JP2007297652A - めっき方法及びめっき装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】めっき膜に生じる異常析出を、単位時間当たりの基板処理枚数に影響を極端に及ぼさない範囲で、効果的に防止・抑制することができるめっき方法及びめっき装置を提供すること。
【解決手段】金属イオンを含んだめっき液Qに半導体ウェーハ3とアノード5とを浸漬し、半導体ウェーハ3とアノード5間に電流を流すことで半導体ウェーハ3の被めっき面3aに金属めっきを行う。半導体ウェーハ3とアノード5間への電流供給をそのめっき膜厚が1〜20μmとなるまで連続して行なった後に1秒〜2分間停止する工程を、複数回繰り返し行う。その間、被めっき面3a近傍部分のめっき液Qをパドル9によって攪拌する。
【選択図】図1
【解決手段】金属イオンを含んだめっき液Qに半導体ウェーハ3とアノード5とを浸漬し、半導体ウェーハ3とアノード5間に電流を流すことで半導体ウェーハ3の被めっき面3aに金属めっきを行う。半導体ウェーハ3とアノード5間への電流供給をそのめっき膜厚が1〜20μmとなるまで連続して行なった後に1秒〜2分間停止する工程を、複数回繰り返し行う。その間、被めっき面3a近傍部分のめっき液Qをパドル9によって攪拌する。
【選択図】図1
Description
本発明は、バンプめっきや配線用埋め込みめっき等に用いて好適なめっき方法及びめっき装置に関するものである。
従来、半導体チップに基板接続用のバンプを形成するような場合がある。そしてこの種のバンプを電気めっきにより形成するには、導電層を有する基材上にレジスト層を設け、レジスト層のない部分(開口部)にきのこ状に盛り上る金属析出(マッシュルームバンプ)を形成させたり、前記レジスト層のない部分(開口部)に柱状の金属析出(ストレートウォールバンプ)を形成させたりする。いずれの場合であっても次の工程から見て、バンプの表面はなるべく平らで、異常検出のないことが求められる。
しかしながらトータルの電解量が増大したり、あるいは経時変化によりめっき液の劣化などが生じると、めっき膜表面に針状又はこぶ状の突起した異常析出が観察されるようになる。この異常析出はめっき膜厚が厚くなればなるほど顕著になる。
特許文献1では、その段落番号「0023」に、上記異常析出を抑えるため、電流密度を0.1〜30A/dm2程度とし、電流の通電時間を0.001〜1秒程度、通電停止時間を0.001〜1秒程度としてバンプが形成されるまでの適当な時間これを繰り返せば良好なバンプが得られるとの記載がある。一方特許文献2では、電源周波数100Hz〜10KHzのパルス電源を用いて微細孔に電気めっきを行うことにより柱状のバンプが得られることを開示している。
しかしながらこれらの方法では、基板1枚当たりのめっき時間が増加し(繰り返される通電時間と通電停止時間とが略同じため)、単位時間当たりの基板処理枚数が減少してしまう。また通電停止時間が微小であるためめっき膜中に除電効果が現れにくく、異常析出を抑える効果は余りない。
また特許文献3では、その段落番号「0026」に、金属めっきサイクルの最初の10分間内において0〜5分間のインターバルで電流を中断しその後追加的に金属めっきサイクルの10〜20分間毎に0〜5分間のインターバルで電流を中断することを含むとの記載がある。そしてこの電流中断によりめっき膜の均一電着性を増加させ、ノジュールが低減すると開示している。ノジュールの低減については、その段落番号「0025」に基体上に不完全な抑制剤層が存在する場合に出現し、中断は不完全な抑制剤層を補填するものと思われるとの記載がある。抑制剤としてはその段落番号「0043」にポリヒドロキシ化合物等が記載されている。これらはイオンではないので電解の影響を受けるものではない。恐らく電流中断により下地近傍の金属イオンの集中が無くなり抑制剤が拡散作用によりめっき開口部へ供給が進むと考えるが、電流の中断だけでは効果が低いと考える。
特開2000−100850号公報
特開平10−223689号公報
特開2005−320631号公報
本発明は上述の点に鑑みてなされたものでありその目的は、めっき膜に生じる異常析出を、単位時間当たりの基板処理枚数に影響を極端に及ぼさない範囲で、効果的に防止・抑制することができるめっき方法及びめっき装置を提供することにある。
上記課題を解決するため本願発明者は、電気めっきの際の電気供給の方法として、めっき液の攪拌を行いながら、電流の連続供給と無供給とを交互に組み合わせることに着目した。電流の連続供給の合間に無供給の時間を挟むことによって析出するめっき膜中の電荷解除による応力緩和が図られ、まためっき液攪拌により被めっき面近傍の核成長物質又は不良抑制剤を除去する。さらに本願発明者は、1回の電気の連続供給によって形成されるめっき膜厚を1〜20μmとし、その後の電気の無供給を1秒〜2分間とすることが好ましいことを見出した。
膜内部応力緩和の原理を説明すると、金属イオンがカソードから電子を受けて金属原子になる際に内部エネルギーが増加する。前記金属原子は高エネルギー状態から安定した低エネルギー状態に変化する為に熱発散や歪解消を伴う。しかし析出反応が連続して起こると金属原子のエネルギー解消時間が無く膜内部応力が徐々に増加していく。そこで電解めっき途中で電流オフを設けることで析出反応によって生じた膜内部応力(金属原子の合計内部エネルギー)が解消される。異常析出発生の原因は膜内部応力が局所的に垂直方向に開放されることである。つまり内部応力解消方向を垂直ではなく水平方向へ、又は内部応力が小さい状態で徐々に開放することが対策となる。
即ち、本願請求項1に記載の発明は、金属イオンを含んだめっき液に被めっき部材とアノードとを浸漬し、被めっき部材とアノード間に電流を流すことで被めっき部材の被めっき面に金属めっきを行うめっき方法において、被めっき面近傍部分のめっき液を攪拌しながら、被めっき部材とアノード間への電流供給の合間に電流供給を停止する期間を設けることを特徴とするめっき方法にある。なおめっき液の攪拌には、パドルによる攪拌や液循環による攪拌等がある。
本願請求項2に記載の発明は、金属イオンを含んだめっき液に被めっき部材とアノードとを浸漬し、被めっき部材とアノード間に電流を流すことで被めっき部材の被めっき面に金属めっきを行うめっき方法において、被めっき面近傍部分のめっき液を攪拌しながら、被めっき部材とアノード間への電流供給をそのめっき膜厚が1〜20μmとなるまで連続して行なった後に1秒〜2分間停止する工程を、複数回繰り返し行うことを特徴とするめっき方法にある。
本願請求項3に記載の発明は、電流供給を停止している間に、被めっき部材をめっき液より取り出して被めっき面を大気にさらすことを特徴とする請求項1又は2に記載のめっき方法にある。
本願請求項4に記載の発明は、金属イオンを含んだめっき液を満たしためっき槽と、前記めっき液に浸漬される被めっき部材及びアノードと、被めっき部材の被めっき面近傍部分のめっき液を攪拌するめっき液攪拌手段と、被めっき部材とアノード間に電流を流す電流供給装置とを具備し、電流供給装置によって被めっき部材とアノード間に電流を流して被めっき部材の被めっき面に金属めっきを行うめっき装置において、前記電流供給装置は、被めっき部材とアノード間への電流供給の合間に電流供給を停止させる電流供給条件設定手段を有することを特徴とするめっき装置にある。
本願請求項1〜4に記載の発明によれば、電気めっき中のめっき膜表面に発生する異常析出が防止・抑制され、めっき不良のないめっき膜を作成でき、めっき装置の信頼性が向上する。
以下、本発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明の一実施形態を適用しためっき装置20を示す概略構成図である。同図に示すめっき装置20は、金属イオンを含んだめっき液Qを満たしためっき槽(以下「内槽」という)1と、めっき液Qに浸漬される被めっき部材(以下「半導体ウェーハ」という)3及びアノード5と、半導体ウェーハ3を保持するウェーハ治具7と、前記半導体ウェーハ3の被めっき面3a近傍部分のめっき液Qを攪拌するめっき液攪拌手段(以下「パドル」という)9と、半導体ウェーハ3とアノード5間に電流を流す電流供給装置11と、前記内槽1を収納する外槽13と、ポンプ15及びフィルタ17を接続して外槽13内のめっき液Qを内槽1に循環させる配管19とを具備して構成されている。以下各構成部品について説明する。
図1は本発明の一実施形態を適用しためっき装置20を示す概略構成図である。同図に示すめっき装置20は、金属イオンを含んだめっき液Qを満たしためっき槽(以下「内槽」という)1と、めっき液Qに浸漬される被めっき部材(以下「半導体ウェーハ」という)3及びアノード5と、半導体ウェーハ3を保持するウェーハ治具7と、前記半導体ウェーハ3の被めっき面3a近傍部分のめっき液Qを攪拌するめっき液攪拌手段(以下「パドル」という)9と、半導体ウェーハ3とアノード5間に電流を流す電流供給装置11と、前記内槽1を収納する外槽13と、ポンプ15及びフィルタ17を接続して外槽13内のめっき液Qを内槽1に循環させる配管19とを具備して構成されている。以下各構成部品について説明する。
アノード5は金属アノードであり、めっき液Qに溶解している金属イオンと同じ溶解性金属(例えば錫(Sn))か、或いは不溶解性金属で構成されている。不溶解性金属としては、例えば白金、チタンなどを用いる。パドル9は略棒状であり、半導体ウェーハ3の被めっき面3aの直前に被めっき面3aに平行で上下方向を向いて設置されており、モータ等によって構成されるパドル駆動機構21によって、被めっき面3aと一定の距離を保って左右に移動(この実施形態では平行移動)するように構成されている。
電流供給装置11は導線によって半導体ウェーハ3とアノード5間に電気的に接続され、これによってめっき液Qを通して半導体ウェーハ3とアノード5間に電流を通電するようにしている。また電流供給装置11は、供給する電流値及び電流供給時間を、複数の組み合わせでプログラムできる電流供給条件設定手段を具備している。例えばこの実施形態では、電流供給条件設定手段によって、供給する電流値を6.0(A)としてこの電流供給を8分間継続する工程(ステップ1)と、供給していた電流を10秒間停止する工程(ステップ2)とを1セットとして、このステップ1,2を50セット行うことでめっき処理が完了するように設定している。電流供給条件設定手段は、演算手段や記憶手段などを有する。
また本発明のめっき装置20に供する半導体ウェーハ3は特に大きさに制限はなく、直径が200mm、300mm等の径によらない。半導体ウェーハ3にはパターンが形成されていても良く、その場合パターンは、ウェーハ表面にバリア層、シード層を形成した後、フォトレジストをパターンに応じて開口したものである。シード層は主には金、銀、銅、アルミニウム等の金属で、スパッタ、CVD、ALD等で作成される。また必要に応じてパターン開口後、Ni等のめっきがさらになされる。開口の径はさまざまであるが、一般的には直径が10μm〜500μm程度であり、下記するように攪拌が、構成要素の一つであり径が大きいものに関しては攪拌の効果がより大きく得られる。
次にめっき装置20によるめっき方法を説明する。即ち電流供給装置11によって半導体ウェーハ3とアノード5間に電流を流して半導体ウェーハ3の被めっき面3aに金属めっきを行う。このときパドル駆動機構21によってパドル9を駆動し、半導体ウェーハ3の被めっき面3aの直前のめっき液Qを攪拌し、被めっき面3aに新鮮なめっき液Qを供給する。またポンプ15を駆動することによって外槽13内のめっき液Qを内槽1に供給し、内槽1からオーバーフローしためっき液Qを再び外槽13に戻して循環する。
電流供給装置11は、上記設定した条件に従い、図2のタイムチャートに示すように、電流6.0(A)による電流供給を8分間(=t1)継続して行い、次に供給していた電流を10秒間(=t2)停止し、これを1セットとして、このセットを50セット行う。
ここでSnめっきの場合、t1は3分〜8分の間で、めっき膜厚が5μm〜15μmになる。従って例えば100μmめっきする場合は、めっき膜厚が15μmとなる通電時間の電流供給と10秒間の電流供給停止とを7セット行う。但し最後の7セット目は電流供給時間をめっき膜厚が10μmとなるまでの通電時間とする。Snめっき液は酸性浴とアルカリ性浴がある。酸には硫酸、ホウ酸、スルホン酸などがあり、アルカリにはナトリウム、カリ浴がある。溶液中の錫はベースとなる酸に酸化錫を溶かしたものである。酸化防止剤としてフェノールスルフォン酸などが含まれる。
連続して電流供給したときに1度に形成される好ましいめっき膜厚は、1μm〜20μmであり、好ましくは1μm〜15μmであり、さらに好ましくは1μm〜5μmである。即ち1度に形成されるめっき膜厚は、薄いほどめっき膜中に発生する膜内部応力が低い傾向にあり、従って異常析出も抑えられる。また半導体ウェーハ3の被めっき面3aの最表面金属とめっき金属との化合物生成量は、初期膜厚が薄いほど少なくなりめっき金属に対する応力も少なくなる。
一方好ましい電流供給停止期間は、1秒〜2分、さらに好ましくは1秒〜10秒、さらに好ましくは5秒〜10秒である。電流供給停止期間は、1秒以下になるとめっき膜中の電荷が除去できずに膜内部応力緩和の効果が見られない。また電流供給停止期間が長すぎると、例えばバンプめっきの場合、3分以上では、めっき液Q中に放置中にバンプ開口部の特異的な部位に添加剤であるめっき促進剤が吸着され異常析出が大きくなってしまう。また電流供給停止期間が長いと、当然めっき時間が長くなり、めっき装置20の単位時間当たりの半導体ウェーハ処理枚数が減少してしまい、好ましくない。
なお電流供給停止中にもパドル9の駆動を継続して行うことで、被めっき面3a近傍のめっき液Qの攪拌を行う。これによってバンプ開口部において、添加剤成分である抑制剤の枯渇、またはめっき促進剤の特異的な吸着が抑えられる。
ところで前述のように1回のめっきで形成されるめっき膜厚を薄くするほど、めっき膜中に発生する膜内部応力が低くなるのは以下の理由による。即ちめっき液Q中にて電流供給を停止すると、めっき膜表面に極薄の酸化膜が生成する。電流供給停止時の酸化膜形成の仕組みとして考えられるのは、酸性めっき液Q中にて金属が溶出(イオン化)し、その際にめっき液Q中のO2と結合してめっき膜表面に酸化膜が形成されることである。そしてめっき膜中の応力が前記酸化膜により防御され、前記応力がその上部に積層されるめっき膜へ伝達されなくなるからである。これによって前述のようにめっき膜表面に異常析出が生じなくなる。さらに前述のように、最下層のめっき膜の膜厚が薄いほど、半導体ウェーハ3の被めっき面3aの最表面金属(下地)とめっき膜との化合物生成量が少なくなりこの点からも膜内部応力が少なくなる。
めっき膜表面に積極的に酸化膜を形成する方法には以下のような方法がある。
その方法の1つは、めっき中に半導体ウェーハ3をめっき液Qより取り出して被めっき面3aを大気にさらす工程を設ける方法である。大気引き上げ時の電流はめっき膜の電流密度の増加を防ぐため、オフにする。即ち電流供給停止中に半導体ウェーハ3をめっき液Qより取り出せばよい。
その方法の1つは、めっき中に半導体ウェーハ3をめっき液Qより取り出して被めっき面3aを大気にさらす工程を設ける方法である。大気引き上げ時の電流はめっき膜の電流密度の増加を防ぐため、オフにする。即ち電流供給停止中に半導体ウェーハ3をめっき液Qより取り出せばよい。
また別の方法として、アノード5を不溶解性にし、酸素過電圧が低いものを使用する方法がある。例えば酸化ルテニウム、酸化イリジウム等である。これによりめっき液Q中の酸素濃度が増え、めっき液Q中でめっき膜が酸化雰囲気にさらされ、より酸化し易い状況になる。
また別の方法として、めっき液Q中に酸素を積極的に供給する方法がある。この方法によってもめっき膜の酸化が促進され、効果的である。この方法の中の1つとして、本発明で用いられているめっき液Qの攪拌がある。この攪拌は大気とめっき液Qの接触を促し、大気中の酸素をめっき液Q中に積極的に取り込む効果がある。即ち攪拌は、めっき膜の表面に常に新鮮なめっき液Qを供給する作用と、めっき膜の表面に溶存酸素を供給してめっき膜を酸化させる作用とを有する。またこの方法の内の別の1つとして、空気又は酸素のバブリング等もある。バブリングなどによってもめっき液Qの攪拌作用とめっき膜表面への酸素供給作用とが生じる。
図3,図4はそれぞれ電流供給装置11によって供給される他の電流のタイムチャートを示す図であり、何れの場合も多段階矩形波(階段状に電流密度を変化させる矩形波)を示している。即ち電流供給装置11の電流供給条件設定手段によって、供給する電流を、階段状に増加させる多段階矩形波としている。これらの電流波形を用いることにより、下記するようにバンプめっきのマッシュルーム形状にも対応が可能である。図3の場合は多段階矩形波の電流値が異なる毎に電流供給停止期間t3を設けている。図4の場合は多段階矩形波の電流値が異なる毎、及び同一電流値の中に、それぞれ電流供給停止期間t5,t4を設けている。電流供給停止期間t5,t4は同一時間でも異なる時間でも良い。
これらの実施形態の場合も、1回の矩形波によって、めっき膜厚が5μm〜15μmになるようにする。なお、1度に形成される好ましいめっき膜厚は上記実施形態と同様に、1μm〜20μm、好ましくは1μm〜15μm、さらに好ましくは1μm〜5μmである。一方好ましい電流供給停止期間t3,t4,t5も上記実施形態と同様に、1秒〜2分、さらに好ましくは1秒〜30秒、さらに好ましくは1秒〜10秒、さらに好ましくは5秒〜10秒である。なお以上説明した事項以外の事項については、前記実施形態と同じである。
そして例えば図3,図4に示す多段階矩形波を用いて、バンプめっきのマッシュルーム形状を形成する一例を説明する。図5は半導体ウェーハ100の表面に形成したレジスト層101に設けた開口103の内部及びその上部に、バンプめっきによってめっき膜109I,109II,109III,109IV,109Vを形成していく状態を示した要部概略断面図である。なお図中、105はバリア層、107はシード層である。そして図3,図4に示す最初の一段目の電流値Iによって、図5に示すめっき膜109Iを形成し、開口103の内部をめっき金属で埋める。次に図3,図4に示す二段目の電流値IIによって、図5に示すめっき膜109IIを形成する。同様にして3,4,5段目の電流値III,IV,Vによって、図5に示すめっき膜109III,IV,Vを形成し、これによってマッシュルーム形状を形成する。図3,図4に示す実施形態において電流値を段階的に増加させる多段階矩形波としたのは、図5に示すようなマッシュルーム形状のバンプめっきにおいては上層のめっき膜ほどそのめっき面積が増加していくので、電流密度を一定に保つために電流値をめっき面積の増加に合せて増加させたからである。特に例えばめっき膜109Iとめっき膜109IIの間ではめっきの成長方向が変わるので、膜内部応力が増加する恐れがあり、膜内部応力を抑えるためにめっき膜109Iとめっき膜109IIの間で電流停止期間を設けることは膜内部応力の伝達減少に効果的である。また図4に示す実施形態のように同一の電流値の中で電流停止期間t4を設けると、一回の連続電解によるめっき膜厚が薄いほど異常析出が減少するので、さらに効果的に異常析出を防止できる。
以上本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお直接明細書及び図面に記載がない何れの形状や構造や材質であっても、本願発明の作用・効果を奏する以上、本願発明の技術的思想の範囲内である。例えば上記実施形態では、めっき液Qの攪拌方法としてパドル9を用いたが、その他にも、めっき液Qの噴射(パドルに噴射口を設けて噴射することも含む)による攪拌方法でも良いし、めっき液Qや内槽(めっき槽)1や半導体ウェーハ3に超音波振動やその他の方法による振動を与えることによる攪拌方法でも良い。また上記実施形態では本発明をバンプめっきに用いた例を説明したが、本発明は、半導体ウェーハの配線用埋め込みめっき等の他のめっきにも適用できる。また上記実施形態ではめっきする金属としてSnを用いたが、例えばSn合金、銅、銅合金、ニッケル、金、銀、白金等、他の各種金属を用いてもよい。
図6は、被めっき部材に供給する電流条件を各種変更してめっきした際の異常析出の状態を測定した実験結果を示す図である。この実験においては、上記図1に示すめっき装置20を用い、被めっき部材3として200(cm2)の銅板の表面に錫(Sn)層を単層で形成したものを用い、試料1〜6について、それぞれに供給する電流の条件を変え、最終的なめっきの合計膜厚(μm)と、異常析出(ひげの個数)とを測定した。異常析出とするひげの長さは3mm以上のものとした。なお供給する電流条件以外は全て同一の条件であり、攪拌も行っている。
図6に示すように、電流停止時間を設けなかった試料1,2については、ひげの数、即ち異常析出が多かった。試料3〜5は、何れも膜厚(逐次膜厚)15μm毎に電流停止時間(1秒〜10秒)を設けており、何れの場合もひげの数が効果的に抑制された。特に電流停止時間を5秒〜10秒とした場合は効果的であり、異常析出は全く見られなかった。試料6は、膜厚50μm毎に電流停止時間を設けており、この場合もひげの数が効果的に抑制されたが、電流停止時間が長いため、試料5と同等の合計膜厚を得るのに長時間を要した。
図7は、被めっき部材3に供給する電流条件を試料3と類似した、合計膜厚645μm、逐次膜厚15μm、電流停止時間1秒にして、被めっき部材3の下方から上方に向けてめっき液Qを流してオーバーフローさせながらめっきを行った場合の被めっき部材3表面での異常析出の状態を示す図である。即ちこの実験においても、上記図1に示すめっき装置20を用い、被めっき部材3として200(cm2)の銅板の表面に錫(Sn)層を単層で形成したものを用い、異常析出の状態を調べた。図7の被めっき部材3の表面に示す黒点が異常析出であるひげを示す。また同図に示す矢印がめっき液の流れ(槽内循環)を示す。
図7において、内槽1の下側はめっき液Qの流れが強く、内槽1の上側に近づくにつれその流れは弱くなる。そして被めっき部材3のめっき液Qの流れの強く当たるところ(下部)では異常析出が少なく、めっき液Qの流れの弱く当たるところ(上部)では異常析出が多く出た。このことからめっき液攪拌が強いところは異常析出が少なくなると言える。従ってこの実験からも分かるように、液の循環による攪拌によってめっき液Qを攪拌することでも異常析出が効果的に防止されることが分かる。
20 めっき装置
1 内槽(めっき槽)
Q めっき液
3 半導体ウェーハ(被めっき部材)
3a 被めっき面
5 アノード
7 ウェーハ治具
9 パドル(めっき液攪拌手段)
11 電流供給装置
13 外槽
15 ポンプ
17 フィルタ
19 配管
1 内槽(めっき槽)
Q めっき液
3 半導体ウェーハ(被めっき部材)
3a 被めっき面
5 アノード
7 ウェーハ治具
9 パドル(めっき液攪拌手段)
11 電流供給装置
13 外槽
15 ポンプ
17 フィルタ
19 配管
Claims (4)
- 金属イオンを含んだめっき液に被めっき部材とアノードとを浸漬し、被めっき部材とアノード間に電流を流すことで被めっき部材の被めっき面に金属めっきを行うめっき方法において、
被めっき面近傍部分のめっき液を攪拌しながら、
被めっき部材とアノード間への電流供給の合間に電流供給を停止する期間を設けることを特徴とするめっき方法。 - 金属イオンを含んだめっき液に被めっき部材とアノードとを浸漬し、被めっき部材とアノード間に電流を流すことで被めっき部材の被めっき面に金属めっきを行うめっき方法において、
被めっき面近傍部分のめっき液を攪拌しながら、
被めっき部材とアノード間への電流供給をそのめっき膜厚が1〜20μmとなるまで連続して行なった後に1秒〜2分間停止する工程を、複数回繰り返し行うことを特徴とするめっき方法。 - 電流供給を停止している間に、被めっき部材をめっき液より取り出して被めっき面を大気にさらすことを特徴とする請求項1又は2に記載のめっき方法。
- 金属イオンを含んだめっき液を満たしためっき槽と、
前記めっき液に浸漬される被めっき部材及びアノードと、
被めっき部材の被めっき面近傍部分のめっき液を攪拌するめっき液攪拌手段と、
被めっき部材とアノード間に電流を流す電流供給装置とを具備し、
電流供給装置によって被めっき部材とアノード間に電流を流して被めっき部材の被めっき面に金属めっきを行うめっき装置において、
前記電流供給装置は、被めっき部材とアノード間への電流供給の合間に電流供給を停止させる電流供給条件設定手段を有することを特徴とするめっき装置。
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