JP2007302584A - ケージドペプチド - Google Patents
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Abstract
【解決手段】紫外線照射により除去可能な光感受性基をRGDユニットに有し、紫外線照射
により、細胞接着ペプチドに変換可能なケージドペプチド。
【選択図】なし
Description
含まれる配列で、RGD配列を有する細胞接着ペプチドはこれらのマトリックスに対する受
容体であるインテグリンと結合する。細胞接着ペプチドとその受容体の作用メカニズムを詳細に調べるためには、細胞に実質的にダメージを与えることなく、細胞周辺の細胞接着ペプチド濃度を任意に変えられることが望ましい。本発明は、このような性質を有する修飾された細胞接着ペプチドを提供することを目的とする。
項1. 紫外線照射により除去可能な光感受性基をRGDユニットに有し、紫外線照射によ
り、細胞接着ペプチドに変換可能なケージドペプチド。
項2. 光感受性基が2−ニトロベンジル基である、項1に記載のケージドペプチド。
項3. 光感受性基がRGDユニットのグリシンのアミノ基に結合されてなる、項1に記載
のケージドペプチド。
、細胞接着に関与することから、細胞生物学や生体適合材料においての研究が古くから行われている。本発明のケージドペプチドを用いれば、光照射によって部位特異的および時間特異的かつ無侵襲に、intact peptideを系中に生じさせることができるため、intact peptideの細胞や組織との作用機序のより詳細な解析をするための研究開発用試薬としての利用や、光リソグラフィー等による細胞のパターン培養を行うための材料としての利用等、産業上有用である。
照射により除去可能な光感受性基が付加されたペプチドであって、それ自身は細胞接着活性がペプチドよりも活性が減弱ないし消失したポリペプチドを意味する。ケージドペプチドの生理活性は、もとの生理活性ペプチドの50%以下、好ましくは20%以下、より好ましくは5%以下、特に好ましくは1%以下である。
シ基、アミノ基、ハロゲン原子、水酸基またはシアノ基を示すか、あるいはR1、R2及びR3のいずれか2つが一緒になってメチレンジオキシ基を示す。Rは、水素原子又はメチ
ル基を示す。〕が挙げられる。
ル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチルなどの炭素数1〜4の直鎖又は分枝を有するアルキル基が挙げられる。
が水素原子、低級アルキル基または低級アルコキシ基で、Rが水素原子で表される基である。
条件は特に限定されないが、例えばTLC検出用の紫外線ハンドランプ(トプコン製、PU-2)で1時間程度処理すればよい。
)をFmoc化し、常法に従い固相合成又は液相合成法を用いてケージドペプチドに導くことができる。
参考例1:N−2-ニトロべンジル−グリシン(cGly)の製造
300mlナス型フラスコでグリシン15.02g(0.2mmol)をメタノール50mlと2N水酸化ナトリウム水溶液50mlに分散させ、メタノール100mlに溶解させた2-ニトロベンズアルデヒド33.25g(0.22mol)を撹拌しながら少量
ずつ加えた。約50分の攪拌後、フラスコを氷浴に移し、水素化ホウ素ナトリウム6.0g(0.159mol)を攪拌しながら少量ずつ加えた。約2時間後、メタノールをエバポレーターにより留去し、得られた懸濁液をジエチルエーテルにて洗浄後、2N塩酸水溶液を加え万能pH試験紙によりpHを約5に調整し、ジエチルエーテルにて洗浄した。これに約50mlの水を加え、加熱後、放冷し、得られた固形物を水洗後、真空乾燥し、N−2-ニトロべンジル−グリシン(cGly)12.26g(収率29%)を得た。
氷浴上の100mlナス型フラスコに上記参考例で得たcGly2.13g(10mmol)を10%炭酸ナトリウム水溶液(20ml)とアセトン(10ml)に溶解させ、アセトン(20ml)に溶解した9-フルオレニル-N-スクシンイミジル炭酸塩4.98g(20mmol)を滴下ロートで滴下後、一夜撹拌した。これをエバポレーターにより、アセト
ンを留去した後、水相をジエチルエーテルで洗浄し、2N塩酸水溶液を加え万能pH試験紙によりpHを約4以下に調整した後、酢酸エチルにより抽出し、有機相を1N塩酸1回、水2回、飽和食塩水1回にて洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水し、濃縮し、ヘキサンを加え白色沈殿を析出させた。次いで、この白色沈殿を濾取し、ヘキサンで洗浄して乾燥させ、標記化合物3.01gを回収した。収率69.7%。
自動ペプチド合成装置PSSM−8((株)島津製作所製)を使用し、この合成マニュアルに従
い粗ペプチドを合成した。レジンはTGS-RAM レジン((株)島津製作所製)を用いた。合成スケールは、リアクションベッセル1個に対し、100mgのレジンとFmoc化アミノ酸を200μmol加えた。合成終了後、リアクションベッセル内のペプチドレジンにメタノール
及びt−ブチルメチルエーテルを加え順次洗浄した後、ペプチドレジンを1時間減圧乾燥
した。乾燥後、クリーベッジカクテル(レジン100mgのスケールに対してトリフルオロ酢酸(以下、TFAと略す)/チオアニソール/エタンジチオール/水/エチルメチルスル
フィド/チオフェノール/1, 2-エタンジチオール=0.8ml/0.05ml/0.05ml/0.03 ml / 0.02 ml / 0.025 ml)をリアクションベッセル内に注入し、約8時間放置した。クリーベッジカクテルの濾液を遠沈管に回収し、冷却したジエチルエーテルを加え、遠心操作を行い、析出した沈殿物を回収し、アルゴン気流中で乾燥し、更に減圧乾燥して、粗ペプチドを得た。この粗ペプチドをC18AR-IIカラム(φ20x250mm、ナカライ製)
を装着した逆相系液体クロマトグラフィー(溶出液0.1%TFA水溶液と80%アセトニ
トリル水溶液のグラジエント溶出)により、単離した。マトリックスにα-シアノ-4-ヒ
ドロキシケイヒ酸を用い、レーザーイオン化飛行時間質量分析装置(Voyager DE-STR-D1、パーセプティブバイオシステムズ製)により、分子量を測定し、同定した。精製したペプ
チド溶液を凍結乾燥することにより、乾燥した白色粉末の目的物を得た。intact peptide(Tyr-Ala-Val-Thr-Gly-Arg-Gly-Asp-Ser-Pro-Ala-Ser-Ser-amide)の質量分析値、観測
値 1266.82、計算値 1266.33。reverse peptide (Ser-Asp-Gly-Arg-Gly-amide)の質量
分析値、観測値 490.88、計算値 490.47、short peptide (Gly-Arg-Gly-Asp-Ser -amide)の質量分析値、観測値 490.96、計算値490.47
上記参考例3と同様に、自動合成機を用い、C末端側からcGlyの部位まで(cGly-Asp-Ser-Pro-Ala-Ser-Ser)合成した。cGlyの導入部位では、上記参考例2で得たFmoc-cGlyを約86mg用いた。合成終了後、Fmoc−Arg(Pmc)((株)ペプチド研究所製)132mg(0.2mmol)を400μlのDMFと315μlのN−メチルモルホリン(1 M、ジメチルホルムアミド溶液)、33μlのジイソプロピルカルボジイミドを加え溶解したものを、リアクションベッセルに加え、窒素バブリングにより60分攪拌した。その後、反応液を濾去し、レジンをジメチルホルムアミド1mlの添加・窒素バブリング1分・濾去の操作を5回繰り返した。その後、C末端からArgの部位まで結合されたレジンを用いて、残りのTyr-Ala-Val-Thr-Glyのアミノ酸配列を結合させ、上記参考例
3の方法に従い精製した。精製したペプチド溶液は遮光下で取り扱った。溶液凍結乾燥することにより、乾燥した白色粉末の目的物を得た。質量分析値(Tyr-Ala-Val-Thr-Gly-Arg-cGly-Asp-Ser-Pro-Ala-Ser-Ser-amide)、観測値 1402.71、計算値 1401.33)。
細胞培養
HeLa細胞 ((財)ヒューマンサイエンス振興財団研究資源バンク(泉南、大阪)から
購入) は2-25回継代を行った。5%二酸化炭素存在下で37度に設定したインキュベーター
内で9 cm ディッシュ (Cat. No.172958, Nunc, Rokilde, Denmark)を用いてHeLa細胞
を培養した。培養液は10 % fetal bovine serum (Cat.No.199-141, Lot. 494273, Origin: Australia, Invitrogen, , Carlsbad, California, USA)、500 IU/ml ペニシリン、5 mg/mlストレプトマイシンを含んだDulbecco’s modified Eagles medium (Cat.No.12430-047, Invitrogen) を用いた。
HeLa細胞をガラスベースディッシュ (Cat.No.3911-035, Iwaki, Funabashi, Chiba, Japan)に1 X 104細胞まいた。24時間後に培養液を1 mMのペプチドを含んだ新しい培養液に
交換した。さらに24時間後に、4 % パラホルムアルデヒドを用いて細胞を固定し、0.1 % Tritonを含んだPBSで5分間処理した。アクチンフィラメントと核をPhosphate buffer salineで希釈した5 U/ml Rhodamine Phalloidin (Invitrogen)と500 mM Sytox Greenによっ
て染色した。染色した細胞は共焦点レーザー顕微鏡 (Olympus FLUOVIEW FV1000, 新宿、
東京)によって観察した。
UV照射を行う24時間前にHeLa細胞をガラスベースディッシュに1 X 104細胞まいた。 培養液を1 mMのケージド化したペプチドを含んだ新しい培養液に交換した後、UV照射を行った。UV照射は紫外線ランプ(UV-100A型, (株)浜松ホトニクス、浜松、静岡)の光を干
渉フィルター (365 nm, Asahi Spectra, 365 FX, 北区、東京)を通した光をディッシュの上方約1cmより照射した。ガラス部位へのエネルギーは12 mW/cm2になるようにランプの出射光位置を微調整した。エネルギーの測定は、紫外線強度計(UVX−36、ウルトラバイ
オレッド社製、Upland, Ca, USA)を用いた。
ペプチド溶液は逆相系分析HPLCにより分析を行った。具体的には、摂氏40度に保ったカラム(Cosmosil 5C18-AR-II(φ4.6×50mm、ナカライテスク製)をHPL
Cポンプ(PU−980i、日本分光製)に装着し0.1%TFA水溶液(A液)、0.1%TFAを含む80%アセトニトリル水溶液(B液)を溶出液とし、A液100%で平衡化後、試料を注入し、グラジエントA液0〜100%/B液0〜100%(20分)、流速1ml/minで溶出させ、波長280nmの吸収を測定した。
まず硬骨魚類から哺乳類まで保存されているフィブロネクチンのRGDを含むアミノ酸配
列を持つペプチド(以下、intact peptide)、intact peptideと同じ配列を持つがRGDのGをケージド化したペプチド(ケージドペプチド)、さらにRGDの逆配列を持ったペプチド
(以下reverse peptideとする)を合成した(Table 1)。
)。これは、質量分析時のイオン化に紫外レーザーを用いているために光分解反応が進行し、intact peptideが生じたことを示している。また、ケージドペプチドAを紫外線ラン
プを用いて光照射すると、intact peptideの生成がHPLCによっても確認された(図4)。
ていることが観察された。reverse peptideを含む培養液中で培養した細胞についてもfocal contactにおいてアクチンフィラメントが正常にstress fiberを形成していることが観察された。しかしintact peptideを含む培養液中で培養した細胞ではfocal contactにお
いてアクチンフィラメントの並びが乱れているのが観察された(図1矢印)。また、ペプチドを含まない培養液中で培養した細胞とreverse peptideを含む培養液中で培養した細
胞ではみられない丸い形の細胞が認められた (図1点線矢印)。培養細胞にUVを照射した場合、細胞のfocal contactにおいてアクチンフィラメントが正常にstress fiberを形
成していることが観察された。
クチンフィラメントが正常にstress fiberを形成していることが観察されたが、ケージドペプチドを含む培養液中で培養した細胞にUVを照射した場合、focal contactにおいてア
クチンフィラメントの並びが乱れているのが観察され(図1矢印)、丸い形の細胞が認められた(図1点線矢印)。
た。UVを照射した細胞とケージドペプチドを含む培養液中で培養し、UVを照射した細胞は面積が小さく、高さが高いことが観察された(図1,2)。
した。これをUV光照射することにより、intact peptideを生じさせることができた。
・RGD配列を含むintact peptideを培養液中に添加することにより、Hela細胞のfocal contactの形成異常等の形態変化を誘導する。
・ケージドペプチドを培養液中に添加してもHela細胞の形態変化を誘導しないが、UV照射により、上記変化を誘導できた。
・RGDを含むペプチドはインテグリンの結合配列であり、細胞間、細胞内のシグナル伝達
、細胞接着に関与することから、細胞生物学や生体適合材料においての研究が古くから行われている。このケージドペプチドを用いれば、光照射によって部位特異的および時間特異的、無侵襲に、intact peptideを系中に生じさせることができるため、intact peptideの細胞や組織との作用機序のより詳細な解析をするための研究開発用試薬としての利用や、光リソグラフィー等による細胞のパターン培養を行うための材料としての利用、等、産業上有用である。
Claims (3)
- 紫外線照射により除去可能な光感受性基をRGDユニットに有し、紫外線照射により、細胞
接着ペプチドに変換可能なケージドペプチド。 - 光感受性基が2−ニトロベンジル基である、請求項1に記載のケージドペプチド。
- 光感受性基がRGDユニットのグリシンのアミノ基に結合されてなる、請求項1に記載のケ
ージドペプチド。
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JP2000319202A (ja) * | 1999-01-12 | 2000-11-21 | Bunshi Biophotonics Kenkyusho:Kk | 新規ケージド化合物調製用試薬、及びケージド化方法 |
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JP2001288159A (ja) * | 2000-03-31 | 2001-10-16 | Bunshi Biophotonics Kenkyusho:Kk | ケージドペプチド合成用リジン誘導体、及びそれを用いたケージドペプチドの合成方法 |
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