JP2007299630A - 接点開閉装置 - Google Patents

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Koji Yokoyama
浩司 横山
Riichi Uotome
利一 魚留
Shoichi Kobayashi
昌一 小林
Ryosuke Meshii
良介 飯井
Hideki Ueda
英喜 上田
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Abstract

【課題】導電性流体用の流体注入口から導電性流体が流出することを抑制できる接点開閉装置を提供することにある。
【解決手段】接点開閉装置1は、半導体基板3及び絶縁基板6を用いて形成され、導電性流体L1が流動自在に収納されるとともに一対の接点7a,8aが露設される流体収納室2d、及び該流体収納室2dに導電性流体L1を注入する流体注入口3fを有する本体部2と、流体収納室2d内に収納された導電性流体L1を流動させ、一対の接点7a,8a間の導通状態を切り換えるアクチュエータ9とを備え、流体収納室2dにおいて流体注入口3fと連通する部位である第1チャンネル2bは、流体注入口3fの開口の大きさ以上の大きさに形成され、流体注入口3fの内面には、流体流入口3fの内面よりも導電性流体L1に対する濡れ性が良好な金属材料製の薄膜からなる流出防止部4が設けられている。
【選択図】図1

Description

本発明は、液体金属のような導電性流体を介して接点を開閉する接点開閉装置に関するものである。
従来、液体金属のような導電性流体を介して接点を開閉する接点開閉装置が種々提案されている。例えば、特許文献1には、所定の体積を持ち、その内部の空気を加熱するヒータが設置されている能動貯蔵庫と、能動貯蔵庫と所定の間隔に離隔されてその内部にヒータが設置されている、同一な体積を持つ受動貯蔵庫と、能動貯蔵庫と受動貯蔵庫の間の空間に延長されて液体金属の移動路としての役割を果すチャンネルと、互いに離隔されてチャンネルの所定の領域で各々チャンネルの内部に一端が挿入され外部に伸びる第1信号電極と、第1信号電極と一定の間隔に離隔されて同一な形状で形成された第2信号電極と、チャンネルの内部に実装されて第1信号電極と第2信号電極の接点としての役割を果す液体金属と、半導体基板の上、下側面に接合された上、下部ガラス基板とを備え、ヒータに通電して能動貯蔵庫又は受動貯蔵庫内の空気を加熱して膨張させることでチャンネル内部の液体金属を移動させ、第1信号電極と第2信号電極とを液体金属を介して導通させるオン状態と導通させないオフ状態とを切り換えるようにした熱駆動型のマイクロリレーが開示されている。
しかしながら、特許文献1に開示されている従来例は、能動貯蔵庫並びに受動貯蔵庫内の空気をヒータで加熱して膨張させた空気によってチャンネル内部の液体金属を移動させているので、ヒータの通電開始から液体金属が移動してオン・オフが切り換わるまでの時間(動作時間)が比較的に長くなってしまい、応答性が低いという問題があった。
かかる問題点に鑑みて、本発明者らは、図3(a)〜(e)に示す接点開閉装置100を想起するに至った。尚、以下の説明では、説明の簡略化のために、図3(a)における紙面手前方を接点開閉装置100の前方、図3(a)における紙面奥方を接点開閉装置100の後方と規定する。
図3(a)〜(e)に示す接点開閉装置100は、半導体基板103及び絶縁基板105を用いて形成され、導電性流体L100及び当該導電性流体L100と混合されない絶縁性流体L200が収納されるとともに、一対の接点106a,106aが露設される流体収納室102aを有する本体部102と、本体部102を部分的に変形させることで導電性流体L100を移動させ、一対の接点106a,106a間の導通状態を切り換えるアクチュエータ107とを備えている。
尚、接点開閉装置100では、導電性流体L100として、常温常圧(25℃、1気圧)で液体の金属(例えば、水銀)を用い、導電性流体L100と混合されない絶縁性流体L200として、空気を用いている。また尚、説明の簡略化のため、図3では、導電性流体L100をハッチの網掛けで示し、絶縁性流体L200をドットの網掛けで示している。
本体部102は、図3(c)に示すように、半導体基板103と、絶縁基板105とを用いて構成されている。
半導体基板103は、単結晶のシリコン基板からなり、図3(c)に示すように、前面には、略矩形状の凹部103aが設けられており、半導体基板103の裏面において凹部103aに対応する部位には、導電性流体L100を収納するチャンバ102a用の凹所103bが設けられており、この凹所103bは、図3(b)に示すように略菱形に形成されている。したがって、図3(c)に示すように、半導体基板103において凹部103aの底壁部が、薄膜状のダイアフラム部103cとなっており、このダイアフラム部103cの略中央部には、図3(c)に示すように、前方へ突出する角錐台形の突部103dが一体に突設されている。
また、凹所103bの一端側(図3(b)における右端側)には、チャンバ102a内に導電性流体L100を注入するための第1チャンネル102b用の略矩形状の第1溝部103eが形成されており、この第1溝部103eは、図3(c)に示すように、正方形状の流体注入口103fにより半導体基板103の前面側と連通している。流体注入口103fは、第1チャンネル102b内に導電性流体L100を注入するために設けられており、導電性流体L100を注入した後に、図3(a)に示すように、略矩形状のガラス板からなる閉塞板104により閉塞される。
一方、凹所103bの他端側(図3(b)における左端側)には、導電性流体L100が移動する流路(移動路)となる第2チャンネル102c用の蛇行形状の第2溝部103gが形成されている。
絶縁基板105は、外形寸法が半導体基板103と略同一のガラス基板からなり、半導体基板103の後面に、陽極接合によって接合される。このように絶縁基板105を半導体基板103の後面に接合することにより、凹所103b及び第1溝部103e並びに第2溝部103gの後面開口がそれぞれ閉塞される。そして、絶縁基板105により後面開口が閉塞された凹所103bが、導電性流体L100を収納するチャンバ102aとして、絶縁基板105により後面開口が閉塞された第1溝部103eが、導電性流体L100をチャンバ102aに注入するための第1チャンネル102bとして、絶縁基板105により後面開口が閉塞された第2溝部103gが、導電性流体L100の流路となる第2チャンネル102cとしてそれぞれ用いられ、これらチャンバ102aと第1及び第2チャンネル102b,102cによって、導電性流体L100が流動自在に収納される流体収納室102dが構成される。
一方、絶縁基板105において、半導体基板103の第2溝部103gに対向する部位(すなわち、第2チャンネル102cの底面部となる部位)には、図3(b),(d)に示すように、一対のスルーホール105a,105aが貫設されており、各スルーホール105aの内周面及び前面開口には、導電性金属材料(例えば半田等)を用いためっき層からなる接点(コンタクト)106aが形成されている。したがって、絶縁基板105を半導体基板103に接合した際には、一対の接点106a,106aが第2チャンネル2c内に露設されることになる。また、絶縁基板105の後面には、銅等の導電性金属材料を用いた一対の電極パッド106b,106bがそれぞれ形成されており、各電極パッド106bは、配線パターン106cによって各接点106aに個別に接続されている。
本体部102は、上述したように半導体基板103の後面に絶縁基板105を陽極接合することにより構成されており、流体収納室102dには、流体注入口103fから導電性流体L100が所定量だけ注入される。さらに詳しく説明すると、導電性流体L100は、第2チャンネル102cの他端側に、空気からなる絶縁性流体L200を閉じ込めるようにして流体注入口103fから第1チャンネル102bを通してチャンバ102a内に注入される。そして、導電性流体L100を流体収納室102dに注入した後には、半導体基板103の前面に閉塞板104が接合され、これにより液体注入口103fの前面開口が閉塞される。
ここで、本体部102の流体収納室102dに注入する導電性流体L100の量は、ダイアフラム部103cが変形されていない際に、導電性流体L100が、いずれの接点106a,106aとも接触しないような量に設定している。すなわち、図3に示す接点開閉装置100は、常開型(ノーマリーオープン型)の接点開閉装置となっている。
アクチュエータ107は、例えば扁平な棒状に形成された圧電振動子からなり、先端部を凹部103aと対向させると同時に突部103dの先端に当接させる形で半導体基板103の前面に接合された片持ち梁構造を有している。したがって、アクチュエータ107の厚み方向に電圧を印加すれば、固定されていないアクチュエータ107の先端部がダイアフラム部103cに近づく向き(図3(c)における下方)に撓んで突部103dを押圧し、これにより半導体基板103のダイアフラム部103cが凹所103b側へ変形する(撓む)ことになる。そして、電圧の印加を停止すれば、アクチュエータ107が突部103dを押圧しなくなり、これによりダイアフラム部103cが元の形に復帰することになる。
次に、接点開閉装置100の動作について説明する。まず、電圧が印加されていない状態では、アクチュエータ107が動作しないためにダイアフラム部103cが変形しておらず、このとき、流体収納室102d内に収納されている導電性流体L100は、いずれの接点106a、106aとも接触しておらず、接点106a,106a間は絶縁(開成)されている(オフ状態)。
このオフ状態から電圧を印加してアクチュエータ107を駆動すると、アクチュエータ107の先端部が突部103dを押圧し、これによりダイアフラム部103cが後方に押し下げられる。このようにダイアフラム部103cが押し下げられると、チャンバ102aの容積が減少し、これによりチャンバ102a内に収納されている導電性流体L100が第2チャンネル102c側へ移動(流動)させられ、これにより一対の接点106a,106aが導電性流体L100によって短絡(閉成)される(オン状態)。
そして、このオン状態から電圧の印加を停止すれば、アクチュエータ107によって変形させられていたダイアフラム部103cが元の状態に復帰する。これに伴ってチャンバ102aの容積が元に戻るから、第2チャンネル102c内の絶縁性流体L200の圧力によって、第2チャンネル102c側に移動していた導電性流体L100がチャンバ102a側に戻って、一対の接点106a,106aが開成される(オフ状態)。
このように接点開閉装置100では、アクチュエータ107によりダイアフラム部103cを変形させることで、導電性流体L100を移動させるようにしているので、特許文献1のように、ヒータにより空気を熱膨張させることにより液体金属を移動させているものに比べて、接点間の導通状態が切り換わるまでの動作時間を十分に短くすることができて、応答性の向上を図ることができていた。
特開平9−161640号公報
上述の接点開閉装置100では、導電性流体L100は、第2チャンネル102cの他端側に、空気からなる絶縁性流体L200を閉じ込めるようにして流体注入口103fから第1チャンネル102bを通してチャンバ102a内に注入されており、導電性流体L100を流体収納室102dに注入した後には、半導体基板103の前面に閉塞板104を接合して、流体注入口103fの前面開口を閉塞している。
しかしながら、閉塞板104を接合するまでは、流体注入口103fは開放されているため、流体収納室102d内の導電性流体L100が流体注入口103fから流出してしまうという問題が生じていた。
特に、図3に示す接点開閉装置100では、流体収納室102dにおいて流体注入口103fと連通する部位である第1チャンネル102bの幅が、流体注入口103fの幅よりも狭くなっているため、導電性流体L100が、幅の狭い第1チャンネル102bから幅の広い流体注入口103fに移動し易く、これにより導電性流体L100の流出が促進されてしまうという問題が生じていた。
本発明は上述の点に鑑みて為されたもので、その目的は、流体注入口から導電性流体が流出することを抑制できる接点開閉装置を提供することにある。
上述の課題を解決するために、請求項1の接点開閉装置の発明では、導電性流体が流動自在に収納されるとともに一対の接点が露設される流体収納室、及び該流体収納室に導電性流体を注入する流体注入口を有する本体部と、流体注入口を閉塞するようにして本体部に接合される閉塞板と、流体収納室の容積が変化するように本体部を部分的に変形させることで流体収納室内で導電性流体を移動させ、一対の接点間の導通状態を切り換えるアクチュエータとを備え、流体収納室において流体注入口と連通する部位は、流体注入口の開口の大きさ以上の大きさに形成されていることを特徴とする。
請求項2の接点開閉装置の発明では、請求項1の構成に加えて、流体注入口の内面には、導電性流体に対する濡れ性が流体注入口の内面よりも良好な金属材料製の薄膜が設けられていることを特徴とする。
請求項3の接点開閉装置の発明では、請求項1又は2の構成に加えて、流体収納室の内面には、導電性を有する流体の流体注入口からの流出を防止する逆止弁が設けられていることを特徴とする。
請求項1の接点開閉装置の発明は、流体収納室において流体注入口と連通する部位を、流体注入口の開口の大きさ以上の大きさに形成しているので、流体注入口から導電性流体を注入した際に、導電性流体が逆流して流体注入口から流出してしまうことを抑制できるという効果を奏する。
請求項2の接点開閉装置の発明は、流体注入口の内面に、導電性流体に対する濡れ性が良好な金属材料製の薄膜を設けているので、流体注入口の内面に導電性流体が付着し易くなり、これにより、導電性流体が流体注入口から流出してしまうことをさらに抑制できるという効果を奏する。
請求項3の接点開閉装置の発明は、逆止弁により導電性流体の流出を抑制でき、これにより、導電性流体が逆流して流体注入口から流出してしまうことをさらに抑制できるという効果を奏する。
以下に、本発明の接点開閉装置の一実施形態について図1及び図2を参照して説明する。尚、以下の説明では、図1(c)における上方を接点開閉装置の前方、図1(c)における下方を接点開閉装置の後方と規定する。
(実施形態1)
本実施形態の接点開閉装置1は、半導体基板3及び絶縁基板6を用いて形成され、導電性流体L1が流動自在に収納されるとともに一対の接点7a,8aが露設される流体収納室2d、及び該流体収納室2dに導電性流体L1を注入する流体注入口3fを有する本体部2と、流体注入口3fを閉塞する閉塞板5と、流体収納室2d内に収納された導電性流体L1を流動させ、一対の接点7a,8a間の導通状態を切り換えるアクチュエータ9とを備え、流体収納室2dにおいて流体注入口3fと連通する部位である第1チャンネル2bは、流体注入口3fの開口の大きさ以上の大きさに形成され、流体注入口3fの内面には、流体流入口3fの内面よりも導電性流体L1に対する濡れ性が良好な金属材料製の薄膜からなる流出防止部4が設けられている。
ところで、本実施形態の接点開閉装置1では、導電性流体L1として、常温常圧(25℃、1気圧)で液体の金属(例えば、水銀)を用いている。また、絶縁性流体L2としては、導電性流体L1と混合されない空気や希ガス等の気体(この他、導電性流体L1と混合されないならば流体であってもよい)を用いている。尚、説明の簡略化のため、図1及び図2では、導電性流体L1をハッチの網掛けで示し、絶縁性流体L2をドットの網掛けで示している。
本体部2は、図1(c)〜(f)に示すように、半導体基板3と、絶縁基板6とを用いて構成されている。
半導体基板3は、例えば単結晶のシリコン基板からなり、図1(c)に示すように、前面には、略矩形状の凹部3aが設けられている。この半導体基板3の後面において凹部3aに対応する部位には、導電性流体L1を収納するチャンバ2a用の凹所3bが設けられており、この凹所3bは、図1(b)に示すように略菱形に形成されている。したがって、半導体基板3において凹部3aの底壁部が、図1(c)に示すように、薄膜状のダイアフラム部3cとなっており、このダイアフラム部3cの略中央部には、前方へ突出する角錐台形の突部3dが一体に突設されている。
また、半導体基板3の後面において凹所3bの一端側(図1(b)における右端側)には、チャンバ2a内に導電性流体L1を注入するための通路となる第1チャンネル2b用の第1溝部3eが形成されている。第1溝部3eは、略矩形状に形成されるとともに、図1(d)に示すように、一辺の長さ寸法がtであるような正方形状の流体注入口3fにより半導体基板3の前面側と連通している。ここで、第1溝部3eの幅寸法(図1(b)における上下方向の寸法)W1、及び第1溝部3eの長さ寸法(図1(b)における左右方向の寸法)W2は、それぞれ流体注入口3fの一辺の長さ寸法tよりも大きく設定してある。つまり、第1チャンネル2bは、流体注入口3fの開口の大きさ以上の大きさに形成されている。
上記の流体注入口3fは、第1チャンネル2b内に導電性流体L1を注入するために設けられており、その内面には、図1(c),(d)に示すように、導電性流体L1に対して、流体注入口3fの内面(すなわち半導体基板3の材料、本実施形態ではシリコン)よりも良好な濡れ性を有する金属材料(例えば、CrやTi等)製の薄膜からなる流出防止部4が全面を覆うようにして形成されている。尚、流体流入口3fは、導電性流体L1を注入した後に、図1(a)に示すように、略矩形状のガラス板からなる閉塞板5により閉塞される。
一方、半導体基板3の後面において凹所3bの他端側(図1(b)における左端側)には、導電性流体L1が移動する流路(移動路)となる第2チャンネル2c用の略コ字状の第2溝部3gが形成されている。
尚、以上述べた凹部3a、凹所3b、突部3d、各溝部3e,3g、及び流体注入口3fは、ICP(Inductively Coupled Plasma)エッチング等の周知の半導体製造プロセスを利用して半導体基板3に形成してあるため、詳細な説明は省略する。また尚、流出防止部4として用いられる薄膜は、めっきやスパッタリング等の周知の方法により成膜することができるから、詳細な説明は省略する。ところで、上記の半導体基板3の代わりに、半導体基板3と同様の形状に形成された絶縁性を有する樹脂基板等を用いるようにしてもよく、状況に応じて好適なものを採用すればよい。
絶縁基板6は、例えば半導体基板3と略同一の外形寸法を有する透明なガラス基板からなり、半導体基板3の後面に、陽極接合等によって接合される。尚、絶縁基板6としては、ガラス基板の他に、絶縁性を有する樹脂基板を用いることができる。
このように絶縁基板6を半導体基板3の後面に接合することにより、凹所3b及び第1溝部3e並びに第2溝部3gの後面開口がそれぞれ閉塞される。そして、絶縁基板6により後面開口が閉塞された凹所3bが、導電性流体L1を収納するチャンバ2aとして、絶縁基板6により後面開口が閉塞された第1溝部3eが、導電性流体L1をチャンバ2aに注入するための第1チャンネル2bとして、絶縁基板6により後面開口が閉塞された第2溝部3gが、導電性流体L1の流路となる第2チャンネル2cとして、それぞれ用いられ、これらチャンバ2aと第1及び第2チャンネル2b,2cによって、導電性流体L1が流動自在に収納される流体収納室2dが構成される。
一方、絶縁基板6において、半導体基板3の第2溝部3gに対向する部位(すなわち、第2チャンネル2cの底面部となる部位)には、図1(b),(e)に示すように、スルーホール6aが4つ貫設されている。これら4つのスルーホール6aのそれぞれの内周面及び前面開口には、ともに導電性金属材料を用いためっき層からなる接点7a,8aが交互に形成されており、これにより絶縁基板6を半導体基板3に接合した際には、各一対の接点7a,8aが第2チャンネル2c内に露設されることになる。尚、各接点7a,8a用の導電性金属材料としては、導電性流体L1に対する濡れ性が良いもの(例えば、半田)を用いることが好ましい。
また、絶縁基板6の後面には、銅等の導電性金属材料を用いた一対の電極パッド7b,8bがそれぞれ形成されており、電極パッド7bは、配線パターン7cによって一対の接点7a,7aに、電極パッド8bは、配線パターン8cによって一対の接点8a,8aにそれぞれ接続されている。
ところで、接点7aは、上述したように2つ設けられているが、導電性流体L1が流体収納室2dに注入された後には、1つのみが残されて残りが電極パッド7bから電気的に切断される。この点は、接点8aにおいても同様であり、これにより導電性流体L1の注入量のばらつきに対応できるようにしている。例えば、導電性流体L1の注入量が少なく導電性流体L1がいずれの接点7a,8aとも接触していない場合と、導電性流体L1の注入量が多く導電性流体L1が接点7aとのみ接触している場合とでは、接点開閉装置1の動作が異なってしまうため、前者の場合は、第2チャンネル2cの奥側となる他端側(図1(b)における右側)の接点7a,8aがそれぞれ電極パッド7b,8bから切断され、後者の場合は、第2チャンネル2cの手前側となる一端側(図1(b)における左側)の接点7aが電極パッド7bから切断され、第2チャンネル2cの奥側の接点8aが電極パッド8bから切断される。このようにすれば、導電性流体L1の注入量のばらつきによらずに安定した開閉性能を有する接点開閉装置1が得ることができる。
本体部2は、上述したように半導体基板3の後面に絶縁基板6を陽極接合することにより構成されており、流体収納室2dには、流体注入口3fから導電性流体L1が所定量だけ注入される。さらに詳しく説明すると、導電性流体L1は、第2チャンネル2cの他端側に、空気からなる絶縁性流体L2を閉じ込めるようにして流体注入口3fから第1チャンネル2bを通してチャンバ2a内に注入される。そして、導電性流体L1を流体収納室2dに注入した後には、半導体基板3の前面に閉塞板5が接合されて、閉塞板5によって、液体注入口3fの前面開口が閉塞される。
このとき、図3に示す従来の接点開閉装置100では、閉塞板により流体注入口を閉塞するまでの間に、流体注入口から導電性流体が流出するという問題が生じていたが、本実施形態の接点開閉装置1では、流体収納室2dにおいて流体注入口3fと連通する部位である第1チャンネル2bを、上述したように流体注入口3fの開口の大きさ以上の大きさに形成しているので、流体注入口3fから導電性流体L1を注入した際に、図3に示す従来の接点開閉装置100とは異なり、導電性流体L1が逆流して流体注入口3fから流出してしまうことを抑制できる。加えて、流体注入口3fの内面の全周に亘るように、導電性流体L1に対する濡れ性が良好な金属材料製の薄膜からなる流出防止部4を設けているので、流体注入口3fの内面に導電性流体L1が付着し易くなり、これにより、導電性流体L1が逆流して流体注入口3fから流出してしまうことをさらに抑制できる。
そして、上述したように本体部2の流体収納室2dに導電性流体L1を注入した後には、ダイアフラム部3cが変形していない状態で、導電性流体L1がいずれの接点7a,8aとも接触しないように、使用する接点7a,8aが選択される。したがって、本実施形態の接点開閉装置1は、常開型(ノーマリーオープン型)の接点開閉装置となっている。
アクチュエータ9は、例えば扁平な棒状に形成された圧電振動子からなり、先端部を凹部3aと対向させると同時に突部3dの先端に当接させる形で半導体基板3の前面に接合された片持ち梁構造を有している。したがって、アクチュエータ9の厚み方向に電圧を印加すれば、固定されていないアクチュエータ9の先端部がダイアフラム部3cに近づく向き(図1(c)における下方)に撓んで突部3dを押圧し、これにより半導体基板3のダイアフラム部3cが凹所3b側へ変形する(撓む)ことになる。そして、電圧の印加を停止すれば、アクチュエータ9が突部3dを押圧しなくなり、これによりダイアフラム部3cが元の形に復帰することになる。
尚、アクチュエータ9は、片持ち梁構造のものに限られるものではなく、幅方向における両端部を半導体基板3に接合することでアクチュエータ9を両持ち梁構造としても構わない。但し、アクチュエータ9を片持ち梁構造とした方が、両持ち梁構造の場合に比較して全体の小型化が図れるという利点がある。
また尚、本実施形態では、圧電振動子によりアクチュエータ9を構成しているが、例えば、金属のような弾性材料からなる板状のシム(図示せず)と、シムの片面に取着される板状の圧電素子(図示せず)を有するユニモルフ型の圧電振動体(図示せず)でアクチュエータ9を構成したり、或いは、シムの両面にそれぞれ圧電素子を取着してなるバイモルフ型の圧電振動体(図示せず)でアクチュエータ9を構成したりしても構わない。特に、バイモルフ型の圧電振動体でアクチュエータ9を構成した場合、ユニモルフ型の圧電振動体で構成する場合に比較してアクチュエータ9の駆動力が大きくなって動作時間がさらに短縮できるという利点がある。
次に、本実施形態の接点開閉装置1の動作について説明する。まず、電圧が印加されていない状態では、アクチュエータ9が動作しないためにダイアフラム部3cが変形しておらず、このとき、流体収納室2d内に収納されている導電性流体L1は、いずれの接点7a、8aとも接触しておらず、接点7a,8a間は絶縁(開成)されている(オフ状態)。
このオフ状態から電圧を印加してアクチュエータ9を駆動すると、アクチュエータ9の先端部が突部3dを押圧し、これによりダイアフラム部3cが後方に押し下げられる。このようにダイアフラム部3cが押し下げられると、チャンバ2aの容積が減少し、これによりチャンバ2a内に収納されている導電性流体L1が第2チャンネル2c側へ移動(流動)させられ、これにより一対の接点7a,8aが導電性流体L1によって短絡(閉成)される(オン状態)。
そして、このオン状態から電圧の印加を停止すれば、アクチュエータ9によって変形させられていたダイアフラム部3cが元の状態に復帰する。これに伴ってチャンバ2aの容積が元に戻るから、第2チャンネル2c側に移動していた導電性流体L1は、圧縮されていた絶縁性流体L2の圧力によってチャンバ2a側に戻り、これにより一対の接点7a,8aが開成される(オフ状態)。
以上述べたように、本実施形態の接点開閉装置1では、流体収納室2dにおいて流体注入口3fと連通する部位である第1チャンネル2bを、流体注入口3fの開口の大きさ以上の大きさに形成しているので、流体注入口3fから導電性流体L1を注入した際に、導電性流体L1が逆流して流体注入口3fから流出してしまうことを抑制できるという効果を奏する。さらに、流体注入口3fの内面に、導電性流体L1に対する濡れ性が良好な金属材料製の薄膜からなる流出防止部4を設けているので、流体注入口3fの内面に導電性流体L1が付着し易くなり、これにより、導電性流体L1が流体注入口3fから流出してしまうことをさらに抑制できるという効果を奏する。
尚、本実施形態の接点開閉装置1では、半導体基板3に、チャンバ2a用の第1凹所3bや、第1チャンネル2b用の第1溝部3e、第2チャンネル2c用の第2溝部3g等の導電性流体L1を収納する凹部を形成して、絶縁基板6にて半導体基板3の凹部の開口を閉塞するようにしているが、このような導電性流体L1を収納する凹部を絶縁基板6に形成して、半導体基板3にて絶縁基板6の凹部の開口を閉塞するように構成してもよい。
また尚、本実施形態の接点開閉装置1の構成は、上記の例に限定されるものではなく、接点開閉装置の使用目的等に応じて、接点の数を増やしたり、半導体基板3や絶縁基板6の形状を変えたりしてもよい。これらの点は、後述する実施形態2においても同様である。
(実施形態2)
本実施形態の接点開閉装置10は、図2に示すように、本体部20の構成に特徴があり、その他の構成は、上記実施形態1の接点開閉装置1と同様であるから、接点開閉装置1と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
本体部20は、図2に示すように、半導体基板30と、絶縁基板6とを用いて構成されている。半導体基板30は、例えば単結晶のシリコン基板からなり、第1溝部3eには、流体注入口3fと第1凹所3bとの間に位置するように、略矩形状の逆止弁30aが設けられている点で、実施形態1の半導体基板3と異なっている。
このような逆止弁30aは、ICPエッチングにより、凹部3a、凹所3b、突部3d、第1溝部3e、流体注入口3f、及び第2溝部3gを、半導体基板30に形成する際に、同時に形成することができる。そのため、新たに逆止弁30a用の製造工程を設ける必要がなく、これにより製造コストの増加を抑えることができる。
したがって、本実施形態の接点開閉装置10によれば、逆止弁30aにより導電性流体L1がチャンバ2a側から第1チャンネル2bを通って流体注入口3fに移動してしまうことを抑制でき、これにより導電性流体L1が流体注入口3fから流出してしまうことをさらに抑制することができるという効果を奏する。
(a)は、実施形態1の接点開閉装置の概略前面図であり、(b)は、概略後面図であり、(c)は、同図(b)のA−A線における概略断面図であり、(d)は、同図(b)のB−B線における概略断面図であり、(e)は、同図(b)のC−C線における概略断面図であり、(f)は、同図(b)におけるD−D線における概略断面図である。 実施形態2の接点開閉装置の概略断面図である。 (a)は、従来の接点開閉装置の概略前面図であり、(b)は、概略後面図であり、(c)は、同図(b)のE−E線における概略断面図であり、(d)は、同図(b)のF−F線における概略断面図であり、(e)は、同図(b)のG−G線における概略断面図である。
符号の説明
1 接点開閉装置
2 本体部
3 半導体基板
4 流出防止部
6 絶縁基板
7a,8a 接点
9 アクチュエータ
L1 導電性流体
L2 絶縁性流体

Claims (3)

  1. 導電性流体が流動自在に収納されるとともに一対の接点が露設される流体収納室、及び該流体収納室に導電性流体を注入する流体注入口を有する本体部と、流体注入口を閉塞するようにして本体部に接合される閉塞板と、流体収納室の容積が変化するように本体部を部分的に変形させることで流体収納室内で導電性流体を移動させ、一対の接点間の導通状態を切り換えるアクチュエータとを備え、流体収納室において流体注入口と連通する部位は、流体注入口の開口の大きさ以上の大きさに形成されていることを特徴とする接点開閉装置。
  2. 流体注入口の内面には、導電性流体に対する濡れ性が流体注入口の内面よりも良好な金属材料製の薄膜が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の接点開閉装置。
  3. 流体収納室の内面には、導電性を有する流体の流体注入口からの流出を防止する逆止弁が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の接点開閉装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023140100A1 (ja) * 2022-01-21 2023-07-27 ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社 半導体装置、電子機器および半導体装置の製造方法

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