JP2007296203A - 医療用酸素濃縮装置及びその作動方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】消費電力が低く、患者の経済的負担を軽減することのできる安全性に優れた医療用酸素濃縮装置を提供する。
【解決手段】医療用酸素濃縮装置を、原料空気に含まれる窒素を選択的に吸着しうる吸着剤が収容された吸着筒1a,1bと、吸着筒1a,1bに接続される流路を切り替えるための吸着筒切替弁2a,2b,2c,2dと、吸着剤に窒素が吸着されて酸素濃度が高められた酸素濃縮ガスを吸着筒1a,1bから取り出すための昇圧ポンプ3と、吸着筒1a,1bから取り出された酸素濃縮ガスを貯留するための貯留タンク4と、使用する酸素濃縮ガスの流量を設定するための流量設定手段5と、流量設定手段5に設定された流量に応じて貯留タンク4から取り出す酸素濃縮ガスの流量を制御する流量制御手段6と、吸着筒1a,1bの圧力を真空領域にまで低下させる真空ポンプ7とを備えたものとした。
【選択図】図1

Description

本発明は、酸素濃度を高めた酸素濃縮ガスを肺気腫や気管支炎などの呼吸器系の疾患を患っている患者に供給するための医療用酸素濃縮装置と、その作動方法に関する。
肺気腫や気管支炎などの呼吸器系疾患を治療するのに有効な方法として酸素吸入療法が知られている。酸素吸入療法は、酸素濃縮ガスを患者に吸入させることによって酸素不足に陥っている組織細胞に酸素を供給し、組織細胞の機能を維持することにより、息苦しさなど、患者が感じる苦痛を緩和するものである。1985年からは、在宅での酸素吸入療法にも医療保険が適用されるようになり、在宅で酸素吸入療法を受ける患者が増えてきている。
酸素吸入療法で患者が吸入する酸素濃縮ガスの供給源は、従来、酸素ボンベや液体酸素タンクであることが多かったが、近年、医療用酸素濃縮装置と呼ばれる装置に鼻カニューラや鼻マスクを接続して吸入することも多くなってきている。医療用酸素濃縮装置は、周囲の空気からその場で酸素濃縮ガスを生成でき、酸素ボンベや液体酸素タンクなどのように空になる心配がないので、在宅で酸素吸入療法を受ける患者が手軽に利用することができるものとなっている。酸素ボンベや液体酸素タンクが空になるのを心配しながら酸素吸入するのは、患者の精神的な不安を高めることになり、好ましいことではない。
医療用酸素濃縮装置は、周囲の空気(原料空気)に含まれる窒素を選択的に吸着する吸着剤を用いて酸素濃縮ガスを得る圧力変動吸着方式のものと、酸素透過膜を用いて酸素濃縮ガスを得る分離膜方式のものとに大別されるが、酸素濃度の高い酸素濃縮ガスを得やすいという理由から、圧力変動吸着方式のものが主流となってきている。
圧力変動吸着方式の医療用酸素濃縮装置は、原料空気に含まれる窒素を選択的に吸着しうる吸着剤が収容された複数の吸着筒と、原料空気を圧縮して吸着筒へ移送するためのコンプレッサーと、吸着筒から取り出された酸素濃縮ガスを一時的に貯留するための貯留タンクと、それぞれの吸着筒に接続される流路を切り替えるための吸着筒切替弁とを備えたものが一般的となっている(例えば、特許文献1)。
圧力変動吸着方式の医療用酸素濃縮装置では、原料空気を圧縮して吸着筒へ移送し、吸着筒の圧力を大気圧以上に上昇させることにより、原料空気に含まれる窒素を吸着剤に吸着させる吸着工程と、吸着筒の圧力を大気圧近傍まで低下させることにより吸着剤に吸着されていた窒素を脱離させる再生工程とが交互に切り替えられ、酸素濃縮ガスが得られるようになっている。
この種の医療用酸素濃縮装置には、通常、貯留タンクから取り出して使用する酸素濃縮ガスの流量を調節するための流量調節手段が設けられており、吸入する酸素濃縮ガスの流量を医師の処方によって定められた値に患者が適宜設定することができるようになっている。
この種の医療用酸素濃縮装置は、小型で使い勝手がよく、在宅での酸素吸入療法に適したものではあったが、コンプレッサーで原料空気を圧縮して吸着筒へ移送するものとなっており、消費電力の低減が困難なものとなっていた。また、コンプレッサーの故障などが原因で原料空気の圧力が異常に上昇して患者が危険にさらされるのを防止するために、原料空気の圧力が許容値を超えると原料空気を自動的にリークする安全弁などを設ける必要があった。医療用酸素濃縮装置をより普及させるためには、省電力化だけでなく、患者の安全性を十分に配慮した設計が求められる。
ところで、大量の酸素濃縮ガスを製造することが要求される工業用酸素濃縮装置では、真空ポンプによって再生工程時に吸着筒の圧力を真空領域まで低下させるものが提案されている(例えば、特許文献2)。これにより、再生工程を終えて圧力が真空領域にまで低下している吸着筒に原料空気を自然流入させただけで吸着工程を行うことが可能になる。
この種の工業用酸素濃縮装置は、コンプレッサーで原料空気を圧縮して吸着筒へ移送しなくても吸着工程を行うことができるために、消費電力の低減が可能なものであった。しかし、消費電力の低減だけでなく、患者の安全性に十分に配慮する必要がある医療用酸素濃縮装置でこのような工夫を施したものは見当たらなかった。
特開2005−058469号公報 特開2004−262743号公報
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、消費電力が低く、患者の経済的負担を軽減することのできる安全性に優れた医療用酸素濃縮装置を提供するものである。
上記課題は、
(a)原料空気に含まれる窒素を選択的に吸着しうる吸着剤が収容された複数の吸着筒と、
(b)それぞれの吸着筒に接続される流路を切り替えるための吸着筒切替弁と、
(c)吸着剤に窒素が吸着されて酸素濃度が高められた酸素濃縮ガスを吸着筒から取り出すための昇圧ポンプと、
(d)吸着筒から取り出された酸素濃縮ガスを一時的に貯留するための貯留タンクと、
(e)貯留タンクから取り出して使用する酸素濃縮ガスの流量を設定するための流量設定手段と、
(f)流量設定手段に設定された流量に応じて貯留タンクから取り出す酸素濃縮ガスの流量を制御する流量制御手段と、
(g)吸着筒の圧力を真空領域になるまで低下させる真空ポンプとを備え、
減圧状態の吸着筒に原料空気を自然流入させて該吸着筒の圧力を大気圧近傍まで上昇させ、原料空気に含まれる窒素を吸着剤に吸着させることによって酸素濃縮ガスを生成する吸着工程と、
吸着筒の圧力を真空領域になるまで低下させ、吸着剤に吸着されていた窒素を脱離させて吸着筒の外部へ排出することによって吸着剤の吸着能を再生する再生工程とを、
それぞれの吸着筒で順次行い、それぞれの吸着筒の圧力を真空領域と大気圧近傍との間で変動させることにより、酸素濃縮ガスを生成して患者に供給することができるようにしたことを特徴とする医療用酸素濃縮装置
を提供することによって解決される。
ここで、「真空領域」とは、好適には、真空度が50kPa以上の状態をいい、より好適には60kPa以上の状態を、さらに好適には70kPa以上の状態をいう。また、「大気圧近傍」とは、圧力が大気圧に近い状態のことをいう。好適には、真空度が20kPa以下の状態を、より好適には真空度が10kPa以下の状態を、さらに好適には、真空度が5kPa以下の状態をいう。さらに、「減圧状態」とは、好適には、真空度が30kPa以上の状態をいい、より好適には50kPa以上の状態をいう。
このように、再生工程にある吸着筒の圧力を真空領域まで低下させることによって、原料空気を吸着筒の内部へ自然流入させることができるようになる。したがって、原料空気をコンプレッサーで圧縮して吸着筒へ移送しなくても吸着工程を行うことが可能になり、原料空気の圧力の異常な上昇が生じないようにして医療用酸素濃縮装置の安全性を高めることが可能になる。また、医療用酸素濃縮装置の消費電力を抑えることも可能になる。
真空ポンプを駆動するモータの種類は、とくに限定されないが、真空ポンプが交流モータによって駆動されるものであり、流量設定手段に設定された流量が多い場合には再生工程を行う時間が短く設定され、流量設定手段に設定された流量が少ない場合には再生工程を行う時間が長く設定されると好ましい。
これにより、流量設定手段に設定された流量が少ない場合に、真空ポンプを駆動するモータにかかる負荷を軽減することができるようになり、医療用酸素濃縮装置の消費電力をさらに抑えることも可能になる。また、真空ポンプを交流モータで駆動することによって、真空ポンプから発せられる電磁的ノイズを抑えるだけでなく、真空ポンプの価格を安く抑えることも可能になる。
真空ポンプを交流モータで駆動する場合には、起動開始から所定時間が経過するまでの間は真空ポンプを駆動する交流モータの電圧が高く設定され、起動開始から所定時間が経過した後は真空ポンプを駆動する交流モータの電圧が低く設定されると好ましい。これにより、真空ポンプを速やかに駆動しながらも、真空ポンプの消費電力を低く抑えることが可能になる。
一方、真空ポンプが直流ブラシレスモータによって駆動されるものであり、流量設定手段に設定された流量が多い場合には、直流ブラシレスモータの回転数が高く設定され、流量設定手段に設定された流量が少ない場合には、直流ブラシレスモータの回転数が低く設定されると好ましい。これにより、流量設定手段に設定された流量が少ない場合には、真空ポンプを駆動する直流ブラシレスモータの消費電力を抑えることが可能になる。また、流量設定手段に設定された酸素濃縮ガスの流量に応じて、再生工程、上部均圧工程又は下部均圧工程を行う時間の長さを変更することも好ましい。これにより、医療用酸素濃縮装置をより最適な条件で運転することが可能になり、医療用酸素濃縮装置の消費電力を従来品に比べて大幅に低減することができる。直流ブラシレスモータをインバータ回転制御する際には、電気的ノイズを抑える手段を設けると好ましい。
ところで、それぞれの吸着筒における酸素濃縮ガス導出側の端部同士が並列配置された均圧弁及びパージ弁を介して接続され、流量設定手段に設定された流量が多い場合には、均圧弁又はパージ弁を開く時間が長く設定され、流量設定手段に設定された流量が少ない場合には、均圧弁又はパージ弁を開く時間が短く設定されると好ましい。これにより、酸素濃縮ガスをさらに効率的に生成することが可能になる。均圧弁とパージ弁については後述する。
また、装置停止時には、真空ポンプよりも先に昇圧ポンプが停止し、その後所定時間が経過してから真空ポンプが停止するように設定されることも好ましい。これにより、吸着筒に残留する水分を真空ポンプで吸い出してから医療用酸素濃縮装置を停止することが可能になり、吸着剤の吸着性能の低下を防止することが可能になる。
さらに、真空ポンプの空気排出側に消音器を設けることも好ましい。これにより、真空ポンプから送出されたガスの脈動に起因する不快な騒音を軽減することが可能になる。したがって、医療用酸素濃縮装置を在宅で用いるのにより好適なものとすることができる。
さらにまた、流量設定手段は、つまみを回転操作することによって取り出す酸素濃縮ガスの流量を設定できるようにしたつまみ式のものであってもよいが、押ボタンスイッチ式のものであると好ましい。これにより、指先が不自由な人であっても、酸素濃縮ガスの流量を容易に設定することができるようになる。
以上のように、本発明によって、消費電力が低く、患者の経済的負担を軽減することのできる安全性に優れた医療用酸素濃縮装置を提供することが可能になる。
1.医療用酸素濃縮装置
本発明の医療用酸素濃縮装置の好適な実施態様を、図面を用いてより具体的に説明する。図1は、本発明の医療用酸素濃縮装置の好適な実施態様を示したシステムフロー図である。
本実施態様の医療用酸素濃縮装置は、図1に示すように、吸着筒1a,1bと、吸着筒切替弁2a,2b,2c,2dと、昇圧ポンプ3と、貯留タンク4と、流量設定手段5と、流量制御手段6と、真空ポンプ7とを備えたものとなっており、後述する吸着工程と再生工程とを吸着筒1a,1bで順次行うことにより、酸素濃縮ガスを連続的に生成して患者に供給することができるものとなっている。吸着筒1a,1bの上部(酸素濃縮ガス導出側の端部)に接続された並列な2本の流路には、それぞれ均圧弁8とパージ弁9とが設けられており、真空ポンプ7の空気排出側には、消音器10が設けられている。
2.吸着筒
吸着筒1a,1bの内部には、窒素を選択的に吸着しうる吸着剤が収容されている。吸着筒1a,1bの形態は、とくに限定されないが、本実施態様の医療用酸素濃縮装置においては、円筒状のものを採用している。吸着筒1aの上部は、逆止弁11aを介して昇圧ポンプ3に接続されており、吸着筒1bの上部は、逆止弁11bを介して昇圧ポンプ3に接続されている。一方、吸着筒1aの下部(原料空気導入側の端部)は、吸着筒切替弁2aを介して原料空気が導入されるフィルター12に接続されている。また、吸着筒1aの下部は、吸着筒切替弁2bを介して真空ポンプ7にも接続されている。
吸着筒1a、1bの容積は、取り出す酸素濃縮ガスの流量や吸着剤の吸着能などによって異なり、とくに限定されないが、大きすぎると医療用酸素濃縮装置の小型化が困難になるおそれがあり、小さすぎると酸素濃縮ガスを効率的に生成できなくなるおそれがある。このため、吸着筒1a,1bの容積は、通常、0.5〜5.0リットルに設定される。吸着筒1a,1bの容積は、1.0〜3.0リットルであると好ましく、2.0〜2.5リットルであるとより好ましい。
吸着筒1a,1bに収容する吸着剤は、窒素を選択的に吸着しうるものであればとくに限定されず、A型ゼオライトやX型ゼオライトなどの合成ゼオライトが好適である。とくに、X型ゼオライトは優れた吸着能を発揮するために好ましい。本実施態様の医療用酸素濃縮装置においては、X型ゼオライトのなかでも、少ない圧力差で原料空気に含まれる窒素を多く吸着することのできる、リチウムイオンで交換されたゼオライトを吸着剤として使用している。吸着筒1aと吸着筒1bとのそれぞれに収容する吸着剤の量は、取り出す酸素濃縮ガスの流量などによって異なり、とくに限定されないが、取り出す酸素濃縮ガスが毎分3リットル程度である場合、700〜1200gが適当である。
2.吸着筒切替弁
吸着筒切替弁2a,2b,2c,2dは、吸着筒1a,1bの下部に接続される流路を切り替えるためのものとなっている。この吸着筒切替弁2a,2b,2c,2dの具体的な動作については後述する。
3.昇圧ポンプ
昇圧ポンプ3は、吸着工程(大気圧近傍)にある吸着筒1a又は吸着筒1bに収容されている吸着剤に窒素を吸着させた酸素濃縮ガスを吸着筒1a,1bから吸い出し、貯留タンク4へと移送するためのものである。使用する昇圧ポンプの種類は、とくに限定しないが、レシプロケイト式や電磁ダイヤフラム式など、従来公知の各種のものを採用することができる。
また、酸素濃縮ガスを短時間で大量に移送する必要がない場合には、昇圧ポンプ3の移送能力をそれほど高くする必要はない。このため、本実施態様の医療用酸素濃縮装置は、取り出す酸素濃縮ガスの流量が少ない場合には、昇圧ポンプ3の移送能力を低く変更するようになっており、昇圧ポンプ3も、使用する酸素濃縮ガスの流量に応じて効率よく運転することで消費電力を抑えることができる。
4.貯留タンク
貯留タンク4は、吸着筒から取り出された酸素濃縮ガスを一時的に貯留するためのものとなっている。貯留タンク4の形態は、とくに限定されないが、本実施態様の医療用酸素濃縮装置においては、円筒状のものを採用している。貯留タンク4の上部は、昇圧ポンプ3に接続されており、貯留タンク4の下部は、酸素濃縮ガスに含まれる微細な異物を除去するためのフィルター13を介して流量制御手段6に接続されている。
貯留タンク4の容積は、取り出す酸素濃縮ガスの流量や貯留タンク4に加わる濃縮酸素ガスの圧力などによって異なり、とくに限定されないが、大きすぎると医療用酸素濃縮装置の小型化が困難になるおそれがあり、小さすぎると酸素濃縮ガスを患者へ連続的に供給できなくなるおそれがある。このため、貯留タンク4の容積は、通常、0.5〜5.0リットルに設定される。貯留タンク4の容積は、1.0〜3.0リットルであると好ましく、1.5〜2.5リットルであるとより好ましい。
5.流量設定手段
流量設定手段5は、取り出す酸素濃縮ガスの流量を医師の処方に基づいた値に患者が適宜設定するためのものとなっている。本実施態様の医療用酸素濃縮装置においては、流量設定手段5として、つまみを回さなくてもボタンスイッチを押すだけで流量を設定でき、指先が不自由な人でも容易に操作することのできる押ボタンスイッチ式のものを採用している。酸素濃縮ガスの流量は、毎分0.25リットル、毎分0.5リットル、毎分0.75リットル、毎分1.0リットル、毎分1.5リットル、毎分2.0リットル、毎分2.5リットル、毎分3.0リットルの8段階で設定できるようになっている。設定された流量は、流量表示手段(図示省略)に数字で表示されるようになっており、患者が確認することができるようになっている。
流量設定手段5に設ける押ボタンスイッチの種類や配置は、とくに限定されないが、本実施態様の医療用酸素濃縮装置においては、流量を1段階だけ大きな値に変更する流量増大用の押ボタンスイッチ(流量アップボタン)と、流量を1段階だけ小さな値に変更する流量減少用の押ボタンスイッチ(流量ダウンボタン)とを備えたものとなっており、機械の操作が苦手な人でも容易に操作できるようになっている。それぞれの押ボタンスイッチは共通な1枚の透明な防水シートで覆われており、防水シートの裏面には、押ボタンスイッチの種類を表示する文字や図形が印刷されている。
流量設定手段5に設定された流量を表示する流量表示手段としては、発光ダイオードを用いた表示器や、液晶モジュールを用いた表示器などが例示される。本実施態様の医療用酸素濃縮装置においては、流量表示手段として、7セグメント式の発光ダイオード表示器を採用している。流量表示手段は、表示する明るさを最適な値に調節できるようになっていると好ましい。これにより、流量設定手段5に設定された流量を昼夜を問わず容易に確認することが可能になる。また、流量表示手段から発せられる光がまぶしくて眠ることができないといった問題を解決することも可能になる。流量表示手段が表示する明るさは、光センサが検知した周囲の明るさに応じて変化するなど、自動的に調節されるようになっていてもよいし、患者が好みに応じて設定することができるように、手動で調節されるようになっていてもよい。
6.流量制御手段
流量制御手段6は、流量設定手段5に設定された流量に応じて、貯留タンク4から取り出す酸素濃縮ガスの流量を制御するためのものとなっている。流量制御手段6は、酸素濃縮ガスの流量を制御できるものであればとくに限定されず、径の異なる複数の孔を備えたオリフィスや、流量調節弁(減圧弁)などであってもよいが、本実施態様の医療用酸素濃縮装置においては、比例制御弁を用いている。この比例制御弁は、流量検知手段19が検知した酸素濃縮ガスの流量によってフィードバック制御されるようになっており、酸素濃縮ガスの流量を高い精度で制御することができるようになっている。また、患者に供給される酸素濃縮ガスの流量の異常な増大を防ぐなど、患者の安全性を高めることもできるようになっている。
流量制御手段6を通過した酸素濃縮ガスは、非常に乾燥しており、水分を殆ど含んでいないため、患者がそのまま長時間吸入すると、口や鼻の粘膜を痛めるおそれがある。このため、本実施態様の医療用酸素濃縮装置は、流量制御手段6と酸素濃縮ガス送出口15との間に加湿手段14を設けており、酸素濃縮ガスの湿度を加湿手段14で高めてから患者に供給するようになっている。流量制御手段6と加湿手段14とを結ぶ流路には、酸素濃縮ガスの酸素濃度を検知するための酸素濃度検知手段16と、酸素濃縮ガスの圧力を検知するための圧力検知手段17と、酸素濃縮ガスの流量を検知するための流量検知手段19と、酸素濃縮ガスの逆流を防止するための逆止弁18とが設けられている。
7.真空ポンプ
真空ポンプ7は、吸着筒の圧力を真空領域にまで低下させるためのものとなっている。真空ポンプ7を駆動するモータの種類は、とくに限定されず、交流モータや直流ブラシレスモータを使用することができる。
本実施態様の医療用酸素濃縮装置において、真空ポンプ7には冷却ファン20が備えられており、真空ポンプ7を冷却することができるようになっている。ただし、酸素濃縮ガスを短時間で大量に生成する必要がない場合には、冷却ファン20の回転数はそれほど高くする必要がない。このため、本実施態様の医療用酸素濃縮装置は、流量設定手段5に設定された流量が少ない場合には、冷却ファン20の回転数が低く変更されるようになっており、医療用酸素濃縮装置の消費電力を抑えることができるようになっている。
8.均圧弁
均圧弁8は、上部均圧工程を行うためのものとなっている。均圧弁8の具体的な動作や上部均圧工程については後述する。
9.パージ弁
パージ弁9は、パージ工程を行うためのものとなっている。パージ弁9の具体的な動作やパージ工程については後述する。
10.消音器
消音器10は、真空ポンプ7から送出されたガスの脈動に起因する不快な騒音を軽減するためのものとなっている。図2は、図1における消音器10を切断した状態を示した断面図である。消音器10の形態は、とくに限定されないが、図2に示すように、タンク部10aにガス導入口10bとガス排出口10cとを有し、ガス導入口10bからタンク部10aの内部に導入されたガスを迂回させてガス排出口10cから排出させることができるようにしたものであると好ましい。これにより、消音器10の消音作用を高めることができる。ガス導入口10bとガス排出口10cは、タンク部10aの同じ側に設けると好ましい。これにより、消音器10の寸法を小さくすることが可能になる。ガス排出口10cをノズル状に形成してタンク部10aの外部へ突出させることも好ましい。これにより、消音器10の消音作用をさらに高めることができる。
タンク部10aの容積は、真空ポンプ7の種類などによっても異なり、とくに限定されないが、小さすぎると真空ポンプ7から送出されたガスの脈動を十分に緩和することができず、消音効果が低下するおそれがあり、大きすぎると医療用酸素濃縮装置の小型化が困難になるおそれがある。このため、タンク部10aの容積は、通常、0.1〜1.0リットルに設定される。タンク部10aの容積は、0.2〜0.5リットルであると好ましい。本実施態様の医療用酸素濃縮装置において、タンク部10aの容積は、0.3リットルとなっている。
タンク部10aの素材は、とくに限定されず、アルミニウムなどの金属であってもよいが、ポリプロピレンなどの樹脂であると好ましい。これにより、消音器10の製造コストを低減するだけでなく、消音器10を軽量化することも可能になる。タンク部10aには、補強リブなどを設けてもよい。本実施態様の医療用酸素濃縮装置において、タンク部10aは、ポリプロピレンをブロー成形したものとなっている。原料空気をコンプレッサーなどで圧縮して吸着筒1a,1bに供給する従来の医療用酸素濃縮装置では、吸着筒から短時間で大量のガスが送出されるので、消音器10の耐圧を高める必要があるが、原料空気を吸着筒1a,1bに自然流入させる本発明の医療用酸素濃縮装置は、真空ポンプ7からガスが緩やかに送出されるので、消音器10の耐圧を高める必要性が低い。このため、樹脂で成形された消音器10を用いることができる。
11.医療用酸素濃縮装置の作動方法
続いて、上記の医療用酸素濃縮装置の具体的な作動方法について説明する。図3は、本発明の医療用酸素濃縮装置を駆動する動作シーケンスの一例を示したタイミングチャートである。図4は、図1の医療用酸素濃縮装置を図3の動作シーケンスで駆動した場合における吸着筒1aの真空度の変動を示したグラフである。図5は、図1の医療用酸素濃縮装置を図3の動作シーケンスで駆動した場合における吸着筒1bの真空度の変動を示したグラフである。
図3の動作シーケンスは、8つのステップS1〜S8を順次繰り返し行うことにより、吸着筒1aと吸着筒1bとで酸素濃縮ガスを生成する。ステップS1〜S8において、吸着筒1aと吸着筒1bでは、それぞれ下記表1に示す工程が行われる。ステップS8が終わると、再びステップS1に戻る。図3の動作シーケンスは、取り出す酸素濃縮ガスの流量が多い(大流量である)場合のタイミングチャートである。
Figure 2007296203
12.吸着工程
吸着工程は、再生工程を終えて減圧状態にある吸着筒に原料空気を自然流入させ、原料空気に含まれる窒素を吸着剤に吸着させることによって、酸素濃度が高められた酸素濃縮ガスを生成する工程である。
吸着筒1aの吸着工程は、上記表1に示すように、ステップS1で行われる。本実施態様の医療用酸素濃縮装置において、吸着筒1aの吸着工程は、吸着筒切替弁2aを開き、吸着筒切替弁2bを閉じた状態で行われる。このとき、原料空気導入口12から医療用酸素濃縮装置の内部へ導入された原料空気は、吸着筒切替弁2aを通過して吸着筒1aの内部へと自然流入する。したがって、吸着筒1aの圧力は、図4に示すように、大気圧近傍まで上昇する。吸着筒1aで生成された酸素濃縮ガスは、逆止弁11aを通過した後、昇圧ポンプ3によって貯留タンク4に貯留される。
一方、吸着筒1bの吸着工程は、上記表1に示すように、ステップS5で行われる。本実施態様の医療用酸素濃縮装置において、吸着筒1bの吸着工程は、吸着筒切替弁2cを開き、吸着筒切替弁2dを閉じた状態で行われる。このとき、原料空気導入口12から医療用酸素濃縮装置の内部へ導入された原料空気は、吸着筒切替弁2cを通過して吸着筒1bの内部へと自然流入する。したがって、吸着筒1bの圧力は、図5に示すように、大気圧近傍まで上昇する。吸着筒1bで生成された酸素濃縮ガスは、逆止弁11bを通過した後、昇圧ポンプ3によって貯留タンク4に貯留される。
13.パージ工程
パージ工程は、吸着工程を終えた吸着筒の内部に残っている酸素濃縮ガスを、再生工程を終えた(次に吸着工程が開始される)他の吸着筒へと移送し、他の吸着筒の内部に残っている酸素濃度が低いガス(窒素濃度が高いガス)を外部へと追い出すことにより、酸素濃度が低いガスを酸素濃縮ガスで置換する工程である。
このパージ工程は、上記表1に示すように、ステップS2とステップS6とで行われる。ステップS2では、吸着筒1aの内部に残っている酸素濃縮ガスが吸着筒1bへと移送され、ステップS6では、吸着筒1bの内部に残っている酸素濃縮ガスが吸着筒1aへと移送される。
本実施態様の医療用酸素濃縮装置において、パージ工程は、パージ弁9を開き、吸着筒1aの上部と吸着筒1bの上部とを連通させることによって行われる。このとき、他の吸着筒の内部に残っている酸素濃度が低いガス(窒素濃度が高いガス)が他の吸着筒の外部へと排出されるように、ステップS2のパージ工程は、吸着筒切替弁2dを開いた状態で行い、ステップS6のパージ工程は、吸着筒切替弁2bを開いた状態で行う。
本実施態様の医療用酸素濃縮装置においては、パージ弁9が設けられた流路に、パージ弁9と直列にオリフィス21を設けている。このため、パージ工程において、吸着筒1aから吸着筒1bあるいは吸着筒1bから吸着筒1aへと一度に大量の酸素濃縮ガスが流れ込まないようになっており、酸素濃縮ガスと酸素濃度の低いガス(窒素濃度が高いガス)とがパージ工程を行っている吸着筒の内部で過度に混ざるのを防止している。
以上のパージ工程を行うことによって、酸素濃縮ガスをより効率的に高めることができるようになる。ただし、酸素濃縮ガスを短時間で大量に生成する必要がない場合には、酸素濃縮ガスの生成が多少非効率的であってよいので、本実施態様の医療用酸素濃縮装置においては、流量設定手段5に設定された流量が少ない場合にパージ弁9を開く時間が短く変更され、パージ工程を行う時間が短くなるように設定されている。
14.上部均圧工程
上部均圧工程は、吸着工程を終えた吸着筒の上部に残留している高濃度の酸素濃縮ガスを、再生工程を終えた(次に吸着工程が行われる)他の吸着筒の上部へと移送し、次に吸着工程が行われる吸着筒の圧力を予め高めておく工程である。
この上部均圧工程は、上記表1に示すように、ステップS3とステップS7とで行われる。ステップS3では、吸着筒1aの上部に残留している高濃度の酸素濃縮ガスが吸着筒1bの上部へと移送され、ステップS7では、吸着筒1bの上部に残留している高濃度の酸素濃縮ガスが吸着筒1aへと移送される。
本実施態様の医療用酸素濃縮装置において、上部均圧工程は、均圧弁8を開き、吸着筒1aの上部と吸着筒1bの上部とを連通させることによって行われる。このとき、再生工程を終えて減圧状態にある吸着筒へ移送された酸素濃縮ガスが外部へ抜け出ないように上部均圧工程の時間を調整する必要がある。ステップS3の上部均圧工程は、吸着筒切替弁2dを閉じた状態で行い、ステップS7の上部均圧工程は、吸着筒切替弁2bを閉じた状態で行う。
以上の上部均圧工程を行うことによって、酸素濃縮ガスをより効率的に生成することができる。ただし、酸素濃縮ガスを短時間で大量に生成する必要がない場合には、酸素濃縮ガスの生成が多少非効率的であってもよい。このため、本実施態様の医療用酸素濃縮装置は、流量設定手段5に設定された流量が少ない場合に、均圧弁8を開く時間が短く変更され、上部均圧工程を行う時間が短縮されるようになっている。
15.下部均圧工程
下部均圧工程は、吸着工程を終えた吸着筒の下部に残留している成分が空気に比較的近いガスを、再生工程を終えた(次に吸着工程が行われる)他の吸着筒の下部へと移送し、次に吸着工程が行われる吸着筒の圧力を予め高めておく工程である。下部均圧工程は、上部均圧工程と同時に行ってもよい。
この下部均圧工程は、上記表1に示すように、ステップS4とステップS8とで行われる。ステップS4では、吸着筒1aの下部に残留しているガスが吸着筒1bの下部へと移送され、ステップS8では、吸着筒1bの下部に残留しているガスが吸着筒1aの下部へと移送される。
本実施態様の医療用酸素濃縮装置において、下部均圧工程は、吸着筒切替弁2aと吸着筒切替弁2cとを開き、吸着筒1aの下部と吸着筒1bの下部とを連通させることによって行われる。このとき、吸着工程を終えた吸着筒から移送されてきた、成分が空気に比較的近いガスが、次に吸着工程が行われる吸着筒の上部へ抜け出ないように、下部均圧工程の時間を調整する必要がある。ステップS4の下部均圧工程とステップS8の下部均圧工程はいずれも、吸着筒切替弁2bと吸着筒切替弁2dとを閉じた状態で行う。
以上の下部均圧工程を行うことによって、酸素濃縮ガスをより効率的に生成することができるようになる。ただし、酸素濃縮ガスを短時間で大量に生成する必要がない場合には、酸素濃縮ガスの生成が多少非効率的であってもよい。このため、本実施態様の医療用酸素濃縮装置は、流量設定手段5に設定された流量が少ない場合に、吸着筒切替弁2a,2cを開く時間が短く変更され、下部均圧工程を行う時間が短縮されるようになっている。
16.再生工程
再生工程は、吸着工程を終えた吸着筒の圧力を低下させ(吸着筒の真空度を高め)、吸着剤に吸着されていた窒素及び水分を脱離させて吸着筒の外部へ排出することによって、吸着剤の吸着能を再生する工程である。
吸着筒1aの再生工程は、上記の表1に示すように、ステップS5で行われる。本実施態様の医療用酸素濃縮装置において、吸着筒1aの再生工程は、吸着筒切替弁2aを閉じ、吸着筒切替弁2bを開いた状態で行われる。このとき、吸着筒1aと吸着筒1bが連通していると、原料空気が吸着筒1bから吸着筒1aへ流れ込んで吸着筒1aの圧力が上昇してしまうために、吸着筒1aの再生工程は、パージ弁9と均圧弁8とを閉じた状態で行われる。吸着筒1aの内部に残っていたガスは、真空ポンプ7によって吸引され、消音器10から外気へと排出される。吸着筒1aの再生工程が終わる頃には、吸着筒1aの真空度は、図4に示すように、70kPa程度にまで達している。
吸着筒1bの再生工程は、上記の表1に示すように、ステップS1で行われる。本実施態様の医療用酸素濃縮装置において、吸着筒1bの再生工程は、吸着筒切替弁2cを閉じ、吸着筒切替弁2dを開いた状態で行われる。このとき、吸着筒1aと吸着筒1bが連通していると、原料空気が吸着筒1aから吸着筒1bへ流れ込んで吸着筒1bの圧力が上昇してしまうために、吸着筒1bの再生工程も、パージ弁9と均圧弁8とを閉じた状態で行われる。吸着筒1bの内部に残っていたガスは、真空ポンプ7によって吸引され、消音器10から外気へと排出される。吸着筒1bの再生工程が終わる頃には、吸着筒1bの真空度は、図5に示すように、70kPa程度にまで達している。
17.真空ポンプを交流モータで駆動する場合における医療用酸素濃縮装置の作動方法
図9は、図1の真空ポンプ7に交流100Vの電源電圧を印加した場合における真空ポンプ7の消費電力の変化を示したグラフである。図10は、図1の真空ポンプ7に交流70Vの電源電圧を印加した場合における真空ポンプ7の消費電力の変化を示したグラフである。図9と図10を見ると、真空ポンプ7の消費電力は、真空度が0kPaから50kPa程度になるまでの範囲では単調に増加するものの、真空度が50kPaを超えたあたりをピークに減少していくことが分かる。
したがって、真空ポンプ7を交流モータで駆動する場合には、再生工程にある吸着筒の真空度を50kPaを超える範囲でできるだけ高め、その状態を長時間維持することで、真空ポンプ7の消費電力を抑えることができる。吸着筒の真空度を高めるためには、再生工程を行う時間を長くする必要がある。しかし、流量設定手段5に設定された流量が多く、短いサイクルで多量の酸素濃縮ガスを生成する必要がある場合には、再生工程を長く確保することが困難である。このため、本実施態様の医療用酸素濃縮装置は、流量設定手段5に設定された流量が多い場合には再生工程を行う時間を短く設定し、流量設定手段5に設定された流量が少ない場合にのみ再生工程を行う時間を長く設定するようになっている。
例えば、流量設定手段5に設定された流量が多い場合には、医療用酸素濃縮装置を図3の動作シーケンスで作動させ、流量設定手段5に設定された流量が少ない場合には、医療用酸素濃縮装置を図6の動作シーケンスで作動させると好ましい。図6は、本発明の医療用酸素濃縮装置を駆動する動作シーケンスの他の例を示したタイミングチャートである。図7は、図1の医療用酸素濃縮装置を図6の動作シーケンスで駆動した場合における吸着筒1aの真空度の変動を示したグラフである。図8は、図1の医療用酸素濃縮装置を図6の動作シーケンスで駆動した場合における吸着筒1bの真空度の変動を示したグラフである。
図6の動作シーケンスは、4つのステップS10〜S13を順次繰り返し行うことにより、吸着筒1aと吸着筒1bとで酸素濃縮ガスを生成するものとなっている。ステップS10〜S13において、吸着筒1aと吸着筒1bでは、それぞれ下記表2に示す工程が行われている。ステップS13が終わると、再びステップS10に戻る。図6の動作シーケンスは、少ない流量の酸素濃縮ガスを効率的に生成することができるものとなっている。
Figure 2007296203
図6の動作シーケンスは、図3の動作シーケンスよりも再生工程を行う時間が長く設定されている。このため、吸着筒1a,1bの真空度は、図7と図8に示すように、再生工程が終わる頃には90kPaにまで達するようになっている。また、図6の動作シーケンスでは、上部均圧工程と下部均圧工程とが同時に行われるようになっており、図3の動作シーケンスよりも均圧工程を行う時間が短く設定されている。さらに、図6に示す動作シーケンスでは、パージ工程が省かれており、パージ弁9は実質的に均圧弁8と同様の作用をするようになっている。図6の動作シーケンスは、少ない流量の酸素濃縮ガスを効率的に生成することができるものとなっている。
また、真空ポンプ7を交流モータで駆動する場合には、医療用酸素濃縮装置の起動開始から所定時間が経過するまでの間は交流モータの電圧が高く設定され、医療用酸素濃縮装置の起動開始から所定時間が経過した後は交流モータの電圧が低く設定されると好ましい。これにより、真空ポンプ7を短時間で起動しながらも、真空ポンプ7の消費電力を抑えることが可能になる。
18.真空ポンプを直流ブラシレスモータで駆動する場合における医療用酸素濃縮装置の作動方法
真空ポンプ7を直流ブラシレスモータで駆動する場合には、流量設定手段5に設定された流量に応じて、直流ブラシレスモータの回転数を変化させると好ましい。すなわち、流量設定手段5に設定された流量が多い場合には、直流ブラシレスモータの回転数を高く設定し、流量設定手段5に設定された流量が少ない場合には、直流ブラシレスモータの回転数を低く設定する。これにより、真空ポンプを駆動する直流ブラシレスモータの消費電力を抑えることが可能になる。また、流量設定手段5に設定された酸素濃縮ガスの流量に応じて、再生工程、上部均圧工程又は下部均圧工程を行う時間の長さを変更することも好ましい。これにより、医療用酸素濃縮装置をより最適な条件で運転することが可能になり、医療用酸素濃縮装置の消費電力を従来品に比べて大幅に低減することができる。
19.用途
本発明の医療用酸素濃縮装置は、安全性が高いために、酸素吸入療法に用いるものとして好適である。また、消費電力が低く、低騒音であり、かつ小型化も容易であるために、在宅で酸素吸入療法を行う際に用いるものとしてとくに好適である。さらに、携帯型の医療用酸素濃縮装置としての需要も大いに期待される。
本発明の医療用酸素濃縮装置の好適な実施態様を示したシステムフロー図である。 図1における消音器10を切断した状態を示した断面図である。 本発明の医療用酸素濃縮装置を駆動する動作シーケンスの一例を示したタイミングチャートである。 図1の医療用酸素濃縮装置を図3の動作シーケンスで駆動した場合における吸着筒1aの真空度の変動を示したグラフである。 図1の医療用酸素濃縮装置を図3の動作シーケンスで駆動した場合における吸着筒1bの真空度の変動を示したグラフである。 本発明の医療用酸素濃縮装置を駆動する動作シーケンスの他の例を示したタイミングチャートである。 図1の医療用酸素濃縮装置を図6の動作シーケンスで駆動した場合における吸着筒1aの真空度の変動を示したグラフである。 図1の医療用酸素濃縮装置を図6の動作シーケンスで駆動した場合における吸着筒1bの真空度の変動を示したグラフである。 図1の真空ポンプ7に交流100Vの電源電圧を印加した場合における真空ポンプ7の消費電力の変化を示したグラフである。 図1の真空ポンプ7に交流70Vの電源電圧を印加した場合における真空ポンプ7の消費電力の変化を示したグラフである。
符号の説明
1a 吸着筒
1b 吸着筒
2a 吸着筒切替弁
2b 吸着筒切替弁
2c 吸着筒切替弁
2d 吸着筒切替弁
3 昇圧ポンプ
4 貯留タンク
5 流量設定手段
6 流量制御手段
7 真空ポンプ
8 均圧弁
9 パージ弁
10 消音器
11a 逆止弁
11b 逆止弁
12 フィルター(原料空気導入口)
13 フィルター
14 加湿手段
15 酸素濃縮ガス送出口
16 酸素濃度検知手段
17 圧力検知手段
18 逆止弁
19 流量検知手段
20 冷却ファン
21 オリフィス

Claims (9)

  1. (a)原料空気に含まれる窒素を選択的に吸着しうる吸着剤が収容された複数の吸着筒と、
    (b)それぞれの吸着筒に接続される流路を切り替えるための吸着筒切替弁と、
    (c)吸着剤に窒素が吸着されて酸素濃度が高められた酸素濃縮ガスを吸着筒から取り出すための昇圧ポンプと、
    (d)吸着筒から取り出された酸素濃縮ガスを一時的に貯留するための貯留タンクと、
    (e)貯留タンクから取り出して使用する酸素濃縮ガスの流量を設定するための流量設定手段と、
    (f)流量設定手段に設定された流量に応じて貯留タンクから取り出す酸素濃縮ガスの流量を制御する流量制御手段と、
    (g)吸着筒の圧力を真空領域になるまで低下させる真空ポンプとを備え、
    減圧状態の吸着筒に原料空気を自然流入させて該吸着筒の圧力を大気圧近傍まで上昇させ、原料空気に含まれる窒素を吸着剤に吸着させることによって酸素濃縮ガスを生成する吸着工程と、
    吸着筒の圧力を真空領域になるまで低下させ、吸着剤に吸着されていた窒素を脱離させて吸着筒の外部へ排出することによって吸着剤の吸着能を再生する再生工程とを、
    それぞれの吸着筒で順次行い、それぞれの吸着筒の圧力を真空領域と大気圧近傍との間で変動させることにより、酸素濃縮ガスを生成して患者に供給することができるようにしたことを特徴とする医療用酸素濃縮装置。
  2. 真空ポンプが交流モータによって駆動されるものであり、流量設定手段に設定された流量が多い場合には再生工程を行う時間が短く設定され、流量設定手段に設定された流量が少ない場合には再生工程を行う時間が長く設定される請求項1記載の医療用酸素濃縮装置。
  3. 起動開始から所定時間が経過するまでの間は真空ポンプを駆動する交流モータの電圧が高く設定され、起動開始から所定時間が経過した後は真空ポンプを駆動する交流モータの電圧が低く設定される請求項2記載の医療用酸素濃縮装置。
  4. 真空ポンプが直流ブラシレスモータによって駆動されるものであり、流量設定手段に設定された流量が多い場合には、直流ブラシレスモータの回転数が高く設定され、流量設定手段に設定された流量が少ない場合には、直流ブラシレスモータの回転数が低く設定される請求項1記載の医療用酸素濃縮装置。
  5. それぞれの吸着筒における酸素濃縮ガス導出側の端部同士が並列配置された均圧弁及びパージ弁を介して接続され、流量設定手段に設定された流量が多い場合には、均圧弁又はパージ弁を開く時間が長く設定され、流量設定手段に設定された流量が少ない場合には、均圧弁又はパージ弁を開く時間が短く設定される請求項1〜4いずれか記載の医療用酸素濃縮装置。
  6. 装置停止時には、真空ポンプよりも先に昇圧ポンプが停止し、その後所定時間が経過してから真空ポンプが停止するように設定された請求項1〜5いずれか記載の医療用酸素濃縮装置。
  7. 真空ポンプの空気排出側に消音器を設けた請求項1〜6いずれか記載の医療用酸素濃縮装置。
  8. 流量設定手段が押ボタンスイッチ式のものである請求項1〜7いずれか記載の医療用酸素濃縮装置。
  9. (a)原料空気に含まれる窒素を選択的に吸着しうる吸着剤が収容された複数の吸着筒と、
    (b)それぞれの吸着筒に接続される流路を切り替えるための吸着筒切替弁と、
    (c)吸着剤に窒素が吸着されて酸素濃度が高められた酸素濃縮ガスを吸着筒から取り出すための昇圧ポンプと、
    (d)吸着筒から取り出された酸素濃縮ガスを一時的に貯留するための貯留タンクと、
    (e)貯留タンクから取り出して使用する酸素濃縮ガスの流量を設定するための流量設定手段と、
    (f)流量設定手段に設定された流量に応じて貯留タンクから取り出す酸素濃縮ガスの流量を制御する流量制御手段と、
    (g)吸着筒の圧力を真空領域になるまで低下させる真空ポンプとを備えた医療用酸素濃縮装置の作動方法であって、
    減圧状態の吸着筒に原料空気を自然流入させて該吸着筒の圧力を大気圧近傍まで上昇させ、原料空気に含まれる窒素を吸着剤に吸着させることによって酸素濃縮ガスを生成する吸着工程と、
    吸着筒の圧力を真空領域になるまで低下させ、吸着剤に吸着されていた窒素を脱離させて吸着筒の外部へ排出することによって吸着剤の吸着能を再生する再生工程とを、
    それぞれの吸着筒で順次行い、それぞれの吸着筒の圧力を真空領域と大気圧近傍との間で変動させることにより、酸素濃縮ガスを生成して患者に供給することができるようにしたことを特徴とする医療用酸素濃縮装置の作動方法。
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