JP2007303421A - ギアポンプ - Google Patents

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太田  雅樹
Takahiro Moroi
隆宏 諸井
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Abstract

【課題】バックラッシュを縮小して低騒音化を実現したギアポンプを提供する。
【解決手段】軸孔4a,4bには、回転軸13,14を回転可能に支持するための軸受け20,21が設けられている。軸受け20は、軸受け外輪23と、軸受け外輪23の周方向に等間隔に複数設けられたニードル22とから構成され、軸受け21も、軸受け外輪25とニードル24とから構成されている。回転軸13とニードル22との間、及び回転軸14とニードル24との間には、内クリアランスCL1が設けられ、内クリアランスCL1は、軸受け20,21の信頼性が確保されるように設定されている。軸受け外輪25とサイドプレート4との間には外クリアランスCL2が設けられ、内クリアランスCL1及び外クリアランスCL2は、駆動ギア11と従動ギア12との間に形成されるバックラッシュBRが略0となるように設定されている。
【選択図】図2

Description

この発明はギアポンプに係り、特に、外接型のギアポンプに関する。
外接型のギアポンプにおいて、吐出脈動を増大させる原因の1つとしてバックラッシュの存在が挙げられる。バックラッシュとは、図5に示されるように、駆動ギア71のギア歯72の回転方向X側の歯面72aと、従動ギア73のギア歯74の回転方向Yとは逆側の歯面74aとの間に形成された隙間(バックラッシュBR)のことである。バックラッシュBRが存在すると、駆動ギア71側の閉塞領域75と従動ギア73側の閉塞領域76とがバックラッシュBRを介して連通して、1つの閉塞領域、すなわち1つの気筒を形成する。このバックラッシュBRを縮小して閉塞領域75と76とを分離することにより、すなわち気筒数を2倍にすることにより、ギアポンプの吐出脈動の増大、及びこれに起因する騒音の発生を防止することが公知である。例えば、特許文献1では、バックラッシュが略0となるように、従動ギア73の回転軸77と回転軸77を支持するベアリング78との間のクリアランスを調整したギアポンプが記載されている。
特開2000−154790号公報
しかしながら、特許文献1に記載されたギアポンプでは、従動ギア73の回転軸77とベアリング78との間のクリアランスの調整に高い加工精度が必要であるといった問題点があった。すなわち、このクリアランスを調整して、従動ギア73の回転軸77が駆動ギア71の回転軸79に近づくように移動することを妨げないようにすることでバックラッシュBRの縮小が可能であるが、むやみにこのクリアランスを大きくすると、ベアリング78の寿命を短くするといった不具合が発生してしまう。特に、低粘度流体の昇圧に使用する場合や、重荷重の場合に、このような問題点が顕著となる。
この発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、バックラッシュを縮小して低騒音化を実現したギアポンプを提供することを目的とする。
ハウジング内で互いに噛み合う駆動ギア及び従動ギアと、駆動ギア及び従動ギアのそれぞれの回転軸と、ハウジング内に設けられると共に回転軸を回転可能に支持する軸受けとを備え、ハウジングの外部から吸入した流体を昇圧して吐出するギアポンプにおいて、回転軸と軸受けとの間に内クリアランスを設け、軸受けとハウジングとの間に外クリアランスを設け、駆動ギアと従動ギアとの間に形成されるバックラッシュが略0となるように、内クリアランス及び外クリアランスを設定することを特徴とする。バックラッシュが略0となることにより、気筒数が2倍となるので、吐出脈動が低減する。
外クリアランスは、内クリアランスよりも大きくてもよい。
内クリアランスは、前記軸受けの信頼性が確保されるように設定してもよい。
軸受けは、回転軸と共に回転しないように、回り止めしてもよい。
軸受けは転がり軸受けであってもよい。
流体はジメチルエーテルであってもよい。
この発明によれば、回転軸と軸受けとの間に内クリアランスを設け、軸受けとハウジングとの間に外クリアランスを設け、駆動ギアと従動ギアとの間に形成されるバックラッシュが略0となるように、内クリアランス及び外クリアランスを設定することにより、吐出脈動が低減するので、軸受けの信頼性を損なうことなくバックラッシュを縮小して低騒音化を実現することができる。
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
実施の形態1.
図1に、この実施の形態1に係るギアポンプの断面図を示す。ギアポンプ1は、円柱状の空洞を内部に有する本体2と、この空洞を塞ぐように本体2の両側に設けられた一対の蓋板3,3と、この空洞の内部に設けられた一対のアルミ製のサイドプレート4,4とからなるハウジング5を備えている。この空洞に一対のサイドプレート4,4を設けることにより、ハウジング1内にギア室10が形成されている。ギア室10内には、互いに噛み合う駆動ギア11及び従動ギア12が設けられている。ギア室10に連通するように、それぞれのサイドプレート4,4に、2つの軸孔4a,4bが形成されている。軸孔4aに挿入するように回転軸13が設けられ、回転軸13の一端は軸孔4a内部の一方の蓋板3の近傍に位置すると共に、他端は駆動ギア11の中心を貫通し、さらに他方の蓋板3を貫通することによってハウジング1の外部に延び、図示しないモータに接続されている。また、軸孔4b内に収容されるように回転軸14が設けられ、回転軸は従動ギア12の中心を貫通し、両端がそれぞれ蓋板3,3の近傍に位置している。尚、従動ギア12は回転軸14に対して移動しないように一体形成されているが、駆動ギア11は回転軸13にキー結合されており、駆動ギア11は回転軸13に対してその半径方向に微動可能となっている。
軸孔4a,4bのそれぞれには、回転軸13,14を回転可能に支持するための軸受け20,21が設けられている。図2に示されるように、軸受け20は、円筒形状を有する鉄製の軸受け外輪23と、軸受け外輪23の周方向に等間隔に複数設けられた円柱棒形状を有する鉄製のニードル22とからなるソリッド型ニードルベアリングである。同様に、軸受け21は、軸受け外輪25とニードル24とからなる、軸受け20と同形状のソリッド型ニードルベアリングである。回転軸13とニードル22との間、及び回転軸14とニードル24との間にはそれぞれ、内クリアランスCL1が設けられている。内クリアランスCL1は、軸受け20,21それぞれの信頼性が確保されるように設定され、通常、1〜30μmの範囲の値である。また、軸受け外輪25とサイドプレート4との間には、外クリアランスCL2が設けられている。外クリアランスCL2の設定については後述する。さらに、軸受け外輪23,25はそれぞれ、キー26,27によってサイドプレート4に固定されており、これにより、軸受け20,21がそれぞれ、回転軸13,14の回転と共に回転しないように回り止めされている。
昇圧すべき流体であるジメチルエーテル(以下、DMEと称する)をギアポンプ1の外部からギア室10(図1参照)内へ吸入するために、吸入路31が本体2を貫通してギア室10に連通するように設けられている。また、ギアポンプ1によって昇圧されたDMEをギアポンプ1の外部に吐出するために、吐出路32が本体2を貫通してギア室10に連通するように設けられている。
次に、この実施の形態1に係るギアポンプの動作について説明する。
図1に示されるように、回転軸13が、図示しないモータによって回転する。すると、回転軸13の回転と共に駆動ギア11が回転する。駆動ギア11が回転すると、駆動ギア11と噛み合う従動ギア12も回転し、これにより、回転軸14が、従動ギア12の回転と共に回転する。
図2に示されるように、回転軸13,14のそれぞれと、軸受け20,21のそれぞれとの間には、比較的小さな内クリアランスCL1が設定されていることにより、軸受け20,21の信頼性を確保しながら、回転軸13,14は回転する。また、軸受け21とサイドプレート4との間に外クリアランスCL2が設定されていることにより、すなわち、外クリアランスCL2が形成されるように軸受け21が軸孔4b内に設けられることにより、回転軸14が回転している間、軸受け21と共に回転軸14も軸孔4b内において、内クリアランスCL1+外クリアランスCL2の範囲内で微動が可能となる。このため、回転軸14は水平方向の分力により、矢印Aで示されるように、軸孔4b内において回転軸13に近づいてバックラッシュBRを略0とするような微動が可能となる。
駆動ギア11及び従動ギア12の回転中に回転軸14が回転軸13に近づくように微動すると、図3に示されるように、駆動ギア11のギア歯26の回転方向B側の歯面26aと、従動ギア12のギア歯27の回転方向Cとは逆側の歯面27aとの間に形成された隙間であるバックラッシュBRが縮小して略0となる。すると、歯面26a,27a間の駆動ギア11側の閉塞領域である気筒41と、歯面26a,27a間の従動ギア12側の閉塞領域である気筒42とが分離した状態となる。これにより、バックラッシュBRが略0でない場合に比べ、気筒数が2倍になると共に気筒41及び42のそれぞれに閉じ込められる空間容量が小さくなる。この状態で、駆動ギア11及び従動ギア12が噛み合いながら、それぞれ矢印B及びCの方向に回転する。
このような動作でギアポンプ1が始動すると、ギアポンプ1の外部から、DMEが吸入路31を流通してギア室10内に流入する。ギア室10内に流入したDMEは、ギア歯26及びギア歯27の噛み合いが離れるときに、歯溝28,29に吸い込まれる。歯溝28,29に吸い込まれたDMEは、駆動ギア11及び従動ギア12の回転に伴われて、ギア室10の内周面に沿って吐出路32側に運ばれる。歯溝28,29内のDMEは、ギア歯26及びギア歯27の噛み合いによって押し出されることにより、昇圧されて吐出路32を流通し、ギアポンプ1の外部へ流出される。
この実施の形態1において、バックラッシュBRが略0となるように、内クリアランスCL1及び外クリアランスCL2を設定したが、バックラッシュBRが略0となることを確認するために、吐出されたDMEの脈動次数を測定する。バックラッシュBRが略0になると、バックラッシュBRが略0でない場合に比べて気筒数が2倍になるので、脈動次数が2倍となる。したがって、ギアポンプ1によって吐出されたDMEの脈動次数が2倍に増加したら、バックラッシュBRが略0になったとみなし、内クリアランスCL1及び外クリアランスCL2を、そのときの値に設定する。通常、外クリアランスCL2は、内クリアランスCL1よりも大きな値となる(CL2>CL1)。尚、脈動次数が2倍になることから、吐出脈動が低減され、その結果、騒音も低下する。
このように、回転軸14と軸受け21との間に内クリアランスCL1を設け、軸受け21とサイドプレート4との間に外クリアランスCL2を設け、駆動ギア11と従動ギア12との間に形成されるバックラッシュBRが略0となるように、内クリアランスCL1及び外クリアランスCL2を設定することにより、吐出脈動が低減するので、バックラッシュBRを縮小して低騒音化を実現することができる。
また、内クリアランスCL1は、軸受け20,21それぞれの信頼性が確保されるように設定されているので、軸受け20,21の信頼性を確保しながら、回転軸13,14は回転することができる。
さらに、軸受け外輪23,25はそれぞれ、キー26,27によってサイドプレート4に固定されていることにより、軸受け20,21はそれぞれ、回転軸13,14の回転と共に回転しないように回り止めされるので、軸受け外輪23,25が回転することによる摩耗を防止することができる。また、軸受け外輪23,25が鉄製であるのに対し、サイドプレート4がアルミ製であるように両者を異種材料で製造したので、軸受け外輪23,25の微小な回転による微動摩耗を防止することができる。
実施の形態1では、軸受け20,21に、ソリッド型ニードルベアリングを使用したが、これに限定するものではない。ボールベアリング等、転がり軸受けであれば、他の形式のベアリングを使用してもよい。
実施の形態2.
次に、この発明の実施の形態2に係るギアポンプを、図4に基づいて説明する。尚、以下の実施の形態において、図1〜3の参照符号と同一の符号は、同一又は同様な構成要素であるので、その詳細な説明は省略する。
この実施の形態2に係るギアポンプは、実施の形態1に対して、軸受け20,21をプレーンベアリングにしたものである。
ギアポンプ50は、軸孔4a,4bのそれぞれに、回転軸13,14を回転可能に支持するための軸受け51,52を備えている。軸受け51,52は、円筒形状を有する鉄製のプレーンベアリングである。回転軸13と軸受け51との間、及び回転軸14と軸受け52との間にはそれぞれ、内クリアランスCL1が設けられている。内クリアランスCL1は、軸受け51,52それぞれの信頼性が確保されるように設定され、通常、1〜30μmの範囲の値である。また、軸受け52とサイドプレート4との間には、外クリアランスCL2が設けられている。さらに、軸受け51,52はそれぞれ、キー26,27によってサイドプレート4に固定されており、これにより、軸受け51,52がそれぞれ、回転軸13,14の回転と共に回転しないように回り止めされている。その他の構成については、実施の形態1と同じである。
実施の形態1と同様にしてギアポンプ50が始動すると、回転軸14が回転している間、軸受け52と共に回転軸14も軸孔4b内において、内クリアランスCL1+外クリアランスCL2の範囲内で微動が可能となる。このため、回転軸14は水平方向の分力により、矢印Aで示されるように、軸孔4b内において回転軸13に近づくような微動が可能となる。したがって、内クリアランスCL1及び外クリアランスCL2を調整することにより、バックラッシュBR(図3参照)を略0とすることができるので、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
また、軸受け52がプレーンベアリングの場合には、ギアポンプ50によって昇圧されるDMEが内クリアランスCL1内に入り込んで油膜を形成することにより、回転軸14と軸受け52との間を潤滑できるが、内クリアランスCL1が大きくなると油膜切れを起こして、回転軸14と軸受け52とが直接接触する状態となって、アブレシブ摩耗、表面疲労、及び摩擦の増大が問題となる。しかし、ギアポンプ50では、内クリアランスCL1は軸受け52の信頼性が確保される値に固定しておき、外クリアランスCL2のみを調整することにより、バックラッシュBRを略0にしているので、このような問題を回避することができる。
実施の形態1及び2では、従動ギア12側のみ、軸受け21,52とサイドプレート4との間に外クリアランスCL2を設けたが、これに限定するものではない。駆動ギア11も回転軸13に対して移動しないように一体形成されている場合には、軸受け20,51とサイドプレート4との間に外クリアランスCL2を設けて、2つの外クリアランスCL2を調整することによって、バックラッシュBRを略0にするようにしてもよい。
また、軸受け20,21及び軸受け51,52をキー26,27によって回り止めしたが、これに限定するものではない。軸受け20,21及び軸受け51,52の外周面に凸部を設けると共に軸孔4a,4bの内周面にその凸部を収容可能な凹部を設けて、凸部を凹部に嵌め込むことにより回り止めすることもできる。すなわち、軸受け20,21及び軸受け51,52が回転軸13,14と共に回転しないようにする手段であれば、どのような手段でもよい。
また、軸受け20,21及び軸受け51,52の微動摩耗を防止する目的で、軸受け20,21及び軸受け51,52とサイドプレート4とを異種材料で製造したものにしたが、これに限定するものではない。摺動性を確保するために、両者の接触面を表面処理してもよい。
さらに、ギアポンプ1,50によって昇圧する流体として、DMEを例にして説明したが、これに限定するものではない。オイル等、通常、ギアポンプで昇圧する流体であればどのような流体でもよい。特に、ギアポンプ1,50は、従来のギアポンプでは適用が難しかった低粘度流体の昇圧にも使用することができる。
この発明の実施の形態1に係るギアポンプの断面図である。 図1のII−II線に沿った断面図である。 実施の形態1に係るギアポンプの駆動ギア及び従動ギアの噛み合いを示す平面図である。 実施の形態2に係るギアポンプの断面図である。 従来のギアポンプの駆動ギア及び従動ギアの噛み合いを示す平面図である。
符号の説明
1,50 ギアポンプ、5 ハウジング、11 駆動ギア、12 従動ギア、13,14 回転軸、20,21,51,52 軸受け。

Claims (6)

  1. ハウジング内で互いに噛み合う駆動ギア及び従動ギアと、前記駆動ギア及び前記従動ギアのそれぞれの回転軸と、前記ハウジング内に設けられると共に前記回転軸を回転可能に支持する軸受けとを備え、前記ハウジングの外部から吸入した流体を昇圧して吐出するギアポンプにおいて、
    前記回転軸と前記軸受けとの間に内クリアランスを設け、
    前記軸受けと前記ハウジングとの間に外クリアランスを設け、
    前記駆動ギアと前記従動ギアとの間に形成されるバックラッシュが略0となるように、前記内クリアランス及び前記外クリアランスを設定することを特徴とするギアポンプ。
  2. 前記外クリアランスは、前記内クリアランスよりも大きいことを特徴とする、請求項1に記載のギアポンプ。
  3. 前記内クリアランスは、前記軸受けの信頼性が確保されるように設定されることを特徴とする、請求項1または2に記載のギアポンプ。
  4. 前記軸受けは、前記回転軸と共に回転しないように、回り止めされていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のギアポンプ。
  5. 前記軸受けは転がり軸受けであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のギアポンプ。
  6. 前記流体はジメチルエーテルであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載のギアポンプ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR20160038879A (ko) * 2013-04-17 2016-04-07 임락복 차폐(遮蔽) 유체 문제를 개선한 저소음 기어 펌프 혹은 모터
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