JP2007297397A - ジオール類の製造法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ジオール類をより工業的に有利に製造する方法を提供すること。
【解決手段】一般式(2)
Figure 2007297397

(式中、R1、R2、R3およびR4はそれぞれ同一または相異なって、置換されていてもよいアルキル基等を表わす。また、R1とR2、R1とR3、R2とR4、およびR3とR4が一緒になって環構造の一部を形成してもよい。)等で示されるβ−ヒドロキシヒドロペルオキシド類を還元剤で還元処理することを特徴とする一般式(4)
Figure 2007297397

(式中、R1、R2、R3およびR4は上記と同一の意味を表わす。)で示されるジオール類の製造法。
【選択図】なし

Description

本発明は、各種化学製品およびその合成中間体等として重要なジオール類の製造法に関する。
ジオール類を製造する方法としては、例えばタングストリン酸の第四級アンモニウム塩触媒の存在下に、四置換オレフィン類と過酸化水素とを反応させる方法(非特許文献1)が知られているが、該触媒の製造が煩雑であり、必ずしも効率的な方法とは言えなかった。
Synthesis,295(1989)
このような状況のもと、本発明者は、ジオール類をより工業的に有利に製造する方法を開発すべく鋭意検討したところ、β−ヒドロキシヒドロペルオキシド類を還元処理することにより、ジオール類が得られることを見いだし、本発明に至った。
すなわち、本発明は、一般式(2)
Figure 2007297397
(式中、R1、R2、R3およびR4はそれぞれ同一または相異なって、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアリールオキシ基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいアラルキルオキシ基、置換されていてもよいアシル基、置換されていてもよいカルボアルコキシ基、置換されていてもよいカルボアリールオキシ基、置換されていてもよいカルボアラルキルオキシ基、カルボキシル基、ハロゲン原子を表わす。また、R1とR2、R1とR3、R2とR4、およびR3とR4が一緒になって環構造の一部を形成してもよい。)
で示されるβ−ヒドロキシヒドロペルオキシド類および/または一般式(3)
Figure 2007297397
(式中、R1、R2、R3およびR4は上記と同一の意味を表わす。)
で示されるβ−ヒドロキシヒドロペルオキシド類を還元剤で還元処理することを特徴とする一般式(4)
Figure 2007297397
(式中、R1、R2、R3およびR4は上記と同一の意味を表わす。)
で示されるジオール類の製造法を提供するものである。
本発明の方法によれば、β−ヒドロキシヒドロペルオキシド類から、ジオール類を容易に得ることができるため、工業的に有利である。
置換されていてもよいアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−デシル基、シクロプロピル基、2,2−ジメチルシクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メンチル基等の直鎖状、分枝鎖状または環状の炭素数1〜20のアルキル基およびこれらアルキル基が、後述するアルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、ハロゲン原子、アシル基、カルボアルコキシ基、カルボアリールオキシ基、カルボアラルキルオキシ基、カルボキシル基等で置換されていてもよく、かかる置換基で置換されたアルキル基としては、例えばクロロメチル基、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、メトキシエチル基、カルボメトキシメチル基、1−カルボエトキシ−2,2−ジメチル−3−シクロプロピル基等が挙げられる。
置換されていてもよいアルコキシ基としては、前記置換されていてもよいアルキル基と酸素原子とから構成されるものが挙げられ、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−デシルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、メンチルオキシ基等の直鎖状、分枝鎖状または環状の炭素数1〜20のアルコキシ基およびこれらアルコキシ基が、例えばハロゲン原子、アルコキシ基等の置換基で置換されたもの、例えばクロロメトキシ基、フルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、メトキシメトキシ基、エトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基等が挙げられる。
置換されていてもよいアリール基としては、例えばフェニル基、ナフチル基等およびこれらフェニル基、ナフチル基等を構成する芳香環が上記したアルキル基、アリール基、アルコキシ基、後述するアラルキル基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、ハロゲン原子等の置換基で置換された、例えば2−メチルフェニル基、4−クロロフェニル基、4−メチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、3−フェノキシフェニル基等が挙げられる。置換されていてもよいアリールオキシ基としては、前記置換されていてもよいアリール基と酸素原子とから構成されるものが挙げられ、例えばフェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、4−クロロフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、4−メトキシフェノキシ基、3−フェノキシフェノキシ基等が挙げられる。
置換されていてもよいアラルキル基としては、前記置換されていてもよいアリール基と上記したアルキル基とから構成されるものが挙げられ、例えばベンジル基、4−クロロベンジル基、4−メチルベンジル基、4−メトキシベンジル基、3−フェノキシベンジル基、2,3,5,6−テトラフルオロベンジル基、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル基、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシベンジル基、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル基等が挙げられる。また、置換されていてもよいアラルキルオキシ基としては、前記置換されていてもよいアラルキル基と酸素原子とから構成されるものが挙げられ、例えばベンジルオキシ基、4−クロロベンジルオキシ基、4−メチルベンジルオキシ基、4−メトキシベンジルオキシ基、3−フェノキシベンジルオキシ基、2,3,5,6−テトラフルオロベンジルオキシ基、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジルオキシ基、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシベンジルオキシ基、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジルオキシ基等が挙げられる。
ハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。
置換されていてもよいアシル基としては、カルボニル基と前記置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基および置換されていてもよいアラルキル基とから構成されるものが挙げられ、例えばカルボメチル基、カルボエチル基、カルボフェニル基、カルボベンジル基等が挙げられる。
置換されていてもよいカルボアルコキシ基、置換されていてもよいカルボアリールオキシ基および置換されていてもよいカルボアラルキルオキシ基としては、それぞれカルボニル基と前記置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアリールオキシ基および置換されていてもよいアラルキルオキシ基とから構成されるものが挙げられ、例えばカルボメトキシ基、カルボエトキシ基、カルボフェノキシ基、カルボベンジルオキシ基等が挙げられる。
かかる置換基が一緒になって環構造の一部を形成する場合の環構造としては、例えばシクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロペンテン環、シクロヘキセン環等が挙げられる。
一般式(2)で示されるβ−ヒドロキシヒドロペルオキシド類および/または一般式(3)で示されるβ-ヒドロキシヒドロペルオキシド類としては、例えば2,3−ジメチル−2−ヒドロペルオキシキシ−3-ヒドロキシブタン、1,2−ジメチル−1−ヒドロペルオキシ−2−ヒドロキシシクロペンタン、1,2−ジメチル−1−ヒドロペルオキシ−2−ヒドロキシシクロヘキサン、ビシクロ[4.4.0]−1−ヒドロペルオキシ−6−ヒドロキシデカン、1−ヒドロペルオキシ−1−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)−2,3−ジメチルシクロペンタン、1−ヒドロキシ−1−(1−ヒドロペルオキシ−1−メチルエチル)−2,3−ジメチルシクロペンタン、1−ヒドロペルオキシ−1−(1−ヒドロキシシクロヘキシル)シクロヘキサン、1−ヒドロペルオキシ−1−ヒドロキシ−1,1,2,2−テトラフェニルエタン、2−ヒドロペルオキシ−3−ヒドロキシ−2,3−ジメチル−4−メトキシインダン、2−ヒドロキシ−3−ヒドロペルオキシ−2,3−ジメチル−4−メトキシインダン、2,3−ジ(4−アセトキシフェニル)−2−ヒドロペルオキシ−3−ヒドロキシブタン、3,4−ジ(4−ヒドロキシフェニル)−3−ヒドロペルオキシ−4−ヒドロキシヘキサン等が挙げられる。
β−ヒドロキシヒドロペルオキシド類を還元処理することにより、ジオール類を得ることができる。一般式(2)で示されるβ−ヒドロキシヒドロペルオキシド類および/または一般式(3)で示されるβ−ヒドロキシヒドロペルオキシド類を還元処理すると、一般式(4)
Figure 2007297397
(式中、R1、R2、R3およびR4は上記と同一の意味を表わす。)で示されるジオール類が生成する。還元処理は、通常β−ヒドロキシヒドロペルオキシド類と還元剤を混合することにより実施され、還元剤としては、例えばチオ硫酸ナトリウム等の無機還元剤、例えばジメチルスルフィド、トリフェニルホスフィン等の有機還元剤等が挙げられる。かかる還元剤の使用量は、β−ヒドロキシヒドロペルオキシド類に対して、通常1モル倍以上であり、その上限は特にないが、実用性を考慮すると、β−ヒドロキシヒドロペルオキシド類に対して5モル倍以下である。
還元処理の温度は、通常10〜100℃の範囲である。本還元処理も、通常β−ヒドロキシヒドロペルオキシド類が溶解する溶媒の存在下に実施される。
ジオール類としては、例えばピナコール、1,2−ジメチル−1,2−ジヒドロキシシクロペンタン、1,2−ジメチル−1,2−ジヒドロキシシクロヘキサン、1,2−ジ(4−アセトキシフェニル)−1、2−ジヒドロキシブタン、ビシクロ[4.4.0]デカン−1,6−ジオール、1,1,2,2−テトラフェニルエチレングリコール、2,3−ジヒドロキシ−2,3−ジメチル−4−メトキシインダン、3,4−ジ(4−ヒドロキシフェニル)−3,4−ヘキサンジオール等が挙げられる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。なお、ガスクロマトグラフィ分析(以下、GC分析と略記する。)および高速液体クロマトグラフィ分析(以下、LC分析と略記する。)の各条件は、以下のとおりである。
<GC分析条件>
カラム:DB−1(φ0.25μm×30m、膜厚1.0μm)
キャリアガス:ヘリウム(流速:1m/分)
スプリット比:1/10、試料注入量:1μL
カラム温度:100℃(0分)→180℃(昇温速度:2℃/分、180℃での保持時間:0分)→300℃(昇温速度:10℃/分、300℃での保持時間:15分)
注入口温度:200℃、検出器温度:250℃
<LC分析条件>
カラム:SUMIPAX ODS A−212(5μm,φ6mm×15cm) 移動相:A液;0.1体積%トリフルオロ酢酸水溶液
B液;0.1体積%トリフルオロ酢酸/アセトニトリル溶液
A液/B液=90/10(体積比)から40分で直線的に、A液/B液=10/90(体積比)に組成変化させ、A液/B液=10/90(体積比)の組成比で、20分保持。
流量:1.0mL/分、試料注入量:10μL、検出波長:220nm
実施例1
磁気回転子および還流冷却管を備えた50mLフラスコに、モリブデン金属粉末20mgを仕込んだ後、30重量%過酸化水素水250mgを添加した。添加後、内温40℃で15分攪拌、保持し、黄色均一透明液を得た。該溶液を、内温25℃に冷却した後、60重量%過酸化水素水300mg、tert−ブタノール1.5gおよび無水硫酸マグネシウム530mgを加え、内温25℃で30分攪拌、保持した。この混合液に、2,3−ジメチル−2−ブテン185mgを加え、内温25℃で20時間攪拌、保持した。その後、水5gを加え、メチルtert−ブチルエーテル10gで2回抽出処理し、アセトンおよび2,3−ジメチル−2−ヒドロペルオキシ−3−ヒドロキシブタンを含む有機層を得た。該有機層に、10重量%チオ硫酸ナトリウム水溶液10gを加え、室温で4時間攪拌、保持した。反応液をLC分析したところ、2,3−ジメチル−2−ヒドロペルオキシ−3−ヒドロキシブタンのピークは消失しており、アセトンのピークが検出された。GC分析したところ、ピナコールの生成を確認した。GC分析(内部標準法)により、アセトンおよびピナコールの収率を求めたところ、アセトンの収率は、79%(用いた2,3−ジメチル−2−ブテンの2モル倍のアセトンが生成した場合を収率100%とした。)、ピナコールの収率は、6%であった。
実施例2
磁気回転子および還流冷却管を備えた100mLフラスコに、炭化タングステン200mgを仕込んだ後、30重量%過酸化水素水1250mgを10分で添加した。添加後、内温40℃で30分攪拌、保持し、黒色粉末が溶け残った溶液を得た。内温25℃に冷却した後、60重量%過酸化水素水1.5g、tert−ブタノール7.5gおよび無水硫酸マグネシウム2.7gを加え、内温25℃で30分攪拌した。この混合液に、2,3−ジメチル−2−ブテン925mgとtert−ブタノールとからなる混合液を加え、内温25℃で20時間攪拌、保持した。その後、水10gを加え、メチルtert−ブチルエーテル20gで2回抽出処理し、アセトンおよび2,3−ジメチル−2−ヒドロペルオキシ−3−ヒドロキシブタンを含む有機層を得た。該有機層に、10重量%チオ硫酸ナトリウム水溶液20gを加え、室温で4時間攪拌、保持した。反応液をLC分析したところ、2,3−ジメチル−2−ヒドロペルオキシ−3−ヒドロキシブタンのピークは消失しており、アセトンのピークが検出された。また、GC分析したところ、ピナコールの生成を確認した。GC分析(内部標準法)によりアセトンおよびピナコールの収率を求めたところ、アセトンの収率は、54%(用いた2,3−ジメチル−2−ブテンの2モル倍のアセトンが生成した場合を収率100%とした。)、ピナコールの収率は、21%であった。
実施例3
実施例1において、モリブデン金属粉末20mgに代えて、タングステン金属粉末40mgを用い、反応時間を20時間から2時間に代えた以外は実施例1と同様に実施した。アセトンの収率は、15%(用いた2,3−ジメチル−2−ブテンの2モル倍のアセトンが生成した場合を収率100%とした。)、ピナコールの収率は、83%であった。
実施例4
磁気回転子および還流冷却管を備えた50mLフラスコに、タングステン金属粉末5.5mgを仕込んだ後、30重量%過酸化水素水120mgを加えた後、60℃で30分保温し、均一透明液を得た。内温60℃で、30重量%過酸化水素水0.9gと1,2,3,4,5,6,7,8−オクタヒドロナフタレン408mgを加え、内温90℃で11時間攪拌、保持した。室温まで冷却後、10重量%チオ硫酸ナトリウム水溶液10gとトルエン20gを加え、25℃で16時間攪拌後、分液しトルエン溶液21gを得た。該トルエン溶液を濃縮留去したところ、白色結晶が450mg得られた。該白色結晶を1H−NMR分析し、ビシクロ[4.4.0]デカン−1,6−ジオールであることを確認した。(GC面面積百分率値:95%)。
実施例5
磁気回転子および還流冷却管を備えた50mLフラスコに、タングステン金属粉末40mgを仕込んだ後、30重量%過酸化水素水250mgを添加した。添加後、内温40℃で15分保温し、均一透明液を得た。内温25℃に冷却した後、60重量%過酸化水素水300mg、tert−ブタノール1.5gおよび無水硫酸マグネシウム530mgを加え、内温25℃で30分攪拌、保持した。この混合液に、ジエチルスチルベストロール590mgを加え、内温90℃で4時間攪拌、保持した。その後、水5gを加え、メチルtert−ブチルエーテル10gで2回抽出処理し、有機層を得た。該有機層に、10重量%チオ硫酸ナトリウム水溶液10gを加え、室温で4時間攪拌、保持した。反応液をGC分析し、3,4−ジ(4−ヒドロキシフェニル)−3,4−ヘキサンジオールの生成を確認した(GC面面積百分率値:67%)。

Claims (1)

  1. 一般式(2)
    Figure 2007297397
    (式中、R1、R2、R3およびR4はそれぞれ同一または相異なって、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアリールオキシ基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいアラルキルオキシ基、置換されていてもよいアシル基、置換されていてもよいカルボアルコキシ基、置換されていてもよいカルボアリールオキシ基、置換されていてもよいカルボアラルキルオキシ基、カルボキシル基、ハロゲン原子を表わす。また、R1とR2、R1とR3、R2とR4、およびR3とR4が一緒になって環構造の一部を形成してもよい。)
    で示されるβ−ヒドロキシヒドロペルオキシド類および/または一般式(3)
    Figure 2007297397
    (式中、R1、R2、R3およびR4は上記と同一の意味を表わす。)
    で示されるβ−ヒドロキシヒドロペルオキシド類を還元剤で還元処理することを特徴とする一般式(4)
    Figure 2007297397
    (式中、R1、R2、R3およびR4は上記と同一の意味を表わす。)
    で示されるジオール類の製造法。
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