JP2007298031A - 二元推進剤インジェクタ、ロケットスラスタアセンブリ、およびインジェクタアセンブリ - Google Patents

二元推進剤インジェクタ、ロケットスラスタアセンブリ、およびインジェクタアセンブリ Download PDF

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Abstract

【課題】比較的小型のロケットエンジンで使用するのに適した非自動点火性推進剤噴射および点火システムを提供する。
【解決手段】 二元推進剤インジェクタは、第1および第2のインジェクタ要素130,24とスパーク励起アセンブリ100とを有する。第1のインジェクタ要素130は、スパーク励起アセンブリに電気的に接続された導電層146と導電層の外側部分に配置された非導電層148とを有する。第2のインジェクタ要素24は導電性材料からなり、燃焼室と流体連通する貫通開口132を有する。第1のインジェクタ要素の端部138は、第2のインジェクタ要素の開口132に配置されるか、開口132の近くに配置される。スパーク励起アセンブリ100は、第1のインジェクタ要素130の導電層146と第2のインジェクタ要素24の間に電気アークを発生させることができる。
【選択図】図3

Description

本発明は、ロケットエンジンインジェクタおよび点火システムに関し、より詳細には、本発明は、非自動点火性推進剤インジェクタおよび点火システムに関する。
典型的な液体推進剤ロケットエンジンでは、燃焼室内にある酸化剤および燃料の噴射、分散、混合、および燃焼を容易にするのに二元推進剤噴射要素を使用する。大型のロケットエンジンでは、インジェクタ要素アレイの中央に大型の点火システムアセンブリ(またはスパークトーチアセンブリ)を配置して、何百ものインジェクタ要素が存在し得る。大型点火アセンブリは、燃焼室内で燃焼を開始させるために使用される「パイロットライト」のような持続した火炎またはトーチを起こすことで推進剤に点火することができる。この大型点火アセンブリは、それ自体の専用推進剤混合物を利用して「パイロットライト」を起こし、維持する。これら専用推進剤混合物は、エンジン推力を発生させるために使用される推進剤混合物とは大きく異なる。専用の「パイロットライト」推進剤の供給が必要な場合、エンジン設計が複雑になる。大型点火アセンブリを使用するとまた、「パイロットライト」を起こすのに使用する専用推進剤の混合が条件を外れているために(すなわち、推進性能を最適にする混合比とは異なる混合比を使用するために)性能が損なわれる。さらに、大型の「パイロットライト」点火アセンブリは、寸法と質量の両方の点でかさばり、そのために、より小型のロケットエンジンで使用するにはあまり望ましくない。
燃焼室の反応領域に点火スパークを発生させるスパーク点火システムも公知である。しかし、このシステムは、システム部品の組立を困難にし、使用時に部品劣化の問題を引き起こす。例えば、露出した電極部に点火が容易な推進剤混合物を形成するために、燃料と酸化剤を案内する特別な噴射オリフィスおよびマニホルドが必要とされる。インジェクタフェイスプレートを貫通する直接スパーク点火システムはまた、重量を増やし、設計をより複雑にし、さらに、通常、電極の熱的損傷を防止するために最適条件から外れた混合比で(通常、燃料リッチの比率で)作動するが、それにより、燃焼性能を全体的に低下させる。
位置決め用スラスタエンジンなどの小型ロケットエンジンは、これまで自動点火性の推進剤(すなわち、混合したときに自然に点火する推進剤)を使用してきた。しかし、非自動点火性の推進剤を利用するロケットエンジンを開発することが望ましい。
本発明は、比較的小型のロケットエンジンで使用するのに適した非自動点火性推進剤噴射および点火システムを提示する。
二元推進剤インジェクタは、第1および第2のインジェクタ要素とスパーク励起アセンブリとを有する。第1のインジェクタ要素は、スパーク励起アセンブリに電気的に接続された導電層と、導電層の外側部分に配置された非導電層とを有する。第2のインジェクタ要素は導電性材料からなり、燃焼室と流体連通する貫通開口を有する。第1のインジェクタ要素の端部は、第2のインジェクタ要素の開口に配置されるか、またはその近くに配置される。励起装置は第1のインジェクタ要素の導電層と第2のインジェクタ要素の間に電気アークを発生させる。
本発明は、非自動点火性推進剤を使用するロケットエンジン用の点火要素アセンブリを提示する。基本的に、点火要素アセンブリは、インジェクタチューブとインジェクタフェイスプレートの間にスパークを発生させて、隣接する燃焼室で混合推進剤の燃焼を開始するのを可能にする。インジェクタチューブに連結されたスパーク励起アセンブリは、スパークを発生させる電気エネルギを供給する。ロケットエンジンは、燃焼室に入る推進剤混合物に点火するために、1つまたはそれ以上の点火要素アセンブリを利用することができる。以下により詳細に説明するように、本発明の点火要素アセンブリは、ロケットエンジンで燃焼を開始するための公知のシステムに勝る多数の利点を提供する。
図1は、本発明による点火システムを有するロケットエンジン20の概略断面図である。エンジン20は、収束−発散形の壁を有する燃焼室(つまり主推進室)22と、インジェクタフェイスプレート24と、インジェクタポスト26、28、30のアレイ(列)と、を有する。図示したエンジン20は、有人探査船や人工衛星用の位置決めスラスタなどの小型エンジンを表す。しかし、本発明は、さらなる代替の実施形態において、他のタイプのロケットエンジンで利用することができると認識すべきである。
インジェクタフェイスプレート24は多数の貫通した開口32A〜32Cを有し、各開口32A〜32Cは、インジェクタポスト26、28、30のうちの1つに対してそれぞれ位置決めされている。第2の推進剤供給マニホルド34は、フェイスプレート24と中間推進剤プレート36の間に画定される。第1の推進剤供給マニホルド38は、中間推進剤プレート36とドーム40の間に画定される。
推進剤の一方は、第1の推進剤供給マニホルド38からインジェクタポスト26、28、30を通って送出される。第2の推進剤は、第2の推進剤供給マニホルド34からインジェクタポスト26、28、30とインジェクタフェイスプレート24の開口32A〜32Cとによって形成された環状路を通って燃焼室22に送出される。アレイ内のインジェクタ要素の1つまたは複数のものは、点火アセンブリとしても機能するように構成されている。図1に示す実施形態では、中央インジェクタポスト30が点火装置としても機能する。典型的なスパーク42などのスパークは、インジェクタポスト30を流れる推進剤の燃焼を開始させるために使用され、次いでその燃焼流が、燃焼室22内の推進剤に点火する。点火後にスパーク42は止められ、中央インジェクタポスト30は、同じ高性能混合比でアレイの他のインジェクタポスト26、28と全く同様に機能する。
非自動点火性二元推進剤混合物の燃焼は、エンジン推力を付与するために使用される。二元推進剤混合物は、O2などの酸化剤およびH2などの燃料を含む。なお、様々な推進剤物質を本発明に従って使用することができる。推進剤は、当業者には公知の態様で同軸剪断流によって燃焼室22に送出され、剪断速度流は、燃焼室22の反応領域で燃焼する前に推進剤を霧化し、混合するために使用される。エンジン20は通常、推進剤の組み合わせに対する十分に混合した場合の可燃限界より上の混合比を有する推進剤混合物を燃焼させる。
図2は、酸化剤としてO2、燃料としてH2を備えたH2/O2二元推進剤混合物についてのH2/O2混合ガス温度対酸化剤/燃料(O/F)混合比のグラフである。このグラフは、グラフを可燃領域52と不燃領域54に分割する可燃限界50を示している。約6.0である(H2/O2にとっての)適切なO/F混合比とした場合に、推力/推進剤流速の点でエンジン性能は必然的に高くなる。領域56は、通常のスラスタおよび主燃焼室の状態を示しており、燃焼温度は約6000°ランキン(R)であり、性能は高い。それと比べ、領域58はタービン駆動とガス発生機の状態を示しており、燃焼温度は約1500°Rである。領域58の推進剤混合物は、容易には点火と火炎の伝播につながらない。したがって、これまでの点火システムは点火に対してより高い混合比を必要とし、そのため、タービン寿命を短くしていた。これまでの点火システムはまた、すべての推進剤に点火するために、各インジェクタチューブにおいて点火源を利用してきた。領域56の推進剤混合物は、領域58のものより燃焼を促すので、様々な点火方式を利用することが可能である。領域56に全体的に収まる推進剤混合物は、可燃領域52にうまく収まるので、燃焼室22に火炎を容易に伝播させることができる。図1に示すように、単一の噴射/点火要素30を使用して領域52に収まる推進剤混合物に点火することができる。噴射/点火要素30で燃焼が開始されると、燃焼は燃焼室22に伝播して、続いて、燃焼室22に導入されたすべての推進剤に点火する。しかし、当然ながら、さらなる実施形態では、アレイのうちの複数のインジェクタ要素が点火能力をもつことができる。さらに、推進剤組成、推進剤混合比、および推進剤混合温度は変えることができ、特定の応用例の特性が図2のものと同様にグラフ上の領域56の特性に影響を及ぼす。
図3は、点火要素アセンブリ100の断面図である。この点火要素アセンブリ100は、図1に示し図1に関連させて説明したエンジン20で使用するのに適する。点火要素アセンブリ100はインジェクタフェイスプレート24、中間推進剤プレート36、酸化剤ドーム40、および酸化剤ポスト130を有する。
インジェクタフェイスプレート24は、導電性金属プレートであって、内側面134と外側面136の間に画定される円錐台形の開口132を有し、外側面136は燃焼室22に隣接して配置されている。流体は開口132を通って燃焼室22に入る。燃料供給マニホルド34を通る燃料送出路は、フェイスプレート24の内側面134と中間推進剤プレート36の間に画定される。燃料は、格納領域(図示せず)から燃料供給マニホルド34に従来の態様で供給され、ターボポンプまたは他の適切な装置によって燃料供給マニホルド34から送り出すことができる。燃料は、フェイスプレート24の開口132とこの開口132内に延びるように配置された酸化剤ポスト130との間に形成された環状路を通って流れる。本発明は、非自動点火性推進剤を同軸送出するほとんどすべてのタイプの噴射アセンブリで利用することができ、図3に示す特定の実施形態は、単なる一例として提示されていると認識すべきである。
酸化剤ポスト130は、第1の端部138と反対側の第2の端部140とを有する複合チューブである。酸化剤ポスト130の第1の端部138は、インジェクタフェイスプレート24を貫通する開口132内に配置されている。図3に示す実施形態では、チューブ130の第1の端部138は、フェイスプレート24の外側面136によって画定される平面と合致している。ポスト130は、燃焼室22への酸化剤送出路を形成する内部空洞142を有する。1つまたは複数の側部開口144はポスト130内に画定されて、内部空洞142と、酸化剤ドーム40と中間推進剤プレート36の間に酸化剤供給路を形成する酸化剤供給マニホルド38との間の流体連通を可能にする。酸化剤は、格納領域(図示せず)から酸化剤供給マニホルド38に従来の態様で供給され、酸化剤ターボポンプまたは他の適切な装置によって、酸化剤供給マニホルドから送り出すことができる。
酸化剤ポスト130は、概して内側にある導電性部分146と外側の非導電性部分148を有する。2つの部分146、148は、互いにろう付けして複合酸化剤ポスト130を形成することができる。導電性部分146は、例えば、銅合金、ステンレス鋼、高強度ニッケル合金などの金属材料から作ることができる。非導電性部分148は、例えば、(ニュージャージー州パリセーズパークに所在のセラミックプロダクツ社から入手可能な)Maycor(登録商標)やシリコンカーバイドなどのセラミック材料、または他の絶縁材料(例えば、非導電性ポリマー材料)から作ることができる。導電性部分146は、ポスト130の第1の端部138と第2の端部140の間に延在している。非導電性部分148は、ポスト130の第1の端部138と第2の端部140の間に配置され、導電性部分146の領域が各端部138、140で露出したままの状態にしている。酸化剤ポスト130の非導電性部分148により、酸化剤ポスト130の導電性部分146を中間推進剤プレート36、酸化剤ドーム40など他の部品から電気的に絶縁することが可能になる。ねじを切られた領域とすることができる取付構造体150がポスト130の第2の端部140に形成されて、スパーク励起装置152とポスト130の導電性部分146との間の電気接続を容易にする。
スパーク励起装置152が図3に概略的に示されている。励起装置152はポスト130の導電性部分146に電気的に接続され、適切な電圧と電流を作り出して、酸化剤ポスト130とインジェクタフェイスプレート24の間のエアギャップを横切るスパークを発生させる従来の電気スパーク供給アセンブリとすることができる。
中間推進剤プレート36は、酸化剤ドーム40とインジェクタフェイスプレート24の間に配置され、燃料送出路と酸化剤供給路を分離している。酸化剤ポスト130は中間推進剤プレート36を貫通し、中間推進剤プレート36は、ポストの非導電性部分148にろう付けされてその間に封止部154を形成する。封止部154を構成するろう付け材料は、例えば、金、銀、ニッケル、および銅を組み合わせたものを含む合金とすることができる。
酸化剤ドーム40は、ロケットエンジンインジェクタで使用される従来タイプのものである。酸化剤ポスト130は、酸化剤ドーム40を貫通し、酸化剤ポスト130の非導電性部分148は、酸化剤ドームにろう付けされてその間に封止部156を形成する。封止部156を構成するろう付け材料は、封止部154のものと同じとすることができる。
代替の実施形態では、非導電性部分であったものは非導電性ポリマー材料から作られ、封止部154、156は、ろう付けを使用するのではなく、圧縮した状態で装着することによって形成することができる。封止部154は、導電性部分146と中間推進剤プレート36の間の非導電性部分148を圧縮して装着することにより形成することができ、封止部156は、同様に、導電性部分146と酸化剤ドーム40の間の非導電性部分148を圧縮して装着することにより形成することができる。
作動時、励起装置152を使用して酸化剤ポスト130の導電性部分146(その第1の端部138)とインジェクタフェイスプレート24の間に電位差を設けることで、それらの間にスパークが発生する。図3では、酸化剤ポスト130とフェイスプレート24の間に延びる電気アークとして例示的なスパーク158が表されている。点火スパークが発生すると、次いで、酸化剤および燃料の送出路に沿って酸化剤と燃料の送出がそれぞれ開始されて、燃焼室22への同軸推進剤流れを作り出す。同軸推進剤流れは、スパーク158によって点火される二元推進剤混合物を生成する。次いで、燃焼が燃焼室22内に伝播して、他のインジェクタ要素(図1を参照のこと)から送出された推進剤に点火することができる。
図3に示す点火要素アセンブリ100は、本発明による点火要素アセンブリの可能な実施形態の単なる一例にすぎない。以下は代替実施形態の実施例である。図4Aは、第1の代替点火要素アセンブリ200の部分断面図である。点火要素アセンブリ200は、図3に示し図3に関連させて説明した点火要素アセンブリ100と概略的には同じである。しかし、点火要素アセンブリ200の場合、酸化剤ポスト130の第1の端部がフェイスプレート24の外側面136から距離Dだけ引っ込んでいる。距離Dは、通常、フェイスプレート24の厚さTより短い。酸化剤ポスト130の第1の端部138の位置が引っ込んでいると、スパーク158の位置を管理するのに役立ち、燃焼室22への推進剤の同軸噴射に対する性能を改良する助けとなることができる。
図4Bは、点火要素アセンブリ300とした第2の代替実施形態の部分断面図である。点火要素アセンブリ300は、図3に示し図3に関連させて説明した点火要素アセンブリ100と概略的には同じである。しかし、点火要素アセンブリ300の場合、インジェクタフェイスプレート24の開口332が段付き形状を形成する複数の直径を有する。開口332は、第1の直径D1を有する、フェイスプレート24の内側面134に隣接した第1の部分332Aと、小さい方の第2の直径D2を有する、フェイスプレート24の外側面136に隣接した第2の部分332Bとを有する。開口332の段付き形状により、燃焼室22への燃料の剪断流を容易に望みどおりとすることができる。
図4Cは、点火要素アセンブリ400とした第3の代替実施形態の部分断面図である。点火要素アセンブリ400は、図3に示し図3に関連させて説明した点火要素アセンブリ100と概略的には同じである。しかし、点火要素アセンブリ400の場合、非導電性の挿入体402がインジェクタフェイスプレート24にある開口132の周縁部分に沿って配置されている。非導電性挿入体402は、フェイスプレートにろう付けしたセラミック材料とすることができ、そのセラミック材料とろう付け材料は上記のものと同じとすることができる。非導電性挿入体402は、フェイスプレート24の外側面136に隣接するフェイスプレート24の開口132の周縁部に導電性部分404を設けるために、フェイスプレートの内側面134に隣接して配置されている。非導電性挿入体402は、スパーク158の位置を管理し、スパーク158のエネルギを集中させるのに役立つ。
図4Dは、点火要素アセンブリ500とした第4の代替実施形態の部分断面図である。点火要素アセンブリ500は、図3に示し図3に関連させて説明した点火要素アセンブリ100と概略的に同じである。点火アセンブリ500は、さらにインジェクタフェイスプレート24と酸化剤ポスト130の非導電性部分148との間に固定された燃料スリーブ502を有する。燃料スリーブは所定の位置にろう付けすることができる。1つまたは複数の側部開口504が燃料スリーブ502に形成されて、燃料供給路と燃焼室22の流体連通を可能にしている。図示した実施形態では、スパーク158は、酸化剤ポスト130の導電性部分146と燃料スリーブ502の間に発生している。燃料スリーブ502を用いた設計の利点は、燃料スリーブがインジェクタフェイスプレート24に対する構造上の支持を増強することにある。
本発明は、多数の利点と利益をもたらす。例えば、本発明による点火要素アセンブリは、持続したトーチつまり「パイロットライト」を維持するために専用の推進剤供給物を利用する大型の点火要素アセンブリに比べて相対的に小型で質量も小さい。これら寸法と質量の恩恵を受けて、本願の点火要素アセンブリは小型ロケットエンジンで容易に使用できるようになる。さらに、噴射要素アレイを有するロケットエンジンでは、燃焼室で燃焼を開始するために、アレイ内の噴射要素の1つに点火要素アセンブリを組み込みさえすればよい。
本発明による点火要素アセンブリは、点火後に通常のインジェクタ要素のように動作できるので、高い燃焼性能を維持することができる。これは、エンジン推力性能全体を低下させる恐れのあるピークを外れた状態で専用の点火推進剤を利用するこれまでのシステムに勝る性能上の利点をもたらす。
さらに、本発明の点火要素アセンブリは、組立が比較的容易かつ単純である。アセンブリの励起装置は、燃焼プロセス部および推進剤流路から離れて配置できるので、ワイヤまたは他の電気接続構造体を励起装置に接続するのが比較的容易である。点火アセンブリは特別な点火推進剤マニホルドまたは点火流れオリフィスを必要としないため、本発明による点火アセンブリの構成はさらに簡素化される。
加えて、インジェクタ要素アセンブリの電気絶縁された部品間で点火スパークを発生させることで、他の潜在的な問題を大部分回避できる。例えば、燃焼室壁から伸長するように配置されたスパーク点火アセンブリのために、通常冷却チャネルを有する、燃焼室壁を貫通する開口を設けることは困難である。冷却チャネルの経路を変更することでエンジン設計が不必要に複雑になる。さらに、燃焼室壁を貫通するスパーク点火アセンブリを囲む適切な高圧高温ガス用の封止材を設け、維持することは困難である。別の例として、推進剤燃焼領域に配置されなければならない点火システムもまた、そのような場所に存在する極端な状況のために、スパーク電極の溶融や腐食などの部品の劣化と破損を含めた重大な問題を引き起こす。このような損傷を回避するために最適条件を外れた混合比を使用すると、性能が低下することになる。
本発明が好ましい実施形態を参照して説明されたが、本発明の精神と範囲から逸脱することなく、基本部と細部において変更を行うことができると当業者ならば分かるであろう。例えば、本発明の点火要素アセンブリを構成する部品の特定の寸法および形状を特定の用途に応じて変更することができる。さらに、各種の非自動点火性推進剤を利用することができる。
本発明による点火システムを有するロケットエンジンの概略断面図である。 2/O2混合ガス温度対酸化剤/燃料(O/F)混合比のグラフであり、燃焼状態の指標となる可燃限界と可燃領域を示している。 点火要素アセンブリの断面図である。 点火要素アセンブリの第1の代替実施形態の部分断面図である。 点火要素アセンブリの第2の代替実施形態の部分断面図である。 点火要素アセンブリの第3の代替実施形態の部分断面図である。 点火要素アセンブリの第4の代替実施形態の部分断面図である。

Claims (20)

  1. 第1の推進剤を燃焼室に噴射でき、導電層を有し、第1の端部と第2の端部を画定する第1のインジェクタ要素と、
    導電性材料からなり、燃焼室と流体連通する開口が貫通して画定され、前記第1のインジェクタ要素の前記第1の端部が前記開口にまたは前記開口の近くに配置される第2のインジェクタ要素と、
    前記第1のインジェクタ要素の前記導電層に電気的に接続され、前記第1のインジェクタ要素の前記導電層と前記第2のインジェクタ要素の間に電気アークを発生させることができるスパーク励起アセンブリと、
    を有する二元推進剤インジェクタ。
  2. さらに、上記第1のインジェクタ要素の上記導電層の外側部分に配置された非導電層を有する請求項1に記載のインジェクタ。
  3. 上記第1のインジェクタ要素の上記非導電層はセラミック材料からなることを特徴とする請求項2に記載のインジェクタ。
  4. 上記第2のインジェクタ要素は燃料スリーブであることを特徴とする請求項1に記載のインジェクタ。
  5. 上記第2のインジェクタ要素はインジェクタフェイスプレートであることを特徴とする請求項1に記載のインジェクタ。
  6. 上記第2のインジェクタ要素内に画定された前記開口は、形状が円錐台状であることを特徴とする請求項1に記載のインジェクタ。
  7. 上記第1のインジェクタ要素および上記第2のインジェクタ要素は各推進剤を同軸上に噴射するように配置されることを特徴とする請求項1に記載のインジェクタ。
  8. 上記第1のインジェクタ要素は円筒状形状のチューブであることを特徴とする請求項1に記載のインジェクタ。
  9. 上記第1のインジェクタ要素の上記第1の端部は上記第2のインジェクタ要素の燃焼室に対向する面から陥没していることを特徴とする請求項1に記載のインジェクタ。
  10. 上記励起装置は、上記第1の推進剤インジェクタ要素の上記第2の端部に接続されることを特徴とする請求項1に記載のインジェクタ。
  11. 燃焼室と、
    貫通するように画定された複数の開口を有するインジェクタフェイスプレートと、
    それぞれが前記インジェクタフェイスプレートの対応する開口に配置された複数の推進剤インジェクタチューブと、
    前記複数の推進剤インジェクタチューブのうちの第1のものに電気的に接続され、前記燃焼室に送出された推進剤に点火するために、前記第1の推進剤インジェクタチューブと前記インジェクタフェイスプレートとの間に点火スパークを発生させるスパーク励起装置と、
    を有するロケットスラスタアセンブリ。
  12. 上記第1の推進剤インジェクタチューブは円筒状の形状を有することを特徴とする請求項11に記載のアセンブリ。
  13. 上記第1の推進剤インジェクタチューブは、
    導電層と、
    前記導電層上に配置された非導電層と、
    を有することを特徴とする請求項11に記載のアセンブリ。
  14. 上記非導電層はセラミック材料からなることを特徴とする請求項13に記載のアセンブリ。
  15. 上記インジェクタフェイスプレートの上記開口および対応する上記インジェクタチューブが、環状の燃料推進剤開口を画定することを特徴とする請求項11に記載のアセンブリ。
  16. 上記インジェクタフェイスプレートの上記開口は、形状が円錐台状であることを特徴とする請求項11に記載のアセンブリ。
  17. ロケット燃焼室に隣接して配置され、推進剤を前記燃焼室に噴射するための貫通した開口を有するフェイスプレートと、
    第1の端部および第2の端部を画定し、少なくとも1つの推進剤注入開口とその第1の端部に配置された推進剤排出口とを有し、前記第1の端部は前記フェイスプレートの前記開口にまたは前記開口の近くに配置され、導電性材料からなり、前記少なくとも1つの推進剤注入開口と前記推進剤排出口の間の第1の推進剤送出路を形成する内部流路を有するインジェクタチューブと、
    前記インジェクタチューブの前記少なくとも1つの推進剤注入開口と流体連通する第1の推進剤供給路を画定し、かつ前記フェイスプレートとの間に第2の推進剤送出路を画定する中間推進剤分割体と、
    前記インジェクタチューブを前記フェイスプレートから電気絶縁するために、前記インジェクタチューブ上に配置された非導電性被覆と、
    前記インジェクタチューブと前記フェイスプレートの間に電気スパークを発生させるために、前記インジェクタチューブに電気的に接続された励起装置と、
    を有するインジェクタアセンブリ。
  18. 上記フェイスプレート内に画定された上記開口は、形状が環状であることを特徴とする請求項17に記載のアセンブリ。
  19. 上記フェイスプレート内に画定された上記開口は、形状が円錐台状であることを特徴とする請求項17に記載のアセンブリ。
  20. 上記インジェクタチューブの上記第1の端部は、上記フェイスプレートの燃焼室に対向した面から陥没していることを特徴とする請求項17に記載のアセンブリ。
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