JP2007298370A - マイクロ波通信回線の受信強度低下判定装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】マイクロ波回線の受信強度低下判定を行う。
【解決手段】送信局と受信局との間を、電波を反射する反射板で結ぶマイクロ波回線の受信強度低下の判定を行う。受信レベルが基準レベル以下になったとき、受信アンテナ側の傾斜センサのセンサ出力が基準値以上であるときは、受信アンテナの方位がずれたと判断してその修理のための情報を点検・監視所に送信する。基準値以下であるときは、送信アンテナ側の傾斜センサのセンサ出力が基準値と比較される。基準値以上であるときは送信アンテナの方位がずれたと判断してその旨の情報を点検・監視所に送信する。基準値以下であるときはその他の低下要因であると判断し、点検・監視所にその旨の情報を送信する。この絞り込まれた情報に基づいて点検・監視所では点検・修理・調整作業を行うので、対応が迅速になる。
【選択図】 図5
【解決手段】送信局と受信局との間を、電波を反射する反射板で結ぶマイクロ波回線の受信強度低下の判定を行う。受信レベルが基準レベル以下になったとき、受信アンテナ側の傾斜センサのセンサ出力が基準値以上であるときは、受信アンテナの方位がずれたと判断してその修理のための情報を点検・監視所に送信する。基準値以下であるときは、送信アンテナ側の傾斜センサのセンサ出力が基準値と比較される。基準値以上であるときは送信アンテナの方位がずれたと判断してその旨の情報を点検・監視所に送信する。基準値以下であるときはその他の低下要因であると判断し、点検・監視所にその旨の情報を送信する。この絞り込まれた情報に基づいて点検・監視所では点検・修理・調整作業を行うので、対応が迅速になる。
【選択図】 図5
Description
この発明はマイクロ波通信回線の受信強度低下判定装置に関する。詳しくは、空中線としてのパラボラアンテナと反射板などで構成されるマイクロ波伝搬経路での受信強度が低下したとき、パラボラアンテナに取り付けられた傾斜センサからの出力を用いて、受信強度の低下原因を、パラボラアンテナの取り付け角度のずれに因るものか、伝搬経路上の原因に因るものかを簡単に判定できるようにしたものである。
パラボラアンテナなどの空中線を用いたマイクロ波通信においては、地形上の問題や、建築物などの障害によって、目的地間を直線的に結べないような場合が往々にして発生する。このような場合、直線的な伝搬経路とするのではなく、障害物を回避するために反射板(電波反射板)など用いて伝搬経路を迂回させることにより、マイクロ波通信回線が構成される場合がある。
このように反射板などを用いてマイクロ波伝搬経路を構築する場合、空中線としてのパラボラアンテナや反射板などは、何れも屋外に設置されるものであり、特に反射板などは山間地で、風雨に晒される場所に設置されるものであるから、地震や台風などが発生したときの影響を受け易い環境下にある。
パラボラアンテナの取り付け位置(取り付け角度)がずれたり、反射板の取り付け位置(取り付け角度)がずれたり、あるいは樹木などが生長し、樹木が伝搬経路を遮断するような障害物となったときには、受信強度が低下し、充分なS/N(C/N)が得られなかったり、場合によっては通信が途絶してしまうことがある。
受信強度の低下は、反射板などの中継を介さないで直接マイクロ波回線が構築されている場合にも、上述したような要因によって発生することは明らかである。
したがって、このようなマイクロ波通信回線では、常にマイクロ波伝搬状況を監視する必要がある。マイクロ波伝搬状況を監視する一つの手段として、パラボラアンテナの指向角度を監視するシステムが知られている(例えば、特許文献1)。
この特許文献1に開示された技術は、空中線から発射されたビームの開口角度の広がりを検知し、基準の利得を満たさないとき、空中線の開口面が目標対象物と対峙するように空中線を駆動するようにしたものである。
ところで、この特許文献1には、目標対象での受信レベルを算出などを用いてビーム利得算出を行う記載があるが、この特許文献1に開示されたものは、あくまでも目標対象を捕捉するためのレーダ装置における追尾能力を高めるための制御装置であるから、複数の空中線を使用した通信回線での受信障害に関する受信強度低下判定手段については開示されていない。また、このレーダ装置の追尾装置に関するものであるから、その設備は極めて大掛かりなものである。
上述したように特に反射板などを用いてマイクロ波伝搬経路が構築されているようなときで、受信障害の判定は、基本的には受信強度(受信レベル)を監視して判断される。しかし、受信強度のみでは受信障害の原因が何であるかを簡単に判定することは困難である。上述したようなマイクロ波伝搬経路の場合には、受信強度の低下は、送信局(無線局)自体に障害が発生する場合の他に、パラボラアンテナや反射板で障害が発生する場合や、樹木が生長したことによって伝搬経路上で障害が発生する場合などが考えられるからである。
そこで、この発明はこのような従来の課題を解決したものであって、特に受信強度の低下が何に起因するかを容易に判定できるマイクロ波通信回線の受信強度低下判定装置を提案するものである。
上述の課題を解決するため、請求項1に記載したこの発明に係る送信局と受信局との間を、マイクロ波回線で結ぶマイクロ波通信回線の受信強度低下判定装置であって、
前記送信局と受信局とに設けられた送信アンテナおよび受信アンテナと、
前記送信アンテナと受信アンテナのそれぞれに設けられた傾斜センサと、
前記受信局で得た受信信号よりその受信レベルを検出すると共に、基準レベルと比較するレベル比較手段と、
前記受信レベルが前記基準レベル以下であるとき、前記傾斜センサのセンサ出力に基づいて、受信強度低下要因を判定することを特徴とする。
前記送信局と受信局とに設けられた送信アンテナおよび受信アンテナと、
前記送信アンテナと受信アンテナのそれぞれに設けられた傾斜センサと、
前記受信局で得た受信信号よりその受信レベルを検出すると共に、基準レベルと比較するレベル比較手段と、
前記受信レベルが前記基準レベル以下であるとき、前記傾斜センサのセンサ出力に基づいて、受信強度低下要因を判定することを特徴とする。
この発明は、マイクロ波通信回線が直線的に構成されている場合の他に、反射板などによって迂回してマイクロ波通信回線が構築されているマイクロ波伝搬経路における受信強度の低下判定に適している。空中線としてはパラボラアンテナが使用される。パラボラアンテナの形態(形式や種類)は問わない。反射板を1台設置した例を述べる。
送信局に設置されるパラボラアンテナに傾斜センサが取り付けられる。取り付け位置は任意であるが、パラボラアンテナの方位ずれが最も顕著に現れる位置が好ましい。したがって、パラボラアンテナを構成する放物体(放物面を有する反射板)の最外周縁背部などはその好適な取り付け位置と言える。傾斜センサとしては、例えば静電容量型の3軸加速度センサが用いられる。受信局に設置されるパラボラアンテナにも、同様な位置に、同様な傾斜センサが取り付けられる。
受信局側で、受信強度が監視される。受信強度(受信レベル)が規定値以下となったとき、受信強度低下判定処理に移る。規定値としては、一例としてパラボラアンテナにおける電力半値角の例えば半分と定める。反射板を用いたマイクロ波通信回線に適用したときを例示すると、この場合において受信強度が規定値以下となる主な原因としては、
(1)送信局側のパラボラアンテナの方位がずれたとき
(2)受信局側のパラボラアンテナの方位がずれたとき
(3)反射板の取り付け角度がずれたとき
(4)マイクロ波の伝搬経路上に障害物が存在するようになったとき
などが考えられる。
(1)送信局側のパラボラアンテナの方位がずれたとき
(2)受信局側のパラボラアンテナの方位がずれたとき
(3)反射板の取り付け角度がずれたとき
(4)マイクロ波の伝搬経路上に障害物が存在するようになったとき
などが考えられる。
この他に、送信局(無線局)における送信設備に不具合が発生したときや、受信局に装備された受信設備に不具合が発生したときも、同様な受信強度が低下することになるが、これらは別の手段によって常時監視されているので、伝搬経路上の障害原因からは除外している。
受信強度が規定値以下となったときは、まず最初に受信局側に設置されたパラボラアンテナの傾斜センサ出力に基づいて判断する。パラボラアンテナの受信方位を正しくセットしたときの傾斜センサの出力(基準センサ出力)が保存されているので、受信強度が低下したときの傾斜センサ出力との差分出力を求める。差分出力がゼロか、規定値以下であるときは、パラボラアンテナの方位は当初設定したときの正しい方位(受信方位)を向いているか、当初より若干ずれていても、受信強度には影響を与えない程度の方位ずれと判断し、受信強度側のパラボラアンテナは異常なしと判定する。
差分出力が規定値以上であったときには、受信強度の低下を及ぼす程に、受信局側のパラボラアンテナの取り付け角度がずれていると判断できるから、この場合には該パラボラアンテナに対する点検・修理作業を行うための情報を、管轄する点検・監視所に送信する。
受信局側のパラボラアンテナについて特に問題がなかったときは、上述したのと同じ判定処理を送信局のパラボラアンテナについても行う。そのため、判定装置側からは、送信局側のパラボラアンテナに設置された傾斜センサの現在のセンサ出力と、基準センサ出力の双方に対する、送信要求が行われる。基準センサ出力は、予め判定装置側に保存しておくこともできる。
何れのパラボラアンテナについても異常が発見されなかったときは、伝搬経路上に原因が存在すると考えられる。その場合、樹木等の生長によって発生したのか、反射板の入射角と出射角とが当初よりずれてしまったのかの特定は不可能であるので、管轄する点検・監視所に、点検および補修の指示情報を発信する。
こうすることで、受信強度低下の原因を絞り込むことができるから、伝搬経路に対する障害物の排除、反射板の取り付け角度の調整などを迅速に行うことができる。受信局は送信局としても機能するため、マイクロ波通信回線を構築している無線局(送信局および受信局)の双方に、上述した判定装置を備えることもできる。
この発明は、受信強度を監視すると共に、受信強度が規定値以下になったときは、送受信局側の空中線の方位を、当初設置したときの傾斜センサ出力情報を参照しながら確認することで、受信強度低下の原因を迅速に、しかも簡単に絞り込むことができる特徴を有する。
続いて、この発明に係るマイクロ波の受信強度低下判定装置の好ましい実施例を図面を参照して詳細に説明する。
図1には、この発明に係るマイクロ波の受信強度低下判定装置の一例を示す概念図が示されている。この例は、マイクロ波通信回線が直線的に構成することができず、反射板によって迂回してマイクロ波通信回線が構築されているマイクロ波伝搬経路に適用した場合である。マイクロ波伝搬経路における受信強度の低下判定処理が実行される。空中線としてはパラボラアンテナが使用される。パラボラアンテナの形態(形式や種類)は問わない。反射板は1台設置した例を述べる。
図1はこの発明を適用できるマイクロ波通信回線10の概念図を示す。送信局10Aより送信されたマイクロ波信号は伝搬経路Laを経て、その中継地点である反射板10Cに到達し、反射板10Cで反射されたマイクロ波は伝搬経路Lbを経て受信局10Bに到達する。送信局10Aは受信局としても機能し、受信局10Bは送信局としても機能することは明らかであるので、その説明は割愛する。
送信局10Aには、送信設備を備えた送信部12が設けられると共に、送信部12で生成された送信信号が空中線であるこの例ではパラボラアンテナ16に供給されて目的地に向けて送信される。パラボラアンテナ16にはその反射面を覆うように保護用のレドーム18が取り付けられ、パラボラアンテナ16自体は支持体20によって強固に固定されそして支持される。
パラボラアンテナ16より送信された送信信号は伝搬経路Laを経て、伝搬経路の中間地点に設置された反射板10Cに到達する。反射板10Cは平坦な電波反射面を有する金属板であって、入射した送信信号は反射板10Cによって反射され、伝搬経路Lbを経て受信局10Bに設けられたパラボラアンテナ26で受信される。パラボラアンテナ26はレドーム28で保護されると共に、支持体30によって強固に保持される。パラボラアンテナ26で受信した信号は受信部22に供給される。
この発明に係る受信強度低下判定装置40はこの受信局22側に設けられる。受信強度が低下したかどうか、低下したときはどの伝搬経路での異常かを判定するために、この発明では受信信号の信号レベル(受信強度)と共に、パラボラアンテナ16,26の現在の取り付け方位情報が利用される。そのため、パラボラアンテナ16と26のそれぞれには、アンテナの取り付け方位(位置)情報を収集するための傾斜センサ32,34が設けられる。
傾斜センサ32,34は何れもパラボラアンテナ16,26に取り付けられるが、パラボラアンテナ16,26の方位ずれが最も顕著に現れる位置に取り付け固定される。この例では、図2に示すようにパラボラアンテナ16,26を構成する放物体17、27(放物面を有する反射板)の最外周背縁上部17a、27a(例えば左背縁上部)に取り付けられる。傾斜センサ32,34は扁平なケース(筐体)に収納されているから、このケースが背縁上部17a、27aに接着剤などを用いて取着される。傾斜センサ32,34への駆動電源は送信部12および受信部22側から供給される。
傾斜センサ32,34の取り付け位置は、図2の位置に限定されるものではなく、図3(A)に示すように最外周背縁上部17a、27aであっても図2とは反対側である右背縁上部や、左右の背縁下部などに取り付けてもよい。オフセット型のパラボラアンテナなどに適用できる。図3(B)は放物体17,27の中央背面部に取り付けた例である。傾斜センサ32,34は1個でなく、2〜3個使用し、その何れかのセンサ出力を利用することもできる。
傾斜センサ32,34は、パラボラアンテナ16,26の指向面が、現在どの方位を向いているかを知るためのセンサであって、傾斜センサ32,34からはアンテナ取り付け位置の3軸情報(θx、θyおよびθz)が得られる。この例では例えば屋外での使用が可能な、周知の静電容量型3軸加速度センサ(筐体)を用いることができる。
受信強度低下判定装置40では、判定結果によってはマイクロ波通信回線の点検・監視所50に対して点検および修理を行うための指示情報が発信され、速やかに必要個所の点検指示および修理の指示がなされる。
受信強度低下判定装置40の具体例を図4に示す。この受信強度低下判定装置40は、送信局と受信局との間を、電波を反射する反射板で結ぶマイクロ波通信回線の受信強度低下判定に適用されるものであって、受信局で得た受信信号よりその受信レベルを検出すると共に、基準レベルと比較するレベル比較手段と、受信レベルが前記基準レベル以下であるとき、送受信アンテナにそれぞれ設けられた傾斜センサからのセンサ出力に基づいて、受信強度低下要因を判定するようにしたものである。
このような低下要因の判定処理は、マイクロコンピュータによって処理される。そのため図4に示すように、この受信強度低下判定装置40にあっては、全体の制御を司る制御部(CPU)60を始めとして、受信強度低下判定処理を行うための処理プログラムなどが内蔵されたメモリ手段(例えばROM)62や、ワーキングメモリとして機能するメモリ手段(例えばRAM)64などがバス65に接続されて構成される。
さらに、後述するように傾斜センサ32,34から得られる基準センサ出力ISor、ISotなどを保存するためのメモリ手段(例えばRAM)66や、判定結果を表示するためのモニタ(LCD等)68、傾斜センサ出力を収集したり、傾斜センサ出力を得るための要求信号を発信したりするための送受信部70、さらには上述した点検・監視所50に対して必要な情報を発信するための送信部72や、メニュー選択などを行うための入力手段(キーボード)74などが設けられている。
さて、この発明ではROM62に格納された受信強度低下判定のための処理プログラムを起動することで、受信強度の低下原因を判定するようにしたものである。図5はこの受信強度低下判定処理例を示すフローチャートである。
この受信強度低下判定処理プログラムが起動されると、まず受信強度(受信レベル)が監視され、基準レベル以下となったかどうかが判定される(ステップ81)。基準レベルとして、この例ではパラボラアンテナ(送受信アンテナ)16,26の電力半値角を基準にする。
この電力半値角の半分の受信レベルを基準レベルrefとして設定する。通常この基準レベルref以上の受信レベルがあれば、マイクロ波通信に支障を来すことはないと考えられるからである。電力半値角は、使用するパラボラアンテナ16,26によって相違するし、その口径などによっても影響を受ける。例えば直径3mのパラボラアンテナでは、6GHzの周波数帯であるとすると、電力半値角は±0.7°程度となる。取り扱う周波数が高くなるにしたがって電力半値角は小さくなる。
受信強度が基準レベルref以下になったときは、まず受信局に設けられたパラボラアンテナ26に取り付けられた傾斜センサ34からのセンサ出力ISrを取得する(ステップ82)。マイクロ波通信回線が繋がるようにパラボラアンテナ26を所定の方位に設置したときの当初の傾斜センサ34のセンサ出力ISorは、図4に示すメモリ66に格納されている。ここに、センサ出力ISorは、パラボラアンテナ26を設置したときの方位での3軸出力(θxor、θyorおよびθzor)を示す情報(データ)である。したがって、現在のセンサ出力ISrも、現在の取り付け角度における3軸出力(θxrr、θyrrおよびθzrr)を示すデータである。
次に送受信部70を介して取得した現在のセンサ出力ISrと、当初のセンサ出力ISorが比較され、この例ではその差分出力が、当初のセンサ出力ISorを基準にして求められる(ステップ83)。差分出力は設置した当初と現在の角度差(方位誤差)を示すものであるから、この角度差が大きくなるにつれ、反射板10Cに対する正規伝搬経路と、現在の伝搬経路との差が大きくなるので、角度差が大きくなるにしたがって受信強度が低下することになる。したがって、この方位誤差が基準値以上になったときには、受信アンテナであるパラボラアンテナ26の取り付け位置が変動した旨の表示を行う(ステップ84)。
モニタ68に、パラボラアンテナ26の取り付け位置がずれていることを表示(例えばメッセージ表示)することで、マイクロ波通信回線の現況を担当者に周知させることができる。このとき、当初のセンサ出力ISorと共に、現在のセンサ出力ISrを同時に表示させることによって、状況の把握が一層容易になると共に、現場への指示をきめ細かく行うことができる。
パラボラアンテナ26の取り付け位置がずれた状態のままマイクロ波通信を行うのはS/N(C/N)が劣化した状態で通信を続行することになるから好ましくない。そこで、このような判定がなされたときには直ちに、パラボラアンテナ26の角度調整指示情報を、マイクロ波通信回線を管轄する点検・監視所(名称は問わない)50に自動送信する(ステップ85)。早急にパラボラアンテナ26に対する修理を実行に移せるようにするためである。
この角度調整指示情報には、点検し修理する必要がある旨のメッセージの他に、パラボラアンテナ26がどの程度ずれているかを示す情報(当初のセンサ出力ISor、現在のセンサ出力ISrおよび角度差(差分出力))などが含まれる。所轄の点検・監視所50への自動送信を行ったときには、この点検・監視所50からの確認メッセージを要求するのが好ましい。情報が正しく伝達されていることの確認を行えるからである。
なお、パラボラアンテナ26(16)の取り付け角度(方位)がずれるのは、地震や台風などに影響が考えられる。
ステップ83において、受信側のパラボラアンテナ26の取り付け時との角度差が基準値以下であったときには、反射板10Cと受信局10Bとの間の伝送路は、受信強度に影響を与えるほど、当初の伝送路からずれていないことになる。この場合には、受信アンテナの取り付け位置のずれは、ないものと判断して、その旨の表示を行う(ステップ86)。
そして、次のステップに進む。この例では送信側のパラボラアンテナ16をチェックする。そのため、マイクロ波通信回線を利用して送信側のパラボラアンテナ(送信アンテナ)16に取り付けられた傾斜センサ32からのセンサ出力IStの送信要求が行われる(ステップ87)。
送信要求は、現在のセンサ出力IStが得られるまで行われ(ステップ88,87)、センサ出力IStを受信すると、当初のセンサ出力ISotとの比較処理が行われる(ステップ89)。ここに、パラボラアンテナ16を設置したときに得られた傾斜センサ32のセンサ出力ISotもまた、図4に示すメモリ66に格納されている。センサ出力ISotは、パラボラアンテナ26を設置したときの方位での3軸出力(θxot、θyotおよびθzot)を示すデータである。
当初のセンサ出力ISotに対する現在のセンサ出力IStとの比較処理において、その差分(角度誤差)が基準値を超えていると判断されたときは、送信アンテナであるパラボラアンテナ16の取り付け位置が変動した旨の表示を行う(ステップ90)。
モニタ68に、パラボラアンテナ16の取り付け位置がずれていることをメッセージ表示することで、マイクロ波通信回線の現況を担当者に周知させることができる。このとき、当初のセンサ出力ISotと共に、現在のセンサ出力IStを同時に表示させることによって、状況の把握が一層容易になると共に、現場への指示をきめ細かく行うことができる。
このような判定がなされたときには直ちに、パラボラアンテナ16の角度調整指示情報を、マイクロ波通信回線を管轄する点検・監視所、この例では同一の点検・監視所50に自動送信される(ステップ91)。
このような判定がなされたときには直ちに、パラボラアンテナ16の角度調整指示情報を、マイクロ波通信回線を管轄する点検・監視所、この例では同一の点検・監視所50に自動送信される(ステップ91)。
この角度調整指示情報には、上述したのと同じように、点検し修理する必要がある旨のメッセージの他に、パラボラアンテナ16がどの程度ずれているかを示す情報(当初のセンサ出力ISot、現在のセンサ出力IStおよび角度差)などが含まれる。所轄の点検・監視所50への自動送信を行ったときには、この点検・監視所50からの確認メッセージを要求するのが好ましい。上述と同じく情報が正しく伝達されていることを確認するためである。
ステップ89において、送信側のパラボラアンテナ16の取り付け時との角度差が基準値以下であったときには、反射板10Cと送信局10Aとの間の伝送路は、受信強度に影響を与えるほど、当初の伝送路からずれていないことになる。この場合には、受信アンテナの取り付け位置のずれはないものと判断して、その旨の表示を行う(ステップ92)。
受信局10B側のパラボラアンテナ26も、送信局10A側のパラボラアンテナ16も、共にその取り付け角度のずれが、受信強度に影響を与える程のずれでないと判断されたにも拘わらず、受信強度が低下しているのは、その原因としてはマイクロ波の伝搬経路上の障害と考えられる。マイクロ波の伝搬経路障害としては、
(1)樹木等が生長してマイクロ波の伝搬経路の一部を塞いでいる
(2)反射板10Cの取り付け角度が、当初よりもずれている
の何れかが考えられる。しかし、その何れかであるかは受信強度のみでは判断できない。そこで、このような場合には、伝搬経路La、Lbおよび反射板10Cに対する点検指示情報を所轄の点検・監視所50に自動送信する(ステップ93)。点検・監視所50では受信した指示情報によって、保守・点検あるいは調整部署を特定できる。
(1)樹木等が生長してマイクロ波の伝搬経路の一部を塞いでいる
(2)反射板10Cの取り付け角度が、当初よりもずれている
の何れかが考えられる。しかし、その何れかであるかは受信強度のみでは判断できない。そこで、このような場合には、伝搬経路La、Lbおよび反射板10Cに対する点検指示情報を所轄の点検・監視所50に自動送信する(ステップ93)。点検・監視所50では受信した指示情報によって、保守・点検あるいは調整部署を特定できる。
したがって伝搬経路La、Lbの点検を行い、必要ならば樹木の伐採作業を行って伝搬経路La、Lbの障害を排除する。または反射板10Cの取り付け角度の点検を行い、当初の通りの角度となるように調整を行う。あるいはまた反射板10Cの板面の汚れ(鳥の糞など)を取り除く。これらの作業を行うことでマイクロ波の伝搬経路障害を取り除くことができる。
このように受信強度の低下原因を順次判定して絞り込むことで、不要な現地調査を行うなどの無駄な点検作業を排除できると共に、保守・点検あるいは調整部署を特定できるために、迅速な対応が可能になる。また、上述したように、余裕をもった基準レベルrefに設定しておけば、マイクロ波通信回線が切断されるような事態を招来することなく、補修・調整作業を実行できる。回線断を事前に防止できることになる。
受信強度の低下原因を絞り込むことで、現場では点検や修理・調整作業が行われることになるが、その結果受信強度が良好になったかどうかを検証する必要がある。図6はその検証処理例を示すフローチャートである。
検証処理を行うに当たっては、まず点検や、修理・調整作業が終了を確認した上で、試験電波(あるいは通常の通信用の電波)の送受信を行う。その結果である受信強度(受信レベル)の読み込みを行い(ステップ101)、受信レベルが基準レベルref以上になっているかどうかを検証する(ステップ102)。基準レベルrefとしては、この例でも上述したのと同じく、パラボラアンテナ16,26の電力半値角の半分とする。
受信レベルが基準レベルref以上であれば、点検・修理・調整作業が成功したことになるが、依然として基準レベルref以下であるときは、上述した原因以外の原因による場合と、修理や調整作業が不十分であることが考えられるので、その場合には再点検の指示情報を点検・監視所50に送信して、再点検の指示がなされる(ステップ103)。この検証処理を行うことで、最終的には充分な受信強度を保ったマイクロ波通信を確保できる。
上述した送信局10Aに配置されたパラボラアンテナ16および受信局10Bに配置されたパラボラアンテナ26のそれぞれに角度調整装置(図示はしない)が装備され、この角度調整装置が外部の制御信号によって稼働できるようになされている場合には、人手による調整作業ではなく、自動調整作業が可能になる。角度調整装置に、上述した角度情報を提供することで、当初のセンサ出力ISor、ISotとなるように自動補正できるからである。この場合、傾斜センサ32,34からのセンサ出力ISr、IStが、当初のセンサ出力ISor、ISotとなるように角度補正される。
上述した傾斜センサ32,34は何れも3軸加速度センサを使用するものであるから、このセンサ出力ISr、IStによって台風や地震などのようなときの、該当設備に対する加速度を検知できるから、センサ出力ISr(ISt)を利用することで、パラボラアンテナ26(16)などの角度ずれを惹起するおそれがあることをある程度予測することができる。
なお、反射板10Cに傾斜センサを取り付けることも可能であるが、傾斜センサを作動させ、センサ出力を送信させるためにはその駆動電源が必要になる。反射板10Cは通常山間部に設置される場合が多く、そのような場所ではソーラー電源に頼らざるを得ない。ソーラー電源のみによって、常に傾斜センサを作動状態に維持し、しかも適宜なタイミングに受信局10Bとの通信を行うためには、このソーラー電源のみでは不十分である。したがって、反射板10Cに傾斜センサを取り付けて受信強度の低下を判定するように構成するのは現実的ではない。
上述した実施例は、この発明を反射板を用いたマイクロ波通信回線の受信強度の判定に適用したが、反射板を用いないマイクロ波通信回線にもこの発明は適用できる。
この発明は、パラボラアンテナと反射板によって構築されるマイクロ波通信回線における受信強度低下判定装置に適用できる。
10・・・マイクロ波通信回線
10A・・・送信局
10B・・・受信局
10C・・・反射板
16,26・・・パラボラアンテナ
32,34・・・傾斜センサ
40・・・受信強度低下判定装置
60・・・CPU
70・・・送受信部
66・・・センサ出力格納用メモリ手段
10A・・・送信局
10B・・・受信局
10C・・・反射板
16,26・・・パラボラアンテナ
32,34・・・傾斜センサ
40・・・受信強度低下判定装置
60・・・CPU
70・・・送受信部
66・・・センサ出力格納用メモリ手段
Claims (5)
- 送信局と受信局との間を、マイクロ波で結ぶマイクロ波通信回線の受信強度低下判定装置であって、
前記送信局と受信局とに設けられた送信アンテナおよび受信アンテナと、
前記送信アンテナと受信アンテナのそれぞれに設けられた傾斜センサと、
前記受信局で得た受信信号よりその受信レベルを検出すると共に、基準レベルと比較するレベル比較手段と、
前記受信レベルが前記基準レベル以下であるとき、前記傾斜センサのセンサ出力に基づいて、受信強度低下要因を判定する
ことを特徴とするマイクロ波通信回線の受信強度低下判定装置。 - 前記受信強度低下要因を、前記受信アンテナ、前記送信アンテナおよび伝搬経路の順で、順次絞り込む
ことを特徴とする請求項1記載のマイクロ波通信回線の受信強度低下判定装置。 - 前記送信アンテナおよび受信アンテナは、それぞれパラボラアンテナである
ことを特徴とする請求項1記載のマイクロ波通信回線の受信強度低下判定装置。 - 前記傾斜センサは、3軸加速度センサが使用される
ことを特徴とする請求項1記載のマイクロ波通信回線の受信強度低下判定装置。 - 前記傾斜センサは、前記パラボラアンテナの背面側に取り付け固定される
ことを特徴とする請求項3記載のマイクロ波通信回線の受信強度低下判定装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006126115A JP2007298370A (ja) | 2006-04-28 | 2006-04-28 | マイクロ波通信回線の受信強度低下判定装置 |
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Publication Number | Publication Date |
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JP (1) | JP2007298370A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013121126A (ja) * | 2011-12-08 | 2013-06-17 | Mitsubishi Electric Corp | アンテナ装置及び衛星捕捉方法 |
JP2013157781A (ja) * | 2012-01-30 | 2013-08-15 | Chugoku Electric Power Co Inc:The | 通信不良区間判定システム |
JP2016129297A (ja) * | 2015-01-09 | 2016-07-14 | 中国電力株式会社 | 多重無線通信装置 |
CN108932075A (zh) * | 2017-05-25 | 2018-12-04 | 辛纳普蒂克斯公司 | 干扰检测 |
-
2006
- 2006-04-28 JP JP2006126115A patent/JP2007298370A/ja active Pending
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