JP2007302590A - 有害生物防除剤の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】キトサンを金属塩と反応させて調製されるキトサンの金属錯塩を有効に利用することができて有害生物に対する防除効果が高い有害生物防除剤を、少ない費用やエネルギーで製造することができる有害生物防除剤の製造方法を提供する。
【解決手段】銅、亜鉛、銀、鉄、モリブデンから選ばれる金属の塩の水溶液中でキトサンを金属塩と反応させて、この水溶液中でキトサンと金属との錯塩を調製する。そして、この水溶液にアルカリを添加して中和した後、さらにこの水溶液に揮発性の弱酸を添加してキトサンの金属錯塩をこの水溶液中に溶解させることによって、有害生物防除剤を得る。
【選択図】 なし

Description

本発明は、各種有害生物に対して忌避、防虫、殺虫などの防除効果を有する有害生物防除剤の製造方法に関するものである。
防虫、殺虫などの防除効果を有する木材保存剤として、キトサンの金属錯塩が知られている(特許文献1参照)。このキトサンの金属錯塩は、キトサンと、銅、亜鉛、銀から選ばれる金属の塩化物等の強酸塩とを反応させることによって調製されるものである。
一方、このようにして調製されるキトサンの金属錯塩においては、キトサンに金属単体ではなく、金属塩化物等の強酸塩がそのままの形で結合している。従ってこのキトサンの金属錯塩は化学的な性質上、高い酸性を呈しており、しかも酸性を示すイオン基は非揮発性である。
ここで、植物繊維は酸性において単繊維が切断され、本来の強度が維持できなくなる。木材もセルロースやヘミセルロースといった植物繊維体より構成されているが、木材は繊維の膨大な集合体であり、しかも繊維間にはこれらを結合させるリグニンを有しており、一部の繊維が切断されても他の繊維やリグニンで強度を保持することができるので、上記のような酸性を有するキトサンの金属錯塩で処理しても、実用上影響はない。
しかし、ジュート麻、綿糸、トウモロコシ、ケナフ等に代表される比較的細く、またリグニン比率の少ない天然植物繊維、あるいはレーヨン等のセルロース誘導繊維の場合、上記のような酸性を有するキトサンの金属錯塩を用いて処理をすると、錯塩内に存在する塩素イオンあるいは強酸イオンが水分と作用して生成される、塩酸あるいは塩化水素またはその他の酸の作用で繊維が切断され、強度が大きく劣化してしまうことになる。このため、上記のようなキトサンの金属錯塩を用いて、植物繊維を材料とする繊維製品を保存処理すると、強度的品質を維持することができなくなる。
そこで、このような問題を解決するために、キトサンと金属塩とを反応させて得られたキトサンの金属錯塩に水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどの強アルカリを添加し、キトサンに結合している酸性イオン基を中和除去することによって、植物繊維の強度を低下させることなく処理を行なうことができるようにすることが提案されている(特許文献2参照)。
すなわち特許文献2では、キトサンと金属塩とを、金属塩の水溶液中で反応させることによって、この水溶液中でキトサンの金属錯塩を調製し、次にこの水溶液に強アルカリを添加することによって酸性イオン基を中和除去するようにしており、キトサンの金属錯塩は水溶液中に沈殿するので、これをろ過し、ろ過残査を水洗して乾燥することによってキトサンの金属錯塩を得るようにしている。そしてこのキトサンの金属錯塩で木材や植物繊維等を処理する場合、キトサンの金属錯塩を水に溶解した状態で用いるのが便利であるので、キトサンの金属錯塩を酢酸などの揮発性の弱酸の存在下で水溶性にし、キトサンの金属錯塩の水溶液を調製して、使用に供するようにしている。
特公平7−118970号公報 特開2003−227066号公報
上記のように特許文献2のものでは、キトサンと金属塩とを反応させた水溶液をろ過して、そのろ過残査としてキトサンの金属錯塩を得るようにしており、ろ過液は廃棄されている。
しかしながら、本出願の発明者がこのろ過液を検討したところ、ろ過残査の約1/3の質量部に相当するキトサンの金属錯塩が残存していることが判明し、このようなろ過液を廃棄することは大きな損失になるものであった。しかも、ろ過液中に含有されるキトサン金属錯塩は、ろ過残査として取り出されるキトサン金属錯塩に比べて低分子化が進んでおり、例えば木材や植物繊維等を処理する場合には植物細胞間隙への浸透性が良好であることが予想されるものであり、また低分子化したキトサン金属錯塩に結合する金属イオン含有率は高分子のものより1.2〜1.8倍程度に多くなっており、より高い効果を期待することができる。
そして上記のろ液は産業廃液であり、環境中に直接排出することができないので、所定の手続により専門処理業者に委託して相当な費用をかけて処分しているのが現状である。従って、このろ過液の処理廃棄に必要な費用が製品のコストを上昇させる原因になっている。
また、特許文献2のものでは、ろ過残査を乾燥することによってキトサンの金属錯塩を得るようにしており、使用時においては弱酸の存在下で水溶液にして使用するようにしているものであり、ろ過残査を乾燥するために多大のエネルギーと手間を要するものであって、これも製品コストを上昇させる原因になっている。
このように、特許文献2の発明では低分子化したキトサンの金属錯塩が含有されていて有用なろ過液を費用をかけて廃棄しているという結果になっており、しかもろ過残査を乾燥するためにエネルギーと手間をかけているという問題を有するものであった。
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、キトサンを金属塩と反応させて調製されるキトサンの金属錯塩を有効に利用することができて有害生物に対する防除効果が高い有害生物防除剤を、少ない費用やエネルギーで製造することができる有害生物防除剤の製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明の請求項1に係る有害生物防除剤の製造方法は、銅、亜鉛、銀、鉄、モリブデンから選ばれる金属の塩の水溶液中でキトサンを金属塩と反応させて、この水溶液中でキトサンと金属との錯塩を調製し、次にこの水溶液にアルカリを添加して中和した後、この水溶液に揮発性の弱酸を添加してキトサンの金属錯塩をこの水溶液中に溶解させることを特徴とするものである。
このように金属塩の水溶液中でキトサンを金属塩と反応させることによって、この水溶液中でキトサンの金属錯塩を調製することができる。このキトサンの金属錯塩には金属塩に起因する酸性イオン基が結合しているが、この水溶液にアルカリを添加して中和することによって、キトサンに結合している酸性イオン基を中和除去することができる。そしてキトサンの金属錯塩は水溶液中に沈殿するが、本発明ではこの水溶液をろ過することなく、この水溶液に直接、揮発性の弱酸を添加して、キトサンの金属錯塩をこの水溶液中に溶解させるようにしているものであり、ろ過をした場合のろ過残査とろ過液の両方を有害生物防除剤として有効に利用することができ、特にろ過液に含まれることになる低分子化したキトサン金属錯塩で高い防除効果を得ることができると共に、ろ過残査を乾燥するようなエネルギーも不要になるものである。
また請求項2の発明は、請求項1において、アルカリを添加して中和した後、キトサンの金属錯塩を水溶液中に沈殿させ、この沈殿水溶液に揮発性の弱酸を添加することを特徴とするものである。
このようにキトサンの金属錯塩が沈殿した沈殿水溶液を用いることによって、濃厚で効力の高い有害生物防除剤を得ることができるものである。
本発明によれば、キトサンを金属塩と反応させて調製されるキトサンの金属錯塩を有効に利用することができ、有害生物に対する防除効果が高い有害生物防除剤を得ることができるものであり、しかもろ過や乾燥が不要になって少ない費用やエネルギーで製造することができるものである。
以下、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
本発明において用いられるキトサンは、カニ、エビ等の甲殻類や、昆虫などの節足動物、あるいは微生物による発酵など、自然界に豊富に存在し、あるい人工的に豊富に得られる天然多糖類のキチンを脱アセチル化することによって得られるものである。本発明においてキトサンは、脱アセチル化度50〜90、分子量500以上のものであれば特に制限されることなく使用することができるが、脱アセチル化度70〜85、分子量500000以下のものが望ましく、さらに分子量については150000以下のものがより望ましい。このように安価な高分子量キトサンを用いることが可能である。
また、キトサンと金属錯塩を形成する金属としては、自然界にごく普通に存在し、有害生物の防除効果が極めて優れていると、世界的にも実証されて認められている銅、亜鉛、銀を用いることができるものであり、さらに有害生物に対する防除効果はやや劣るが、鉄やモリブデンを用いることもできる。これらの銅、亜鉛、銀、鉄、モリブデンは1種類を単独で用いる他、2種類以上を併用することもできる。キトサンとこれらの金属との金属錯塩は、キトサンに金属塩を反応させることによって得ることができるものである。金属塩としては通常、銅、亜鉛、鉄、モリブデンでは塩化第二銅、塩化亜鉛などの塩化物、硫酸銅、硫酸亜鉛などの硫酸塩を、また銀では硝酸銀などの硝酸塩を使用することができる。金属塩は水溶性のものであればよく、水溶性であるならばこれら以外の各種の金属塩を用いることもできる。
そしてキトサンの金属錯塩を調製するにあたっては、まず、上記の金属塩を塩濃度として3〜15質量%程度になるよう水に溶解させる。次にこの金属塩の水溶液に、金属塩の半量から同量程度の質量のキトサンを添加し、45〜60℃に水溶液の水温を保ちながら攪拌を続け、キトサンと金属塩とを反応させる。反応に要する時間は2〜4時間であるが、3〜4時間がより好ましい。このように金属塩の水溶液中で、キトサンと金属塩とを反応させることによって、キトサンの金属錯塩を得ることができる。
また同時に、この水溶液には、金属塩に起因する塩素イオン、硫酸イオン、硝酸イオンなどの酸性イオンが含有されている。そして、キトサンの金属錯塩は、キトサンのアミノ基に金属イオンがキレート結合したものであるが、金属塩に起因する塩素イオン、硫酸イオン、硝酸イオンなどの酸性イオンは金属イオンにイオン結合しているので、キトサンの金属錯塩を水溶液から分離しても、酸性イオンは金属イオンから離れることなく結合しており、金属イオンを介してキトサンに酸性イオンが結合した状態で存在する。従って、このキトサンの金属錯塩は酸性イオンによって酸性を呈し、この金属錯塩で処理すると、植物繊維を切断するなど、繊維製品の強度を劣化させるおそれがある。
そこで、上記のように水溶液中でキトサンと金属塩とを反応させた後、さらに攪拌を続けながら、この水溶液にアルカリを添加して、キトサンに結合している酸性イオン基を中和して除去する。アルカリとしては、例えば水酸化ナトリウムあるいは水酸化カルシウムに代表される強アルカリの30〜50質量%濃度のアルカリ水溶液を用いることができるものであり、キトサンの金属錯塩を含有する水溶液のpHが7.0±0.5の範囲になるように、アルカリ水溶液を添加して中和するものである。
このようにアルカリを添加して中和すると、水溶液中でキトサンの金属錯塩は沈殿するので、水溶液を数時間静置して、中和されたキトサンの金属錯塩を沈降させる。ここで本発明ではこの水溶液をろ過することなく、この水溶液を用いて有害生物防除剤を調製するものであるが、水溶液の上部に分離した上澄み液をデカンテーションして取り除き、沈殿物が沈降した下部の水溶液である沈殿水溶液を使用するのが好ましい。そして上澄み液を除いた沈殿物水溶液中のキトサンの金属錯塩を洗浄するために、これに水を加えて0.5〜1時間攪拌し、さらにこれを静置した後にデカンテーションして上澄み液を捨てる。この洗浄の操作を数回繰り返すことによって、過剰に加えた強アルカリや、金属塩に起因する酸性イオンとの反応により生成された塩化ナトリウムや塩化カルシウムに代表される塩類を洗浄・除去することができる。
このようにして得られたキトサンの金属錯塩の沈殿物を含む沈殿物水溶液に、有機酸もしくは無機酸を添加し、30〜60分程度攪拌することによって、キトサンの金属錯塩を水溶性にすることができ、キトサンの金属錯塩が溶解した水溶液を得ることができるものであり、これにさらに水を加えてキトサンの金属錯塩を完全に溶解させることによって、有害生物防除剤の濃厚な原液を得ることができるものである。
ここで、酸としては酢酸や蟻酸に代表される揮発性の弱酸が望ましく、添加する酸の量は、有害生物防除剤の濃厚原液に対して2〜5質量%の範囲となるように調整するのが望ましいが、これ以上でも特に問題はない。また、有害生物防除剤の濃厚な原液を調製するにあたって加える水の量は、有害生物防除剤の濃厚な原液中のキトサンの金属錯塩の濃度が7〜9質量%になるように調整するのが望ましいが、これ以上でも特に問題はない。この加える水が45〜60℃の温水であると溶解が容易であるのでなお望ましい。
このようにして得られた有害生物防除剤の原液に含有されるキトサンの金属錯塩には5〜25質量%の金属イオンが結合している。キトサンに対して金属イオンの結合は、キトサン単位構造のCに結合しているアミノ基(−NH)に金属イオンがキレート結合することによってなされており、キトサン単分子2〜6個に対して金属イオン1個の比率でランダムに配位している。そして有害生物防除剤の濃厚原液中のキトサンの金属錯塩は、上記のようにアルカリによる中和処理がされているので、酸性を呈する酸性イオン基が除去されており、天然植物繊維や再生繊維などの繊維を酸分解により劣化させるようなことがなくなるものである。
上記のようにして得られた有害生物防除剤の濃厚原液は粘性を有し、冷水に対しても任意の割合で容易に溶解するものであり、濃厚な原液そのままで、あるいは水で希釈して使用することができるものである。有害生物防除剤を木材、合板、パーティクルボードなどの木質材料に使用する場合には、加圧注入処理、浸漬処理、塗布処理、吹き付け処理などで処理を行なうことができる。また毛織物、絹などの天然動物繊維、紙、綿糸、ジュート麻、ケナフなどの天然植物繊維、レーヨンなどの再生繊維などの繊維類に対しては、含浸処理により処理を行なうことができる。
本発明の有害生物防除剤の対象となる有害生物としては、陸上では各種シロアリ類やヒラタキクイムシ類などの木材害虫、ヤスデ、ナメクジ、ダンゴムシなどの不快害虫、ヨトウガの幼虫、コガネムシの幼虫などの農業害虫、木材腐朽菌や軟腐朽菌などの木材害菌、また海域ではフナクイムシなどの木材食害生物、フジツボ、カキなどの付着性生物などを挙げることができるが、勿論、これらに限られるものではない。
次に、本発明を実施例によって具体的に説明する。
(実施例1)
容量1Lのガラス製ビーカーに水道水を700g採り、ウォーターバスで加温して50±5℃に達したところに、攪拌しながら塩化第二銅(和光純薬工業株式会社製、試薬1級無水、純度95%)を45g投入し、完全に溶解させた。次に、この塩化第二銅を溶解した水溶液をそのまま攪拌しながらキトサン(有限会社宝水産製「キトサンTC−7」;脱アセチル化度78.97、平均分子量約50000、3mm通過品フレーク)50gを数回に分けて投入し、210分間をかけてキトサンと塩化第二銅とを反応させ、水溶液中でキトサンの銅錯塩を調製した。
反応終了後、このキトサン銅金属錯塩の水溶液をさらに攪拌しながら、この水溶液に48質量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液を添加し、水溶液をPH7.0±0.5に調整して中和を行なった。これを180分静置してキトサン銅金属錯塩を沈降させ、上澄みをデカンテーションで排出した。さらに残った沈殿水溶液に300mLの水道水を加え、30分攪拌し、60分間静置して同様に上澄み液をデカンテーションにて排出した。この操作を合計3回繰り返し、沈殿水溶液の洗浄を行なった。
次に、50±5℃に調整されたウォーターバス内にて、沈殿水溶液に酢酸(関東化学株式会社製、試薬1級、純度99.5%)を170g投入し、30分間攪拌して、キトサン銅金属錯塩を水溶化し、さらに全体の重量が1kgになるまで水道水を加え、攪拌を続けてキトサン銅金属錯塩を完全に溶解させることによって、キトサン銅金属錯塩の濃厚液を得た。
(比較例1)
容量1Lのガラス製ビーカーに水道水900gを採り、塩化第二銅(実施例1と同じ)を45g投入し、攪拌しながら常温で完全に溶解した。次にこの水溶液を50〜55℃に加熱し、攪拌しながらキトサン(実施例1と同じ)50gを数回に分けて投入し、キトサンと塩化第二銅とを4時間かけて反応させ、水溶液中でキトサンの銅金属錯塩を調製した。
反応終了後、このキトサンの銅金属錯塩の水溶液をさらに攪拌しながら、この水溶液に48質量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液を添加し、pH7.0±0.5に調整して中和を行なった。
そして日本薬局方ガーゼ(タイプ1)を2枚重ねにしたものを用いて、生成したキトサン銅金属錯塩を含有する水溶液をろ過し、ろ過残査を水道水で十分洗浄した。得られた弱アルカリ性を呈するキトサン銅金属錯塩を60〜65℃に調整された循環式乾燥機にて約48時間乾燥させ、フレーク状のキトサン銅金属錯塩を得た。
(比較例2)
比較例1において、水酸化ナトリウム水溶液による中和処理しないでろ過し、ろ過残査を60〜65℃に調整された循環式乾燥機にて約48時間乾燥させ、フレーク状のキトサン銅金属錯塩を得た。
上記の実施例1で得たキトサン銅金属錯塩の濃厚液の一部をとり、原子吸光分析法(島津製作所製「AA−6500S」、吸光度324.8nm)にて、キトサン銅金属錯塩中に含有される銅金属含有率を測定した。さらに実施例1で得たキトサン銅金属錯塩の濃厚液を蒸発乾固させることによって、濃厚液中のキトサン銅金属錯塩の含有率を測定した。
また、比較例1,2で得たキトサン銅金属錯塩のフレークを、精製水95gに氷酢酸2gを溶解させたものに3g投入して溶解させ、上記と同様に原子吸光分析法にて、キトサン銅金属錯塩中に含有される銅金属含有率を測定した。これらの結果を表1に示す。
Figure 2007302590
表1にみられるように、キトサン銅金属錯塩を調製した水溶液をろ過して、ろ過残査のみからキトサンの銅錯塩を得るようにした比較例1,2のものより、キトサン銅金属錯塩を調製した水溶液をろ過せずに用いて、キトサン銅金属錯塩を得るようにした実施例1のものは、キトサン銅金属錯塩中に含有される銅金属含有率が高いものであった。
(参考例1)
容量1Lのガラス製ビーカーに水道水を700g採り、ウォーターバスで加温して50±5℃に達したところに、攪拌しながら塩化第二銅(実施例1と同じ)を45g投入し、完全に溶解させた。次にこの水溶液をそのまま攪拌しながらキトサン(実施例1と同じ)50gを数回に分けて投入し、210分間をかけてキトサンと塩化第二銅とを反応させ、水溶液中でキトサンの銅金属錯塩を調製した。
次に、日本薬局方ガーゼ(タイプ1)を2枚重ねにしたものを用いて、生成したキトサン銅金属錯塩を含有する水溶液をろ過し、ろ過残査を水道水で十分洗浄した後、このろ過残査を60〜65℃に調整された循環式乾燥機にて約48時間乾燥させ、フレーク状のキトサン銅金属錯塩を得た。
一方、ろ別したろ液と、ろ過残査を洗浄した水を回収して集め、これを攪拌しながら48%濃度の水酸化ナトリウム水溶液を添加し、pH7.0±0.5に調整して中和を行なった。次にこれを180分間静置した後、3000回/分の回転速度にて120分間遠心分離し、遠心分離したものを60〜65℃に調整された循環式乾燥機にて約48時間乾燥させ、低分子化したキトサン銅金属錯塩を得た。
そして、ろ過残査として得られたキトサン銅金属錯塩と、ろ液(洗浄水を含む)から得られた低分子化したキトサン銅金属錯塩について、重量測定することによって回収量を求めた。また各キトサン銅金属錯塩を、精製水95gに氷酢酸2gを溶解させたものに3g投入し、溶解させた後に、実施例1と同様に原子吸光分析法により、キトサン銅金属錯塩中に含有される銅金属含有率を測定した。これらの結果を表2に示す。
Figure 2007302590
表2にみられるように、ろ液中にはろ過残査の約1/3倍量に相当するするキトサン銅金錯塩が含まれており、しかもろ液から回収された低分子化されたキトサン銅金属錯塩にはろ過残査の約4.6倍に相当する銅金属が含有されていることが確認される。
また、ろ過残査中のキトサン銅金属錯塩の含有量とろ液中のキトサン銅金属錯塩の含有量の比率は、表2から、ろ過残査が74.5質量%(=63.2÷(63.2+21.6)×100)、ろ液が25.5質量%(=21.6÷(63.2+21.6)×100)である。そして、キトサンと塩化第二銅とを反応させて調製されたキトサン銅金属錯塩中に含有される銅金属含有率は、この比率を基にした計算から、19.13質量%(=10.0×0.745+45.8×0.255)となるが、実施例1で得たキトサン銅金属錯塩の実測値の銅金属含有率19.3質量%とほぼ一致した。
(参考例2)
参考例1においてろ過残査から得られたキトサン銅金属錯塩を、精製水98gに酢酸(実施例1と同じ)1gを溶解した水溶液に1g投入し、完全に溶解させた。
また参考例1においてろ液(洗浄水含む)から得られたキトサン銅金属錯塩を、精製水98gに酢酸(実施例1と同じ)1gを溶解した水溶液に1g投入し、完全に溶解させた。
そしてこれらのキトサン銅金属錯塩水溶液の粘度測定を粘度計(アズワン株式会社製「ビスコテスターVT−03F」)により行ない、得られた粘度より、それぞれのキトサン銅金属錯塩の概算平均分子量を求めた。結果を表3に示す。
Figure 2007302590
表3にみられるように、ろ過残査として回収されたキトサン銅金属錯塩の概算平均分子量は、使用したキトサン(平均分子量約50000)と比べてほとんど平均分子量の低下が見られないが、ろ液から回収されたキトサン銅金属錯塩の概算平均分子量はかなり小さくなっており、低分子化がかなり進んでいることが判明した。
(実施例2)
容量1000Lのポリエチレン製角型容器に50〜55℃に加温された水道水を700L投入した。ここに塩化第二銅(実施例1と同じ)45kgを投入し、FRP加工コートされた攪拌羽根を取り付けた攪拌機により15分間攪拌して、完全に溶解させた。次にこの塩化第二銅水溶液に、攪拌しながらキトサン(実施例1と同じ)50kgを5回に分割して投入し、さらに210分間攪拌を続けて反応させた。反応終了後、攪拌を続けながら、ここに48質量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液を、pHが7±0.3になるまで添加して中和を行なった。中和後、5時間放置し、生成したキトサン銅金属錯塩を沈降させ、上澄み液250Lをデカンテーションで排出した。さらに残った沈殿水溶液に50〜55℃に加熱した水道水を約300L投入し、30分攪拌した後、2時間静置し、同様に上済み液をデカンテーションで排出した。この操作を合計3回操り返して沈殿水溶液の洗浄を行なった。
洗浄終了後、沈殿水溶液に酢酸(日本合成化学株式会社製)180kgを投入し、約30分攪拌してキトサン銅金属錯塩を完全に溶解させた。さらに攪拌を続けながら50〜55℃に加熱した水道水を総重量が1000kgになるまで投入した後、60分間攪拌を続けて、キトサン銅金属錯塩の濃厚液を得た。
このようにして得たキトサン銅金属錯塩の濃厚液の一部をとり、上記と同様に、原子吸光分析法でキトサン銅金属錯塩中に含有される銅金属含有率を測定すると共に、蒸発乾固させることによって、濃厚液中のキトサン銅金属錯塩含有率を測定した。結果を表4に示す。
Figure 2007302590
表4にみられるように、表4の結果は表1における実施例1の結果と大差がなく、本発明は工業的に大容量で製造しても実験室レベルの精度が得られることが実証された。
(実施例3)
実施例1で得たキトサン銅金属錯塩の濃厚液を水で6倍に希釈し、1.41質量%濃度のキトサン銅金属錯塩水溶液として、水溶液中の銅金属含有率が0.27質量%の有害生物防除剤を得た。そしてこの有害生物防除剤を、木口10.5cm×10.5cm、長さ200cmの寸法のスギ、ベイツガ、ベイマツの角材に加圧注入処理した。
すなわち、耐圧構造を有するステンレス製のシリンダーに予め質量を測定した各樹種の木材を5本ずつ入れ、密閉後、−85kPaの減圧度で30分間の前排気をし、次に有害生物防除剤を投入しながら徐々に常圧に戻し、有害生物防除剤がシリンダー内に充満して内圧が常圧に戻り次第、1.3MPaの圧力で180分間加圧し、最後に−85kPaの減圧度で30分間、後排気を行なった。この後、直ちに各木材をシリンダーから取り出し、質量を測定した。そして処理前と処理後の質量差に基づいて、下記の式から、木材への有害生物防除剤の注入量を測定した。
次に、処理を終えた木材を雨水の当たらない風通しの良い屋外にて3週間風乾し、風乾後、長さ方向の中央部分より厚さ1cmの切片(木口10.5cm×10.5cm、厚さ1cm)を切り取った。そして切り取った切片の表面に1,5−ジフェニルチオカルバゾン(和光純薬工業株式会社製、試薬特級)0.1gをクロロホルム(和光純薬工業株式会社製、試薬特級)100mLに溶解させて調製した発色液を噴霧し、側面から1cm部分における有害生物防除剤の浸透を測定して、下記の式から浸潤度を求めた。またその部分における銅金属の含有量を原子吸光分析法により測定し、下記の式から銅金属吸収量を求めた。
有害生物防除剤注入量(kg/m
=[処理後の木材質量(kg)−処理前の木材質量(kg)]÷木材の体積(m
有害生物防除剤浸潤度(%)
=[木材側面からの有害生物浸透長さ(mm)÷10(mm)]×100
銅金属吸収量(kg/m
=試験切片に含有される鋼金属含有量(kg)÷試験切片の体積(m
(比較例3)
比較例2で得たキトサン銅金属錯塩を、2.75質量%の濃度になるように、酢酸2質量%を含む水道水に溶解させることによって、水溶液中の銅金属含有率が0.27質量%の有害生物防除剤を得た。
この有害生物防除剤を用いて、上記の実施例3と同様にして、有害生物防除剤注入量、有害生物防除剤浸潤度、銅金属吸収量を測定した。
そして、有害生物防除剤注入量、有害生物防除剤浸潤度、木材表面から1cm部分における銅金属吸収量について、5本の木材においてそれぞれ上記の式から求めた数値の平均値をとり、その結果を表5に示す。
Figure 2007302590
表5から明らかなように、実施例1から得られた実施例3の有害生物防除剤により処理された木材は、従来のものよりも、有害生物防除剤の注入量、浸潤度、鋼金属吸収量のすべてにおいて高い値を示す。これは、本発明の有害生物防除剤に含まれる低分子化されたキトサン銅金属錯塩によるものと考えられる。すなわち、従来の高分子キトサン銅金属錯塩では木材中での浸透性に限界があるが、低分子化されることにより浸透性が高まったためであると考えられる。
(実施例4)
実施例1で得たキトサン銅金属錯塩の濃厚液を水で6倍に希釈し、1.41質量%濃度のキトサン銅金属錯塩水溶液として、水溶液中の銅金属含有率が0.27質量%の有害生物防除剤を得た。そしてこの有害生物防除剤を、木口20mm×20mm、長さ10mmの寸法のスギ辺材に減圧注入処理した。
すなわち、容量1Lのガラス製ビーカーに有害生物防除剤を500mL入れ、スギ辺材試験片10個を浮き上がらないようにプラスチック製ネットで押えながら、容量5Lの口付き真空デシケータ内に設置した。口部分には三方コックを取り付け、一方を真空ポンプに接続した後、真空ポンプを稼動させ、−53kPaの減圧度を60分間維持した。終了後常圧に戻し、60分間放置した後、スギ辺材試験片を取り出して室内で3週間風乾した。この試験片への有害生物防除剤注入量を上記と同様して測定した。
乾燥を終えた処理試験片をJIS K 1571(2004)に準拠して耐候操作を行なった。すなわち容量500mLのガラス製ビーカーに試験片10個を入れ、浮き上がらないようにプラスチック製ネットで固定した上から400mLの蒸留水を投入した。次にマグネチックスターラを用いて温度25±3℃で、毎分400〜450回転で8時間回転させ、試験片中の有害生物防除剤の銅金属の溶脱を行なった。この後、直ちに試験片を取り出して60±2℃の循環式オーブンで揮散操作を行なった。溶脱水についてはその一部をとり、原子吸光分析法により溶脱した銅金属の量を測定した。
さらに、新しい蒸留水を用い、上記と同様な操作を3回繰り返し、その都度溶脱水の一部をとって、鋼金属の量を測定した。
(比較例4)
比較例2で得たキトサン銅金属錯塩を、2.75質量%の濃度になるように、酢酸2質量%を含む水道水に溶解させることによって、水溶液中の銅金属含有率が0.27質量%の有害生物防除剤を得た。
そしてこの有害生物防除剤を用いて、上記の実施例4と同様にして、有害生物防除剤注入量と、銅金属の溶脱量を測定した。実施例4及び比較例4のそれぞれの結果を表6に示す。
Figure 2007302590
表6にみられるように、実施例1、比較例2から得られる実施例4や比較例4の有害性物防除剤の銅金属の溶脱は極めて少ないことが分かる。JIS K 1570には数種類の銅金属を主成分にする加圧注入処理薬剤があるが、同様な耐候操作を行なった場合、通常3〜7質量%の溶脱があり、これらと比較すると、キトサン銅金属錯塩は優れた固着性を有することが分かる。また、第1回目の溶脱操作では、比較例2のキトサン銅金属錯塩に比較して実施例1のものは溶脱率が若干高い傾向が見られるが、その差はほとんど誤差の値囲に入る程度であり、キトサン銅金属錯塩は低分子化してもほとんど木材固着性に影響のないことが分かる。
(実施例5)
実施例1で得たキトサン銅金属錯塩の濃厚液を水で5.5倍に希釈して、銅含有率が0.3質量%の有害生物防除剤を得た。そしてこの有害生物防除剤に、30cm角に裁断したジュート麻(8号キャンバス、単糸数28〜30本)ならびにインド綿(単糸数24〜25本)の織物を10分間浸漬し、ロール式絞り機にて十分に絞って余分な有害生物防除剤を取り除いた。そしてこれらの織物の処理後に測定した質量と処理前に測定した質量の質量の差から、次の式に基づいて有害生物防除剤の付着率を求めた。
有害生物防除剤付着率(%)
=[処理後質量(g)−処理前質量(g)]÷処理前質量(g)×100
このように処理した織物を室内にて48時間以上風乾し、JIS L 1096(一般織物試験方法、6−12A法)に準拠して引張り強度を測定した。
(比較例5)
比較例1で得たキトサン銅金属錯塩を、2.94質量%の濃度になるように、酢酸2質量%を含む水道水に溶解させることによって、水溶液中の銅金属含有率が0.3質量%の有害生物防除剤を得た。
そしてこの有害生物防除剤を用いて、上記の実施例5と同様にして、有害生物防除剤付着率と、織物の引張り強度を測定した。尚、引張り強度については比較のために無処理の織物についても測定した。実施例5及び比較例5のそれぞれの結果を表7に示す。
Figure 2007302590
表7にみられるように、実施例1から得られた実施例5の有害生物防除剤付着率は、比較例1から得られた比較例5のものと比べ、若干付着率が高い傾向を有するものであり、木材処理の場合と同様に、低分子化されたキトサン銅金属錯塩の繊維への高い浸透性が裏付けられるものである。また引張り強度については実施例5と比較例5の有害生物防除剤で大差がなく、無処理の場合における強度と比較しても逆に強度が高くなる傾向が見られた。このことから繊維への酸分解という悪影響がなく、むしろ強度を高める効果のあることが判明した。このことは、実施例1での製造過程において、十分にキトサン銅金属錯塩を強酸性に傾ける原因となる塩化第二銅に起因する塩素イオンが中和・除去されていること、ならびにキトサンが繊維の引張り強度を補佐していることを示している。
(実施例6)
実施例2で得たキトサン銅金属錯塩濃厚液を水道水にて5倍に希釈して、有害生物防除剤を得た。
そして、木口3cm×3cm、長さ75cmに製材されたスギ辺材を予め質量測定した後、これを耐圧構造を有するステンレス製のシリンダーに10本入れ、密閉後、−85kPaの減圧度で30分間の前排気をし、次に有害生物防除剤を投入しながら徐々に常圧に戻し、有害生物防除剤がシリンダー内に充満して内圧が常圧に戻り次第、1.3MPaの圧力で180分間加圧し、最後に−85kPaの減圧度で30分間の後排気を行なった。この後、直ちに木材をシリンダーから取り出して、質量を測定し、処理前後の質量差より有害生物防除剤注入量を求めた。
次に、処理を終了した試験木材を雨水の当たらない風通しの良い屋外にて3週間風乾し、両木口を7.5cmずつ切り取って、長さ60cmの試験片を得た。
この試験片を奈良県高市郡明日香村の湿潤な山林地に埋設し、軟腐朽菌に対する防腐試験を実施した。比較のため、薬剤処理をしていない無処理のスギ辺材についても同様に試験をした。試験の結果は表8の基準に従って評価し、劣化指数として求めた。そして10本の試験片の劣化指数の平均値を求め、平均劣化指数が2.5以上になった時をもって防腐効果なしと判断した。表9に結果を示す。
Figure 2007302590
Figure 2007302590
表9にみられるように、実施例2のキトサン銅金属錯塩濃厚液の希釈液として得た実施例6の有害生物防除剤を用いて処理したスギ辺材は、試験開始9年目においても、まだ十分な防腐効果を維持していることが確認された。一方、無処理のスギ辺材については、試験開始2年目において、軟腐朽により著しく破損するものであった。
(実施例7)
実施例2で得たキトサン銅金属錯塩濃厚液を水道水にて6倍に希釈して、水溶液中の銅金属含有率が0.26質量%の有害生物防除剤を得た。
そして木口3cm×3cm、長さ30cmの寸法のスギ辺材ならびにアカマツ辺材を質量測定した後、耐圧構造を有するステンレス製のシリンダーに10本ずつ入れ、密閉した後、−93kPaの減圧度で30分間の前排気をし、次に有害生物防除剤を投入しながら徐々に常圧に戻し、有害生物防除剤がシリンダー内に充満して内圧が常圧に戻り次第、1.4MPaの圧力で180分間加圧し、最後に−93kPaの減圧度で30分間の後排気を行なった。この後直ちに各木材をシリンダーから取り出して、質量を測定し、処理前後の質量差より有害生物防除剤注入量を求めた。
処理を終了した試験木材を雨水の当たらない風通しの良い屋外にて2週間風乾した。そして乾燥したこの試験木材を、ステンレス製のかごの底に各試験木材が接触しないように水平に並べ、浮き上がらないように上からステンレス製の網を被せ、さらに重しを載せた状態で、鳥取県東伯郡周辺の海中に水面から50cmの部分に75日間浸漬した。浸漬から30日経過後、及び浸漬試験終了後、各試験木材のフナクイムシによる食害の状況を確認した。
(比較例6)
比較例2で得たキトサン銅金属錯塩を、2.65質量%の濃度になるように、酢酸2質量%を含む水道水に溶解させることによって、水溶液中の銅金属含有率が0.26質量%の有害生物防除剤を得た。
そしてこの有害生物防除剤を用いて、上記の実施例7と同様にして、浸漬試験を行なった。尚、比較のために薬剤処理しない無処理のスギならびにアカマツ辺材についても同様に浸漬試験した。
実施例7及び比較例6の試験木材について、フナクイムシの食害の状況確認からフナクイムシ食害度を得た。フナクイムシの食害度は、食害を受けて試験木材中より消失した分の質量を、試験前の試験木材の質量で割って、これをパーセントの数値として表したものであり、10本の試験木材の平均値として表10に示す。
Figure 2007302590
表10にみられるように、樹種に関係なく、実施例7のものでは全くフナクイムシによる食害を受けないことが判明した。一方、比較例6のものでは実用上は問題ないものの、試験開始75日後にはわずかではあるが食害が認められた。従って、比較例6に比べ、キトサン銅金属錯塩に含有される銅金属量は同じでも実施例7のものは優れた効果を示すものである。これは、実施例7で使用したキトサン銅金属錯塩濃厚液の希釈液中に含有される低分子化したキトサン銅金属錯塩に起因するものと考えられる。すなわち、低分子化したキトサン銅金属錯塩が木材の組織の間隙に十分浸透し、フナクイムシによる木材内部への侵入をよりいっそう完壁に阻止したことによると考えられる。一方、無処理の試験木材では元の形状を留めない状態にまで食害を受けるものであった。
(実施例8)
実施例2で得たキトサン銅金属錯塩濃厚液を水道水にて6倍に希釈して、水溶液中の銅金属含有率が0.26質量%の有害生物防除剤を得た。
そして木口3cm×3cm、長さ30cmの寸法のスギ辺材ならびにアカマツ辺材を質量測定した後、耐圧構造を有するステンレス製のシリンダーに10本ずつ入れ、密閉した後、−93kPaの減圧度で30分間の前排気をし、次に有害生物防除剤を投入しながら徐々に常圧に戻し、有害生物防除剤がシリンダー内に充満して内圧が常圧に戻り次第、1.4MPaの圧力で180分間加圧し、最後に−93kPaの減圧度で30分間の後排気を行なった。この後直ちに各木材をシリンダーから取り出して、質量を測定し、処理前後の質量差より有害生物防除剤注入量を求めた。
処理を終了した試験木材を雨水の当たらない風通しの良い屋外にて2週間風乾した。そして乾燥したこの試験木材を、ステンレス製のかごの底に各試験木材が接触しないように水平に並べ、浮き上がらないように上からステンレス製の網を被せ、さらに重しを載せた状態で、鳥取県東伯郡周辺の海中に水面から50cmの部分に75日間浸漬した。浸漬から30日経過後、及び浸漬試験終了後、各試験木材のフジツボ等の付着の状況を確認した。
(比較例7)
比較例2で得たキトサン銅金属錯塩を、2.65質量%の濃度になるように、酢酸2質量%を含む水道水に溶解させることによって、水溶液中の銅金属含有率が0.26質量%の有害生物防除剤を得た。
そしてこの有害生物防除剤を用いて、上記の実施例8と同様にして、浸漬試験を行なった。尚、比較のために薬剤処理しない無処理のスギならびにアカマツ辺材についても同様に浸漬試験した。
実施例7及び比較例6の試験木材について、フジツボ等の付着数を計測し、10本の試験木材の平均値として表11に示す。
Figure 2007302590
表11にみられるように、実施例8のものではフジツボ等の付着性生物の付着数が減少することが判明した。また比較例7のものに比べても付着量は少なく、これは実施例7の場合と同様に、低分子化したキトサン銅金属錯塩が木材の表面により均一に付着していることによると考えられる。
(実施例9)
実施例1で得たキトサン銅金属錯塩の濃厚液を水道水で4倍に希釈し、有害生物防除剤を得た。
そしてこの有害生物防除剤中にジュート麻織物(8号キャンバス、単糸数28〜30本)を10分間浸漬し、直ちにロール式絞り機にて十分に絞って余分な薬剤を取り除いた後、5cm×5cm、10cm×10cm、10cm×30cmに裁断して試験片を得た。
次に、6号植木鉢に予め10cmの高さまで成長させた白菜の苗を移植したものを準備し、5cm×5cmに裁断した試験片を植木鉢内の土壌の表面に敷き詰め、その上に約1cmの厚さで土をかけた。また10cm×10cmに裁断した試験片については、植木鉢の下に敷き込んだ。さらに10cm×30cmに裁断した試験片については、植木鉢の周囲に巻きつけた。そして各植木鉢を屋外にて1ヶ月放置し、白菜のナメクジによる食害の有無を観察した。
一方、無処理のジュート麻織布を用いて、上記と同様にして白菜のナメクジによる食害を観察する試験を行なった。発見されたナメクジの数を計測し、また白菜の面積の何%がナメクジによって食われたかを食害の程度として、表12に結果を示す。
Figure 2007302590
表12にみられるように、ジュート麻織物を有害生物防除剤で処理することによって、使用場所に係らずナメクジの侵入や白菜の食害を完全に抑制できることが判明した。一方、無処理のジュート麻織物を用いた場合には食害が著しく、有害生物防除剤の効果は明確であった。
(実施例10)
実施例1で得たキトサン銅金属錯塩の濃厚液を水道水にて4倍に希釈し、有害生物防除剤を得た。
そしてこの有害生物防除剤の中に、幅20cm、長さ500cmに裁断したジュート麻織物(8号キャンバス、単糸数28〜30本)を10分間浸漬し、直ちにロール式絞り機にて十分に絞って余分な薬剤を取り除いて、試験片を得た。
また予め、畑地に幅約50cm、高さ約500cmの畝を作っておき、畝の両端から約8cmの部分に2列に25cm間隔で白くび大根の種を蒔き、大根が十分に生長するのを待って、畝の中央に上記のジュート麻織物の試験片を敷き詰め、大根葉の害虫による食害の有無を観察した。
比較のため、無処理のジュート麻織物を用い、上記と同様にして大根葉の害虫による食害を観察する試験を行なった。大根葉の面積の何%が食害を受けたかの測定結果と、大根葉の状況を表13に示す。
Figure 2007302590
表13にみられるように、キトサン銅金属錯塩で処理したジュート麻織物を敷き詰めることによって、大根葉を食害する害虫の忌避効果が得られることが明確である。一方、無処理では大根葉がことごとく食害や枯死、黄変し、大根部分の成長も劣る傾向にあった。尚、食害等を引き起こした害虫については特定できなかった。
(実施例11)
実施例1で得たキトサン銅金属錯塩の濃厚液を水道水にて4倍に希釈し、水溶液中の銅金属含有率が0.41質量%の有害生物防除剤を得た。
そしてこの有害生物防除剤の中に、20cm×20cmに裁断したレーヨン織布(ダイワボウレーヨン株式会社製、縦糸横糸共に6番レーヨン単糸100%)を5分間浸漬し、直ちにロール式絞り機にて十分に絞って余分な有害生物防除剤を取り除いた後、30分間放置した。次にこの処理をしたレーヨン織布をアンモニアを充満させた密閉容器内に60分間放置し、有害生物防除剤に含有される酢酸によるレーヨンの劣化防止処理を行なって、試験片を得た。
(比較例8)
比較例1で得たキトサン銅金属錯塩を、4質量量%の濃度になるように、酢酸2質量%を含む水道水に溶解することによって、銅金属含有率が0.41質量%の有害生物防除剤を得た。そしてこの有害生物防除剤の中に実施例11と同様にレーヨン織物を浸漬し、さらに実施例11と同様にアンモニア処理して試験片を得た。
(比較例9)
上記の実施例11において、有害生物防除剤でレーヨン織布を処理した後、アンモニア処理しないものを試験片とした。
上記の実施例11、比較例8,9の試験片を用いて、ヤスデなどの土壌表面徘徊不快害虫の忌避試験を行なった。比較のために、無処理のレーヨン織布も用いて試験を行なった。すなわち、試験片を各3枚ずつ用い、予めヤスデ、ムカデ等の不快虫が生息することを確認した大阪府堺市内の神社境内において、特に不快虫の生息数が多く、また昼間の隠れ家となる、日中ほとんど陽が当たらない、湿潤な腐葉土表面に、各試験片を30cm以上離して並べた。そして、底部の水抜き穴を不透明な粘着テープで塞いで雨水や日光の侵入を遮断した4号植木鉢を、底を上向きにして各試験片の上に被せた。この状態で14日間放置し、植木鉢内に潜む虫の数の合計を測定し、また試験片の状況を観察した。表14に結果を示す。
Figure 2007302590
表14の実施例11、比較例8,9にみられるように、キトサン銅金属錯塩によって土壌徘徊不快害虫の侵入を忌避できることが分かった。ただ、比較例9のように、キトサン銅金属錯塩で処理した後にアンモニア処理して中和を行なわないと、レーヨン織物が酸劣化を受けることが判明した。尚、この劣化は酸によるものであり、腐朽によるものでない。一方、無処理のレーヨン織布の場合、大部分は残存していたが、虫の忌避効果は全くなく、しかも軟腐朽菌による腐朽が始まっていることが確認される。尚、本試験において確認できた害虫は、ヤスデ、ワラジムシ、ダンゴムシ、トビムシであった。
(実施例12)
実施例1で得たキトサン銅金属錯塩の濃厚液を水道水にて4倍に希釈し、有害生物防除剤を得た。
そしてこの有害生物防除剤の中に、縦50cm、横30cmに形成したジュート麻織物袋(8号キャンバス、単糸数28〜30本)を15分間浸漬し、直ちにロール式絞り機にて十分に絞って余分な薬剤を取り除いた後、30分間放置した。次にこの処理をしたジュート麻織物袋をアンモニアを充満させた密閉容器内に60分間放置し、有害生物防除剤に含有される酢酸の中和を行なって、試験片を得た。
(比較例10)
上記の実施例12において、有害生物防除剤でジュート麻織物袋を処理した後、アンモニア処理しないものを試験片とした。
上記実施例12及び比較例10の試験片をそれぞれ5袋ずつ準備し、この中に鳥取県八頭郡河原町の森林土壌を詰め込み、口紐を締めて閉じた。これを同森林内の湧き水により土壌表面が絶えず湿っている箇所に、重ねることなく3ヶ月間放置した。試験終了後、袋を裏返し、袋の劣化状況を観察した。また別に、無処理のジュート麻織物袋を準備し、同様に試験をした。表15に結果を示す。
Figure 2007302590
表15にみられるように、ジュート麻織物に対しても軟腐朽に対する保護効果が確認できる。また、比較例10の結果より、湿潤状況に放置する場合について、物理的強度を保持するためにはアンモニアによる酢酸の中和が必要であることが示唆される。これは通常の乾燥状態や多少の湿潤状況で使用する場合には問題なく、また木材や木質材料の場合は全く問題ないが、木材等と異なりリグニン分を完全にあるいはある程度以上除去した天然繊維については、酸による劣化が多少起こる可能性のあることを示すものである。
(実施例13)
実施例2で得たキトサン銅金属錯塩の濃厚液を水道水で2.76倍に希釈し、キトサン銅金属錯塩含有率が3.0質量%で、水溶液中の銅金属含有率が0.57質量%の有害生物防除剤を得た。
次に、先端を尖らせた木口3cm×3cm、長さ35cmの寸法のクロマツ辺材を予め質量を測定した後、耐圧構造を有するステンレス製のシリンダーに5本入れ、密閉した後、−85kPaの減圧度で30分間の前排気を行ない、次に有害生物防除剤を投入しながら徐々に常圧に戻し、有害生物防除剤がシリンダー内に充満して内圧が常圧に戻り次第、1.3MPaの圧力で180分間加圧し、最後に−85kPaの減圧度で30分間の後排気を行なった。この後、直ちに各木材をシリンダーから取り出し、質量を測定して処理前後の質量差より有害生物防除剤注入量を求めた。この処理を終えた試験木材を雨水の当たらない、風通しの良い屋外にて3週間風乾した。
(実施例14)
実施例2で得たキトサン銅金属錯塩の濃厚液を水道水で5.53倍に希釈し、キトサン銅金属錯塩含有率が1.5質量%で、水溶液中の銅金属含有率が0.28質量%の有害生物防除剤を得た。
この有害生物防除剤を用いて実施例13と同様にしてクロマツ辺材を処理し、試験木材を得た。
(実施例15)
実施例2で得たキトサン銅金属錯塩の濃厚液を水道水で8.29倍に希釈し、キトサン銅金属錯塩含有率が1質量%で、水溶液中の銅金属含有率が0.19質量%の有害生物防除剤を得た。
この有害生物防除剤を用いて実施例13と同様にしてクロマツ辺材を処理し、試験木材を得た。
(比較例11)
比較例2で得たキトサン銅金属錯塩(銅金属含有率9.8質量%)を用い、キトサン銅金属錯塩含有率が3.0質量%、水溶液中の銅金属含有率が0.29質量%、酢酸濃度が3.0質量%になるように酢酸水に溶解して、有害生物防除剤を得た。
この有害生物防除剤を用いて実施例13と同様にしてクロマツ辺材を処理し、試験木材を得た。
(比較例12)
比較例2で得たキトサン銅金属錯塩(銅金属含有率9.8質量%)を用い、キトサン銅金属錯塩含有率が1.5質量%、水溶液中の銅金属含有率が0.15質量%、酢酸濃度が3.0質量%になるように酢酸水に溶解して、有害生物防除剤を得た。
この有害生物防除剤を用いて実施例13と同様にしてクロマツ辺材を処理し、試験木材を得た。
(比較例13)
比較例2で得たキトサン銅金属錯塩(銅金属含有率9.8質量%)を用い、キトサン銅金属錯塩含有率が1.0質量%、水溶液中の銅金属含有率が0.10質量%、酢酸濃度が3.0質量%になるように酢酸水に溶解して、有害生物防除剤を得た。
この有害生物防除剤を用いて実施例13と同様にしてクロマツ辺材を処理し、試験木材を得た。
上記の実施例13〜15、比較例11〜13で得た試験木材を、鹿児島県日置郡吹上浜の松林内のシロアリ生息地に設置した。すなわち、予めシロアリの巣の位置を確認し、そこから半径1mの円周上において等間隔の5箇所に試験木材を深さ30cmまで埋め込み、各試験木材の周囲の半径10cmの円周上に等間隔に無処理クロマツ木材を設置した。このようにして、シロアリの食害の試験を行ない、次の式から蟻害指数を算出した。
蟻害指数(四捨五入により正数表示)=平均食害度×被害発生率
ここで、食害度は表16から求められるものであり、平均食害度は試験木材の食害度の合計を試験木材の本数で割った値である。また被害発生率は、食害の被害が発生した試験木材の数を試験木材の数で割った値である。結果を表17に示す。
Figure 2007302590
Figure 2007302590
表17の実施例16〜18にみられるように、実施例2のキトサン銅金属錯塩の濃厚液の希釈液を有害生物防除剤として用いて処理したクロマツ辺材は、優れた防蟻効果を示すものであった。また比較例11にみられるように、従来のキトサン銅金属錯塩についても所定濃度においては優れた効果を示すが、実施例13と比較例11、実施例14と比較例12、実施例15と比較例13のように、キトサン銅金属錯塩を同一濃度にして比較した場合、明らかに実施例2のキトサン銅金属錯塩の濃厚液の希釈液で処理したクロマツ辺材の方が防蟻効果に優れている。これは、キトサン銅金属錯塩の銅金属含有率に関係すると考えられる。すなわち実施例2のキトサン銅金属錯塩の濃厚液におけるキトサン銅金属錯塩には、従来のキトサン銅金属錯塩に比べ、約1.9倍量の銅金属が含有されており、防蟻性能として働く銅イオン濃度が高いことに起因すると考えられる。
従って、キトサン銅金属錯塩の濃厚液においては、従来のキトサン銅金属錯塩に比較して、低いキトサン銅金属錯塩の濃度で有効であることが裏付けられるものである。尚、本発明のキトサン銅金属錯塩濃厚液は、従来のキトサン銅金属錯塩に比べ、製造コストがかなり低減できるので、本発明はコスト面および効力面、また作業性等、多くの点で従来の発明を大きく上回る利点を有するものである。

Claims (2)

  1. 銅、亜鉛、銀、鉄、モリブデンから選ばれる金属の塩の水溶液中でキトサンを金属塩と反応させて、この水溶液中でキトサンと金属との錯塩を調製し、次にこの水溶液にアルカリを添加して中和した後、この水溶液に揮発性の弱酸を添加してキトサンの金属錯塩をこの水溶液中に溶解させることを特徴とする有害生物防除剤の製造方法。
  2. アルカリを添加して中和した後、キトサンの金属錯塩を水溶液中に沈殿させ、この沈殿水溶液に揮発性の弱酸を添加することを特徴とする請求項1に記載の有害生物防除剤の製造方法。
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