JP2007296608A - 切削工具およびホルダ - Google Patents

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JP2007296608A JP2006126622A JP2006126622A JP2007296608A JP 2007296608 A JP2007296608 A JP 2007296608A JP 2006126622 A JP2006126622 A JP 2006126622A JP 2006126622 A JP2006126622 A JP 2006126622A JP 2007296608 A JP2007296608 A JP 2007296608A
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Abstract


【課題】 サイズの小さなチップにも適応できる容易な加工で、チップを安定して支持可能な切削工具および切削工具の一部を構成するホルダを提供する。
【解決手段】 ホルダ21は、第1当接部分100と、第2当接部分101と、第3当接部分102と、凹部分103とが形成され、各当接部分100,101,102は、チップ装着状態で、それぞれチップ本体部40の底面40aに当接する当接面100a,101a,102aがそれぞれ形成され、凹部分103は、各当接部分100,101,102に挟まれ、凹底面103aを、チップ装着状態でチップ本体部40に間隔をあけて対向するので、チップ本体部40が、厚み方向外方に凸に湾曲する形状であっても、チップ装着状態では、凹部分103によって離間する3つの当接面100a,101a,102aに当接するので、湾曲する形状に沿って不所望に変位することを防ぐことができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、内径加工用の切削工具およびホルダに関する。
内径加工用のスローアウェイチップ(以下、チップと称する)が種々実用に供されている。第1の従来の技術として、たとえば特許文献1には、略L字形状のL字状チップが開示されている。このチップは、略正方形板状のチップ本体部と、チップ本体部の側面からそれぞれ突出する2つのチップ突出部とを含む。
第1チップ突出部は、チップ本体部の側面の1つである第1側面から、第1側面に略垂直な方向に突出する。第2チップ突出部は、チップ本体部のうちで、第1側面に隣接する第2側面から、第2側面に略垂直な方向に突出する。チップ本体部には、第1側面と第2側面とが交差する側面交差稜線部分が形成される。各チップ突出部は、チップ本体部のうちで前記側面交差稜線部分を除いた位置に形成される。各チップ突出部は、チップ本体部に対して反対側となる先端部分に切刃が形成される。チップは、チップの厚み方向中央位置を通り、チップ本体部の第1側面とチップ本体部の第2側面との成す角度を2等分する仮想直線に関して、180度回転対称となる形状に形成される。
L字状チップのチップ本体部は、ホルダに装着された状態で、2つのうち一方の突出部が、ホルダの外周部から半径方向外方に突出する。ホルダから突出する突出部に形成される切刃が、切削に寄与する切刃となる。
また第2の従来の技術として、たとえば特許文献2には、隆起部を有するチップが開示されている。このチップは、厚み方向の表面部に厚み方向外方に凸となる複数の隆起部が形成される。このようなチップをホルダに装着した場合、前記隆起部がホルダの着座面にそれぞれ当接し、着座面に安定して支持される。
米国特許第4607988号明細書 特開平1−115505号公報
第1の従来の技術のチップは、焼結法によって形成されるが、チップ本体部に形成され、ホルダに固定するためのクランプ孔の周辺では、成型時における原料の充填率のばらつきによって、焼成後、チップの厚み方向の表面部が厚み方向外方に凸に湾曲したりするという問題がある。また、このような問題を解決するために、あらかじめ厚み方向内方に凹となる形状で成型してから、焼成してチップを形成する場合がある。しかし、このような場合であっても、厳密にチップの厚み方向の表面部を平坦にすることは困難であり、チップの厚み方向の表面部は、厚み方向内方に凹に湾曲してしまうという問題がある。このように凸または凹に湾曲したチップは、ホルダに対して不所望に変位しやすく、安定して固定することが困難である。そのため、焼結後にチップの厚み方向の表面部を研磨加工する必要があり、製造コストが高くなるという問題がある。
前述のような課題を解決するため、第2の従来の技術のように、チップの厚み方向の表面部に隆起部を形成する方法が考えられる。この方法では、このような隆起部を形成する領域をチップの厚み方向の表面部に確保しなければならず、小内径加工に用いられるサイズの小さなチップには、適用することが困難となる場合があった。
したがって本発明の目的は、小内径加工に用いられるようなサイズの小さなチップにも適応できるよう、チップに特別な加工を必要とせず、容易な加工で、チップを安定して支持可能なホルダおよび該ホルダを含んでなる切削工具を提供することである。
本発明は、切刃が形成されるL字状チップと、略棒状に形成され、チップを着脱可能なホルダとを含む切削工具であって、
L字状チップは、
略四角形板状に形成されるチップ本体部と、チップ本体部の第1側面から突出する第1チップ突出部と、チップ本体部の第1側面に隣接する第2側面から突出する第2チップ突出部とを含んで、予め定める仮想直線に関して180度回転対称となる形状に形成され、
各チップ突出部は、互いに略直交する方向に延びて、チップ本体部の第1側面と第2側面とが交差する側面交差稜線部分から離反してそれぞれ配置され、各チップ突出部の先端部分には切刃が形成され、
ホルダは、
一方のチップ突出部がホルダの外周面から突出し、他方のチップ突出部がホルダ軸線方向と略平行に延びてホルダ内に配置されるチップ装着状態で、チップを装着し、
ホルダ軸線方向一端部にチップが装着される装着部を含み、
装着部は、
チップ装着状態で、チップ本体部の底面に当接し、前記一方のチップ突出部が突出するホルダ外周面側で、ホルダ軸線方向一端部側に形成される第1当接面を有する第1当接部分と、
チップ装着状態で、チップ本体部の底面に当接し、第1当接部分と間隔をあけ、前記ホルダ外周面側で、ホルダ軸線方向他端部側に形成される第2当接面を有する第2当接部分と、
チップ装着状態で、チップ本体部の底面に当接し、第1当接部分および第2当接部分と間隔をあけ、ホルダ内方側に形成される第3当接面を有する第3当接部分と、
第1当接部分と第2当接部分と第3当接部分とに挟まれ、チップ装着状態で、チップ本体部に間隔をあけて対向する凹底面を有する凹部分とが形成されていることを特徴とする切削工具である。
また本発明は、前記L字状チップは、チップ本体部の底面が凸状に形成され、
前記装着部は、前記第1当接面、前記第2当接面および前記第3当接面がそれぞれ平坦状に形成され、
前記各当接面は、予め定める仮想平面内に形成されることを特徴とする。
また本発明は、前記L字状チップは、チップ本体部の底面が凹状に形成され、
前記装着部は、前記第1当接面、前記第2当接面および前記第3当接面がそれぞれ平坦状に形成され、
前記各当接面は、予め定める仮想平面内に形成されることを特徴とする。
また本発明は、前記第3当接部分は、前記ホルダ軸線方向一端部側に形成されることを特徴とする。
さらに本発明は、前記装着部は、チップ装着状態で、チップ本体部の側面のうち、少なくとも2つの側面がそれぞれ当接する第4当接面および第5当接面を有する側面部分がさらに形成されることを特徴とする。
さらに本発明は、前記第1当接部分、前記第2当接部分および前記第3当接部分は、チップ装着状態で、厚み方向一方から見て、チップ本体部の略中心位置から、略等距離にそれぞれ形成されることを特徴とする。
さらに本発明は、切刃を有するチップを着脱可能であり、略棒状に形成されるホルダであって、
ホルダ軸線方向一端部に、チップの切刃がホルダの外周面またはホルダ軸線方向一端部から突出したチップ装着状態でチップが装着される装着部を含み、
装着部は、
チップ装着状態で、チップの底面に当接し、ホルダ外周面側であって、ホルダ軸線方向一端部側に形成される第1当接面を有する第1当接部分と、
チップ装着状態で、チップの底面に当接し、第1当接部分と間隔をあけ、前記ホルダ外周面側で、ホルダ軸線方向他端部側に形成される第2当接面を有する第2当接部分と、
チップ装着状態で、チップの底面に当接し、第1当接部分および第2当接部分と間隔をあけ、ホルダ内方側に形成される第3当接面を有する第3当接部分と、
第1当接部分と第2当接部分と第3当接部分とに挟まれ、チップ装着状態で、チップに間隔をあけて対向する凹底面を有する凹部分とが形成されていることを特徴とするホルダである。
また本発明は、前記装着部は、前記第1当接面、前記第2当接面および前記第3当接面がそれぞれ平坦上に形成され、
前記各当接面は、予め定める仮想平面内に形成されることを特徴とする。
本発明によれば、切削工具は、L字状チップとホルダとを含んで構成される。L字状チップは、チップ本体部と、第1チップ突出部と、第2チップ突出部とを含んで、予め定める仮想直線に関して180度回転対称となる形状に形成される。各チップ突出部は、互いに略直交する方向に延びて、側面交差稜線部分から離反してそれぞれ配置され、各チップ突出部の先端部分には切刃が形成される。ホルダは、一方のチップ突出部がホルダの外周面から突出し、他方のチップ突出部が軸線方向と略平行に延びてホルダ内に配置されるチップ装着状態で、チップを装着する。このようにL字状チップは、仮想直線に関して、180度回転対称となる形状に形成されるので、被削材の切削によって一方の切刃が消耗した場合には、仮想直線に関して180度回転させてホルダに装着しなおすことで、他方の切刃を切削に寄与させることができる。またチップの厚み方向に延びる軸線に対して180度回転対称となる場合に比べて、切削に寄与する一方の突出部分に沿って延びる方向のホルダ寸法を小さくすることができ、小内径加工に好適に用いることができる。
ホルダは、軸線方向一端部にチップが装着される装着部を有する。装着部は、第1当接部分と、第2当接部分と、第3当接部分と、凹部分とが形成される。各当接部分は、チップ装着状態で、それぞれチップ本体部の底面に当接する当接面がそれぞれ形成される。凹部分は、各当接部分に挟まれ、凹底面をチップ装着状態でチップ本体部に間隔をあけて対向する。したがってチップ本体部が、厚み方向外方に凸や凹に湾曲する形状であっても、チップ装着状態では、凹部分によって離間する3つの当接面に当接する。したがって、チップを三点支持によってホルダに安定して固定することができ、チップ本体部の湾曲する形状に沿って不所望にチップが変位することを防ぐことができる。
また第1当接部分および第2当接部分は、ともに一方のチップ突出部が突出するホルダ外周面側で、ホルダ軸線方向に関しては離間して形成される。切削時には、チップの厚み方向から、一方のチップ突出部に、切削抵抗の大部分が作用するので、ホルダ外周面側に第1当接部分および第2当接部分が形成されることによって、1つの当接部分だけがホルダ外周面側に形成される場合と比べて、ホルダ外周面側の当接面が広くなるとともに、ホルダ外周面側においてチップが2点支持される。これにより、強固に安定してL字状チップを支持することができ、前記切削抵抗によってL字状チップが不所望に変位することを防ぐことができる。
また第3当接部分は、ホルダ内方側に形成される。このように離間した3つの当接部分によって、L字状チップを支持するので、チップ本体部が厚み方向外方に凸や凹に湾曲する形状であっても、チップをホルダに三点支持することができるので、安定して固定することができる。したがって、ホルダ装着時のL字状チップの変位を防止し、切刃の位置が安定している切削工具を実現することができる。また、このような切削工具は、チップに特別な加工を必要としないので、小さなサイズのチップにも適応でき、小内径加工に好適な切削工具を実現することができる。さらには、このようなホルダの加工は容易であるため、低コストで本発明を実現することができる。
また本発明によれば、前記L字状チップは、チップ本体部の底面が凸状に形成される。また前記各当接面は、それぞれ平坦状に形成され、各当接面は、予め定める仮想平面内に形成される。これによってチップ装着状態では、チップ本体部の底面と各当接面とを三点支持させることができる。したがってL字状チップを装着部によってより安定して支持させることができる。
また本発明によれば、前記L字状チップは、チップ本体部の底面が凹状に形成される。また前記各当接面は、それぞれ平坦状に形成され、各当接面は、予め定める仮想平面内に形成される。これによってチップ装着状態では、チップ本体部の底面と各当接面とを三点支持させることができる。したがってL字状チップを装着部によってより安定して支持させることができる。
また本発明によれば、第3当接部分は、ホルダ軸線方向一端部側に形成される。これによって、チップ本体部の底面が広範囲に凸状もしくは凹状を有してなる場合にも、三点支持することができ、安定してホルダにL字状チップを固定することができる。
さらに本発明によれば、前記装着部は、チップ装着状態で、チップ本体部の側面のうち、少なくとも2つの側面がそれぞれ当接する第4当接面および第5当接面を有する側面部分がさらに形成される。これによって装着部は、L字状チップの変位を、第4当接面および第5当接面によって、規制することができる。これによって装着部は、さらに安定してL字状チップを支持することができる。
さらに本発明によれば、前記各当接部分は、チップ装着状態で、厚み方向一方から見て、チップ本体部の略中心位置から、略等距離にそれぞれ形成される。チップ本体部が厚み方向外方に凸に湾曲する形状であっても、チップ本体部の前記略中心位置から、各当接部分が略等距離に形成されるので、各当接部分にチップ本体部の厚み寸法が略等しい部分を当接させることができる。これによってチップ装着状態で、チップ本体部が装着部に対して不所望に傾くことを防ぐことができる。
さらに本発明によれば、ホルダは、軸線方向一端部にチップが装着される装着部を有する。装着部は、第1当接部分と、第2当接部分と、第3当接部分と、凹部分とが形成される。各当接部分は、チップ装着状態で、それぞれチップ本体部の底面に当接する当接面がそれぞれ形成される。凹部分は、各当接部分に挟まれ、凹底面をチップ装着状態でチップ本体部に間隔をあけて対向する。したがってチップ本体部が、厚み方向外方に凸や凹に湾曲する形状であっても、チップ装着状態では、凹部分によって離間する3つの当接面に当接する。したがって、チップを三点支持によってホルダに安定して固定することができ、チップ本体部の湾曲する形状に沿って不所望にチップが変位することを防ぐことができる。
また第1当接部分および第2当接部分は、ともにチップの切刃が突出するホルダ外周面側で、ホルダ軸線方向に関しては離間して形成される。切削時には、チップの厚み方向から、チップの切れ刃が位置するホルダ外周面側に、切削抵抗の大部分が作用するので、このようなホルダ外周面側に第1当接部分および第2当接部分が形成されることによって、1つの当接部分だけがホルダ外周面側に形成される場合と比べて、ホルダ外周面側の当接面が広くなるとともに、ホルダ外周面側においてチップが2点支持される。その結果、安定してチップを支持することができ、前記切削抵抗によってチップが不所望に変位することを防ぐことができる。また第3当接部分は、第1当接部分および第2当接部分と離間して、ホルダ内方側に形成される。このように離間した3つの当接部分によって、チップを支持するので、チップが厚み方向外方に凸や凹に湾曲する形状であっても、チップをホルダに三点支持することができ、安定して固定することができる。したがって、汎用性に優れたホルダが実現できる。さらに、チップに特別な加工を必要とせず、ホルダへの加工も容易であるため、経済的に優れたホルダとすることができる。
さらに本発明によれば、前記装着部は、前記第1当接面、前記第2当接面および前記第3当接面がそれぞれ平坦上に形成され、前記各当接面は、予め定める仮想平面内に形成される。これによってチップ装着状態では、チップの底面と各当接面とを三点支持させるとともに、各当接面における接触面積を広くすることができる。したがってチップを装着部によってより安定して支持させることができる。
以下、図面を参照しながら本発明を実施するための形態について説明する。図1は、本発明の実施の一形態である切削工具22を構成するホルダ21の一部分を拡大して示す平面図であり、図2は、切削工具22を示す平面図であり、図3は、切削工具22を示す側面図である。図4は、切削工具22を用いた加工状態を示す断面図である。本発明の実施形態の切削工具22は、L字状チップ20がホルダ21に装着されることで実現される。図1では、理解を容易にするためL字状チップ20を仮想的に示す。したがって切削工具22は、L字状チップ20と、ホルダ21とを含んで構成される。切削工具22は、被削材の内径加工に用いられ、本実施形態では、小内径加工可能な溝入れ加工用工具であって、たとえば本実施形態の切削工具22によって形成される内径は、約7mm以上12mm以下である。
ホルダ21は、略円柱状に形成される。ホルダ21の軸線方向一方X1側の端部となる一端部68は、L字状チップ20を着脱可能に装着する装着部23が形成される。装着部23に装着されるL字状チップ20は、その切刃26が、ホルダ21の外周面24からホルダ21の半径方向外方Y1に突出する。またホルダ21の軸線方向他方X2側の端部となる他端部69には、切削装置の工具保持部に保持される被保持部が形成される。
図4に示すように、切削装置は、切削工具22を着脱自在に保持する工具保持部と、被削材30を着脱可能に保持する被削材保持部と、被削材30を保持する被削材保持部を予め定める回転軸線L30まわりに回転させる被削材回転手段31と、切削工具22を保持する工具保持部を被削材30に対して、被削材保持部の回転軸線方向および、被削材保持部の回転軸線L30に垂直な方向に直線移動する工具駆動手段32とを有する。被削材30は、回転軸線L30に同軸の開口33が形成される。開口33は、一方に開放して形成され、切削工具22の先端部が進入可能な直径を有する。切削装置は、たとえば旋盤によって実現されてもよい。
被削材30を回転軸線L30まわりに回転させた状態で、被削材30の開口33に切削工具22を進入させ、切刃26を被削材30の内周面に接触させる。これによって切刃26が、被削材30の内周部を削り、被削材30の内周部に溝入れ加工を施すことができる。まず、L字状チップ20に関して説明し、次にホルダ21に関して説明する。
図5は、L字状チップ20を拡大して示す平面図であり、図6は、L字状チップ20を示す側面図である。図7は、図5の切断面線VII−VIIから見て示す断面図である。図7では、理解を容易にするため、厚み方向Aを誇張して示す。L字状チップ20は、厚み方向一方A1から見た外形形状が、略L字状に形成される。L字状チップ20は、チップ本体部40と、第1チップ突出部41と、第2チップ突出部42とを含む。2つのチップ突出部41,42は、チップ本体部40にそれぞれ連なり、チップ本体部40の厚み方向Aに垂直な方向であって、互いに略直角方向に突出する。
チップ本体部40の外形形状は、略四角形板状に形成され、本実施の形態では略正方形板状に形成される。チップ本体部40は、厚み方向Aに貫通する円柱状の貫通孔43が形成される。貫通孔43は、L字状チップ20を厚み方向一方A1から見て、チップ本体部40の略中心位置に配置される。以下、貫通孔43の軸線L43を基準軸線L43という。したがって基準軸線L43は、厚み方向一方A1から見て、チップ本体部40の略中心位置に配置される。
チップ本体部40は、基準軸線L43まわりの周縁部分として、第1側面部分44と、第2側面部分45と、第3側面部分46と、第4側面部分47とを有する。第1〜第4側面部分44〜47は、チップ本体部40の厚み方向一方A1から見た場合における外形形状の各縁辺をそれぞれ構成する。各チップ突出部41,42は、第1側面52と第2側面53とが交差する側面交差稜線部分56から離反してそれぞれ配置される。
第1側面部分44は、一端部に第2側面部分45が隣接し、他端部に第4側面部分47が隣接する。第2側面部分45および第4側面部分47は、第1側面部分44に対して略垂直に延びる。第1側面部分44と第3側面部分46とは、間隔をあけて略平行に延びる。また第3側面部分46は、一端部に第2側面部分45が隣接し、他端部に第4側面部分47が隣接する。第2側面部分45および第4側面部分47は、第3側面部分46に対して略垂直に延びる。第2側面部分45および第4側面部分47は、一端部が第1側面部分44に隣接し、他端部が第3側面部分46に隣接する。
第1側面部分44の一部分には、第1チップ突出部41が連なる。第1側面部分44は、第1チップ突出部41が連なる一体領域48と、一体領域48以外の残余領域49とを有する。一体領域48は、第1側面部分44のうちで第4側面部分47側に配置される。残余領域49は、第1側面部分44のうちで第2側面部分45側に配置される。残余領域49には、チップ本体部40の外周側面の一部となる第1側面52が形成される。第1チップ突出部41は、第1側面52から略垂直な方向に突出する。
第2側面部分45の一部分には、第2チップ突出部42が連なる。第2側面部分45は、第2チップ突出部42が連なる一体領域50と、一体領域50以外の残余領域51とを有する。一体領域50は、第2側面部分45のうちで第3側面部分46側に配置される。残余領域51は、第2側面部分45のうちで第1側面部分44側に配置される。残余領域51には、チップ本体部40の外周側面の一部となる第2側面53が形成される。第2チップ突出部42は、第2側面53から略垂直な方向に突出する。
第3側面部分46は、第1チップ突出部41に対して貫通孔43を挟んで反対側に位置する第3側面54が形成される。第3側面54は、チップ本体部40の外周側面の一部となり、第3側面部分46の全域にわたって延びる。
第4側面部分47は、第2チップ突出部42に対して貫通孔43を挟んで反対側に位置する第4側面55が形成される。第4側面55は、チップ本体部40の外周側面の一部となり、第4側面部分47の全域にわたって延びる。
本実施の形態では、第3側面54は、第2チップ突出部42の一側面に連なり、第2チップ突出部42の一側面と同一面上に形成される。また第4側面55は、第1チップ突出部41の一側面に連なり、第1チップ突出部41の一側面と同一面上に形成される。本実施の形態では、基準軸線L43に垂直な断面形状における、第4側面55に連なる第1チップ突出部41の一側面と、第4側面55とを合わせた長辺側寸法は、約5mm〜9mmとなる。同様に、基準軸線L43に垂直な断面形状における、第3側面54に連なる第2チップ突出部42の一側面と、第3側面54とを合わせた長辺側寸法は、約5mm〜9mmとなる。
またL字状チップ20は、予め定める仮想直線L20に関して、180度回転対称となる形状に形成される。本実施の形態では、L字状チップ20は、チップ本体部40の第1側面52と第2側面53との成す角度を2等分する仮想直線L20に関して、180度回転対称、言い換えると2回回転対称となる形状に形成される。この仮想直線L20は、前記基準軸線L43のうちでチップ本体部40の厚み方向A中央位置を通過して延びる。
少なくともL字状チップ20は、仮想直線L20に関して、第1側面52と第2側面53とが180度回転対称となるとともに、第3側面54と第4側面55とが180度回転対称となるとともに、第1チップ突出部41と第2チップ突出部42とが180度回転対称に形成される。180度回転対称となる各側面52〜55の一部は、L字状チップ20がホルダ21に装着された場合に、ホルダ21に当接してホルダ21に対するL字状チップ20の変位を阻止するための拘束領域となる。
ここで仮想直線L20は、チップ本体部40の厚み方向A中央位置で基準軸線L43に垂直な平面に延びて、第1側面52と第2側面53との間と、第3側面54と第4側面55との間と、基準軸線L43とを通過する。本実施の形態では、上述したように、仮想直線L20は、第1側面52と第2側面53との成す角度を2等分する直線であり、かつ第3側面54と第4側面55との成す角度を2等分する直線であり、基準軸線L43と直交する。
各チップ突出部41,42は、チップ本体部40に対して反対側の端部である先端部に切刃26が形成される。本実施の形態では、各チップ突出部41,42は、略四角形板状に形成されて、それぞれチップ本体部40の対応する側面部分44,45に連なる。第1チップ突出部41の先端部に形成される切刃26は、第1側面52に略平行に延びる。第2チップ突出部42の先端部に形成される切刃26は、第2側面53に略平行に延びる。したがって各突出部41,42は、基準軸線L43に垂直な平面上に投影したとき、互いに略直交する方向に延びる。
第1チップ突出部41に形成される切刃26は、第1チップ突出部41の先端部の厚み方向一方A1表面に形成されるすくい面57と、第1チップ突出部41の先端部端面となる逃げ面58との交差稜線に形成される。また第2チップ突出部42に形成される切刃26は、第2チップ突出部42の先端部の厚み方向他方A2表面に形成されるすくい面57と、第2チップ突出部42の先端部端面となる逃げ面58との交差稜線に形成される。
各チップ突出部41,42のすくい面57は、すくい角が付与される。具体的には、すくい面57は、チップ本体部40に向かって対応する切刃26から離反するにつれて、切刃26から厚み方向A内方に傾斜する。また各チップ突出部41,42は、切屑を分断させるためのチップブレーカとなるブレーカ部分59が形成される。ブレーカ部分59は、すくい面57よりもチップ本体部40側に形成され、すくい面57から厚み方向A外方にのびる。
このようなL字状チップ20は、焼結法によって形成される。L字状チップ20は、たとえば超硬合金またはサーメットから成る。L字状チップ20を焼結法によって製造すると、貫通孔43の周縁では、成型時における原料の充填率のばらつきによって、図7に示すように、貫通孔43の周縁部が厚み方向A外方に凸に湾曲することが多い。換言すると、チップ本体部40の厚み方向A両表面部は、平坦状ではなく、凸状に形成されやすい。
次に、図1および図3を参照して、ホルダ21に関して説明する。前述したL字状チップ20はホルダ21の装着部23に装着される。ホルダ21の装着部23には、L字状チップ20の大部分が収容される。具体的には、L字状チップ20が装着部23に固定されたチップ装着状態で、第1チップ突出部41は、ホルダ21の外周面24から突出し、その切刃26がホルダ21の軸線L21に平行に延びる。したがって第1チップ突出部41は、チップ装着状態で、突出する方向が半径方向外方Y1と略平行である。また第2チップ突出部42は、チップ装着状態で、ホルダ21の軸線L21と略平行に延びて、ホルダ内に収容されて配置され、第1チップ突出部41に対して、ホルダ他端部側に配置される。したがって第2チップ突出部42は、チップ装着状態で、突出する方向が軸線方向他方X2と略平行である。これによってホルダ21の直径が小さくても、切削に寄与しない第2チップ突出部42が、被削材30の内周部に干渉することを防ぐことができる。本実施の形態では、第2チップ突出部42は、ホルダ21の軸線L21の軸線上に配置される。L字状チップ20は、固定部材によってホルダ21の装着部23に固定される。本実施の形態では、固定部材は、ナット状のねじ部材25によって実現される。
装着部23は、チップ装着状態で、L字状チップ20の大部分が収容されるチップ収容空間を形成する。装着部23は、第1当接面100aを有する第1当接部分100、第2当接面101aを有する第2当接部分101、第3当接面102aを有する第3当接部分102、凹底面103aを有する凹部分103、退避面34を有する離間部分82、短辺当接面29を有する短辺当接部分104、および長辺当接面28を有する長辺当接部分105が形成されている。チップ収容空間は、第1当接面100aと、第2当接面101aと、第3当接面102aと、凹部分103と、長辺当接面28と、短辺当接面29と、退避面34とによって規定される。装着部23は、ホルダ21の外周面24および先端面68aから凹となる窪み部によって実現される。
凹部分103は、凹底面103aを、チップ装着状態で、チップ本体部40に間隔をあけて対向する。チップ装着状態で、凹部分103とチップ本体部40との間には、凹空間が形成される。具体的には、凹部分103は、装着部23のうちで凹底面103aを形成する部分である。凹空間は、チップ装着状態で、チップ本体部40の底面40aと、凹部分103との間の空間となる。凹部分103は、第1当接部分100と第2当接部分101とに挟まれ、第1当接部分100と第3当接部分102とに挟まれ、第2当接部分101と第3当接部分102とに挟まれた位置に形成される。凹底面103aは、その縁辺がホルダ21の外周面24、退避面34、長辺当接面28、およびホルダ21の先端面68aに連なる。また凹部分103には、基準軸線L43が延びる方向に窪むねじ孔10が形成される。ねじ孔10は、内ねじが形成される。
第1当接部分100は、チップ装着状態で、チップ本体部40の底面40aに当接する第1当接面100aを有する。第1当接部分100は、第1チップ突出部41が突出するホルダ21の外周面24側で、軸線方向X一端部側に形成される。換言すると、第1当接部分100は、第1チップ突出部41が突出する半径方向外方Y1側で、軸線方向一方X1側に形成される。第1当接面100aは、平坦状に形成され、ホルダ21の先端面68aから屈曲して軸線方向他方X2に延びるとともに、ホルダ21の外周面24から屈曲して半径方向内方Y2に延びる。第1当接部分100は、凹部分103に連なり、基準軸線43に臨む縁辺100bが形成される。第1当接部分100の前記縁辺100bはホルダ21の先端面68aおよび外周面24に連なる。
第2当接部分101は、チップ装着状態で、チップ本体部40の底面40aに当接する第2当接面101aを有する。第2当接部分101は、第1当接部分100と間隔をあけ、ホルダ21の外周面24側で、軸線方向X他端部側に形成される。換言すると、第2当接部分101は、半径方向外方Y1側で、軸線方向他方X2側に形成される。第2当接面101aは、平坦状に形成され、ホルダ21の外周面24から屈曲して半径方向内方Y2に延びる。第2当接部分101は、凹部分103に連なり、基準軸線43に臨む縁辺101bが形成される。第2当接部分101の前記縁辺101bはホルダ21の外周面24および短辺当接面29に連なる。
第3当接部分102は、チップ装着状態で、チップ本体部40の底面40aに当接する第3当接面102aを有する。第3当接部分102は、ホルダ21の内方側に形成される。換言すると、第3当接部分102は、半径方向内方Y2側で、軸線方向一方X1側に形成される。第3当接面102aは、平坦状に形成され、ホルダ21の先端面68aから屈曲して軸線方向他方X2に延びる。第3当接部分102は、凹部分103に連なり、基準軸線43に臨む縁辺102bが形成される。第3当接部分102の前記縁辺102bはホルダ21の先端面68aおよび長辺当接面28に連なる。
したがって第1当接部分100は、第2当接部分101との間に凹部分103が形成される。また第1当接部分100は、第3当接部分102との間に凹部分103が形成される。また第2当接部分101は、第3当接部分102との間に凹部分103が形成される。第1当接面100aは、凹部分103を介して、第2当接面101aおよび第3当接面102aと連なる。第2当接面101aは、凹部分103を介して、第3当接面102aに連なる。第1当接面100a、第2当接面101aおよび第3当接面102aは、互いに略平行に形成される。第1当接面100a、第2当接面101aおよび第3当接面102aは、予め定める仮想平面27内に形成される。換言すると、第1当接面100a、第2当接面101aおよび第3当接面102aは、図3に示すように、同一面上に形成される。
図1に示すように、基準軸線L43から第1当接部分100の前記縁辺100bまでの最短距離を第1距離D1と規定する。基準軸線L43から第2当接部分101の前記縁辺101bまでの最短距離を第2距離D2と規定する。基準軸線L43から第3当接部分102の前記縁辺102bまでの最短距離を第3距離D3と規定する。これら第1距離D1と、第2距離D2と、第3距離D3とは、略等距離となるよう設定される。このとき、各距離D1,D2,D3が小さくなりすぎると、L字状チップ20を安定して支持する効果が小さくなる。したがって各距離D1,D2,D3は、予め定める範囲内に設定されるのが好ましい。
長辺当接部分105は、チップ装着状態で、軸線方向Xに延びてL字状チップ20の一側面に当接する長辺当接面28を有する。ここでL字状チップ20の一側面は、チップ本体部40の第3側面54および第4側面55のいずれかとなり、図1では、第3側面が当接する場合を示す。長辺当接面28は、第4当接面であって、第3当接面102aのホルダ21半径方向内方側縁辺から立設して配置され、ホルダ21の軸線方向Xに略平行に延びる。
短辺当接部分104は、チップ装着状態で、第2側面53が当接する短辺当接面29を有する。短辺当接面29は、第5当接面であって、第2当接面101aの軸線方向他方側縁辺から立設して配置され、半径方向Yに略平行に延びる。
離間部分82は、チップ装着状態で、第2チップ突出部42に間隔をあけて対向する。離間部分82と第2チップ突出部42との間には、半径方向Yに延びて、ホルダ21の外方に開放する切刃離間空間83が形成される。具体的には、離間部分82は、装着部23のうちで退避面34を形成する部分である。切刃離間空間83は、第2チップ突出部42の側面と、ホルダ21の退避面34との間の空間となる。退避面34は、略U字状に湾曲して延びて、一端部が長辺当接面28に連なり、他端部が短辺当接面29に連なる。
L字状チップ20をホルダ21に装着する場合、ねじ部材25の先端部をチップ本体部40の貫通孔43に貫通させて、ねじ孔10に螺着する。そしてねじ部材25を回動して、ねじ部材25をホルダ21に対して螺合させることで、L字状チップ20がホルダ21に装着され、ホルダ21に設定される装着位置に位置決めされる。このとき、ねじ部材25のヘッドは、L次状チップ20の厚み方向Aの表面部に当接される。
L字状チップ20が装着されたときに、第1当接面100a、第2当接面101aおよび第3当接面102a、長辺当接面28および短辺当接面29は、L字状チップ20のチップ本体部40に当接する。具体的には、L字状チップ20がホルダ21に装着されたチップ装着状態で、ホルダ21の第1当接面100a、第2当接面101aおよび第3当接面102aには、第1チップ突出部41の切刃26に対して厚み方向Aに反対側となるチップ本体部40の底面40aが当接する。またホルダ21の長辺当接面28には、チップ本体部40の第3側面54が当接する。またホルダ21の短辺当接面29には、チップ本体部40の第2側面53が当接する。またL字状チップ20がホルダ21に装着された状態で、退避面34は、第2チップ突出部42の側面から離間して配置される。
ホルダ21の第1当接面100a、第2当接面101aおよび第3当接面102aとチップ本体部40の底面40aとがそれぞれ当接し、ホルダ21の長辺当接面28とチップ本体部40の第3側面54とが当接し、ホルダ21の短辺当接面29とチップ本体部40の第2側面53とが当接した状態で、L字状チップ20の貫通孔43は、ホルダ21に形成されるねじ孔10よりも、ホルダ21の短辺当接面29および長辺当接面28から離れる方向に僅かに偏心している。この状態で、ねじ部材25を、L字状チップ20の貫通孔43に挿通させて、ねじ孔10に螺進させることによって、L字状チップ20の底面40aがホルダ21の第1当接面100a、第2当接面101aおよび第3当接面102aに押圧されるとともに、L字状チップ20の第3側面54および第2側面53とが、ホルダ21の装着部23に形成される長辺当接面28および短辺当接面29にそれぞれ押圧され、L字状チップ20をホルダ21の装着部23に圧着することができる。また装着部23は、第2チップ突出部42から離間することで、第2チップ突出部42が装着部23に接触して、第2チップ突出部42に形成される切刃26が損傷することを防ぐことができる。
図2には、第1チップ突出部41がホルダ21から部分的に突出し、第2チップ突出部42がホルダ21に収容されるとしたが、2つのうち一方のチップ突出部がホルダ21から部分的に突出し、2つのうち他方のチップ突出部がホルダ21に収容されてもよい。したがって、図2に示す状態から、L字状チップ20を、前記仮想直線L20まわりに180度回転させて、第2チップ突出部42を、ホルダ21の外周面24から突出させて、第1チップ突出部41をホルダ21内に収容して装着してもよい。
この場合、L字状チップ20がホルダ21に装着された状態で、ホルダ21の第1当接面100a、第2当接面101aおよび第3当接面102aには、第2チップ突出部42の切刃26に対して厚み方向Aに反対側となるチップ本体部40の底面40aが当接する。またホルダ21の長辺当接面28には、チップ本体部40の第4側面55が当接する。またホルダ21の短辺当接面29には、チップ本体部40の第1側面52が当接する。またL字状チップ20がホルダ21に装着された状態で、退避面34は、第1チップ突出部41の側面から離間して配置される。
したがってチップ本体部40の第3側面54および第4側面55は、ホルダ21の長辺側当接面28に押圧される長辺側拘束面54,55となる。またチップ本体部40の第1側面52および第2側面53は、ホルダ21の短辺側当接面29に押圧される短辺側拘束面52,53となる。
図8は、図1の切断面線VIII−VIIIから見て示す断面図である。図9は、図1の切断面線IX−IXから見て示す断面図である。図8および図9では、理解を容易にするため、L字状チップ20を仮想的に示し、厚み方向Aを誇張して示す。チップ装着状態では、前述したように、L字状チップ20の底面40aと、第1当接面100a、第2当接面101aおよび第3当接面102aとが当接する。本実施の形態では、L字状チップ20の底面40aは、図7に図示するように凸状である。そのため、L字状チップ20の底面40aのうち、前記凸状部分は凹底面103aと間隔をあけて対向し、前記凸状部分以外の略平坦面部分が、第1当接面100a、第2当接面101aおよび第3当接面102aに当接する。またこのとき、図8および図9に示すように、第1当接面100aの縁辺100bと、第2当接面101aの縁辺101bと、第3当接面102aの縁辺102bとに、L字状チップ20の底面40aが当接する。
したがってL字状チップ20の底面40aは、3点によって支持される。このような3点は、前述したように離間しているので、当接面が一体的に、すなわち、単一の面で構成されるホルダの場合では、安定して固定し装着することが困難なチップ形状を有するチップについても、本実施の形態のホルダ21によって3点支持することができるので、安定してチップを固定することができる。また、図示するように上述の3点がより離間しているのが好ましい。これにより、上述の3点がより近接して形成される場合に比べて、より安定してL字状チップ20を支持することができる。また図8に示すように、ホルダ21の半径方向外方Y1側において、L字状チップ20の底面40aは、第1当接面100aと第2当接面101aとの2箇所に当接する。
以上説明したように、本実施の形態のホルダ21は、第1当接部分100と、第2当接部分101と、第3当接部分102と、凹部分103とが形成される。各当接部分100,101,102は、チップ装着状態で、それぞれチップ本体部40の底面40aに当接する当接面100a,101a,102aがそれぞれ形成される。凹部分103は、各当接部分100,101,102に挟まれ、凹底面103aを、チップ装着状態でチップ本体部40に間隔をあけて対向する。したがってチップ本体部40が、厚み方向外方に凸や凹に湾曲する形状であっても、チップ装着状態では、凹部分103によって離間する3つの当接面100a,101a,102aに当接する。したがって、チップ本体部40の底面40aがホルダ21に3点支持されるとともに、チップ本体40の底面40aが湾曲する形状であっても、チップ本体部40の底面40aと各当接面100a,101a,102aとの接触面積を増やすことができ、L字状チップ20をホルダ21に安定して固定することができる。その結果、チップ本体40の底面40aの湾曲する形状に沿って不所望に変位することを防ぐことができ、これにより、L字状チップ20の取付け誤差も小さくなり加工精度を高くすることができる。また、チップ本体部40の厚み方向表面部は、研磨加工等の高精度な加工を必要としないので、L字状チップ20の製造コストを低くすることができ、経済的に優れた切削工具22が可能となる。
また第1当接部分100および第2当接部分101は、ともに半径方向外方Y1側で、軸線方向Xに関しては離間して形成される。切削時には、第1チップ突出部41に、L字状チップ20の厚み方向Aから、切削抵抗の大部分が作用するので、第1チップ突出部41が突出する半径方向外方Y1側に、第1当接部分100および第2当接部分101が形成されることによって、1つの当接部分だけが半径方向外方Y1側に形成される場合と比べて、安定してL字状チップ20を支持することができる。すなわち、半径方向外方Y1側において、チップ当接面の接触面積を広くすることができるとともに、2点で支持することができるので、強固に安定してL字状チップ20を固定することができる。これによって前記切削抵抗によってL字状チップ20が不所望に変位することを防ぐことができ、加工精度を向上させることができる。
また第3当接部分102は、前記半径方向内方Y2側で、前記軸線方向一方X1側に形成される。これによってチップ本体部40の底面40aが貫通孔43周辺において広範囲に凸状もしくは凹状を有してなる場合にも、チップ本体部40の底面40aと第3当接面102との接触面積を広く確保することができ、安定して三点支持することができる。たとえば、上述したように焼成前後でチップ変形量が大きくなりやすい貫通孔43周縁部が、チップ本体部40の側面部中央に渡るまで凸状となるL字状チップ20であっても、前記凸状部分は、凹底面103aと間隔をあけて対向するため、チップ本体部40の底面40aの平坦部分を、安定してホルダ21に固定することができる。そのため、L字状チップ20の切刃26の位置精度を向上させることができる。
このような3つの当接部分100,101,102によって、L字状チップ20を支持するので、チップ本体部40が厚み方向外方に凸や凹に湾曲する形状であっても、L字状チップ20をホルダ21に3点支持して、該3点におけるチップ本体部40の底面40aと各当接面100a,101a,102aとの接触面積を増やすことができる。これにより、湾曲したL字状チップ20をホルダ21に安定して固定することができる。したがって、チップ装着時のL字状チップ20の変位を確実に防止し、切刃26の位置が安定している切削工具22を実現することができる。また、このようなホルダ21の加工は、容易であるので、低コストで本実施の形態の構成を実現することができる。さらに、L字状チップ20の厚み方向Aの両表面部に特別な加工を施す必要がないため、小さなサイズのチップにも適用することができ、切刃26の位置が安定した小内径加工に好適な切削工具が可能となる。
また本実施の形態では、各当接面100a,101a,102aは、それぞれ平坦状に形成され、各当接面100a,101a,102aは、予め定める仮想平面27内に形成される。これによってチップ装着状態では、チップ本体部40の底面40aと各当接面100a,101a,102aとを確実に当接させ、各当接面100a,101a,102aでの接触面積を広くすることができる。したがって装着部23は、L字状チップ20をより安定して3点支持することができる。
また本実施の形態では、チップ装着状態で、ホルダ21の長辺当接面28には、チップ本体部40の第3側面54が当接する。またホルダ21の短辺当接面29には、チップ本体部40の第2側面53が当接する。これによって装着部23は、L字状チップ20の軸線方向Xおよび半径方向Yに関する変位を、長辺当接面28および短辺当接面29によって、規制することができる。これによって装着部23は、さらに安定してL字状チップ20を支持することができる。
また本実施の形態では、第1距離D1と、第2距離D2と、第3距離D3とは、略等距離となるよう設定される。したがって前記各当接部分100,101,102は、チップ装着状態で、厚み方向一方から見て、チップ本体部40の略中心位置から、略等距離にそれぞれ形成される。これにより、チップ本体部40が厚み方向外方に凸や凹に湾曲する形状であっても、チップ本体部40の前記略中心位置から、各当接部分100,101,102が略等距離に形成されるので、各当接部分100,101,102にチップ本体部40の厚み寸法が略等しい部分を当接させることができる。これによってチップ装着状態で、チップ本体部40が装着部23に対して不所望に傾くことを防ぐことができる。
またL字状チップ20は、仮想直線L20に関して、180度回転対称となる形状に形成されるので、被削材の切削によって一方の切刃26が消耗した場合には、仮想直線L20に関して180度回転させてホルダ21に装着しなおすことで、他方の切刃26を切削に寄与させることができる。またチップの厚み方向に延びる軸線に対して180度回転対称となる場合に比べて、切削に寄与する一方の突出部分に沿って延びる方向のホルダ寸法を小さくすることができ、小内径加工に好適に用いることができる。
次に、本発明の他の実施の形態に関して説明する。図10は、他の実施の形態である切削工具22を構成するホルダ21を拡大して示す平面図である。本実施の形態では、図10に示すように、第3当接面102aは、ホルダ21の軸線方向一方X1側から他方X2側にのびて形成される点に特徴を有する。このように第3当接部分102が形成されることによって、特に、チップの本体部40が厚み方向外方に湾曲する部分が小さなL字状チップ20が装着される場合において、第3当接面102aでの接触面積を広くすることができる。これによって、より安定してホルダ21にL字状チップ20を固定し装着することができる。
以上のような各実施の形態は、本発明の例示に過ぎず本発明の範囲内で構成を変更することができる。たとえば各当接面100a,101a,102aは、図1および図10に図示したように、半径方向外方から見て、三角形状および長方形状に形成されるが、このような形状に限定されるものではなく、たとえば四角形状、円形状であってもよい。また第1当接面100aおよび第3当接面102aは、ホルダ21の先端面68aに連結されているが、離間して形成してもよく、同様に、第2当接面101aは、ホルダ21の外周面24に連結されているが、離間して形成してもよい。いわゆる、飛び地状に各当接部分100,101,102を形成してもよい。
またL字状チップ20の底面40aは凸状に限らず、凹状であってもよい。上述したように、貫通孔43の周辺では、成型時における原料の充填率のばらつきによって、焼成後、L字状チップ20の厚み方向Aの表面部は厚み方向A外方に凸に湾曲する傾向にある。そこで、これを考慮して、貫通孔43の周辺を凹状とするL字状チップ20が形成されることがある。このような凹状であっても、離間して形成される各当接部分100,101,102にL字状チップ20の底面40aを当接させることで、各当接部分100,101,102によって3点でL字状チップ20を支持することができる。
また、本発明は、L字状チップ20の底面40aの形状に限定されないので、L字状チップ20の底面40aが焼き肌の状態であっても、ホルダ21はL字状チップ20を安定して支持することができる。したがってL字状チップ20の底面40aを研磨加工するなど、高精度に加工する必要がないので、L字状チップ20の製造コストを低減することができる。
また前述の各実施の形態では、ホルダ21は、L字状チップ20を装着するように構成されているが、これに限ることはなく、他の形状、たとえば四角形板状のチップおよび三角形板状のチップを装着するように構成してもよい。他の形状のチップであっても、前述の各当接部分および凹部分を有するホルダとすることにより、チップの底面の形状にかかわらず、チップを3点で安定して支持することができる。したがって、チップの底面に特別な加工を必要とせず、チップの底面の形状が異なる様々なチップに適応可能となる、汎用性に優れたホルダが実現できる。
切削工具22を構成するホルダ21を拡大して示す平面図である。 切削工具22を示す平面図である。 切削工具22を示す側面図である。 切削工具22を用いた加工状態を示す断面図である。 L字状チップ20を拡大して示す平面図である。 L字状チップ20を示す側面図である。 図5の切断面線VII−VIIから見て示す断面図である。 図1の切断面線VIII−VIIIから見て示す断面図である。 図1の切断面線IX−IXから見て示す断面図である。 他の実施の形態である切削工具22を構成するホルダ21を拡大して示す平面図である。
符号の説明
20 L字状チップ
21 ホルダ
22 切削工具
23 装着部
24 外周面
26 切刃
40 チップ本体部
41 第1チップ突出部
42 第2チップ突出部
56 交差稜線部分
100 第1当接部分
101 第2当接部分
102 第3当接部分
103 凹部分

Claims (8)

  1. 切刃が形成されるL字状チップと、略棒状に形成され、チップを着脱可能なホルダとを含む切削工具であって、
    L字状チップは、
    略四角形板状に形成されるチップ本体部と、チップ本体部の第1側面から突出する第1チップ突出部と、チップ本体部の第1側面に隣接する第2側面から突出する第2チップ突出部とを含んで、予め定める仮想直線に関して180度回転対称となる形状に形成され、
    各チップ突出部は、互いに略直交する方向に延びて、チップ本体部の第1側面と第2側面とが交差する側面交差稜線部分から離反してそれぞれ配置され、各チップ突出部の先端部分には切刃が形成され、
    ホルダは、
    一方のチップ突出部がホルダの外周面から突出し、他方のチップ突出部がホルダ軸線方向と略平行に延びてホルダ内に配置されるチップ装着状態で、チップを装着し、
    ホルダ軸線方向一端部にチップが装着される装着部を含み、
    装着部は、
    チップ装着状態で、チップ本体部の底面に当接し、前記一方のチップ突出部が突出するホルダ外周面側で、ホルダ軸線方向一端部側に形成される第1当接面を有する第1当接部分と、
    チップ装着状態で、チップ本体部の底面に当接し、第1当接部分と間隔をあけ、前記ホルダ外周面側で、ホルダ軸線方向他端部側に形成される第2当接面を有する第2当接部分と、
    チップ装着状態で、チップ本体部の底面に当接し、第1当接部分および第2当接部分と間隔をあけ、ホルダ内方側に形成される第3当接面を有する第3当接部分と、
    第1当接部分と第2当接部分と第3当接部分とに挟まれ、チップ装着状態で、チップ本体部に間隔をあけて対向する凹底面を有する凹部分とが形成されていることを特徴とする切削工具。
  2. 前記L字状チップは、チップ本体部の底面が凸状に形成され、
    前記装着部は、前記第1当接面、前記第2当接面および前記第3当接面がそれぞれ平坦状に形成され、
    前記各当接面は、予め定める仮想平面内に形成されることを特徴とする請求項1に記載の切削工具。
  3. 前記L字状チップは、チップ本体部の底面が凹状に形成され、
    前記装着部は、前記第1当接面、前記第2当接面および前記第3当接面がそれぞれ平坦状に形成され、
    前記各当接面は、予め定める仮想平面内に形成されることを特徴とする請求項1に記載の切削工具。
  4. 前記第3当接部分は、前記ホルダ軸線方向一端部側に形成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の切削工具。
  5. 前記装着部は、チップ装着状態で、チップ本体部の側面のうち、少なくとも2つの側面がそれぞれ当接する第4当接面および第5当接面を有する側面部分がさらに形成されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の切削工具。
  6. 前記第1当接部分、前記第2当接部分および前記第3当接部分は、チップ装着状態で、厚み方向一方から見て、チップ本体部の略中心位置から、略等距離にそれぞれ形成されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の切削工具。
  7. 切刃を有するチップを着脱可能であり、略棒状に形成されるホルダであって、
    ホルダ軸線方向一端部に、チップの切刃がホルダの外周面またはホルダ軸線方向一端部から突出したチップ装着状態でチップが装着される装着部を含み、
    装着部は、
    チップ装着状態で、チップの底面に当接し、ホルダ外周面側であって、ホルダ軸線方向一端部側に形成される第1当接面を有する第1当接部分と、
    チップ装着状態で、チップの底面に当接し、第1当接部分と間隔をあけ、前記ホルダ外周面側で、ホルダ軸線方向他端部側に形成される第2当接面を有する第2当接部分と、
    チップ装着状態で、チップの底面に当接し、第1当接部分および第2当接部分と間隔をあけ、ホルダ内方側に形成される第3当接面を有する第3当接部分と、
    第1当接部分と第2当接部分と第3当接部分とに挟まれ、チップ装着状態で、チップに間隔をあけて対向する凹底面を有する凹部分とが形成されていることを特徴とするホルダ。
  8. 前記装着部は、前記第1当接面、前記第2当接面および前記第3当接面がそれぞれ平坦上に形成され、
    前記各当接面は、予め定める仮想平面内に形成されることを特徴とする請求項7に記載のホルダ。
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