以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1における生産システムのハードウェア構成の概要を示す概要図である。
図1に示すように、実施の形態1における生産システム1は4つのラインで構成され、ラインごとに、そのラインが生産すべき部品実装基板における部品の種類に応じた設備構成になっている。
本実施の形態において、これらラインを構成する複数の設備のそれぞれは部品実装機であり、各部品実装機はLocal Area Network(LAN)5を介し、情報のやり取りを行うことができる。
また、図において各部品実装機に付された“M123−1”等の記号は、部品実装機を識別するための識別情報の一種である個体コードである。個体コードにより、複数の部品実装機の中から1つの部品実装機が特定される。また、例えば、単に「M123−1」という場合、当該個体コードが付された部品実装機のことを指す。
また、個体コードは“機種コード−設備番号”で構成されるコードであり、機種コードが同一である部品実装機は同一の機種であることを意味する。
また、LAN5において各部品実装機は、個体コードを宛先として情報を送信することで、宛先となった個体コードの部品実装機にその情報を到達させることができる。このような技術として、例えば、Transmission Control Protocol/Internet Protocol(TCP/IP)におけるDomain Name System(DNS)が採用される。
なお、各部品実装機の機能的な構成は、個体コード“M123−1”が付された部品実装機10を例にとって、図3を用いて後述する。
図1に示す複数の部品実装機は、それぞれの機種、基板に実装する部品、製造メーカ等の属性により、どのライン上にあるかに関係なくグループ分けすることができる。
図2は、実施の形態1における生産システムを構成する部品実装機のグループ分けの一例を示す図である。
図2を示すように、生産システム1に属する部品実装機は大分類であるメーカ別のグループ(以下、「メーカグループ」という。)に分けられる。各メーカグループ内の部品実装機は、その機種により、中分類であるカテゴリ別のグループ(以下、「カテゴリグループ」という。)に分けられる。つまり、各機種は、複数のカテゴリに分けられる。
具体的には、各機種は、機種の類似性やそれぞれの実装態様等により複数のカテゴリに分けることができる。本実施の形態においては、各機種は、それぞれの実装態様、例えばモジュラー機であるかロータリー機であるかに応じて各カテゴリグループに分けられている。
また、カテゴリグループ内の部品実装機は小分類である機種別のグループ(以下、「機種グループ」という。)に分けられており、各部品実装機はいずれかの機種グループに属している。
このように、各グループは、部品実装機の機種およびカテゴリ等の属性と対応付けられている。
なお、図中の“AAA”等の記号は各グループを識別するためのコードである。例えば、“AAA”はA社グループを識別するためのメーカコードであり、“G−AM”はMグループを識別するためのカテゴリコードである。
このように、生産システム1における各部品実装機はそれぞれの製造メーカや機種等の属性によってグループ分けされており、1つのグループ内の部品実装機は、その機器構成や、基板に実装する部品の適否等の共通の属性を有している。
つまり、それぞれのグループ内の各部品実装機は、そのグループにおいて共通する属性を有していることにより、共通の実装条件を設定し得る関係にある。
例えば、ある機種グループに属する部品実装機は、機種が同一であることによりそれぞれの機器構成、性能および性質は実質的に等しいことになる。
そのため、例えばある機種グループに属する1つの部品実装機は、グループ内の他の部品実装機における使用ノズル、部品の移動速度等の実装条件を活用することができる。
従って、グループ内で最適な実装条件を見つけ出せば、グループ内の全部品実装機にその実装条件を与えることで各部品実装機の生産性を向上させることができる。
図3は、実施の形態1における部品実装機の機能的な構成を示す機能ブロック図である。なお、部品実装機が本来備える電源部や部品に関する情報を光学的に認識するためのカメラ等の構成部の図示および説明は省略し、本発明の特徴を説明するための構成部について図示および説明を行う。その他の図においても同様である。
図3に示す部品実装機10は、図1および図2において“M123−1”で表される部品実装機である。
図3に示すように、部品実装機10は、実装条件決定装置11を備えている。実装条件決定装置11は、部品実装機10において設定すべき実装条件を決定するための装置である。
実装条件決定装置11により決定された実装条件は、部品実装機10が備える設定部20に通知され、設定部20によって機構制御部22に設定される。機構制御部22は設定された実装条件に従って、機構部23の制御を行う。また、実装条件は条件記憶部21に記憶される。
条件記憶部21は、実装条件を記憶する記憶装置である。本実施の形態においては、実装条件として、部品を基板に実装する際に使用するノズル、部品寸法、NCデータ等を記憶している。また、実装条件決定装置11から実装条件が設定部20に通知されると、通知された実装条件に書き換えられる。
機構部23は、部品の吸着および基板への部品の装着を行う装着ヘッド23aや、互いに直交するX軸方向およびY軸方向に装着ヘッド23aを移動させるXYロボット23b等の機器で構成されている。なお、図中に示すように、X軸方向は基板23eの搬送方向と平行な方向であり、Y軸方向はX軸方向に垂直かつ基板23eの板面に平行な方向である。
装着ヘッド23aはXYロボット23bによりX軸方向およびY軸方向に移動しながら部品供給部23cから部品を吸着し、吸着した部品を、コンベア23dによって搬送されてくる基板23eに装着することができる。
また、エラー検出部24は、部品実装機10が行う生産作業におけるエラーを検出し、作業成績情報を生成する処理部である。
なお、生産作業とは、部品実装基板の生産における各種の作業のことであり、部品を基板に実装する実体的な作業のみならず、その実体的な作業をチェックする作業、例えば、部品がノズルに正しく吸着されているかを確認する作業をも含む。
また、作業成績情報とは、部品実装機が行う生産作業に関連する成績を示す情報であり、例えば、部品の吸着率を作業成績情報として生成する。吸着率は、ノズルが部品の吸着に成功した率を示す値であり、例えば、100個の部品を吸着する作業において、エラー検出部24が、1個の部品の吸着の失敗を検出した場合、吸着率は99%である。
作業成績情報としては、吸着率のほか、吸着した部品の基板への装着に成功した率である装着率、部品実装後の基板における部品の装着の正確さを表す装着精度、および、部品の吸着状態など部品に関する情報を光学的に認識するカメラが認識に失敗した率を表す認識エラー率などがある。
また、吸着率や装着率のように、その値が高い方が、成績が上位となる情報と、認識エラー率のように、その値が低いほうが、成績が上位となる情報とがある。
これら作業成績情報は、実装する部品ごとやノズルなどの構成要素ごとにエラー検出部24により生成される。また、エラー検出部24により生成された作業成績情報は、成績情報記憶部25に記憶される。
ここで、M123−1が属するM123グループに属する他の部品実装機は、M123−1と同一の機種であり、図3に示す機能構成と同じ機能構成である。また、他のグループの部品実装機については、機構部23を構成する機器等の相違は存在するが、それぞれ、機能的な構成として、実装条件決定装置11、設定部20、条件記憶部21、機構制御部22、機構部23、エラー検出部24、および成績情報記憶部25を備えている点では同じである。
従って、実装条件決定装置11を備える他の部品実装機は、部品実装機10と同様に、実装条件決定装置11から通知される実装条件の下で各種生産作業を行うことができる。
実装条件決定装置11は、図3に示すように、通信部12と、識別部13と、グループ記憶部14と、収集部15と、決定部16と、取得部17とを有している。
通信部12は、本発明の実装条件決定装置における設定手段の一例であり、他の部品実装機、および、自設備の実装条件決定装置11以外の構成部との間で情報のやり取りを行うための処理部である。なお、「自設備」とは、その実装条件決定装置11を備えている設備のことを指す。例えば、この説明においては図3に示す部品実装機10(M123−1)のことである。
識別部13は、各部品実装機を識別するための識別情報に基づき、所定のグループに属する部品実装機等の設備であるグループ内設備を識別する処理部である。本実施の形態において所定のグループとは、自設備が属するグループである。識別部13が識別した結果は、グループ記憶部14に記憶される。グループ記憶部14に記憶される情報については、図11を用いて後述する。
収集部15は、識別部13により識別されたグループ内設備から作業成績情報を収集する処理部である。本実施の形態においては、自設備も含め、自設備と同じグループに属する部品実装機から作業成績情報を収集する。
なお、収集部15がグループ内設備から収集する作業成績情報の種類は、自設備が属するどのグループを作業成績情報の収集の対象とするかにより選択される。
ここで、任意の4種類の部品A〜Dを基板に実装する事例を想定する。また、これら4種類の部品A〜DはM123グループのグループ内設備で共通して実装する部品であるとする。
この場合、M123グループに属する各グループ内設備は機種が同一であり、部品を基板に実装する機構や機能構成が同一である。そのため、部品A〜Dについての吸着率および装着率等に関連する実装条件は共通して活用することができる。従って、M123グループを作業成績情報の収集の対象とする場合、部品A〜Dについての吸着率および装着率等を収集する。
決定部16は、複数の部品実装機について吸着率等の成績を比較することができる。また、この比較により、2つの成績のどちらが上位であるかのみならず、複数の成績の中での最上位の成績を決定することができる。
本実施の形態において、決定部16は、生産作業に関連する成績が所定の基準を満たす設備である特定設備を決定する処理部であり、収集部15により各部品実装機から収集された作業成績情報に基づき特定設備を決定する。
所定の基準とは、少なくとも自設備の成績より上位の成績であるという基準であればよいが、本実施の形態では、複数のグループ内設備の中から、最上位の成績を示す作業成績情報を送信したグループ内設備が特定設備として決定される。言い換えると、グループ内で、ある種の生産作業において最も優秀な部品実装機が特定設備として決定される。
取得部17は、決定部16により決定された特定設備から、当該生産作業に関連する実装条件を取得する処理部である。この関連付けについては、図15を用いて後述する。
取得部17により取得された実装条件は、通信部12により自設備の設定部20へ通知され、上述のように、機構制御部22によりその実装条件に従った機構部23の制御が行われる。
なお、通信部12は、自設備の作業成績情報および実装条件を設定部20介して取得することができ、他の部品実装機、または、自設備の収集部15および取得部17に通知することができる。
このように、本実施の形態の実装条件決定装置11は、生産作業の成績が最上位である設備を特定設備と決定しその特定設備から実装条件を取得する。つまり、特定設備を決定することにより、最適な実装条件を決定することができ、さらに、最適な実装条件を部品実装機に設定することができる。
以上のように構成された実施の形態1における部品実装機10の動作を図4〜図17を用いて説明する。
まず、部品実装機10の基本的な動作を図4および図5を用いて説明する。
図4は、実施の形態1における部品実装機10の実装条件の設定に係る基本的な動作の流れを示す図である。
図4に示すように、部品実装機10は、生産作業に関連する成績が所定の基準を満たす部品実装機である特定設備を決定する(S1)。
本実施の形態においては、上述のように、ある種の生産作業において最も優秀な部品実装機を特定設備として決定する。
具体的には、最も吸着率の高い部品実装機、最も認識エラーの少ない部品実装機などが特定設備として決定される。
次に、決定した特定設備の当該生産作業に関連する実装条件を取得する(S2)。さらに、取得した実装条件を自設備に設定する(S3)。
なお、以上の特定設備の決定等は、具体的には部品実装機10が備える実装条件決定装置11によって行われる。
このように、本実施の形態の部品実装機10は、優秀な部品実装機に設定されている実装条件を取得し、自設備に設定することができる。
また、本実施の形態において、部品実装機10による特定設備の決定および特定設備からの実装条件の取得は自発的に行われる。
図5は、実施の形態1における部品実装機10が自発的に実装条件を取得することを説明するためのフロー図である。
図5に示すように、部品実装機10は、自発的に、つまり、部品実装機10の外から実装条件の取得の指示を受けることなく他の設備の実装条件を取得する(S11)。さらに、取得した実装条件を自分自身である部品実装機10に設定する(S12)。
このように、本実施の形態の部品実装機10は、オペレータや他の設備などから指示を受けることなく、自発的に他の部品実装機の実装条件を取得する。これにより、実装条件の最適化を効率的に図ることができ、生産性の向上を効率的に推し進めることができる。
次に、図6〜図17を用いて、実施の形態1における部品実装機10の具体的な動作を説明する。
図6は、実施の形態1における部品実装機10が行う実装条件の設定に係る具体的な動作の流れを示すフロー図である。
図6を用いて、生産システム1の部品実装機10を含む各部品実装機が行う実装条件の設定に係る動作の流れを説明する。なお、各動作の詳細については、図10および図12のフロー図を用いて後述する。
まず、識別部13が、生産システム1内の複数の部品実装機の中から、所定のグループに属するグループ内設備を識別する(S21)。具体的には、各部品実装機から送信される識別情報に基づき、自設備と同じグループに属する部品実装機を識別する。
決定部16は、生産作業に関連する成績が所定の基準を満たす部品実装機である特定設備を決定する(S22)。具体的には、収集部15により収集された作業成績情報に基づき、最上位の成績の部品実装機を特定設備として決定する。
取得部17は、決定部16により決定された特定設備から実装条件を取得する(S23)。例えば、部品Aの吸着率が最も上位である特定設備からは、部品Aの吸着率に関連する実装条件を取得する。
取得部17により取得された実装条件は、通信部12により設定部20に通知され、設定部20により、その実装条件が設定される(S24)。
各部品実装機が上述の動作(S21〜S24)を行うことにより、各部品実装機は、自設備の属性に応じたグループ内で最適な実装条件を見つけることができ、さらに取得することができる。各部品実装機は取得した実装条件の下で部品の基板への実装を行うことにより、部品の吸着率や、部品の基板への装着率等が向上し、生産性が向上する。
なお、特定設備から取得した実装条件を設定した場合であっても、期待通りの成績を得ることができない場合も考えられる。
例えば、ある部品実装機が自設備と同じ機種である特定設備から実装条件を取得した場合を想定する。この場合、当該部品実装機と当該特定設備とに同一の実装条件が設定されている場合であっても、これら設備のもともとの個体差またはそれぞれの構成要素の配置された位置の誤差等により全くの同一の動作を行うとは限らない。
そこで、各部品実装機において実装条件の設定(S24)の後に、当該実装条件に関連する作業成績が向上しているか否かを確認してもよい。
図7は、図6に示すフローに作業成績が向上したか否かを確認する動作を加えた場合のフローの一例を示す図である。
図7に示すように、特定設備から取得した実装条件を設定(S24)した後に、その実装条件の下で部品実装基板の生産を試行する(S25)。試行の結果、作業成績が試行前の成績より向上したか否かを確認する(S26)。
例えば、部品実装機10が部品の吸着率が最も高い設備を特定設備と決定し、その特定設備から部品の吸着率に関連する実装条件である使用ノズルを特定する情報等を取得した場合を想定する。
この場合、部品実装機10は、当該実装条件に示されるノズルに変更等する。つまり、当該実装条件を自設備に設定する(S24)。さらに、例えば、所定の個数の部品を実際に基板に実装する(S25)。これにより、当該実装条件の設定後の部品の吸着率を算出し、算出した吸着率が以前より向上しているか否かを確認する(S26)。
なお、これら吸着率の算出は、エラー検出部24が行い、上記確認は決定部16が行う。
部品の吸着率が向上している場合(S26でYes)、実装条件の設定に係る動作を終了し、例えば、そのまま部品実装作業を続ける。
また、部品の吸着率が以前より向上していない場合(S26でNo)、直前に決定された特定設備以外の設備を新たに特定設備として決定する(S27)。
例えば、自設備が属するグループ内で部品の吸着率が2番目に高い部品実装機を新たに特定設備と決定し、部品の吸着に関連する実装条件の取得(S23)から当該実装条件下での試行(S25)までを行う。
その後、部品の吸着率が以前より向上したことを確認する(S26でYes)まで、特定設備の決定のやり直し(S27)から成績向上の確認(S26)までの一連の動作を繰り返す。
なお、特定設備の決定のやり直し(S27)を繰り返し行う場合、複数の部品実装機の中から吸着率の高いものを優先的に選択し特定設備と決定する。さらに、自設備より部品の吸着率の高い部品実装機が当該グループ内に存在しなくなった場合、特定設備の決定のやり直しは行わず、最初に実装条件の設定(S24)を行う直前の実装条件に戻す。
このように、以前の作業成績よりも向上しているか否かを確認することで、特定設備から取得した実装条件の真の適否を判断することができる。
ここで、図6および図7のフロー図に示すグループ内設備の識別(S21)は識別部13によって行われる。具体的には、この識別の際に参照する識別情報は個体コード等であり、LAN5を介して他の部品実装機に要求することにより集められる。
また、本実施の形態において、個体コード等の識別情報を含む信号を敵味方信号といい、各部品実装機は、敵味方信号の要求を受信すると、当該要求への応答として敵味方信号を送信する。
図8は、実施の形態1における敵味方信号のデータ構成の概要を示す図である。
図8に示すように、敵味方信号は、メーカコード、カテゴリコード、および個体コードを含んでいる。敵味方信号に含まれるこれらコードのそれぞれ、またはこれらの結合は、本発明の実装条件決定方法における識別情報を構成する。
また、図8に示す敵味方信号は、部品実装機であるM123−2から他の部品実装機へ送信される敵味方信号の例である。図8に示すように、この敵味方信号には、M123−2を製造したメーカであるA社のメーカコード“AAA”と、M123−2が属するカテゴリグループであるMグループのカテゴリコード“G−AM”と、個体コード“M123−2”とが含まれている。
個体コードは、上述のように機種コードと設備番号とから構成されており、機種コードは機種を示す情報である。つまり、個体コードに“M123”が含まれる部品実装機は、その機種が“M123”であることを意味する。なお、設備番号は、同一機種内で一意な数字である。
M123−1が、図8に示す敵味方信号を受信した場合、メーカコードおよびカテゴリコードから、M123−2は、自設備と同一のメーカグループおよびカテゴリグループに属する部品実装機であると識別できる(図2参照)。また、個体コードに含まれる機種コードから、自設備と同一の機種グループに属すると識別できる。
図9は、実施の形態1における部品実装機10が行う敵味方信号の要求および受信を模式的に表す図である。部品実装機10であるM123−1は、生産システム1内のM123−2等の全ての部品実装機へ敵味方信号の要求を送信することで、全ての部品実装機から敵味方信号を受信することができる。他の部品実装機も同様に、全ての部品実装機から敵味方信号を受信することができる。
なお、各部品実装機は、敵味方信号の要求を受信した場合、通信部12が、自設備の機種コード等を含む敵味方信号を要求への応答として送信する。これら自設備についての機種コード等の情報は、通信部12が保持しておいてもよく、実装条件決定装置11以外の部品実装機10の構成部、例えば、条件記憶部21が保持しておいてもよい。実装条件決定装置11以外の構成部が機種コード等の情報を保持する場合、通信部12が当該情報を当該構成部から受け取って敵味方信号を生成し、要求への応答として送信すればよい。
図10は、実施の形態1における部品実装機10が他の部品実装機を識別する際の動作の流れを示すフロー図である。つまり、図6および図7のフロー図に示す、自設備と同じグループに属するグループ内設備を識別する動作(S21)を詳細に説明するフロー図である。
図10を用いて、部品実装機10を含む生産システム1の各部品実装機が行う他の部品実装機を識別する際の動作の流れを説明する。
各部品実装機が有する通信部12からLAN5に接続された全部品実装機に敵味方信号の要求がブロードキャストされる(S31)。通信部12は要求に応じて送信される敵味方信号を受信する(S32)。
識別部13は、通信部12により受信された敵味方信号から、当該敵味方信号の送信元の部品実装機を示す個体コードを読み出す。さらに、個体コードに含まれる機種コード、およびカテゴリコードから、その個体コードの送信元である部品実装機が、(1)自設備と同じ機種グループに属する設備であるか、および(2)自設備と同じカテゴリグループに属する設備であるかを識別する(S33)。
識別部13は、上記識別の結果から、自設備と同じ機種グループに属する部品実装機の個体コードを記録したテーブルと、自設備と同じカテゴリグループに属する部品実装機の個体コードを記録したテーブルとを作成する(S34)。作成された各テーブルはグループ記憶部14に記憶される。
生産システム1内の各部品実装機は、上記一連の動作により、他の全ての部品実装機について自設備と同じグループに属するか否かの識別を行うことができる。
なお、敵味方信号を送受信する機能を有しない部品実装機が存在する場合も考えられる。例えば、A社の部品実装機のみが敵味方信号を送受信する機能を有している場合は、A社グループに属する部品実装機のみが上記の識別等の処理の対象および主体となることができる。つまり、A社グループに属する部品実装機のみが最適な実装条件に統一されることとなる。
また、例えば、A社の部品実装機およびB社の部品実装機ともに敵味方信号を送受信する機能を有している場合であっても、各部品実装機は、他メーカの部品実装機からの作業成績情報および実装条件の要求に応じなくてもよい。
つまり、部品実装機等の設備において、例えば実装条件が設備の製造メーカ独自のノウハウに関わるような場合、他メーカの設備への情報提供を行わなくてもよい。このような場合であっても、それぞれのメーカグループに属する各設備の実装条件は、それぞれのメーカグループ内で最適な実装条件に統一され、生産性が向上される。
図11は、実施の形態1における部品実装機10が備えるグループ記憶部14に記憶されるグループテーブルの例を示す図である。
図11に示す“M123グループテーブル”とは、機種コードが“M123”である部品実装機の個体コードが記録されたテーブルである。つまり、自設備と同一の機種グループに属する部品実装機を特定するテーブルである。
また、“Mグループテーブル”とは、カテゴリコードが“G−AM”である部品実装機の個体コードが記録されたテーブルである。つまり、自設備と同一のカテゴリグループに属する部品実装機を特定するテーブルである。
部品実装機10であるM123−1の収集部15は、これらグループテーブルを参照することで、自設備と同じカテゴリグループであるMグループに属する他の部品実装機、および、自設備と同じ機種グループであるM123グループに属する他の部品実装機から作業成績情報を収集することができる。
図12は、実施の形態1における部品実装機10が特定設備から実装条件を取得し、その実装条件を自設備に設定する際の動作の流れを示すフロー図である。つまり、図6のフロー図に示す、特定設備の決定(S22)のための動作から、実装条件の設定(S24)までを詳細に説明するフロー図である。
図12を用いて、部品実装機10を含む生産システム1の各部品実装機が行う実装条件の取得およびその実装条件の設定に係る動作の流れを説明する。
各部品実装機において、所定の指示、例えばオペレータからの指示により部品実装基板の生産が開始される(S41)。生産の開始後、エラー検出部24は、検出したエラーの種類等に基づき自設備における作業成績を集計する(S42)。この集計により生成される作業成績情報は、成績情報記憶部25に記憶される。
収集部15は、自設備のものも含め、グループ内設備から作業成績情報を収集する(S43)。具体的には、M123−1であれば、グループ記憶部14に記憶されているM123グループテーブルおよびMグループテーブルの少なくとも一方を参照し、参照するグループテーブルに記録されている個体コードを宛先として、作業成績情報の要求を送信する。
どのグループテーブルを参照するかについては、例えば、オペレータの明示の指示に従ってもよく、また、参照するたびに変えてもよい。
また、上述のように、収集の対象とするグループに応じて収集する作業成績情報の種類が選択される。
上記作業成績情報の要求には、送信すべき作業成績情報の種類を指定する情報が含まれている。例えば、“部品Aについての吸着率”を指定する情報が含まれている。この要求を受信したグループ内設備は、当該要求への応答として、例えば、“部品Aについての吸着率:98%”という情報を要求元の部品実装機へ送信する。
このような要求および応答により、自設備も含め、グループ内設備の作業成績情報が収集される。収集される作業成績情報の例としては、部品ごとの吸着率、装着率、認識エラー率、装着精度などである。
図13は、収集部15により収集された作業成績情報の例を示す図である。なお、図13は、M123−1の収集部15が上記収集を行った結果、決定部16に保持される作業成績情報の例を示している。
図13に示すように、M123−1と同じ機種グループに属する各部品実装機から、部品Aについての吸着率等の作業成績情報が収集され、どの部品実装機が最上位の成績であるかを判断することができる。図の例では、部品Aについての吸着率では、M123−3が“99%”であり、最上位の成績である。
同様に、部品Aについての装着率や、部品Bについての吸着率などの、その他の部品についてのその他の作業成績情報も収集され、決定部16により、それぞれについて最上位の成績を記録した部品実装機が特定設備として決定される(S44)。
図14は、決定部16により決定された特定設備群の例を示す図である。
図14に示すように、吸着率、装着率等の作業成績情報の種類ごとに、部品ごとの特定設備が決定されている。
例えば、部品Aについての吸着率ではM123−3が特定設備であり、部品Bについての吸着率ではM123−1が特定設備である。また、部品Aについての装着率ではM123−3が特定設備であり、部品Bについての装着率ではM123−2が特定設備である。
なお、特定設備の決定は、M123−2等の他の部品実装機でも行われ、例えば、M123グループに属する各部品実装機の決定部16は、図14に示す特定設備の決定結果と同じ決定結果を得ることとなる。
取得部17は、このように決定された特定設備から実装条件を取得する(S45)。具体的には、実装条件の要求に対する応答として特定設備から送信される実装条件を取得する。また、実装条件としてどのような情報が取得されるかについては、図15および図16を用いて後述する。
取得部17により取得された実装条件は、通信部12により設定部20へ通知され、設定部20により機構制御部22に設定される(S46)。また、その実装条件は条件記憶部21に記憶される。機構部23は、機構制御部22に設定された実装条件の下で部品の基板への実装を行う。
その後、生産が継続中は(S47でNo)、上記動作が繰り返され、オペレータの指示等により生産が終了すると(S47でYes)、実装条件の設定に係る上記一連の処理も終了する。
なお、グループ内設備からの作業成績情報の収集(S43)から、実装条件の設定(S46)までは、所定のタイミングで自発的に行われる。例えば、所定の期間の経過ごとに行われる。この所定のタイミングについての情報は、例えば生産システム1の管理者により設定される情報であり収集部15に保持されている。
収集部15は内部に時計またはタイマを有しており、この情報に示されるタイミングで作業成績情報の収集を開始する。また、収集部15により作業成績情報が収集される(S43)ことを契機とし、以降、実装条件の設定(S46)まで行われる。
また、ある作業成績情報について、自設備が最上位であった場合、その作業成績情報に関連する実装条件は変更する必要がないため、実装条件の取得(S45)および設定(S46)の動作は行わない。
ここで、例えば部品Aについての吸着率とは、上述のように、部品Aの吸着という生産作業に関連する成績を示す情報である。また、このような成績の良し悪しは、どのような実装条件の下で当該生産作業が行われたかに依存する。
従って、例えばM123−1が、部品Aの吸着率について最も良い成績を残したM123−3から、部品Aの吸着に関連する実装条件を取得することにより、M123−1における部品Aの吸着率を向上させることができるわけである。
つまり、吸着率等の作業成績情報の種類と実装条件とは、生産作業の内容が何であるかを介して関連付けられるものである。
図15は、吸着率等の作業成績情報の種類と実装条件との関連付けの例を示す図である。
図15に示すように、例えば、吸着率に関連する実装条件は、ノズル、吸着動作パターン、および吸着補正値の3つの項目の組である。具体的には、それぞれ、ノズルを特定するノズル番号、吸着動作パターンを特定するパターン番号、ノズルの吸着位置を補正するX軸方向およびY軸方向(図3参照)の数値が実装条件として特定設備以外の部品実装機に取得され設定される。
例えば、M123−1が、特定設備であるM123−3から部品Aについての上記3項目からなる実装条件を取得し設定することで、M123−1における部品Aの吸着率が向上することになる。装着率等の他の作業成績情報も、それぞれ図15に示すように実装条件と関連付けられる。
このような、特定設備からの実装条件の取得は、当該特定設備と同じグループに属する各部品実装機において、上述のように所定のタイミングで自発的に行われ、これにより、各部品実装機における吸着率等が向上し、結果として生産性が向上される。
図16は、特定設備から各部品実装機に取得される実装条件の例を示す図である。
図16の例では、特定設備であるM123−3から、部品Aの吸着率に関連する実装条件がM123グループに属する他の部品実装機に取得される様子を示している。
図16に示す実装条件の例は、ノズルはノズル番号“2”であり、吸着動作パターンはパターン番号“3”であり、吸着補正値は“(0.002、0.001)”(単位はmm)であることを示している。これら番号および値が、各部品実装機で実装条件として設定される。
また、各部品実装機は、その他、部品Bの吸着率に関連する実装条件、部品Aの装着率に関連する実装条件、部品Cの認識エラー率に関連する実装条件など、複数の部品と複数の作業成績情報の種類との組み合わせに応じた実装条件を、それぞれの特定設備から取得する。つまり、最も良い実装条件を取得し設定する。
例えば、各特定設備が、図14に示すように決定されている場合、M123−3の部品Aの吸着率に関連する実装条件が、M123グループに属する他の部品実装機に設定される。また、M123−1の部品Bの吸着率に関連する実装条件が、M123グループに属する他の部品実装機に設定される。
装着率や認識エラー率についても、同様に、最上位の成績に対応する実装条件が、M123グループに属する全部品実装機に設定されることになる。
このように、本実施の形態の部品実装機10は、自設備と同じグループに属する部品実装機から作業成績情報を収集し、最上位の成績の部品実装機を特定設備として決定する。更に、特定設備から当該作業成績情報に関連する実装条件を取得し、自設備に設定することができる。
また、この作業成績情報の収集、および実装条件の取得の対象となる部品実装機のグループは、機種等の属性に応じて分けられている。つまり、あるグループに属する各部品実装機は、機器構成等の共通性を有している。そのため、各部品実装機は、自設備が属するグループ内で決定される特定設備から取得する実装条件を、そのまま自設備に設定することができ、かつ、自設備の生産性を向上させることができる。
また、他の部品実装機も、部品実装機10と同じく実装条件決定装置11を備えており、各部品実装機においても、自設備が属するグループ内において最も良い実装条件を取得し設定することができる。言い換えると、各部品実装機は、自律的に実装条件の最適化を行うことができる。
結果として、生産システム1に属する全ての部品実装機は、それぞれのグループ内において最も生産性を向上させる実装条件が設定されることになり、各部品実装機の生産性はもとより、生産システム1全体の生産性が向上される。
なお、本実施の形態において、実装条件を決定する際の処理内容や実装条件決定装置11の構成等は、それぞれ上述の記載内容に限定されることはない。そこで、以下に、本実施の形態の変形例について説明する。
(実施の形態1の変形例1)
実施の形態1の変形例1として、実装条件の決定手法の変形例について述べる。
図15に示すように、吸着率および装着率は、ともに実装条件の項目としてノズルを有している。従って、例えば、部品Aについて、吸着率が最も良いノズルはノズル番号“2”のノズルであるが、装着率が最も良いノズルはノズル番号“3”のノズルであるという場合も考えられる。
このように、最上位の成績に対応する実装条件同士が相反する場合、上記例でいうと、部品Aの吸着および装着に使用するノズルを多数決でどちらか一方に決定してもよい。例えば、上記状況にあるグループ内で部品Aの吸着率が所定の率、例えば97%以上であり、かつ上位5位以内の部品実装機が部品Aの吸着および装着に使用しているノズルを調べる。また、部品Aの装着率に関しても同様に調べる。
このようにして調べられたノズルの中で、ノズル番号“2”のノズルと、ノズル番号“3”のノズルのいずれがより多く使用されているかで決定してもよい。
このように、多数決で決定する場合、実装条件として、例えば部品Aについての吸着率が最上位であるノズル番号“2”のノズルではなく、ノズル番号“3”のノズルが選択されることがあり得る。しかし、上述のように、吸着率および装着率のそれぞれについて所定の率以上であるという条件を加えることにより、一定水準の吸着率および装着率は担保される。
また、多数決以外の方法でもよい。例えば、ノズルについては吸着率を優先するといった決定方法でもよい。また、例えば、ノズル番号“2”のノズルの吸着率と装着率との積と、ノズル番号“3”のノズルの吸着率と装着率との積とを比較し、大きい方を採用するとしてもよい。これらの場合であっても、吸着率および装着率のそれぞれについて所定の率以上という制限を設けることで、一定水準の吸着率および装着率は担保される。
また、この所定の率は、部品実装機ごとに異なる値が設定されてもよい。例えば、M123−1における現状の部品Aの吸着率を超える値がそれぞれ所定の率としてM123−1に設定されていれば、M123−1における部品Aの吸着率を少なくとも現状よりも向上させることができる。
従って、他の部品実装機についてもそれぞれの現状の吸着率等の作業成績に応じた値が所定の率として設定されていれば、少なくとも現状よりも生産性を向上させることができる。
(実施の形態1の変形例2)
実施の形態1の変形例2として、実装条件決定装置11における識別情報の取得方法の変形例について述べる。
実装条件決定装置11は、各部品実装機の個体コード等の識別情報をLAN5経由で受信するとした。しかしながら、他の手段により取得してもよい。例えば、生産システム1において設備の入れ換えや、グループ分けの変更があまりないような場合、CD−ROM等の記録媒体に各部品実装機が敵味方信号で送信する個体コード等の識別情報を記録しておき、実装条件決定装置11がそのCD−ROM等の記録媒体を読み込むことにより、これらの個体コード等を取得してもよい。
また、同様に、各部品実装機の作業成績情報も、LAN5経由で収集する以外の手段により取得してもよい。例えば、1日に一度、各部品実装機の作業成績情報をまとめてCD−ROM等の記録媒体に記憶させ、そのCD−ROM等から実装条件決定装置11が読み出して特定設備の決定を行ってもよい。
このようにすることで、例えば、LAN5に対する通信負荷を軽減することができる。
(実施の形態1の変形例3)
実施の形態1の変形例3として、各部品実装機が取得する実装条件の基本単位を部品以外のものにする場合について述べる。
本実施の形態の説明において、各部品実装機が他の部品実装機から取得し設定する実装条件は、部品を基本単位とし、部品ごとの吸着率等を向上させる実装条件を取得し設定するとした。
しかしながら、部品以外を基本単位としてもよい。例えば、ノズルを基本単位とし、各部品実装機において、使用ノズルごとに認識エラー率を集計する。さらに、他の部品実装機におけるノズルごとの認識エラー率を収集し、ノズルごとに、最も認識エラー率の低い部品実装機を特定設備と決定する。
これにより、各部品実装機は、ノズルごとの認識エラー率を改善する実装条件を特定設備から取得し自設備に設定することができ、結果として生産性を向上させることができる。
例えば、M123−1が、ノズル番号1のノズルを使用していると想定する。この場合、M123−1は、ノズル番号1のノズルを使用している他の部品実装機の中で、認識エラー率が最も低い部品実装機から、認識エラー率に関連する実装条件として、ノズル番号1のノズルを使用する際のライトの光量等を取得する。
これにより、M123−1のノズル番号1のノズルを使用する際の認識エラー率を低下させることができる。
同様に、例えば、カメラを複数有する部品実装機のグループにおいて、各部品実装機は、カメラごとの認識エラー率を収集し特定設備を決定してもよい。これにより、使用するカメラごとに、最も認識エラー率を低くするライトの光量等の実装条件を設定することができ、生産性を向上させることができる。
(実施の形態1の変形例4)
実施の形態1の変形例4として、各部品実装機が取得する実装条件の内容の変形例について述べる。
本実施の形態において、作業成績情報の種類と実装条件との関連付けは、図15に示す組み合わせであるとした。しかしながら図15に示す以外の組み合わせであってもよい。例えば、ある部品についての吸着率に関連する実装条件は、図15に示す例では、ノズル、吸着動作パターン、および吸着補正値の3項目の情報から構成されている。しかしながら、例えば、部品の吸着の成否がほとんどノズルの選択に依存する場合、実装条件の項目が、“ノズル”のみであってもよい。他の種類の作業成績情報についても同様である。
つまり、各部品実装機は、生産性を向上させ得る少なくとも1種類の情報を実装条件として取得できればよい。このような情報としては、上述のように、部品の吸着率が最も良いノズルのノズル番号や移動速度、装着精度が最も良い部品実装機におけるNCデータ等がある。
各部品実装機は、このような情報のうち、少なくとも1種類の情報を実装条件として取得し、その情報に示される特定の値等に設定または変更することで、当該実装条件に応じた生産作業の効率性の向上が可能となる。
(実施の形態1の変形例5)
実施の形態1の変形例5として、各部品実装機が収集する作業成績情報の種類の選択方法の変形例について述べる。
本実施の形態において、収集部15がグループ内設備から収集する作業成績情報の種類は、自設備が属するどのグループを作業成績情報の収集の対象とするかにより選択されるとした。しかしながら、逆に、収集部15が収集する作業成績情報の種類に応じて、収集の対象とするグループを選択してもよい。
例えば、収集部15が作業成績情報として認識エラー率を収集する場合を想定する。この場合、認識エラー率に関係する機器はカメラ、ライト等である。従って、同一のカメラ、ライト等を共通して備えている部品実装機のグループを作業成績情報の収集の対象としてもよい。
つまり、収集する作業成績情報の種類の選択と、収集の対象とするグループの選択は、いずれが主となってもよい。どちらの場合においても、本実施の形態の部品実装機10は、自設備の生産性を向上させることのできる実装条件を、他の部品実装機から取得することができる。
(実施の形態1の変形例6)
実施の形態1の変形例6として、各部品実装機が実装条件の取得の際に1つの部品実装機を比較の対象とする場合について述べる。
上述の説明において、M123グループに属する各部品実装機が、他の複数の部品実装機から吸着率等を収集し、特定設備を決定する場合について説明した。しかしながら、各部品実装機において吸着率等を向上させるためには、少なくとも1つの他の部品実装機から吸着率等の作業成績情報を収集すればよい。
例えば、図2に示すT121グループは、属する部品実装機は、T121−1と、T121−2だけである。この場合、T121−1は、T121−2から、例えば部品Aについての吸着率を収集し、自設備における当該吸着率と比較する。比較の結果、T121−2の吸着率の方が上位であれば、T121−2から、部品Aの吸着率に関連する実装条件を取得し自設備に設定する。これにより、T121−1における部品Aの吸着率を向上させることができる。
また、逆に、T121−1の吸着率の方が上位であれば、つまり、自設備における成績の方が上位であれば、自設備の部品Aの吸着率に関連する実装条件を、T121−2に与えてもよい。これにより、T121−2における部品Aの吸着率を向上させることができる。
なお、このように、他の1つの設備との比較により、自設備に設定する実装条件を決定する方法は、複数の設備と通信可能な状況においても実施可能であり、この場合は、結果的にはグループ内で最上位の成績に対応する実装条件が設定されることになる。
図17は、他の1つの設備との比較により自設備に設定する実装条件を決定し取得する方法を複数の部品実装機が実施する様子を示す模式図である。
なお、図17において、M123−1、M123−2、およびM123−3のそれぞれの部品Aについての吸着率はM123−1、M123−2、M123−3の順に高くなると想定する。また、当該吸着率に関連する実装条件を、実装条件α、実装条件β、および実装条件γと想定する。
つまり、M123−3の実装条件γが部品Aについての吸着率を最も高くする実装条件であり、実装条件β、実装条件αの順に部品Aについての吸着率が低くなることを意味する。
図17の上段に示すように、M123−1は、M123−2との間で部品Aについての吸着率の比較を行う。この比較により、M123−1は、M123−2の方が吸着率が上位であることから、M123−2から実装条件βを取得し自設備に設定する。
これにより、M123−1の部品Aについての吸着率はM123−2と同等に向上される。
その後、図17の下段に示すように、M123−1は、M123−3との間で部品Aについての吸着率の比較を行う。この比較により、M123−1は、M123−3の方が吸着率が上位であることから、M123−3から実装条件γを取得し自設備に設定する。
これにより、M123−1には、3つの実装条件の中で最も吸着率の高くなる実装条件γが設定されることになる。
このように、M123−1が、順次、M123グループに属する他の部品実装機に対して上記方法を実施することにより、M123−1には、M123グループ内において最上位の成績に対応する実装条件が設定されることとなる。
さらに、M123グループに属する他の部品実装機もM123−1と同様の動作を行うことにより、M123グループに属する全ての部品実装機の実装条件が最適な実装条件に統一されることとなる。
(実施の形態1の変形例7)
実施の形態1の変形例7として、各部品実装機が他の部品実装機に実装条件を与える場合について述べる。
本実施の形態において、各部品実装機は、他の部品実装機から実装条件を取得するとした。しかしながら、各部品実装機は、自設備において生産状況の改善の要因となった実装条件を他の部品実装機に通知してもよい。例えばオペレータにより、または他の部品実装機から取得した実装条件により、部品Aの吸着率に関連する実装条件が変更された後に、決定部16が、変更後の部品Aについての吸着率と、成績情報記憶部25に記憶されている変更前の部品Aについての吸着率とを比較する。比較の結果、変更後の方が吸着率が向上していた場合、その変更後の実装条件を条件記憶部21から読み出して他の部品実装機に通知することにより、その実装条件が他の部品実装機に設定される。
つまり、部品実装機10は、他の設備に実装条件を送信することで当該実装条件を当該他の設備に設定することができる。この場合、通信部12が実装条件を他の設備に設定させる手段として機能することになる。
このような方法においても、他の複数の部品実装機の部品Aについての吸着率を向上させることができる。
(実施の形態1の変形例8)
実施の形態1の変形例8として、生産システム1および部品実装機の構成や機能等についての上記変形例以外の変形例について述べる。
図1に示す生産システム1において、各部品実装機が接続されているLAN5は、有線であっても無線であってもよい。また、通信プロトコルも上述のTCP/IPに限定されるものではなく他のプロトコルであってもよい。各部品実装機が、敵味方信号、作業成績情報、および実装条件を送受信できる環境であればよい。
また、本実施の形態において、部品実装基板を生産するための複数の設備は、それぞれ1つの部品実装機であるとして説明を行なった。しかし、複数の部品実装機が連結され、共通する実装条件の下で稼動される場合がある。
この場合、共通する実装条件の下で稼動される複数の部品実装機のそれぞれが、当該複数の部品実装機に含まれない他の部品実装機の識別や、他の部品実装機からの実装条件の取得等を行う必要はない。つまり、複数の部品実装機が1つの設備として、他の部品実装機の識別や、実装条件の取得を行えばよい。また、取得した実装条件をそれぞれの部品実装機に設定すればよい。また、1つの設備として扱われる複数の部品実装機以外の部品実装機は、当該複数の部品実装機を1つの設備として情報の送受信を行えばよい。
このように、本発明の実装条件決定方法は、複数の部品実装機を1つの設備として扱う場合においても有効である。また、1つのラインを構成する設備が共通して同じ実装条件で稼動される場合も同様であり、この場合は、1つのラインを1つの設備として扱うことができる。
また、図12のフロー図の説明において、本実施の形態の部品実装機10は、グループ内設備からの作業成績情報の収集(S43)から、実装条件の設定(S46)までの一連の動作は所定の期間の経過ごとに行うとした。しかしながら、その他のタイミングでもよく、例えば、電源投入時にのみ上記一連の動作を行ってもよい。
また、例えばLAN5の通信負荷を分散させるために、各部品実装機またはグループごとに上記一連の動作を時間軸上でずらして行うように、各部品実装機が互いに通信することにより調整してもよい。
また、部品実装機10が自発的に実装条件を取得することに加えて、オペレータの明示の指示により、部品実装機10に実装条件を取得させてもよい。
また、自設備の生産性の変動を検知し、例えば部品Aの吸着率が所定の値を下回ったことを検知し、上記一連の動作を行ってもよい。
つまり、上記一連の動作を行うタイミングは、例えば、生産システム1の管理者が、各部品実装機の稼働率や、生産性の変動等を勘案し適切に決定し、各部品実装機に設定することができる。これにより、各部品実装機は、それぞれの状態等に応じ、自発的に他の部品実装機から実装条件を取得することができる。
また、図3では、部品実装機10が実装条件決定装置11を内部に備える構成になっている。しかしながら、部品実装機10は実装条件決定装置11を外部に備えていてもよい。つまり、本実施の形態において、各部品実装機は、有線、無線を問わず、1つの自設備専用の実装条件決定装置11と情報のやり取りができればよい。
これにより、例えば、既存の部品実装機に本実施の形態の実装条件決定装置11を外付けで取り付けた場合においても、上述のような実装条件の自律最適化を行わせることができる。
また、部品実装機10が備える実装条件決定装置11のグループ記憶部14には、機種グループのテーブルであるM123グループテーブルと、カテゴリグループのテーブルであるMグループテーブルが記憶されるとした。また、実装条件決定装置11はこれら2つのテーブルのいずれかを参照し、作業成績情報の収集を行うとした。
しかしなら、機種およびカテゴリ以外の括りのグループのテーブルを記憶してもよく、そのテーブルを参照し、作業成績情報の収集を行ってもよい。
例えば、本実施の形態においては、メーカ別のテーブルであるメーカテーブルを作成し記憶させてもよい。製造メーカが同じである各部品実装機は、製造メーカが同じであることにより、構成上または機能上の共通性やNCデータの扱い方等の共通性を有することがある。そのため、実装条件の内容により、同じ製造メーカの全部品実装機に最適な実装条件を共通して設定することも可能である。
これにより、より多くの部品実装機について実装条件を統一することができ、例えば、生産システム1の管理者は、各部品実装機の実装条件の管理が容易になる。
(実施の形態1の変形例9)
実施の形態1の変形例9として、実装条件決定装置11が、他の部品実装機の識別を行わない場合について述べる。
本実施の形態において、部品実装機10が備える実装条件決定装置11は、自設備と同じグループに属する部品実装機を識別するとした。
しかしながら、この識別を行わなくてもよい。例えば、生産システム1において部品実装機10および部品実装機10と通信可能な複数の部品実装機が全て同じ製造メーカの製品である場合、上述のように、全部品実装機に最適な実装条件を共通して設定することも可能である。
従って、各設備がどのグループに属するかを識別することなく、複数の設備の実装条件の中から、自発的に最も生産性を向上させ得る実装条件を取得し、自設備に設定することができる。
また、製造メーカが異なる場合であっても、実装条件として設定可能な項目やその名称、および設定された実装条件と機構部の動作との対応関係において、製造メーカが同一である場合よりは少なくなるものの、設定し得る実装条件が各設備間で共通する場合も考えられる。
さらに、実装条件として設定可能な項目やその名称が異なる場合であっても、それを変換する情報を有していれば、互いの製造メーカ間に存在するこれら名称等の差異を吸収することができる。
例えば、生産システム1においてA社の部品実装機(以下、「実装機A」という。)では、吸着補正値を内部的には“VP”というコードで扱っており、B社の部品実装機(以下、「実装機B」という。)では、吸着補正値を内部的には“REP”というコードで扱っている場合を想定する。
この場合、実装機Aと実装機Bとの間で、吸着補正値を表すコードが異なるため、一方が他方から実装条件として吸着補正値を取得した場合、正しく設定することができない。
そこで、少なくとも実装条件を取得する側の部品実装機に“VP:REP”というような変換情報を記憶させておけば、実装条件として取得した吸着補正値を正しく認識でき、設定することができる。
また、実装条件を送信する側で変換を行ってもよい。例えば、実装機Bに上記変換情報を記憶させておき、実装機Bから実装機Aに実装条件として吸着補正値を送信する場合、吸着補正値を表すコードとして実装機Aで使用される“VP”を用いて送信する。
こうすることによっても、実装機Aは実装機Bから取得した吸着補正値を正しく認識でき、設定することができる。
また、実装条件のデータ形式、例えば桁数が異なる場合であっても、上記のような変換のための情報や、変換式を用いて、製造メーカ間の差異を吸収することができる。
なお、実装条件決定装置11が設備間の性能等の差異を吸収するように実装条件を変換する動作等については、補足事項3として後述する。
このように、生産システム内に製造メーカが異なる設備が混在している場合であっても、共通して設定が可能であり、かつ、有効な実装条件が存在する場合も考えられる。この場合においても、実装条件決定装置11は、各設備がどのグループに属するかを識別することなく、上述のように、複数の設備の実装条件の中から、より生産性を向上させ得る実装条件を見つけ出し、自設備に設定することができる。
また、実装条件決定装置11が他の設備に対する識別を行わない場合であっても、他の設備に対する識別を行う場合と同様に、少なくとも1つの他の設備と通信できればよい。
この場合においても、2つの作業成績の比較により、作業成績が上位である一方の設備の実装条件が、他方の設備に設定されることになる。つまり、少なくとも1つの設備の生産性が向上される。さらに、各設備が複数の他の設備との間でこのような比較を繰り返し行うことで、各設備には、これら複数の設備の中で最良の実装条件が設定されることとなる。
(実施の形態2)
実施の形態1では、複数の部品実装機はそれぞれ実装条件決定装置11を備え、自律的に実装条件の最適化を行うとした。
しかし、各部品実装機が実装条件決定装置11を備えるのではなく、各部品実装機から独立した1つの実装条件決定装置11が少なくとも1つの部品実装機から実装条件を取得し、各部品実装機からの要求に応じて実装条件を送信する形態も考えられる。
この場合、全部品実装機と通信可能なように実装条件決定装置11をLAN5に1つ接続しておき、この実装条件決定装置11に、グループごとの部品実装機の識別や特定設備の決定、実装条件の取得、各部品実装機の要求に応じた実装条件の送信等を行わせる。これにより、実施の形態1と同様に、各部品実装機に、各部品実装機の属性に応じた最適な実装条件を設定することができる。つまり、各部品実装機の生産性を向上させることができる。
そこで、実施の形態2として、複数の部品実装機と1つの実装条件決定装置とを備える生産システムについて説明する。
図18は、実施の形態2における生産システムのハードウェア構成の概要を示す概要図である。
図18に示すように、実施の形態2における生産システム2は、実施の形態1における生産システム1と同じく、4つのラインで構成されている。また、各ラインの設備構成も同じであり、各設備は実施の形態1に示す複数の部品実装機と同じ機種の部品実装機である。
しかし、各部品実装機は、実施の形態1とは異なり、実装条件決定装置11を備えておらず、1つの実装条件決定装置11がLAN5に接続されている。各部品実装機は少なくとも実装条件決定装置11とLAN5を介して通信可能である。
なお、各部品実装機は、実施の形態1と同様に、機種等の属性によりグループ分けされており、各グループのグループ名および各グループを構成する部品実装機は図2に示すものと同じである。
また、実装条件決定装置11は、実施の形態1と同様に、個体コードを宛先として情報を送信することで、宛先となった個体コードの部品実装機にその情報を到達させることができる。
各部品実装機の機能的な構成を、個体コード“M123−1”が付された部品実装機30を例にとって説明する。
図19は、実施の形態2における部品実装機および実装条件決定装置の機能的な構成を示す機能ブロック図である。
図19に示す部品実装機30は、実施の形態1における部品実装機10と異なり、実装条件決定装置11を備えていない。また、実装条件決定装置11とLAN5を介し通信する通信部26を備えている。
通信部26は、実装条件の要求を実装条件決定装置11に送信することにより、当該要求に対する応答として実装条件決定装置11から送信される実装条件を受信することができる処理部である。つまり、通信部26により、実装条件の要求および受信を行う機能が実現される。
部品実装機30は、実施の形態1における部品実装機10と同様に、個体コード等の識別情報を敵味方信号により送信することができる。具体的には、通信部26が、実装条件決定装置11からの要求に対する応答として敵味方信号を実装条件決定装置11に送信する。敵味方信号に含まれる識別情報の内容は、図8に示すものと同じである。
その他の構成部である、設定部20、条件記憶部21、機構制御部22、機構部23、エラー検出部24、および成績情報記憶部25の機能は実施の形態1と同様である。
すなわち、部品実装機30からの要求に応じて実装条件決定装置11から送信される実装条件を、通信部26を介して設定部20が受け取り、機構制御部22に設定する。また、実装条件は条件記憶部21に記憶される。機構部23は、機構制御部22に設定された実装条件の下で部品の基板への実装を行う。
また、エラー検出部24は部品実装機30が行う生産作業におけるエラーを検出し、検出したエラーの種類等に基づき自設備における作業成績を集計する。この集計により生成される作業成績情報は、成績情報記憶部25に記憶される。
条件記憶部21に記憶されている実装条件、および成績情報記憶部25に記憶されている作業成績情報は、通信部26を介し、実装条件決定装置11に送信される。
実装条件決定装置11は、単独でLAN5に接続されており、LAN5に接続されている各部品実装機と情報のやり取りを行うことができる。
また、実施の形態2における実装条件決定装置11の構成は、実施の形態1における実装条件決定装置11とは異なり、取得した実装条件を記憶するための取得条件記憶部18を備えている。
実施の形態2における実装条件決定装置11は、予め特定設備から実装条件を取得し記憶しておき、各部品実装機からの要求に応じて取得条件記憶部18から実装条件を読み出して各部品実装機に送信することができる。
また、実装条件決定装置11は、実施の形態1では、1つの部品実装機に対して実装条件の最適化のための各種処理を行っていたのに対し、実施の形態2では、複数の部品実装機を対象に、実装条件の最適化のための各種処理を行うことができる。
なお、図19に示す部品実装機30は、図18において“M123−1”で表される部品実装機であるが、その他の部品実装機も同様の機能構成をしている。
すなわち、M123−1が属するM123グループに属する他の部品実装機は、M123−1と同一の機種であり、図19に示す機能構成と同じ機能構成である。また、他のグループの部品実装機については、機構部23を構成する機器等の相違は存在するが、それぞれ、機能的な構成として、通信部26、設定部20、条件記憶部21、機構制御部22、機構部23、エラー検出部24、および成績情報記憶部25を備えている点では同じである。
従って、M123−2等の他の部品実装機は、部品実装機30と同様に、実装条件の要求を実装条件決定装置11に送信することができ、その要求に応じて送信される実装条件を受信することができる。さらに、受信した実装条件の下で各種生産作業を行うことができる。
本実施の形態における部品実装機30の実装条件の取得に係る基本的な動作は、図5に示す実施の形態1における部品実装機10の実装条件の取得に係る基本的な動作と同様である。
すなわち、部品実装機30は、自発的に、つまり、部品実装機30の外から実装条件の取得の指示を受けることなく他の設備の実装条件を取得する(S11)。さらに、取得した実装条件を部品実装機30に設定する(S12)。
ただし、本実施の形態における部品実装機30は、直接、他の部品実装機から実装条件を取得するのではなく、実装条件決定装置11を介して他の部品実装機の実装条件を取得する点が異なる。
例えば、M123−1からすると、M123−2の実装条件を取得する手順が、(1)実装条件決定装置11がM123−2から実装条件を取得し、(2)M123−1が実装条件決定装置11から実装条件を取得する、という2つの手順で構成される。
また、本実施の形態における実装条件決定装置11は、上述のように、複数の部品実装機に対して上記一連の動作を行う点が異なる。つまり、実施の形態1では、各部品実装機に備えられた実装条件決定装置11では、“所定のグループ”は、自身を備える1つの部品実装機が属するグループである。しかし、実施の形態2では、複数のグループについて、上記一連の動作を行い、複数のグループに属する複数の部品実装機に対して、実装条件の最適化を行うことができる。
図20は、実施の形態2における実装条件決定装置11が複数の部品実装機を識別する際の動作の流れを示すフロー図である。
実装条件決定装置11の通信部12からLAN5に接続された全部品実装機に敵味方信号の要求がブロードキャストされる(S51)。通信部12は要求に応じて送信される敵味方信号を受信する(S52)。
識別部13は、通信部12により受信された敵味方信号から、当該敵味方信号の送信元の部品実装機を示す個体コードを読み出す。さらに、個体コードに含まれる機種コード、およびカテゴリコードから、その個体コードの送信元である部品実装機が、どのグループに属する部品実装機であるかを識別する(S53)。
なお、上記識別に必要な情報がグループ記憶部14に記憶されており、識別部13はこの情報を参照して上記識別を行う。例えば、グループ記憶部14には、“M123”等の機種コードおよび“M”等のカテゴリコードが参照用として記憶されている。識別部13は、これら機種コードを参照し、いずれかが個体コードに含まれる場合、当該個体コードはその文字列に対応するグループに属すると識別する。
本実施の形態においては、M123、M221、T121、およびZ005の機種グループと、M、T、およびZのカテゴリグループ(図2参照)を上記識別の対象とする。
識別部13は、上記識別の結果から、複数の機種テーブルと、複数のカテゴリテーブルとを作成する(S54)。作成された各テーブルはグループ記憶部14に記憶される。
生産システム2内の実装条件決定装置11は、上記一連の動作により、生産システム2内の部品実装機について、いずれのグループに属する部品実装機であるかを識別することができる。
図21は、実施の形態2における実装条件決定装置11が備えるグループ記憶部14に記憶されるグループテーブルの例を示す図である。
図21に示すグループ記憶部14には、上述の識別部13による識別(S53)の結果に応じて生成された、機種ごとのグループテーブルと、カテゴリごとのグループテーブルとが記憶されている。
実装条件決定装置11において、収集部15は、これらグループテーブルを参照することにより、どのグループに属する部品実装機に対しても情報の送受信を行うことができる。
具体的には、収集部15は、各グループに属する全ての部品実装機に対し所定の作業成績情報の要求を送信し、これに対する応答として、各部品実装機から作業成績情報を収集することができる。
図22は、実施の形態2における実装条件決定装置11が特定設備から実装条件を取得し、その実装条件を各部品実装機に設定する際の動作の流れを示すフロー図である。
各部品実装機において、所定の指示、例えばオペレータからの指示により部品実装基板の生産が開始される(S61)。生産の開始後、各部品実装機において部品ごとの吸着率等の作業成績情報が生成される。
収集部15は、グループごとに、各グループ内設備から作業成績情報を収集する(S62)。具体的には、グループ記憶部14に記憶されている各グループテーブルを参照し、各グループテーブルに記録されている個体コード宛に、作業成績情報の要求を送信する。この要求の応答として各部品実装機から送信される作業成績情報を収集する。
収集される作業成績情報の種類としては、実施の形態1と同様に、部品ごとの吸着率、装着率、認識エラー率、および装着精度等である。また、これら作業成績情報のいずれかまたは複数種が収集される。
また、どのグループに対して、どのような種類の作業成績情報を要求するかについての情報は、例えば、収集部15に保持されている。例えば、“M123:部品A、B、C、D:吸着率、装着率”等の収集すべき作業成績情報を特定する収集情報が収集部15に保持されている。収集部15は、この収集情報と、グループ記憶部14に記憶されている各部品実装機の個体コードとに基づき、作業成績情報の収集を行う。
例えば、上記の収集情報を保持している場合、M123グループに属するM123−1、M123−2、M123−3、およびM123−4に対し、部品A〜Dのそれぞれについての吸着率および装着率の要求を送信する。これによりM123グループに属する全部品実装機から部品A〜Dのそれぞれについての吸着率および装着率を収集する。
その他のグループについての収集情報も収集部15に保持されており、それぞれのグループに応じた作業成績情報が収集される。
図23は、収集部15により収集された作業成績情報の例を示す図である。これら収集部15により収集された作業成績情報に基づき、決定部16により特定設備が決定される。
また、図23は、M123グループおよびM221グループのそれぞれに属する部品実装機の作業成績情報を示しているが、他のグループに属する部品実装機からも同様に作業成績情報が収集される。
図23に示すように、グループごとに部品Aについての吸着率等の作業成績情報が収集されると、どの部品実装機が最上位の成績であるかを判断することができる。例えば、M123グループにおける部品Aについての吸着率では、M123−3が“99%”であり、最上位の成績である。
また、M221グループにおける部品Aについての吸着率では、M221−1が“99%”であり、最上位の成績である。
同様に、部品Aについての装着率等や、部品Bについての吸着率などの、その他の部品についてのその他の作業成績情報も、機種グループごと、カテゴリグループごとに収集され、決定部16により、それぞれについて最上位の成績を記録した部品実装機が特定設備として決定される(S63)。
図24は、決定部16により決定された特定設備群の例を示す図である。
図24に示すように、吸着率、装着率等の作業成績情報の種類ごとに、部品ごとの特定設備が決定されている。
図24に示す例では、M123グループにおいて、部品Aについての吸着率ではM123−3が特定設備であり、部品Bについての吸着率ではM123−1が特定設備である。また、部品Aの装着率についてはM123−3が特定設備であり、部品Bの装着率についてはM123−2が特定設備である。
また、これら複数の特定設備は、他の機種グループおよびカテゴリグループについても決定される。
取得部17は、このように決定された特定設備から実装条件を取得する(S64)。具体的には、実装条件決定装置11からの要求に対する応答として特定設備から送信される実装条件を取得する。また、実装条件としてどのような情報が取得されるかについては、実施の形態1において図15および図16を用いて説明した内容と同じである。
例えば、部品Aの吸着率についての特定設備であるM123−3から取得する実装条件の内容は、M123−3が部品Aの吸着に用いるノズル、吸着動作パターン、吸着補正値のそれぞれを特定する情報である。
また、取得部17は、決定部16によって決定されたその他の特定設備からも、それぞれの実装条件を取得する。取得部17は、取得したそれら実装条件を取得条件記憶部18に記憶させる。
通信部12は、各部品実装機から送信される、実装条件の要求を受信する(S65)。通信部12により実装条件の要求が受信されると、取得部17により取得された各実装条件は、取得条件記憶部18から読み出され、通信部12によりそれぞれの実装条件の要求に対する応答として各部品実装機に送信される(S66)。
このように、本実施の形態の通信部12により、実装条件の要求の受信および実装条件の送信を行う機能が実現される。
上記実装条件の送信は、具体的には、各実装条件は対応するグループに属する各部品実装機へ送信される。この送信の際には、グループ記憶部14に記憶されているグループごとの個体コードが参照される。
例えば、M123グループに属する特定設備から取得された実装条件は、M123グループに属する、当該特定設備以外の部品実装機からの要求への応答として送信される。
同様に、M221グループに属する特定設備から取得された実装条件は、M221グループに属する、当該特定設備以外の部品実装機からの要求への応答として送信される。
このように、通信部12は、取得した各実装条件がどのグループの特定設備のものであるかに応じ、該当するグループに属するグループ内設備に対して各実装条件を送信する。
各部品実装機では、実装条件決定装置11から送信された実装条件の下で部品の実装が行われる。
その後、生産が継続中は(S67でNo)、上記動作が繰り返され、オペレータの指示等により生産が終了すると(S67でYes)、実装条件の設定に係る上記一連の処理も終了する。
なお、グループ内設備からの作業成績情報の収集(S62)から、実装条件の取得(S64)までは、所定のタイミングで行われる。例えば、所定の期間経過ごとに行われる。この所定のタイミングについての情報は、例えば、収集部15に保持されている。
また、これら動作は、実装条件の要求の受信(S65)を契機として行ってもよい。つまり、図22に示すように、予め特定設備を決定し実装条件を取得し記憶しておき、部品実装機からの要求に応じて、実装条件を送信してもよく、部品実装機からの要求を受信することを契機として、当該部品実装機が属するグループについて、作業成績情報の収集(S62)から、実装条件の取得(S64)までを行い、取得した実装条件を当該部品実装機に送信(S66)してもよい。
予め実装条件を取得し、取得条件記憶部18に記憶させておく場合、例えば、特定設備である部品実装機が電源OFFの状態であるときにおいても、当該特定設備の実装条件を、他の部品実装機からの要求に応じて送信することができる。
また、実装条件の要求の受信を契機として特定設備の決定等を行う場合、当該要求を受信した時点の各部品実装機の成績に基づいて特定設備が決定されることになる。従って、各部品実装機における吸着率等の成績は、例えばその時点での気温、気圧、湿度等が反映されたものとなる。そのため、各部品実装機は、その時点での環境に即した、かつ生産性を向上させ得る実装条件を実装条件決定装置11を介して取得することができる。
また、各部品実装機は、実装条件の要求を所定のタイミングで実装条件決定装置11に送信する。この所定のタイミングは、例えば、生産システム2の管理者により設定される情報であり通信部26に保持されている。
通信部26は内部に時計またはタイマを有しており、この情報に示されるタイミングで実装条件の要求を実装条件決定装置11に送信する。
また、所定の期間経過ごとに実装条件の要求を送信するのではなく、例えば、部品実装機30の電源投入時にのみ送信してもよい。
また、例えばLAN5の通信負荷を分散させるために、グループまたは部品実装機ごとに実装条件の要求の送信を時間軸上でずらして行うようにしてもよい。また、自設備の生産性の変動を検知し、例えば部品Aの吸着率が所定の値を下回ったことを検知し、上記一連の動作を行ってもよい。
要するに、何を契機として実装条件の取得を行うかに関わらず、自発的に実装条件の取得を行うことができればよい。
図25は、実施の形態2における実装条件決定装置11が、複数のグループの各部品実装機に対し各グループに応じた実装条件を送信する様子を示す模式図である。
図25に示すように、本実施の形態の実装条件決定装置11は、複数のグループに対して、実装条件の最適化を行うことができる。
例えば、実装条件決定装置11は、M123グループ内において部品Aの吸着率が最も優秀な特定設備としてM123−3を決定すると、図25に示すように、M123−3から当該吸着率に関連する実装条件αを取得する。
さらに、M123グループに属する当該特定設備以外のグループ内設備、つまり、M123−1、M123−2、およびM123−4から実装条件の要求を受信すると、当該要求への応答として、取得した実装条件αをこれら3つの部品実装機に送信する。
各部品実装機では、実装条件決定装置11から受け取った実装条件αが設定される。
これにより、M123グループに属する全部品実装機における部品Aの吸着率に関連する実装条件が、最適な実装条件に統一される。例えば、部品Aの吸着および装着に使用するノズルが部品Aの吸着に最適なノズルに統一される。
また、例えば、実装条件決定装置11は、M221グループ内において部品Dの認識エラー率が最も低い特定設備としてM221−1を決定すると、図25に示すように、M221−1から当該認識エラー率に関連する実装条件βを取得する。
さらに、M221グループに属する当該特定設備以外のグループ内設備、つまり、M221−2、M221−3、およびM221−4から実装条件の要求を受信すると、当該要求への応答として、取得した実装条件βをこれら3つの部品実装機に送信する。
各部品実装機では、実装条件決定装置11から受け取った実装条件βが設定される。
これにより、M221グループに属する全部品実装機における部品Dの認識エラー率に関連する実装条件が、最適な実装条件に統一される。例えば、部品Dをカメラが認識する際のライトの光量が最適な光量に統一される。
実装条件決定装置11は、その他のグループに対しても同様の動作で最適な実装条件を各グループ内で見つけ出し、各グループに属する部品実装機からの要求に応じて送信する。
また、その他の種類の作業成績情報に関連する実装条件、例えば、部品Aについての装着率、部品Bについての吸着率、またはノズル番号1のノズルについての装着精度等を向上または改善させる最適な実装条件を、各グループ内で見つけ出し、各グループに属する部品実装機からの要求に応じて送信する。
このように、本実施の形態の実装条件決定装置11は、複数のグループに対し、それぞれのグループに応じた最適な実装条件を各グループ内設備に送信することができる。
これにより、各グループ内で実装条件を最適なものに統一でき、各グループ内設備の生産性が向上される。
また、各部品実装機は、実装条件の最適化を図るための収集部15および決定部16を備えることなく自設備の生産性を向上させ得る実装条件を取得することができ、経済的効果もある。また、この取得は自発的に行われるため、自設備の実装条件の最適化を効率よく行うことができる。
また、生産システム2の管理者は、各部品実装機に対する実装条件の最適化のための機能の変更、修正等を行う場合、1つの実装条件決定装置11に対して指示等を行えばよく、効率的にこれら変更等を行うことができる。また、各部品実装機は、他の設備と情報のやり取りを直接行う必要がなく、例えば、LAN5に部品実装機間の通信による負荷を掛けることがない。
なお、本実施の形態における実装条件決定装置11と通信可能な各部品実装機について、同じ製造メーカの製品であるか否かを問わず、上述のように、実装条件として設定可能な項目等が共通性を有する場合が考えられる。
また、実装条件として設定可能な項目やその名称が異なる場合であっても、それを変換する情報を実装条件決定装置11または各部品実装機が有していれば、互いの製造メーカ間に存在するこれら名称等の差異を吸収することができる。
このような場合、本実施の形態における実装条件決定装置11も、実施の形態1における実装条件決定装置11と同様に、各部品実装機がどのグループに属するかの識別を行わなくてもよい。
また、本実施の形態における実装条件決定装置11は、複数の部品実装機の中から、作業成績情報が最も上位の成績を示す部品実装機を特定設備と決定するとした。
しかしながら、実装条件決定装置11は、2つの部品実装機の成績を比較することで、実装条件を取得する部品実装機を決定してもよい。
例えば、M123−1とM123−2とから部品Aの吸着率等の作業成績情報を収集し比較する。比較の結果、M123−2の吸着率の方が上位であれば、M123−2から当該吸着率に関連する実装条件を取得する。
その後、M123−1から実装条件の要求を受信した場合、当該要求への応答として要求設備であるM123−1へM123−2の実装条件を送信する。また、比較の結果が、M123−1の吸着率の方が上位である場合、M123−1から当該吸着率に関連する実装条件を取得し、M123−2へM123−1の実装条件を送信する。
なお、実装条件決定装置11が行う、これら作業成績情報の収集および実装条件の部品実装機からの取得は、部品実装機から実装条件の要求を受信したことを契機として行ってもよい。
つまり、ある部品実装機からすると、生産作業に関連する成績が自設備よりも少なくとも上位である他の部品実装機から当該成績に対応する実装条件を取得することは、自設備の生産性を向上させる上で有意なことである。
このように、本実施の形態における実装条件決定装置11においても、実施の形態1における実装条件決定装置11と同様に、2つの部品実装機の吸着率等の成績を比較することにより、1つの部品実装機に設定すべき実装条件を決定してもよい。この場合においても、当該実装条件が設定された部品実装機の生産性は向上されることとなる。
また、本実施の形態における生産システム2は、複数の部品実装機と1つの実装条件決定装置11とがLAN5に接続され、各部品実装機が実装条件決定装置11から生産性を向上させ得る実装条件を自発的に取得する形態であるとした。
この生産システム2のように、複数の部品実装機と、各部品実装機から実装条件を取り込むことのできる1つの装置とにより生産システムが構成される場合、各部品実装機は実施の形態2における部品実装機30以外の機能構成であってもよい。
例えば、実施の形態1における部品実装機10と同様の機能構成を有する複数の部品実装機、および、各部品実装機と通信し情報を記憶する機能を有する装置(以下、「管理装置」という。)で構成される生産システムで本発明の実装条件決定方法を実施することができる。
例えば、この生産システムにおいて、各部品実装機は自設備の実装条件を個体コードとともに管理装置に送信する。管理装置はそれぞれの実装条件を個体コードと対応付けて記憶する。
部品実装機は、他の部品実装機から作業成績情報を収集し、特定設備を決定する。さらに、管理装置に対して特定設備の個体コードを含む実装条件の要求を送信する。管理装置は当該要求に対応する特定設備の実装条件を、要求元の部品実装機へ送信する。
各部品実装機および管理装置のこのような動作によっても、本発明の実装条件決定方法は実施することができる。
また、上述の管理装置が、各部品実装機の作業成績情報の収集を行い、各部品実装機は、管理装置から各部品実装機の作業成績情報を受け取って特定設備を決定してもよい。
このように、特定設備の決定、言い換えると、各部品実装機において生産性を向上させ得る実装条件の決定に関する処理は、本実施の形態のように1つの装置で集中的に行われてもよく、各部品実装機で分散的に行われてもよい。
また、本実施の形態における実装条件決定装置11も、実施の形態1における実装条件決定装置11と同様に、各部品実装機の識別情報および作業成績情報をCD−ROM等の記録媒体経由で取得してもよい。このようにすることで、例えば、LAN5に対する通信負荷を軽減することができる。
また、取得部17が取得する実装条件の内容や、作業成績情報の種類についても、実施の形態1と同様に、図15等に示すもの以外でもよい。
また、本実施の形態におけるLAN5が有線であるか無線であるか、および通信プロトコルが何であるかについても特定のものに限定されることはない。
また、複数の部品実装機を1つの設備として扱ってもよく、1つのラインを1つの設備として扱ってもよい。
つまり、本実施の形態における実装条件決定装置11が有する、複数の部品実装機等の設備に対して実装条件の最適化を行う機能は、実装条件の内容、作業成績情報の種類、通信形態、通信プロトコル、設備として扱う機器の単位等に依存するものではなく、当該機能が失われることはない。
(実施の形態3)
実施の形態1および2では、部品実装機が自発的に特定設備から実装条件を取得するとした。しかしながら、部品実装機が受動的に特定設備から実装条件を取得してもよい。
例えば、実施の形態2の生産システム2(図18参照)において、実装条件決定装置11は各部品実装機からの要求を受けることなく特定設備から取得済みの実装条件を自発的に各部品実装機に送信してもよい。
このように、部品実装機が受動的に特定設備の実装条件を取得する場合であっても、効率的に当該部品実装機の生産性を向上させることは可能である。
そこで、実施の形態3として、部品実装機が受動的に特定設備から実装条件を取得する形態について説明する。
なお、実施の形態3における生産システムのハードウェア構成、ならびに部品実装機30および実装条件決定装置11の機能的な構成は、実施の形態2におけるそれぞれと同じである(図18および図19参照)。
また、実施の形態3における実装条件決定装置11は、図20に示す手順で、各部品実装機のグループ分けを行い、グループ記憶部14に、図21に示すグループテーブルを記憶していると想定する。
図26は、実施の形態3における実装条件決定装置11が特定設備から実装条件を取得し、その実装条件を各部品実装機に設定する際の動作の流れを示すフロー図である。
各部品実装機における部品実装基板の生産の開始(S71)、から、実装条件決定装置11による特定設備からの実装条件の取得(S74)までは、実施の形態2における動作の流れ(図22のS61〜S64)と同じである。
つまり、決定部16により、図24に示すようなグループごとの特定設備が決定される。また、取得部17により、各特定設備から実装条件が取得される。実装条件としてどのような情報が取得されるかについては、実施の形態1において図15および図16を用いて説明した内容と同じである。
取得部17により取得された各種の実装条件は、通信部12により各実装条件に対応するグループに属するグループ内設備へ自発的に送信される(S75)。この送信の際には、グループ記憶部14に記憶されているグループごとの個体コードが参照される。
例えば、M123グループに属する特定設備から取得された実装条件は、M123グループに属する、当該特定設備以外の部品実装機に送信される。
同様に、M221グループに属する特定設備から取得された実装条件は、M221グループに属する、当該特定設備以外の部品実装機に送信される。
このように、通信部12は、取得した各実装条件がどのグループの特定設備のものであるかに応じ、該当するグループに属するグループ内設備に対して各実装条件を送信する。
各部品実装機では、実装条件決定装置11から送信された実装条件の下で部品の実装が行われる。
その後、生産が継続中は(S76でNo)、上記動作が繰り返され、オペレータの指示等により生産が終了すると(S76でYes)、実装条件の設定に係る上記一連の処理も終了する。
なお、グループ内設備からの作業成績情報の収集(S72)から、実装条件の設定(S75)までは、所定のタイミングで行われる。例えば、所定の期間経過ごとに行われる。この所定のタイミングについての情報は、収集部15に保持されている。
なお、この所定のタイミングについては、実施の形態1と同様に、その他のタイミングでもよく、例えば、実装条件決定装置11の電源投入時にのみ上記一連の動作を行ってもよい。また、例えばLAN5の通信負荷を分散させるために、グループごとに上記一連の動作を時間軸上でずらして行うようにしてもよい。また、オペレータの明示の指示により行ってもよい。
また、例えば、作業成績情報の収集(S72)から実装条件の取得(S74)までは、所定の期間の経過ごとに行い、実装条件の設定(S75)は、各部品実装機において実装条件の設定または変更が可能な期間に行ってもよい。
この場合、例えば、それぞれの部品実装機の生産作業の中断を、実装条件決定装置11が各部品実装機と通信することにより検出し、生産作業を中断している部品実装機に実装条件を送信する。
または、実装条件決定装置11はこのような検出は行わず、定期的に実装条件を各部品実装機に送信する。実装条件を受信した各部品実装機は、例えば条件記憶部21にこの実装条件を記憶しておき、実装条件の設定または変更が可能な期間に当該実装条件を自身に設定する。
なお、ヘッド速度のように、生産作業を中断せずに設定または変更できる種類の実装条件については、随時、設定または変更してもよい。
このように、実装条件の設定または変更が生産作業の継続に大きな影響を与えない期間に、実装条件決定装置11が実装条件を各部品実装機に送信する。
または、このような期間以外に実装条件を送信する場合であっても、各部品実装機において実装条件決定装置11から受け取った実装条件を記憶しておき、当該実装条件の設定が可能な期間に設定する。
いずれの場合であっても、実装条件決定装置11が各部品実装機に実装条件を送信することにより、各部品実装機に当該実装条件が設定されることになる。つまり、各部品実装機に生産性を向上させ得る実装条件が設定される。
図27は、実施の形態3における実装条件決定装置11が、複数のグループの各部品実装機に対し各グループに応じた実装条件を送信する様子を示す模式図である。
図27に示すように、本実施の形態の実装条件決定装置11は、図25を用いて説明した実施の形態2における実装条件設定装置11と同様に、複数のグループに対して、実装条件の最適化を行うことができる。
すなわち、例えば、M123グループ内において部品Aの吸着率が最も優秀な特定設備としてM123−3を決定すると、M123−3から当該吸着率に関連する実装条件αを取得し、M123グループに属するM123−1、M123−2、およびM123−4に対し送信する。
これにより、M123グループに属する全部品実装機における部品Aの吸着率に関連する実装条件が、最適な実装条件に統一される。
また、例えば、実装条件決定装置11は、M221グループ内において部品Dの認識エラー率が最も低い特定設備としてM221−1を決定すると、M221−1から当該認識エラー率に関連する実装条件βを取得し、M221グループに属するM221−2、M221−3、およびM221−4に対し送信する。
これにより、M221グループに属する全部品実装機における部品Dの認識エラー率に関連する実装条件が、最適な実装条件に統一される。
ここで、本実施の形態においては、実施の形態2とは異なり、各部品実装機からの要求を受けることなく実装条件を送信する。
つまり、各部品実装機は、実装条件決定装置11に対して実装条件を要求するための機能を有していなくてもよい。
また、各部品実装機は、実装条件決定装置11から受信した実装条件を即座に設定できない場合、上述のように、例えば条件記憶部21に記憶させておき、当該実装条件の設定が可能な期間に条件記憶部21から当該実装条件を読み出して設定すればよい。
このように、本実施の形態の実装条件決定装置11は、複数のグループに対し、それぞれのグループに応じた最適な実装条件を各グループ内設備に送信することで設定することができる。
これにより、各グループ内で実装条件を最適なものに統一でき、各グループ内設備の生産性が向上される。
また、本実施の形態における実装条件決定装置11は、実施の形態2における実装条件決定装置11と同じく、複数の部品実装機等の設備に対して実装条件の最適化を行う機能が、実装条件の内容、作業成績情報の種類、通信形態、通信プロトコル、設備として扱う機器の単位等に依存せずに発揮される。
(実施の形態1〜3の補足事項1)
実施の形態1〜3において、特定設備を決定する際、生産作業に関連する成績が所定の基準を満たす設備を特定設備として決定するとした。
例えば、生産作業に関連する成績として“部品Aの吸着率”に着目した場合、あるグループ内で、生産作業の結果としての成績である、部品Aについての吸着率が最も高い部品実装機を特定設備として決定するとした。
しかしながら、“生産作業に関連する成績”とは、生産作業の結果としての成績だけでなく、その他の要素から推測または決定される成績であってもよい。
例えば、各設備の各種設定および操作等を担当するオペレータのスキル等によっても、それぞれの設備の成績が決定されると考えられる。
例えば、複雑な形状の部品を基板に実装する際、部品の寸法等から容易にはその部品の基板への実装に適した各種実装条件を決めることはできない。しかし、設備の操作等に関するスキルの高いオペレータであれば、適切な各種実装条件を決定し設備に設定することが可能である。
つまり、スキルが高いオペレータにより設定された実装条件で稼動している設備では、適切な実装条件の下で部品実装基板の生産が行われていると考えられる。
従って、生産作業に関連する成績が所定の基準を満たす特定設備として、スキルの高いオペレータにより実装条件が設定された設備を選択することが考えられる。
この場合、例えば、実装条件決定装置11が、各設備に設定された実装条件がどのようなスキルレベルのオペレータにより設定されたものであるかを記憶しておけばよい。
図28は、オペレータのスキルレベルと設備の個体コードとが対応付けられたスキルデータテーブルのデータ構成の例を示す図である。
スキルデータテーブルは、複数の設備のそれぞれに実装条件を設定したオペレータのスキルレベルを設備ごとに示す情報である。また、グループごとに1つのテーブルにまとめられており、データ項目として、個体コードとスキルレベルとを有している。
個体コードは、図1等を用いて述べたように部品実装機を識別するための識別情報である。スキルレベルは、オペレータのスキルの高さを示す値であり、“1”が最も高いスキルであり、値が大きくなるほどスキルは低くなる。
図28に示すスキルデータテーブルは、M123グループの部品実装機に実装条件を設定したオペレータのスキルレベルを部品実装機ごとに示している。
このスキルデータテーブルによれば、M123−3に設定されている実装条件が最もスキルの高いオペレータによって設定されたものであることを示している。
従って、M123グループにおいて、生産作業に関連する成績が最も良い設備はM123−3であると考えられる。
ここで、実施の形態1におけるM123−1に備えられた実装条件決定装置11が、図28に示すスキルデータテーブルを利用する場合を想定する。
この場合、例えば、グループ記憶部14にスキルデータテーブルが記憶されており、決定部16は、スキルデータテーブルを参照することにより、最も高いスキルレベルに対応付けられたM123−3を特定設備と決定する。
さらに、取得部17がM123−3から各種の実装条件を取得し、自設備であるM123−3に当該実装条件が設定される。
また、実施の形態2における実装条件決定装置11が、図28に示すスキルデータテーブルを利用する場合を想定する。この場合、例えば、グループ記憶部14記憶されているスキルデータテーブルを参照することにより、最も高いスキルレベルに対応付けられたM123−3を特定設備と決定する。
さらに、取得部17がM123−3から各種の実装条件を取得し、M123グループの他の部品実装機からの要求に応じて当該実装条件を送信する。これにより、M123−3から取得された実装条件がこれら他の部品実装機に設定される。
また、実施の形態3における実装条件決定装置11が、図28に示すスキルデータテーブルを利用する場合も、同様にM123−3から取得された実装条件がM123グループの他の部品実装機に設定される。
このように、実装条件決定装置11は、各設備に設定された実装条件がどのようなスキルレベルのオペレータにより設定されたものであるかを示す情報を利用し、特定設備を決定することができる。
これにより、スキルの高いオペレータにより設定された実装条件が取得され、各設備に設定されることになる。つまり、各設備には、生産性を向上させ得る実装条件が設定されることになる。
ここで、実施の形態1の生産システム1における各部品実装機はそれぞれ実装条件決定装置11を備えている。従って、全ての実装条件決定装置11がスキルデータテーブルを記憶しておく必要はない。
例えば、1台の実装条件決定装置11がスキルデータテーブルを記憶しておき、他の実装条件決定装置11は、通信によりそのスキルデータテーブルを取得し利用してもよい。
また、実装条件決定装置11は、スキルデータテーブルを予め記憶しておくのではなく、特定設備を決定する際に、各部品実装機からそれぞれのオペレータのスキルレベルを示す情報を受信してもよい。
また、単純にオペレータのスキルレベルのみで特定設備を決定するのではなく、他の条件を加えて決定してもよい。例えば、吸着率が98%以上の部品実装機の中でオペレータのスキルレベルが最も高い部品実装機を特定設備として決定してもよい。
(実施の形態1〜3の補足事項2)
実施の形態1〜3において、特定設備を決定する際の所定の基準として、生産作業に関連する成績が、少なくとも実装条件を受け取る側の設備の成績より上位であるという基準を採用していた。
つまり、このような基準で特定設備を決定することで、特定設備以外の設備の生産性の向上を図るとしていた。
ここで、“生産性の向上”とは、具体的にはその時々の生産計画等に応じて変化する概念である。つまり、現状と比較して、より早くより多くの製品を生産させることだけでなく、生産速度を遅くすることで現状よりも品質の良い製品を生産させることも当然に含まれる。
従って、生産作業に関連する成績として単位時間当たりの生産枚数であるスループットに着目し、スループットが特定の値よりも高いこと、または低いことを所定の基準として特定設備を決定してもよい。
例えば、実施の形態2において、M123グループ内でM123−2が最もスループットの高い部品実装機である場合を想定する。この場合、実装条件決定装置11は、M123グループに属する各部品実装機からスループットの値を含む作業成績情報を収集し、スループットが最も高いM123−2を特定設備と決定する。
実装条件決定装置11はさらに、特定設備であるM123−2から、各種の実装条件を取得する。そして、取得した各種の実装条件をM123グループに属するM123−2以外の部品実装機に送信する。
これにより、M123グループに属するM123−2以外の部品実装機のスループットを向上させることができる。従ってこのような生産モードは数量優先で部品実装基板を生産したい場合に有効である。
また、M123グループ内でM123−2がスループットの最も低い部品実装機である場合を想定する。この場合、M123−2は、他と比べてゆっくりと部品実装基板を生産していると言える。そのため、他の部品実装機よりも装着精度が高いなど品質の良い部品実装基板を生産しているとも言える。
つまり、スループットが低い部品実装機は、生産品の品質という面から見ると優秀な部品実装機であると言うことができる。
そこで、実装条件決定装置11は、M123−2から、ヘッド速度等の各種の実装条件を取得し、M123グループに属するM123−2以外の部品実装機に送信する。
これにより、M123グループに属するM123−2以外の部品実装機は、スループットは低下するもののより品質の良い部品実装基板を生産することができる。従ってこのような生産モードは、品質優先で部品実装基板を生産したい場合に有効である。
なお、単純にスループットの高低のみで特定設備を決定するのではなく、他の条件を加えて決定してもよい。例えば、装着率が98%以上の部品実装機の中でスループットが最も高い部品実装機または最も低いい部品実装機を特定設備として決定してもよい。
また、部品実装機のオペレータまたは生産システムの管理者に、数量優先または品質優先のいずれかを生産モードとして選択させてもよい。さらに、上述の補足事項1で述べたオペレータのスキル優先をこれら生産モードの選択肢に加えてもよい。
この場合例えば、実施の形態2における実装条件決定装置11の表示部に図29に示すような生産モード選択画面を表示する。
図29は、生産モード選択画面の一例を示す図である。
生産システム2の管理者は、生産システム2により多くの部品実装基板を生産させたいと考えた場合、生産モード選択画面において“数量優先”を選択する。また、管理者は、生産システム2により品質の良い部品実装基板を生産させたいと考えた場合、生産モード選択画面において“品質優先”を選択する。
また、管理者は、生産システム2において、各設備の実装条件をスキルの高いオペレータが決定した実装条件に揃えたいと考えた場合、生産モード選択画面において“スキル優先”を選択する。
実装条件決定装置11は、管理者により選択された生産モードに対応した上述の各動作を行う。
このように、生産モードの選択画面を採用することで、管理者は、生産状況や納期等を考慮した上で容易に生産モードを変更することができる。
(実施の形態1〜3の補足事項3)
実施の形態1〜3において、あるグループ内において特定設備以外の各部品実装には実装条件決定装置11により取得された特定設備の実装条件がそのまま設定されるとした。
しかしながら、特定設備の実装条件をそのまま各部品実装機に設定するのではなく、特定設備とその他の部品実装機との性能等の差異を考慮し、当該他の部品実装機に応じて変換した上で当該他の部品実装機に設定してもよい。
例えば、ある部品実装機が同一グループ内の特定設備の後継機種である場合、当該部品実装機と特定設備とは基本的な構成が類似関係にあり、当該部品実装機の方が性能が高いことが考えられる。
そこで、実装条件決定装置11に、例えばその性能の差を吸収するための変換テーブルを記憶させる。さらに、実装条件決定装置11に、特定設備から取得した実装条件を変換テーブルを参照して変換させ、当該部品実装機に送信させる。これにより、当該部品実装機により適した実装条件を与えることができる。
図30は、実装条件を変換するための変換テーブルのデータ構成の一例を示す図である。
変換テーブルは、特定設備における実装条件の値と、特定設備以外の設備における実装条件の値との対応を示す情報の一例である。
図30に示す変換テーブルは、具体的には、Mグループに属する機種間のヘッド速度の対応を示している。
なお、ヘッド速度は、“1”が最も速く、“2”、“3”の順に遅くなる変数である。また、例えばグループ記憶部14に記憶されている。
また、この変換テーブルは、M221がM123の後継機種である場合の変換テーブルである。この変換テーブルによれば、例えば、M123のヘッド速度“3”にはM221のヘッド速度“1”が対応する。
これは、M221がM123より性能が高いため、M123がヘッド速度“3”で生産している部品実装基板を、M221が、より速いヘッド速度である“1”で生産可能であることを意味している。
図31は、図30に示す変換テーブルによって実装条件が変換される様子を示す模式図である。
図31に示すように、M123−1が特定設備として決定された場合、実装条件決定装置11が特定設備から実装条件として取得したヘッド速度“3”は、M221−1に送信される際、ヘッド速度“1”に変換されて送信される。
このように、実装条件決定装置11は、部品実装機間の性能等の差異を吸収する変換テーブルを有することにより、各部品実装機には、より適切な実装条件が設定されることになる。
また、管理者は、複数の部品実装機の管理が容易になる。例えば図31に示す例において、M123のヘッド速度が“3”から“4”に変更された場合、M221−1の実装条件が実装条件決定装置11により設定または変更される際に、ヘッド速度はM221−1に適した“2”へと変更されることになる。
つまり、特定設備の実装条件に何らかの変動があった場合、他の部品実装機の実装条件も、その変動に追随してそれぞれの部品実装機に適した値に自動的に変更されることになる。
なお、異なるグループに属する複数の部品実装機についての変換テーブルを記憶していてもよい。これにより、特定設備とは異なるグループに属する部品実装機に適した実装条件を当該部品実装機に設定することができる。
また、同一機種である複数の部品実装機についての変換テーブルを記憶していてもよい。これにより、同一機種間に存在する個体差を吸収することができる。
また、図30に示す変換テーブルは、Mグループにおける機種間のヘッド速度の対応を示しているが、他の種類の実装条件の対応を示すものでもでもよい。
つまり、特定設備の実装条件の値と、他の部品実装機の実装条件の値とが、これら2台の部品実装機の性能等の差異を吸収するように対応付けられるものであれば、これら2台の部品実装機がそれぞれ異なるグループに属していてもよく、属していなくてもよい。さらに、変換テーブルで変換される実装条件の種類も特定のものに限られることはない。
(実施の形態1〜3の補足事項4)
実施の形態1〜3における実装条件決定装置11が備える通信部12、識別部13、グループ記憶部14、収集部15および決定部16の動作は、中央演算装置(CPU)、記憶装置、および情報の入出力を行うインターフェース等を有するコンピュータにより実現することができる。
例えば、実施の形態1における実装条件決定装置11の動作は、コンピュータの各構成部の以下のような動作により実現される。
すなわち、各部品実装機から送信される敵味方信号をインターフェースを介してCPUが受け取る。さらに記憶装置から読み出した情報を参照し、敵味方信号を送信した部品実装機がいずれのグループに属するかを認識する。認識した結果は、CPUの制御によりグループごとにまとめられ記憶装置に記憶される。
また、CPUは、記憶装置から読み出した情報を参照し、作業成績情報の要求をインターフェースを介して各部品実装機宛に送信する。さらに当該要求の応答として送信される作業成績情報をインターフェースを介して受け取り、所定の基準を満たす成績を示す作業成績情報を送信した部品実装機を特定する。特定した部品実装機宛にインターフェースを介して実装条件の要求を送信し、当該要求の応答として送信される実装条件をインターフェースを介して受信する。
その後、CPUは、記憶装置から読み出した情報を参照し、受信した実装条件を送信すべき部品実装機を特定し、インターフェースを介し特定した部品実装機宛に当該実装条件を送信する。
このようなコンピュータの動作によっても、本発明の実装条件決定方法は実現され、また、本発明の実装条件決定装置の動作が実現される。
また、部品実装機10および部品実装機30における、設定部20、機構制御部22、エラー検出部24、および通信部26の各構成部の動作も同様に、CPU、記憶装置、インターフェース等を有するコンピュータにより実現することができる。