JP2007297650A - ホウ化法 - Google Patents

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Abstract

【課題】比較的簡単な方法により短時間で,かつ,硬度深さの調節が容易な方法により,金属製品の表面にボロン(B)を浸透拡散させるホウ化法を提供する。
【解決手段】処理対象とする金属製品の表面にホウ素成分を含む噴射粉体,例えば炭化ホウ素(B4C)を噴射速度80m/sec以上,又は噴射圧力0.2MPa以上で噴射して金属製品の表面に衝突させる。衝突した噴射粉体の速度は,この衝突の前後で変化し,このエネルギーによって炭化ホウ素(B4C)が金属製品表面で加熱されるため、炭化ホウ素(B4C)の構成成分であるホウ素(B)が金属製品表面に活性化吸着されて拡散浸透し,FeB,Fe2B,Co2B,TiB2等のホウ化物層が金属製品の表面に形成される。
【選択図】なし

Description

本発明は、ホウ化法,すなわち,機械部品や各種工具等として構成された金属製品の耐摩耗性,耐衝撃性,耐食性等の向上を目的とし,その表面にホウ素(B)を侵入拡散させてホウ化層を生成する方法に関する。
金属,特に鉄鋼の機械的特性の改善,焼き入れ性の改善を目的として,合金成分としてホウ素(B)を添加したボロン鋼や,表面にホウ素を拡散浸透してホウ化層を形成するホウ化処理が,従来,各種の分野において行われている。
1.ボロン鋼
このうち,ボロン鋼は,合金成分としてホウ素(B)を添加した合金であり,熱処理特性等の改善を目的として鋼にホウ素(B)が添加されている。
このように,ボロン鋼に添加されるホウ素(B)は,熱処理特性を改善する目的で添加される他の合金元素(例えば炭素C)の添加量1〜2%程度に比較して,0.001%(10ppm)という比較的微量の添加で焼入性を飛躍的に向上させる効果を持つ。
このように微量のホウ素(B)添加により焼入れ性が向上する理由は,ホウ素原子の大きさにある。すなわち,ホウ素原子の半径は,鉄原子の0.7倍程度で,炭素(C)のように鉄原子の結晶の隙間に入る「侵入型」を成すには大きすぎ,また鉄原子と置き換わる「置換型」となるには小さすぎ,そのため,ホウ素(B)は結晶の乱れた結晶粒界に集まる傾向が強く,冷却中にフェライトが発生する場所を占領することから,ごく微量の添加でフェライトの生成を遅らせる効果があり,結果として焼き入れ性が向上する。
また,歯車等の疲労強度,衝撃強度,面疲労強度等を向上させる目的で,ボロン鋼に浸炭処理を施した,ボロン肌焼き鋼等も使用されており,高強度鋼(高Mo,Moフリー,Ni入り),クロム鋼,クロム−モリブデン鋼等に比較して,高い衝撃強度が得られている。
2.ホウ化処理
ホウ素(B)を材料中に添加して合金とするのではなく,金属製品の表面にホウ素(B)を拡散・浸透させ,表面にホウ化物層を形成する,『ホウ化』も行われている。このようなホウ化によって金属製品の表面にホウ素(B)が拡散浸透して出来たホウ化層は,Hv1400〜2000という非常に高い硬さを持ち,かつ,耐食性,耐酸性に優れ,このホウ化層の形成により被処理製品の耐摩耗性,耐食性,耐酸性等の向上を図ることができる。
このような「ホウ化」を行う方法としては,ガス,液体,固体によるものがあり,ガスホウ化法は,処理対象とする金属成品を水素+ジボラン,水素+三塩化ボロン等のガス中で1023〜1223K(750〜950℃)に加熱することにより前述のホウ化層を形成するものであり,固体ホウ化法では,ボロン+炭化ボロン,又はフェロボロン+アルミナ+塩化アンモニウムの混合粉体中に処理対象とする金属成品を置き,1270K(1000℃)程度に加熱することにより前述のホウ化層を形成するものである。処理時間はいずれも10.8〜18ks(3〜5時間)で,硬化層の深さは0.05〜0.3mmである。
最も一般的なホウ化法は,液体ホウ化法であり,この液体ホウ化法には溶融ホウ化法と,電解ホウ化法の二種類がある。
溶融ホウ化法は,例えばNa247,B23,NaBF4,NaCl,NaF,BaCl2などの混合溶融塩中で973〜1273K(700〜1000℃)に加熱する方法であり,電解ホウ化法では,同様の溶融塩中で被処理材をカソードとして電解し,カソード還元によって生じたホウ素を鋼中に侵入させる。この方法はホウ化速度が大きく,また電解条件や温度の調節によりホウ化の早さを自由に制御できるという利点がある(非特許文献1参照)。
この発明の先行技術文献情報としては、次のものがある。
社団法人日本金属学会発行「講座・現代の金属学 材料編9 金属表面物性工学」第235〜236頁
以上説明した上記従来技術において,ボロン鋼やボロン肌焼鋼では,焼入れ性は向上するものの,内部まで硬度が入りやすく,内部靱性が問題となり用途が制約される等の問題がある。
しかも,硬度深さの調整が困難であり,所望の特性を得ることが難しく,この点からも用途等に制約があるものとなっている。
一方,前述したホウ化処理にあっては,ガスホウ化法,固体ホウ化法,液体ホウ化法のいずれの方法による場合であっても,処理時間などを調整することにより内部まで硬度が入らないように硬度深さの調整を行うことが可能であり,前述したように,特に電解ホウ化法では,電解条件や速度の調節により電解早さの調節が自由であるという利点を有する。
しかし,前述したようにホウ化方法では,ガスホウ化,固体ホウ化,液体ホウ化のいずれによりホウ化を行う場合であっても,600〜1050℃の範囲での高温処理が必要であり,このような高温処理に対する安全対策等が必要であると共に比較的大掛かりな処理装置等が必要である。特に,処理対象が大型になると処理装置自体も大型化する必要があり,コスト高である。また,処理時間も1〜6時間と比較的長い。
そこで,本発明は,上記従来技術における欠点を解消するためになされたものであり,処理対象とする金属製品の表面にボロンを拡散浸透するホウ化方法において,比較的簡単な方法により短時間で,かつ,硬度深さの調節が容易な方法により,金属製品の表面にボロン(B)を浸透拡散するホウ化法を提供することを目的とし,これにより,処理対象の耐摩耗性,耐衝撃性,耐食性,耐酸性等の諸特性を向上させることができ,かつ,焼入性を飛躍的に向上させることを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明のホウ化法は,処理対象とする金属製品の表面にホウ素成分を含む噴射粉体を噴射速度80m/sec以上,又は噴射圧力0.2MPa以上で噴射して,前記金属製品の表面に噴射粉体中のホウ素成分を拡散浸透させてホウ化層を形成することを特徴とする(請求項1)。
前記噴射粉体としては,例えばB4C,FeB,Fe2B,MoB2,MoB,UB2等の融点が2500℃以下で,かつ,熱伝導度(cal/cm・s℃)が0.1以下であるホウ化物系硬質材料を使用することが好ましい(請求項2)。
より好ましくは,前述のホウ化法において,前記噴射粉体として炭化ホウ素(B4C)を使用することができる(請求項3)。
また,前述の噴射粉体の粒径は,10〜210μm,好ましくは20〜105μmのものを使用する(請求項4)。
さらに,処理対象とする前記金属製品は,鉄又は鉄基合金の他,ニッケル(Ni),コバルト(Co),チタン(Ti),バナジウム(V),クロム(Cr),タングステン(W)等の純金属,及びこれらの合金等,ホウ素(B)との結合によりホウ化物層を形成可能な金属製品全般を対象とすることができるが,好ましくは鉄又は鉄基合金を処理対象とする(請求項5)。
以上に説明した本発明の構成により、本発明のホウ化法によれば,ホウ素(B)成分を含む噴射粉体を所定の噴射速度,又は噴射圧力によって噴射するという比較的簡単な方法により,短時間で,ホウ素(B)を金属製品の表面に拡散浸透させることができ,これにより金属製品の表面部分にFeB,Fe2B等のホウ化層を形成することができた。
特に,前記噴射粉体の噴射は,既存のブラスト加工装置によって行うことができることから,ホウ化処理を行うための特殊,かつ大掛かりな装置類が不要であると共に,処理対象とする金属製品のサイズ変化等に対しても柔軟に対処することができる。
噴射粉体として,炭化ホウ素(B4C)を使用する場合,このような炭化ホウ素(B4C)は従来,固体ホウ化に使用されていたものであり比較的入手が容易である。
また,噴射粉体として炭化ホウ素(B4C)を使用することで,噴射粉体中の炭素(C)成分が同様に処理対象とした金属製品の表面に拡散浸透して,ホウ化のみならず該金属製品に浸炭を施すこともでき,従来技術で説明したボロン肌焼き鋼と同様に処理対象とした金属製品の表面硬度を飛躍的に向上させることができた。
従って,本発明のホウ化法を,例えば機械部品等の金属製品のホウ化処理に用いることで,このような部品の耐衝撃性,耐摩耗性等を向上させることができ,これにより該部品等の小型軽量化を図ることができ,また,寿命の延長を行うことができた。
次に、本発明の実施形態につき以下説明する。
本発明のホウ化方法は,処理対象とする金属製品の表面にホウ素(B)を含む粉体を噴射速度80m/sec以上,又は噴射圧力0.2MPa以上で噴射して,衝突エネルギーによって前記製品の表面に,噴射粉体中のホウ素(B)成分を拡散浸透させてFeB,Fe2B等のホウ化層を形成するもので,従来技術として説明した前述のガスホウ化,液体ホウ化,固体ホウ化のいずれの方法とも異なる新規なホウ化法である。
〔処理対象〕
本発明でホウ化処理の対象とする金属製品は,従来技術として説明したホウ化法の処理対象と同様の金属材料を対象とすることができ,鉄,又は鉄基合金一般を処理対象とすることができる他,ニッケル(Ni),コバルト(Co),チタン(Ti),バナジウム(V),クロム(Cr),タングステン(W)等の純金属,及びこれらの合金等,ホウ素(B)との結合によりホウ化物層を形成可能な金属製品全般を対象とすることができる。
〔噴射粉体〕
処理対象である前記金属製品に噴射する噴射粉体は,その成分中にホウ素(B)を含むものが使用され,好ましくは融点が2500℃以下,熱伝導度(cal/cm・s℃)が0.1以下のホウ化物系硬質材料を使用する。
このような条件を満たす物質の一例として,B4C,FeB,Fe2B,MoB2,MoB,UB2を使用可能である。
なお,ホウ化物系の硬質物質を使用する理由は,ホウ素を含む物質であっても,ホウ素,ホウ酸,ホウ酸ナトリウム等の軟質物質では,これを噴射して処理対象である金属製品の表面に衝突させても破砕して衝撃を吸収してしまい,成分中のホウ素を金属製品の表面に拡散浸透させることが難しく,また,ホウ化物系の硬質物質であっても,融点が高くなるに従い拡散浸透が生じにくくなり,融点が2500℃を越えるTiB2(融点2980℃),ZrB2(融点3040℃),HfB2(融点3060℃),TaB2(融点3000℃)では,ホウ素成分を金属製品の表面に拡散浸透させることが難しくなること,さらに,BN(結晶構造:立方)のように,熱伝導度(cal/cm・s℃)が0.1を越えるホウ化物質系の硬質材料では,処理対象である金属製品との衝突時に局部的な発熱が生じ難くなり,拡散浸透させることが難しくなることによる。
前述した噴射粉体のうち,より好ましくは炭化ホウ素(B4C)を使用する。このように,炭化ホウ素(B4C)を使用することで,噴射粉体中のホウ素(B)成分が処理対象とした金属製品の表面に拡散浸透してホウ化層を形成するのみならず,噴射俯瞰対中の炭素(C)成分を処理対象である金属製品の表面に拡散浸透させることが可能となる。
使用する噴射粉体は,粒径10〜210μm,好ましくは20〜105μmであり,形状は特に限定されず,球状又は多角形状,その他の各種の形状のものを使用することができる。
〔加工条件等〕
以上説明した噴射粉体は,噴射速度80m/sec以上又は噴射圧力0.2MPa以上で噴射され,処理対象である金属製品の表面に衝突される。
上記の噴射速度,又は噴射圧力により噴射粉体の噴射を行うものであれば,使用する加工装置(噴射装置)は特に限定されないが,噴射粉体の噴射は,既知のブラスト加工装置によって容易に行うことができ,圧縮ガスを使用した乾式で前記噴射粉体を噴射することで,後述するように噴射粉体中のホウ素(B)成分を金属製品の表面に拡散浸透させることができる。
噴射粉体の噴射に使用する前述の圧縮ガスについては,特に限定されず,各種の気体を使用した噴射が可能であるが,本実施形態にあってはエアコンプレッサ等を使用して得た圧縮空気によって,前述の噴射粉体を噴射した。
〔作用等〕
以上のようにして,ホウ素成分を含む噴射粉体〔本実施形態にあっては炭化ホウ素(B4C)の粉体〕を噴射速度80m/sec以上又は噴射圧力0.2MPa以上で噴射し、処理対象とする金属製品の表面に衝突させると、噴射粉体の速度はこの衝突の前後で変化する。
エネルギー不変の法則を考慮すると、衝突時に金属製品表面への衝突部が変形することによる内部摩擦により熱エネルギーが生じて、この熱エネルギーにより噴射粉体,本実施形態にあっては炭化ホウ素(B4C)が金属製品表面で加熱されるため、炭化ホウ素(B4C)の構成成分であるホウ素(B)が金属製品表面に活性化吸着されて拡散浸透する。
これにより,処理対象である金属製品を構成する金属とホウ素(B)との結合によって,処理対象とする金属製品の材質に従いFeB,Fe2B,Co2B,TiB2等のホウ化物層が金属製品の表面に形成される。
このように,本発明の方法によれば,炭化ホウ素(B4C)の噴射により金属製品の表面にはホウ素(B)の拡散浸透が生じていること,及び,既知のホウ化方法においてホウ素(B)を金属製品の表面に拡散浸透させるためには600〜1050℃程度の温度に加熱する必要があることを考慮するに,噴射粉体の衝突により金属製品表面及び噴射粉体は,瞬間的にこのようなホウ素(B)の拡散浸透が生じる600〜1050℃に近い温度に達しているものと思われる。
この600〜1050℃という温度は,浸炭処理を行う際の加熱温度とも略一致する温度であることから,噴射粉体として炭化ホウ素(B4C)を使用する場合には,この噴射粉体中の炭素(C)成分についても同様に金属製品の表面に活性化吸着されているものと考えられ,従って,前述したホウ化のみならず浸炭処理についても同時に行われているものと考えられる。
このようにして,ホウ化処理が完了した金属製品は,その後,この処理後の金属製品に対して浸炭処理や熱処理を行うとホウ素(B)がさらに内部に拡散されて,表層から内部に向かうに従いホウ素(B)量が徐々に減少する傾斜構造となり、ホウ化層と金属製品との密着性が強固となり、耐摩耗性や強度がより一層向上する。
次に、本発明のホウ化法により得た試料につき,その表面硬度等を測定した結果を以下に説明する。
1.実施例及び比較例
(1)実施例1
重力式ブラスト装置を使用して,SPCC〔冷間圧延鋼板(一般用)〕の表面に,本願の方法により炭化ホウ素(B4C)を噴射した。
処理対象としたSPCCは,長さ50mm,幅50mm,厚さ1mmの矩形状であり,処理前の硬度はHv180(3g)である。実施例1の処理条件を表1に示す。
Figure 2007297650
(2)実施例2
重力式ブラスト装置を使用して,焼きならししたS45C〔機械構造用炭素鋼鋼材〕の表面に,本願の方法により炭化ホウ素(B4C)を噴射した。
使用したS45Cは,直径35mm,長さ100mmの円柱状であり,処理前の硬度はHv200(300g)である。実施例2の処理条件を表2に示す。
Figure 2007297650
(3)実施例3
重力式ブラスト装置を使用して,SPHE〔冷間圧延軟鋼板(深絞り用)〕の表面に,本願の方法により炭化ホウ素(B4C)を噴射した。
使用したSPHEは,幅50mm,長さ50mm,厚さ0.6mmの板材であり,処理前の硬度はHv180(3g)である。実施例3の処理条件を表3に示す。
Figure 2007297650
(4)実施例4及び比較例
重力式ブラスト装置を使用して,SCM420〔クロムモリブデン鋼〕(生材)の表面に,本願の方法により炭化ホウ素(B4C)を噴射してホウ化処理を行い,その後,浸炭,焼き入れ,焼き戻しを行った。
使用したSCM420は,直径50mm,高さ20mmの円柱状であり,処理前の硬度はHv560(300g)である。実施例4の処理条件を表4に示す。
Figure 2007297650
2.試験結果
上記実施例1〜4に記載の方法でホウ化処理を行った試料を,未処理品及び比較例と比較した結果を以下に示す。
(1)実施例1
前述した処理条件に従い表面処理を行った実施例1,及び,未処理のSPCC鋼板(サイズについては,実施例1と同じ)をそれぞれ試料とし,両者共に表面をペーパーラップした後,表面硬度の測定を行った。その結果を表5に示す。
Figure 2007297650
表5に示すように,本比較試験に使用したSPCC鋼板は,その表面硬度が未処理の状態ではHv180(3g)であったものが,本発明の方法によるホウ化処理を施すことによりHv400(3g)に向上していることが確認された。
(2)実施例2
前述した処理条件に従い表面処理を行った実施例2,及び,未処理のS45C鋼材(サイズについては,実施例2と同じ)をそれぞれ試料とし,両者共に焼き入れ(850℃水冷),焼きもどし(570℃急冷)による調質後,表面硬度の測定を行った。その結果を表6に示す。
Figure 2007297650
表6に示すように,本比較試験に使用したS45C鋼材は,その表面硬度が未処理の状態ではHv250(300g)であったものが,本発明の方法によるホウ化処理を施すことによりHv480(300g)に向上していることが確認された。
(3)実施例3
前述した処理条件に従い表面処理を行った実施例3,及び,未処理のSPHE鋼板(サイズについては,実施例3と同じ)をそれぞれ試料とし,両者共に表面をぺーパーラップした後,表面硬度の測定を行った。その結果を表7に示す。
Figure 2007297650
表7に示すように,本比較試験に使用したSPHE鋼板は,その表面硬度が未処理の状態ではHv180(3g)であったものが,本発明の方法によるホウ化処理を施すことによりHv360(3g)に向上したことが確認された。
(4)実施例4
前述した処理条件に従い表面処理を行った実施例4,及び,未処理のSCM420(サイズについては,実施例4と同じ),及び比較例の試料について硬度を測定した結果を表8に,これらの試料の内部残留圧縮応力を測定した結果を表9にそれぞれ示す。
なお,測定に使用した各試料は,それぞれ,
実施例4;本願の方法によるホウ化処理後,浸炭焼入・焼戻しを行い,さらに表面加工熱処理法を施したもの,
未処理品;SCM420(生材)に,浸炭焼入・焼戻しを施したもの,
比較例;上記未処理品に,さらに表面加工熱処理法を施したものである。
ここで,実施例4及び比較例に対する「表面加工熱処理法」として,ノズル直径5mmの直圧式ブラスト装置により,粒径50μmのスチールショットを噴射圧力0.5MPaで噴射する処理を行った。
また,前述の「浸炭焼入・焼戻し」は,焼入を870℃で油冷により,焼戻しを180℃で空冷によりそれぞれ行った。
Figure 2007297650
Figure 2007297650
表8に示すように,本比較試験に使用したSCM420は,その表面硬度が未処理の状態ではHv560(300g)であったものが,本発明の方法によるホウ化処理を施すことによりHv1200(300g)に向上していることが確認された。
また,前述の未処理品に対して,表面加工熱処理法を施した比較例の試料と比較した場合であっても,その表面硬度がHv1000から,Hv1200に向上していることが確認され,炭化ホウ素(B4C)の噴射によるホウ化処理が,表面硬度の上昇に寄与していることが確認された。
さらに,表9に示した表面内部残留圧縮応力の測定結果から,実施例4の試料では,未処理品に対してのみならず,比較例の試料と比較した場合であっても高い表面内部残留圧縮応力を示すものであることが確認された。
このように,本発明の方法によりホウ化処理された金属製品にあっては,内部残留応力の上昇についても得られることが確認された。
(5)考察
以上の実験結果から明らかなように,本発明の方法により炭化ホウ素(B4C)の噴射を行った金属製品(処理対象)にあっては,いずれも未処理品に対してそれぞれHvで220(実施例),230(実施例2),180(実施例3),640(実施例4)の硬度上昇が確認され,表面硬度が飛躍的に向上していることが確認された。このことから,本願の方法により処理された金属製品には,その表面に硬度の高いホウ化層が形成されていることが確認できる。
特に,他の実施例に比較して未処理品との硬度差が顕著に大きい実施例4の試料では,未処理品及び実施例4共に,焼入れ(浸炭焼入れ)後の硬度比較を行ったものであることから,本願の方法により炭化ホウ素(B4C)の噴射を行った金属製品では,焼入れ性が向上し,これにより,焼入れを行うことなく比較した実施例1〜3の場合に比較して,硬度差がより顕著に現れたものと思われる。
さらに,実施例4から明らかなように,本発明の方法により炭化ホウ素(B4C)の噴射が行われた金属製品にあっては,内部残留応力の上昇も見られることから,これによる長寿明化等の効果についても得られるものと思われる。

Claims (5)

  1. 処理対象とする金属製品の表面にホウ素成分を含む噴射粉体を噴射速度80m/sec以上,又は噴射圧力0.2MPa以上で噴射して,前記金属製品の表面に噴射粉体中のホウ素成分を拡散浸透させてホウ化層を形成することを特徴とするホウ化法。
  2. 前記噴射粉体として,融点が2500℃以下で,かつ,熱伝導度(cal/cm・s℃)が0.1以下のホウ化物系硬質材料を使用することを特徴とする請求項1記載のホウ化法。
  3. 前記噴射粉体が炭化ホウ素であることを特徴とする請求項1又は2記載のホウ化法。
  4. 前記噴射粉体の粒径が10〜210μmであることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項記載のホウ化法。
  5. 前記金属製品が鉄又は鉄基合金であることを特徴とする請求項1〜4いずれか1項記載のホウ化法。
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