JP2007299007A - 被写体像取得装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 システムコントローラ10は、被写体像情報から合焦状態の目安となる合焦評価値を求め、被写体像の合焦状態を変化させるフォーカスレンズ1aを連続的および間欠的の少なくとも一方にて駆動させながら前記合焦評価値検出手段を作動させて複数の合焦評価値を得る合焦走査により、合焦評価値が最も適正な値となる合焦点を探索し、前記フォーカス作動手段を前記合焦点に駆動させてピント合わせを行なう。システムコントローラ10は、前記合焦走査に際し、フォーカスレンズ1aの初動位置から所定の方向に第1の所定量だけ走査開始位置を移動させた後、前記走査開始位置から前記所定の方向とは逆の方向に向かって走査を開始させる。
【選択図】 図1
Description
図10および図11に、最も基本的なCCDAF動作を模式的に示す。このCCDAF動作においては、自動合焦のための合焦走査を開始しようとするその時点におけるフォーカスレンズ位置、すなわち初動位置、にかかわらず、まず走査開始点を無限遠端に移動させ、そこから最至近端までを走査して、ピーク位置を検出し、そのピーク位置に合焦させる。図10および図11中の曲線は、走査によって検出されるAF評価値を縦軸にとって模式的に示している。なお、レンズ駆動系の構成によっては、ギヤのバックラッシュ等を除去するための動作が必要となるが、それは周知のしかも多種多様の技術に係るものであるので、以下の説明および関連する各図においては、バックラッシュ等を除去するための構成および動作についての説明は省略している。
図10は、初動位置Poがレンズ移動範囲の中央位置Pcよりも無限遠寄りにある場合であり、図11は、初動位置Poがレンズ移動範囲の中央位置Pcよりも最至近点寄りにある場合を示している。
これに対して、図12、図13および図14に示す方式は、フォーカスレンズを初動位置Poから、無限遠端および最至近端のうちの「近い方の端」まで一旦戻して、そこから走査するようにしたものである。すなわち、図12〜図14に示すように、自動合焦が指令されると、レンズ移動範囲両端の無限遠合焦位置Piおよび最至近合焦位置Pnのうちの初動位置Poから近い方の一端を走査開始点として、当該位置へフォーカスレンズが一旦移動され、そこから他端まで合焦走査範囲全域の合焦走査が行なわれる。この全域走査によりAF評価値のピーク位置を合焦点、つまり最終合焦位置Peとして検出し、全域走査後にフォーカスレンズを戻し動作により最終合焦位置Peに設定して自動合焦を完了する。
但し、この図12〜図14の方式では、初動位置Poによって走査方向が変化するため、AF評価値に「走査方向依存性」がある場合には、その分の補正が必要である。現実に、上述したようなバックラッシュや、フォーカスレンズの移動方向の違いによる機械的時定数等の相違に起因して、AF評価値には走査方向依存性があるのが普通であるので、試作段階においてデータを取得して適正な走査方向依存性補正を施す必要がある。
走査によって取得すべきデータの数は、フォーカスレンズや撮像素子としてのCCDの性能によって決定されるが、通常の場合は、フォーカスレンズを駆動するフォーカスモータがパルスモータであれば、該フォーカスモータの2〜4パルスに1つ程度のデータが必要になる。撮像素子等の画像情報取得周期は、通常1/30秒程度であるので、フォーカスモータの1パルスあたり、1/60〜1/120秒程度の時間を要するような駆動が要求される。すなわち、フォーカスモータパルスレートとしては、60〜120ppsで駆動させながら、データを取得することになる。
一方、走査開始点への移動動作や、合焦点への戻し動作は、作動機構における機械的な制約のみで決定されるため、通常は500〜1000ppsのパルスレートで駆動される。すなわち、同一のパルス数を移動するとしても、両者の間には4〜17倍もの時間の差があることになる。よって、自動合焦動作に要する自動合焦時間の短縮には、走査すべき範囲を狭くすることの方が効果的である。
上述したような「逆方向走査」および「ピーク検出で走査中断」以外の高速化手法としては、特許文献1(特開平5−241066号公報)に示されるように「初動位置からいきなり走査を開始する」という方式が考えられる。すなわち、特許文献1には、自動合焦の高速化のために、合焦走査を初動位置から近い方の端の方向に向けて開始し、初動位置から近い方の端までの間でピークが検出されない場合には、前記初動位置に戻して、今度は遠い方の端に向けて再び合焦走査を実施することが示されている。その具体的な挙動を図18、図19および図20に示している。
図18は、初動位置Poがレンズ移動範囲の中央位置Pcよりも無限遠寄りにある場合であり、図19は、初動位置Poがレンズ移動範囲の中央位置Pcよりも最至近点寄りにある場合であり、そして図20は、初動位置Poがレンズ移動範囲の中央位置Pcよりも最至近点寄りにあり、且つ最終合焦位置Peが初動位置Poから前記近い方の一端までの間に存在する場合を示している。
この特許文献1の方式により、走査開始点への移動動作が排除されるため、その分だけ自動合焦の高速化を図ることができる。図18〜図20に示す特許文献1の方式は、図12〜図14の方式に適用しているため、「ピーク検出での走査中断」動作は考慮していないが、当然、「ピーク検出での走査中断」動作を組み合わせることも可能であり、そうすれば更に動作が高速化される。
また、特許文献1の技術においては、初動位置Poが端点に近い場合にも、好ましくない状況が発生する。すなわち、図23に示すように、第1回目の合焦走査(走査1)が非常に短くなってしまい、そのため、この範囲にピークらしきものがあっても、これをピークと断定するのは困難となる。すると、必然的に第2回目の合焦走査(走査2)へ移行することになり、自動合焦の高速化の効果が失効してしまい、走査不連続点の存在に起因する合焦精度の低下の懸念だけが残ることになる。すなわち、デメリットのみが残ってしまう状況が存在するわけである。
(1)同一の被写体の連続撮影時において、合焦精度を確保するとともに、より一層の高速化を図ること。すなわち、初動位置Po近傍が走査不連続点とならないようにして、初動位置Po近傍での合焦精度を確保するとともに、当該初動位置Po近傍に存在する可能性が高い合焦点を、洩らすことなく、第1回目の合焦走査(走査1)にて検出可能にする。
(2)無限遠近傍または最至近近傍の撮影後の走査シーケンスの適正化を図り、より一層高い合焦精度を維持するようにすること。すなわち、第1回目の合焦走査(走査1)として、ピークを認識するために充分な長さを確保することができない場合には、自動合焦を有効に高速化することが困難となり、合焦精度の低下の可能性のみが残る。よって、自動合焦の走査シーケンスの上で、このような状況を避けるような構成とする。
本発明の他の目的は、特に、初動位置が合焦走査範囲の端部に近い場合の合焦走査の効率を一層高め得る被写体像取得装置を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、特に、被写体が同一の被写体で且つ同一の状況に近い可能性の程度に対応させて合焦走査の効率および合焦の確実性を一層向上し得る被写体像取得装置を提供することにある。
被写体像を所定の結像面上に結像させるための撮影光学系と、
前記被写体像を映像信号に変換するための撮像手段と、
前記撮影光学系の全体、前記撮影光学系の一部の光学素子、および前記撮像手段のいずれかを光軸方向に移動させて前記撮像手段上の被写体像の合焦状態を変化させるフォーカス作動手段と、
前記撮像手段によって得られる前記映像信号から合焦評価値を求める合焦評価値検出手段と、
前記フォーカス作動手段を駆動させながら前記合焦評価値検出手段を作動させて複数の合焦評価値を得る走査により、合焦評価値が最も適正な値となる合焦点を探索し、前記フォーカス作動手段を前記合焦点に駆動する合焦動作を行う合焦制御手段と、
装置電源投入状態において常時継続的に合焦評価値を取得し且つ記憶する継続評価値記憶手段と、
前記継続評価値記憶手段に記憶されている前回の合焦動作終了時から当該合焦動作開始時に至るまでの合焦評価値の時系列的な変化状況に応じて走査開始点および走査方向を設定する第1の走査制御手段
を備えることを特徴としている。
前記被写体像から該被写体像に応じた被写体像情報を得るための像情報取得手段と、
前記像取得手段で取得される被写体像の合焦状態を変化させるフォーカス作動手段と、
前記像情報取得手段によって得られる被写体像情報から合焦状態の目安となる合焦評価値を求める合焦評価値検出手段と、
前記フォーカス作動手段を連続的および間欠的の少なくとも一方にて駆動させながら前記合焦評価値検出手段を作動させて複数の合焦評価値を得る走査により、合焦評価値が最も適正な値となる合焦点を探索し、前記フォーカス作動手段を前記合焦点に駆動させてピント合わせを行なう合焦制御手段と
を有する被写体像取得装置であって、
前記合焦制御手段は、
前記フォーカス作動手段の初動位置から所定の方向に第1の所定量だけ移動させた点から、前記所定の方向とは逆の方向に向かって走査を開始するように、前記走査の走査開始点および走査方向を設定する第1の走査制御手段
を含むように構成することもできる。
前記被写体像から該被写体像に応じた被写体像情報を得るための像情報取得手段と、
前記像取得手段で取得される被写体像の合焦状態を変化させるフォーカス作動手段と、
前記像情報取得手段によって得られる被写体像情報から合焦状態の目安となる合焦評価値を求める合焦評価値検出手段と、
前記フォーカス作動手段を連続的および間欠的の少なくとも一方にて駆動させながら前記合焦評価値検出手段を作動させて複数の合焦評価値を得る走査により、合焦評価値が最も適正な値となる合焦点を探索し、前記フォーカス作動手段を前記合焦点に駆動させてピント合わせを行なう合焦制御手段と
を有する被写体像取得装置であって、
前記合焦制御手段は、
前記フォーカス作動手段の初動位置から、当該走査範囲の両側の端点のうちの、前記初動位置に近い側の端点までの距離が第2の所定量よりも小さい場合に、前記近い側の端点へ移動させた後に、該端点から他の端点へ向かって走査を開始するように、前記走査の走査開始点および走査方向を設定する第2の走査制御手段
を含むように構成することもできる。
前記合焦制御手段が、
次に行われる合焦動作が装置電源投入後の1回目の合焦動作か、2回目以降の合焦動作かを判別する動作回数判別手段、前記合焦動作において、合焦点が検出されたか否かを示す動作結果を記憶する動作結果記憶手段、および前記像取得手段の焦点距離に関する焦点距離情報を出力する焦点距離出力手段のうちの少なくともいずれかと、
前記第1の所定量および前記第2の所定量のうちの少なくとも一方を、前記動作回数判別手段の判別結果、前記動作結果記憶手段に記憶されている前回の合焦動作時における動作結果、および前記焦点距離出力手段による焦点距離情報のうちの少なくともいずれかに基づいて可変制御する第3の走査制御手段と
を含むように構成することもできる。
前記合焦制御手段が、
前記合焦動作における最終的な合焦評価値を記憶する評価値記憶手段、および装置電源投入状態において常時継続的に合焦評価値を取得し且つ記憶する継続評価値記憶手段のうちの少なくとも一方と、
前記第1の所定量を、前記評価値記憶手段に記憶されている前回の合焦動作時における最終的な合焦評価値と当該合焦動作開始時における合焦評価値との比較結果、および前記継続評価値記憶手段に記憶されている前回の合焦動作終了時から当該合焦動作開始時に至るまでの合焦評価値の時系列的な変化状況の少なくとも一方に基づいて可変制御する第4の走査制御手段と
を含むように構成することもできる。
本発明に係る被写体像取得装置は、前記被写体像取得装置が、カメラと、イメージスキャナおよび複写機を含む画像入力装置と、顕微鏡、望遠鏡、双眼鏡および内視鏡を含む光学的観察装置とのうちのいずれかに適用することができる。
被写体像の合焦状態を変化させ且つ被写体像に応じた被写体像情報から合焦状態の目安となる合焦評価値を求めつつ、前記合焦状態を連続的および間欠的の少なくとも一方にて変化させて複数の合焦評価値を得る合焦走査によって、合焦評価値が最も適正な値となる合焦点を探索してピント合わせを行なうにあたり、
前記合焦走査の初動位置から所定の方向に第1の所定量だけ走査開始位置を移動させる走査開始点設定ステップと、
前記走査開始位置から前記所定の方向とは逆の方向に向かって走査を開始させる走査開始ステップと
を有する自動合焦方法を提供することもできる。
本発明を応用すれば、
被写体像の合焦状態を変化させ且つ被写体像に応じた被写体像情報から合焦状態の目安となる合焦評価値を求めつつ、前記合焦状態を連続的および間欠的の少なくとも一方にて変化させて複数の合焦評価値を得る合焦走査によって、合焦評価値が最も適正な値となる合焦点を探索してピント合わせを行なうにあたり、
前記合焦走査の初動位置から、当該走査範囲の両側の端点のうちの、前記初動位置に近い側の端点までの距離が第2の所定量よりも小さいか否かを判別する走査位置判別ステップと、
前記合焦走査の初動位置から前記初動位置に近い側の端点までの距離が第2の所定量よりも小さい場合には、走査開始位置を前記近い側の端点へ移動させる走査開始点設定ステップと、
前記走査開始位置の移動後に、該端点から他の端点へ向かって走査を開始させる走査開始ステップと
を有する自動合焦方法を提供することができる。
次に行われる合焦動作が装置電源投入後の1回目の合焦動作か、2回目以降の合焦動作かを判別する動作回数判別ステップ、前記合焦動作において、合焦点が検出されたか否かを示す動作結果を記憶させる動作結果記憶ステップ、および前記像取得手段の焦点距離に関する焦点距離情報を得る焦点距離検知ステップのうちの少なくともいずれかと、
前記走査開始点設定ステップにおける前記第1の所定量および前記第2の所定量のうちの少なくとも一方を、前記動作回数判別ステップの判別結果、前記動作結果記憶ステップによって記憶されている前回の合焦動作時における動作結果、および前記焦点距離検知ステップによる焦点距離情報のうちの少なくともいずれかに基づいて可変制御するステップと
を含む自動合焦方法を提供することができる。
前記合焦動作における最終的な合焦評価値を記憶させる評価値記憶ステップ、および装置電源投入状態において常時継続的に合焦評価値を取得し且つ記憶する継続評価値記憶ステップのうちの少なくとも一方と、
前記走査開始点設定ステップにおける前記第1の所定量を、前記評価値記憶ステップによって記憶されている前回の合焦動作時における最終的な合焦評価値と当該合焦動作開始時における合焦評価値との比較結果、および前記継続評価値記憶ステップによって記憶されている前回の合焦動作終了時から当該合焦動作開始時に至るまでの合焦評価値の時系列的な変化状況の少なくとも一方に基づいて可変制御するステップと
を含む自動合焦方法を提供することができる。
すなわち、本発明に係る被写体像取得装置は、被写体像を所定の結像面上に結像させるための撮影光学系と、
前記被写体像を映像信号に変換するための撮像手段と、
前記撮影光学系の全体、前記撮影光学系の一部の光学素子、および前記撮像手段のいずれかを光軸方向に移動させて前記撮像手段上の被写体像の合焦状態を変化させるフォーカス作動手段と、
前記撮像手段によって得られる前記映像信号から合焦評価値を求める合焦評価値検出手段と、
前記フォーカス作動手段を駆動させながら前記合焦評価値検出手段を作動させて複数の合焦評価値を得る走査により、合焦評価値が最も適正な値となる合焦点を探索し、前記フォーカス作動手段を前記合焦点に駆動する合焦動作を行う合焦制御手段と、
装置電源投入状態において常時継続的に合焦評価値を取得し且つ記憶する継続評価値記憶手段と、
前記継続評価値記憶手段に記憶されている前回の合焦動作終了時から当該合焦動作開始時に至るまでの合焦評価値の時系列的な変化状況に応じて走査開始点および走査方向を設定する第1の走査制御手段
を備えるように構成する。
このような構成により、それぞれの状況に応じて、精度および速度の面で常に最適な自動合焦動作を実施させることができる。
このような構成により、被写体が同一の被写体で且つ同一の状況に近い可能性の程度にさらに的確に対応させて合焦走査の効率および合焦の確実性を一層向上することができる。
このような構成により、特に、合焦評価値の相違の程度および変化の度合いによって、被写体の変化の程度を段階的に判断し、それによって第1の所定量(フォーカス戻し量)の値を、細かく設定することも可能であり、このような制御により、それぞれの状況に応じて、精度および速度の面で常に最適な自動合焦動作を実施させることができる。
このような構成により、合焦走査に関連する動作を適正化して無駄な動作を抑制し、特に、同一の被写体をほぼ同一の状況で連続的に繰り返し合焦する際における合焦走査の効率および合焦の確実性を向上することができる。
このような構成により、それぞれの状況に応じて、精度および速度の面で常に最適な自動合焦動作を実施させることができる。
このような構成により、特に、合焦走査の効率および合焦の確実性を一層向上することができる。
すなわち、本発明の請求項1の被写体像取得装置によれば、被写体像を所定の結像面上に結像させるための撮影光学系と、
前記被写体像を映像信号に変換するための撮像手段と、
前記撮影光学系の全体、前記撮影光学系の一部の光学素子、および前記撮像手段のいずれかを光軸方向に移動させて前記撮像手段上の被写体像の合焦状態を変化させるフォーカス作動手段と、
前記撮像手段によって得られる前記映像信号から合焦評価値を求める合焦評価値検出手段と、
前記フォーカス作動手段を駆動させながら前記合焦評価値検出手段を作動させて複数の合焦評価値を得る走査により、合焦評価値が最も適正な値となる合焦点を探索し、前記フォーカス作動手段を前記合焦点に駆動する合焦動作を行う合焦制御手段と、
装置電源投入状態において常時継続的に合焦評価値を取得し且つ記憶する継続評価値記憶手段と、
前記継続評価値記憶手段に記憶されている前回の合焦動作終了時から当該合焦動作開始時に至るまでの合焦評価値の時系列的な変化状況に応じて走査開始点および走査方向を設定する第1の走査制御手段
を備えることにより、それぞれの状況に応じて、精度および速度の面で常に最適な自動合焦動作を実施させることができる。
本発明を適用した被写体像取得装置によれば、被写体像を取得するための像取得手段と、前記被写体像から該被写体像に応じた被写体像情報を得るための像情報取得手段と、前記像取得手段で取得される被写体像の合焦状態を変化させるフォーカス作動手段と、前記像情報取得手段によって得られる被写体像情報から合焦状態の目安となる合焦評価値を求める合焦評価値検出手段と、前記フォーカス作動手段を連続的および間欠的の少なくとも一方にて駆動させながら前記合焦評価値検出手段を作動させて複数の合焦評価値を得る走査により、合焦評価値が最も適正な値となる合焦点を探索し、前記フォーカス作動手段を前記合焦点に駆動させてピント合わせを行なう合焦制御手段とを有し、且つ前記合焦制御手段が、前記フォーカス作動手段の初動位置から所定の方向に第1の所定量だけ移動させた点から、前記所定の方向とは逆の方向に向かって走査を開始するように、前記走査の走査開始点および走査方向を設定する第1の走査制御手段を含むことにより、特に、同一の被写体をほぼ同一の状況で連続的に繰り返し合焦する際における合焦走査の効率および合焦の確実性を向上することが可能となる。
図1〜図9は、本発明の実施の形態に係るディジタルカメラの構成および動作を説明するための図である。図1は、本発明の一つの実施の形態に係るディジタルカメラの要部の構成を示す模式的なブロック図、図2〜図7は、当該ディジタルカメラの自動合焦動作における合焦走査を説明するための図、そして図8および図9は、当該カメラの自動合焦動作の概略を説明するためのフローチャートである。
図1に示すカメラは、光学系1、シャッタ/絞り部2、フォーカス駆動系3、ズーム駆動系4、シャッタ/絞り駆動系5、ローパスフィルタ(LPF)6、撮像素子7、A/D(アナログ−ディジタル)変換器8、画像処理部9、システムコントローラ10、メモリ群11、表示部12、半押し検出部13、全押し検出部14、受光部15、ストロボ発光部16、ストロボ制御部17、カメラ操作部18およびレリーズ押圧部Bを具備している。
図1において、被写体光は、撮影光学系である光学系1に入射される。光学系1は、光軸方向に沿う進退移動により被写体像のピント合わせ、つまり合焦動作のための焦点調節を行なうフォーカスレンズ(フォーカシングレンズ群)1aと、光軸方向に沿う進退により光学系1の焦点距離を調節して被写体像の拡大/縮小を行なうズームレンズ(ズーミングレンズ群)1bと、フォーカスレンズ1aおよびズームレンズ1bと共に被写体像を結像させる対物レンズ1cとを備えている。フォーカスレンズ1aとズームレンズ1bとの間には、シャッタ/絞り部2が配置され、このシャッタ/絞り部2により、フォーカスレンズ1aに入射する光量が制限される。フォーカスレンズ1aは、フォーカス作動手段としてのフォーカス駆動系3により、ズームレンズ1bは、ズーム駆動系4により、そしてシャッタ/絞り部2は、シャッタ/絞り駆動系5によりそれぞれ駆動される。
光学系1を通過した被写体光は、光の高周波成分を除去するローパスフィルタ6を介して、撮像手段としての撮像素子7に入射する。撮像素子7は、複数の光電変換画素を2次元マトリクス状に配列した撮像面を有し、前記撮像面に被写体光に基づいて入射結像される被写体像を電気信号からなる画像データに変換して出力する。
撮像素子7から出力された画像データは、A/D変換器8によりディジタル値に変換された後、画像処理部9に与えられる。画像処理部9は、与えられた画像データに対して圧縮/伸長処理および解像度の変更等のような所要の画像処理を施す。
さらに、このディジタルカメラは、被写体輝度を計測する受光部15、被写体に照明光を照射するストロボ発光部16、および受光部15で計測される被写体輝度に基づいてストロボ発光部16の発光制御を行なうストロボ制御部17を備えており、ストロボ制御部17は、システムコントローラ10からのストロボ発光についての制御指示に基づいてストロボの発光制御を行なう。また、当該ディジタルカメラには、ストロボモードを設定するストロボモードスイッチ等のように撮影者の操作により撮影動作を設定するためのカメラ操作部18が設けられており、システムコントローラ10は、カメラ操作部18の操作に基づいて撮影動作に関する種々の設定を行なう。
まず、課題(1)の回避方法であるが、この実施の形態においては、図2〜図7に示すように、走査開始点Psを、開始しようとする合焦走査の走査方向とは逆方向に初動位置Poからずらしてスタート位置を補正し、第1回目の走査(走査1)で初動位置Poを通過するようにする。このようにすることにより、図5および図6に示すように、初動位置Poが合焦位置Peにほぼ一致していても、初動位置Po付近での走査は常に連続となり、この近傍における合焦精度を低下させることがなくなる。その上、直前の合焦位置とは微妙に被写体距離が変化した場合にも、第1回目の合焦走査(走査1)の範囲内で検出することが可能となり、同一被写体に対する連続撮影時における画期的な自動合焦の高速化を図ることができる(図5および図6を参照)。このスタート位置補正のためのずらし量(Po→Ps)が第1の所定量であり、以下の説明においては、これを「フォーカス戻し量Fr」と称する。
次に、第1回目の合焦走査(走査1)の走査方向について、常に一定方向に走査する方式と、条件によって至近方向と無限遠方向との走査を使い分ける方式とが考えられる。特に、AF評価値の走査方向依存性が顕著で、容易に補正できないレベルである場合には、走査方向を1方向に規定せざるをえなくなる。逆に、AF評価値の走査方向依存性が容易に補正できる場合は、図18〜図23の特許文献1の場合とほぼ同様に第1回目の合焦走査(走査1)を近い方の端部へ向かう走査とするようにフォーカス戻しによるスタート位置補正の方向を設定すると、第1回目の合焦走査(走査1)後に第2回目の合焦走査(走査2)の開始点までの戻し量が少なくて済むため、自動合焦動作の高速化の点では、若干有利になると考えられる。
そして、課題(2)についての対策としては、単純に「第1回目の走査と第2の回目の走査に分けるメリットがないと予測される場合には、走査開始点を一方の端点まで移動させて他方の端点へ向けて走査を開始する」ということになる。具体的には、初動位置Poから近い方の端点までの距離(Fs)が第2の所定量としての所定値(Fs1)よりも小さい場合には、全フォーカス範囲の途中からの走査をせずに、図7に示すように、素直にその近い方の端点まで移動させた後に、遠い方の端点に向かって走査を開始させるようなシーケンスを用いる。
次に、上述の第1の所定量であるフォーカス戻し量(Fr)の設定について説明する。既に説明したように、フォーカス戻しによるスタート位置補正によって初動位置近傍を走査する本方式においては、同一被写体の連続撮影時にその威力を発揮する。逆に言えば、電源オン直後の1ショット目(厳密には、最初の撮影動作ではなく、合焦動作として初めてかどうか)では、あまり意味がないことになるので、シーケンスを変えた方が賢明である場合が発生する。すなわち、電源オンの直後は、通常は、「常焦点(パンフォーカス〜一般的に撮影される被写体の多くが存在する被写体距離であり、通常は、なるべく絞りを絞り込んで被写界深度が広くなるようにして被写体の多くが被写界深度内となるようにする)」位置にフォーカス駆動されるが、この状態で、レリーズ操作によって、この常焦点位置近傍を最初に走査しても、合焦点が存在する可能性は高くない。
これらの方法によって、電源オン後の1ショット目においてもより適切なAF動作を実施することが可能となる。
すなわち、まず、「前回の合焦結果が合焦失敗(AFNG)」であった場合について考える。合焦走査の結果、ピークが見つからなかった場合には、やむを得ず常焦点位置にフォーカス駆動するのが一般的であるが、この場合にも上述した場合と同様に、この点周辺に被写体が存在する確率は高くない。したがって、素直に端点からの合焦走査とするか、またはフォーカス戻し量を大きめに設定する。これによって、前回に合焦失敗であった後においても、一層適切な合焦動作を実施することができるはずである。
まず、図8および図9に示すように、カメラの電源がオンとなると(ステップ#1)、合焦動作回数の初期化およびフォーカスレンズ1aの常焦点位置Pjへの移動等の初期設定がなされ(ステップ#2、ステップ#3)、レリーズ押圧部Bが半押しされるのを待つ(ステップ#5)。このステップ#3とステップ#5との間にAF評価値を継続的に取得し(ステップ#4)、後にフォーカス戻し量設定時に「被写体が変化したかどうか?」の判定(ステップ#9、ステップ#10)の材料として用いられる。この時点で、合焦動作が未実施(Nt=0)である場合には、この継続的AF評価値は必要ないので、合焦動作回数Ntの値に応じて、ステップ#4でAF評価値を取得するか否かを判断するようにしてもよいが、制御の流れが煩雑になること、不要の情報を取得しても特に問題はないことから、常に取得するようなシーケンスとしている。
一方、ステップ#15で端点まで遠いと判断した場合には、設定されているFrの値の分だけフォーカス位置を遠い方の端点に向かって移動させ(ステップ#20)、その位置から、近い方の端点に向かって走査を開始する(ステップ#21)。この場合にも、上述と同様に、走査中にもピーク判定を実施しながら走査を行ない(ステップ#22、ステップ#23)、端点に到達した場合は、残りの領域を走査すべく、第1回目の走査(走査1)の走査開始点まで戻してから、ピーク検出を実施しつつ(ステップ#25、ステップ#26)、遠い方の端点まで第1回目の走査(走査1)とは逆方向に第2回目の走査(走査2)を実施する。
ステップ#22またはステップ#25のピーク検出においてピークが検出された場合の挙動は、ステップ#18におけるピーク検出の場合と同様であり、全域走査が完了(ステップ#26)した後の挙動も、ステップ#19の全域走査完了後の挙動と同様である。
次に、ステップ#28またはステップ#29において合焦結果の表示やフォーカスレンズ1aの駆動を済ませた後に、レリーズ半押しが継続しているか?(ステップ#31)、レリーズ押圧部Bが全押しされているか?(ステップ#32)、を半押し検出部13および全押し検出部14を用いて検出する。この際、継続的にAF評価値を取得し(ステップ#30)、ステップ#4におけるAF評価値の取得の場合と同様に、次回の被写体変化の判定(ステップ#9、ステップ#10)で用いることになる。
なお、図8および図9においては、煩雑になるのを防止するため、合焦動作に係る動作以外の動作(AEおよびAWB等)についての説明は省略してある。
例えば、ピーク検出により合焦走査を中断する/しないや、第2回目の合焦走査(走査2)の走査方向を第1回目の合焦走査(走査1)の走査方向と同一とする/逆にする等々は、対応する機種の特性や要求される性能によって、それぞれにメリットがあり、本発明は、いずれにも対応させることができる。
また、上述においては、本発明による自動合焦方法を用いた自動合焦システムをディジタルカメラに適用した実施の形態について説明したが、その他のカメラに適用しても良いし、本発明の自動合焦方法および自動合焦システムは、カメラに限らず、他の画像入力装置、例えばイメージスキャナまたは複写機等、あるいは、光学的観察装置、例えば顕微鏡、望遠鏡、双眼鏡または内視鏡等、のような被写体像を取得する被写体像取得装置に広く適用することができる。
1a フォーカスレンズ(フォーカシングレンズ)
1b ズームレンズ(ズーミングレンズ)
1c 対物レンズ
2 シャッタ/絞り部
3 フォーカス駆動系
4 ズーム駆動系
5 シャッタ/絞り駆動系
6 ローパスフィルタ(LPF)
7 撮像素子
8 A/D(アナログ−ディジタル)変換器
9 画像処理部
10 システムコントローラ
11 メモリ群
12 表示部
13 半押し検出部
14 全押し検出部
15 受光部
16 ストロボ発光部
17 ストロボ制御部
18 カメラ操作部
19 レリーズ押圧部
B レリーズ押圧部
U 鏡胴ユニット
Claims (6)
- 被写体像を所定の結像面上に結像させるための撮影光学系と、
前記被写体像を映像信号に変換するための撮像手段と、
前記撮影光学系の全体、前記撮影光学系の一部の光学素子、および前記撮像手段のいずれかを光軸方向に移動させて前記撮像手段上の被写体像の合焦状態を変化させるフォーカス作動手段と、
前記撮像手段によって得られる前記映像信号から合焦評価値を求める合焦評価値検出手段と、
前記フォーカス作動手段を駆動させながら前記合焦評価値検出手段を作動させて複数の合焦評価値を得る走査により、合焦評価値が最も適正な値となる合焦点を探索し、前記フォーカス作動手段を前記合焦点に駆動する合焦動作を行う合焦制御手段と、
装置電源投入状態において常時継続的に合焦評価値を取得し且つ記憶する継続評価値記憶手段と、
前記継続評価値記憶手段に記憶されている前回の合焦動作終了時から当該合焦動作開始時に至るまでの合焦評価値の時系列的な変化状況に応じて走査開始点および走査方向を設定する第1の走査制御手段
を備えることを特徴とする被写体像取得装置。 - 第1の走査制御手段が、前回の合焦後から当該合焦動作開始までの間に合焦評価値が大きく変化しなかった場合に、被写体が変化していないと判断し、前記フォーカス作動手段の初動位置から所定の方向に第1の所定量だけ移動させた点から、前記所定の方向とは逆の方向に向かって走査を開始するように、前記走査の走査開始点および走査方向を設定する
ことを特徴とする請求項1に記載の被写体像取得装置。 - 前記第1の走査制御手段が、前記第1の所定量を、前記継続評価値記憶手段に記憶されている前回の合焦動作終了時から当該合焦動作開始時に至るまでの合焦評価値の時系列的な変化状況に応じて可変制御する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の被写体像取得装置。 - 前記第1の走査制御手段が、当該走査範囲の両側の端点のうちのいずれか一方の第1の端点に達するまでの間で合焦評価値が適正な値となる合焦点があった場合には、前記第1の端点において当該走査を終了する
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の被写体像取得装置。 - 前記第1の走査制御手段が、前回の合焦後から当該合焦動作開始までの間に合焦評価値が大きく変化した場合に、被写体が変化したと判断し、前記フォーカス作動手段の初動位置から、走査を開始するように、前記走査の走査開始点を設定する
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の被写体像取得装置。 - 第1の走査制御手段が、前記フォーカス作動手段の初動位置から、当該走査範囲の両側の端点のうちの、前記初動位置に近い側の端点までの距離が第2の所定量よりも小さい場合に、前記近い側の端点へ移動させた後に、該端点から他の端点へ向かって走査を開始するように、前記走査の走査開始点および走査方向を設定する
ことを特徴とする請求項1に記載の被写体像取得装置。
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