JP2007297541A - 多糖誘導体及びそれを用いた光学異性体分離用充填剤 - Google Patents
多糖誘導体及びそれを用いた光学異性体分離用充填剤 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2007297541A JP2007297541A JP2006127824A JP2006127824A JP2007297541A JP 2007297541 A JP2007297541 A JP 2007297541A JP 2006127824 A JP2006127824 A JP 2006127824A JP 2006127824 A JP2006127824 A JP 2006127824A JP 2007297541 A JP2007297541 A JP 2007297541A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- group
- polysaccharide derivative
- cellulose
- polysaccharide
- substituent
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
- GINKZMZGJWSJJG-UHFFFAOYSA-N CC(c(cc1)cnc1-c1ncccc1)=O Chemical compound CC(c(cc1)cnc1-c1ncccc1)=O GINKZMZGJWSJJG-UHFFFAOYSA-N 0.000 description 1
- 0 CCC(*)C(C(CO)O[C@@](C1O*)(OC(C)(C)CC)I)C1O* Chemical compound CCC(*)C(C(CO)O[C@@](C1O*)(OC(C)(C)CC)I)C1O* 0.000 description 1
Landscapes
- Polysaccharides And Polysaccharide Derivatives (AREA)
- Solid-Sorbent Or Filter-Aiding Compositions (AREA)
Abstract
【解決手段】多糖に、ビピリジル基などの金属原子に配位可能なヘテロ原子を複数含む置換基を導入して多糖誘導体を得る。
【選択図】なし
Description
しかし、これらの分離剤であらゆる光学異性体を分離できるわけではなく、また、分離対象化合物によっては分離が充分とは言えず、分離能について改良の余地があった。
このようなことから、従来研究され、製品化されてきた分離剤とは異なった化学構造をもち、これにより既存の分離剤とは異なる分離特性を有する、あるいはより高度な光学異性体識別能力を有する分離剤の開発が試みられている。例えば、特許文献3においては、多糖のエステル誘導体において、置換基が窒素を有するヘテロ芳香族化合物である例が開示されている。
しかし、ヘテロ原子を複数有する化合物を置換基として有する多糖誘導体や、その多糖誘導体上の複数のヘテロ原子に金属原子を配位させた多糖誘導体については一切検討されていない。
(1)金属原子に配位可能なヘテロ原子を複数含む置換基が導入された多糖誘導体。
(2)前記置換基が、金属原子に配位可能なヘテロ原子を複数含む芳香族置換基である、(1)の多糖誘導体。
(3)前記置換基が、ビピリジル基を含む置換基である、(1)または(2)の多糖誘導体。
(4)前記置換基が、エステル結合、ウレタン結合またはエーテル結合により導入された、(1)〜(3)のいずれかの多糖誘導体。
(5)前記ヘテロ原子に金属原子が配位した、(1)〜(4)のいずれかの多糖誘導体。(6)金属原子が周期表で2族から14族のものである、(5)の多糖誘導体。
(7)金属原子が銅、コバルト、鉄、ニッケル、亜鉛、またはルテニウムである(6)の多糖誘導体。
(8)(1)〜(7)のいずれかの多糖誘導体からなる光学異性体分離用充填剤。
ヘテロ原子を複数含む鎖状の置換基としては、アミノ基や水酸基などのヘテロ置換基を複数有する脂肪族炭化水素基などが挙げられ、具体的には、ジアミノアルキル基などが挙げられる。
ヘテロ原子を複数含む環状の置換基としては、非共有電子対を有するヘテロ原子を2以上含む複素環、例えば、イミダゾール基、ピラゾール基、イソチアゾール基、イソオキサゾール基などが挙げられる。
また、ヘテロ原子を複数含む環状の置換基としては、アミノ基や水酸基などのヘテロ置換基を有する複素環、例えば、アミノ基や水酸基などで環上の水素原子が置換された、ピロール、フラン、チオフェン、ピリジン、ピペリジンなどが挙げられる。
ヘテロ原子を含む環が複数つながった置換基としては、ピロール、フラン、チオフェン、ピリジン、ピペリジンなどの複素環が2つ以上つながった置換基が挙げられる。この中では、芳香族複素環が2つ以上つながった置換基が好ましく、ピリジンが2つ以上つながった置換基がより好ましく、ピリジンが2つつながった置換基(ビピリジル基)が特に好ましい。
なお、多糖の全ての水酸基が上記置換基で置換されていてもよいが、多糖の水酸基のうち、特定の位置の水酸基のみに上記置換基が導入されていてもよいし、多糖分子内の一部の水酸基のみに上記置換基が導入されていてもよい。また、多糖がアミノ基を有する多糖であるときは、水酸基とアミノ基の両方に上記置換基が導入されていてもよいし、水酸基のみに上記置換基が導入されていてもよい。
金属原子に配位可能なヘテロ原子を複数含む置換基以外の置換基としては、導入可能なものであれば特にその種類は限定されないが、好ましくは、下記の式(1)、式(2)、式(3)および式(4)のいずれかで示される置換基を挙げることができる。
R-NH-CO- … (1)、 R-X-NH-CO- … (2)、 R-CO- … (3)、 R-X-CO- … (4)
式(1)〜(4)中、Rはヘテロ原子を含んでもよい芳香族炭化水素基であり、無置換であっても、または炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のアルキルチオ基、シアノ基、ハロゲン原子、炭素数1〜8のアシル基、炭素数1〜8のアルコキシカルボニル基、ニトロ基、アミノ基および炭素数1〜8のアルキルアミノ基よりなる群から選択される少なくとも一種の置換基を有していても良い。これらの中でより好ましいRとしては、アルキル基またはハロゲンで置換されていてもよい、フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、アントラシル基、インデニル基、フリル基、チオニル基、ピリル基、ベンゾフリル基、ベンズチオニル基、インジル基、ピリジル基、ピリミジル基、キノリル基、イシキノリル基などを挙げることができる。これらの中でもさらに好ましいのは、アルキル基またはハロゲンで置換されていてもよい、フェニル基、ナフチル基、ピリジル基などであり、特に好ましいのはハロゲン化フェニル基およびアルキルフェニル基である。
式(1)〜(4)中、Xは炭素数1〜4の炭化水素基であり、二重結合または三重結合を含んでいても良い。Xとしては、メチレン基、メチルメチレン基、エチレン基、エチリデン基、エテニレン基、エチニレン基、1,2−または1,3−プロピレン基、1,1−
または2,2−プロピリジン基等を挙げることができる。
なお、本発明の多糖誘導体においては、金属原子に配位可能なヘテロ原子を複数含む置換基が導入された水酸基(及びアミノ基)以外の水酸基(及びアミノ基)に、全て上記式(1)〜(4)の置換基が導入されていてもよいし、無置換の水酸基(及びアミノ基)があってもよい。
例示すればβ−1,4−グルカン(セルロース)、α−1,4−グルカン(アミロース、アミロペクチン)、α−1,6−グルカン(デキストラン)、β−1,6−グルカン(ブスツラン)、β−1,3−グルカン(例えばカードラン、シゾフィラン等)、α−1,3−グルカン、β−1,2−グルカン(Crown Gall多糖)、β−1,4−ガラクタン、β−1,4−マンナン、α−1,6−マンナン、β−1,2−フラクタン(イヌリン)、β−2,6−フラクタン(レバン)、β−1,4−キシラン、β−1,3−キシラン、β−1,4−キトサン、α−1,4−N−アセチルキトサン(キチン)、プルラン、アガロース、アルギン酸等であり、アミロースを含有する澱粉も含まれる。
これらの中では、高純度の多糖を容易に入手できるセルロース、アミロース、β−1,4−キシラン、β−1,4−キトサン、キチン、β−1,4−マンナン、イヌリン、カードラン等が好ましく、特にセルロース、アミロースが好ましい。
多糖の数平均重合度(1分子中に含まれるピラノースあるいはフラノース環の平均数)は5以上、好ましくは10以上であり、特に上限はないが、1000以下であることが取り扱いの容易さの点で望ましい。
R-N=C=O … (5)、 R-X-N=C=O … (6)、 R-CO-Cl … (7)、 R-X-CO-Cl … (8)ただし、式中、R およびXは前記と同様の意味を示す。
なお、本発明の多糖誘導体が、金属原子に配位可能なヘテロ原子を複数含む置換基と、式(1)〜(4)の置換基をともに有するものである場合、これらの置換基の導入は、どちらを先に行ってもよい。
学結合、多糖誘導体への光照射、ラジカル反応等の方法を適用することができる(例えば、特開平6−93002公報参照)。
特に好ましい担体はシリカゲルであり、シリカゲルの粒径は1μm〜1mm、好ましくは1μm〜300μm、更に好ましくは1μm〜100μmである。
また、担体は、多糖誘導体との親和性を良くしたり、担体自身の表面の特性を改質するための処理を施したものを用いても良い。表面処理の方法としては有機シラン化合物によるシラン化処理やプラズマ重合による表面処理方法がある。
担体上への多糖誘導体の担持量は、光学異性体用分離剤100質量部に対して、1〜100質量部が好ましく、更に5〜60質量部が好ましく、特に10〜40質量部が好ましい。
1.合成
1-1.ビピリジル酸クロライドの合成
1-1-1.bromomethyl pyridyl ketone の合成 (H. N. Wingfield Jr, J. Org. Chem., 24, 872-873 (1981))
ピリジニウムブロミドぺルブロミド(25.0 g, 78 mmol)を60〜70℃に加熱しながら氷酢酸(300 mL)に溶解させ、2-アセチルピリジン(9.0 g, 74 mmol)と氷酢酸(32%臭化水素酸を含む)(30 mL)を加え6時間反応させた。反応終了後放冷し、ジエチルエーテル(600 mL)を加え、結晶熟成のため0 ℃で一晩寝かせた。析出した結晶をろ過し、ジエチルエーテルおよびアセトンで洗浄を行い、bromomethyl pyridyl ketone(21.1 g, yield>99%)を得た。
)
窒素雰囲気下、1-1-1で合成したbromomethyl pyridyl ketone(21.2 g, 106 mmol)、脱水テトラヒドロフラン(THF)(350 mL)を加え撹拌した。その後、脱水ピリジン(10.0 g, 127 mmol)を加え室温で6時間反応させた。反応終了後、ろ過しTHFで洗浄することでN-(2-pyridylcarbonylmethyl)pyridinium bromide(29.1 g, yield:99%)を得た。
1-1-2で合成したN-(2-pyridylcarbonylmethyl)pyridinium bromide(23.3 g, 84 mmol)、NH4OAc(14.2 g, 184 mmol)、ホルムアミド(100 mL)を窒素下で加え撹拌した。そこにメタクロレイン(8.3 mL, 101 mmol)を加え、60〜70 ℃で6時間反応させた後、ジエチルエーテル及び水で洗浄し有機相を抽出した。得られた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、エバポレーターでジエチルエーテルをとばし、5-methyl-2,2’-bipyridine(8.1 g, yield:46%)を得た。
1-1-3で合成した5-methyl-2,2’-bipyridine(8.1 g, 47.6 mmol)にH2O(60 mL)を加え70℃で撹拌し、KMnO4(32 g)を加えた。70 ℃で3時間、90 ℃で12時間反応を行った。その後、Celiteを用いて熱ろ過し、得られたろ液にHCl水溶液を徐々に加えていき、白色の沈殿物を生成させた。一晩0 ℃で沈殿物を熟成させた後、凍結乾燥して5-carboxy-2,2’-bipyridine (7.0 g, yield:73%)を得た。
1-1-4で合成した 5-carboxy-2,2’-bipyridine (1.1 g, 5.6 mmol)に窒素雰囲気下で塩化チオニル(100 mL)を加えていった。滴下終了後80 ℃で6時間反応させた。反応終了後、真空乾燥させ、 5-chlorocarbonyl-2,2’-bipyridineを得た。
[合成例1]
1-2-1.2,3,6位にビピリジル基を有するセルロース誘導体cellulose 2,3,6-tris(2,2’-bipyridine-5-carboxylate) [c-236(bpy-e)]の合成
セルロース(0.4 g, 2.5 mmol)に窒素雰囲気下でN,N-ジメチルアセトアミド(DMA)(12 mL)を加え85 ℃、24時間撹拌した。その後、室温まで放冷し、リチウムクロライド(0.62 g)加え、室温で12時間撹拌し均一なセルロース溶液を得た。そこに1-1-5で合成した5-chlorocarbonyl-2,2’-bipyridine (2.5 g, 11.4 mmol)およびピリジン(30 mL)を加え、80 ℃で24時間反応させた。反応の進行をIRスペクトルで確認後、過剰のメタノールに滴下回収し、真空乾燥することでc-236(bpy-e)(1.48 g, yield:79%)を得た。
1-2-2.6位だけにビピリジル基を有するセルロース誘導体cellulose 2,3-bis(3,5-dimethylphenylcarbamate)-6-(2,2’-bipyridine-5-carboxylate) [c-23(35dp-c)-6(bpy-e)]の合成
1-2-2-1.6-O-trityl celluloseの合成
セルロース(3.0 g, 18.6 mmol)に窒素雰囲気下でN,N-ジメチルアセトアミド(DMA)(14
0 mL)を加え85 ℃、24時間撹拌した。その後、室温まで放冷し、リチウムクロライド(8.0
g)加え、室温で12時間撹拌し均一なセルロース溶液を得た。そこにトリフェニルクロロメタン(7.6 g, 27.8 mmol)およびピリジン(90 mL)を加え、90 ℃で24時間反応させた。反応の進行をIRスペクトルで確認後、過剰のメタノールに滴下して回収し、真空乾燥することで6-O-trityl cellulose(5.8 g, yield:70%)を得た。
1-2-2-1で合成した6-O-trityl celluloseに窒素雰囲気下でピリジン(30 mL)を加えてセルロース誘導体を溶かした後、3,5-ジメチルフェニルイソシアナート(2.6 g)を加え85 ℃で30時間反応させた。反応の進行をIRスペクトルで確認後、過剰のメタノールに滴下して回収し、真空乾燥することで2,3-bis(3,5-dimethylphenylcarbamoyl)-6-O-trityl celluloseを得た。
1-2-2-2で合成した2,3-bis(3,5-dimethylphenylcarbamoyl)-6-O-trityl celluloseを1% HCl/MeOH(300 mL)に加え、室温で36時間反応させた。反応終了後、メタノールで十分に洗浄し、真空乾燥することでcellulose 2,3-bis(3,5-dimethylphenylcarbamate)を得た。
1-2-2-3で合成したcellulose 2,3-bis(3,5-dimethylphenylcarbamate) (1.00 g, 2.19 mmol)に窒素雰囲気下でピリジン(25 mL)を加えてセルロース誘導体を溶かした後、1-1-5で合成した5-chlorocarbonyl-2,2’-bipyridine (1.03 g, 4.71 mmol)を加え85 ℃で30時間反応させた。反応の進行をIRスペクトルで確認後、過剰のメタノールに滴下して回収し、真空乾燥することでc-23(35dp-c)-6(bpy-e)を得た。
1-2-3.6位だけにビピリジル基を有するセルロース誘導体cellulose 2,3-dibenzoate-6-(2,2’-bipyridine-5-carboxylate) [c-23(bz-e)-6(bpy-e)]の合成
1-2-3-1.2,3-dibenzoyloxy-6-O-trityl celluloseの合成
1-2-2-1で合成した6-O-trityl cellulose(1.6 g, 4.0 mmol)に窒素雰囲気下でピリジン(30 mL)を加えてセルロース誘導体を溶かした後、 ベンゾイルクロライド(1.6 g, 11
mmol)を加え85 ℃で30時間反応させた。反応の進行をIRスペクトルで確認後、過剰のメタノールに滴下して回収し、真空乾燥することで2,3-dibenzoyloxy-6-O-trityl cellulose(2.1 g, yield:88%)を得た。
1-2-3-1で合成した2,3-dibenzoyloxy-6-O-trityl celluloseを1% HCl/MeOH(300 mL)に加え、室温で36時間反応させた。反応終了後、メタノールで十分に洗浄し、真空乾燥することでcellulose 2,3-dibenzoate (1.1 g, yield:96%)を得た。
1-2-3-2で合成したcellulose 2,3-dibenzoate (1.1 g, 3.0 mmol)に窒素雰囲気下でピリジン(25 mL)を加えてセルロース誘導体を溶かした後、1-1-5で合成した5-chlorocarbonyl-2,2’-bipyridine (1.2 g, 5.5 mmol)/DMA(25 mL)溶液を加え85 ℃で30時間反応させた。反応の進行をIRスペクトルで確認後、過剰のメタノールに滴下して回収し、真空乾燥することでc-23(bz-e)-6(bpy-e)(1.3 g, yield:78%)を得た。
1-2-4.2,3位だけにビピリジル基を有するセルロース誘導体cellulose 2,3-bis(2,2’-bipyridine-5-carboxylate)-6-(3,5-dimethylphenylcarbamate) [c-23(bpy-e)-6(35dp-c)]の合成
1-2-4-1.2,3-bis(2,2’-bipyridine-5-carbonyloxy)-6-O-trityl celluloseの合成
1-2-2-1で合成した6-O-trityl cellulose(1.5 g, 3.7 mmol)に窒素雰囲気下でピリジン(30 mL)を加えてセルロース誘導体を溶かした後、 1-1-5で合成した5-chlorocarbonyl-2,2’-bipyridine (2.9 g, 13 mmol)/DMA(25 mL)溶液を加え85 ℃で72時間反応させた。反応の進行をIRスペクトルで確認後、過剰のメタノールに滴下して回収し、真空乾燥することで2,3-bis(2,2’-bipyridine-5-carbonyloxy)-6-O-trityl cellulose (2.3 g,
yield:76%)を得た。
1-2-4-1で合成された2,3-bis(2,2’-bipyridine-5-carbonyloxy)-6-O-trityl cell
uloseを2% HCl/MeOH(300 mL)に加え、50 ℃で24時間反応させた。反応終了後、炭酸水素ナトリウムを加え溶液を中性にすることで析出させ、水/メタノールで十分に洗浄し、真空乾燥することでcellulose 2,3-bis(2,2’-bipyridine-5-carboxylate)(0.5 g, yield:39%)を得た。
1-2-4-2で合成したcellulose 2,3-bis(2,2’-bipyridine-5-carboxylate)(1.0 g)に窒素雰囲気下でピリジン(20 mL)を加えてセルロース誘導体を溶かした後、3,5-ジメチルフェニルイソシアナート(1 mL)を加え85 ℃で30時間反応させた。反応の進行をIRスペクトルで確認後、過剰のメタノールに滴下して回収し、真空乾燥することでc-23(bpy-e)-6(35dp-c)を得た。
1-2-5.2,3位だけにビピリジル基を有するセルロース誘導体cellulose 2,3-bis(2,2’-bipyridine-5-carboxylate)-6-benzoate [c-23(bpy-e)-6(bz-e)]の合成
1-2-4-2で合成したcellulose 2,3-bis(2,2’-bipyridine-5-carboxylate)(0.5 g)に窒素雰囲気下でピリジン(20 mL)を加えてセルロース誘導体を溶かした後、ベンゾイルクロライド (3.9 g, excess)を加え80 ℃で18時間反応させた。反応の進行をIRスペクトルで確認後、過剰のメタノールに滴下して回収し、真空乾燥することでc-23(bpy-e)-6(bz-e)(0.49 g, yield:84%)を得た。
1-3.ピリジルカルバメート基を有するセルロース誘導体cellulose 2,3,6-tris(3-pyridylcarbamate) [c-236(3py-c)]の合成
1-3-1.3-pyridylisocyanateの合成 (B. P. Bandgar and S. S. Pandit, Tetrahedron
Lett., 43, 3413-3414 (2002))
塩化シアヌル(5.5 g, 30 mmol)にクロロホルム(162 mL)を加え溶解させ、N-メチルモルホリン(9 g, 89 mmol)を加えて30分間-5〜5 ℃で反応させると不溶物質が生じた。温度を-5〜5 ℃に保ったまま、ニコチン酸(10 g, 81.2 mmol)クロロホルム(56 mL)懸濁液をキャニュラーによって徐々に加え、0 ℃で2時間反応させた。その後、キャニュラーろ過をしてろ液のみを回収し、アジ化ナトリウム(5.8 g, 89 mmol)を加え、室温で一晩反応させた。得られた溶液をNaHCO3で3回、H2Oで数回洗浄し、有機相を抽出してNa2SO4で3時間乾燥させた後、エバポレーターで濃縮し、3-pyridylazide(4.6 g, yield:39%)を得た。その固体をピリジンに溶解させ、80 ℃まで温度を上げると窒素が発生し転移が起こった。転移反応を3時間行い、IRスペクトルでイソシアナートの生成を確認し、反応を終了して黒色の溶液、3-pyridylisocyanate/ピリジンを得た。
セルロース(0.4 g, 2.5 mmol)に窒素雰囲気下でN,N-ジメチルアセトアミド(DMA)(20 mL)を加え85 ℃、24時間撹拌した。その後、室温まで放冷し、リチウムクロライド(1.4 g)加え、室温で12時間撹拌し均一なセルロース溶液を得た。そこに1-3-1で合成した3-pyridylisocyanate/ピリジンを加え、80 ℃で24時間反応させた。反応の進行をIRスペクトルで確認後、過剰のメタノールに滴下回収し、真空乾燥することでc-236(3py-c)(1.1 g, yield:85%)を得た。
2-1.担持・充填
合成例1〜6で得られたセルロース誘導体をそれぞれ以下の表1に記載の溶媒に溶解させ、表面処理したシリカゲルに担持を行い物理吸着させた。その後、ヘキサン/2-プロパノール=90/10でステンレススチールのカラムにスラリー法で充填した。充填したカラム(表1に示したサイズのもの)をそれぞれ用いた。
2-1でセルロース誘導体を担持させたシリカゲルを充填したカラムに、10 mM CuSO4 水溶液を流速0.2 mL/minで72時間流すことで銅イオンを配位させた。ポリマーが青色を帯びた時点で完全に配位したとした。
合成例1〜5のセルロース誘導体を担持させたシリカゲルを充填したカラムを、そのまま、又は金属を配位させて、表2〜4に示す10種類のラセミ体の光学分割に用いた(実施例1〜5:表2,3)。また、合成例6のセルロース誘導体を担持させたシリカゲルを充填したカラムを、そのまま、又は金属を配位させて、10種類のラセミ体の光学分割に用いた(比較例:表4)。
これらのセルロース誘導体カラムをHPLCにつなげ、溶離液ヘキサン/2-プロパノール=90/10を流速0.5 mL/minおよび0.1 mL/minで流し、10種類のラセミ体を用いて光学分割能を評価した。なお、理論段数Nはベンゼンのチャートから、溶離液がカラム内を素通りする時間t0は1,3,5-トリ-tert-ブチルベンゼン求めた。
表中の値は容量比k1’と分離係数αで、かっこの中の符号は先に溶出したエナンチオマーの旋光性である。なお、容量比k1’、分離係数αは下式で定義される。以下の実施例及び比較例においても同じ式を用いて容量比及び分離係数を算出した。
Claims (8)
- 金属原子に配位可能なヘテロ原子を複数含む置換基が導入された多糖誘導体。
- 前記置換基が、金属原子に配位可能なヘテロ原子を複数含む芳香族置換基である、請求項1記載の多糖誘導体。
- 前記置換基が、ビピリジル基を含む置換基である、請求項1または2に記載の多糖誘導体。
- 前記置換基が、エステル結合、ウレタン結合またはエーテル結合により導入された、請求項1〜3のいずれか一項に記載の多糖誘導体。
- 前記ヘテロ原子に金属原子が配位した、請求項1〜4記載のいずれか一項に記載の多糖誘導体。
- 前記金属原子が周期表で2族から14族のものである、請求項5記載の多糖誘導体。
- 金属原子が銅、コバルト、鉄、ニッケル、亜鉛、またはルテニウムである請求項6記載の多糖誘導体。
- 請求項1〜7のいずれか一項に記載の多糖誘導体からなる光学異性体分離用充填剤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006127824A JP5051814B2 (ja) | 2006-05-01 | 2006-05-01 | 多糖誘導体及びそれを用いた光学異性体分離用充填剤 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006127824A JP5051814B2 (ja) | 2006-05-01 | 2006-05-01 | 多糖誘導体及びそれを用いた光学異性体分離用充填剤 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2007297541A true JP2007297541A (ja) | 2007-11-15 |
JP5051814B2 JP5051814B2 (ja) | 2012-10-17 |
Family
ID=38767308
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2006127824A Expired - Fee Related JP5051814B2 (ja) | 2006-05-01 | 2006-05-01 | 多糖誘導体及びそれを用いた光学異性体分離用充填剤 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5051814B2 (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2012005245A1 (ja) * | 2010-07-09 | 2012-01-12 | 株式会社ダイセル | 多糖誘導体及びその製造方法並びに分離剤 |
WO2015182445A1 (ja) * | 2014-05-26 | 2015-12-03 | コニカミノルタ株式会社 | 糖類誘導体の製造方法、変性糖類誘導体及び変性糖類誘導体組成物 |
WO2017175752A1 (ja) * | 2016-04-08 | 2017-10-12 | 株式会社ダイセル | セルロースエステルとその成形体 |
Citations (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS60142930A (ja) * | 1983-12-28 | 1985-07-29 | Daicel Chem Ind Ltd | 分離剤 |
JPS60217202A (ja) * | 1984-04-11 | 1985-10-30 | Daicel Chem Ind Ltd | 多糖類誘導体 |
JPS60223801A (ja) * | 1984-04-20 | 1985-11-08 | Daicel Chem Ind Ltd | セルロース誘導体 |
JPS62135450A (ja) * | 1985-07-31 | 1987-06-18 | Teijin Ltd | 光学活性なベ−タ遮断薬の製造方法 |
JPS63156538A (ja) * | 1986-07-04 | 1988-06-29 | Daicel Chem Ind Ltd | 分離剤 |
WO1992015616A1 (en) * | 1991-02-28 | 1992-09-17 | Daicel Chemical Industries, Ltd. | Novel polysaccharide drivative and separating agent |
-
2006
- 2006-05-01 JP JP2006127824A patent/JP5051814B2/ja not_active Expired - Fee Related
Patent Citations (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS60142930A (ja) * | 1983-12-28 | 1985-07-29 | Daicel Chem Ind Ltd | 分離剤 |
JPS60217202A (ja) * | 1984-04-11 | 1985-10-30 | Daicel Chem Ind Ltd | 多糖類誘導体 |
JPS60223801A (ja) * | 1984-04-20 | 1985-11-08 | Daicel Chem Ind Ltd | セルロース誘導体 |
JPS62135450A (ja) * | 1985-07-31 | 1987-06-18 | Teijin Ltd | 光学活性なベ−タ遮断薬の製造方法 |
JPS63156538A (ja) * | 1986-07-04 | 1988-06-29 | Daicel Chem Ind Ltd | 分離剤 |
WO1992015616A1 (en) * | 1991-02-28 | 1992-09-17 | Daicel Chemical Industries, Ltd. | Novel polysaccharide drivative and separating agent |
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2012005245A1 (ja) * | 2010-07-09 | 2012-01-12 | 株式会社ダイセル | 多糖誘導体及びその製造方法並びに分離剤 |
JP5896903B2 (ja) * | 2010-07-09 | 2016-03-30 | 株式会社ダイセル | 多糖誘導体及びその製造方法並びに分離剤 |
WO2015182445A1 (ja) * | 2014-05-26 | 2015-12-03 | コニカミノルタ株式会社 | 糖類誘導体の製造方法、変性糖類誘導体及び変性糖類誘導体組成物 |
WO2017175752A1 (ja) * | 2016-04-08 | 2017-10-12 | 株式会社ダイセル | セルロースエステルとその成形体 |
US10927190B2 (en) | 2016-04-08 | 2021-02-23 | Daicel Corporation | Cellulose ester and molded article thereof |
US11643476B2 (en) | 2016-04-08 | 2023-05-09 | Daicel Corporation | Cellulose ester and molded article thereof |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP5051814B2 (ja) | 2012-10-17 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP3190206B2 (ja) | 光学異性体用分離剤およびその製造法 | |
US20120165516A1 (en) | Filler for optical isomer separation | |
JP5106524B2 (ja) | 光学異性体分離用充填剤 | |
US9499638B2 (en) | Polysaccharide derivative and separating agent for optical isomer containing the same | |
US8053543B2 (en) | Filler for optical isomer separation | |
EP1721664A1 (en) | Separating agent for optical isomer | |
JP5051814B2 (ja) | 多糖誘導体及びそれを用いた光学異性体分離用充填剤 | |
US5679572A (en) | Separation of chiral compounds on polysaccharide supports | |
EP0527236A1 (en) | Polysaccharide derivative, production thereof, and separating agent | |
JP4294028B2 (ja) | 光学異性体用分離剤 | |
JP5896903B2 (ja) | 多糖誘導体及びその製造方法並びに分離剤 | |
JPWO2002070123A1 (ja) | 光学異性体用分離剤 | |
JP2751004B2 (ja) | 新規多糖誘導体,その製造法及びその用途 | |
JP2005315668A (ja) | 光学異性体用分離剤 | |
JPWO2002103349A1 (ja) | 光学異性体用分離剤 | |
JP2001163806A (ja) | 光学異性体分離剤 | |
JP4871861B2 (ja) | 光学異性体分離剤 | |
JP4293792B2 (ja) | 多環式構造を有する多糖誘導体よりなる分離剤 | |
JP3746315B2 (ja) | 分離剤 | |
JP4034123B2 (ja) | 光学異性体用分離剤 | |
JPH11255671A (ja) | 光学異性体のクロマト分離法 | |
JP2013164294A (ja) | 多糖誘導体及びそれを含有する光学異性体分離用充填剤 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20090403 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20120417 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20120608 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20120626 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20120720 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 5051814 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150803 Year of fee payment: 3 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821 Effective date: 20120720 |
|
S531 | Written request for registration of change of domicile |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |