流側の流体の温度を測定し、演算制御手段17で測定された温度の温度差を温度和で除算して規格化された温度差を求め、当該規格化された温度差に基づき流量を算出することにより、耐腐食性が高く被測定液体の広い流量範囲を測定することが可能になる。
しかし、図11及び図12に示す一例では、流路をガラスで作成し、伝熱手段13や温度検出手段14及び温度検出手段15を流路外に設置した場合、熱式流量計に流れる流体の流量が大きくなると強制対流による冷却効果が大きくなる。
このため、伝熱手段13の上下流に配置した温度検出手段14及び温度検出手段15の温度差、温度和といった温度変化量が小さくなり、測定される流量が飽和してしまい正確な測定が可能な範囲が狭くなるといった問題があった。
また、流路の断面積が大きい場合、熱式流量計に流れる流体の流量がより大きくなっても測定される流量は飽和しないが、流量が小さくなると流量が測定できなくなる。一方、流路の断面積が小さい場合は、流量がより小さくなっても流量を測定することができるが、流量がより大きくなると測定される流量が飽和してしまい正確な測定をおこなうことが出来ない。
図14は流量測定部の出力値に対する流量の関係図であり、図14に示す一例では、流量測定部の出力−流量曲線を示す出力流量曲線”FO41”は、流量”TH11”から流量”TH41”の小流量域までは比例関係にあるが、出力値”P100”付近の流量”TH41”から流量”TH71”の大流量域に近づくと飽和してしまい、この領域での正確な測定を行うことができない。また、”ZF01”から流量”TH11”の小流量域に近づくと出力値を得られなくなり、この領域での正確な測定を行うことができない。
すなわち、図14中”FO41”に示す出力流量曲線で流量測定部が測定可能な範囲は図14中”TH11”に示す流量から図14中”TH71”に示す流量までの範囲である。
従って本発明が解決しようとする課題は、小流量から大流量までのより広い流量範囲で測定することを可能とする熱式流量計を実現することにある。
上記のような課題を達成するために、本発明のうち請求項1記載の発明は、
流路を流れる液体の温度を制御し温度制御部分の上流側及び下流側の流体の温度差に基づき流量を測定する熱式流量計において、
前記液体が流入する接液部が全てガラスで構成された流入流路と、前記液体が排出される接液部が全てガラスで構成された排出流路と、分岐部で前記流入流路から分岐し合流部で前記排出流路に合流する断面積が互いに異なり接液部が全てガラスで構成された第1及び第2の流路と、前記第1及び第2の流路にそれぞれ設けられた第1及び第2の流量測定部と、前記分岐部、若しくは、前記合流部に設けられ前記第1、若しくは、前記第2の流路を選択する切替手段と、前記第1、若しくは、前記第2の流量測定部で検出された温度に基づき前記第1、若しくは、第2の流路の流量を測定すると共に測定された前記流量に基づき前記切替手段を制御して流路の切り替えを行う演算制御手段とを備えたことにより、小流量から大流量までのより広い流量範囲で測定することが可能となる。
請求項2記載の発明は、
請求項1記載の発明である熱式流量計において、
前記第1及び第2の流量測定部が、流路内の流体に熱を伝える伝熱手段と、前記伝熱手段から等間隔の位置に設けられた上流及び下流側の温度検出手段とから構成されることにより、小流量から大流量までのより広い流量範囲で測定することが可能となる。
請求項3記載の発明は、
請求項1若しくは請求項2記載の発明である熱式流量計において、
前記演算制御手段が、前記第1の流路及び第2の流路を流れる流体の温度を前記伝熱手段により制御するとともに、前記各温度検出手段で検出された温度の温度差を温度和で除算して規格化された温度差を求め、この規格化された温度差に基づき流量を算出する演算制御手段を備えたことにより、小流量から大流量までのより広い流量範囲で測定することが可能となる。
請求項4記載の発明は、
請求項1若しくは請求項2記載の発明である熱式流量計において、
前記演算制御手段が、流路の切り替え判断のための閾値を保持し、前記流量が閾値を越えたか否かを求めて切替信号を切替手段へ送信することにより、小流量から大流量までのより広い流量範囲で測定することが可能となる。
請求項5記載の発明は、
請求項4記載の発明である熱式流量計において、
前記切替手段が、前記切替信号に基づき流路を切り替えることにより、小流量から大流量までのより広い流量範囲で測定することが可能となる。
請求項6記載の発明は、
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の発明である熱式流量計において、
前記各流量測定部、若しくは、切替手段が一体化して構成され、ワンチップ上に実現されることにより、スペースの削減が可能となる。
本発明によれば次のような効果がある。
請求項1、2、3、4及び請求項5の発明によれば、接液部が全てガラスで構成され断面積が互いに異なった第1の流路及び第2の流路を流れる被測定流体の温度を流量測定部によって測定し、演算制御手段が測定された温度差から流量を算出し算出された流量が閾値を超えたか否かを求めて切替信号を切替手段へ送信し、前記切替信号に基づき切替手段が流路を切り替えることによって、小流量から大流量までのより広い流量範囲で測定することを可能とする熱式流量計を実現する。
請求項6の発明によれば、流量測定部、若しくは、切替手段が一体化して構成され、ワンチップ上に実現されることによって、スペースの削減が可能となる。
また、一つの熱式流量計にて広い流量範囲を測定することが可能となるため、流量の変化が大きい場合において、複数の流量計を用意する必要がなく、流量計の個数を削減することができる。
以下本発明を図面を用いて詳細に説明する。図1と図2を用いて本発明の一実施例の構成を説明する。図1は本発明に係る熱式流量計の一実施例を示す構成ブロック図である。
図1において、18はガラス基板、19は液体が流入する流入経路、20は液体の流路を選択して切り替える切替手段、21、22は互いに断面積が異なる第1の流路及び第2の流路、23は液体が排出される排出流路、24、25は流れる液体の温度を制御し温度制御部分の上流側及び下流側の液体の温度を測定する流量測定部、26は上流側と下流側の流体の温度差に基づいて流量を計算し切り替え判断のための閾値を保持するCPU等の演算制御手段である。
流入経路19、第1の流路21、第2の流路22及び排出流路23はそれぞれ接液部が全てガラスで形成される。
図1中”IP01”に示す流入部は流入流路19の一端であり、前記流入部から液体が流入し流入流路19に流れる。流入経路19の他端は図1中”BP01”に示す分岐部で第1の流路21と第2の流路22に分岐し、図1中”JP01”に示す合流部で排出流路23の一端に合流する。液体は排出経路23を流れ、図1中”EP01”に示す排出流路23の他端である排出部から排出される。また図1中”BP01”に示す分岐部には切替手段20が設けられ、第1の流路21及び第2の流路22上に流量測定部24及び流量測定部25がそれぞれ設けられる。
図1中”TD41”、”TU41”及び”TD51”、”TU51”に示す流量測定部24及び流量測定部25からの出力はそれぞれ演算制御手段26に接続され、図1中”CT41”、”CT51”に示す演算制御手段26からの温度制御のための温度制御信号は流量測定部24及び流量測定部25に接続される。さらに、図1中”CT81”に示す演算制御手段26からの切替信号は切替手段20に接続される。
図2は本発明に係る熱式流量計の一実施例の流量測定部分の具体例を示す平面図及び断面図である。また、図2において、18は第1のガラス基板、21は流路、24は流量測定部、27は伝熱手段、28と29は温度検出手段である。
流量測定部24は伝熱手段27、温度検出手段28、29から構成される。伝熱手段27及び温度検出手段28、29は、第1のガラス基板18の表面において流路内に相当する位置に蒸着等によって形成される。温度検出手段28及び温度検出手段29は伝熱手段27から等距離の位置に配置され、蒸着等によって形成される。
ここで、図1、図2に示す実施例の動作を図3、図4及び図5を用いてより詳細に説明する。第1の流路21は第2の流路22と比べて断面積が小さいものとし、切替手段20は初期状態では流路21を選択しているものとする。また、演算制御手段26はある特定の閾値が予め設定されているものとする。但し、図14に示す従来例と同様の動作に関しては説明を適宜省略する。
図3は演算制御手段の動作を説明するフロー図、図4は各流量測定部の測定範囲を示す図、図5は流量測定部を切替えて使用した時の熱式流量計の測定範囲を示す図である。
図3中”S201”において、演算制御手段26は、流量測定部24(若しくは、流量測定部25)から検出される上流側及び下流側の温度である出力値を受信する。
例えば、演算制御手段26は、図1中”CT41”(若しくは、”CT51”)に示す温度制御信号により予め測定された第1の流路21(若しくは、第2の流路22)内の流体の温度に対して数度程度高い一定温度になるように、伝熱手段27を制御する。
流量測定部24(若しくは、流量測定部25)は、温度検出手段28及び温度検出手段29によって第1の流路21(若しくは、第2の流路22)を流れる流体の上流側の温度と下流側の温度を検出し、図1中”TD41”、”TU41”(若しくは、”TD51”、”TU51”)に示す出力を演算制御手段26へ送信する。
図3中”S202”において、演算制御手段26は、流量測定部24(若しくは、流量測定部25)から受信した出力値に基づいて流量を算出する。
例えば、演算制御手段26は、流量測定部24(若しくは、流量測定部25)で検出された上流側の温度と下流側の温度の出力値から温度差を求める。そして、演算制御手段26は、求められた温度差を温度和で除算して規格化された温度差を求め、規格化された温度差に基づいて第1の流路21(若しくは、第2の流路22)を流れる液体の流量を算出する。
図3中”S203”において、演算制御手段26は、算出された流量と閾値との比較を行い、閾値を超えたか否かを求める。
例えば、演算制御手段26は、算出された流量が閾値である図4中”TH71”に示す流量を超えたか否かを求める。
演算制御手段26は、図3中”S203”において、流量が閾値よりも大きいと判断した場合には、図3中”S204”において、第2の流路22に切り替える切替信号を切替手段20へ送信する。
例えば、演算制御手段26は、算出された流量が閾値である図4中”TH71”を超えたと判断した場合、図1中”CT81”に示す切替信号により切替手段20を制御して第2の流路22に切り替える。
演算制御手段26は、図3中”S203”において、流量が閾値より小さいと判断した場合には、図3中”S205”において、第1の流路21に切り替える切替信号を切替手段20へ送信する。
例えば、演算制御手段26は、算出された流量が閾値である図4中”TH71”を超えないと判断した場合、図1中”CT81”に示す切替信号により切替手段20を制御して第1の流路21に切り替える。
ここで、流量測定部24及び流量測定部25は互いに断面積が異なるので、流量の測定可能範囲もまた異なることになる。例えば、流量測定部24は図4中”FO31”に示す出力流量曲線で表される範囲で流量の測定が可能であり、一方、流量測定部25は図4中”FO32”に示す出力流量曲線で表される範囲で流量の測定が可能となる。
すなわち、流量測定部24は図4中”TH11”に示す流量から図4中”TH71”に示す流量までの範囲、流量測定部25は図4中”TH71”に示す流量から図4中”TH131”に示す流量までの範囲の測定を行う。
切替手段20が流量測定部24、若しくは、流量測定部25のいずれかに切り替えることで、例えば、図5中”AR50”に示す範囲が測定可能となる。
すなわち、流量測定部24の大流量域の測定が可能な範囲と流量測定部25の小流量域の測定が可能な範囲とからなる、図5中”TH11”に示す流量から図5中”TH131”に示す流量までの連続的な範囲が測定可能となる。
また、切替手段20が流量測定部24と図5中”FO33”に示す出力流量曲線を表す流量測定部24以上の大流量域での測定範囲を持った流量測定部のいずれかに切り替えることで、例えば、図5中”AR51”及び”AR52”に示す範囲が測定可能となる。
すなわち、図5中”TH11”に示す流量から図5中”TH71”に示す流量までの範囲と図5中”TH101”に示す流量から図5中”TH151”に示す流量までの範囲を測定することが可能となる。
このような状態では、図5中”TH71”に示す流量から”TH101”に示す流量までの間の測定は不可能であるが、従来技術と比較して小流量から大流量までのより広い流量範囲で測定することが可能である。
この結果、接液部が全てガラスで構成され断面積が互いに異なった第1の流路21及び第2の流路22を流れる被測定流体の温度を流量測定部24、25によって測定し、演算制御手段26が測定された温度差から流量を算出し算出された流量が閾値を超えたか否かを求めて切替信号を切替手段20へ送信し、前記切替信号に基づき切替手段20が流路を切り替えることによって、小流量から大流量までのより広い流量範囲で測定することが可能となる。
また、一つの熱式流量計にて広い流量範囲を測定することが可能となるため、流量の変化が大きい場合において、複数の流量計を用意する必要がなく、流量計の個数を削減することができる。
なお、図1等に示す実施例では、流量測定部24、流量測定部25及び切替手段20は、ガラス基板18上にそれぞれ設けられているが、特にこれに限定されるものではなく、流量測定部24及び流量測定部25、若しくは、切替手段20は、一体化して構成され、ワンチップ上に実現される構成であっても構わない。
例えば、半導体技術を用いて一体化、若しくは、ワンチップ化する。一体化して構成され、ワンチップ上に実現されることにより、スペースの削減が可能となる。
また、図1等に示す実施例では、切替手段が分岐部上に設置されているが、特にこれに限定されるものではなく、合流部上に設置しても構わない。
また、図1等に示す実施例では、切替手段が設置されているが、特にこれに限定されるものではなく、切替手段ではなくて演算制御手段の信号を受けて流路を遮断する流路遮断手段を第1の流路21及び第2の流路22上で流量測定部が設置されていない部分に設置し、選択する流量測定部が設けられている流路以外の流路を遮断することで流路を切り替えても構わない。
また、図1等に示す実施例では、流路21と流路22の2つの流路で構成されているが、特にこれに限定されるものではなく、3つ以上の流路で構成しても構わない。
また、図1等に示す実施例では、一つの流量測定部のみが動作するとしているが、特にこれに限定されるものではなく、同時に複数の流量測定部に流体を流し、複数の流量測定部が同時に動作するようにして算出される流量の和を全体の流量として測定してもよい。
例えば、切替手段20は第1の流路21及び第2の流路を22選択し、被測定流体が第1の流路21及び第2の流路22を流れる。流量測定部24及び流量測定部25は流路内の流体の温度を測定し、演算制御手段26へ図1中”TD41”、”TU41”及び”TD51”、”TU51”に示す出力を送信する。演算制御手段26は、流量測定部24及び流量測定部25の出力に基づいて算出される流量の和を求め、全体の流量を算出する。
また、図1等に示す実施例では、接液部分が全てガラスで構成された流路21を例示しているが、接液部分が全てプラスチックで構成しても構わない。この場合にも、接液部分が全てプラスチックであることにより、耐腐食性が向上する。
また、図1等に示す実施例では、流量測定部、若しくは、切替手段がガラス基板上に構成された機構であるとしているが、特にこれに限定されるものではなく、プラスチック基板上に構成しても構わない。
本発明に係る熱式流量計の一実施例を示す構成ブロック図である。 本発明に係る熱式流量計の一実施例の流量測定部分の具体例を示す平面図及び断面図である。 演算制御手段の動作を説明するフロー図である。 各流量測定部の測定範囲を示す図である。 流量測定部を切替えて使用した時の熱式流量計の測定範囲を示す図である。 従来の熱式流量計の一例を示す構成ブロック図である。 流路の位置に対する流路内の被測定液体の温度分布の一例を示す特性曲線図である。 従来の熱式流量計の他の例を示す斜視図である。 従来の熱式流量計の他の例を示す断面図である。 上流側と下流側との温度差と、流量との関係を示す特性曲線図である。 熱式流量計の一例を示す構成ブロック図である。 熱式流量計の一例のセンサ部分の具体例を示す平面図及び断面図である。 流量に対する上流側と下流側との温度差、温度和及び温度差を温度和で除算した値の関係をそれぞれ示す特性曲線図である。 流量測定部の出力値に対する流量の関係図である。
符号の説明
1,10,16,21,22 流路
2,8,13,27 伝熱手段
3,4,14,15,28,29 温度検出手段
5,17,26 演算制御手段
6,11,12,18 ガラス基板
7,9 シリコン基板
24,25 流量測定部
19 流入流路
20 切替手段
23 排出流路

Claims (6)

  1. 流路を流れる液体の温度を制御し温度制御部分の上流側及び下流側の流体の温度差に基づき流量を測定する熱式流量計において、
    前記液体が流入する接液部が全てガラスで構成された流入流路と、
    前記液体が排出される接液部が全てガラスで構成された排出流路と、
    分岐部で前記流入流路から分岐し合流部で前記排出流路に合流する断面積が互いに異なり接液部が全てガラスで構成された第1及び第2の流路と、
    前記第1及び第2の流路にそれぞれ設けられた第1及び第2の流量測定部と、
    前記分岐部、若しくは、前記合流部に設けられ前記第1、若しくは、前記第2の流路を選択する切替手段と、
    前記第1、若しくは、前記第2の流量測定部で検出された温度に基づき前記第1、若しくは、第2の流路の流量を測定すると共に測定された前記流量に基づき前記切替手段を制御して流路の切り替えを行う演算制御手段と
    を備えたことを特徴とする熱式流量計。
  2. 前記第1及び第2の流量測定部が、
    流路内の流体に熱を伝える伝熱手段と、前記伝熱手段から等間隔の位置に設けられた上流及び下流側の温度検出手段とから構成されることを特徴とする
    請求項1記載の熱式流量計。
  3. 前記演算制御部が、
    前記第1の流路及び第2の流路を流れる流体の温度を前記伝熱手段により制御するとともに、前記各温度検出手段で検出された温度の温度差を温度和で除算して規格化された温度差を求め、この規格化された温度差に基づき流量を算出することを特徴とする
    請求項1若しくは請求項2に記載の熱式流量計。
  4. 前記演算制御手段が、
    流路の切り替え判断のための閾値を保持し、前記流量が閾値を超えたか否かに基づき切替信号を切替手段へ送信することを特徴とする
    請求項1若しくは請求項2に記載の熱式流量計。
  5. 前記切替手段が、
    前記切替信号に基づき流路を切り替えることを特徴とする
    請求項4記載の熱式流量計。
  6. 前記各流量測定部、若しくは、切替手段が一体化して構成され、ワンチップ上に実現されることを特徴とする
    請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の熱式流量計。

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