JP2007298293A - 斜出射電子線プローブマイクロx線分析方法およびそれに用いられるプログラム、並びに、斜出射電子線プローブマイクロx線分析装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】煩雑な焦点補正の作業を行うことなく、試料上の線分析や面分析を簡便かつ自動的に行うことができる斜出射電子線プローブマイクロX線分析方法を提供すること。
【解決手段】斜出射電子線プローブマイクロX線分析方法は、電子線が照射された試料から発せられる特性X線をX線検出器により検出する際に、試料ステージを傾斜させることにより特性X線の取出角度を制御し、試料内部で励起された特性X線が全反射現象により検出さない角度に特性X線の取出角度を設定する斜出射電子線プローブマイクロX線分析方法において、前記取出角度が得られるように試料ステージを傾斜させた状態で予め任意の分析点の焦点調整を完了させた後、その焦点を維持しつつ試料表面の他の分析点を分析するのに必要な試料ステージの制御データを求め、求めた制御データに基づいて試料ステージを移動させることにより試料表面の微粒子又は薄層の線分析又は面分析を行う。
【選択図】図6
【解決手段】斜出射電子線プローブマイクロX線分析方法は、電子線が照射された試料から発せられる特性X線をX線検出器により検出する際に、試料ステージを傾斜させることにより特性X線の取出角度を制御し、試料内部で励起された特性X線が全反射現象により検出さない角度に特性X線の取出角度を設定する斜出射電子線プローブマイクロX線分析方法において、前記取出角度が得られるように試料ステージを傾斜させた状態で予め任意の分析点の焦点調整を完了させた後、その焦点を維持しつつ試料表面の他の分析点を分析するのに必要な試料ステージの制御データを求め、求めた制御データに基づいて試料ステージを移動させることにより試料表面の微粒子又は薄層の線分析又は面分析を行う。
【選択図】図6
Description
この発明は、斜出射電子線プローブマイクロX線分析方法およびそれに用いられるプログラム、並びに、斜出射電子線プローブマイクロX線分析装置に関し、詳しくは、電子線が照射された試料から放出される特性X線を分析することにより試料表面の微粒子又は薄層の構成元素を分析する斜出射電子線プローブマイクロX線分析方法と斜出射電子線プローブマイクロX線分析装置に関する。
試料の微小領域や表面の元素分析を行う分析装置として、試料に電子線を照射し、照射された微小領域や表面から励起される特性X線をX線検出器により検出する電子線プローブマイクロX線分析装置(EPMA)が知られている。
EPMAは電子線を試料に照射すると、その照射領域に存在する各元素がそれぞれ固有のエネルギーや波長を有する特性X線を放出することを利用する。
電子線により励起された特性X線のエネルギースペクトラムや波長分布を分析することにより、照射領域に存在する元素を知ることができる。
EPMAは電子線を試料に照射すると、その照射領域に存在する各元素がそれぞれ固有のエネルギーや波長を有する特性X線を放出することを利用する。
電子線により励起された特性X線のエネルギースペクトラムや波長分布を分析することにより、照射領域に存在する元素を知ることができる。
しかし、従来のEPMAでは、例えば、試料表面上に存在する微粒子や試料表面上の厚さがマイクロメーター以下の薄層の元素を分析することは困難であった。
これは、試料から放出される特性X線には、試料内部と試料表面の微粒子または薄層との両方から放出される特性X線が含まれ、しかも試料内部から放出されるX線強度が、試料表面の微粒子または薄層から放出される特性X線に比べて強いので、微粒子または薄層から放出される特性X線のみを選択的に抽出して分析できないからである。
これは、試料から放出される特性X線には、試料内部と試料表面の微粒子または薄層との両方から放出される特性X線が含まれ、しかも試料内部から放出されるX線強度が、試料表面の微粒子または薄層から放出される特性X線に比べて強いので、微粒子または薄層から放出される特性X線のみを選択的に抽出して分析できないからである。
この点に関して、低エネルギー(低加速)の電子線を照射して試料内部への電子線の進入深度を浅くすることによって、試料表面近傍からのみ特性X線を励起させる方法が考えられる。
しかし、低エネルギー電子線の使用は検出可能な元素を限定してしまうため、例えば、検出すべき元素が未知であり全ての元素を検出対象とする必要がある場合などには適切でない。
しかし、低エネルギー電子線の使用は検出可能な元素を限定してしまうため、例えば、検出すべき元素が未知であり全ての元素を検出対象とする必要がある場合などには適切でない。
シリコンなど半導体ウェハー上に存在する微粒子(異物)や薄層は、半導体デバイスの歩留まりに悪影響を及ぼすことから、微粒子や薄層の構成元素・発生起源を明らかにする必要がある。
微粒子や薄層の構成元素を分析しようとすれば、電子線プローブなどで微粒子や薄層に電子線を照射し、電子線により励起される特性X線を分析することとなるが、シリコンウェハーからも大量の特性X線が発生するため、微粒子や薄層のみを選択的に分析することは困難であった。
微粒子や薄層の構成元素を分析しようとすれば、電子線プローブなどで微粒子や薄層に電子線を照射し、電子線により励起される特性X線を分析することとなるが、シリコンウェハーからも大量の特性X線が発生するため、微粒子や薄層のみを選択的に分析することは困難であった。
このような問題の解決策として、斜出射X線分析による新しい分析方法(以下、「斜出射EPMA」と呼ぶ)が提案された。
この斜出射EPMAは、電子線の照射方向に対し、試料内部から発せられる特性X線が全反射現象により試料表面から放出されない角度範囲に試料を傾斜させ、試料表面に存在する微粒子又は薄層から放出される特性X線のみを検出し分析するものである(例えば、特許文献1、特許文献2および非特許文献1参照)。
この斜出射EPMAは、電子線の照射方向に対し、試料内部から発せられる特性X線が全反射現象により試料表面から放出されない角度範囲に試料を傾斜させ、試料表面に存在する微粒子又は薄層から放出される特性X線のみを検出し分析するものである(例えば、特許文献1、特許文献2および非特許文献1参照)。
現在、斜出射EPMA装置としての市販品は存在しないが、比較的容易に市販のEPMA装置を用いて斜出射EPMAによる分析が可能である。
斜出射EPMAでは、試料表面の微粒子又は薄層から放出されX線検出器に入射する特性X線の試料表面に対する角度(特性X線の出射角又は取出角)を制御することが重要であり、このために試料ホルダを傾斜させる方法、X線検出器(エネルギー分散型X線検出器(energy-dispersive X-ray detector:EDX)および波長分散型X線検出器(wavelength-dispersive X-ray detector:WDX))を移動させる方法、試料ステージを上下に移動させる方法などが考えられている。
斜出射EPMAでは、試料表面の微粒子又は薄層から放出されX線検出器に入射する特性X線の試料表面に対する角度(特性X線の出射角又は取出角)を制御することが重要であり、このために試料ホルダを傾斜させる方法、X線検出器(エネルギー分散型X線検出器(energy-dispersive X-ray detector:EDX)および波長分散型X線検出器(wavelength-dispersive X-ray detector:WDX))を移動させる方法、試料ステージを上下に移動させる方法などが考えられている。
それぞれの方法には、長所・短所がある。市販されているEPMAやSEM−EDX装置では、電子源とX線検出器が真空チャンバーに固定されているため、X線検出器を移動させる方法は採用できない。
市販のEPMA装置における出射角の制御方法として、試料ステージを傾斜させる方法、又は、試料ステージを上下移動させる方法が容易である。
市販のEPMA装置における出射角の制御方法として、試料ステージを傾斜させる方法、又は、試料ステージを上下移動させる方法が容易である。
しかし、試料ステージを上下移動させる方法には、X線取出角度の範囲に制限がある。一方、試料ステージを傾斜させる方法は、幅広いX線取出角度の実現が可能であり、斜出射EPMA分析に適している。
しかし、試料ステージを傾斜させる方法にも解決すべき課題が残されている。
すなわち、試料ステージを傾斜させる方法では、一旦、分析対象となる所望の分析点に焦点を合わせた後、別の分析点へ向けて試料ステージを水平移動させると、合っていた焦点(高さZ)が変動するため、試料ステージを水平移動させるたびに焦点の補正を行う必要がある。
このように、試料ステージを水平移動させるたびに、分析点の焦点が変動することは、試料表面の薄層や微粒子の線分析や面分析を行ううえで非常に問題となる。
すなわち、試料ステージを傾斜させる方法では、一旦、分析対象となる所望の分析点に焦点を合わせた後、別の分析点へ向けて試料ステージを水平移動させると、合っていた焦点(高さZ)が変動するため、試料ステージを水平移動させるたびに焦点の補正を行う必要がある。
このように、試料ステージを水平移動させるたびに、分析点の焦点が変動することは、試料表面の薄層や微粒子の線分析や面分析を行ううえで非常に問題となる。
また、斜出射EPMAにおいて、焦点の補正作業は長い時間を要し非効率的であるばかりでなく、長時間の電子線照射による試料表面の変質や劣化を引き起こす恐れもある。
この発明は以上のような事情を考慮してなされたものであり、煩雑な焦点補正の作業を行うことなく、試料上の線分析や面分析を簡便かつ自動的に行うことができる斜出射電子線プローブマイクロX線分析方法およびそれに用いられるプログラム、並びに、斜出射電子線プローブマイクロX線分析装置を提供するものである。
この発明は、電子線が照射された試料から発せられる特性X線をX線検出器により検出する際に、試料ステージを傾斜させることにより特性X線の取出角度を制御し、試料内部で励起された特性X線が全反射現象により検出さない角度に特性X線の取出角度を設定する斜出射電子線プローブマイクロX線分析方法において、前記取出角度が得られるように試料ステージを傾斜させた状態で予め任意の分析点の焦点調整を完了させた後、その焦点を維持しつつ試料表面の他の分析点を分析するのに必要な試料ステージの制御データを求め、求めた制御データに基づいて試料ステージを移動させることにより試料表面の微粒子又は薄層の線分析又は面分析を行うことを特徴とする斜出射電子線プローブマイクロX線分析方法を提供するものである。
この発明による斜出射電子線プローブマイクロX線分析方法によれば、試料ステージを傾斜させた状態で予め任意の分析点の焦点調整を完了させた後、その焦点を維持しつつ試料表面の他の分析点を分析するのに必要な試料ステージの制御データが求められるので、求めた制御データに基づいて試料ステージを移動させることにより、煩雑な焦点補正を行うことなく試料表面の微粒子又は薄層の線分析又は面分析を簡便かつ自動的に行えるようになる。
この発明による斜出射電子線プローブマイクロX線分析方法は、電子線が照射された試料から発せられる特性X線をX線検出器により検出する際に、試料ステージを傾斜させることにより特性X線の取出角度を制御し、試料内部で励起された特性X線が全反射現象により検出さない角度に特性X線の取出角度を設定する斜出射電子線プローブマイクロX線分析方法において、前記取出角度が得られるように試料ステージを傾斜させた状態で予め任意の分析点の焦点調整を完了させた後、その焦点を維持しつつ試料表面の他の分析点を分析するのに必要な試料ステージの制御データを求め、求めた制御データに基づいて試料ステージを移動させることにより試料表面の微粒子又は薄層の線分析又は面分析を行うことを特徴とする。
この発明による斜出射電子線プローブマイクロX線分析方法において、制御データとは、任意の分析点の焦点を維持しつつ他の分析点を分析するための試料ステージの制御データを意味し、試料ステージの位置情報に基づいて算出することができるが、詳細については後の実施例の項で説明する。
この発明による斜出射電子線プローブマイクロX線分析方法において、予め任意の分析点の焦点調整を完了させる前記工程は、試料がX線検出器の方へ向くように試料ステージを回転させる工程を含み、試料ステージの制御データを求める前記工程は、焦点調整が完了した任意の分析点を通り前記分析点と同じ高さとなる直線上の座標データを試料ステージの回転角度に基づいて求める工程であってもよい。
このような構成によれば、焦点調整が完了した任意の分析点を通り前記分析点と同じ高さとなる直線上の座標データが試料ステージの回転角度に基づいて求められるので、求められた座標データに基づいて試料ステージを移動させると分析点が前記直線に沿って相対的に移動させられることとなり、試料表面の微粒子又は薄層の線分析を簡便に行うことができる。
この発明による斜出射電子線プローブマイクロX線分析方法において、予め任意の分析点の焦点調整を完了させる前記工程は、試料がX線検出器の方へ向くように試料ステージを回転させる工程を含み、試料ステージの制御データを求める前記工程は、試料表面の他の分析点を焦点調整が完了した任意の分析点と同じ高さに調整するのに必要な水平方向および高さ方向の座標データを試料ステージの傾斜角度と回転角度に基づいて求める工程であってもよい。
このような構成によれば、試料表面の他の分析点を焦点調整が完了した任意の分析点と同じ高さに調整するのに必要な水平方向および高さ方向の座標データが試料ステージの傾斜角度と回転角度に基づいて求められるので、求められた座標データに基づいて試料ステージを移動させると、任意の分析点の焦点を維持しつつ分析点が他の分析点へ相対的に移動させられることとなり、試料表面の微粒子又は薄層の線分析又は面分析を簡便に行うことができる。
この発明による斜出射電子線プローブマイクロX線分析方法において、試料は半導体ウエハであってもよい。
このような構成によれば、半導体ウエハの表面に存在する微粒子又は薄層を構成する不純物の構成元素を特定することができ、その発生起源をつきとめることにより、半導体デバイスの歩留まりを向上させることができる。
このような構成によれば、半導体ウエハの表面に存在する微粒子又は薄層を構成する不純物の構成元素を特定することができ、その発生起源をつきとめることにより、半導体デバイスの歩留まりを向上させることができる。
この発明は、別の観点からみると、電子線が照射された試料から発せられる特性X線をX線検出器により検出する際に、試料ステージを傾斜させることにより特性X線の取出角度を制御し、試料内部で励起された特性X線が全反射現象により検出さない角度に特性X線の取出角度を設定する斜出射電子線プローブマイクロX線分析方法において、前記取出角度が得られるように試料ステージを傾斜させた状態で予め任意の分析点の焦点調整を完了させた後、その焦点を維持しつつ試料表面の他の分析点を分析するのに必要な試料ステージの制御データを求め、求めた制御データに基づいて試料ステージを移動させることにより試料表面の微粒子又は薄層の線分析又は面分析を行う斜出射電子線プローブマイクロX線分析方法に用いられるプログラムであって、コンピュータに、焦点を維持しつつ試料表面の他の分析点を分析するのに必要な試料ステージの制御データを求めさせる手順と、求められた制御データに基づいて試料ステージを移動させる手順とを実行させることを特徴とするプログラムを提供するものでもある。
この発明による上記プログラムによれば、コンピュータによって、焦点を維持しつつ試料表面の他の分析点を分析するのに必要な試料ステージの制御データが求められ、求められた制御データに基づいて試料ステージが移動させられるので、簡便かつ自動的に試料表面の微粒子又は薄層の線分析又は面分析を行えるようになる。
この発明による上記プログラムにおいて、試料ステージの制御データを求めさせる前記手順は、焦点調整が完了した任意の分析点を通り前記分析点と同じ高さとなる直線上の座標データを試料ステージの回転角度に基づいて求めさせる手順であり、制御データに基づいて試料ステージを移動させる前記手順は、前記直線に沿って分析点が相対的に移動するように前記座標データに基づいて試料ステージを移動させる手順であってもよい。
このような構成によれば、コンピュータによって、焦点調整が完了した任意の分析点を通り前記分析点と同じ高さとなる直線上の座標データが試料ステージの回転角度に基づいて求められ、求められた座標データに基づいて分析点が前記直線に沿って相対的に移動するように試料ステージが移動させられるので、簡便かつ自動的に試料表面の微粒子又は薄層の線分析を行えるようになる。
この発明による上記プログラムにおいて、試料ステージの制御データを求めさせる前記手順は、試料表面の他の分析点を焦点調整が完了した任意の分析点と同じ高さに調整するのに必要な水平方向および高さ方向の座標データを試料ステージの傾斜角度と回転角度に基づいて求めさせる手順であり、制御データに基づいて試料ステージを移動させる前記手順は、他の分析点の高さが前記任意の分析点と同じ高さになるように前記座標データに基づいて試料ステージを移動させる手順であってもよい。
このような構成によれば、コンピュータによって、試料表面の他の分析点を焦点調整が完了した任意の分析点と同じ高さに調整するのに必要な水平方向および高さ方向の座標データが試料ステージの傾斜角度と回転角度に基づいて求められ、他の分析点の高さが前記任意の点と同じ高さになるように前記座標データに基づいて試料ステージが移動させられるので、簡便かつ自動的に試料表面の微粒子又は薄層の線分析又は面分析を行えるようになる。
この発明は更に別の観点からみると、試料ステージと、試料ステージを駆動する駆動部と、試料ステージに保持された試料に対して電子線を照射する電子線照射部と、試料表面から発せられる特性X線を検出するX線検出部と、駆動部、電子線照射部およびX線検出部を制御する制御部を備え、試料ステージが傾斜させられた状態で予め任意の分析点に焦点が調整されたとき、制御部はその焦点を維持しつつ試料表面の他の分析点を分析するのに必要な試料ステージの制御データを求め、求めた制御データに基づいて駆動部を制御し試料ステージを移動させることにより試料表面の微粒子又は薄層の線分析又は面分析を行う斜出射電子線プローブマイクロX線分析装置を提供するものでもある。
以下、図面に示す実施例に基づいてこの発明を詳細に説明する。
図1〜8に基づいて、この発明の実施例による斜出射電子線プローブマイクロX線分析方法について説明する。
図1は実施例による斜出射電子線プローブマイクロX線分析方法に用いられる斜出射電子線プローブマイクロX線分析装置の概略的な構成図、図2は図1に示される斜出射電子線プローブマイクロX線分析装置における波長分散型X線検出器の配置を概略的に示す説明図である。
図1は実施例による斜出射電子線プローブマイクロX線分析方法に用いられる斜出射電子線プローブマイクロX線分析装置の概略的な構成図、図2は図1に示される斜出射電子線プローブマイクロX線分析装置における波長分散型X線検出器の配置を概略的に示す説明図である。
この発明の実施例による斜出射電子線プローブマイクロX線分析方法は、図1に示される斜出射電子線プローブマイクロX線分析装置を用いて実施される。
図1に示される斜出射電子線プローブマイクロX線分析装置1は、試料ステージ2と、試料ステージ2を駆動する駆動部3と、試料4の表面における任意の分析点に焦点を合わせるための光学顕微鏡5と、試料ステージ2に保持された試料4に対して電子線Eを走査するための電子線走査部(電子線照射部)6と、試料4の表面から発せられる特性X線Cを検出するX線検出部7と、駆動部3、電子線走査部6およびX線検出部7を制御する制御部8とを備えている。
また、斜出射電子線プローブマイクロX線分析装置1は、試料4の表面における任意の分析点を制御部8に入力するための入力部9を備えている。
図1に示される斜出射電子線プローブマイクロX線分析装置1は、試料ステージ2と、試料ステージ2を駆動する駆動部3と、試料4の表面における任意の分析点に焦点を合わせるための光学顕微鏡5と、試料ステージ2に保持された試料4に対して電子線Eを走査するための電子線走査部(電子線照射部)6と、試料4の表面から発せられる特性X線Cを検出するX線検出部7と、駆動部3、電子線走査部6およびX線検出部7を制御する制御部8とを備えている。
また、斜出射電子線プローブマイクロX線分析装置1は、試料4の表面における任意の分析点を制御部8に入力するための入力部9を備えている。
試料ステージ2が傾斜させられた状態で予め任意の分析点に焦点が調整され、焦点調整が完了した任意の分析点が入力部9から入力されたとき、制御部8はその焦点を維持しつつ試料4の表面における他の分析点を分析するのに必要な試料ステージ2の制御データを求め、求めた制御データに基づいて駆動部3を制御し試料ステージ2を移動させることにより試料4の表面の微粒子又は薄層の線分析又は面分析を行う。
なお、図1に示される斜出射電子線プローブマイクロX線分析装置1は、上記構成に加えて、電子線Eの照射を受けた試料4から発せられる二次電子Sを検出する二次電子検出部10と、二次電子検出部10によって検出された二次電子Sに基づいて可視化された電子顕微鏡画像を表示する表示部11とをさらに備えている。
より詳しくは、斜出射電子線プローブマイクロX線分析装置1は、電子線走査部6が収容される鏡筒12、試料ステージ2が収容される試料室13、X線分光が行われる分光室14とから主に構成されている。
試料室13に収容される試料ステージ2は、X軸ステージ2a、Y軸ステージ2b、Z軸ステージ2c、回転ステージ2dおよび傾斜ステージ2eとから構成されており、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向に移動でき、かつ、任意の方向に傾斜・回転できる構成となっている。
X軸ステージ2a、Y軸ステージ2b、Z軸ステージ2c、回転ステージ2dおよび傾斜ステージ2eは、駆動部3としてのパルスモータ(図示せず)でそれぞれ駆動される。
試料4は、試料ホルダ15にセットされたうえで図示しない試料出入口から試料ステージ2上に運ばれる。
試料室13に収容される試料ステージ2は、X軸ステージ2a、Y軸ステージ2b、Z軸ステージ2c、回転ステージ2dおよび傾斜ステージ2eとから構成されており、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向に移動でき、かつ、任意の方向に傾斜・回転できる構成となっている。
X軸ステージ2a、Y軸ステージ2b、Z軸ステージ2c、回転ステージ2dおよび傾斜ステージ2eは、駆動部3としてのパルスモータ(図示せず)でそれぞれ駆動される。
試料4は、試料ホルダ15にセットされたうえで図示しない試料出入口から試料ステージ2上に運ばれる。
鏡筒12に収容される電子線走査部6は、電子線Eを出射する電子銃16と、電子銃16から出射された電子線Eを収束させる収束レンズ17と、収束レンズ17によって収束された電子線Eを走査させる走査コイル18と、電子線Eを細く絞って電子プローブ状にする電磁対物レンズ19とから主に構成されている。
電磁対物レンズ19の近傍には、光学対物レンズ20が配置され、光学反射鏡21によって反射された試料像は試料室13に装着された光学顕微鏡5に入射するよう構成されている。
光学顕微鏡5は焦点調整を行う際に利用されるもので、光学顕微鏡5の焦点調整とZ軸ステージ2cの移動は連動しており、光学顕微鏡5の像が鮮明になるように調整することにより試料4の高さ調整が行われる。
電磁対物レンズ19の近傍には、光学対物レンズ20が配置され、光学反射鏡21によって反射された試料像は試料室13に装着された光学顕微鏡5に入射するよう構成されている。
光学顕微鏡5は焦点調整を行う際に利用されるもので、光学顕微鏡5の焦点調整とZ軸ステージ2cの移動は連動しており、光学顕微鏡5の像が鮮明になるように調整することにより試料4の高さ調整が行われる。
試料室13に収容された二次電子検出部10は、図示しない二次電子検出器および増幅器とから構成され、表示部11は図示しない画像処理装置と表示装置とから構成され、二次電子検出器に捉えられた二次電子Sに基づいて形成された電子顕微鏡画像が表示部11に表示される。
制御部8は、図示しないI/Oポート、CPU、制御用のプログラムを格納したROM、各種設定条件を記憶したRAM、各種ドライバ回路とから主に構成されるコンピュータであり、制御用のプログラムに基づいて試料ステージを制御する制御データを求め、求めた制御データに基づいて駆動部3を制御する。
上述の駆動部3、電子線走査部6、X線検出部7、入力部9および表示部11は、バスライン22を介して制御部8に接続され、制御部8の制御の下に一連の動作を行う。
また、図示しないが、鏡筒12、試料室13および分光室14は真空排気装置と接続されており、制御部8は真空排気装置の制御も行う。
上述の駆動部3、電子線走査部6、X線検出部7、入力部9および表示部11は、バスライン22を介して制御部8に接続され、制御部8の制御の下に一連の動作を行う。
また、図示しないが、鏡筒12、試料室13および分光室14は真空排気装置と接続されており、制御部8は真空排気装置の制御も行う。
X線検出部7は、試料室13に特性X線Cの入射口23aが突き出たエネルギー分散型X線検出器(EDX)23と、分光室14に収容された波長分散型X線検出器(WDX)24とからなる。
なお、図1では1つのWDX24しか示されていないが、図2に示されるようにWDX24は試料室13の周囲にチャンネル1(CH1)〜チャンネル5(CH5)まで5つ設けられている。
なお、図1では1つのWDX24しか示されていないが、図2に示されるようにWDX24は試料室13の周囲にチャンネル1(CH1)〜チャンネル5(CH5)まで5つ設けられている。
EDX23は、特性X線Cを検出して特性X線のエネルギーに比例したパルス電流を生みだす半導体検出器(図示せず)と、半導体検出器によって生み出されたパルス電流を選別する多チャンネル波分析器(図示せず)とから主に構成される。
一方、WDX24は、分光室14に収容され特定波長のX線と選別(分光)する分光結晶25と、分光結晶25により分光されたX線を検出するX線検出器26とから主に構成される。
EDX23およびWDX24はいずれもバスライン22に接続され、EDX23およびWDX24によって検出されたデータは制御部8によって処理され、表示部11に分析結果が表示される。
一方、WDX24は、分光室14に収容され特定波長のX線と選別(分光)する分光結晶25と、分光結晶25により分光されたX線を検出するX線検出器26とから主に構成される。
EDX23およびWDX24はいずれもバスライン22に接続され、EDX23およびWDX24によって検出されたデータは制御部8によって処理され、表示部11に分析結果が表示される。
以下、このような斜出射電子線プローブマイクロX線分析装置1を用いた斜出射電子線プローブマイクロX線分析方法について複数の実施例に基づいて詳しく説明する。
実施例1
実施例1による斜出射電子線プローブマイクロX線分析方法について図3〜6に基づいて説明する。図3は試料ステージを傾斜させる工程を示す説明図、図4は試料ステージを回転させる工程を示す説明図、図5は実施例1による斜出射電子線プローブマイクロX線分析方法において制御部が行う一連の制御フローを示すフローチャート図、図6は制御部により算出される制御データの算出原理を説明する説明図である。なお、以下の説明において引用される斜出射電子線プローブマイクロX線装置の各部については、適宜、図1を参照されたい。
実施例1による斜出射電子線プローブマイクロX線分析方法について図3〜6に基づいて説明する。図3は試料ステージを傾斜させる工程を示す説明図、図4は試料ステージを回転させる工程を示す説明図、図5は実施例1による斜出射電子線プローブマイクロX線分析方法において制御部が行う一連の制御フローを示すフローチャート図、図6は制御部により算出される制御データの算出原理を説明する説明図である。なお、以下の説明において引用される斜出射電子線プローブマイクロX線装置の各部については、適宜、図1を参照されたい。
まず、試料4を試料ホルダ15にセットしたうえで試料ステージ2に設置する。
次に、図3に示されるように、試料4の内部で励起された特性X線が試料4の表面から放出されないよう、試料ステージ2のホームポジション(所定の基準位置)に対して試料ステージ2をチャンネル2(CH2)のWDX24へ向けて39°傾斜させる。
次に、図4に示されるように、傾斜軸Aと直交する方向にチャンネル2(CH2)のWDX24(図2参照)が位置するようにホームポジションに対して試料ステージ2を122°回転させる。
なお、図2に示されるように、チャンネル2(CH2)のWDX24は、Y軸に対して時計回り方向で122°の方向に位置している。
次に、図3に示されるように、試料4の内部で励起された特性X線が試料4の表面から放出されないよう、試料ステージ2のホームポジション(所定の基準位置)に対して試料ステージ2をチャンネル2(CH2)のWDX24へ向けて39°傾斜させる。
次に、図4に示されるように、傾斜軸Aと直交する方向にチャンネル2(CH2)のWDX24(図2参照)が位置するようにホームポジションに対して試料ステージ2を122°回転させる。
なお、図2に示されるように、チャンネル2(CH2)のWDX24は、Y軸に対して時計回り方向で122°の方向に位置している。
次に、図6に示されるように、試料4の表面における任意の分析点M1を選択し、試料ステージ2を上下移動させて選択した任意の分析点M1に焦点を合わせる。この工程は、光学顕微鏡5によって任意の分析点M1に焦点を合わせることにより行われる。
任意の分析点M1に焦点を合わせる作業が完了すると、オペレータは入力部9を介して制御部8に任意の分析点M1のX軸方向およびY軸方向の座標データを入力すると共に、次に分析すべき分析点M2をX軸方向およびY軸方向の座標においてプラス方向とするか或いはマイナス方向とするかを入力する。
ここまでの工程および作業はオペレータにより行われる。
任意の分析点M1に焦点を合わせる作業が完了すると、オペレータは入力部9を介して制御部8に任意の分析点M1のX軸方向およびY軸方向の座標データを入力すると共に、次に分析すべき分析点M2をX軸方向およびY軸方向の座標においてプラス方向とするか或いはマイナス方向とするかを入力する。
ここまでの工程および作業はオペレータにより行われる。
オペレータにより、任意の分析点M1の座標データが制御部8に入力されると、図5に示されるように、制御部8は任意の分析点M1に焦点が合わせられている試料ステージ2の位置を合焦位置として検知し、合焦位置における試料ステージ2の座標データを記憶する(ステップ1)。
ステップ1で合焦位置が検知されその座標データが記憶されると、ステップ2に進み、制御部8は画像認識により試料4の領域(サイズ)を検知する。この画像認識は試料4の表面領域と、試料4以外の領域とのコントラストの差に基づいて認識される。
ステップ2で試料4の領域が検知されると、ステップ3に進み、制御部8は焦点が合わせられた任意の分析点M1と等しい高さとなる試料4の表面上の直線L1(図6参照)のX軸方向およびY軸方向の座標データを、ホームポジションに対する試料ステージ2の回転角度に基づいて試料ステージ2の制御データとして算出する。
ステップ1で合焦位置が検知されその座標データが記憶されると、ステップ2に進み、制御部8は画像認識により試料4の領域(サイズ)を検知する。この画像認識は試料4の表面領域と、試料4以外の領域とのコントラストの差に基づいて認識される。
ステップ2で試料4の領域が検知されると、ステップ3に進み、制御部8は焦点が合わせられた任意の分析点M1と等しい高さとなる試料4の表面上の直線L1(図6参照)のX軸方向およびY軸方向の座標データを、ホームポジションに対する試料ステージ2の回転角度に基づいて試料ステージ2の制御データとして算出する。
ステップ3で制御部8が上記の制御データを算出する原理について図6に基づいて説明する。
図6に示されるように、傾斜軸Aと直交しCH2のWDX24(図2参照)へ向かって延びる直線L2とY軸とがなす角度、すなわち、ホームポジションに対する試料ステージ2の回転角度が122°であり、焦点が合わせられた任意の分析点M1のX軸方向およびY軸方向の座標を(a,b)とすると、焦点が合わせられた任意の分析点M1と等しい高さとなる試料4の表面上の直線L1上のX軸方向およびY軸方向の座標(a´,b´)、すなわち任意の分析点M1と同じ高さにあり、次に分析すべき分析点(他の分析点)M2のX軸方向およびY軸方向の座標は次の数式1により表わされる。
図6に示されるように、傾斜軸Aと直交しCH2のWDX24(図2参照)へ向かって延びる直線L2とY軸とがなす角度、すなわち、ホームポジションに対する試料ステージ2の回転角度が122°であり、焦点が合わせられた任意の分析点M1のX軸方向およびY軸方向の座標を(a,b)とすると、焦点が合わせられた任意の分析点M1と等しい高さとなる試料4の表面上の直線L1上のX軸方向およびY軸方向の座標(a´,b´)、すなわち任意の分析点M1と同じ高さにあり、次に分析すべき分析点(他の分析点)M2のX軸方向およびY軸方向の座標は次の数式1により表わされる。
上記の数式1において、αは、傾斜軸Aと平行な直線上での測定間隔であり、線分析における分解能(測定ステップ)である。なお、測定間隔αの値は、X軸方向およびY軸方向の各々について次に分析すべき分析点の座標値が任意の分析点M1に対してプラス方向である場合は正の値となり、任意の分析点M1に対してマイナス方向である場合は負の値となる。
ステップ3において上述のようにして制御データが算出されると、ステップ4に進み、制御部8は制御データによって表された次に分析すべき分析点M2の座標が、ステップ2で検知された試料4の領域内であるか否かを判断する。
ステップ4において、次に分析すべき分析点M2の座標が試料4の領域内であると判断すると、ステップ5に進み、制御部8は制御データに基づいて次に分析すべき分析点M2の座標が任意の分析点M1の座標と一致するように駆動部3を制御し試料ステージ2を移動させる。つまり、試料ステージ2が移動させられることにより、座標上、分析点M2の座標(a´,b´)は分析点M1の座標(a,b)へ相対的に移動することとなる。
一方、次に分析すべき分析点M2の座標が試料4の領域外であると判断した場合には、ステップ6へ進み、分析結果を表示部11に表示して一連のフローを終了する。
ステップ4において、次に分析すべき分析点M2の座標が試料4の領域内であると判断すると、ステップ5に進み、制御部8は制御データに基づいて次に分析すべき分析点M2の座標が任意の分析点M1の座標と一致するように駆動部3を制御し試料ステージ2を移動させる。つまり、試料ステージ2が移動させられることにより、座標上、分析点M2の座標(a´,b´)は分析点M1の座標(a,b)へ相対的に移動することとなる。
一方、次に分析すべき分析点M2の座標が試料4の領域外であると判断した場合には、ステップ6へ進み、分析結果を表示部11に表示して一連のフローを終了する。
ステップ5において試料ステージ2が移動させられると、ステップ3へ戻り、制御部8は再び制御データを算出し、次に分析すべき分析点M3(図6参照)の座標データを求める。
ステップ3において次に分析すべき分析点M3の座標データが求められると、ステップ4へ進み、制御部8は制御データによって表された次に分析すべき分析点M3の座標が、ステップ2で検知された試料4の領域内であるか否かを判断し、次に分析すべき分析点Mx(図6参照)が試料4の領域外であると判断されるまでステップ3〜5を繰り返す。
ステップ3において次に分析すべき分析点M3の座標データが求められると、ステップ4へ進み、制御部8は制御データによって表された次に分析すべき分析点M3の座標が、ステップ2で検知された試料4の領域内であるか否かを判断し、次に分析すべき分析点Mx(図6参照)が試料4の領域外であると判断されるまでステップ3〜5を繰り返す。
制御部8によって上述のフローが実行され試料ステージ2が移動させられることにより、分析点はオペレータによって焦点調整がなされた任意の分析点M1から直線L1に沿って相対的に移動することとなり、煩雑な焦点補正を行うことなく試料4の表面の微粒子または薄層の線分析が簡便かつ自動的に行われる。
実施例2
実施例2による斜出射電子線プローブマイクロX線分析方法について、図7および図8に基づいて説明する。図7は実施例2による斜出射電子線プローブマイクロX線分析方法において制御部が行う一連の制御フローを示すフローチャート図、図8は制御部により算出される第1制御データおよび第2制御データの算出原理を示す説明図である。なお、選択された任意の分析点に焦点を合わせる工程までは上述の実施例1と同様であるので説明を省略し、それ以降の工程についてのみ説明する。
実施例2による斜出射電子線プローブマイクロX線分析方法について、図7および図8に基づいて説明する。図7は実施例2による斜出射電子線プローブマイクロX線分析方法において制御部が行う一連の制御フローを示すフローチャート図、図8は制御部により算出される第1制御データおよび第2制御データの算出原理を示す説明図である。なお、選択された任意の分析点に焦点を合わせる工程までは上述の実施例1と同様であるので説明を省略し、それ以降の工程についてのみ説明する。
図8に示されるように、オペレータによって任意の分析点に焦点が合わせられ、任意の分析点M1のX軸方向およびY軸方向の座標データと、次に分析すべき分析点M2をX軸方向およびY軸方向の座標においてプラス方向とするか或いはマイナス方向とするかが入力部9を介して制御部8に入力されると、図7に示されるように、制御部8は任意の分析点M1に焦点が合わせられている試料ステージ2の位置を合焦位置として検知し、合焦位置における試料ステージ2の座標データを記憶する(ステップ1)。
ステップ1で合焦位置が検知されその座標データが記憶されると、ステップ2に進み、制御部8は画像認識により試料4の領域(サイズ)を検知する。
ステップ1で合焦位置が検知されその座標データが記憶されると、ステップ2に進み、制御部8は画像認識により試料4の領域(サイズ)を検知する。
ステップ2で試料4の領域が検知されると、ステップ3に進み、制御部8は、試料ステージ2の傾斜軸Aと直交する方向に試料4の表面に沿って延び、かつ、焦点が合わせられた任意の分析点M1を通る直線L2(図8参照)上の水平方向(X軸方向およびY軸方向)の座標データを、ホームポジションに対する試料ステージ2の回転角度に基づいて第1制御データとして算出する。
ステップ3において直線L2上の座標データが第1制御データとして算出されるとステップ4に進み、制御部8は直線L2上の座標を焦点が合わせられた任意の分析点M1と等しい高さに補正するための高さ方向(Z軸方向)の座標データを、ホームポジションに対する試料ステージ2の傾斜角度に基づいて第2制御データとして算出する。
ステップ3において直線L2上の座標データが第1制御データとして算出されるとステップ4に進み、制御部8は直線L2上の座標を焦点が合わせられた任意の分析点M1と等しい高さに補正するための高さ方向(Z軸方向)の座標データを、ホームポジションに対する試料ステージ2の傾斜角度に基づいて第2制御データとして算出する。
ステップ3およびステップ4で制御部8が上記の第1および第2制御データを算出する原理について図8に基づいて説明する。
図8に示されるように、傾斜軸Aと直交しCH2のWDX24(図2参照)へ向かって延びる直線L2とY軸とがなす角度、すなわち、ホームポジションに対する試料ステージ2の回転角度が122°であり、焦点が合わせられた第1の分析点M1のX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向(高さ方向)の座標を(a,b,c)とすると、試料ステージ2の傾斜軸Aと直交する方向に試料4の表面に沿って延び、かつ、焦点が合わせられた任意の分析点M1を通る直線L2上のX軸方向およびY軸方向の座標(a´,b´)、すなわち直線L2上にあり任意の分析点M1の次に分析すべき分析点(他の分析点)M2のX軸方向およびY軸方向の座標は次の数式2により表わされる。
図8に示されるように、傾斜軸Aと直交しCH2のWDX24(図2参照)へ向かって延びる直線L2とY軸とがなす角度、すなわち、ホームポジションに対する試料ステージ2の回転角度が122°であり、焦点が合わせられた第1の分析点M1のX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向(高さ方向)の座標を(a,b,c)とすると、試料ステージ2の傾斜軸Aと直交する方向に試料4の表面に沿って延び、かつ、焦点が合わせられた任意の分析点M1を通る直線L2上のX軸方向およびY軸方向の座標(a´,b´)、すなわち直線L2上にあり任意の分析点M1の次に分析すべき分析点(他の分析点)M2のX軸方向およびY軸方向の座標は次の数式2により表わされる。
上記の数式2において、βは、傾斜軸Aと直交する直線上での測定間隔である。測定間隔βの値は、X軸方向およびY軸方向の各々について分析点の座標値が任意の分析点M1に対してプラス方向である場合は正の値となり、任意の分析点M1に対してマイナス方向である場合は負の値となる。
そして、上記の数式2で表わされる次に分析すべき分析点M2のZ軸方向の座標(c´)は次の数式3により求められる。なお、実施例1と同様に試料ステージ2はホームポジションに対して39°傾斜している。
上記の数式3において、βは、式2と同様に傾斜軸と直交する直線上での測定間隔である。式3において測定間隔βの値は、次に分析すべき分析点のZ軸方向の座標値が任意の分析点M1に対してプラス方向である場合は正の値となり、任意の分析点M1に対してマイナス方向である場合は負の値となる。
ステップ3およびステップ4において上述のようにして第1および第2制御データが算出されると、ステップ5に進み、制御部8は第1制御データによって表された次に分析すべき分析点M2の座標が、ステップ2で検知された試料4の領域内であるか否かを判断する。
ステップ5において、次に分析すべき分析点M2の座標が試料4の領域内であるとすると、ステップ6に進み、制御部8は第1および第2制御データに基づいて次に分析すべき分析点M2の座標が任意の分析点M1の座標と一致するように駆動部3を制御し試料ステージ2を移動させる。つまり、試料ステージ2が移動させられることにより、座標上、分析点M2の座標(a´,b´,c´)は分析点M1の座標(a,b,c)へ相対的に移動することとなる。
一方、次に分析すべき分析点M2の座標が試料4の領域外であると判断した場合には、ステップ7へ進み、分析結果を表示部11に表示して一連のフローを終了する。
ステップ5において、次に分析すべき分析点M2の座標が試料4の領域内であるとすると、ステップ6に進み、制御部8は第1および第2制御データに基づいて次に分析すべき分析点M2の座標が任意の分析点M1の座標と一致するように駆動部3を制御し試料ステージ2を移動させる。つまり、試料ステージ2が移動させられることにより、座標上、分析点M2の座標(a´,b´,c´)は分析点M1の座標(a,b,c)へ相対的に移動することとなる。
一方、次に分析すべき分析点M2の座標が試料4の領域外であると判断した場合には、ステップ7へ進み、分析結果を表示部11に表示して一連のフローを終了する。
ステップ6において試料ステージ2が移動させられると、ステップ3へ戻り、制御部8は第1制御データを算出し、さらにステップ4へ進んで第2制御データを算出し、次に分析すべき分析点M3(図8参照)の座標データを求める。
ステップ3およびステップ4において、次に分析すべき分析点M3の座標データが求められると、ステップ5へ進み、制御部8は第1制御データによって表された次に分析すべき分析点M3の座標が、ステップ2で検知された試料4の領域内であるか否かを判断し、次に分析すべき分析点Mx(図8参照)が試料4の領域外であると判断されるまでステップ3〜6を繰り返す。
ステップ3およびステップ4において、次に分析すべき分析点M3の座標データが求められると、ステップ5へ進み、制御部8は第1制御データによって表された次に分析すべき分析点M3の座標が、ステップ2で検知された試料4の領域内であるか否かを判断し、次に分析すべき分析点Mx(図8参照)が試料4の領域外であると判断されるまでステップ3〜6を繰り返す。
制御部8によって上述のフローが実行され試料ステージが移動させられることにより、分析点はオペレータによって焦点調整がなされた任意の分析点M1から直線L2に沿って高さ補正されつつ相対的に移動することとなり、煩雑な焦点補正を行うことなく試料4の表面の微粒子または薄層の線分析が簡便かつ自動的に行われる。
また、上述のフローを利用し、直線L2と隣接しかつ平行となる直線に沿って線分析を繰り返すことにより、所定領域の面分析も簡便かつ自動的に行える。
また、上述のフローを利用し、直線L2と隣接しかつ平行となる直線に沿って線分析を繰り返すことにより、所定領域の面分析も簡便かつ自動的に行える。
1・・・斜出射電子線プローブマイクロX線分析装置
2・・・試料ステージ
2a・・・X軸ステージ
2b・・・Y軸ステージ
2c・・・Z軸ステージ
2d・・・回転ステージ
2e・・・傾斜ステージ
3・・・駆動部
4・・・試料
5・・・光学顕微鏡
6・・・電子線走査部
7・・・X線検出部
8・・・制御部
9・・・入力部
10・・・二次電子検出部
11・・・表示部
12・・・鏡筒
13・・・試料室
14・・・分光室
15・・・試料ホルダ
16・・・電子銃
17・・・収束レンズ
18・・・走査コイル
19・・・電磁対物レンズ
20・・・光学対物レンズ
21・・・光学反射鏡
22・・・バスライン
23・・・エネルギー分散型X線検出器(EDX)
23a・・・入射口
24・・・波長分散型X線検出器(WDX)
25・・・分光結晶
26・・・X線検出器
A・・・傾斜軸
C・・・特性X線
E・・・電子線
L1,L2・・・直線
M1・・・任意の分析点
M2,M3,Mx・・・次の分析点
S・・・二次電子
2・・・試料ステージ
2a・・・X軸ステージ
2b・・・Y軸ステージ
2c・・・Z軸ステージ
2d・・・回転ステージ
2e・・・傾斜ステージ
3・・・駆動部
4・・・試料
5・・・光学顕微鏡
6・・・電子線走査部
7・・・X線検出部
8・・・制御部
9・・・入力部
10・・・二次電子検出部
11・・・表示部
12・・・鏡筒
13・・・試料室
14・・・分光室
15・・・試料ホルダ
16・・・電子銃
17・・・収束レンズ
18・・・走査コイル
19・・・電磁対物レンズ
20・・・光学対物レンズ
21・・・光学反射鏡
22・・・バスライン
23・・・エネルギー分散型X線検出器(EDX)
23a・・・入射口
24・・・波長分散型X線検出器(WDX)
25・・・分光結晶
26・・・X線検出器
A・・・傾斜軸
C・・・特性X線
E・・・電子線
L1,L2・・・直線
M1・・・任意の分析点
M2,M3,Mx・・・次の分析点
S・・・二次電子
Claims (8)
- 電子線が照射された試料から発せられる特性X線をX線検出器により検出する際に、試料ステージを傾斜させることにより特性X線の取出角度を制御し、試料内部で励起された特性X線が全反射現象により検出さない角度に特性X線の取出角度を設定する斜出射電子線プローブマイクロX線分析方法において、前記取出角度が得られるように試料ステージを傾斜させた状態で予め任意の分析点の焦点調整を完了させた後、その焦点を維持しつつ試料表面の他の分析点を分析するのに必要な試料ステージの制御データを求め、求めた制御データに基づいて試料ステージを移動させることにより試料表面の微粒子又は薄層の線分析又は面分析を行うことを特徴とする斜出射電子線プローブマイクロX線分析方法。
- 予め任意の分析点の焦点調整を完了させる前記工程は、試料がX線検出器の方へ向くように試料ステージを回転させる工程を含み、試料ステージの制御データを求める前記工程は、焦点調整が完了した任意の分析点を通り前記分析点と同じ高さとなる直線上の座標データを試料ステージの回転角度に基づいて求める工程であることを特徴とする請求項1に記載の斜出射電子線プローブマイクロX線分析方法。
- 予め任意の分析点の焦点調整を完了させる前記工程は、試料がX線検出器の方へ向くように試料ステージを回転させる工程を含み、試料ステージの制御データを求める前記工程は、試料表面の他の分析点を焦点調整が完了した任意の分析点と同じ高さに調整するのに必要な水平方向および高さ方向の座標データを試料ステージの傾斜角度と回転角度に基づいて求める工程であることを特徴とする請求項1に記載の斜出射電子線プローブマイクロX線分析方法。
- 試料が半導体ウエハであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の斜出射電子線プローブマイクロX線分析方法。
- 電子線が照射された試料から発せられる特性X線をX線検出器により検出する際に、試料ステージを傾斜させることにより特性X線の取出角度を制御し、試料内部で励起された特性X線が全反射現象により検出さない角度に特性X線の取出角度を設定する斜出射電子線プローブマイクロX線分析方法において、前記取出角度が得られるように試料ステージを傾斜させた状態で予め任意の分析点の焦点調整を完了させた後、その焦点を維持しつつ試料表面の他の分析点を分析するのに必要な試料ステージの制御データを求め、求めた制御データに基づいて試料ステージを移動させることにより試料表面の微粒子又は薄層の線分析又は面分析を行う斜出射電子線プローブマイクロX線分析方法に用いられるプログラムであって、コンピュータに、焦点を維持しつつ試料表面の他の分析点を分析するのに必要な試料ステージの制御データを求めさせる手順と、求められた制御データに基づいて試料ステージを移動させる手順とを実行させることを特徴とするプログラム。
- 試料ステージの制御データを求めさせる前記手順は、焦点調整が完了した任意の分析点を通り前記分析点と同じ高さとなる直線上の座標データを試料ステージの回転角度に基づいて求めさせる手順であり、制御データに基づいて試料ステージを移動させる前記手順は、前記直線に沿って分析点が相対的に移動するように前記座標データに基づいて試料ステージを移動させる手順であることを特徴とする請求項5に記載のプログラム。
- 試料ステージの制御データを求めさせる前記手順は、試料表面の他の分析点を焦点調整が完了した任意の分析点と同じ高さに調整するのに必要な水平方向および高さ方向の座標データを試料ステージの傾斜角度と回転角度に基づいて求めさせる手順であり、制御データに基づいて試料ステージを移動させる前記手順は、他の分析点の高さが前記任意の分析点と同じ高さになるように前記座標データに基づいて試料ステージを移動させる手順であることを特徴とする請求項5に記載のプログラム。
- 試料ステージと、試料ステージを駆動する駆動部と、試料ステージに保持された試料に対して電子線を照射する電子線照射部と、試料表面から発せられる特性X線を検出するX線検出部と、駆動部、電子線照射部およびX線検出部を制御する制御部を備え、試料ステージが傾斜させられた状態で予め任意の分析点に焦点が調整されたとき、制御部はその焦点を維持しつつ試料表面の他の分析点を分析するのに必要な試料ステージの制御データを求め、求めた制御データに基づいて駆動部を制御し試料ステージを移動させることにより試料表面の微粒子又は薄層の線分析又は面分析を行う斜出射電子線プローブマイクロX線分析装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2006124146A JP2007298293A (ja) | 2006-04-27 | 2006-04-27 | 斜出射電子線プローブマイクロx線分析方法およびそれに用いられるプログラム、並びに、斜出射電子線プローブマイクロx線分析装置 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010107334A (ja) * | 2008-10-30 | 2010-05-13 | Jeol Ltd | 電子線を用いるx線分析装置 |
-
2006
- 2006-04-27 JP JP2006124146A patent/JP2007298293A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010107334A (ja) * | 2008-10-30 | 2010-05-13 | Jeol Ltd | 電子線を用いるx線分析装置 |
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