JP2001288159A - ケージドペプチド合成用リジン誘導体、及びそれを用いたケージドペプチドの合成方法 - Google Patents

ケージドペプチド合成用リジン誘導体、及びそれを用いたケージドペプチドの合成方法

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JP2001288159A
JP2001288159A JP2000099000A JP2000099000A JP2001288159A JP 2001288159 A JP2001288159 A JP 2001288159A JP 2000099000 A JP2000099000 A JP 2000099000A JP 2000099000 A JP2000099000 A JP 2000099000A JP 2001288159 A JP2001288159 A JP 2001288159A
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Hirobumi Shiono
博文 塩野
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Bunshi Biophotonics Kenkyusho KK
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BUNSHI BIOPHOTONICS KENKYUSHO
Bunshi Biophotonics Kenkyusho KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 より長波長の光に対して高い光感受性を示し
且つケージング基の脱離によりニトロソ誘導体を生成し
ないケージドペプチドを合成する上で有用な、リジン誘
導体及びそれを用いたケージドペプチドの合成方法を提
供することを目的とする。 【解決手段】 下記式(I): 【化1】 (式中、R1及びR2はそれぞれ独立でも異なっていても
よく、水素原子、炭素数1〜4のアルキルオキシ基又は
炭素数1〜4のアルキルアミノ基を表し、R3はt−ブ
チル基又は炭素数4〜7のトリメチルシリルアルキル基
を表す)で表されるケージドペプチド合成用リジン誘導
体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はリジン誘導体に関
し、詳しくはケージドペプチド固相合成用リジン誘導体
に関する。
【0002】
【従来の技術】生理活性物質の細胞や組織への作用機構
を解析する場合、生理活性物質を含む溶液の交換やピペ
ッティングによりその物質の濃度を変化させる方法が知
られている。しかしながら、この方法は、溶液の交換や
混合に要する時間が無視できない速さで進行する生理現
象や、微小領域で部位特異的に進行する生理現象に適用
するのは非常に困難である。
【0003】そこで、このような生理現象における作用
機構を解析する方法として、ケージド(caged)化
合物を用いる方法が提案されている。ケージド化合物と
は、対象とする化合物の活性部位をケージング基により
保護基化して化合物の生理活性を抑制したものであり、
ケージド化合物に光を照射すると光解離性(光感受性)
を有するケージング基が脱離し、化合物が本来有する活
性が復元される。このように、ケージド化合物を用いる
ことは、光を媒体とすることによる時間分解能の向上、
及び光を絞り込み特定の部位に照射することによる空間
分解能の向上、といった点で優れた方法であり、多くの
研究分野に新しい手法を展開できるものと期待されてい
る。
【0004】前記ケージド化合物としては、1978年
にKplanらにより合成されたケージドATPなどの
ケージドリン酸誘導体、グルタミン酸等の神経伝達物質
を対象としたケージド神経伝達物質、光照射によりそれ
ぞれカルシウムイオン及び一酸化窒素を放出するケージ
ドカルシウム及びケージド一酸化窒素等が知られてい
る。そして近年、生体内に存在し情報伝達等の機能を有
するタンパク質やオリゴペプチド等の作用機構の解析に
おいても、生理活性部位であるアミノ酸残基の側鎖官能
基をケージド化した化合物を用いる方法が検討されてい
る。
【0005】ここで、ケージド化オリゴペプチドを合成
する方法としては、下記(i)及び(ii)の方法: (i)オリゴペプチドのアミノ酸残基の側鎖官能基を直
接ケージド化する方法(Gerard Marriott, Biochemistr
y, 33, 9092-9097(1994);Peng Pan, Hagen Bayley, FE
BS Lett.,415, (1), 81-85(1997);Chung-yu Chang et
al., Chem. Biol., 2, (6), 391-400(1995); WO96/206
88号公報) (ii)固相合成法により、側鎖官能基がケージド化され
たケージドアミノ酸からペプチドを合成する方法(Jeff
ery W. Walker et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 9
5, 1568-1573(1998);Yoshiro Tatsu et al., Biochem.
Biophys. Res.Commun., 227, (3), 688-693(1996);)
Yoshiro Tatsu et al., Bioorganic &Medicinal Chemis
try Letters, 9, 1093-1096(1999);達吉郎ら、比較生
理生物学、15、(2)、141-147(1998);達吉郎ら、生化
学、71、(3)、197-201(1999);特開平10-120699号公
報) が知られている。上記(i)の方法はタンパク質のよう
な大きな分子をケージド化する場合には有効であるが、
この方法により反応点が複数個存在するペプチドの特定
の官能基を選択的にケージド化することは極めて困難で
ある。これに対して、上記(ii)の方法によれば、予め
側鎖官能基がケージド化されたアミノ酸誘導体を原料に
用いることで、特定の官能基が選択的にケージド化され
たペプチドを得ることができる。
【0006】上記(ii)の方法において、従来よりケー
ジド化合物としてニトロベンジル誘導体が広く使用され
てきた。しかしながら、ケージド化合物としてニトロベ
ンジル誘導体を用いる方法には、ケージング基の脱離反
応(アンケイジング反応)により毒性を有するニトロソ
化合物を生じるという問題がある。また、生物を対象と
して光照射を行う場合には長波長の光、具体的には35
0nm付近の波長を有する光を使用することが好ましい
が、従来のケージド化合物の多くは波長は300nm付
近の光に対して感受性を示すものであり、波長350n
mの光と共に用いる場合にはケージング基の脱離を効率
よく行うことは非常に困難であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術の有する課題に鑑みてなされたものであり、より長波
長の光に対して高い光感受性を示し且つケージング基の
脱離によりニトロソ誘導体を生成しないケージドペプチ
ドを合成する上で有用な、リジン誘導体及びそれを用い
たケージドペプチドの合成方法を提供することを目的と
する。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記目的を
達成すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の構造を有する
リジン誘導体を用いた固相合成法によりケージドペプチ
ドを製造することによって、上記課題が解決されること
を見いだし、本発明を完成するに至った。
【0009】すなわち、本発明のリジン誘導体は、下記
一般式(I):
【0010】
【化6】
【0011】(式中、R1及びR2はそれぞれ独立でも異
なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜4のアルキル
オキシ基又は炭素数1〜4のアルキルアミノ基を表し、
3はt−ブチル基又は炭素数4〜7のトリメチルシリ
ルアルキル基を表す)で表されることを特徴とするケー
ジドペプチド固相合成用リジン誘導体である。
【0012】また、本発明の方法は、下記式(I):
【0013】
【化7】
【0014】(式中、R1及びR2はそれぞれ独立でも異
なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜4のアルキル
オキシ基又は炭素数1〜4のアルキルアミノ基を表し、
3はt−ブチル基又は炭素数4〜7のトリメチルシリ
ルアルキル基を表す)で表されるリジン誘導体と、固定
相と結合したアミノ酸又はペプチドと、を縮合させる第
一のステップと、前記第一のステップにより得られた化
合物から9−フルオレニルメチルオキシカルボニル基を
脱離させる第二のステップと、前記第二のステップによ
り得られた化合物を固定相から脱離させる第三のステッ
プと、前記第三のステップにより得られた化合物からア
ルキルオキシカルボニル基(OCOR3基)を脱離させ
るステップと、を含むことを特徴とするケージドペプチ
ドの合成方法である。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施形態に
ついて詳細に説明する。
【0016】本発明のリジン誘導体は、下記式(1):
【0017】
【化8】
【0018】(式中、R1及びR2はそれぞれ独立でも異
なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜4のアルキル
オキシ基又は炭素数1〜4のアルキルアミノ基を表し、
3はt−ブチル基又は炭素数4〜7のトリメチルシリ
ルアルキル基を表す)で表される化合物、すなわち、リ
ジン残基の側鎖アミノ基とケージング基(シンナモイル
基)との結合によるアミノシンナモイル構造を有するも
のであり、前記シンナモイル基のベンゼン環に置換した
アミノ基がt−ブチルオキシカルボニル基又はトリメチ
ルシリルアルキルオキシカルボニル基で保護基化された
ものである(以下、アルキルオキシカルボニル基はt−
ブチルオキシカルボニル基又はトリメチルシリルアルキ
ルオキシカルボニル基を表す)。また、リジン残基の末
端アミノ基は9−フルオレニルメチルオキシカルボニル
基(Fmoc基)により保護基化されたものである。このよ
うなリジン誘導体の中でも、下記式(II):
【0019】
【化9】
【0020】で表されるω−N−(α−N−Fmoc−リジン)
(E) 3−[4,5−ジメトキシ−2−(トリメチルシ
リルエトキシカルボニル)アミノフェニル)−2−メチル
−2−プロペン酸アミド、下記式(III):
【0021】
【化10】
【0022】ω−N−(α−N−Fmoc−リジン) (E) 3
−[4−ジメチルアミノ−2−(トリメチルシリルエトキ
シカルボニル)アミノフェニル)−2−メチル−2−プロ
ペン酸アミド、及び下記式(IV):
【0023】
【化11】
【0024】ω−N−(α−N−Fmoc−リジン) (E) 3
−[4−ジメチルアミノ−2−(t−ブチルオキシカルボ
ニル)アミノフェニル)−2−メチル−2−プロペン酸ア
ミドが好ましく、これらの中でも、ケージング基(シン
ナモイル基)のベンゼン環上にジメチルアミノ基を有す
る化合物(III)及び(IV)は、高い光吸収効率を有す
るのでより好ましい。
【0025】次に、本発明のリジン誘導体の製造方法に
ついて説明する。
【0026】図1は本発明のリジン誘導体の製造方法の
一例を示す反応経路図である。図1においては、先ず、
図1(a)に示すWittig反応により、ニトロベンズアル
デヒド誘導体(V)からシンナメート誘導体(VI)が合成
される。ここで、ニトロベンズアルデヒド誘導体(V)及
びWittig試薬は市販品を使用してもよく、また、従来よ
り公知の方法により合成したものを使用してもよい(Or
ganic Synthesis, col. vol. 3 , 641;Organic Synthe
sis, col. vol. 4 , 735;Organic Synthesis,col. vo
l. 5 , 825;Kienzle, Frank,Helv. Chim. Acta , 63,
(8), 2364 - 2369 (1980);Wani, Mansukh C et al.,
J. Med. Chem. 23, 554 - 560(1980))。また、上記反
応の反応条件についても特に制限はなく、従来より公知
の条件を使用することができる(Organic Reaction vo
l.14, 270 - 423 (1965);OrganicReaction vol.25, 73
(1977))。このようにして得られるシンナメート誘導体
(VI)は二重結合に対してシス−体、トランス−体のい
ずれであってもよく、また、それらの混合物であっても
よい。また、上記の反応により得られたシンナメート誘
導体(VI)については、赤外線吸収スペクトル(IR)、
核磁気共鳴スペクトル、質量スペクトル等を用いてその
構造を確認することができ、液体クロマトグラフィー、
ガスクロマトグラフィー等を用いてその収率及び純度を
定量することが可能である。
【0027】次に、図1(b)に示す反応により、シン
ナメート誘導体(VI)の芳香族ニトロ基がアミノ基に
還元される。還元反応の方法としては、酸性条件下で鉄
粉末等を用いる方法等の従来より公知の方法が使用で
き、その反応条件についても従来より公知の条件が使用
できる。なお、このようにして得られるアミノ誘導体
(VII)は二重結合に対してトランス−体である。ま
た、上記の反応により得られたアミノ誘導体(VII)に
ついては、赤外線吸収スペクトル(IR)、核磁気共鳴ス
ペクトル、質量スペクトル等を用いてその構造を確認す
ることができ、液体クロマトグラフィー、ガスクロマト
グラフィー等を用いてその収率及び純度を定量すること
が可能である。
【0028】更に、図1(c)に示す反応により、アミ
ノ誘導体(VII)の芳香族アミノ基がアルキルオキシカ
ルボニル基(OCOR3基)によって保護基化される。
この芳香族アミノ基の保護基化反応においては、従来よ
り公知の方法及び反応条件を使用することができる(Pr
otective Group in Organic Synthesis” 2nd ed., 321
-329., John Wiley & Sons (1991))。また、上記の反
応により得られた化合物(VIII)については、赤外線吸
収スペクトル(IR)、核磁気共鳴スペクトル、質量スペ
クトル等を用いてその構造を確認することができ、液体
クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー等を用い
てその収率及び純度を定量することが可能である。
【0029】更に、図1(d)に示す加水分解反応によ
り化合物(VIII)から酸誘導体(IX)が得られ、更に図
1(e)に示す脱水縮合反応により、化合物(IX)とN
−ヒドロキシスクシンイミド誘導体(X)とからN−ス
クシンイミジルシンナメート誘導体(XI)が合成され
る。ここで、上記の脱水縮合反応においては、従来より
公知の方法及び反応条件を使用することができるが(G.
W. Anderson et al., J. Am.Chem. Soc., 85, 3039 (1
963))、ジメチルアミド、テトラヒドロフラン、1,4
−ジオキサン、ジクロロメタン等の極性非水溶媒中で、
ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1−エチル
−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド
(EDC)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピ
ル)カルボジイミド塩酸塩(EDC-HCl)等の脱水剤を用い
て行うことが好ましい。なお、上記の反応により得られ
たN−スクシンイミジルシンナメート誘導体(XI)につ
いては、赤外線吸収スペクトル(IR)、核磁気共鳴スペ
クトル、質量スペクトル等を用いてその構造を確認する
ことができ、液体クロマトグラフィー、ガスクロマトグ
ラフィー等を用いてその収率及び純度を定量することが
可能である。
【0030】そして、図1(f)に示すカップリング反
応により、N−スクシンイミジルシンナメート誘導体
(XI)と、α位アミノ基が9−フルオレニルメチルオキ
シカルボニル基により保護基化されたリジン誘導体(XI
I)と、から本発明のリジン誘導体(I)が得られる。こ
こで、リジン誘導体(XI)は、市販品を用いてもよく、
従来より公知の方法により、リジンと9−フルオレン誘
導体とから合成されたものを用いてもよい(Protective
Group in Organic Synthesis” 2nd ed., 318-319, Jo
hn Wiley & Sons (1991))。また、前記カップリング反
応においては従来より公知の方法及び反応条件を使用す
ることができるが(A. Dondoni et al.,J. Chem. Soc.,
Chem. Commun., 20 2127-2128(1995);O. Renn et a
l., Bioconjugate Chem. 3, (6), 563-569(1992);T. S
heradsky et al., Tetrahedron Lett. 32, (1), 133-13
6(1991);P. L. Southwick et al., J. Org. Chem., 49
(6), 1130 (1984);K. Takeda et al., Tetrahedron.
Lett., 24, 4451(1983))、水、極性非水溶媒(ジメチ
ルホルムアミド、テトラヒドロフラン、1、4−ジオキ
サン、ジクロロメタン等)又はこれらの混合物を用いる
ことが好ましい。更に、前記カップリング反応におい
て、トリエチルアミン、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナ
トリウム等の塩基性化合物を反応液に添加すると、反応
速度が促進される傾向にあるので好ましい。上記の反応
により得られた本発明のリジン誘導体(I)について
は、赤外線吸収スペクトル(IR)、核磁気共鳴スペクト
ル、質量スペクトル等を用いてその構造を確認すること
ができ、液体クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフ
ィー等を用いてその収率及び純度を定量することが可能
である。
【0031】なお、上記の方法においては、化合物(VI
II)とN−ヒドロキシスクシンイミド誘導体(IX)との
反応によるN−スクシンイミジルシンナメート誘導体
(X)を経ているが、N−ヒドロキシスクシンイミド誘
導体(IX)の代わりにp−ニトロフェノール誘導体を用
いてp−ニトロフェニルエステル誘導体を経由する反応
経路によっても、本発明のリジン誘導体を得ることがで
きる。
【0032】このようにして得られた本発明のリジン誘
導体(I)を用いて固相合成を行うことにより、リジン
残基の特定の側鎖アミノ基がケージド化されたケージド
ペプチドを得ることができる。以下に本発明のケージド
ペプチドの製造方法について説明する。
【0033】図2は本発明のケージドペプチドの製造方
法の一例を示す反応経路図である。図2においては、先
ず、9−フルオレニルオキシメチル基でα位アミノ基が
保護基化されたアミノ酸(XIII)を固定相に結合させた
後、図2(a)に示す反応により、9−フルオレニルオ
キシメチル基を脱離して化合物(XIV)を得る。ここ
で、化合物(XIII)の固定相への固定化及び9−フルオ
レニルオキシメチル基の脱離反応においては、従来より
公知の方法及び反応条件を使用することができる((Pr
otective Group in Organic Synthesis” 2nd ed., 318
-319, John Wiley& Sons (1991);銭場俊彦、蛋白質
核酸 酵素、Vol.39、No.11、133-145(1994))。なお、
図2に示す合成方法では固定相にWang resinを用いて
いるが、ビニルベンゼンで架橋したポリスチレン樹脂に
官能基を導入したものや、クロロメチル化樹脂、オキシ
メチル化樹脂、オキシメチルフェニルアセトアミドメチ
ル樹脂、ベンゾヒドリルアミン樹脂等を固相合成樹脂と
して用いてもよい。また、図2において、R4はアミノ
酸の側鎖又はペプチド鎖を表す。
【0034】次に、図2(B)に示すカップリング反応
により、上記の化合物(XIV)と本発明の化合物(I)と
から化合物(XV)が合成される。前記カップリング反応
においては、従来より公知の方法及び反応条件を使用す
ることができる(銭場俊彦、蛋白質 核酸 酵素、Vol.
39、No.11、133-145(1994))。具体的には、2(1H−
ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,3,3,3−テ
トラメチルウレニウムホスフェート(2(1H-benzotriazo
l-1-yl)-1,3,3,3-tetra-methyluroniumu hexafluoropho
sphate, HBTU)等の縮合剤を用いてカップリング反応を
行うことができる。
【0035】更に、図2(a)で表される反応と同様の
方法による9−フルオレニルオキシメチル基の脱離反応
と、図2(b)で表されるカップリング反応又は本発明
のリジン誘導体(I)以外のアミノ酸を用いたカップリ
ング反応と、を交互に繰り返すことにより、ペプチド鎖
の伸長を行うことができる。なお、本発明のリジン誘導
体(I)以外のアミノ酸を用いたカップリング反応にお
いて、前記アミノ酸は目的とするケージドペプチドに応
じて適宜選択される。また、その反応方法及び反応条件
は従来より公知のものを使用することができる(銭場俊
彦、蛋白質 核酸 酵素、Vol.39、No.11、133-145(199
4))。
【0036】そして、図2(c)に示すように、上記の
ペプチド鎖伸長反応により得られた化合物(XV)を固定
相から切り離し、更にリジン残基の末端アミノ基の保護
基及び芳香族アミノ基の保護基(OCOR3基)を脱離
して、目的とするケージドペプチド(XVI)が得られ
る。ここで、化合物(XV)を固定相から切り離す工程に
おいては、従来より公知の方法及び反応条件を使用する
ことが可能である(銭場俊彦、蛋白質 核酸 酵素、Vo
l.39、No.11、133-145(1994))。また、保護基の脱離反
応においては、従来より公知の方法及び反応条件を用い
ることができる(Protective Group in Organic Synthe
sis” 2nd ed., 321-341, John Wiley & Sons (199
1))。具体的には、水中でトリフルオロ酢酸(TFA)、
フッ化水素(HF)等と反応させることにより保護基を脱
離させることができる。
【0037】このようにして得られたケージドペプチド
(XVI)は生理活性を示さないが、これに光を照射する
と、図3に示すように、ケージング基の脱離が起こり生
理活性を有するペプチドが生成する。なお、ケージング
基の脱離反応において、照射する光の波長に特に制限は
ないが、生体内で反応させる場合には長波長の光を用い
ることが好ましく、具体的には350nm付近の波長を有
する光を用いることが好ましい。
【0038】
【実施例】以下、実施例に基づいて本発明をより具体的
に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるもの
ではない。
【0039】(E) エチル 3−(4,5−ジメトキシ−
2−ニトロフェニル)−2−メチル−2−プロペネート
((E) Ethyl 3-(4,5-Dimethoxy-2-nitrophenyl)-2-met
hyl-2-propenate)の合成 暗室にて、6−ニトロベラトラルアルデヒド (6-Nitrov
eratlaldehyde, アルドリッチ社製)10 g (50.0 mmol)
と Wittig 試薬(Carboethoxy ethylidenetriphenyl
phosphorane,アルドリッチ社製 )18.1 g (50 mmol)と
を無水ベンゼンに加え、この溶液を室温で18時間撹拌し
た。反応終了後、ベンゼンを減圧留去して白色結晶を得
た。この結晶をエタノール/クロロホルム(=3/1)混合
溶媒から再結晶して目的化合物28.5 gを得た(収率76
%)。
【0040】本化合物の構造は、赤外吸収スペクトル(I
R)、1H-NMR、13C-NMR、TOF-MSにより確認した。ここ
で、赤外吸収スペクトルの測定には日本電子(株)社製
JIR-WINSPEC 50;1H-NMR及び13C-NMRの測定には日本電
子(株)社製JNM-LA300;TOF-MSの測定には島津製作所
(株)社製KOMPACT MALDII V、をそれぞれ用いた(以下
の実施例についても同様)。 IR:1700 cm-1 (エステル) TOF-MS:296 (M/C)1 H-NMR(重クロロホルム、δppm):7.93 (1H、 s、
プロペン酸3位プロトン)、 7.74 (1H、 s、 芳香環
3’位プロトン)、 6.72 (1H、 s、 芳香環6’位プロ
トン)、 4.29 (2H、 q、 J=7 Hz、 エチル基のメチレ
ン基プロトン)、 3.99 ppm (3H、 s、 メトキシ基の
メチル基プロトン) 、 3.96 (3H、 s、 メトキシ基の
メチル基プロトン) 、 1.92 (3H、 s、 ペンテン2位
のメチル基プロトン)、 1.36 (3H、 t、 J=7 Hz、エ
チル基のメチル基プロトン)13 C-NMR (重クロロホルム、δppm):167.9 (四級炭
素、1位カルボニル炭素)、 153.1 (四級炭素、 芳香
環5’位炭素)、 148.7 (四級炭素、芳香環4’位炭
素)、 145.1 (四級炭素、 ペンテン2位炭素)、 143.
4 (四級炭素、 芳香環2’位炭素)、 136.5 (CH、 ペ
ンテン3位炭素)、 126.6 (四級炭素、 芳香環1’位炭
素)、 112.3 (CH、芳香環6’位炭素)、 107.9 (C
H、 芳香環3’位炭素)、 61.9 (CH2、 エチル基のメ
チレン基炭素)、 56.5 (CH3、 メトキシ基のメチル基
炭素)、 56.5 (CH3、 メトキシ基のメチル基炭素)、
14.3 (CH 3、エチル基のメチル基炭素)、 14.1 (C
H3、 プロペン2位のメチル基炭素)。
【0041】(E) エチル 3−(2−アミノ−4,5−
ジメトキシフェニル)−2−メチル−2−プロペン酸エ
チルエステル((E) Ethyl 3-(2-amino-4,5-dimethoxyph
enyl)-2-methyl-2-propenate)の合成 (E) エチル 3−(4,5−ジメトキシ−2−ニトロフ
ェニル)−2−メチル−2−プロペネート19.0 g を氷
酢酸250ml に溶解し、これに鉄粉 15.0 g とイオン交換
水20mlを加え、加熱環流を40分間行った。反応終了後、
反応液を濾過し、得られた濾液を減圧濃縮した。この残
渣を酢酸エチルに再溶解した後、酢酸エチル層を水、5
%重曹水、飽和塩化ナトリウム水溶液にて順次洗浄し、
無水硫酸ナトリウム上で一晩放置し乾燥した。この溶液
から酢酸エチルを減圧留去し、残渣をヘキサン・エタノ
ールから再結晶して目的化合物を12.5 g 得た(収率78
%)。
【0042】本化合物の構造は、1H-NMR及び13C-NMRに
より確認した。1 H-NMR (重クロロホルム , δppm):7.57 (1H, s, プ
ロペン酸3位プロトン)、6.68 (1H, s, 芳香環6’位プロ
トン)、6.29 (1H, s, 芳香環3’位プロトン)、4.25 (2
H, q, J=7 Hz, エチル基のメチレン基プロトン)、3.84
(3H, s, メトキシ基のメチル基プロトン)、3.79 (3H,
s, メトキシ基のメチル基プロトン)、3.57 (2H, bs, ア
ミノ基プロトン)、2.03 (3H, s, ペンテン2位のメチル
基プロトン)、1.33 (3H, t, J=7 Hz, エチル基のメチル
基プロトン)13 C-NMR (重クロロホルム , δppm):168.6 (四級炭素,
1位カルボニル炭素)、150.6 (四級炭素,芳香環4’位炭
素)、141.6 (四級炭素, 芳香環2’位炭素), 139.6(quat
ernary, 四級炭素, 芳香環5’位炭素)、134.6 (CH, ペ
ンテン3位炭素), 128.2 (四級炭素, ペンテン2位炭
素)、113.5 (CH, 芳香環6’位炭素)、112.7 (四級炭素,
芳香環1’位炭素)、100.3 (CH, 芳香環3’位炭素)、6
0.8 (CH2, エチル基のメチレン基炭素)、56.7 (CH3, メ
トキシ基のメチル基炭素)、55.8 (CH3, メトキシ基のメ
チル基炭素)、14.4 (CH3, エチル基のメチル基炭素)、1
4.3 (CH3,プロペン2位のメチル基炭素)。
【0043】(E) 3−[4,5−ジメトキシ−2−(トリ
メチルシリルエトキシカルボニル)アミノフェニル)−2
−メチル−2−プロペン酸 ((E) 3-[4,5-dimethoxy-2
-(trimethylsilylethoxycarbonyl)aminophenyl]-2-meth
yl-2-propenoic acid)の合成 暗室内にて、(E) エチル 3−(2−アミノ−4,5−ジ
メトキシフェニル)−2−メチル−2−プロペネート12.
2 g (46.2 mmol)をアセトニトリル120 ml に溶解し、こ
の溶液を氷浴にて冷却しながら、窒素雰囲気下、粉砕し
た炭酸カリウム7.6 g (55.4 mmol)を加えた。更に、こ
の反応混濁液を激しく撹拌しながらトリメチルシリルエ
トキシカルボニル クロライド(Teoc-Cl) 10 g (55.4 m
mol)をゆっくりと滴下し、室温にて一夜撹拌を行った。
反応終了後、反応液を冷水500ml に注加し、これを酢酸
エチル300 ml で抽出した。得られた酢酸エチル層は
水、炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和塩化ナトリウム水
溶液の順で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにより乾燥し、
更に、溶媒を留去して粗生成物13.5 g を得た。得られ
た粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶
離液:ノルマルヘキサン/酢酸エチル=3/1)により
精製し、(E) エチル 3−[4,5−ジメトキシ−2−
(トリメチルシリルエトキシカルボニル)アミノフェニ
ル)−2−メチル−2−プロペネートを7.0 g 得た。更
に、これをジオキサン 30 ml に溶解し、これに1規定
水酸化ナトリウム水溶液 25 ml を加えて40℃で撹拌し
た.反応の終了をTLCにて確認し、反応液に蒸留水150 m
lを加え、更に1規定塩酸でpH 3に調整した後、析出し
た結晶を濾過し、乾燥して目的化合物を5.6 g 得た(収
率:32 %)。
【0044】本化合物の構造は、1H-NMR及び13C-NMRに
より確認した。
【0045】1H-NMR (重クロロホルム, δppm):8.81
(1H, bs, アミド基プロトン)、7.56 (1H, s, プロペ
ン酸3位プロトン)、6.97 (1H, s, 芳香環3’位プロ
トン)、6.89 (1H, s,芳香環6’位プロトン)、4.12
(2H, t, J=8 Hz, トリメチルシリルエトキシ基α位メチ
レン基プロトン)、3.77 (6H, s, メトキシ基メチル基
プロトン)、1.94 (3H, s,プロペン酸2位結合メチル基
プロトン)、0.94 (2H,t, J=8 Hz, トリメチルシリルエ
トキシ基β位メチレン基プロトン)、0.03 (9H,s, トリ
メチルシリルエトキシ基メチル基プロトン)13 C-NMR (重クロロホルム , δppm):169.4 (四級炭素,
プロペン酸1位カルボニル基炭素)、154.6 (四級炭素,
トリメチルシリルエトキシカルボニル基カルボニル炭
素)、148.7 (四級炭素, 芳香環4’位炭素)、145.7
(四級炭素, 芳香環5’位炭素)、134.9 (CH, プロペン
酸3位炭素)、130.3 (四級炭素, 芳香環2’位炭
素)、127.8 (四級炭素, プロペン酸2位炭素)、112.3
(CH, 芳香環6’位炭素)、62.1 (CH2, トリメチルシ
リルエトキシ基β位メチレン基炭素)、55.7(CH3, メト
キシ基メチル基炭素)、55.5 (CH3, メトキシ基メチル
基炭素)、17.3 (CH2,トリメチルシリルエトキシ基α位
メチレン基炭素)、14.0 (CH3, プロペン酸2位結合メ
チル基炭素)、-1.5 (CH3, トリメチルシリルエトキシ
基メチル基炭素)。
【0046】(E) 3−[4,5−ジメトキシ−2−(トリ
メチルシリルエトキシカルボニル)アミノフェニル)−2
−メチル−2−プロペン酸 N−ヒドロキシスクシンイ
ミジドエステル((E) 3-[4,5-dimethoxy-2-(trimethyls
ilylethoxycarbonyl)aminophenyl]-2-methyl-2-propeno
ic acid N-hydroxysuccinimide ester)の合成 暗室内にて、(E) 3−[4,5−ジメトキシ−2−(トリ
メチルシリルエトキシカルボニル)アミノフェニル)−2
−メチル−2−プロペン酸 9.0 g (23.6 mmol)をジメチ
ルホルムアミド120 ml に溶解し、氷冷下N,N’−ジシ
クロヘキシルカルボジイミド(DCC)(和光純薬社製)5.3
6 g (26.0 mmol) をこの溶液に加えて室温にて1夜撹拌
した。反応終了後、析出したジシクロヘキシル尿素を濾
別した後、得られた濾液から溶媒を減圧留去して粗生成
物を18 g 得た。この粗生成物をシリカゲルカラムクロ
マトグラフィー(移動相:ノルマルヘキサン/酢酸エチ
ル=1/1)で精製して目的化合物を6.98 g 得た(収
率:61.8 %)。
【0047】本化合物の構造は、1H-NMR及び13C-NMRに
より確認した。
【0048】1H-NMR (重クロロホルム, δppm):7.81
(1H, s, プロペン酸3位プロトン)、7.54 (1H, s, 芳
香環3’位プロトン)、6.73 (1H, s,芳香環6’位プロ
トン)、4.23 (2H, t, J=7 Hz, トリメチルシリルエト
キシ基α位メチレン基プロトン)、3.90 (3H, s, メト
キシ基メチル基プロトン)、3.83 (3H, s, メトキシ基
メチル基プロトン)、2.87 (4H, s, スクシンイミジル
基メチレン基プロトン)、2.09 (3H, s,プロペン酸2位
結合メチル基プロトン)、1.04 (2H, t, J=7 Hz,トリメ
チルシリルエトキシ基β位メチレン基プロトン)、0.03
(9H, s, トリメチルシリルエトキシ基メチル基プロト
ン)13 C-NMR (重クロロホルム , δppm):169.4 (四級炭素,
プロペン酸1位カルボニル基炭素)、163.1 (四級炭素,
スクシンイミジル基カルボニル炭素)、154.0 (四級炭
素,トリメチルシリルエトキシカルボニル基カルボニル
炭素)、150.5 (四級炭素, 芳香環4’位炭素)、145.1
(四級炭素, 芳香環5’位炭素)、139.3 (CH, プロペ
ン酸3位炭素)、130.6 (四級炭素, 芳香環2’位炭
素)、125.0 (四級炭素, プロペン酸2位炭素)、117.0
(四級炭素, 芳香環1’位炭素)、111.0(CH, 芳香環
6’位炭素)、105.6 (CH, 芳香環3’位炭素)、63.8
(CH2, トリメチルシリルエトキシ基β位メチレン基炭
素)、56.2 (CH3, メトキシ基メチル基炭素)、56.0 (C
H3, メトキシ基メチル基炭素)、25.6 (CH2, スクシン
イミジル基メチレン基炭素)、17.7 (CH2,トリメチルシ
リルエトキシ基α位メチレン基炭素)、14.4 (CH3, プ
ロペン酸2位結合メチル基炭素)、-1.5 (CH3, トリメ
チルシリルエトキシ基メチル基炭素)。
【0049】ω−N−(α−N−Fmoc−リジン) (E) 3
−[4,5−ジメトキシ−2−(トリメチルシリルエトキ
シカルボニル)アミノフェニル)−2−メチル−2−プロ
ペン酸アミドの合成 暗室にて、(E) 3−[4,5−ジメトキシ−2−(トリ
メチルシリルエトキシカルボニル)アミノフェニル)−2
−メチル−2−プロペン酸 N−ヒドロキシスクシンイ
ミジドエステル4.3 g (8.96 mmol)およびα−N−Fmoc
−リジン3.0 g(8.14 mmol,国産化学社製)をジメチル
ホルムアミド 60 mlと水10 mlとの混合液に溶解し、室
温にて一週間反応させた。反応終了後、反応液を減圧下
濃縮し、濃縮物を酢酸エチル300 mlに再溶解した。この
酢酸エチル層を水、飽和塩化ナトリウム水溶液で順次洗
浄後、無水硫酸ナトリウムを加えて乾燥させた。この溶
液から酢酸エチルを減圧留去して粗生成物を得、これを
シリカゲルカラムクロマトグラフィー(移動相:クロロ
ホルム/メタノール=10/1)で精製して目的化合物を5.
5 g 得た(収率:61.8 %)。
【0050】本化合物の構造は、1H-NMR及び13C-NMRに
より確認した。1 H-NMR (重クロロホルム, δppm):8.00 (1H, s, プロ
ペン酸3位プロトン)、7.72 (2H, d, J=7.5, FmocのFluo
rene環-4位と5位プロトン)、7.55 (2H, d, J=7.2,Fmoc
のFluorene環−3位と6位プロトン)、7.36 (2H, d-d, J=
7.4, FmocのFluorene環−1位と8位)、7.27 (2H, d, J=
7.2, FmocのFluorene環−2位と8位プロトン)、7.22 (1
H, s, アミノシンナモリル部芳香環3’位プロトン)、
7.16 (1H, s,アミノシンナモリル部芳香環6’位プロト
ン)、4.43-4.35 (3H, m, Fmoc部カルバメートα位炭
素, リジン部α位メチレンプロトン)、4.24 (3H, m, F
mocのFluorene環−9位プロトンおよびトリメチルシリル
エトキシ基β位メチレン基)、3.86 (6H, s, 芳香環結
合メトキシ基プロトン)、3.38 (2H, m, リジン部ε位
メチレン基プロトン)、1.95 (3H, s, プロペン2位結合
メチル基プロトン)、1.85 (2H, m, リジン部β位メチレ
ン基プロトン)、1.63 (2H, m, リジン部δ位メチレン
基プロトン)、1.44 (2H, m, リジン部γ位メチレン基プ
ロトン)、1.00 (2H, t,J=7 Hz, トリメチルシリルエト
キシ基α位メチレン基)、0.03 (9H, s, トリメチルシ
リルエトキシ基メチル基プロトン)13 C-NMR (重クロロホルム, δppm);162.7 (四級炭素,
アミノシンナモリル部カルボニル炭素)、156.0 (四級
炭素,トリメチルシリルエトキシカルボニル部カルボニ
ル炭素)、143.7 (四級炭素, FmocのFluorene環−8a位
と9a位炭素)、141.3(四級炭素, FmocのFluorene環−4a
位と4b位炭素)、129.0 (CH,プロペン酸3位炭素)、12
7.7 (CH, FmocのFluorene環−1位と8位炭素)、127.0
(CH,FmocのFluorene環−2位と7位炭素)、125.1 (CH, F
mocのFluorene環−4位と5位炭素)、119.9 (CH, Fmocの
Fluorene環−3位と6位炭素)、112.0 (CH,シンナモイル
部芳香環6位炭素)、108.5 (CH, シンナモイル部芳香環
3位炭素)、77.2 (CH2, Fmoc部カルバメートα位炭素)、
67.0 (CH2, トリメチルシリルエトキシ基β位メチレン
基炭素)、56.1 (CH3, 芳香環結合メトキシ基炭素)、5
6.0 (CH3, 芳香環結合メトキシ基炭素)、53.8 (CH, リ
ジンα位炭素)、38.6 (CH, リジンε位炭素)、36.5 (C
H, FmocのFluorene環9位炭素)、31.5 (CH2, リジンβ位
炭素)、21.5 (CH,リジンγ位炭素)、17.7 (CH2, トリメ
チルシリルエトキシ基α位メチレン基炭素)、14.6 (CH
3, プロペン2位結合メチル基炭素)、-1.5 (CH3, トリ
メチルシリルエトキシ基メチル基プロトン)。
【0051】4−ジメチルアミノ−2−ニトロベンジル
アルデヒド(4-Dimethylamino-2-nitrobenzaldehyde)の
合成 窒素雰囲気下、冷却したジメチルホルムアミド(DMF)88
ml にオキシ塩化リン(Phosphorous oxychloride)51 g
(0.33 mol)(和光純薬社製)を滴下した。ここで、滴
下時の溶液の温度が2−4℃を保つように滴下速度を調節
し、滴下終了後更に2℃で30分間撹拌を続けた。これに
N,N−ニトロジメチルアニリン(N,N-Dimethyl-3-nitr
oaniline) 54.8 g(0.33 mol)(東京化成工業社製)の
ジメチルホルムアミド70 ml溶液を反応温度が5℃を超え
ないように滴下し、滴下終了後、更に2時間撹拌した。
その後徐々に温度を上げて60℃で一晩撹拌反応を行っ
た。反応終了後、反応液を室温まで冷却した後、激しく
撹拌した氷水500 ml中に注加し、更に酢酸ナトリウムを
加えて溶液のpHを約8に調製して析出した結晶を濾別、
乾燥し、粗生成物50.2 gを得た。この粗生成物をアセト
ン−ノルマルヘキサンから再結晶して合成目的物を21 g
得た(収率33 %)。
【0052】本化合物の構造は、1H-NMR,13C-NMRによ
り確認した。1 H-NMR (重クロロホルム, δppm):10.12 (1H, s, ホル
ミル基プロトン)、7.91(1H, d, J=9 Hz, 6位プロト
ン)、7.10 (1H, s, 3位プロトン)、6.85 (1H, d, J=9 H
z, 5位プロトン)、3.15 (6H, s, ジメチルアミノ基プロ
トン)13 C-NMR (重クロロホルム, δppm):186.7 (CH, ホルミ
ル基)、153.6 (四級炭素, 4位炭素)、152.7 (四級炭素,
2位炭素)、131.4 (CH, 6位炭素)、117.5 (四級炭素, 1
位炭素)、114.3 (CH, 5位炭素)、105.8 (CH, 3位炭
素)、40.4 (CH3,ジメチルアミノ基メチル基炭素)。
【0053】(E) エチル 3−(4−ジメチルアミノ-2-
ニトロフェニル)−2−メチル−2−プロペネート((E)
Ethyl 3-(4-dimethylamino-2-nitrophenyl)-2-methyl-
2-propenate)の合成 4−ジメチルアミノ−2−ニトロベンジルアルデヒド(4
-Dimethylamino-2-nitrobenzaldehyde) 20.0 g (0,10 m
ol) とカルベエトキシエチリデン トリフェニルホスホ
ラン(Carbethoxy ethylidene triphneylphosphorane)
(Aldrich社製)36.2 g (0.10 mol)とをベンゼン(benz
ene) 250 mlに溶解し、室温にて一夜撹拌した。反応終
了後、反応液から溶媒を減圧留去して58 g の粗生成物
を得、これをカラムクロマトグラフィー(アミノプロピ
ル化シリカゲルFuji silysia chem. Co., NH-DM1020 )
で精製して目的化合物を結晶として20.8 g得た(収率;
74.7%)。
【0054】本化合物の構造は、1H-NMR及び13C-NMRに
より確認した。1 H-NMR (重クロロホルム, δppm):7.81 (1H, s, プロ
ペン酸3位プロトン)、7.33 (1H, s, 芳香環3’位プロト
ン)、7.23 (1H, d, J=9 Hz, 芳香環6’位プロトン)、
6.86 (1H, d, J=9 Hz, 芳香環5’位プロトン)、4.27
(2H, q, J = 7Hz,エチル基のメチレン基プロトン)、3.0
6 (6H, s,ジメチルアミノ基のメチル基プロトン )、1.9
6 (3H, s, プロペン2位結合のメチル基プロトン)、1.34
(3H, t,J=7Hz, エチル基のメチル基プロトン)13 C-NMR (重クロロホルム, δppm):168.2 (四級炭素,
1位カルボニル炭素)、150.2 (四級炭素, 芳香環2’位
炭素)、149.1 (四級炭素, 芳香環4’位炭素)、135.7
(CH, プロペン酸3位炭素)、132.0 (CH, 芳香環6’位炭
素)、128.2 (四級炭素, プロペン2位炭素)、118.0 (四
級炭素, 芳香環1’位炭素)、115.7 (CH, 芳香環5’位
炭素)、107.0 (CH, 芳香環3’位炭素)、60.8 (CH2, エ
チル基のメチレン基炭素)、40.2 (CH3, ジメチルアミノ
基のメチル基炭素)、14.3 (CH3, エチル基のメチル基炭
素)、14.1 (CH3, プロペン2位結合のメチル基炭素)。
【0055】(E) エチル 3−(2−アミノ−4−ジメチ
ルアミノフェニル)−2−メチル−2−プロペネート
((E) Ethyl 3-(2-amino-4-dimethylaminophenyl)-2-me
thyl-2-propenate)の合成 暗視室内で、エチル 3−(4−ジメチルアミノ−2−ニ
トロフェニル)−2−メチル−2−プロペネート((E) E
thyl 3-(4-dimethylamino-2-nitrophenyl)-2-methyl-2-
propenate)20.5 g (0.07 mol)、トリエチルアミン(Tr
iethylamine)(和光純薬社製)33.4 g (0.33 mol) 及
び10 % Pd/C 2.1 g をアセトニトリル(acetonitrile) 2
00 ml に溶解し、この溶液に室温で蟻酸 (formic acid)
(和光純薬社製)13.8 g (0.30 mol) を滴下した。滴下
と共に溶液の温度は上昇し、45℃となった。滴下終了
後、反応液を加熱して60℃にて1 時間撹拌した。反応の
終了をTLCで確認し、反応液を室温まで冷却した後不溶
物を濾過した。次に、濾液を減圧濃縮して残渣を酢酸エ
チル400 ml に転溶し、水、飽和炭酸水素ナトリウム水
溶液、飽和塩化ナトリウム水溶液の順で洗浄し、無水硫
酸ナトリウムにより乾燥後減圧濃縮して粗生成物17.4 g
を得た。この粗生成物をノルマルヘキサン−酢酸エチ
ルから再結晶して目的物を4.67 g 得た(収率;27
%)。
【0056】本化合物の構造は、1H-NMR及び13C-NMRに
より確認した。1 H-NMR (重クロロホルム, δppm):7.60 (1H, s, プロ
ペン酸3位プロトン)、7.08 (1H, d, J=9 Hz, , 芳香環
6’位プロトン)、6.19 (1H, d, J=8 Hz, 芳香環5’位プ
ロトン)、6.01 (1H, s, 芳香環3’位プロトン)、4.23
(2H, q, J = 7Hz, エチル基のメチレン基プロトン)、3.
74 (2H, bs, アニリン性アミノ基プロトン)、2.94 (6
H, s,ジメチルアミノ基のメチル基プロトン)、2.04 (3
H, s, プロペン2位結合のメチル基プロトン)、1.31 (3
H, t, J=7Hz, エチル基のメチル基プロトン)13 C-NMR (重クロロホルム, δppm):169.1 (四級炭素,
1位カルボニル炭素)、151.7 (四級炭素, 芳香環2’位
炭素)、146.2 (四級炭素, 芳香環4’位炭素)、134.7
(CH, プロペン酸3位炭素)、130.9 (CH, 芳香環6’位炭
素)、125.7 (四級炭素, プロペン2位炭素)、110.4 (四
級炭素, 芳香環1’位炭素)、103.3 (CH, 芳香環5’位
炭素)、98.5 (CH, 芳香環3’位炭素)、60.5 (CH2, エ
チル基のメチレン基炭素)、40.2 (CH3, ジメチルアミノ
基のメチル基炭素)、14.4 (CH3, エチル基のメチル基炭
素)、14.4 (CH3, プロペン2位結合のメチル基炭素)。
【0057】(E) 3−[4−ジメチルアミノ−2−(トリ
メチルシリルエトキシカルボニル)アミノ-フェニル]−
2−メチル−2−プロペン酸 N−ヒドロキシスクシン
イミジドエステルの合成 暗室内にて、(E) エチル 3−(2−アミノ−4−ジメチ
ルアミノフェニル)−2−メチル−2−プロペネート
((E) Ethyl 3-(2-amino-4-dimethylaminophenyl)-2-me
thyl-2-propenate)500m g (2.02 mmol)を乾燥メチレ
ンクロライドに溶解し、これにトリメチルシリルエトキ
シカルボニル スクシンイミジルエステル553m g(2.22
mmol)を加えて室温にて48時間反応させた。その後反
応液を減圧下濃縮し、酢酸エチルに溶解して水、飽和塩
化ナトリウム水溶液にて順次洗浄し、シリカゲルカラム
クロマトグラフィー(アミノプロピル化シリカゲルFuji
silysia chem. Co., NH-DM1020 ,溶出溶媒;酢酸エチ
ル/ノルマルヘキサン=1/1)にて精製して (E) エ
チル 3−[4−ジメチルアミノ−2−(トリメチルシリ
ルエトキシカルボニル)アミノフェニル]−2−メチル
−2−プロペネートを105m g 得た。これをテトラヒド
ロフラン5 ml に溶解し、1規定水酸化ナトリウム水溶
液 5 ml を加えて40℃にて2時間攪拌した。反応終了
後、反応液を減圧下濃縮し、残渣を固相抽出充填剤ダイ
ヤイオン HP-21(三菱化学社製)を用いたカラムにアプ
ライして水で溶出することで脱塩を行い、引き続き10%
メタノール水溶液にて溶出して凍結乾燥を行い、(E)
3−[4−ジメチルアミノ−2−(トリメチルシリルエ
トキシカルボニル)アミノフェニル]−2−メチル−2
−プロペン酸ナトリウム塩を90m g 得た。次に、これを
乾燥ジメチルホルムアミド5mlに溶解し、この溶液に氷
冷下ヒドロキシスクシンイミド(和光純薬社製)31mg、
N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)(和光
純薬社製)65m g (0.3mmol)、及びジメチルアミノピリ
ジン(和光純薬社製)触媒量を加えて室温にて一夜撹拌
した。反応終了後、析出したジシクロヘキシル尿素を反
応液から濾別した後、溶媒を減圧留去して粗生成物を得
た。この粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィ
ー(アミノプロピル化シリカゲルFuji silysia chem. C
o., NH-DM1020 ,溶出溶媒;酢酸エチル/ノルマルヘキ
サン=1/2)にて精製して目的物を32m g 得た(収
率:3.4 %)。
【0058】本化合物の構造は、1H-NMR及び13C-NMRに
より確認した。1 H-NMR(重クロロホルム, δppm):7.82 (1H, s, プロペ
ン酸部3位プロトン)、7.19 (1H, d, J= 8 Hz, アミノシ
ンナモイル部芳香環6’位プロトン)、6.46 (1H,d, J=
8 Hz, アミノシンナモイル部芳香環5’位プロトン)、
6.41 (1H, s, アミノシンナモイル部芳香環3’位プロ
トン)、4.10 (2H, t, J=7 Hz, トリメチルシリルエト
キシ基α位メチレン基プロトン)、3.01 (6H, s, ジメ
チルアミノ基のメチル基プロトンNMe2),2.86 (4H, s,
スクシンイミド基メチレン基プロトン),2.10 (3H, s,
プロペン2位結合のメチル基プロトン)、1.04 (2H, t,
J=7Hz, トリメチルシリルエトキシ基β位メチレン基プ
ロトン)、0.03 (9H, s, トリメチルシリルエトキシ基
メチル基プロトン).13 C-NMR(重クロロホルム, δ ppm):169.4 (四級炭素,
スクシンイミド基カルボニル炭素)、169.3 (四級炭素,
プロペン1位カルボニル炭素)、152.6 (四級炭素, トリ
メチルシリルエトキシカルボニル基カルボニル炭素)、1
51.9(四級炭素,アミノシンナモイル部芳香環4’位炭
素)、139.8 (CH, プロペン酸3位炭素)、138.4 (四級炭
素, アミノシンナモイル部芳香環2’位炭素)、131.0
(CH, アミノシンナモイル部芳香環6’位炭素)、121.0
(四級炭素, プロペン酸2位炭素)、112.4(四級炭素,
アミノシンナモイル部芳香環1’位炭素)、107.3 (CH,
アミノシンナモイル部芳香環5’位炭素)、103.9(CH,
アミノシンナモイル部芳香環3’位炭素)、63.8 (CH2,
トリメチルシリルエトキシ基β位メチレン基炭素)、4
0.1 (CH3, ジメチルアミノ基のメチル基炭素)、25.6 (C
H2, スクシンイミジル基メチレン基炭素)、17.6 (CH2,
トリメチルシリルエトキシ基α位メチレン基炭素)、1
4.5 (CH3, プロペン酸2位結合メチル基炭素)、-1.5
(CH3, トリメチルシリルエトキシ基メチル基炭素)。
【0059】ω−N−(α−N−Fmoc−リジン) (E) 3
−[4−ジメチルアミノ−2−(トリメチルシリルエトキ
シカルボニル)アミノフェニル)−2−メチル−2−プロ
ペン酸アミドの合成 Fmoc-Lys-OH 826 mg (2.15 mmol)、飽和塩化ナトリウム
水溶液 6.4 g、アセトニトリル10 ml からなる溶液に、
室温にてM175 1.0 g (2.15 mmol)のアセトニトリル 10
ml 溶液を加え、室温で一晩撹拌した。TLCで反応物の消
失を確認した後、飽和塩化ナトリウム水溶液及び酢酸エ
チルを加えて分液した。得られた酢酸エチル層を飽和塩
化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムに
て乾燥し、更に減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲ
ルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノー
ル=9/1)で精製して目的化合物を1.0 g 得た(収率63
%)。
【0060】本化合物の構造は、1H-NMR及び13C-NMRに
より確認した。1 H-NMR (重ジメチルスルホキシド, δppm):7.87 (2H,
d, J=7.5 Hz, FmocのFluorene環−4位と5位プロトン)、
7.70 (2H, d, J=7.2Hz, FmocのFluorene環−3位と6位プ
ロトン)、7.40 (2H, d-d, J=7.4 Hz, FmocのFluorene環
−1位と8位プロトン)、7.31 (2H, d, J=7.2 Hz, Fmocの
Fluorene環−2位と8位プロトン)、7.08(1H, d, J=7 Hz,
アミノシンナモイル部芳香環6’位プロトン)、7.07
(1H, s,プロペン酸3位プロトン)、6.89 (1H, s, アミ
ノシンナモイル芳香環3’位プロトン)、6.50 (1H, d,
J=7 Hz, アミノシンナモイル芳香環5’位プロト
ン)、4.27-4.17 (3H, m, Fmoc部カルバメートα位炭
素, FmocのFluorene環−9位プロトン)、4.11 (2H, t, J
=7 Hz, トリメチルシリルエトキシ基α位メチレン基プ
ロトン)、3.90 (2H, m,リジン部α位メチレン基プロト
ン)、3.13 (2H, m, リジン部ε位メチレン基プロト
ン)、2.88 (6H, s, アミノシンナモイル芳香環4’位結
合ジメチルアミノ基のメチル基プロトン)、1.86 (3H,
s, プロペン酸2位結合メチル基プロトン)、1.60-1.73
(2H, m, リジン部β位メチレンプロトン)、1.33-1.45
(4H, m, リジン部γ位とリジン部δ位メチレンプロト
ン)、0.96 (2H,t, J=7 Hz, トリメチルシリルエトキシ
基β位メチレン基プロトン)、0.01 (9H,s, トリメチル
シリル基のメチル基プロトン)13 C-NMR (重ジメチルスルホキシド, δppm):174.0 (四
級炭素四級炭素,Carbonyl(Lys))、169.0 (四級炭素, ア
ミノシンナモイル部1位カルボニル炭素)、156.1(四級
炭素,トリメチルシリルエトキシカルボニル炭素)、15
4.3 (四級炭素,Fmoc基カルボニル炭素)、150.1 (四級炭
素, アミノシンナモイル部芳香環4’位炭素)、143.8
(四級炭素, Fmoc基のFluorene環−8a位と9a位炭素)、14
0.7 (四級炭素, Fmoc基のFluorene環−4a位と4b位炭
素)、137.5 (四級炭素, アミノシンナモイル部芳香環
2’位炭素)、130.3 (四級炭素, プロペン酸2位結合
メチル基炭素)、130.0 (CH, プロペン酸3位結合炭
素)、128.9 (CH, アミノシンナモイル部芳香環6’位
炭素)、127.6 (CH, Fmoc基のFluorene環−1位と8位炭
素)、127.0 (CH, Fmoc基のFluorene環−2位と7位炭
素)、125.3 (CH, Fmoc基のFluorene環−4位と5位炭
素)、120.1 (CH, Fmoc基のFluorene環−3位と6位炭
素)、117.2 (四級炭素, アミノシンナモイル部芳香環
1’位炭素)、108.1 (CH,アミノシンナモイル部芳香環
5’位炭素)、107.5 (CH, アミノシンナモイル部芳香
環3’位炭素)、67.4 (CH2, Fmoc部カルバメートα位
炭素)、62.1 (CH2, トリメチルシリルエトキシ基α位メ
チレン基炭素)、53.8 (CH, リジンα位炭素)、46.6(C
H, Fmoc基のFluorene環−9位炭素)、39.9 (CH3, アミノ
シンナモイル芳香環4’位結合ジメチルアミノ基のメチ
ル基炭素)、38.8 (CH2, リジンε位炭素)、30.5 (CH2,
リジンδ位メチレン基炭素)、28.8 (CH2, リジンβ位
メチレン基炭素)、23.1 (CH2, リジンγ位メチレン基炭
素)、17.3 (CH2, トリメチルシリルエトキシ基β位メチ
レン基炭素)、14.5 (CH3, プロペン酸2位結合メチル
基炭素、-1.5 (CH3, トリメチルシリル基のメチル基炭
素)。
【0061】(E) 3−[4−ジメチルアミノ−2−(t
−ブチルオキシカルボニル)アミノフェニル]−2−メ
チル−2−プロペン酸 N−ヒドロキシスクシンイミジ
ドエステルの合成 暗室内にて、(E) エチル 3−(2−アミノ−4−ジメチ
ルアミノフェニル)−2−メチル−2−プロペネート
((E) Ethyl 3-(2-amino-4-dimethylaminophenyl)-2-me
thyl-2-propenate)1.4 g (5.65 mmol)を乾燥テトラ
ヒドロフラン 14 mlに溶解し、これにジ−t−ブチルジ
カルボネート(国産化学社製)1.4 g(6.21mmol)を加
えて一晩還流を行った。反応終了後、反応液を減圧下濃
縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフ
ィーカラムクロマトグラフィー(アミノプロピル化シリ
カゲルFuji silysia chem. Co., NH-DM1020 ,溶出溶
媒;酢酸エチル/ノルマルヘキサン=2/1)にて精製
して (E) エチル 3−[4−ジメチルアミノ−2−(t
−ブチルオキシカルボニル)アミノフェニル]−2−メ
チル−2−プロペネートを1.5 g 得た。これをジオキサ
ン19 ml に溶解し、2規定水酸化ナトリウム水溶液 8.2
ml を加えて40℃にて一晩攪拌した。反応終了後、メチ
ル−t−ブチルエーテルを用いて反応液からの抽出を行
い、水層のpHを2規定塩酸により約1に調整した。析出
した結晶を濾取し、水洗後減圧乾燥して(E) 3−[4−
ジメチルアミノ−2−(t−ブチルオキシカルボニル)
アミノフェニル]−2−メチル−2−プロペン酸を1.0 g
得た。次に、この化合物を乾燥ジメチルホルムアミド1
3 mlに溶解し、この溶液に氷冷下ヒドロキシスクシンイ
ミド(和光純薬社製)361 mg (3.44 mmol)とN,N’−
ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)(和光純薬社
製)708m g (3.44 mmol)とを加え、室温にて一夜撹拌し
た。反応終了後、析出したジシクロヘキシル尿素を濾別
し、濾液から溶媒を減圧留去して粗生成物を得た。これ
をイソプロピルエーテルを用いた再結晶により精製して
目的化合物を1.0 g 得た(収率:43 %)。
【0062】本化合物の構造は、1H-NMR及び13C-NMRに
より確認した。1 H-NMR(重クロロホルム, δppm):7.84 (1H, s, プロペ
ン酸部3位プロトン)、7.34(1H, bs, アミド基プロト
ン)、7.20 (1H, d, J=9 Hz, アミノシンナモイル部芳
香環6’位プロトン)、6.45 (1H, d, J= 9 Hz, アミノ
シンナモイル部芳香環5’位プロトン)、6.43 (1H, s,
アミノシンナモイル部芳香環3’位プロトン)、3.03 (6
H, s, ジメチルアミノ基のメチル基プロトンNMe2)、2.8
8 (4H, s, スクシンイミド基メチレン基プロトン)、2.1
6 (3H, s, プロペン2位結合のメチル基プロトン)、1.5
2 (9H, s, ブチルオキシカルボニル基のメチル基プロト
ン)13 C-NMR(重クロロホルム, δ ppm):169.6 (四級炭素,
スクシンイミド基カルボニル炭素)、163.7 (四級炭素,
プロペン1位カルボニル炭素)、152.7 (四級炭素, ブチ
ルオキシカルボニル基カルボニル炭素)、151.9 (四級炭
素, アミノシンナモイル部芳香環4’位炭素)、139.7
(CH, プロペン酸3位炭素)、138.5 (四級炭素, アミノシ
ンナモイル部芳香環2’位炭素)、130.9(CH, アミノシ
ンナモイル部芳香環6’位炭素)、121.1(四級炭素, プ
ロペン酸2位炭素)、112.7(四級炭素, アミノシンナモ
イル部芳香環1’位炭素)、107.0 (CH, アミノシンナモ
イル部芳香環5’位炭素)、103.9(CH, アミノシンナモ
イル部芳香環3’位炭素)、80.8(四級炭素 , ブチルオ
キシカルボニル基中心炭素)、40.1 (CH3, ジメチルア
ミノ基のメチル基炭素)、28.3 (CH3, ブチルオキシカル
ボニル基のメチル基炭素)、25.6 (CH2, スクシンイミド
基メチレン基炭素)、14.5 (CH3, プロペン2位結合のメ
チル基炭素)。
【0063】ω−N−(α−N−Fmoc−リジン) (E) 3−
[4−ジメチルアミノ−2−(t−ブチルオキシカルボニ
ル)アミノフェニル)−2−メチル−2−プロペン酸アミ
ドの合成 暗室内にて、(E) 3−[4−ジメチルアミノ−2−(t
−ブチルオキシカルボニル)アミノフェニル]−2−メ
チル−2−プロペン酸 N−ヒドロキシスクシンイミジ
ドエステル 1.1g (2.36mmol)とNαFmoc−リジン エチ
ルエステル 2.2g(5.34mmol) とを無水ジメチルホルム
アミド11mlに溶解し、飽和塩化ナトリウム水溶液1mlを
加えて室温で一晩撹拌した。TLC(薄層クロマトグラフ
ィー)で反応物の消失を確認した後、反応液に水、クロ
ロホルムを加えて分液した。得られた有機層を飽和塩化
ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムにて
乾燥し、更に減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲル
カラムクロマトグラフィー(クロロホルム/酢酸エチル
=4/1)で精製して、ω-N-(α-N-Fmoc-O-エチル-リジ
ン) (E)3-[4-ジメチルアミノ-2-(t-ブチルオキシカルボ
ニル)アミノフェニル]-2-メチル-2-プロペン酸アミドを
1.1g得た(収率65%)。
【0064】次に、暗室内にて、ω-N-(α-N-Fmoc-O-エ
チル-リジン) (E)3-[4-ジメチルアミノ-2-(t-ブチルオ
キシカルボニル)アミノフェニル]-2-メチル-2-プロペン
酸アミド 1.1g(1.54mmol)、2mol/l水酸化ナトリウム溶
液1.0ml(2.00mmol)、ジオキサン10mlからなる溶液を室
温で一晩撹拌した。TLC(薄層クロマトグラフィー)で
反応物の消失を確認後、反応液に水、メチル t−ブチ
ルエーテルを加えて分液し、水層に氷冷下で2mol/l塩酸
1.0mlを加えた。この溶液からジオキサンを除いた後、
カラムクロマトクロマトグラフィー(ダイアイオンHP-2
L、水溶出)で精製して、ω-N-(α-N-Fmoc-リジン) (E)
3-[4-ジメチルアミノ-2-(t-ブチルオキシカルボニル)ア
ミノフェニル]-2-メチル-2-プロペン酸アミドを600mg得
た(収率87%)。
【0065】更に、暗室内にて,ω-N-(α-N-Fmoc-リジ
ン) (E)3-[4-ジメチルアミノ-2-(t-ブチルオキシカルボ
ニル)アミノフェニル]-2-メチル-2-プロペン酸アミド60
0mg(1.34mmol)とFmoc-OSu 542mg(1.61mmol)(国産化学
社製)とを無水メチレンクロライド12mlに溶溶解し、室
温でトリエチルアミン162mg (1.61mmol)(和光純薬社
製)を加え、室温で一晩撹拌した。TLC(薄層クロマト
グラフィー)で反応物の消失を確認後、反応液を飽和塩
化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムに
て乾燥し、更に減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲ
ルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノー
ル=9/1)で精製して目的化合物を400mgを得た(収率44
%)。
【0066】本化合物の構造は、1H-NMR及び13C-NMRに
より確認した。1 H-NMR (重クロロホルム, δppm):7.68 (2H, d, J=7.
5, FmocのFluorene環−4位と5位プロトン)、7.52 (2H,
d, J=7.2, FmocのFluorene環−3位と6位プロトン)、7.3
2 (2H, d-d, J=7.4, FmocのFluorene環−1位と8位プロ
トン)、7.24 (2H,d, J=7.2, FmocのFluorene環−2位と8
位プロトン)、7.20 (1H, s, プロペン酸3位プロト
ン)、7.05 (1H, d, J=7 Hz, アミノシンナモイル部芳
香環6’位プロトン)、6.98 (1H, s, アミノシンナモ
イル部芳香環3’位プロトン)、6.04 (1H, d, J=7 Hz
, アミノシンナモイル部芳香環5’位プロトン)、4.4
3-4.12 (4H, m, Fmoc部カルバメートα位炭素, FmocのF
luorene環−9位プロトン,リジン部α位メチレンプロト
ン)、3.35 (2H, m, リジン部ε位メチレンプロトン)、
2.91(6H, s, アミノシンナモイル芳香環4’位結合ジメ
チルアミノ基メチルプロトン)、1.93 (3H, s, プロペ
ン2位結合メチル基プロトン)、1.79 (2H, m, リジン
部β位メチレンプロトン)、1.47 (9H, s, Boc基のメチ
ル基プロトン)、1.48-1.40 (4H, m, リジン部γ位とδ
位メチレン基プロトン)13 C-NMR (重クロロホルム, δppm):147.1 (四級炭素,
カルボニル炭素)、143.8(四級炭素アミノシンナモイル
部芳香環4’位炭素)、143.7 (四級炭素, FmocのFluor
ene環 8a位と9a位炭素)、141.3 (四級炭素, FmocのFlu
orene環 −4a位と4b位炭素)、134.0 (CH, プロペン酸3
位炭素)、130.4 (CH,アミノシンナモイル部芳香環6’
位炭素)、127.7 (CH, FmocのFluorene環−1位と8位炭
素),127.0 (CH, FmocのFluorene−2位と7位炭素)、12
5.1 (CH, FmocのFluorene環−4位と5位炭素)、119.9 (C
H, FmocのFluorene環−3位と6位炭素)、117.1 (CH,ア
ミノシンナモイル部芳香環5’位炭素)、108.5 (CH, ア
ミノシンナモイル部芳香環3’位炭素)、77.2 (CH2, Fm
oc部カルバメートα位炭素)、53.7 (CH, リジンα位炭
素)、47.2 (CH3, ジメチルアミノ基メチル基炭素)、4
6.0(CH, リジンε位炭素)、40.4 (CH, FmocのFluorene
−9位炭素)、31.4 (CH2, リジンδ位炭素)、31.0 (CH 2,
リジンβ位炭素)、28.4 (CH3, t−ブチルオキシカル
ボニル部メチル基炭素)、21.5 (CH, リジンγ位炭
素)、14.9 (CH3, Propen-2-Me)。
【0067】ジペプチドの合成 Fmoc 法を用いて、本発明のリジン誘導体であるω−N−
(α−N−Fmoc−リジン)(E)3−[4,5−ジメトキシ
−2−(トリメチルシリルエトキシカルボニル)アミノフ
ェニル]−2−メチル−2−プロペン酸アミドと、リジ
ンの側鎖にジメトキシシンナメート基を有するアルギニ
ンと、からジペプチドを合成した。 (固相合成シークエンス)側鎖アミノ基をMtr(2,3,6-T
rimethyl-4-methoxybenzonesulfonyl)基で保護したア
ルギニンを導入したペプチド固相合成用ポリマー(国産
化学製,Fmoc-Arg(Mtr)O-Polymer)1.5 g (0.825 mmol)
と、ω−N−(α−N−Fmoc−リジン)(E)3−[4,5−
ジメトキシ−2−(トリメチルシリルエトキシカルボニ
ル)アミノフェニル]−2−メチル−2−プロペン酸アミ
ドとを、底部にフィルターを備えた内容量25mlのポリプ
ロピレン製反応装置にとり、洗浄、保護基の脱離、洗
浄、カップリング、洗浄、保護基の脱離、洗浄、乾燥、
固定相からの脱離及び保護基の脱離、濃縮及び結晶化、
洗浄の順で一連のジペプチド合成シーケンスを行った。
合成条件を表1に示す。
【0068】
【表1】
【0069】このようにして得られた粗生成物は570 mg
であった。この粗生成物をODSカラムを用いて以下の条
件で分取精製した。 カラム: Fuji gel ODS DM3050 (ODS, 30-50um) 24 x 3
00mm 移動相: 10% MeCN / 0.1 % TFA-25 % MeCN gradient. 流速: 15 ml / min この条件で粗生成物300 mg を分離し、フラクションを
凍結乾燥して目的化合物を白色粉末として80 mg 得た。
【0070】本化合物の構造確認は1H-NMRにて行った.1 H-NMR (重水,δppm):7.17 (1H, s, プロペン酸3
位プロトン)、7.03(1H, s, アミノシンナモイル部芳
香環6’位プロトン)、6.98(1H, s, アミノシンナモ
イル部芳香環3’位プロトン)、4.29(1H,dd,J=8Hz,
J=6Hz,アルギニン部α位プロトン)、4.05(1H,t,J=
6Hz, リジン部α位プロトン)、3.91(3H, s, アミノシ
ンナモイル部芳香環結合メトキシ基のメチル基プロト
ン)、3.89(3H, s, アミノシンナモイル部芳香環結合
メトキシ基のメチル基プロトン)、3.35(2H, t, J=7 H
z, リジン部ε位メチレン基プロトン)、3.16(2H, t,
J=7Hz, アルギニン部δ位メチレン基プロトン)、1.98-
1.88(4H,m,リジン部β位メチレン基プロトンとアル
ギニン部β位メチレン基プロトン)、1.93(3H, s, プ
ロペン2位結合メチル基プロトン)、1.81-1.70(4H,
m, リジン部γ位メチレン基プロトン)、1.54-1.44(2
H, m, リジン部δ位メチレン基プロトン)。
【0071】生理活性ペプチドの固相合成(1) ω−N−(α−N−Fmoc−リジン)(E)3−[4,5−ジメ
トキシ−2−(トリメチルシリルエトキシカルボニル)ア
ミノフェニル]−2−メチル−2−プロペン酸アミドを
用いて、Fmoc法により下記式: NH2-Gly-Gly-Gly-Pro-Lys-Lys(AC)-Lys-Arg-Lys-Val-Gl
y-Cys-COOH (式中、ACはアミノシンナモイル基を表す)で表される
12merの核移行シグナルペプチド(NLS)を合成した。
【0072】(装置及び試薬)ケージドリジン(Lys(A
C))を除くアミノ酸の導入には下記(A)に示す装置及
び試薬を、ケージドリジンの導入には下記(B)に示す
装置及び試薬を用い、合成手順は各装置に組み込まれて
いるソフトウェアに従った。
【0073】(A): 装置:Applied Biosystems (PE Biosystems)社製ペプチ
ド自動合成装置433A 縮合剤;2-(1H-Benzotiazole-1-yl)-1,1,3,3-tetrameth
yluronium hexafluorophosphate(HBTU) 固定相:Fmoc-Cys(Trt)-Wang Resin (ABI)(0.34 mmo
l) アミノ酸誘導体:Fmoc-Gly, Fmoc-Pro, Fmoc-Lys(Boc)
(Fmoc-Lysの側鎖アミノ基をt−ブチルオキシカルボニ
ル基で保護基化したもの), Fmoc-Arg(Pbf)(Fmoc-Arg
の側鎖アミノ基をジフェニルホスフィノチオイル基で保
護基化したもの), Fmoc-Val(以上、ペプチド研究所社
製)(これらのアミノ酸誘導体は縮合反応時に4当量ず
つ使用した) (B): 装置:Advanced Chem Tech社製ACT-90ペプチド自動合成
装置 縮合剤;WSCD-HOBt アミノ酸誘導体;ω−N−(α−N−Fmoc−リジン)(E)
3−[4,5−ジメトキシ−2−(トリメチルシリルエト
キシカルボニル)アミノフェニル]−2−メチル−2−プ
ロペン酸アミド(Fmoc-Lys(AC))(縮合反応時に1.2当
量ずつ使用した) その他の試薬:ジイソプロピルエチルアミン(DIEA),ピ
ペリジン,トリフルオロ酢酸。
【0074】(合成方法)合成はアミノ酸のC末端より
初めてN末端に向けて行った。先ず、上記(A)に示した装
置の反応槽中で最初のFmoc-Cys(Trt)-Wang ResinのFmoc
基をピペリジンにより除去し、2番目のアミノ酸誘導体
であるFmoc-GlyをHOBt存在下、HBTUにより反応槽にある
Cys(Trt)-Wang Resinと縮合させた。反応終了後、次の
アミノ酸を縮合させるためにピペリジン処理を行って樹
脂上にあるFmoc基を除去した。その後、3番目のアミノ
酸誘導体であるFmoc-valをHBTU(もしくはWSCD-HOBt)
で縮合させた。同様の操作をプログラムに従って自動的
にN末端アミン酸まで繰り返し行い、得られたペプチド
樹脂を乾燥した。 (固相樹脂からのペプチドの切り出し)暗室内にて、合
成保護ペプチド樹脂にTFA(20ml)-Triisopropylsilane
(0.54 ml)-H2O (0,54 ml)を加えて室温で2時間撹拌し
た。反応終了後、反応液にジイソプロピルエーテル 100
mlを加えてペプチドを沈殿させ、生成した沈殿を樹脂
と共に濾取してジイソプロピルエーテルで3回洗浄し
た。これに0.1 %TFA水溶液 50ml を加えてペプチドを抽
出し、メンブランフィルターで樹脂を濾去して直ちに後
述する精製を行った。 (RP-HPLCによる精製)上記の水溶液を下記の条件で精
製して主画分をとり、凍結乾燥した。
【0075】カラム:ODS系 逆相カラム 分析:4.6 x 150 mm, YMC A-302 s-5 120A ODS 分取:30 x 150 mm, YMC SH-363-5 120A ODS 溶出:6%→26%アセトニトリル(0.1%TFA含有)直線濃度
勾配溶出 得られた化合物の収量は210 mgであった。本化合物の同
定はアミノ酸分析およびESI-MS分析により行った。以下
にその結果を示す。 質量分析(ESI-MS): 1433.9 ([M+H] exact、計算値:1433.81) 717.5 ([M+2H] exact/2、計算値:717.41) 478.8 ([M+3H] exact/3、計算値:478.61)。
【0076】生理活性ペプチドの固相合成(2) ω−N−(α−N−Fmoc−リジン)(E)3−[4,5−ジメ
トキシ−2−(トリメチルシリルエトキシカルボニル)ア
ミノフェニル]−2−メチル−2−プロペン酸アミドを
用いて、Fmoc法により下記式: NH2-Gly-Gly-Gly-Pro-Lys(AC)-Lys-Lys(AC)-Arg-Lys-Va
l-Gly-Cys-COOH (式中、ACはアミノシンナモイル基を表す)で表される
12merの核移行シグナルペプチド(NLS)を合成した。
【0077】(装置及び試薬)ケージドリジン(Lys(A
C))を除くアミノ酸の導入には下記(A)に示す装置及
び試薬を、ケージドリジンの導入には下記(B)に示す
装置及び試薬を用い、合成手順は各装置に組み込まれて
いるソフトウェアに従った。
【0078】(A): 装置:Applied Biosystems (PE Biosystems)社製ペプチ
ド自動合成装置433A 縮合剤:2-(1H-Benzotiazole-1-yl)-1,1,3,3-tetrameth
yluronium hexafluorophosphate(HBTU) 固定相:Fmoc-Cys(Trt)-Wang Resin (ABI) 0.34 mmol アミノ酸誘導体:Fmoc-Gly, Fmoc-Pro, Fmoc-Lys(Boc),
Fmoc-Arg(Pbf), Fmoc-Val(ペプチド研究所社製)(こ
れらのアミノ酸誘導体は縮合反応時に4当量ずつ使用し
た) (B): 装置: Advanced Chem Tech社製ACT-90 ペプチド自動合
成装置 縮合剤;WSCD-HOBt アミノ酸誘導体:ω−N−(α−N−Fmoc−リジン)(E)
3−[4,5−ジメトキシ−2−(トリメチルシリルエト
キシカルボニル)アミノフェニル]−2−メチル−2−プ
ロペン酸アミド(Fmoc-Lys(AC))(縮合反応時に1.2当
量ずつ使用した) その他の試薬:ジイソプロピルエチルアミン(DIEA),ピ
ペリジン,トリフルオロ酢酸。
【0079】(合成法法)合成はアミノ酸のC末端より
初めてN末端に向けて行った。先ず、上記(A)に示した装
置の反応槽中で最初のFmoc-Cys(Trt)-Wang ResinのFmoc
基をピペリジンにより除去し、2番目のアミノ酸誘導体
であるFmoc-GlyをHOBt存在下、HBTUにより反応槽にある
Cys(Trt)-Wang Resinと縮合させた。反応終了後、次の
アミノ酸を縮合させるためにピペリジン処理を行って樹
脂上にあるFmoc基を除去した。その後、3番目のアミノ
酸誘導体であるFmoc-valをHBTU(もしくはWSCD-HOBt)
で縮合させた。同様の操作をプログラムに従って自動的
にN末端アミン酸まで繰り返し行い、得られたペプチド
樹脂を乾燥した。
【0080】(固相樹脂からペプチドの切り出し)暗室
内にて、合成保護ペプチド樹脂にTFA(20ml)-Triisoprop
ylsilane (0.54 ml)-H2O (0,54 ml)を加えて室温で2時
間撹拌した。この溶液にジイソプロピルエーテル 100 m
lを加えてペプチドを沈殿させ、生成した沈殿を樹脂と
共に濾取してジイソプロピルエーテルで3回洗浄した。
これに0.1 %TFA水溶液 50 ml を加えてペプチドを抽出
し,メンブランフィルターで樹脂を濾去し,直ちに後述
の精製を行った。
【0081】(RP-HPLCによる精製)上記の水溶液を下
記の条件で精製して主画分をとり、凍結乾燥した。
【0082】カラム:ODS系 逆相カラム 分析:4.6 x 150 mm, YMC A-302 s-5 120A ODS 分取:30 x 150 mm, YMC SH-363-5 120A ODS 溶出:6%→26%アセトニトリル(0.1%TFA含有)直線濃度
勾配溶出 得られたペプチドの収量は260 mgであった。本化合物の
同定はアミノ酸分析およびESI-MS分析により行った。以
下にその結果を示す。 質量分析(ESI-MS): 1653.1 ([M+H] exact、計算値:1452.89) 827.0 ([M+2H] exact/2、計算値:826.95) 551.8 ([M+3H] exact/3、計算値:551.64) 414.1 ([M+4H] exact/4、計算値:413.98)。
【0083】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のリジン誘
導体を用いてケージドペプチドの固相合成を行うことに
より、より長波長の光に対して高い光感受性を示し且つ
ケージング基の脱離によりニトロソ誘導体を生成しない
ペプチドを得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(f)はぞれぞれ本発明のリジン誘導
体の合成方法の一例を示す反応経路図である。
【図2】(a)〜(c)はそれぞれ本発明のリジン誘導
体を用いたケージドペプチドの固相合成法の一例を示す
反応経路図である。
【図3】本発明のリジン誘導体を用いて得られたケージ
ドペプチドからケージング基を脱離させる反応の一例を
示す反応経路図である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記式(I): 【化1】 (式中、R1及びR2はそれぞれ独立でも異なっていても
    よく、水素原子、炭素数1〜4のアルキルオキシ基又は
    炭素数1〜4のアルキルアミノ基を表し、R3はt−ブ
    チル基又は炭素数4〜7のトリメチルシリルアルキル基
    を表す)で表されることを特徴とするケージドペプチド
    合成用リジン誘導体。
  2. 【請求項2】 下記式(II)から(IV)のうちのいずれ
    かで表される構造を有することを特徴とする、請求項1
    に記載のリジン誘導体。 【化2】 【化3】 【化4】
  3. 【請求項3】 下記式(I): 【化5】 (式中、R1及びR2はそれぞれ独立でも異なっていても
    よく、水素原子、炭素数1〜4のアルキルオキシ基又は
    炭素数1〜4のアルキルアミノ基を表し、R3はt−ブ
    チル基又は炭素数4〜7のトリメチルシリルアルキル基
    を表す)で表されるケージドペプチド合成用リジン誘導
    体と、固定相と結合したアミノ酸又はペプチドと、を縮
    合させる第一のステップと、 前記第一のステップにより得られた化合物から9−フル
    オレニルメチルオキシカルボニル基を脱離させる第二の
    ステップと、 前記第二のステップにより得られた化合物を固定相から
    脱離させる第三のステップと、 前記第三のステップにより得られた化合物からアルキル
    オキシカルボニル基(OCOR3基)を脱離させるステ
    ップと、を含むことを特徴とするケージドペプチドの合
    成方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007302584A (ja) * 2006-05-10 2007-11-22 National Institute Of Advanced Industrial & Technology ケージドペプチド
JP2007332042A (ja) * 2006-06-12 2007-12-27 National Institute Of Advanced Industrial & Technology ケージドペプチドの合成法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007302584A (ja) * 2006-05-10 2007-11-22 National Institute Of Advanced Industrial & Technology ケージドペプチド
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