JP2007298676A - トナー供給ローラー及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】研磨や切削などの煩雑な工程を不要とし、原料の無駄を省き、寸法精度が高く、特定のセルの開口を有し、長期に亘って一定量のトナー供給を維持することができ、画像不良の発生を抑制することができるトナー供給ローラーやその製造方法を提供する。
【解決手段】成形型の成形キャビティにポリエーテルポリオールとイソシアネートを主成分とするウレタンフォーム原料を供給して形成されたウレタンフォーム層を有するトナー供給ローラーにおいて、前記成形型の成形キャビティが、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体を含む非直鎖状フッ素樹脂製の表面を有し、該成形キャビティ表面に接触して形成されるウレタンフォーム層が、セル開口4の面積が全表面積に対して50%から90%の範囲であり、且つ、セル壁幅aが平均セル開口径に対して10%から70%の範囲である表面を有する。
【選択図】図1
【解決手段】成形型の成形キャビティにポリエーテルポリオールとイソシアネートを主成分とするウレタンフォーム原料を供給して形成されたウレタンフォーム層を有するトナー供給ローラーにおいて、前記成形型の成形キャビティが、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体を含む非直鎖状フッ素樹脂製の表面を有し、該成形キャビティ表面に接触して形成されるウレタンフォーム層が、セル開口4の面積が全表面積に対して50%から90%の範囲であり、且つ、セル壁幅aが平均セル開口径に対して10%から70%の範囲である表面を有する。
【選択図】図1
Description
本発明は、電子写真装置の現像装置に使用するトナー供給ローラー及びその製造方法に関する。
複写装置、画像記録装置、プリンター、ファクシミリ等の画像形成装置には、電子写真感光体や静電記録誘電体等の潜像担持体上に形成した静電潜像の現像を行う現像装置が設けられる。現像装置には、例えば、所定のトナー(現像剤)を収納する現像容器と、現像容器の開口を閉塞し、一部は露出して、露出した部分で潜像担持体と対向するように配置され、潜像担持体にトナーを供給する現像ローラーが設けられる。この現像ローラー表面に、現像容器内においてトナーを供給するトナー供給ローラーと、現像ローラー上に余剰のトナーを除去してトナーの薄膜を形成するブレード等が設けられる。
このような現像装置に用いられるトナー供給ローラーは、現像ローラー表面にトナーを供給しこれと同時に不要分を掻き取り、一定量のトナー供給を行うため、低硬度で、柔軟性を有し、表面にセル開口を有するウレタンフォーム層を有するものが用いられている。このようなウレタンフォーム層を有するトナー供給ローラーは、芯金の表面にポリウレタンフォームを形成し、そのスポンジの外面を切削加工し、表面にセルの開口を形成すると共に、ローラー状に成形して製造されている。スポンジの外面加工には、研磨機などの機械加工あるいは発熱したニクロム線によるカット等の溶融切断加工などが使用されている。研磨による加工により成形されるトナー供給ローラーにおいては、表面の毛羽立ちがトナー搬送量を不安定とし、画像不良の要因となる他、ローラー表面から脱落した毛羽が異物となって電子写真装置の他の部位に詰まる等、画像不良や故障を惹起するおそれもある。これらの従来のトナー供給ローラーにおいては、長期に亘って一定量のトナー供給を維持することが困難であり、画像不良の発生するおそれがあることに加え、製造工程が煩雑であり、高い寸法精度を得ることは困難であり、研磨や切削工程での廃棄分が生じる。
このようなウレタンフォーム層を有するトナー供給ローラーの製造工程の簡略化を図った製造方法として、内表面をフッ素樹脂コート処理しその表面粗さRzを5〜20μmとした成形型を用いて金軸とウレタンフォームとを一体成形する方法が報告されている。(特許文献1)。このフッ素樹脂コートと特定の表面粗さを有する成形型を用いて成形することにより、トナー供給ローラーは表面のスキン開口率がコントロールされ、表面開口率を20%以上として得られる。しかしながら、上記成形型のフッ素樹脂コートはフッ素樹脂材料の種類によってセル開口率が変動し、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)など使用するウレタンフォーム材料によっては十分なセル開口が得られない場合もある。また、成形型を反復使用した場合に、セル開口率や離型性が安定しない場合があり、このような場合成形型の洗浄を頻繁に行う必要がある。
特開平9−274373号公報
本発明の課題は、研磨や切削などの煩雑な工程を不要とし、原料の無駄を省き、寸法精度が高く、特定のセルの開口を有し、長期に亘って一定量のトナー供給を維持することができ、画像不良の発生を抑制することができるトナー供給ローラーを提供することにある。また、本発明の課題は、一定のセルの開口を有するトナー供給ローラーを、反復使用しても成形型からの離型が容易であり、製造工程の簡略化を図り、原料の無駄を省き、寸法精度が高いトナー供給ローラーの製造方法を提供することにある。
本発明は、成形型の成形キャビティにポリエーテルポリオールとイソシアネートを主成分とするウレタンフォーム原料を供給して形成されたウレタンフォーム層を有するトナー供給ローラーにおいて、前記成形型の成形キャビティが、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体を含む非直鎖状フッ素樹脂製の表面を有し、該成形キャビティ表面に接触して形成されるウレタンフォーム層が、セル開口面積が全表面積に対して50%から90%の範囲であり、且つ、セル壁幅が平均セル開口径に対して10%から70%の範囲である表面を有することを特徴とするトナー供給ローラーに関する。
また、本発明は、成形型の成形キャビティに、ポリエーテルポリオールとイソシアネートを主成分とするウレタンフォーム原料を供給してウレタンフォーム層を成形するトナー供給ローラーの製造方法において、前記成形型の成形キャビティが、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体を含む非直鎖状フッ素樹脂製の表面を有し、成形キャビティの表面に接触する表面に、セル開口面積が全表面積に対して50%から90%の範囲であり、且つ、セル壁幅が平均セル開口径に対して10%から70%の範囲である表面を形成してウレタンフォーム層を作成することを特徴とするトナー供給ローラーの製造方法に関する。
本発明のトナー供給ローラーは、研磨や切削などの煩雑な工程を不要とし、原料の無駄を省き、寸法精度が高く、特定のセルの開口を有し、長期に亘って一定量のトナー供給を維持することができ、画像不良の発生を抑制することができる。
また、本発明のトナー供給ローラーの製造方法は、一定のセルの開口を有するトナー供給ローラーを、反復使用しても成形型からの離型が容易であり、製造工程の簡略化を図り、原料の無駄を省き、寸法精度が高いトナー供給ローラーを製造することができる。
本発明のトナー供給ローラーは、成形型の成形キャビティにポリエーテルポリオールとイソシアネートを主成分とするウレタンフォーム原料を供給して形成されたウレタンフォーム層を有するトナー供給ローラーにおいて、前記成形型の成形キャビティが、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体を含む非直鎖状フッ素樹脂製の表面を有し、該成形キャビティ表面に接触して形成されるウレタンフォーム層が、セル開口面積が全表面積に対して50%から90%の範囲であり、且つ、セル壁幅が平均セル開口径に対して10%から70%の範囲である表面を有することを特徴とする。
本発明のトナー供給ローラーに設けられるウレタンフォーム層は、低硬度であり柔軟性を有し、トナーを現像ローラー表面に供給すると共に、不要量を掻き取る機能を有する。かかるウレタンフォーム層はポリエーテルポリオールとイソシアネートを主成分とするウレタンフォーム原料を用いて形成される。
ウレタンフォーム原料の主成分であるポリエーテルポリオールとしては、一般に軟質ポリウレタンフォームの製造に用いられているポリエステルポリエーテルポリオール、ポリエーテルポリオール等の公知のポリエーテルポリオール類を適宜選択して使用することができる。具体的には、ポリエチレンアジペート(PEA)、ポリブチレンアジペート(PBA)、ポリヘキシレンアジペート(PHA)、エチレンアジペートとブチレンアジペートの共重合体、ダイマー酸系ポリオール、ヒマシ油系ポリオール、ポリカプロラクトンポリオール等のポリエステルポリエーテルポリオール;ポリオキシアルキレングリコール等のポリエーテルポリオールを挙げることができる。これらは一種又は二種以上を組み合せて使用することができる。
これらのうちポリエーテルポリオールは、耐湿性、耐熱性に優れ耐久性に優れる軟質高弾性ウレタンフォーム層を得られるため好ましい。更に、エチレンオキシドを5モル%以上含有するポリエーテルポリエーテルポリオールを使用すると、成形性の向上を図ることができるため好ましい。
これらのポリエーテルポリオールは予めポリイソシアネートと重合させたプレポリマーとして用いることもできる。
ウレタンフォーム原料の主成分であるイソシアネートとしては、具体的には、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、トリジンジイソシアネート(TODI)、ナフチレンジイソシアネート(NDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、カーボジイミド変成MDI、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、ポリメリックポリイソシアネート等を挙げることができる。これらは、単独で、又は二種以上を組み合せて用いることができる。イソシアネートを公知の活性水素化合物の一種または二種以上と反応させることにより得られるイソシアネート基末端プレポリマーも、上記イソシアネートとして使用することもできる。
ウレタンフォーム原料のNCOインデックスは60〜120であることが好ましく、70〜100であることがより好ましい。ここでNCOインデックスとは、ポリイソシアネート中のイソシアネート基の総数をイソシアネート基と反応する活性水素の総数で除したものに100を乗じた値とする。即ち、イソシアネート基と反応する活性水素数とポリイソシアネート中のイソシアネート基が化学量論的に等しい場合にそのNCOインデックスは100となる。
ウレタンフォーム原料中のポリエーテルポリオールとイソシアネートとの含有量としては、質量比としてポリエーテルポリオール/イソシアネートが65/35〜85/15であることが好ましい。
上記ウレタンフォーム原料には、触媒、架橋剤、発泡剤、整泡剤、破泡剤などを含有させることができる。
触媒としては、トリエチレンジアミン、ジメチルエタノールアミン、ビス(ジメチルアミノ)エチルエーテル等公知の触媒を使用することができる。
架橋剤としては、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン等公知のものを使用することができる。
発泡剤としては、水、低沸点物質、不活性ガス等の気体などを挙げることができる。
整泡剤としては、例えば、水溶性ポリエーテルシロキサン、東レ・ダウコーニング社製のSRX−274C、日本ユニカ社製のL−5309、L−520等のシリコーン系界面活性剤を使用することができる。
これらの、発泡剤、整泡剤等は発泡成形後のウレタンフォーム層の構造が連続気泡型または独立気泡型かによって、その使用量は適宜選択することができる。ポリオール100質量部に対して、0.1〜10質量部であることが好ましい。
また、上記ウレタンフォーム原料には、その他必要に応じて所望の導電性を付与するため導電性付与剤や帯電防止剤、難燃剤、減粘剤、顔料、安定剤、着色剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、抗酸化剤、酸化防止剤等を含有させることができる。導電付与剤としては、具体的には、カーボンブラック、グラフアイト、酸化チタン、酸化錫などの導電性の金属酸化物、Cu、Agなどの金属、これら導電性材料を粒子表面に被覆して導電化した粒子などを一種または二種以上を組み合わせて用いることができる。特に、カーボンブラックは、比較的少量(重量比)の添加によって、所望の導電性を付与できる点で好ましい。
このようなウレタンフォーム原料中の、イソシアネート、ポリエーテルポリオール、整泡剤の好適な組み合わせとして、イソシアネートとして、ジフェニルメタンジイソシアネートとTDIとの混合物、ポリエーテルポリオールとして、ポリエーテルポリエーテルポリオール、整泡剤として、水溶性ポリエーテルシロキサンとの組み合せを挙げることができる。この組み合わせは混合操作が容易であり得られるウレタンフォーム層の特性から好ましい。この組み合わせにおける各物質の使用量としては、ポリエーテルポリオール/整泡剤の質量比として、99.95/0.15〜90/10を挙げることができる。
このようなウレタンフォーム原料から成形されるウレタンフォーム層において、セルの構造は連続気泡型、独立気泡型、混在型などいずれのものであってもよいが、セル開口面積がウレタンフォーム層の全表面積に対して50%から90%の範囲であり、且つ、セル壁幅が平均セル開口径に対して10%から70%の範囲である表面を有する。セル開口面積がウレタンフォーム層の全表面積に対して50%以上であれば、現像ローラーへのトナーの供給量を一定量として供給することができる。また、セル開口面積がウレタンフォーム層の全表面積に対して90%以下であれば容易に作製することができる。また、ウレタンフォーム層の全表面積に占めるセル開口面積の割合をセル開口率と称することもある。更に、セル壁幅が平均セル開口径に対して、10%以上70%以下であれば、現像ローラー上へトナーの一定量を効率良く供給することができ、また、現像ローラー上の残トナーを掻き取ることができる。
ここで、ウレタンフォーム層表面のセルの開口面積はキーエンス社製のビデオマイクロカメラを用い、約50倍の倍率で写真撮影を行い、写真を電算処理することにより算出した開口部面積と非開口面積の比から求めた値を採用することができる。
更に、セルの平均開口径が100μmから500μmの範囲であることが好ましい。平均セル開口径が100μm以上であれば、トナーがセルに進入して目詰まりを生じることを抑制し、一定量のトナーの供給を維持することができる。また、トナーの進入による表面の硬度の上昇を抑制し、トナーの劣化を抑制することができる。平均セル開口径が500μm以下であれば、セルに侵入するトナー量の増大を抑制し、一定量のトナーの供給を維持することができる。
ここで、セルの平均開口径はキーエンス社製のビデオマイクロカメラを用い、約50倍の倍率で写真撮影を行い、写真を電算処理することにより算出した値を採用することができる。
このようなセルの平均開口径を得るためには、PFAの分子量を上記範囲とした成形キャビティ表面を有する成形型を用い、ウレタンフォーム原料に用いるポリエーテルポリオールの重合度、イソシアネートとの組成比、粘度、触媒の種類や使用量等を適切に選択し調整することによればよい。
更に、セルの平均壁厚が25μmから250μmの範囲であることが好ましい。平均セル壁幅が25μm以上であれば、トナー供給ローラーと現像ローラーとの接触面積を充分に確保することができ、現像ローラーから不要量のトナーを掻き取ることができる。また、平均セル壁幅が250μm以下であれば、トナー供給ローラーと現像ローラーとの接触面積が過大となるのを抑制することができ、トナー供給ローラーと現像ローラーとの摩擦の増大を抑制し、トナーの劣化を抑制することができる。
ここで、セルの壁幅は、図1に示すウレタンフォーム層の拡大表面において、隣接するセル開口4の中心を結ぶ線上におけるセル壁5の距離aをいう。平均セル壁幅はキーエンス社製のビデオマイクロカメラを用い、約50倍の倍率で写真撮影を行い、写真を電算処理することにより算出により求めることができる。
このような平均セル壁幅を得るためには、PFAの分子量を上記範囲としたキャビティ表面を有する成形型を用い、ウレタンフォーム原料に用いるポリエーテルポリオールの重合度、イソシアネートとの組成比、粘度、触媒の種類や使用量等を適切に選択し調整することによればよい。
このようなウレタンフォーム層の密度としては、0.05g/cm2から0.15g/cm2であることが好ましい。また、厚さとしては、2.0mm〜8.0mmを挙げることができる。
ここで密度としては、非接触系レーザー測長機によりトナー供給ローラーの外径、ウレタンフォーム層長を算出してウレタンフォーム層の体積を求め、秤量計より測定したウレタン質量との比により求めることができる。
上記ウレタンフォーム層は芯金上に設けられることが好ましい。芯金としては、ウレタンフォーム層を支持し、現像ローラー上にトナーを供給し、その表面の不要量のトナーを掻き取るというトナー供給ローラーの作用に必要な強度を有するものが好ましい。その材質としては、例えば、鉄、銅、アルミニウム、チタン、ニッケル、これらの金属を含むSUS等のステンレス、ジュラルミン、真鍮及び青銅等の合金を挙げることができる。これらのうち、鉄、ステンレス等を好ましいものとして挙げることができる。これらは防錆処理を施したものであってもよく、また、導電性や半導電性、絶縁性の塗料により塗装して使用することもできる。
芯金の形状としては、例えば、口径4〜6mm、長さ200〜400mmなどを挙げることができる。
上記芯金上にはウレタンフォーム層との接着を高めるための接着剤層を有していてもよい。接着剤層としては、公知の接着剤やホットメルトシール等を使用することができる。
本発明のトナー供給ローラーに用いる成形型としては、そのキャビティ表面がテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)を含む非直鎖状フッ素樹脂製である。PFAは非直鎖状分子構造をしており、直鎖状分子構造をしているポリテトラフルオロエチレン(PTFE)と比較すると結晶化しにくく、均一溶融成形が容易であり、成形キャビティ表面にPFAを含有する均一な被膜を形成することができる。従来用いられているPTFEは結晶化して部分凝集が生じやすく、PTFEを用いて均一な被膜を成形するのは困難であり、被膜に空孔が発生しやすい。空孔が存在すると空孔にウレタンが蓄積し、セル開口性を低下させる。特に、このような被膜を有する成形型を反復使用してウレタンフォーム層を作製することにより空孔内にウレタン樹脂が蓄積し、所定のセル開口を有するウレタンフォーム層を作製することができない。PFAを含む成形キャビティ表面は、空孔の発生が抑制され、PFAを含有する成形キャビティ表面を有する成形型を使用することにより、ウレタンフォーム層の全表面積の50%から90%のセル開口面積を有するトナー供給ローラーを作製することができる。更に、成形型の反復使用によっても、セル開口性の低下が抑制され、ウレタンフォーム層の全表面積の50%から90%のセル開口面積を有するトナー供給ローラーを作製することができる。
このようなPFAとしては、分子量(Mw)が300万から500万であることが好ましい。分子量300万以上であれば、PFAの硬度が低く柔軟な成形キャビティ表面が得られ、耐擦傷性に優れたものとでき、成形品の成形キャビティからの離型性の低下を抑制することができる。分子量が500万以下であれば、溶融粘度の上昇を抑制し、成形型表面への均一な被膜形成が容易となる。
ここで、PFAの分子量は、ASTM D3307に従ってメルトフローレート(MFR)を測定し、既知の「分子量とMFRとの関係」から算出した重量平均分子量の値とすることができる。
更に、成形キャビティ表面が、ミクロ表面粗さRzが0.5μmから2μmの範囲であり、マクロ表面粗さRzが3μmから10μmの範囲を有することが好ましい。ミクロ表面粗さRzが0.5μmから2μmの範囲であると、ウレタンフォーム層の破膜を抑制することができる。また、マクロ表面粗さRzが3μm以上であると上記範囲の開口径を有するセルを成形することができ、10μm以下であると成形品の離型性が優れたものなる。
このようなミクロ表面粗さを成形キャビティ表面に成形するには、成形型表面にPFAを成形する際、焼付け温度を調整して成形することができる。また、マクロ表面粗さを成形キャビティ表面に成形するには、例えば、成形キャビティ表面にPFAを成形した後、表面をブラスト処理や、砥石を用いた研磨などにより処理して成形することができる。
ここで、ミクロ表面粗さは超深度形状測定顕微鏡VK−8500型(キーエンス社製)により測定して得られた値を採用することができる。また、マクロ表面粗さはJIS−B0601:1994に準じた方法により、測定した値を採用することができる。具体的には、粗さ曲線からその平均線の方向に基準長さ(0.8mm)だけ抜き取り、この抜取り部分の平均線から縦倍率の方向に測定した、最も高い山頂から5番目までの山頂の標高(Yp)の絶対値の平均値と、最も低い谷底から5番目までの谷底の標高(Yv)の絶対値の平均値との和を求め、この値をマイクロメートル(μm)で表した値とすることができる。上記Yp、Yvの測定にはSE−3400表面粗さ測定器((株)小坂研究所製)を用いることができる。
このようなキャビティ表面を有する成形型を作製する方法としては、上記PFAの塗工液を調製し、適宜成形型のキャビティ表面に塗工する方法を挙げることができる。成形型として、具体的には、公知の材質、形状の中から適宜選択した金型を使用することができる。例えば、SUS304製で、ベントホール(型内にガスがたまり発泡体に欠肉を生じるのを未然に防止するため設けられた孔径約1mm程度の成形型内外に連通する小孔)を有し、内面に凹凸形状を有する円筒状成形型等を挙げることができる。
このような金型のキャビティ表面にPFA被膜を形成する場合、PFA分散水溶液を調製し、このPFA分散液をキャビティ表面の全体に均一に塗布し、100℃から120℃で乾燥固化させる。その後、この金型を350℃から400℃の加熱炉で10分から20分間焼成する方法によることができる。
このような成形型を用いて成形されるウレタンフォーム層を有するトナー供給ローラーは、その形状として、例えば、10mmから20mmの外径を有するものを挙げることができる。
本発明のトナー供給ローラーの一例として、具体的には、図2に示すように、芯金2上にウレタンフォーム層3を有するトナー供給ローラー1を挙げることができる。
本発明のトナー供給ローラーの製造方法は、成形型の成形キャビティに、ポリエーテルポリオールとイソシアネートを主成分とするウレタンフォーム原料を供給してウレタンフォーム層を成形するトナー供給ローラーの製造方法において、前記成形型の成形キャビティが、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体を含む非直鎖状フッ素樹脂製の表面を有し、成形キャビティの表面に接触する表面に、セル開口面積が全表面積に対して50%から90%の範囲であり、且つ、セル壁幅が平均セル開口径に対して10%から70%の範囲である表面を形成してウレタンフォーム層を作成することを特徴とする。
本発明のトナー供給ローラーの製造方法におけるウレタンフォーム原料は、ポリエーテルポリオール、イソシアネート、触媒、所望により用いられる整泡剤、発泡剤としての水、その他助剤などを均質に混合して調製する。ウレタンフォーム原料を調製する際の温度は、例えば、10〜90℃、好ましくは20〜60℃の範囲とすることができ、混合時間は、例えば、1秒〜10分間、好ましくは3秒〜5分間程度とすることができる。
その後、成形キャビティ表面にPFA被膜を有する上記成形型に、芯金を配置し、得られたウレタンフォーム原料を直接キャビティに注入し、加熱して発泡、硬化してウレタンフォーム層を形成し、トナー供給ローラーを成形することができる。あるいは、成形キャビティに芯金を配置せずにウレタンフォーム原料を加熱して発泡、硬化してウレタンフォーム層を筒状又はシート状に形成し、これを、芯金に巻き付けトナー供給ローラーを成形することができる。
ウレタンフォーム原料を加熱して硬化する際の発泡方法については上記発泡剤をウレタンフォーム原料に混合する方法、機械的な撹拌により気泡を混入する方法などいずれの方法をも用いることができる。発泡、硬化時の温度は35℃から100℃にすることが好ましく、40℃から80℃にすることがより好ましい。
芯金とウレタンフォーム層との接合方法は上記のように芯金とポリウレタンフォームの間に接着剤層を設けることができる。この接着層としては、接着剤やホットメルトシートなどの公知の材料を用いることができる。
以下に、本発明のトナー供給ローラーを具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらに限定されるものではない。以下、特に明記しない限り、試薬等は市販の高純度品を用いた。
[ウレタンフォーム原料の調製]
以下の原料を使用してウレタンフォーム原料を調製した。
(1)ポリエーテルポリオール
ポリオール1:EP−550N(商品名:三井武田ケミカル(株)製)
ポリオール2:FA−718 (商品名:三洋化成工業(株)製)
(2)イソシアネート
コロネート1021(商品名:日本ポリウレタン(株)製[TDI(トリレン・ジイソシアネート)/MDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)/他=80/8/12(重量比)]の混合物、NCO%=44.5)
(3)触媒
触媒1:ToyoCat−ET(商品名:東ソー(株)製三級アミン触媒)
触媒2:ToyoCat−MR(商品名:東ソー(株)製三級アミン触媒)
(4)整泡剤
L5366(商品名:日本ユニカー(株)製シリコーン系整泡剤)
(5)発泡剤
水
(6)配合割合
(1)ポリオール 100重量部
(2)イソシアネート 25重量部
(3)触媒1 1重量部
触媒2 0.3重量部
(4)整泡剤 1重量部
(5)発泡剤 2重量部
[成形型]
成形型として、パイプ型を用い、以下の1〜3のPFAを含有する塗布液を調製し、膜厚25μmの塗布膜を成形し、4種の円筒状成形型(実施例1〜4)を用意した。以下のPTFEを含有する塗布液4、5を調製し、同様にして塗布膜を成形し、3種の成形型(比較例1〜3)を用意した。
以下の原料を使用してウレタンフォーム原料を調製した。
(1)ポリエーテルポリオール
ポリオール1:EP−550N(商品名:三井武田ケミカル(株)製)
ポリオール2:FA−718 (商品名:三洋化成工業(株)製)
(2)イソシアネート
コロネート1021(商品名:日本ポリウレタン(株)製[TDI(トリレン・ジイソシアネート)/MDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)/他=80/8/12(重量比)]の混合物、NCO%=44.5)
(3)触媒
触媒1:ToyoCat−ET(商品名:東ソー(株)製三級アミン触媒)
触媒2:ToyoCat−MR(商品名:東ソー(株)製三級アミン触媒)
(4)整泡剤
L5366(商品名:日本ユニカー(株)製シリコーン系整泡剤)
(5)発泡剤
水
(6)配合割合
(1)ポリオール 100重量部
(2)イソシアネート 25重量部
(3)触媒1 1重量部
触媒2 0.3重量部
(4)整泡剤 1重量部
(5)発泡剤 2重量部
[成形型]
成形型として、パイプ型を用い、以下の1〜3のPFAを含有する塗布液を調製し、膜厚25μmの塗布膜を成形し、4種の円筒状成形型(実施例1〜4)を用意した。以下のPTFEを含有する塗布液4、5を調製し、同様にして塗布膜を成形し、3種の成形型(比較例1〜3)を用意した。
1.PFA分子量300万
2.PFA分子量500万
3.PFA分子量50万
4.PTFA分子量300万
5.PTFA分子量1000万
[実施例1]
上記成形型の成形キャビティに口径5mm、長さ230mmの芯金を設置し、ウレタンフォーム原料を注入し、70℃、15分間加熱し、ウレタンフォーム層を成形した。
2.PFA分子量500万
3.PFA分子量50万
4.PTFA分子量300万
5.PTFA分子量1000万
[実施例1]
上記成形型の成形キャビティに口径5mm、長さ230mmの芯金を設置し、ウレタンフォーム原料を注入し、70℃、15分間加熱し、ウレタンフォーム層を成形した。
成形型を用いて最初に作製したトナー供給ローラーと、同一の成形を反復し10回目に作製したトナー供給ローラーそれぞれについて、成形型からの離型性の評価、セル開口率、セル開口変化率、セル壁幅を、以下のように測定した。結果を表1に示す。
更に、成形回数10回目のトナー供給ローラーを画像形成機に組み込み、以下のように連続画像出力を行い、出力画像について評価を行った。結果を表1に示す。
[トナー供給ローラーの特性評価]
[離型性]
成形回数が10回以上で成形型から容易に離型できるものを○、成形回数が5回以下で剥離が重くなる又は脱型できない場合を×とした。
[セル開口率]
ウレタンフォーム層表面のセル開口について、リアルタイム走査型レーザー顕微鏡を用いて、表面の画像を取り込み画像解析により2値化処理を行いセル開口面積率を求めた。
[離型性]
成形回数が10回以上で成形型から容易に離型できるものを○、成形回数が5回以下で剥離が重くなる又は脱型できない場合を×とした。
[セル開口率]
ウレタンフォーム層表面のセル開口について、リアルタイム走査型レーザー顕微鏡を用いて、表面の画像を取り込み画像解析により2値化処理を行いセル開口面積率を求めた。
セル開口面積率[%]=(セル開口面積/画像範囲)×100
[セル開口変化率]
以下の数式にて、算出した。
[セル開口変化率]
以下の数式にて、算出した。
セル開口変化率[%]
=(1−成形10回目のセル開口率/成形1回目のセル開口率)×100
[平均セル壁幅及びセル開口径]
成形回数10回目のトナー供給ローラのポリウレタンフォーム層表面をリアルタイム走査型レーザー顕微鏡(キーエンス社製)で表面の画像を倍率50倍で取り込み、図2に示すように、隣接するセル4、4の中心を結んだ線上でのセル壁幅aを無作為に50点選択して測定し、その平均値を平均セル壁幅とした。同様に無作為に50個のセルを選択し、長径と短径を読み取り、その平均値を平均セル径として算出した。
[画像評価]
成形回数10回目に作製したトナー供給ローラーをフルカラーレーザービームプリンタ(キヤノン社製;LBP−2510)のシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各トナーカートリッジに組み込み、このカートリッジを取り付けたフルカラーレーザービームプリンタを用いて、連続耐久試験用のテキストページを連続4000枚出力した。出力終了後1晩以上放置してから各色ベタ画像を作像して、以下の基準により評価した。
○:良好なもの
×:色抜け、濃度むら等が生じたもの。色抜けとはイメージのあるところにトナーが供給されていないものをいう。濃度むらとはベタ画像が不均一になることをいう。
=(1−成形10回目のセル開口率/成形1回目のセル開口率)×100
[平均セル壁幅及びセル開口径]
成形回数10回目のトナー供給ローラのポリウレタンフォーム層表面をリアルタイム走査型レーザー顕微鏡(キーエンス社製)で表面の画像を倍率50倍で取り込み、図2に示すように、隣接するセル4、4の中心を結んだ線上でのセル壁幅aを無作為に50点選択して測定し、その平均値を平均セル壁幅とした。同様に無作為に50個のセルを選択し、長径と短径を読み取り、その平均値を平均セル径として算出した。
[画像評価]
成形回数10回目に作製したトナー供給ローラーをフルカラーレーザービームプリンタ(キヤノン社製;LBP−2510)のシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各トナーカートリッジに組み込み、このカートリッジを取り付けたフルカラーレーザービームプリンタを用いて、連続耐久試験用のテキストページを連続4000枚出力した。出力終了後1晩以上放置してから各色ベタ画像を作像して、以下の基準により評価した。
○:良好なもの
×:色抜け、濃度むら等が生じたもの。色抜けとはイメージのあるところにトナーが供給されていないものをいう。濃度むらとはベタ画像が不均一になることをいう。
[実施例2]
実施例1において使用した円筒状成形型(実施例1−1〜1−3、比較例1−1)について、マクロ表面粗さと、ミクロ表面粗さを以下のように測定した。結果を2に示す。
実施例1において使用した円筒状成形型(実施例1−1〜1−3、比較例1−1)について、マクロ表面粗さと、ミクロ表面粗さを以下のように測定した。結果を2に示す。
[ミクロ表面粗さ]
超深度測定顕微鏡(キーエンス社製VK−8500)を用いて、金型内面の縦300μm×横250μmの領域内で、長さ20μm間の十点平均粗さRz(JIS B0601:1994)に準じて5つの位置で測定し、平均を求めた。
超深度測定顕微鏡(キーエンス社製VK−8500)を用いて、金型内面の縦300μm×横250μmの領域内で、長さ20μm間の十点平均粗さRz(JIS B0601:1994)に準じて5つの位置で測定し、平均を求めた。
[マクロ表面粗さ]
金型内面を、表面粗さ測定装置(東京精密社製:サーフコム120A)を用い、十点平均粗さRz(JIS B0601:1994)に準じて測定した。
金型内面を、表面粗さ測定装置(東京精密社製:サーフコム120A)を用い、十点平均粗さRz(JIS B0601:1994)に準じて測定した。
得られた成形型を用いて、実施例1と同様にして、トナー供給ローラーを作製し、その特性について測定した。結果を表2に示す。
1 トナー供給ローラー
2 芯金
3 ウレタンフォーム層
4 セル開口
5 セル壁
a セル壁幅
2 芯金
3 ウレタンフォーム層
4 セル開口
5 セル壁
a セル壁幅
Claims (7)
- 成形型の成形キャビティにポリエーテルポリオールとイソシアネートを主成分とするウレタンフォーム原料を供給して形成されたウレタンフォーム層を有するトナー供給ローラーにおいて、前記成形型の成形キャビティが、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体を含む非直鎖状フッ素樹脂製の表面を有し、該成形キャビティ表面に接触して形成されるウレタンフォーム層が、セル開口面積が全表面積に対して50%から90%の範囲であり、且つ、セル壁幅が平均セル開口径に対して10%から70%の範囲である表面を有することを特徴とするトナー供給ローラー。
- 成形型の成形キャビティが、ミクロ表面粗さRzが0.5μmから2μmの範囲であり、マクロ表面粗さRzが3μmから10μmの範囲である表面を有することを特徴とする請求項1記載のトナー供給ローラー。
- 前記非直鎖状フッ素樹脂が含有するテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体が、100万から500万の範囲の分子量を有することを特徴とする請求項1または2記載のトナー供給ローラー。
- ウレタンフォーム層が、平均セル壁幅が25μmから250μmの範囲であり、平均セル開口径が100μmから500μmの範囲であるセルを有することを特徴とする請求項1または2記載のトナー供給ローラー。
- 成形型の成形キャビティに、ポリエーテルポリオールとイソシアネートを主成分とするウレタンフォーム原料を供給してウレタンフォーム層を成形するトナー供給ローラーの製造方法において、前記成形型の成形キャビティが、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体を含む非直鎖状フッ素樹脂製の表面を有し、成形キャビティの表面に接触する表面に、セル開口面積が全表面積に対して50%から90%の範囲であり、且つ、セル壁幅が平均セル開口径に対して10%から70%の範囲である表面を形成してウレタンフォーム層を作成することを特徴とするトナー供給ローラーの製造方法。
- 成形型の成形キャビティが、ミクロ表面粗さRzが0.5μmから2μmの範囲であり、マクロ表面粗さRzが3μmから10μmの範囲である表面を有することを特徴とする請求項5記載のトナー供給ローラーの製造方法。
- 前記非直鎖状フッ素樹脂が含有するテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体が、100万から500万の範囲の分子量を有することを特徴とする請求項5または6記載のトナー供給ローラーの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006125714A JP2007298676A (ja) | 2006-04-28 | 2006-04-28 | トナー供給ローラー及びその製造方法 |
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JP2006125714A JP2007298676A (ja) | 2006-04-28 | 2006-04-28 | トナー供給ローラー及びその製造方法 |
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JP2007298676A true JP2007298676A (ja) | 2007-11-15 |
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JP (1) | JP2007298676A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014071147A (ja) * | 2012-09-27 | 2014-04-21 | Tokai Rubber Ind Ltd | 電子写真機器用トナー供給ロール |
-
2006
- 2006-04-28 JP JP2006125714A patent/JP2007298676A/ja active Pending
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