JP2007302924A - シャッタ装置および表面処理装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】良好な視野や計測状態を得られる位置から基板を観察することと、シャッタ表面に付着した成膜物質の落下による成膜物質源の汚染を防ぐこととを、同時に満足する。
【解決手段】シャッタ装置113には、シャッタ116と、シャッタ116を第1の位置118と第2の位置119との間で移動させるための直動機構120と、が設けられている。直動機構120によるシャッタ116の移動の際、シャッタ116直下にるつぼ108が配されないよう、シャッタ116の移動範囲が設定されている。直動機構120によりシャッタ116が第1の位置118に配された際、基板Aへの成膜物質107の付着を遮断するシャッタ116による遮断領域が拡大される。
【選択図】図1
【解決手段】シャッタ装置113には、シャッタ116と、シャッタ116を第1の位置118と第2の位置119との間で移動させるための直動機構120と、が設けられている。直動機構120によるシャッタ116の移動の際、シャッタ116直下にるつぼ108が配されないよう、シャッタ116の移動範囲が設定されている。直動機構120によりシャッタ116が第1の位置118に配された際、基板Aへの成膜物質107の付着を遮断するシャッタ116による遮断領域が拡大される。
【選択図】図1
Description
本発明は、基板やウェハなどの被処理物の成膜工程、除去工程、反応工程などの処理工程における装置の汚染防止を目的として用いられるシャッタ装置および表面処理装置に関する。
現在、基板やウェハなどの表面処理を行うために表面処理装置が用いられている。この表面処理装置にはシャッタ装置が設けられ、基板やウェハなどの被処理物の成膜工程、除去工程、反応工程などの処理工程において表面処理装置の汚染を防止している。例えば、成膜工程で用いるシャッタ装置として、被処理物の被処理面よりも面積が大きい表面を有したシャッタを被処理物に離したり近づけたりすることによって、成膜物質の基板への付着を可能にしたり、あるいは防止したりするものがある(例えば、特許文献1参照)。
ところで、従来の装置に、シャッタ装置を設けたMBE(Molecular Beam Epitaxy)装置があり、図31を用いて以下に説明する。
このMBE装置8001は、処理室8002として逆向きの略釣鐘状の真空チャンバを有し、その中心軸8003が垂直方向に設定され、その側面下部8004は、中心軸8003に向けて漸次傾斜して形成されている。この処理室8002には、中心軸8003上であって処理室8002の上部に加熱ヒータ8005が設けられ、加熱ヒータ8005直下に基板Aが配されている。また、側面下部8004には、成膜物質8006を充填した複数個のるつぼ8007が、加熱ヒータ8005から見て放射状に一定の間隔をもって配されている(図31では、るつぼ8007は2個のみ示し、その他は省略)。このMBE装置8001では、るつぼ8007内で成膜物質8006を加熱溶融し、そこから発生する分子線8008を基板Aに照射することで、基板Aの表面A1(以下、基板表面とする)に成膜物質8006を成膜する。なお、るつぼ8007から基板Aへの分子線8008の照射経路を、成膜物質8006の移動経路8015とする。
また、加熱ヒータ8005と対向する処理室下部8009に、分子線8008による基板Aへの成膜物質8006の付着を遮断するシャッタ装置8010が設けられている。このシャッタ装置8010には、基板表面A1に平行な主面を有する1枚のシャッタ8011と、シャッタ8011を中心軸8003上で支持するロッド8012と、ロッド8012を中心軸8003方向に延出駆動もしくは縮小駆動させるための直動機構8013と、が設けられている。直動機構8013は、処理室8002外部に設けられ、ベローズ式真空導入機構を介してロッド8012を駆動できるので、処理室8002内部の真空状態を維持しながらシャッタ8011を移動させることができる。なお、シャッタ8011の表面8014は、その面積が基板表面A1の面積より大きくなるよう設計されている。
基板Aへの成膜物質8006の成膜時には、図31(a)に示すように、シャッタ8011を成膜処理の障害とならないように基板表面A1から離れた位置、この場合、移動経路8015上以外の位置である処理室下部8009に配する(以下、この位置を第2の位置8017とする)。また、成膜物質8006の基板Aへの付着を防止したい場合は、図31(b)に示すように、シャッタ8011を、ロッド8012を介して直動機構8013により基板表面A1に近づく方向(Y1方向)に移動させて、移動経路8015上に配する(以下、この位置を第1の位置8016とする)。このシャッタ8011により、分子線8008を遮断して、基板表面A1を保護する。このように、このMBE装置8001は、一枚のシャッタ8011を垂直方向に移動させて、シャッタ8011を基板Aに近づけたり離したりする構造からなっている。
また、別の従来の装置に、下記する特許文献1に記載のMBE装置がある。このMBE装置9001は、上記したMBE装置8001と基本的な構成は同一である。すなわち、図32に示すように、処理室8002と加熱ヒータ8005とるつぼ8007とが設けられ、加熱ヒータ8005直下に基板Aが配されている。
次に、上記したMBE装置8001と異なるシャッタ装置の構成について下記に説明する。シャッタ装置9002は、処理室上部9003の加熱ヒータ8005近傍に設けられている。このシャッタ装置9002には、基板表面A1に平行な主面(表面9006)を有する一枚のシャッタ9004と、シャッタ9004を処理室8002の上方から支持するロッド9005と、ロッド9005を駆動させるための回動機構(図示省略)と、が設けられている。なお、シャッタ9004の表面9006の面積が、基板表面A1の面積より大きくなるよう設計されている。
基板Aへの成膜物質8006の成膜時には、シャッタ9004を、図32(a)に示すように、成膜処理の障害とならないように基板表面A1から離れた位置、この場合、移動経路8015上以外の位置である処理室側面部9008に配する(第2の位置8017)。また、成膜物質8006の基板Aへの付着を防止したい場合は、図32(b)に示すように、回動機構によりロッド9005をY4方向に回動させることでシャッタ9004を基板A側へ移動させて、シャッタ9004を移動経路8015上に配し(第1の位置8016)、このシャッタ9004により分子線8008を遮断して、基板表面A1を保護する。
このように、このMBE装置9001は、一枚のシャッタ9004を基板表面A1と同一面方向に回動移動させて、シャッタ9004を基板Aに近づけたり離したりする構造からなっている。
特開平4−139086号公報
しかし、上記した2つのMBE装置8001、9001では、以下に示すような問題点がある。
先ず、図31に示すMBE装置8001では、基板Aよりシャッタ8011の方がその表面の面積が大きくなるよう設計されているため、最も良好な視野や計測状態を得られる基板Aと対向する位置、例えば、このMBE装置8001では、処理室下部8009から基板AをMBE装置8001外部から観察することや、基板表面A1の温度などを計測することができない。
次に、図32に示すMBE装置9001では、上記したMBE装置8001とは異なり、シャッタ9004が第2の位置8017に配した状態の時、処理室下部8009に観察窓9007を設けて基板表面A1を観察することができる。しかし、シャッタ9004の第1の位置8016と第2の位置8017との間の回動移動時等に、シャッタ9004下方のるつぼ8007上を通過するため、シャッタ表面9006に付着した成膜物質8006がその下部方向のるつぼ8007内もしくはその周辺に落下するという問題がある。成膜物質8006がるつぼ8007内等に落下すると、この落下した成膜物質8006は不純物となり、成膜処理時における膜質を悪化させる原因の一つとなる。
このように、従来のMBE装置8001、9001では、基板Aの表面A1と対向した位置から基板Aを観察することと、シャッタ8011、9004の表面8014、9006に付着した成膜物質8006の落下によるるつぼ8007の汚染を防ぐこととを同時に行なうことができなかった。
そこで、上記した課題を解決するために本発明は、良好な視野や計測状態を得られる位置から基板を観察することと、シャッタ表面に付着した成膜物質の落下による成膜物質源の汚染を防ぐこととを、同時に満足するシャッタ装置および表面処理装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため本発明にかかるシャッタ装置は、成膜物質源に供給した成膜物質を被処理物表面に付着させるための成膜物質源から被処理物への成膜物質の移動経路上にシャッタが配され、このシャッタにより被処理物への成膜物質の付着を遮断するシャッタ装置であって、前記シャッタを、前記移動経路上に位置する第1の位置と、前記移動経路上以外の位置である第2の位置とに配するように、前記シャッタを前記第1の位置と前記第2の位置との間で移動させる移動手段が、設けられ、前記移動手段による前記シャッタの移動の際、前記シャッタ直下に成膜物質源が配されないよう前記シャッタの移動範囲が設定され、前記移動手段により前記シャッタが前記第1の位置に配された際、被処理物への成膜物質の付着を遮断する前記シャッタによる遮断領域が拡大されたことを特徴とする。
この発明によれば、良好な視野や計測状態を得られる位置から基板を観察することと、シャッタ表面に付着した成膜物質の落下による成膜物質源の汚染を防ぐこととを、同時に満足することが可能となる。すなわち、前記シャッタ表面に付着した成膜物質の落下による成膜物質源の汚染を防ぎながら、前記シャッタを前記第1の位置に配した際、被処理物への成膜物質の付着を遮断するとともに、前記シャッタを前記第2の位置に配した際、被処理物への成膜物質の処理工程時の状態を観察することが可能となる。
上記構成において、前記シャッタが複数枚のシャッタ板からなり、前記移動手段により前記シャッタが前記第1の位置に配された際、少なくとも1枚の前記シャッタ板が前記シャッタの遮断領域が拡大する方向に変位してもよい。
この場合、前記シャッタを前記第1の位置に配した際、前記複数のシャッタ板によって被処理物への成膜物質の付着を確実に遮断することが可能となるとともに、前記シャッタを前記第2の位置に配した際、前記第1の位置に配した前記シャッタと比較して前記シャッタ板による遮断領域を縮小し、この縮小により開口された部分から被処理物への成膜物質の処理工程を観察することが可能となる。
具体的に、上記構成において、前記複数枚のシャッタ板が予め設定した軸を介して係合されるとともにこの軸を中心にして回動可能とされ、前記移動手段により前記シャッタが前記第1の位置に配された際、前記少なくとも1枚のシャッタ板が前記シャッタの遮断領域を拡大する方向に回動されてもよい。
この場合、前記シャッタを前記第1の位置に配した際、前記複数のシャッタ板によって被処理物への成膜物質の付着を確実に遮断することが可能となるとともに、前記シャッタを前記第2の位置に配した際、前記第1の位置に配した前記シャッタと比較して、前記少なくとも1枚のシャッタ板を前記シャッタの遮断領域を拡大する方向に回動して前記シャッタ板による遮断領域を縮小し、この縮小により開口された部分から被処理物への成膜物質の処理工程を観察することが可能となる。
また、上記構成において、前記少なくとも1枚の前記シャッタ板は、前記遮断領域を拡大する方向に付勢されてもよい。
この場合、前記移動手段により前記シャッタを前記第2の位置から前記第1の位置へ移動する際に、前記シャッタによる遮断領域の拡大を容易に行うことが可能となり、前記シャッタの遮断領域を拡大させる信頼性を向上させることが可能となる。
または、上記構成において、前記少なくとも1つのシャッタ板に開口部が形成され、前記移動手段により前記シャッタが前記第1の位置に配された際、前記開口部が形成されていないその他の前記シャッタ板により前記開口部が塞がれてもよい。
この場合、複数のシャッタ板によって被処理物への成膜物質の付着を確実に遮断することが可能となるとともに、シャッタを第2の位置に配した際、シャッタ板の開口部により被処理物への成膜物質の処理工程を観察することが可能となる。
または、上記構成において、前記シャッタの中心部にロッドが係合されるとともに、前記シャッタに前記ロッドを軸として回動する回動手段が設けられ、前記移動手段により前記シャッタが前記第1の位置に配された際、前記回動手段により前記シャッタの一端と他端との少なくとも一方が前記遮断領域を拡大する方向に回動されて前記シャッタの一端と他端とが係合されてもよい。
この場合、前記シャッタを前記第1の位置に配した際、前記複数のシャッタ板によって被処理物への成膜物質の付着を確実に遮断することが可能となるとともに、前記シャッタを前記第2の位置に配した際、前記第1の位置に配した前記シャッタと比較して、前記回動手段により前記シャッタ板を回動して前記シャッタ板による遮断領域を縮小し、この縮小により開口された部分から被処理物への成膜物質の処理工程を観察することが可能となる。
または、上記構成において、前記移動手段により前記シャッタが前記第1の位置に配された際、少なくとも1つの前記シャッタ板が、その他の前記シャッタ板の一端から前記遮断領域を拡大する方向に突出してもよい。
この場合、前記シャッタを前記第1の位置に配した際、前記複数のシャッタ板によって被処理物への成膜物質の付着を確実に遮断することが可能となるとともに、前記シャッタを前記第2の位置に配した際、前記シャッタ板が突出されないので、この突出されない部分だけ遮断領域が縮小され、この縮小により開口された部分から被処理物への成膜物質の処理工程を観察することが可能となる。
また、上記目的を達成するため本発明にかかる表面処理装置は、前記シャッタ、前記成膜物質源、および前記被処理物が真空チャンバ内に設けられたことを特徴とする。
この発明によれば、上記した本発明にかかるシャッタ装置と同様の作用効果を有する。すなわち、この発明によれば、少なくとも、良好な視野や計測状態を得られる位置から基板を観察することと、前記シャッタ表面に付着した成膜物質の落下による前記成膜物質源の汚染を防ぐこととを、同時に満足することが可能となる。
上記構成において、前記真空チャンバ内部を観察する観察窓が前記第2の位置近傍に設けられ、前記シャッタが前記第2の位置に配された際、前記シャッタが前記観察窓に接触して前記遮断領域が縮小されてもよい。
この場合、前記シャッタ装置に、前記シャッタの遮断領域を縮小するための新たな機構を設ける必要がなく、前記シャッタ装置の構成要件の点数削減を行なうことが可能となり、製造コストを削減することが可能となる。
本発明にかかるシャッタ装置および表面処理装置によれば、良好な視野や計測状態を得られる位置から基板を観察することと、シャッタ表面に付着した成膜物質の落下による成膜物質源の汚染を防ぐこととを、同時に満足することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、以下に示す各実施例では、表面処理装置としてMBE装置に本発明を適用した場合を示すが、これに限定されるものではなく、例えば、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)装置などの、基板やウェハなどの被処理物の成膜工程、除去工程、反応工程などの処理工程を行なう装置であればよい。また、真空チャンバが設けられた装置であれば好ましい。
実施例1にかかるMBE装置101は、図1に示すように、処理室102として逆向きの略釣鐘状の真空チャンバを有し、その中心軸103の軸方向が垂直方向に設定され、その側面下部104は、中心軸103に向けて漸次傾斜して形成されている。この処理室102には、中心軸103上であってその上部105に基板回転機構(図示省略)を備えた加熱ヒータ106が設けられ、加熱ヒータ106直下に、基板A(本発明でいう被処理物)が配されている。また、処理室側面下部104には、成膜物質107を充填した複数個のるつぼ108(本発明でいう成膜物質源)が、加熱ヒータ106から見て放射状に一定の間隔をもって配されている(図1では、るつぼ108は2個のみ示し、その他は省略)。このMBE装置101では、るつぼ108に成膜物質107を供給し、るつぼ108内で成膜物質107を加熱溶融して、そこから発生する分子線109を基板Aに照射することで、基板Aの表面A1(以下、基板表面という)に成膜物質107を成膜する。なお、本実施例1では、るつぼ108から基板Aへの分子線109を照射する経路を、るつぼ108に供給した成膜物質107を基板表面A1に付着させるためのるつぼ108から基板Aへの成膜物質107の移動経路110とする。
また、このMBE装置101には、加熱ヒータ106と対向する処理室下部111に、処理室102内部を観察する観察窓112と、分子線109による基板Aへの成膜物質107の付着を遮断するシャッタ装置113とが設けられている。
観察窓112は、図1に示すように、処理室102外部に設けられたビューポート114と、このビューポート114から処理室102内部方向に突出したパイプ部115とからなる。このパイプ部115には、ビューポート114から処理室102内部を観察するよう、その内部に観察孔(図示省略)が形成されている。
シャッタ装置113には、シャッタ116と、このシャッタ116を支持するロッド117と、このロッド117を中心軸103の軸方向(図1では垂直方向)に延出もしくは縮小するよう駆動させて、シャッタ116を移動経路110上に位置する第1の位置118(図1(b)参照)と移動経路110上以外の位置である第2の位置119(図1(a)参照)との間で移動させるための直動機構120(本発明でいう移動手段)と、が設けられている。直動機構120は、処理室102外部に設けられ、ベローズ式真空導入機構を介してロッド117を中心軸103の軸方向に駆動させる。この直動機構120により、処理室102内部の真空状態を維持しながらシャッタ116を移動させることができる。また、シャッタ116の移動範囲は、とりうる全ての位置において、シャッタ116直下にるつぼ108が配されないよう設定されている。なお、ここでいうシャッタ116直下とは、図2に示す斜線領域Dのことを示す。
シャッタ116は、2枚のシャッタ板122、123が予め設定した軸(図1に示す点B参照)において係合され、シャッタ板123が軸Bを中心にしてX1,X2方向に回動可能とされる。なお、軸Bは、基板表面A1に平行な軸方向を有する。そして、直動機構120のY1方向への移動に伴い、シャッタ116が第1の位置118に配された際、シャッタ板123がシャッタ116の遮断領域が拡大する方向に変位することで、シャッタ116による遮断領域が拡大される。本実施例1では、直動機構120のY1方向への移動に伴い、シャッタ板123が、パイプ部115側へ回動される(X1方向に回動される)ことにより、シャッタ116は、その遮断領域を拡大する方向(W方向)に拡大される。また、拡大されたシャッタ116の遮断領域(シャッタ116の表面の面積)は、基板表面A1の面積より大きくなるよう設計されている。
このシャッタ116の遮断領域の拡大および縮小を、図1を用いて以下に説明する。
基板Aへの成膜時には、図1(a)に示すように、シャッタ116を成膜処理の障害とならないように基板表面A1から離れた位置、この場合、移動経路110上以外の位置である処理室下部111に配する(第2の位置119)。ロッド117を介して直動機構120により、シャッタ116を第1の位置118から第2の位置119に移動させると、シャッタ板123は、観察窓112のパイプ部115の先端と接触し、これによりシャッタ板123が押し上げられてX2方向へ回動し、シャッタ板123のシャッタ板122に対する傾斜角度が高くなってシャッタ116の遮断領域の面積が縮小する。この縮小により、処理室下部111に開口が形成され、良好な視野や計測状態を得られる位置である処理室下部111(観察窓112)から成膜工程時の基板Aの状態を観察することができる。
そして、成膜物質107の基板Aへの付着を防止したい場合、図1(b)に示すように、図1(a)に示す状態のシャッタ116を、基板表面A1に近づく方向(Y1方向)に移動させて、移動経路110上に配する(第1の位置118)。この時、パイプ部115との相対位置変化によりシャッタ板123がX1方向へ回動してシャッタ板123のシャッタ板122に対する傾斜角度が緩くなって、シャッタ板123が処理室102下方側に倒れ、シャッタ116がパイプ部115の先端より処理室102上方に位置した時にシャッタ板123がパイプ部115から離れて、基板表面A1の面方向に平行なW方向へシャッタ116の遮断領域の面積が拡大する(図1(b)参照)。そして、遮断領域の面積が拡大したシャッタ116により分子線109を遮断して基板Aへの成膜物質107の付着を防止し、基板表面A1を保護する。この図2(b)に示す状態のシャッタ116によれば、基板Aの全てが観察窓112から観察できない。
上記したように、このMBE装置101によれば、シャッタ装置113のシャッタ116、るつぼ108、および基板Aが処理室102内に設けられているので、良好な視野や計測状態を得られる位置から基板Aを観察することと、シャッタ116の表面に付着した成膜物質107の落下によるるつぼ108の汚染を防ぐこととを、同時に満足することができる。
また、このMBE装置101では、シャッタ装置113近傍、詳しくは、第2の位置119近傍に観察窓112が設けられているので、シャッタ板123の回動をパイプ部115との接触により行なうことができ、そのため、シャッタ装置113に、シャッタ116の遮断領域を縮小するためにシャッタ板123の回動を行なう新たな機構を設ける必要がなく、シャッタ装置113の構成要件の点数削減を行なうことができ、製造コストを削減することができる。
上記したことから、本実施例1にかかるMBE装置101に備えたシャッタ装置113によれば、シャッタ116の表面に付着した成膜物質107の落下によるるつぼ108の汚染を防ぎながら、シャッタ116を第1の位置118に配した際、基板Aへの成膜物質107の付着を遮断するとともに、シャッタ116を第2の位置119に配した際、第1の位置118に配したシャッタ116と比較して、シャッタ板123をシャッタ116の遮断領域を拡大する方向に回動してシャッタ板123による遮断領域を縮小し、この縮小により開口された部分(観察窓112)から基板Aへの成膜物質107の処理工程時の状態を観察することができる。
なお、本実施例1にかかるシャッタ装置113では、シャッタ116が2枚のシャッタ板122、123からなっているが、シャッタ板の回動等によりシャッタ116がその遮断領域を拡大する方向(W方向)に拡大することが可能となっていれば、シャッタ板の枚数は限定されない。
また、本実施例1にかかるMBE装置101では、るつぼ108が処理室側面下部104に設けられているが、これに限定されるものではなく、シャッタ116の移動の際、シャッタ116直下に位置する領域D(図2参照)以外であれば、るつぼ108は任意の位置に設けられてもよい。
また、パイプ部115の先端に、例えば、パイプ部用シャッタ(図示省略)を設けてもよい。この場合、シャッタ116に付着した成膜物質107の落下などによって視界の妨げを防止するのに好ましい。
次に、本実施例1とは異なる実施例を以下に示す。
本実施例2にかかるMBE装置は、上記した実施例1にかかるMBE装置101と、シャッタ装置の点で異なるだけで他の構成は同一の構成からなる。そのため、この実施例2では、この異なるシャッタ装置の点について説明し、同一の構成については、同一の符号を付し、その説明を省略する。また、実施例1とは異なる作用効果について説明し、同一の作用効果についてはその説明を省略する。
実施例2にかかるシャッタ装置201に、図1,3に示すように、シャッタ202とロッド117と直動機構120とが設けられている。
シャッタ202は、2枚のシャッタ板203、204が軸Bにおいて係合され、シャッタ板123が軸Bを中心にしてX1,X2方向に回動可能とされる。なお、軸Bは、基板表面A1に平行な軸方向を有する。また、シャッタ板203の下面205の一端部とシャッタ板204の上面206の一端部とが係合され、シャッタ板203の一端面とシャッタ板204の上面206とが面している。また、シャッタ板203は、軸Bを中心にして弾性体を介してX1方向に回動されるように、シャッタ202の遮断領域を拡大する方向(W方向)に付勢されている。
弾性体は、シャッタ板203の下面205を鉛直方向に引張るステンレス鋼製のコイルバネ207によって構成されている。そして、コイルバネ207によりシャッタ板203は、第2の位置119では観察窓112のパイプ部115先端が開口された状態となる方向(X2方向)に回動され、また、第1の位置118では観察窓112のパイプ部115先端が閉塞された状態となる方向(X1方向)に回動される。
上記したシャッタ202では、直動機構120のY1方向への移動に伴い、シャッタ板123が、パイプ部115側へX1方向に回動されることにより、シャッタ116は、その遮断領域を拡大する方向(W方向)に拡大される。また、拡大されたシャッタ116の遮断領域、すなわち、シャッタ116の表面の面積が、基板表面A1の面積より大きくなるよう設計されている。このシャッタ202の移動工程におけるシャッタ202の遮断領域の拡大および縮小を、図1,3を用いて以下に説明する。
シャッタ202を第2の位置119から第1の位置118に移動させる場合、コイルバネ207によりシャッタ板203がX1方向に回動してシャッタ板203はシャッタ202の遮断領域を拡大する方向(W方向)に引っ張られる。そして、シャッタ板203のシャッタ板204に対する傾斜角度が徐々に緩くなり、図3(b)に示すように、基板表面A1の面方向に平行なW方向へシャッタ202の遮断領域の面積が拡大する。
また、シャッタ202を第1の位置118から第2の位置119に移動させる場合、コイルバネ207の一端部208によりシャッタ板203がX2方向に回動されながら押上げられて、図3(a)に示すように、シャッタ板203のシャッタ板204に対する傾斜角度が高くなり、シャッタ202の遮断領域の面積が縮小する。
上記したように、このシャッタ装置201によれば、上記した実施例1と同様の作用効果を有するだけでなく、シャッタ板203が、コイルバネ207によりX1方向に付勢されているので、シャッタ202を直動機構120により第2の位置119から第1の位置118へ移動させる際に、シャッタ202による遮断領域の拡大を容易に行うことができ、シャッタ202の遮断領域を拡大させる信頼性を向上させることができる。
なお、本実施例2では、コイルバネ207の材質をステンレス鋼としたが、これに限定されるものではない。例えば、シャッタ装置が設けられる表面処理装置では、処理室内を高温状態とすることが多く、コイルバネは高温状態であってもバネの弾性を失わない材質からなる必要がある。そのため、本実施例2にかかるステンレス鋼のコイルバネ207は300℃以下の温度下で用いることを前提とするが、300℃以上であれば、コイルバネにインコネル等の耐熱性を有する材質を用いることが好ましい。
また、弾性体は、上記したコイルバネ207に限定されるものではなく、例えば下記する弾性体であってもよい。
変形例である弾性体は、図4に示すように、シャッタ板209、210両方の上面211、212に設けられた波状バネ213であり、波状バネ213はシャッタ板209を垂直上方向に引張る。この波状バネ213は、ステンレス鋼からなり、その形状が弧状に形成されている。波状バネ213により、図4(a)に示す第2の位置119では、シャッタ板209が軸Bを中心にしてX2方向に回動されて、パイプ部115先端が開口された状態となる(遮断領域の縮小)。また、図4(b)に示す第1の位置118では、シャッタ板209が軸Bを中心にしてX1方向に回動されて、パイプ部115先端が閉塞された状態となる(遮断領域の拡大)。
なお、本実施例2では、波状バネ213の材質をステンレス鋼としたが、これに限定されるものではない。例えば、シャッタ装置が設けられた表面処理装置の処理室内を高温状態としない場合、スポンジなどの多泡体やゴムなどの素材を波状バネの材質として用いてもよい。
また、弾性体自体を別途設けるのではなく、例えば図5に示すように、シャッタ板215自体が、適度な可撓性と張りを持つ板バネからなってもよい。
この場合、図5(a)に示す第2の位置119では、シャッタ板215がパイプ部115に接触押圧されるによって、その自由端(軸Bと係合していない端部)が上方に向くように可変しながら、シャッタ板215が軸Bを中心にして遮断領域を縮小する方向に回動される。図5(b)に示す第1の位置118では、シャッタ板215のパイプ部115からの接触押圧が開放され、シャッタ板215は、観察窓112のパイプ部115先端が開口された状態となる方向(遮断領域を拡大するW方向)に付勢しながら軸Bを中心にして回動される。
上記した図4,図5に示すシャッタ装置201によれば、シャッタ板209,215が観察窓112のパイプ部115に接触したときの接触押圧の勢いにより、シャッタ板209,215をその上下面が反転するまで回動するのを防止することができる。
また、重力を利用するのではなく、弾性体を用いてシャッタ板209、214を遮断領域を拡大する方向(X1方向)に回動させるので、例えば、処理室102の上部105にシャッタ214が設けられ、下部111に基板Aが配されたとしても、本発明を適用することができる。
本実施例3にかかるMBE装置は、上記した実施例1にかかるMBE装置101と、シャッタ装置の点で異なるだけで他の構成は同一の構成からなる。そのため、この実施例3では、この異なるシャッタ装置の点について説明し、同一の構成については、同一の符号を付し、その説明を省略する。また、実施例1とは異なる作用効果について説明し、同一の作用効果についてはその説明を省略する。
実施例3にかかるシャッタ装置301には、図1,6に示すように、シャッタ302とロッド117と直動機構120とが設けられている。
シャッタ302は、2枚のシャッタ板303、304が予め設定した軸Bにおいて係合され、シャッタ板123が軸Bを中心にしてX1,X2方向に回動可能とされる。なお、軸Bは、基板表面A1に平行な軸方向を有する。また、シャッタ板303の下面305の一端部とシャッタ板304の上面306の一端部とが係合され、シャッタ板303は直動機構120により軸Bを中心にしてX1,X2方向に回動され、シャッタ302の遮断領域の拡大(図6に示す矢印W参照)もしくは縮小を行う。
また、シャッタ板304には、図6に示すように、2斜面307、308からなる突起部309が形成され、この突起部309は、シャッタ板304の一端部310側の斜面307より他端部311側の斜面308の方が角度をもって形成されている。なお、シャッタ板304の他端部311側の斜面308角度は、観察窓112のパイプ部115の突出高さに合わせて設定されている。
また、シャッタ板303の重心位置及びその方向を、図6に示す矢印Y2で示す。このシャッタ板303の重心位置は、シャッタ板303、304の係合点である軸Bよりシャッタ板304の他端部311側に配されている。そのため、シャッタ板303は、図1に示す観察窓112のパイプ部115の先端との接触がなくなれば、図6(a)から図6(b)に示す状態、すなわち処理室102下方側に倒れるようにX1方向に回動する。
また、直動機構120によるシャッタ302の第1の位置118から第2の位置119への移動において、シャッタ板303が観察窓112のパイプ部115などの物体に接触したときの接触の勢いなどで、シャッタ板303がその上下面が反転するまで回動するのを防止することができる。
なお、本実施例3では、シャッタ板304に突起部309を形成したが、これに限定されるものではなく、例えば図7,図8に示すような形状にシャッタ板303、304の形状を可変してもよい。
図7に示す例では、シャッタ板312の一端部313において、シャッタ板314との係合点(軸B)からその他点に向けて一端部313が外方に傾斜して形成され、一端部313の他点が突起している。また、シャッタ板312の重心位置及びその方向を、図7に示す矢印Y2で示す。このシャッタ板312の重心位置は、軸Bよりシャッタ板314の他端部314a側に配されている。そのため、シャッタ板312は、図1に示す観察窓112のパイプ部115の先端との接触がなくなれば、図7(a)から図7(b)に示す状態、すなわち処理室102下方側に倒れる(X1方向)。上記したように、シャッタ板312の一端部313の傾斜形成により、シャッタ302を第2の位置119に配した時のシャッタ板314から見てその回動角度は90度を越えることはない。
図8に示す例では、シャッタ板315の一端部316に第1の突起部317が形成されている。この第1の突起部317は、一端部316の端面318の下面319側に形成されている。さらに、一端部316の端面318の上面320側に第2の突起部321が形成されている。第2の突起部321では、第1の突起部317よりその突起長さが短く設定されている。また、シャッタ板322の重心位置及びその方向を、図8に示す矢印Y2で示す。このシャッタ板322の重心位置は、点Bよりシャッタ板315の端面318外方に配されている。そのため、シャッタ板322は、図1に示す観察窓112のパイプ部115の先端との接触がなくなれば、図8(a)から図8(b)に示す状態、すなわち処理室102下方側に倒れる(X1方向)。上記したように、シャッタ板315の第2の突起部321の形成により、シャッタ302を第1の位置118から第2の位置119に移動した際に、シャッタ板322の上面323がシャッタ板315の第2の突起部321と接触するため、シャッタ302を第2の位置119に配した時のシャッタ板315から見てその回動角度は90度を越えることはない。
本実施例4にかかるMBE装置は、上記した実施例1にかかるMBE装置101と、シャッタ装置の点で異なるだけで他の構成は同一の構成からなる。そのため、この実施例4では、この異なるシャッタ装置の点について説明し、同一の構成については、同一の符号を付し、その説明を省略する。また、実施例1とは異なる作用効果について説明し、同一の作用効果についてはその説明を省略する。
実施例4にかかるシャッタ装置401には、図1、9に示すように、シャッタ402と、ロッド117と、直動機構120と、第2の位置119に配されたシャッタ402の遮断領域を縮小させるための受台部403とが設けられている。受台部403は漏斗状に形成され、その基部404にロッド117が挿入されている。
シャッタ402は、遮断領域面の形状が台形に形成された17枚のシャッタ板405からなる。これらシャッタ板405の一端部406がロッド117に係合されるとともに、シャッタ板405はロッド117を軸にしてX1,X2方向に回動される。
シャッタ板405は、直動機構120によりシャッタ402を第1の位置118に配した際、受台部403によりシャッタ板405の他端部(以下、先端部406という)がその外方に放射線状に広がるようにX1方向に回動し、矢印W方向に遮断領域を拡大する。この時、図9(b)に示すように、それぞれ隣接するシャッタ板405と一部が重なり合っている。また、シャッタ402を第2の位置119に配した際、シャッタ板405は、漏斗状に形成された受台部403の側面408により束ねられるようにX2方向に回動し、シャッタ402の遮断領域が縮小される。
上記したように、このシャッタ装置401によれば、上記した実施例1と同様の作用効果を有するだけでなく、漏斗状に形成された受台部403が用いられているので、観察窓112を中央部の周囲に複数個設けることができ、多くの観察手段もしくは計測手段が付加し易くなる。
また、基板加熱ヒーターなどの基板保持物や基板Aに対して、受台部403にクリーニングや照射や電気的または電子的処理など、何らかの処理を行う手段を設けることもできる。この受台部403を処理室102に設ける場合、MBE装置101の中心軸103近傍に位置する他の構成部材(図1参照)の障害とならないように、他の構成部材の設置の向きや他の部材の複数個設置などを考慮することが望ましい。
なお、本実施例4では、図9(c)に示すように、遮断領域面の形状が台形に形成されたシャッタ板405を17枚用いたが、これに限定されるものではなく、ロッド117を軸として放射線状に広がるシャッタ板であれば、その形状およびその枚数は限定されない。例えば、シャッタ板の遮断領域面の形状を三角形に形成してもよい。
また、受台部403を設けずに、上記した実施例1のようにパイプ部115の先端をシャッタ板405に接触させてシャッタ402の遮断領域を縮小させてもよい。
また、シャッタ板405をX1方向により回動させるために、シャッタ板405の先端部407に、例えば、錘を付加してもよい。この場合、錘により、シャッタ板405が、X1方向に付勢されるので、直動機構120によりシャッタ板405を第2の位置119から第1の位置118へ移動する際に、シャッタ板405をX1方向に容易に回動させることができ、シャッタ405の遮断領域を矢印W方向に拡大させる信頼性を向上させることができる。
また、シャッタ402を第2の位置119に移動させる際、受台部403の側面408により束ねられることによるシャッタ板405の重なりのための抵抗を増すようにその形状や束ね方の工夫をしてもよい。
本実施例5にかかるMBE装置は、上記した実施例1にかかるMBE装置101と、シャッタ装置の点で異なるだけで他の構成は同一の構成からなる。そのため、この実施例5では、この異なるシャッタ装置の点について説明し、同一の構成については、同一の符号を付し、その説明を省略する。また、実施例1とは異なる作用効果について説明し、同一の作用効果についてはその説明を省略する。
実施例5にかかるシャッタ装置501には、シャッタ502と、シャッタ502を支持するとともにシャッタ502を第1の位置118と第2の位置119との間で移動させるための直動機構120と、第2の位置119に配されたシャッタ502の遮断領域を縮小するための接触棒503とが設けられている。
シャッタ502は、図10、図11に示すように、遮断領域面の形状が矩形に形成された2枚のシャッタ板505、506からなり、これらシャッタ板505、506の遮断領域面が同一方向に配されている。シャッタ502は、一対の架台507(508、509)と、これら架台507にシャッタ502を載置する支軸510(下記参照)とに載置されている。一対の架台507は、柱部511(512、513、514、515)と梁部516(517、518)とから構成されている。また、柱部512、513の方が柱部514、515より高く、梁部516は水平方向から少し傾斜して配されている。シャッタ板505、506の架台507への載置には、それぞれ支軸510が用いられている。これら支軸510がシャッタ板505、506それぞれの長手方向端部519に係合されて梁部517、518上に載置され、シャッタ板505、506が架台507に載置される。
次に、上記したシャッタ502の遮断領域の拡大および縮小を以下に図10、図11を用いて説明する。
直動機構120によりシャッタ502を第2の位置119に配した際、図10に示すように、接触棒503によりシャッタ板505、506の一端が押上げられながらX2方向に回動し、シャッタ502の遮断領域が縮小する。そして、シャッタ502を第2の位置119から第1の位置118に配した際、シャッタ502は、接触棒503による押し上げから開放されてX1方向に回動され、W1方向にその遮断領域面である表面を向けて配されて、シャッタ502の遮断領域が拡大する。この時、2つのシャッタ板505、506は、互いに一部が重なり合って配される。これは、支軸510の高さが異なることに起因する。そして、2つのシャッタ板505、506の重なりにより、シャッタ502により基板Aの表面を隙間無く覆うことができ、その上、シャッタ板505、506の水平状態での釣り合いが保たれる。
上記したシャッタ装置501では、シャッタ502を第2の位置119に移動させる際、架台507の下降により、シャッタ502の一端を接触棒503と接触させて、シャッタ502をX1方向に回動させて大きく傾かせている。そのため、シャッタ502が大きく傾いたときに梁部516から支軸510が外れないよう、梁部516に支軸510の端部を係合させる構成とすることが望ましい。
なお、本実施例5にかかるシャッタ装置501では、柱部511の高さを異なるように設定することでシャッタ502の高さを異ならせているが、これに限定されるものではなく、例えば、梁部516を水平に設けて、シャッタ板505、506自体の高さを異ならせることにより、シャッタ板505、506に重なり部分を生じさせてもよい。
また、本実施例5では、シャッタ板505、506の枚数を2枚としたが、シャッタ502を第2の位置119に移動させた際、複数枚のシャッタ板においてそれぞれ重なり部分を生じさせれば、その枚数は限定されない。
また、上記したシャッタ502以外に本実施例5の効果を有するシャッタを設けたシャッタ装置があり、これら他の例にかかるシャッタ装置を図12、図13を用いて以下に説明する。
図12,図13に示すシャッタ装置521には、シャッタ522と、このシャッタ522を支持するロッド117と、ロッド117を延出もしくは縮小するよう駆動させてシャッタ522を第1の位置118と第2の位置119との間で移動させるための直動機構120と、が設けられている。
シャッタ522は、遮断領域面の形状が矩形に形成された4枚のシャッタ板523からなり、これらシャッタ板523は、図12、図13に示すように、遮断領域面がそれぞれ同一方向に同一の間隔をもって配されている。このシャッタ装置521には、ロッド117とシャッタ板523とを連結するために、4枚のシャッタ板523を連通する4本の可動棒524(525、526、527、528)と、これら可動棒524とロッド117とを係合させて、直動機構120の動作に応じてシャッタ522の遮断領域を可変させるカム部529とが設けられている。
カム部529は、その形状が楕円状に形成された4個からなり、水平面上にそれぞれ対向して配され、それぞれに対してはすば歯車530を介してロッド117が係合されている。
はすば歯車530は、図12(c)に示すように、基板Aに対して水平方向に回転軸を有する水平用はすば歯車531と、基板Aに対して垂直方向に回転軸を有する垂直用はすば歯車532と、が噛み合わされて構成される。このはすば歯車530により、カム部529が回動される。
可動棒525、527と可動棒526、528とは、図12、図13に示すように、それぞれ高さが異なり、高さの異なる可動棒525、527と可動棒526、528とが、それぞれ組み合わされている。1組として構成された可動棒525、527それぞれその両端部533、535が、カム部529の半径が長い直径端537近傍の位置であって、回転中心に対して互いに対象となる位置に係合されている。他の組の可動棒526、528についても同様であり、その説明を省略する。また、これら4本の可動棒524に、各シャッタ板523がそれぞれその各隅部538近傍の同一位置を連通して係合される。
次に、図12,図13に示すシャッタ522の遮断領域の拡大および縮小を、以下に説明する。
シャッタ522を第2の位置119に配する際、図12に示すように、カム部529は、その半径が短い直径方向を水平方向に向けて配される。シャッタ522を第1の位置118に移動させる際、カム部529は、直動機構120によるロッド117の駆動により、はすば歯車530を介してその半径の長い直径を水平方向に向けるように反時計回りに回動される。このカム部529の回動にともなってシャッタ板523が倒伏するように、可動棒524に対して垂直方向からX1方向に約85度回動され、W方向にシャッタ522の遮断領域が拡大される。この時、カム部529により、可動棒525、526と可動棒527、528とは、それぞれ逆向きに可動する。そして、第1の位置118に移動したシャッタ522では、4枚のシャッタ板523は、各シャッタ板523の可動棒524との係合位置がすべて各隅部538近傍であるので、互いに一部が重なり合って配され、シャッタ522により基板Aの表面を隙間無く覆うことができる。
また、図12に示すように、シャッタ522を第1の位置118から第2の位置119に移動させる際、カム部529は、直動機構120によるロッド117の駆動により、はすば歯車530を介してその半径の短い直径を水平方向に向けるようにX2方向に回動される。このカム部529の回動にともなってシャッタ板523が起上るように、可動棒524に対して垂直方向からX2方向に約85度回動され、シャッタ522の遮断領域が縮小される。
なお、シャッタ装置521では、シャッタ板523の枚数を4枚としたが、シャッタ522を第2の位置119に移動させた際、複数枚のシャッタ板においてそれぞれ重なり部分を生じさせれば、その枚数は限定されない。
また、シャッタ装置521では、カム部529によって可動棒524を可動させていたが、可動棒524を可動させるものであれば、これに限定されるものではない。例えば、カム部529にかわる他の形態を以下に図14を用いて示す。
図14に示すように、カム部529の代わりに、支柱(下方用支柱540と上方用支柱541)が設けられている。可動棒525、527の両端部533、535がロッド117を駆動させることにより、可動棒525、527が垂直方向に可動な下方用支柱540に係合されている。なお、この下方用支柱540は、水平方向には可動しない。また、上方用支柱541は、第1の柱部542と滑車543とから構成されている。可動棒526、528の両端534、536がワイヤ544に接続され、このワイヤ544が滑車543にかけられている。上方用支柱541は、直動機構120によって垂直方向に可動される。さらに、この上方用支柱541は、第1の位置118に配した際のワイヤ544によるシャッタ523の倒伏によって垂直方向および水平方向に可動される。
このように、支柱(下方用支柱540と上方用支柱541)および可動棒524により、シャッタ523の水平移動および垂直移動ができ、シャッタ523の遮断領域の拡大(第1の位置118)および縮小(第2の位置119)を行なうことができる。
実施例6にかかるMBE装置601は、図15,16に示すように、処理室602として逆向きの略釣鐘状の真空チャンバを有し、その中心軸603の軸方向が垂直方向に設定され、その側面下部604は、中心軸603に向けて漸次傾斜して形成されている。この処理室602には、中心軸603上であってその上部605に基板回転機構(図示省略)を備えた加熱ヒータ606が設けられ、加熱ヒータ606直下に、基板A(本発明でいう被処理物)が配されている。また、処理室側面下部604には、成膜物質607を充填した複数個のるつぼ608(本発明でいう成膜物質源)が、加熱ヒータ606から見て放射状に一定の間隔をもって配されている(図15では、るつぼ608は2個のみ示し、その他は省略)。このMBE装置601では、るつぼ608に成膜物質607を供給し、るつぼ608内で成膜物質607を加熱溶融して、そこから発生する分子線609を基板Aに照射することで、基板Aの表面A1(以下、基板表面という)に成膜物質607を成膜する。なお、本実施例6では、るつぼ608から基板Aへの分子線609を照射する経路を、るつぼ608に供給した成膜物質607を基板表面A1に付着させるためのるつぼ608から基板Aへの成膜物質607の移動経路とする。
また、このMBE装置601には、加熱ヒータ606と対向する処理室下部611に、処理室602内部を観察する観察窓612と、分子線609による基板Aへの成膜物質607の付着を遮断するシャッタ装置613とが設けられている。
観察窓612は、処理室602外部に設けられたビューポート614と、このビューポート614から処理室602内部方向に短く突出したパイプ部615とからなる。このパイプ部615には、ビューポート614から処理室602内部を観察するよう、その内部に観察孔(図示省略)が形成されている。なお、パイプ部615は、処理室下部611に位置する。
シャッタ装置613には、シャッタ616と、このシャッタ616を支持するロッド617と、このロッド617と同軸に配置されたパイプ618と、ロッド617を延出もしくは縮小するよう駆動させて、シャッタ616を移動経路610上に位置する第1の位置619(図15(b)参照)と移動経路610上以外の位置である第2の位置620(図15(a)参照)との間で移動させるための直動機構621(本発明でいう移動手段)と、パイプ618によりシャッタ616をその遮断領域を拡大する方向(W方向)に回動させるための真空回動導入機構(以下、回動導入機構622という)とが設けられている。
直動機構621は、処理室602外部に設けられ、ベローズ式真空導入機構を介してロッド617を処理室602の中心軸603方向に沿って駆動させる。この直動機構621により、処理室602内部の真空状態を維持しながらシャッタ616を移動させることができる。また、シャッタ616の移動範囲は、とりうる全ての位置において、シャッタ616直下にるつぼ608が配されないよう設定されている。なお、ここでいうシャッタ616直下とは、図16に示す斜線領域Dのことを示す。
回動導入機構622は、直動機構621とは独立した機構であり、処理室602外部に設けられ、回動機構(図示省略)を介して支持するパイプ618を処理室602の水平方向に駆動させる。この回動導入機構622により、処理室602内部の真空状態を維持しながらシャッタ板626をY3方向に回動させることができる。
シャッタ616は、図17に示すように、遮断領域面(表面)が円形に形成されたシャッタ板625と、遮断領域面(表面)が矩形に形成されたシャッタ板626とからなる。これらシャッタ板625,626はロッド617によって支持されてパイプ618を介して係合され、パイプ618を軸にしてX1,X2方向に回動可能とされる。シャッタ板625には開口部627が形成され、シャッタ板625の開口部627真下にはビューポート614が設けられている。また、シャッタ板626の各角部は、円孤状に形成されている。シャッタ板626が回動導入機構622によりX1方向に回動され、このX1方向への回動によりシャッタ板626(具体的にはシャッタ板626の自由端)がシャッタ板625の開口部627を塞ぐようにW方向に変位する。このシャッタ板626のW方向への変位によりシャッタ616の遮断領域が拡大される。また、拡大されたシャッタ616の遮断領域(シャッタ616の表面の面積)は、基板表面A1の面積より大きくなるよう設計されている。
上記したシャッタ616の遮断領域の拡大および縮小を、図15、図17を用いて以下に説明する。
基板Aへの成膜時には、図15(a)、図17(a)に示すように、シャッタ616を成膜処理の障害とならないように基板表面A1から離れた位置、この場合、移動経路610上以外の位置である処理室下部611に配する(第2の位置620)。この時、シャッタ板626は、シャッタ板625の開口部627を開けた状態で配され、シャッタ616の遮断領域の面積は縮小した状態となる。この縮小により、観察窓612のビューポート614からシャッタ板625の開口部627を通して基板Aの一部が見え、成膜工程時の基板Aの状態を処理室下部111の観察窓612から観察できる状態となる。
そして、成膜物質607の基板Aへの付着を防止したい場合は、図15(b)、図17(b)に示すように、図15(a)に示す状態のシャッタ616を、ロッド617を介して直動機構621により基板表面A1に近づく方向に移動させて、移動経路610上に配する(第1の位置619)。この時、シャッタ板625、626を、ロッド617を介して直動機構621により第1の位置619に移動させるとともに、シャッタ板626をパイプ618を介して回動導入機構622によりパイプ618を軸にしてX1方向に回動させて、シャッタ板625の開口部627が塞がれシャッタ616の遮断領域の面積がW方向に拡大する。なお、シャッタ板625は、ロッド617によってのみ支持されているため、回動しない。そして、遮断領域の面積が拡大したシャッタ616により分子線609を遮断して基板Aへの成膜物質607の付着を防止し、基板表面A1を保護する。この図15(b)に示す状態のシャッタ616によれば、基板Aの全てが観察窓612から観察できない。
上記したように、このMBE装置601によれば、シャッタ装置613のシャッタ616、るつぼ608、および基板Aが処理室602内に設けられているので、良好な視野や計測状態を得られる位置から基板Aを観察することと、シャッタ616の表面に付着した成膜物質607の落下によるるつぼ608の汚染を防ぐこととを、同時に満足することができる。
また、本実施例6にかかるシャッタ装置613によれば、シャッタ616の表面623に付着した成膜物質607の落下によるるつぼ608の汚染を防ぎながら、シャッタ616を第1の位置619に配した際、基板Aへの成膜物質607の付着を遮断するとともに、シャッタ616を第2の位置620に配した際、第1の位置619に配したシャッタ616と比較して、シャッタ板626をX2方向に回動してシャッタ板625の開口部627を開放して遮断領域を縮小し、この縮小により開口された開口部627を通して観察窓612から基板Aへの成膜物質607の処理工程時の状態を観察することができる。
なお、本実施例6にかかるシャッタ装置613では、シャッタ616が2枚のシャッタ板625、626からなっているが、複数枚のシャッタ板がパイプ618を介して係合されるとともに、パイプ618を軸にして回動可能とされていれば、シャッタ板の枚数は限定されない。
また、本実施例6では、回動導入機構622によりパイプ618を軸にして回動可能なパイプ618にシャッタ板626が支持され、ロッド617にシャッタ板625、626が支持されているが、これに限定されるものではなく、シャッタ616の遮断領域を拡大することが可能であれば、例えば、回動可能なロッド617にシャッタ板626が支持され、パイプ618にシャッタ板625、626が支持されて、ロッド617を軸にして回動させることによりシャッタ板626を回動させる構成からなってもよい。この場合、シャッタ板625、626の位置関係は、本実施例6とは反対になる。
また、観察窓612のパイプ部615の先端に、例えば、パイプ部用シャッタ(図示省略)を設けてもよい。この場合、シャッタ616に付着した成膜物質607の落下などによる観察窓612から処理室602内部への視界の妨げを防止するのに好ましい。
また、本実施例6では、シャッタ板625、626の遮断領域面の形状がそれぞれ円形、矩形に形成されているが、これに限定されるものではなく、シャッタ616の遮断領域を可変させることができれば、例えば、図18に示すように、シャッタ板628、629両方ともその遮断領域面が円形に形成されてもよい。
また、本実施例6では、シャッタ板625の開口部627が1つだけ形成されているが、これに限定されるものではなく、開口部が複数個形成されていてもよく、例えば、図19に示すように、シャッタ板630の開口部631が4つ形成されていてもよい。
次に、本実施例6とは異なる実施例を以下に示す。
本実施例7にかかるMBE装置は、上記した実施例6にかかるMBE装置601と、シャッタの遮断領域を拡大する点で異なるだけで他の構成は同一の構成からなる。そのため、この実施例7では、この異なるシャッタの遮断領域を拡大する点について説明し、同一の構成については、同一の符号を付し、その説明を省略する。また、実施例6とは異なる作用効果について説明し、同一の作用効果についてはその説明を省略する。
シャッタ装置701には、図20に示すように、シャッタ702と、ロッド617と、パイプ618と、直動機構621と、ロッド617を駆動させてシャッタ702をロッド617を軸にしてX1、X2方向に回動させるための回動導入機構622(本発明でいう回動手段)とが設けられている。
シャッタ702は、ロッド617から放射線状に配された複数個の骨部703と、隣接する骨部703間を被膜するカバー704とからなる。なお、骨部703は、本発明でいうシャッタ板に相当する。直動機構621によりシャッタ702が第1の位置619に配された際、回動導入機構622によりその一端705がロッド617を軸にしてX1方向に回動されてシャッタ702の遮断領域が拡大されて、一端705が他端706と係合される。なお、シャッタ702の遮断領域の面積が最大となるとき、その形状は、図20(b)に示すように、その遮断領域面が円形状に形成される。また、シャッタ702の遮断領域の面積が最小となるとき、その形状は、図20(a)に示すように、その遮断領域面が半円形状に形成される。
上記したシャッタ702の遮断領域の拡大および縮小を、図20を用いて以下に説明する。
シャッタ702を第2の位置620に配した際、図20(a)に示すように、シャッタ702の遮断領域面が半円形に形成され、シャッタ702の遮断領域の面積が縮小される。そのため、シャッタ702を配していない半円部分が開口707として形成され、観察窓612のビューポート614から開口707を通して基板Aの一部が見え、基板Aの一部が観察窓612から観察できる状態となる。
そして、シャッタ702を第2の位置620から第1の位置619に移動させると、図20(b)に示すように、シャッタ702を、ロッド617を介して直動機構621により第1の位置619に移動させるとともに、シャッタ702を回動導入機構622によりロッド617を回転させることによりロッド617を軸にしてX1方向に回動させる。このシャッタの回動により開口707が塞がれて(シャッタ702の遮断領域面が円形形状に形成され)、その遮断領域が拡大される。
上記したように、本実施例7にかかるシャッタ装置701によれば、上記した実施例6と同様の作用効果を有するだけでなく、シャッタ702を第1の位置619に配した際、骨部703およびカバー704によって基板Aへの成膜物質607の付着を確実に遮断することができるとともに、シャッタ702を第2の位置620に配した際、第1の位置619に配したシャッタ702と比較して、回動導入機構622により骨部703およびカバー704をX2方向に回動して骨部703およびカバー704による遮断領域を縮小し、この縮小により形成された開口707から基板Aへの成膜物質607の処理工程を観察することができる。
なお、本実施例7では、シャッタ702の一端705を回動可能としたが、これに限定されるものではなく、シャッタ702の遮断領域の拡大と縮小を行なうことができれば、シャッタ702の他端706または、シャッタ702の両端705、706を回動可能としてもよい。
本実施例8にかかるMBE装置は、上記した実施例6にかかるMBE装置601と、シャッタの遮断領域を拡大する点で異なるだけで他の構成は同一の構成からなる。そのため、この実施例8では、この異なるシャッタの遮断領域を拡大する点について説明し、同一の構成については、同一の符号を付し、その説明を省略する。また、本実施例8の効果は、上記した実施例6と同様であるため、その説明を省略する。
シャッタ装置801には、シャッタ802と、ロッド617と、直動機構621と、ロッド617を駆動させて下記する移動手段を介してシャッタ802をその遮断領域を拡大する方向(W方向)および縮小する方向に移動させるための回動導入機構622(本発明でいう回動手段)とが設けられている。
シャッタ802には、図21に示すように、遮断領域面が窪み部803を有する凹状の矩形に形成されたシャッタ板804と、シャッタ板804の窪み部803を覆う大きさに成形され遮断領域面が矩形に形成されたシャッタ板805と、回動導入機構622によりその遮断領域を拡大する方向(W方向)および縮小する方向にシャッタ板805を移動させる移動手段とが設けられている。
移動手段は、ラック&ピニオンの機構からなり、このラック&ピニオンの機構は、ロッド617に取り付けられた歯車806と、この歯車806に噛み合うラック807と、シャッタ板805をバネ方向に付勢するバネ808とから構成されている。歯車806とラック807とは、シャッタ板804上に設けられ、ラック807は、シャッタ板805の一端部809に係合されている。また、バネ808の一端部810がシャッタ板804に取り付けられ、他端部811がシャッタ板805に取り付けられている。
このシャッタ装置801では、直動機構621によりシャッタ802を第1の位置619に配した際、ラック&ピニオンの機構からなる移動手段により、シャッタ板805が、シャッタ板804の窪み部803を覆うようにシャッタ板804の遮断領域面上を移動する。
上記したシャッタ802の遮断領域の遮断領域の拡大および縮小を、図21を用いて以下に説明する。
シャッタ802を第2の位置620に配した際、図21(a)に示すように、シャッタ板804の窪み部803を開けた状態でシャッタ板805が配され、シャッタ802の遮断領域の面積が縮小される。そのため、観察窓612のビューポート614からシャッタ板804の窪み部803を通して基板Aの一部が見え、基板Aの一部が観察窓612から観察できる状態となる。なお、シャッタ802を第2の位置620に配した際、バネ808は、図21(a)に示すように、引き伸ばされている。そのため、バネ808には、もとの長さに戻ろうとする方向に付勢力が生じている。
そして、シャッタ802を第2の位置620から第1の位置619に移動させる場合、図21(b)に示すように、シャッタ板804、805を、ロッド617を介して直動機構621により第1の位置619に移動させる。このとき、回動導入機構622によりロッド617をX1方向に回動させて、この回動により歯車806を回動させる。この歯車806の回動により、歯車806と噛み合っているラック807は、シャッタ802の遮断領域を拡大する方向(W方向)に移動する。このラック807の移動方向は、引き伸ばされたバネ808をもとの長さに戻そうとする付勢力の方向である。そして、シャッタ板805が、バネ808の付勢力の方向に移動して、シャッタ板804の窪み部803が塞がれて、シャッタ802の遮断領域の面積が拡大される。そのため、基板Aの全てが基板Aの対向側に配された観察窓612から観察できない状態となる。なお、シャッタ802を第1の位置619から第2の位置620に移動させる場合、ロッド617をX2方向に回動させて、この回動により歯車806を回動させ、この歯車806の回動によりラック807がシャッタ802の遮断領域を縮小する方向に移動する。
上記したように、本実施例8にかかるシャッタ装置801によれば、上記した実施例6と同様の作用効果を有するだけでなく、シャッタ802を第1の位置619に配した際、シャッタ板804,805によって基板Aへの成膜物質607の付着を確実に遮断することができるとともに、シャッタ802を第2の位置620に配した際、第1の位置619に配したシャッタ802と比較して、回動導入機構622によりシャッタ板804,805をX2方向に回動してシャッタ板804,805による遮断領域を縮小し、この縮小により開口した窪み部803から基板Aへの成膜物質607の処理工程を観察することができる。
なお、本実施例8では、バネ808の付勢力の方向がシャッタ802の遮断領域を拡大する方向(W方向)であるが、これに限定されるものではなく、シャッタ802の遮断領域を縮小する方向に付勢力が生じてもよい。この場合、バネ808の一端部810がシャッタ板805に取り付けられ、他端部811がシャッタ板804に取り付けられる。
また、シャッタ装置801の種類によってはバネ808を用いずに、永久磁石や電磁石を用いて、窪み部803の開閉を行なってもよい。
また、このシャッタ802では、図21に示すラック&ピニオンの機構の移動手段を設けたが、これに限定されるものではなく、例えば、図22に示すようなラック&ピニオンの機構の移動手段を設けたシャッタであってもよい。
この図22に示すシャッタ812には、遮断領域面に開口部813が形成された矩形のシャッタ板814と、このシャッタ板814の開口部813を覆う大きさの遮断領域面が矩形に形成されたシャッタ板815と、回動導入機構622によりシャッタ812の遮断領域を拡大する方向(W方向)および縮小する方向にシャッタ板815を移動させる移動手段とが設けられている。
シャッタ板815は、図22(c)に示すように、その遮断領域面を拡大する方向(W方向)に折り畳み可能となっており、W方向と直交する方向に折曲線が設定されている。また、軸Bにおいて、シャッタ板815とシャッタ板814とが係合されている。
移動手段は、ラック&ピニオンの機構からなり、このラック&ピニオンの機構は、ロッド617に取り付けられた第1の歯車816と、この第1の歯車816と噛み合った第2の歯車817と、第1の歯車816に噛み合う第1のラック818と、第2の歯車817に噛み合う第2のラック819と、から構成されている。第1および第2の歯車816、817と、第1および第2のラック818、819とは、それぞれシャッタ板814上に設けられ、第1および第2のラック818、819は、それぞれシャッタ板815の一端部820の両角部821、822に係合されている。
このシャッタ装置801では、シャッタ812を第1の位置619に配した際、図22(b)に示すように、シャッタ板815がシャッタ板814の開口部813を覆うように、移動手段によりシャッタ板815がW方向に広げられ、その遮断領域面が拡大される。また、シャッタ812を第2の位置620に配した際、図22(a)に示すように、移動手段によりシャッタ板815がシャッタ板814の開口部813を開く方向にシャッタ板815が折り畳み、その遮断領域面が縮小される。
本実施例9にかかるMBE装置は、上記した実施例6にかかるMBE装置601と、シャッタの遮断領域を拡大する点で異なるだけで他の構成は同一の構成からなる。そのため、この実施例9では、この異なるシャッタの遮断領域を拡大する点について説明し、同一の構成については、同一の符号を付し、その説明を省略する。また、実施例6とは異なる作用効果について説明し、同一の作用効果についてはその説明を省略する。
シャッタ装置901には、図23、図24、図25に示すように、2枚のシャッタ板902、903からなるシャッタ904と、ロッド617と、直動機構621とが設けられている。
シャッタ板902は、中央部905が湾曲されてその両側面906が湾曲形成された曲壁907と、この曲壁907の両側面906から立ち上げ形成された側壁908とから構成されている。側壁908の先端909は、曲壁907と同一方向に沿ってそれぞれ他の側壁908の向きに折り曲げ形成され、シャッタ板903(下記参照)の移動をガイドするガイド溝とされている。そのため、シャッタ板902の中央部905は、その一面910を開放とされた中空状態となる。シャッタ板903は可撓性と張りを併せ持ち、その遮断領域面が五角形から形成されている。この五角形は、一対の平行な辺911と、これら辺911の一端が直角に形成された二つの角部912とから構成されている。また、一対の平行な辺911間の幅は、シャッタ板902の側壁908間の幅に対応させて寸法設計され、直角に形成された二つの角部912と対向する角部(以下、係合角部913という)にロッド617が係合されている。また、シャッタ板903は、直動機構621によりシャッタ904が第1の位置619に配された際、その係合角部913が直動機構621によりシャッタ板902の曲壁907の他端部914から押上げられて、シャッタ板902の側壁908に沿って移動する。そのため、係合角部913と対向する先端辺915が曲壁907の一端部(突出端部)916からW方向に突出されて遮断領域が拡大される。
上記したシャッタ904の遮断領域の拡大および縮小を、図23、図24、図25を用いて以下に説明する。
シャッタ904を第2の位置620に配した際、シャッタ板903の先端辺915がシャッタ板902の中央部905に配されて(図示省略)、シャッタ904の遮断領域の面積が縮小される。そのため、観察窓612のビューポート614からシャッタ板903の先端辺915の前方の空間を通して基板Aの一部が見え、基板Aの一部が基板Aの対向側に配された観察窓612から観察できる状態となる(図23参照)。
そして、シャッタ904を第2の位置620から第1の位置619に移動させる場合、シャッタ板902、903を、ロッド617を介して直動機構621により第1の位置619に移動させる。このとき、シャッタ板903が直動機構621によりシャッタ板902の曲壁907の他端部916から押上げられて、シャッタ板903がシャッタ板902の側壁908に沿って移動する。そして、図24に示すように、シャッタ板903の先端辺915が曲壁907の一端部916からW方向に突出されて、シャッタ904の遮断領域の面積が拡大される。この時のシャッタ板903の移動は、その係合角部913が形成された下部917側では基板Aに対して垂直な方向に移動し、上部918側では基板Aに対して水平な方向に移動する。このシャッタ板903の移動により、基板Aの全てが基板Aの対向側に配された観察窓612から観察できない状態となる。
上記したように、このシャッタ装置901によれば、上記した実施例6と同様の作用効果を有するだけでなく、シャッタ904を第1の位置619に配した際、シャッタ板903をシャッタ板902からW方向に突出させるので、シャッタ板902,903によって基板Aへの成膜物質607の付着を確実に遮断することができるとともに、シャッタ904を第2の位置620に配した際、シャッタ板903が突出されないので、この突出されない部分だけ遮断領域が縮小され、この縮小により開口された部分から基板Aへの成膜物質607の処理工程を観察することができる。
また、シャッタ板903は、適度な可撓性と張りを併せ持つので、シャッタ板902の一端部916から突出しても、その先端辺915が垂れることがなく、シャッタ904の遮断領域の面積を拡大することができる。
なお、本実施例9では、2枚のシャッタ板902、903からなるが、これに限定されるものではなく、少なくとも1つのシャッタ板からその他のシャッタ板が突出可能に構成されていれば、その枚数は任意に設定してもよい。
また、本実施例9は、上記したシャッタ904の構成に限定されるものではなく、例えば、図26、図27に示す構成からなってもよい。
この図26、図27に示すシャッタ919の構成は、3枚のシャッタ板920、921、922からなる。シャッタ板920、921、922の中央部923がそれぞれ湾曲され、シャッタ板920、922によりシャッタ板921が挟持されている。また、シャッタ板920、922と、シャッタ板921との挟持面には、シャッタ板921のW方向への突出を容易にするためにコロ軸受924が設けられている。シャッタ919によれば、上記した図23、図24、図25に示すシャッタ904と比べて、シャッタ板921の突出移動に際生じる抵抗が少なく、シャッタ板921の移動が容易になる。なお、このシャッタ915では、シャッタ板920、922とシャッタ板921との挟持面にコロ軸受924を設けたが、これに限定されるものではなく、シャッタ板921の両面にキャスターを取り付けてもよい。
本実施例10にかかるMBE装置は、上記した実施例6にかかるMBE装置601と、シャッタと基板の配置の点と、シャッタの遮断領域を拡大する点で異なるだけで他の構成は同一の構成からなる。そのため、この実施例9では、この異なるシャッタと基板の配置の点と、シャッタの遮断領域を拡大する点について説明し、同一の構成については、同一の符号を付し、その説明を省略する。また、実施例6とは異なる作用効果について説明し、同一の作用効果についてはその説明を省略する。
本実施例10では、上記した各実施例と異なり、処理室602内の各構成(シャッタ装置を除く)の配置が、上下方向逆になっている。すなわち、図28に示すように、基板Aは、処理室下部611にその表面を上向きに向けて配されている。また、処理室602の内部を観察する観察窓612は、基板Aと対向する処理室上部605に設けられている。さらに、シャッタ1002は、上記した各実施例と異なり、基板Aの対向側に設けずに、基板A側に設けられている。
シャッタ装置1001には、シャッタ1002と、ロッド617と直動機構621とが設けられている。
シャッタ1002は、図28に示すように、2本の板状体1003、1004からなる。板状体1003、1004は同一構成からなり、次に板状体1003を例にして板状体の説明を行い、板状体1004についての説明を省略する。板状体1003は、支柱1005と、この支柱1005の先端に設けられた形状記憶合金部1006(変形部)と、この形状記憶合金部1006の先端に設けられたシャッタ板1007と、から構成されている。形状記憶合金部1006には、形状記憶合金部1006の温度を変化させることができるヒータなどの変温部1008が設けられている。この変温部1008は、電線1009を用い支柱1005を通して、変温機構(図示省略)に接続されている。この変温機構により、電線1009を介して変温部1008に電流を供給して形状記憶合金部1006の加熱を行う。なお、板状体1003は、第2の位置620に配した時、基板Aの近傍に基板Aと垂直な方向に向けて配されている。
このシャッタ装置1001では、直動機構621によりシャッタ1002が第1の位置619に配された際、変温部1008により形状記憶合金部1006の温度が変化されて形状記憶合金部1006の形状が遮断領域を拡大する方向(W方向)に可変される。
次に、シャッタ1002の遮断領域の拡大および縮小を、図28を用いて説明する。
シャッタ1002を第2の位置620に配した時、図28(a)に示すように、板状体1003、1004は基板Aに対して垂直方向に向き、それぞれのシャッタ板1007、形状記憶合金部1006、支柱1005は基板Aより下方に位置する。そのため、観察窓612のビューポート614から基板Aが見え、基板Aが観察窓612から観察できる状態となる。
第2の位置620から第1の位置619にシャッタ1002を移動させると、図28(b)に示すように、板状体1003が、ロッド617を介して直動機構621により上方に移動する。そして、予め定めた位置まで移動した板状体1003では、変温部1008により形状記憶合金部1006の温度が上昇して、図28(c)に示すように、形状記憶合金部1006の形状が板状体1004側に基板Aと平行な向き(W方向)に折れ曲がる。その後、板状体1004が、図28(d)に示すように、ロッド617を介して直動機構621により上方に移動する。そして、予め定めた位置まで移動した板状体1004では、変温部1008により形状記憶合金部1006の温度が上昇して、図28(e)に示すように、形状記憶合金部1006の形状が板状体1003側に基板Aと平行な向き(W方向)に折れ曲がり、2つの板状体1003、1004が基板Aの上空で重なり、シャッタ1002の遮断領域が拡大される。この図28に示す第1の位置619に配されたシャッタ1002により、基板Aの全てが観察窓612から観察できない状態となる。なお、シャッタ1002を第1の位置619から第2の位置620に移動(配置)させるには、形状記憶合金部1006に対して接触機構(図示省略)によりメカニカルな接触を行なって板状体1003、1004を可変前の図28(a)に示すようなまっすぐな状態にする。
上記したように、このシャッタ装置1001によれば、上記した実施例6と同様の作用効果を有するだけでなく、シャッタ1002を第1の位置619に配した際、2つの板状体1003、1004を基板Aの上空で重ねてシャッタ1002の遮断領域が拡大するので、シャッタ板1003,1004によって基板Aへの成膜物質607の付着を確実に遮断することができるとともに、シャッタ904を第2の位置620に配した際、シャッタ板1003,1004によるシャッタ1002の遮断領域は、第1の位置におけるシャッタ1002の遮断領域と比べると縮小し(具体的にはシャッタ1002の遮断領域が存在せず)、観察窓612から基板Aへの成膜物質607の処理工程を観察することができる。
また、このシャッタ装置1001は、形状記憶合金部1006の変温部1008での形状変化温度の制約(設定)に合わせた温度範囲で使用されるMBE装置601に用いることが好ましい。
なお、本実施例10にかかる各構成の配置は、これに限定されるものではなく、重力の積極的利用が必要ないため、上記した各実施例の各構成の配置と同様の配置を採用してもよい。この時、シャッタ1002と基板Aとの配置関係は、本実施例10とは上下逆になる。
また、本実施例10では、2本の板状体1003、1004を用いたが、これに限定されるものではなく、シャッタ1002の遮断領域を拡大することができれば、その本数は限定されない。
また、シャッタ1002の第2の位置620から第1の位置619への移動工程について、板状体1003、1004を一つずつ移動させているが、これに限定されるものではなく、同時に移動させてもよい。
また、変温部1008は、電線1009を用いて変温機構に接続されているが、これに限定されるものではなく、例えば、熱線などを用いてこの熱線による照射などによって間接的に形状記憶合金部の変温を行なってもよい。
また、本実施例10では、形状記憶合金部1006を用いたが、これに限定されるものではなく、例えば、図29に示すように、変形部に形状記憶合金部1006を用いずに熱膨張係数の大きい素材のシャッタを用いてもよい。図29に示すシャッタ1010は、1本の板状体1011からなり、この板状体1011は、9つの部材(1012、1013、1014、1015、1016、1017、1018、1019、1020)からなる。シャッタ1010の先端部材1012にはシャッタ板1021が用いられ、その基部材に支柱1022が用いられ、その他の部材に熱膨張係数の大きい変形部と断熱材とからなる熱変形部1023(1013、1014、1015、1016、1017、1018、1019)が用いられている。熱変形部1023では、熱膨張係数の大きい変形部材を、図29(a)に示す基板Aから見て熱変形部1023の外側面1024と内側面1025に用い、その間に断熱材1026を用いている。また、熱変形部1023には、温度を変化させることによってそれぞれの熱変形部1023の形状が可変する変温部1027が設けられている。変温部1027は、ヒーター(図示省略)などの加熱手段とペルチェ素子などの冷却手段(図示省略)とから構成され、電線1028を介して変温機構(図示省略)から電流が変温部1027に供給されて熱変形部1023の加熱や冷却を行う。また、すべての変温部1027は、電線1028によって連結されている。
このシャッタ装置1001では、直動機構621によりシャッタ1010を第1の位置619に配した際、加熱手段や冷却手段によって変温部1027の温度が可変し、熱変形部1023の形状が遮断領域を拡大する方向(W方向)および縮小する方向に可変される。
次に、シャッタ1010の遮断領域の拡大および縮小を、図29を用いて説明する。
シャッタ1010を第2の位置620に配した時、図29(a)に示すように、板状体1011は基板に対して垂直方向に向き、シャッタ板1012、熱変形部1023、支柱1020は基板Aより下方に位置する。そのため、観察窓612のビューポート614から基板Aが見え、基板Aが観察窓612から観察できる状態となる。
そして、シャッタ1010を第2の位置620から第1の位置619に移動させると、図29(b)に示すように、ロッド617を介して直動機構621により板状体1011をその上方に移動する。板状体1011を上方に移動した後、図29(c)に示すように、熱変形部1013において、変温部1027より熱変形部1013の外側面1024を加熱手段により加熱し、その内側面1025を冷却手段により冷却することにより、熱変形部1013の形状を基板A側方向(W方向)に基板Aと平行な向きに折り曲げる。熱変形部1013での折り曲げを終えると、図29(d)に示すように、ロッド617を介して直動機構621により板状体1011をその上方に移動する。板状体1011を移動した後、図29(e)〜図29(i)に示すように、熱変形部1014、1015、1016、1017、1018、1019について順に上記した熱変形部1013と同様の工程を行い、シャッタ1010を図29(i)に示す第1の位置619に配する。図29(i)に示すように、シャッタ1010により基板Aの表面A1が観察窓から観察できない状態となる。なお、シャッタ1010を第1の位置619から第2の位置620に移動させるには、上記したシャッタ1010を第1の位置619から第2の位置620に移動させた工程と逆の工程を行なう。
このように図29に示すシャッタ1010によれば、熱変形部1024が7個から構成され、変温部1027による変形を各熱変形部1024毎に行なっているので、シャッタ1010が基板Aから離れることはない。そのため、基板Aとその対向する処理室602の筐体面までの距離が短い場合であっても、基板表面A1の処理を有効に行なうことができる。
なお、シャッタ1010を図29(a)に示す第2の位置620に配する時、図30に示すように、上記したシャッタ1010の移動工程と同様の工程を行ない変温部1027による熱変形部1024の折曲と伸展を繰り返して基板Aの裏面に配してもよい。この場合、基板Aとその裏面側の処理室602の筐体面までの距離が短い場合でもあっても、本発明にかかるシャッタ装置1001を用いることができる。
なお、上記した各実施例以外であっても、リンク、クランク、ピストンなど各種の機構やその組合せを利用して、磁力、電力、重力、ロッドの回転、ロッドの上下動などによるシャッタの移動手段により、シャッタを、被処理物に対して平行な軸を中心する回転させたり、被処理物に対して平行な平面方向での回転や平行移動させたり、被処理物に垂直な方向以外での方向に移動させたりして、シャッタの遮断領域を拡大させ、被処理物への成膜物質の付着を遮断する面積を変化させることもできる。
また、発明の実施例の冒頭で述べたように、シャッタ装置は、処理室の環境に応じて、その他の表面処理装置へ適用することができる。例えば、水平に載置された被処理物に対して、処理室の一方の側方から他方の側方への方向へ成膜物質を移動させる表面処理装置にも適用できる。
また、プラズマを用いた種々の表面処理装置の中には、プラズマ発生を停止した後に、再度プラズマを発生させると初期の不安定な状態にさらされ、処理室の一部が損傷する装置があるが、このような装置においても本発明は好適である。
なお、上記した各実施例に示すMBE装置などの製造装置を用いて、被処理物の表面に成膜物質を付着させる成膜処理を行なう場合と、被処理物の除去処理(例えば、エッチング処理)、改質処理(例えば、親水性付与処理)などを行なう場合とを比較すると、成膜物質源(るつぼ)の汚染による被害が他の処理よりも甚大である。これは、除去処理では、被処理物の表面の除去が目的であり、改質処理では、被処理物の表面の物性の評価が目的であるのに対し、成膜処理では、被処理物の表面に膜を形成することが目的であることに関係する。すなわち、成膜処理では、成膜物質源の汚染により、この成膜物質源に供給する成膜物質も汚染され、その結果、被処理物に形成する膜には、汚染された物質が内包される。そのため、被処理物の表面の物性から汚染された膜であるか否かを調べることが難しい。また、成膜処理では、被処理物への膜の形成後でしか膜の検査を行なうことができない。従って、本発明は、成膜処理に用いることが最も好ましい。
本発明は、基板やウェハなどの被処理物の成膜工程、除去工程、反応工程などの処理工程を行なう装置に適用できる。特に、真空下で用いられるシャッタ装置および表面処理装置に有用である。
101、601 MBE装置(表面処理装置)
102、602 処理室(真空チャンバ)
107、607 成膜物質
108、608 るつぼ(成膜物質源)
110、610 移動経路
112、612 観察窓
113、613 シャッタ装置
116、616 シャッタ
117、617 ロッド
118、619 第1の位置
619、620 第2の位置
120、621 移動手段(直動機構)
122、123、625、626 シャッタ板
405 シャッタ板
406 シャッタ板の一端部
627 シャッタ板の開口部
705 シャッタの一端
706 シャッタの他端
1006 形状記憶合金部(変形部)
1008 変温部(変温手段)
1023 熱変形部(変形部)
A 被処理物(基板)
102、602 処理室(真空チャンバ)
107、607 成膜物質
108、608 るつぼ(成膜物質源)
110、610 移動経路
112、612 観察窓
113、613 シャッタ装置
116、616 シャッタ
117、617 ロッド
118、619 第1の位置
619、620 第2の位置
120、621 移動手段(直動機構)
122、123、625、626 シャッタ板
405 シャッタ板
406 シャッタ板の一端部
627 シャッタ板の開口部
705 シャッタの一端
706 シャッタの他端
1006 形状記憶合金部(変形部)
1008 変温部(変温手段)
1023 熱変形部(変形部)
A 被処理物(基板)
Claims (9)
- 成膜物質源に供給した成膜物質を被処理物表面に付着させるための成膜物質源から被処理物への成膜物質の移動経路上にシャッタが配され、このシャッタにより被処理物への成膜物質の付着を遮断するシャッタ装置であって、
前記シャッタを、前記移動経路上に位置する第1の位置と、前記移動経路上以外の位置である第2の位置とに配するように、前記シャッタを前記第1の位置と前記第2の位置との間で移動させる移動手段が、設けられ、
前記移動手段による前記シャッタの移動の際、前記シャッタ直下に成膜物質源が配されないよう前記シャッタの移動範囲が設定され、
前記移動手段により前記シャッタが前記第1の位置に配された際、被処理物への成膜物質の付着を遮断する前記シャッタによる遮断領域が拡大されたことを特徴とするシャッタ装置。 - 請求項1に記載のシャッタ装置において、
前記シャッタが複数枚のシャッタ板からなり、
前記移動手段により前記シャッタが前記第1の位置に配された際、少なくとも1枚の前記シャッタ板が前記シャッタの遮断領域が拡大する方向に変位することを特徴とするシャッタ装置。 - 請求項2に記載のシャッタ装置において、
前記複数枚のシャッタ板が予め設定した軸を介して係合されるとともにこの軸を中心にして回動可能とされ、
前記移動手段により前記シャッタが前記第1の位置に配された際、前記少なくとも1枚のシャッタ板が前記シャッタの遮断領域を拡大する方向に回動されることを特徴とするシャッタ装置。 - 請求項2または3に記載のシャッタ装置において、
前記少なくとも1枚の前記シャッタ板は、前記遮断領域を拡大する方向に付勢されたことを特徴とするシャッタ装置。 - 請求項2に記載のシャッタ装置において、
前記少なくとも1つのシャッタ板に開口部が形成され、
前記移動手段により前記シャッタが前記第1の位置に配された際、前記開口部が形成されていないその他の前記シャッタ板により前記開口部が塞がれたことを特徴とするシャッタ装置。 - 請求項2に記載のシャッタ装置において、
前記シャッタの中心部にロッドが係合されるとともに、前記シャッタに前記ロッドを軸として回動する回動手段が設けられ、
前記移動手段により前記シャッタが前記第1の位置に配された際、前記回動手段により前記シャッタの一端と他端との少なくとも一方が前記遮断領域を拡大する方向に回動されて前記シャッタの一端と他端とが係合されることを特徴とするシャッタ装置。 - 請求項2に記載のシャッタ装置において、
前記移動手段により前記シャッタが前記第1の位置に配された際、少なくとも1つの前記シャッタ板が、その他の前記シャッタ板の一端から前記遮断領域を拡大する方向に突出することを特徴とするシャッタ装置。 - 請求項1乃至7のいずれかに記載の前記シャッタ、前記成膜物質源、および前記被処理物が真空チャンバ内に設けられたことを特徴とする表面処理装置。
- 請求項8に記載の表面処理装置において、
前記真空チャンバ内部を観察する観察窓が前記第2の位置近傍に設けられ、
前記シャッタが前記第2の位置に配された際、前記シャッタが前記観察窓に接触して前記遮断領域が縮小されることを特徴とする表面処理装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006130652A JP2007302924A (ja) | 2006-05-09 | 2006-05-09 | シャッタ装置および表面処理装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2006130652A JP2007302924A (ja) | 2006-05-09 | 2006-05-09 | シャッタ装置および表面処理装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2007302924A true JP2007302924A (ja) | 2007-11-22 |
Family
ID=38837101
Family Applications (1)
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JP2006130652A Pending JP2007302924A (ja) | 2006-05-09 | 2006-05-09 | シャッタ装置および表面処理装置 |
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JP (1) | JP2007302924A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009256705A (ja) * | 2008-04-15 | 2009-11-05 | Hitachi Zosen Corp | 真空蒸着装置 |
EP2217737A1 (en) * | 2007-12-12 | 2010-08-18 | Sandvik Intellectual Property AB | A shutter system |
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CN112921279A (zh) * | 2021-04-07 | 2021-06-08 | 深圳市三束镀膜技术有限公司 | 一种封闭式挡板结构 |
-
2006
- 2006-05-09 JP JP2006130652A patent/JP2007302924A/ja active Pending
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