JP2007294708A - 多層配線基板およびその製造方法 - Google Patents

多層配線基板およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 絶縁層を介して積層した上下の配線層間を導通するためのビアホールを紫外線レーザーにより加工するに際し、ランドが溶解または貫通されることなく、十分に配線層間の接続が可能な程度に盲孔底部の樹脂残渣を低減できるレーザー孔加工を可能にした多層配線基板およびその製造方法を提供する。
【解決手段】 第1配線層11と、第1絶縁層8と、第2絶縁層10と、第2配線層7とがそれらの順に積層された多層配線基板において、第1配線層11、第1絶縁層8、第2絶縁層10を貫通して第2配線層7に達する層間接続用のビアホール9が設けられ、このビアホール9は、355nm以下の単一波長の紫外線レーザー光により形成される構成にした。
【選択図】図6

Description

本発明は、絶縁層を介して積層された配線層の層間接続用のビアホールを有する多層配線基板およびその製造方法に関し、さらに詳しくは、半導体装置および半導体装置積載用基板、ならびに多層プリント配線板、高密度実装用の印刷回路の層間絶縁層に形成される層間接続用のビアホールを有する多層配線基板およびその製造方法に関するものである。
近年、半導体の性能が飛躍的に進歩し、半導体装置の多端子化ならびに複数の半導体装置を一体に組み合わせてなる多チップ化半導体装置として進化してきている。しかしながら、コンピュータのハードディスク内のプリント配線板(マザーボード)や携帯端末機および携帯電話におけるプリント配線板は面積が限られているため、半導体装置を実装する配線基板(半導体パッケージ)のサイズには制限がある。
多端子化した半導体装置に対応するための配線基板には多くの配線数が求められ、またそれら半導体装置を実装するための配線基板は配線の細線化と高密度化に対応して構成される。一方、15μm程度以下の配線形成は量産技術において困難なことから、必要数の配線を備えるために配線層を多層化し、配線の細線化を緩和する対策がとられている。このような配線の多層化に際し、樹脂絶縁層に孔部を形成し導通可能な金属材料を孔部内に皮膜して樹脂絶縁層を挟んだ上下の配線層間を電気的に接続することにより多層配線基板を構成するようにしている。
従来、層間接続のための孔部を形成するには、金属ドリルによる機械加工が主流であった。しかし、孔部が微細になれば当然加工する孔も小さくなり、さらに微小孔の加工にはコストがかかり、しかも金属ドリル等の工具は孔加工時の摩耗が激しく消耗品となってしまう。そこで、近年、微小孔部の形成には金属ドリルによる機械加工にかわり、高エネルギーのレーザー光を加工対象物に照射して、加工対象物に孔部を形成するレーザー孔加工が用いられるようになってきた(例えば特許文献1参照)。
層間接続用孔加工に用いるレーザー光には、赤外線領域のCOレーザー(波長9.3〜10.6μm)、YAGレーザー(基本波の波長1.06μm)、紫外線領域のYAG、YLF、YAP、YVOレーザー(第3高調波の波長355nm、第4高調波の波長266nm)およびエキシマレーザー(XeClの波長308nm、KrFの波長248nm、ArFの波長193nm)が利用されている。赤外線領域の波長を利用したレーザー孔加工は、金属ドリルによる機械加工に対して熱加工や熱分解加工であり、このレーザー孔加工は光化学反応を利用した光分解加工と呼ばれている。
金属ドリルによる機械加工は多層配線基板における貫通孔(スルーホール)の形成が主流であるが、パルス発振であるレーザー孔加工はレーザー光の出力を調節することで樹脂材料のみ、すなわち絶縁層のみの加工が可能である。そのため、レーザー孔加工は止まり穴加工(盲孔加工;ブラインドビアホール加工)に主に使用されている。現在、実用化されているレーザー光で加工できる孔部径φは、COレーザーの場合、φ=50〜150μmであり、紫外線レーザーの場合は、φ=30〜80μmである。また、エキシマレーザーの場合はφ=20μmであり、より微小な孔部径の加工も可能であるが、高反射性の金属酸化膜マスクやレーザー媒体ガスの維持等の消耗品が高価になるため量産には向かない。しかしながら、前記のような棲み分けも、配線基板の高密度化に伴いより微小径加工が有利にでき、かつメンテナンス性も良好であるという観点から紫外線レーザー装置が最も有望視されている。
また、紫外線レーザーは波長がCOレーザーのそれに比べ短く、エネルギー密度が高い。さらに、樹脂材料への吸収も高いためにビアホール用孔部内での残渣残りを低減できる。一方で、紫外線レーザーは1孔ごとの処理であるため、現在の処理スループットは低いが、近年、レーザー発振のための周波数も高くなり、さらには加工ヘッドの多軸化も開発されているので、量産現場では近々COレーザーを凌駕することになる可能性は高い。さらにCOレーザーでは金属への吸収が望めないためにエッチングにより配線層に円形のパターンエッチングをした後、レーザー加工(コンフォーマル法)を行う必要がある。また黒化処理を施した薄膜の配線層の場合にはレーザー光を吸収させることができるが、工程数が増加する問題がある。
一方、レーザー孔加工により孔部を形成した後は、湿式法では過マンガン酸カリウムによる残渣処理(デスミア)が行われ、また乾式法では酸素プラズマ処理による残渣処理が行われる。この残渣残りは配線層間の接続の信頼性を著しく低下させるためである。しかるに、紫外線レーザー光では樹脂への吸収が高いために残渣残りを極力低減できる。また、紫外線レーザー光は波長が短いため、樹脂分子鎖の解離エネルギーレベルにおいて加工対象に照射することができ、樹脂の分解加工を期待できる。すなわち、絶縁層の残渣を極小まで少なくできる。また、通常は電気化学法による電気メッキを用いて孔部を充填するが、メッキ前処理において孔内部に金属薄膜でくまなく被覆できるので、孔底部に露出した配線層との金属同士を密着させることができる。そのため接続の信頼性は高くなる。
しかるに、COレーザーでは、波長が長いために残渣残りが加工条件によらず多い傾向にある。このため、紫外線レーザーと同様の残渣量に達するまでにもデスミア処理時間を長くしなければならず、生産性の観点からは好ましくない。
レーザー孔加工に紫外線レーザー光を選択する利点は微小径加工と残渣残りがCOレーザーに比べ低減できることが挙げられる。また、紫外線の波長は金属の吸収波長と重なるため、例えば355nmの波長であれば、金属配線層(例として銅)は70〜80%程度まで吸収する。すなわち紫外線レーザー光では配線層を直接孔加工(ダイレクト加工)することができる。ダイレクト加工を選択することは工程数が大幅に低減し、生産性を向上することが可能になる。
また、紫外線レーザー光は加工対象の材料によってレーザー光の吸収率が異なる。例えば前述した配線層に広く用いられている銅では70〜80%程度、樹脂材料に関してはエポキシ系の絶縁層で80〜90%、ポリイミド系の絶縁層では同じく80〜90%、ポリオレフィン系に代表されるプラスチック系絶縁層では10〜20%程度となり、レーザー光吸収特性は各種材料の物性に依存する。
多層配線基板は、その基本的構造上、上下の配線層間には有機/無機材料から選択される絶縁層が介在され、この構造形態は配線層ごとに設けられる。特に有機樹脂材料から選択される絶縁層では、絶縁材料そのものに接着機能を持たせ、無機材料での多層化に必要な高温での焼成工程を省略することが可能になる。そして、有機材料では過度な高温付加を軽減することで配線基板自体の寸法を安定させることができる。
また、十分な絶縁機能と接着機能の両者の特徴を有する絶縁層においては、単一層で機能的、製造プロセス的に満足することができず、複数層の絶縁層が選択される場合がある。特に接着機能を発現させるためにガラス転移点温度(Tg)まで熱付加を必要とする場合が多い。ここで、ポリイミド系の絶縁層であると300℃といった高温が必要になり、基板寸法の安定化に及ぼす影響が大きい。Tgの低い絶縁層を選択すると、基板寸法の安定化に対して有利になる。
しかしながら、Tgが低く、かつ接着機能を有する絶縁材料には、しばしばレーザー光の吸収特性が低いものもある。レーザー光吸収特性が高い場合には樹脂鎖の分解を加工方法で期待できるが、レーザー光吸収特性が低いとレーザー光照射による局所的な熱を利用した熱加工の要素が大きく関わってくる。なぜならば、加工不十分のまま多層構造を完成させたとしても、配線層間の接続を阻害する残渣残りが発生してしまうからである。阻害物が存在した層間接続用孔底部の接触面積は著しく小さくなり、層間接続が不十分であると言わざるを得ない。また層間接続が不十分な場合は基板完成後の環境特性試験(例えば熱衝撃試験等)を合格することができないのは容易に想像できる。
レーザー照射による熱加工を施す場合、過度の熱量が発生しない加工条件を選択しなければならない。なぜならば、レーザー照射により発生する熱は樹脂のみに適用されるだけでなく、一定の面積と厚さを有する下層配線パターンのランド(層間接続用孔部の的となる部分)にも伝導されるためである。レーザー光吸収特性が特に低い絶縁層であれば、レーザー照射の光エネルギーの多くは透過し、むしろ比率としてはランドに多く到達し発生熱に変換される。ここで、過度の熱が発生すればランドが溶解し貫通される危険がある。一定の形状をしている配線パターンの体積と熱を吸収できる蓄熱の積から熱容量を考えると、発生熱量がランドの熱容量を越えればランドが溶解または貫通されてしまい、後の工程で層間接続を行うことが困難になる。さらに設計された電気的な特性を著しく崩してしまうことになりかねない。または、それ以前に層間接続用孔の形状品質の観点から不良と判断されるであろう。よって、配線パターンの熱容量を考慮したレーザー光が照射されることが必要である。
また、ランドの貫通を回避するあまり発生熱を極力抑えたレーザー照射の条件を選択した場合には、層間接続孔底部に多くの残渣残りを発生させる危険性もある。前述のとおり残渣残りは層間接続の上で大きな問題となる。つまりランドの溶解および貫通問題と相反する孔底部の残渣残り問題との両面を考慮したレーザー照射条件を構築しなければ、ランド形状を保護し、かつ十分な層間接続を実現することはできない。
また、配線設計が高密度化してくると、配線自体やランド形状(寸法、厚さ)も微小化され、ランドの溶解および貫通の可能性が顕著になってくる。レーザー照射により層間接続プロセスを構築する上では、ランドの体積に依存した熱容量を考慮した製造条件を適用することでこれら問題を解決しなければならない。
特開2005−64333号公報
本発明は上記のような問題点を解決するためになされたものであり、絶縁層を介して積層した上下の配線層間を導通するためのビアホール(盲孔)を紫外線レーザーにより加工するに際し、第2配線層に相当するランドが溶解または貫通されることなく、十分に配線層間の接続が可能な程度にビアホール底部の樹脂残渣を低減できるレーザー孔加工を可能にした多層配線基板およびその製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明は、第1配線層と、第1絶縁層と、第2絶縁層と、第2配線層とがそれらの順に積層された多層配線基板において、前記第1配線層、前記第1絶縁層、前記第2絶縁層を貫通して前記第2配線層に達する層間接続用のビアホールが設けられ、前記ビアホールは、355nm以下の単一波長の紫外線レーザー光により形成されていることを特徴とする。
また、本発明は、第1配線層と、第1絶縁層と、第2絶縁層と、第2配線層とがそれらの順に積層された多層配線基板に、前記第1配線層、前記第1絶縁層、前記第2絶縁層を貫通して前記第2配線層に達する層間接続用のビアホールを形成する多層配線基板の製造方法において、前記ビアホールを形成するに際して所定の繰り返し周波数で発振するパルスレーザーが使用され、前記ビアホールは、前記パルスレーザーのパルスエネルギーもしくはパルス数の何れか一つの要素からなるレーザー光を適正量照射することで加工され、前記レーザーに起因する前記第2配線層の溶解深さが該第2配線層の厚みの1/2以下に抑えられるように、前記パルスエネルギーもしくはパルス数を前記パルスレーザーの光エネルギー変換の融解熱および蒸発熱が前記第2配線層の蓄熱量とバランスする値に設定したことを特徴とする。
本発明の多層配線基板およびその製造方法によれば、絶縁層を介して積層した上下の配線層間を導通するためのビアホール(盲孔)を紫外線レーザーにより加工するに際し、第2配線層に相当するランドが溶解または貫通されることなく、十分に配線層間の接続が可能な程度にビアホール底部の樹脂残渣を低減できるレーザー孔加工が可能になる。
以下、本発明にかかる多層配線基板およびその製造方法の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、本発明にかかる多層配線基板およびその製造方法は、以下に説明する実施の形態に限定されるものではない。
以下、本発明の多層配線基板における製造方法について説明する。
多層配線基板を製造するにあたり、その配線形成には公知のサブトラクティブ法もしくはセミアディティブ法を用い、配線層の積層方法には絶縁材料を介在させたプレス積層またはロール積層等により、一括もしくは逐次積層される方法を用いるものとする。ただし、配線形成や積層方法は前記方法に何ら限定される必要はない。
また、多層配線層の層間接続のための導電性物質は、例えば電気化学法によるメッキまたは印刷法等により孔加工後のビアホール内に充填される。この時の導電物質の種類や充填方法もしくは充填形状は実施の形態に示すものに何ら限定されるものではない。
配線設計を向上させるためには、層間接続に盲孔加工(ブラインドビアホール加工)を採用することが望ましく、盲孔加工には所定の繰り返し周波数で発振するパルス発振式レーザー光が適している。機械加工で形成された公知のスルーホールは基板内の面積を大きく占有し、配線設計の高密度化を阻害する。場合にもよるが、スルーホールに比べレーザー光による盲孔であれば配線密度が数倍から数十倍に向上できる。
パルス発振方式のレーザー光は電気的に制御しやすく、照射の条件さえ適正であれば容易に盲孔加工が可能である。パルスレーザー光にはいくつかの種類があるが、COレーザーは加工処理スループットが高いものの、金属配線層への直接加工や径φが50μm以下の小径孔の加工に適さない。今後の高密度化を考慮すれば、紫外線レーザーを選択することが好適である。紫外線レーザーは、その波長が金属に吸収される領域であるため、直接孔加工(ダイレクトビア加工)することができる。また、紫外線レーザー光の波長はCOレーザーに比べ短いため、盲孔加工時の残渣量も低減できる。層間接続における高信頼性を付加価値として考えるならば、残渣の存在は少なければ少ない方が好ましい。
パルス発振式孔加工機は、1パルスあたりのレーザー光のエネルギーを配線層と絶縁層との間で変えることができるほか、ビアホールの開口部分に位置する配線層には直接孔形成が可能であり、ビアホール底部に相当する配線層へ盲孔形状の加工が実現できる。例えば、YAGの第3高調波(波長355μm)を利用した銅層加工には300μJ程度のパルスエネルギーを持つパルスを適当数照射することで可能になり、また、絶縁樹脂加工には50μJ程度のパルスエネルギーを持つパルスを適当数照射することで可能になる。
有機系の絶縁層には、ポリイミドがその耐熱性、低誘電率、合成のし易さから広く用いられている。また、ポリイミドは高Tg材であるため、多層配線構造に採用するには300℃程度の高温により接着機能を発現させる必要がある。300℃の高温では、プロセス上の制限や多層配線基板の寸法の安定性制御の難易度、反りや変形対策が不可避な問題となる。ここで、接着機能を有した低Tg絶縁材料が注目される。これには、例えばエポキシ系、ゴム系、ポリオレフィン系、アクリル系等があるが、これに限定されるものではない。特にエポキシ硬化成分を系内に有している熱硬化性接着材料であれば、ゴムロールや熱プレスなどにより200℃以下での熱圧着を利用することで接着機能を得ることができる。
また、複数種類の絶縁材料を絶縁層として採用することも可能である。例えば比較的安価な銅箔貼付済みのポリイミドシートと回路基板を接着性絶縁材料により熱圧着して層間接続を行えば、多層配線構造を得ることができる。ここで、接着性絶縁材料は塗布されるものでも構わない。すなわちコストと製造プロセス上の観点から単一絶縁層にこだわる必要はない。絶縁層全体で物理的特性や電気的特性を満足するものであれば、種類、組み合わせ方法、多層化の製造方法は限定されるものではない。
選択される絶縁材料に対してレーザー光を照射することで孔加工する場合では、絶縁材料による残渣は限りなく低減された方が層間接続の高信頼性に寄与する。なぜならば、盲孔加工されビアホール底部に露出した配線層と、層間接続用の充填物質間にはかならず界面が存在し、この界面は応力集中や亀裂伝播の発生箇所になる。界面の接続強度が低い場合では、例えば冷熱繰り返し環境下での層間接続回路の断線を引き起こす。特に微小径のビアホールでは界面における接続面積も小さくなるために、残渣の低減はより必要とされる。
盲孔加工にはパルスエネルギーの差が利用される。すなわち絶縁層には低いパルスエネルギーを照射して盲孔加工を行う。この場合、ビアホール底部の配線層である金属は低いパルスエネルギーに対してほとんど不変であるため配線層は保護される。理想的には絶縁層に盲孔を形成するのに必要なパルスエネルギーとパルス数を絶縁層に対してのみ照射させるべきである。
しかるに、レーザー光は少なからず2次元的な強度分布特性を有するため、最低限のパルスのみではビアホール底部に加工バラツキ(例えば残渣のバラツキ)が生じる。これは、発振するレーザー光が多くの場合、強度的ピークのあるシングルモードを光学的に成形してビアホール部に照射しているために起こる不可避な問題である。特にビアホール底端にはレーザー光の強度分布において比較的弱い強度の光がビアホール底部端面の円周上に沿って照射されやすく、したがって残渣残りが発生しやすい。一般的には、ビアホール底部の配線層が保護される低いパルスエネルギーを、加工バラツキを払拭する程度に過度の数のパルスを照射することで解決できる。これは強度分布における加工バラツキをなくすための措置である。
一方、ビアホール底部の配線層には、ランドと呼ばれる的形状の配線パターンが配設されることが一般的な配線設計である。これはレーザー孔加工装置の加工位置精度を考慮した設計手法であり、ランドは照射径より20μm程度以上大きく設計され、そのランドから配線が引き出されている。ランドは有限の面積と規定の厚みがあり、この体積と熱の吸収特性から求められる熱容量を持っている。
熱容量を持つランドに対して過度のレーザーパルスが照射され、その熱容量を超えた段階でランドは溶解する。これはレーザー光からの変換熱がランドに拡散吸収されきれず、またランドの材質による熱伝導の放熱速度よりも照射パルスの速度が速いため熱が蓄積されるからである。そしてランド溶解はランドの貫通にもつながりかねない。ランドが貫通すると後の層間接続プロセスが困難になるほか、電気的設計を著しく崩すことになる。例えば特性インピーダンスの誤差を引き起こしたり、信号伝達の減衰や遅延発生箇所になり得る。また、ビアホールの形成時にランドが保護されなければ製造する多層配線基板の特性や付加価値を大きく失うことになる。
単位パルスエネルギーを、径φ=50μmのスポット(ビア径に相当すると考える)に対して50μJというような低いエネルギーに設定しても、ランドに対して吸収波長の光である限り、過度の照射は熱に変換される。中でも特に低いレーザー光吸収率である材料が絶縁層に用いられている場合、ビアホール底部の加工品質を均一にするために、さらに過度のパルス照射をしなければならないか、もしくはパルスエネルギーを高く設定する必要がある。どちらの方法もランド保護の観点からは避けるべき施策である。
すなわち、ランドには熱容量があり、ビアホールの加工品質のみに注目した過度のパルス照射をするレーザー加工条件を適用することはランド保護に反する。一方、ビアホール底部の加工品質は層間接続の信頼性に大きく影響するため、加工バラツキを払拭し底部の接続面積を確保する必要があり、パルス照射を過度の数必要な場合がある。この両者を満たすためには、レーザー孔加工プロセス時の加工条件のみでは不十分である。ランドの材質を固定とすればレーザー孔加工プロセスに適合したランドの形状が必要である。
レーザー光の出力エネルギーをPとし、ランドの表面反射および熱伝導を伴う損失をηとすると、ランドに吸収されるエネルギーは以下の(1)式で与えられる。なお、ランド材には一般的な配線層を仮定し、銅とした。
P(1−η)=m(CΔT) ・・・・・・・・・・・・・・・・(1)
ここで、P:パルスエネルギー(J)、(1−η):吸収効率(%)、m:質量(g)、C:比熱(J/gK)、ΔT:沸点(℃)とする。
現実のレーザー加工はパルス発振の安定性を考慮して、加工条件に複数パルスを用いることが少なくない。なぜならば、パルス発振の特性として、照射1パルス目は制御の困難な非常に強い強度のパルス(ジャイアントパルス)が発振されることがしばしばある。これに反して2パルス目は規定に足らない強度のパルスが発振される。この問題を回避するために1パルス目は被加工物に照射せず、2パルス目以降の複数パルスを照射している。パルス発振式孔加工機のパルス発振を遮断することは加工ソフトウェア上で容易に制御できる。すなわち、上記式(1)には、現実の加工条件である照射パルス数が考えられていなかった。
そこで、本発明では前記概念を第3高調波の紫外線レーザーにおける孔加工に適用し、複数パルスの条件を満たし、照射対象をランドとした概念に発展させた。ランドは全面配線層ではなく限定された形状を有するため、形状のパラメータおよびランドの溶解を考慮し、これらをさらに追加することにより、上記(1)式は以下に示す(2)式のようになる。
κP(1−η)={ρHπ(d/2)2}×(CΔT+U1+U2)・・・・・(2)
ここで、κ:蓄熱比(無次元)、ρ:密度(g/cm3)、H:ランド厚さ(μm)、d:ランド径寸法(μm)、U1:融解熱(J/g)、U2:蒸発熱(J/g)である。
蓄熱比κは、パルス発振レーザー光における単位時間あたりの発生熱量を導入することから導いたものである。パルス発振では、発振する繰り返し周波数によりパルスエネルギーおよび発生熱量が算出される。この時の各繰り返し周波数Aに対する単位時間あたりの発生熱量と蓄熱比の算出結果は図1に示すようになる。
図1から明らかなように、単位時間あたりの発生熱量および蓄熱比はパルスエネルギーと密接に関係しており、パルスエネルギーが高い場合には発生熱量が多くなる。また、単位時間あたりの発生熱量が1J/s以上であれば溶解に作用し、それ以下の値であれば冷却に作用するものとする。
図2は絶縁層2に形成されたビアホール(盲孔)5の底部の配線層にランド1と称される配線パターンが設けられている場合の孔加工時の説明用断面図であり、この図2に示すように、パルス状のレーザー光4を絶縁層2の上面側から照射することにより、絶縁層2にランド1に達するビアホール5を加工できる。この場合、ランド1には照射箇所に応じた局所的な熱溜まり3が発生する。この熱溜まり3はレーザー光変換熱の拡散速度よりもパルス発振速度が速いために発生すると考える。また、熱溜まり3は発生熱量の大小と照射するパルス数に依存し、時間経過と共にランド1全体に拡散する。すなわち単位時間あたりの発生熱量に累積されるパルス数を乗ずれば、あるランドを溶解せしめる全熱量を意味し、全熱量がランド熱容量の許容内であれば蓄熱されることになる。許容量を超えたレーザー光(パルスエネルギーもしくはパルス数)が照射されれば、局所的な熱溜まり3がランド1の厚み方向にも拡大し、溶解がランドの厚まで到達すれば、ランド貫通を引き起こすことになる。蓄熱される全熱量は溶解に作用する単位発熱量(1J/s)で除し無次元化し蓄熱比κとして定義する。蓄熱比κは、図1から明らかなように、パルスエネルギーとパルス数に依存する(また、両者の積にも依存する)。
ここで、式(2)をランド厚Hについて整理すると以下に示す(3)式になる。
4κP(1-η)
H = ――――――――――・・・・・・・・・・・・・・・(3)
πρd2(CΔT+U1+U2)
ここで、ρ、C、ΔT、U1、U2は物理定数である。また(1−η)は、銅材への第3高調波レーザー光の吸収効率になり、75〜80%程度であった。またPとパルス数は一意的に設定でき、さらに両者に蓄熱比κが依存することでランドの形状を決める厚さHおよび径寸法dが決定される。また、ランド形状を決めるHおよびdが配線設計の観点から決まっている場合には、熱容量を考慮したレーザー光(パルスエネルギーまたはパルス数)を選択することができ、ランドの厚さ方向の任意の範囲のみを溶解することが可能である。言い換えれば、レーザー光照射によるランドの厚み方向への溶解範囲を制御することが可能である。また孔径がφ=20〜60μm程度であれば、ランドに照射される単位時間あたりの発生熱量がほぼ一定量であるため孔径の影響を排除して考えることができる。
図3は、式(3)から算出されたランドに照射されるレーザー光のパルスエネルギーとランドの溶解深さの関係を示すグラフであり、パルス数が5パルスと8パルスの場合を表している。
この図3から明らかなように、ランド径寸法dが90μmで設計された場合、パルスエネルギーが低いと単位時間あたりの発生熱量が少ないため、ランドの溶解深さも浅い範囲になる。また同じパルスエネルギーにおいて照射される場合、パルス数が少ないと蓄熱比が小さくなるために溶解深さも浅くなる。ここで、絶縁層がレーザー光の波長に対して難加工性の場合は、必然的に熱加工要素に重点をおかねばならず、パルスエネルギーは高い設定となる。一方では、溶解深さ<ランド厚さとなることを考慮したパルスエネルギーが適用されなければならない。なぜならば、溶解深さがランド厚さを超えることは貫通を意味するためである。また、ビアホールの加工品質を保つために過照射する必要がある場合ではパルス数にも留意する必要がある。
図4は、ランドの径寸法d(=90μm)が一定であった場合のパルス数と溶解深さの関係を示すグラフであり、パルスエネルギーが40μJ、130μJ、210μJの場合を表している。
この図4において、選択されるそれぞれのパルスエネルギーにおいて、パルス数が多い場合には溶解範囲が深い。特にパルスエネルギーが高いと、溶解深さがパルス数の影響をさらに受ける。また、パルス数が倍になっても溶解深さが1μmにも満たないパルスエネルギーの設定も可能である。
図5は、パルスエネルギーとパルス数を組み合わせた場合のランド寸法と溶解深さの関係を示すグラフであり、40μJ/5パルス、40μJ/8パルス、130μJ/4パルス、130μJ/8パルスの場合を表している。図示はしないが、図中以外の組み合わせも設定可能であり、図5では代表的な組み合わせのみ抜粋した。ここでの溶解深さはランドを貫通しないしきい値のランド厚さと同等であり、これとランド寸法を乗じたものはランドの熱容量を意味する。また、ビアホールの加工品質を考慮し、パルスエネルギーやパルス数、どの程度の過照射にするのかは、設計されたランド径の熱容量を加味し図5の関係に基づいて設定される。
絶縁層が有機物である場合、レーザー光照射後に残渣残りが発生する。孔加工の後工程に過マンガン酸塩を用いたビアホール内の残渣除去工程がある場合が一般的である。また、残渣除去には乾式も考えられるが、湿式である場合が多い。過マンガン酸塩による処理ではビアホール内の残渣を除去できるが、もちろん表面のみの除去が主眼としておかれている。なぜならば、過度に絶縁層に浸食してはビアホールの形状品質を低下させる可能性があるからである。パルスエネルギーが高くパルス数が多い場合、ランド溶解が深くなる(図3参照)。また、ランドが溶解する程度のレーザー光が照射された場合、しばしば残渣がランドの厚さ方向に取り込まれる(取り残される)場合がある。これは複数パルスにより照射されていることに起因し、あるパルスで残渣が発生し、その後のパルスでランドが溶解し、発生した残渣が飛散されずに溶解したランド内に取り込まれてしまうためである。もちろんランド内に取り込まれた残渣は過マンガン酸塩では除去することができない。これは乾式であっても表面のみの処理であるために除去できない。取り込まれた残渣はその程度によりビアホールの電気的導通を阻害したり、層間接続強度を低下させたり、多層配線基板自体の機能劣化にもつながる可能性がある。ビアホールの加工品質を向上させるためにはランドの溶解を極力抑え、残渣の取り込みを抑制することが必要である。
ランド熱容量が小さく、ビアホールの加工品質を保つために過照射しなければならない反面、ランド溶解は残渣をランド内に内包してしまう可能性がある。このため、溶解深さはできるだけランドの表面のみに抑えなければならない。レーザー光による孔形成ではこれら相反する問題を同時に解決し、品質の高いビアホールを形成すべきである。残渣はビアホール加工の特性上必ず発生するものであり、前記問題の解決にはランドの溶解深さを知る必要がある。解決方法は何ら限定されるものではなく、重要なのは設定したレーザー光の条件でランドの溶解深さを制御することにある。
本発明の製造方法に基づき多層配線基板を作製し、その効果を検証した。以下、パルスエネルギーによる効果について、図6を参照して詳細を説明する。
はじめに、宇部興産社製の両面銅箔付きテープ材(銅/ポリイミド/銅→9μm/25μm/9μmの膜厚)を使用し、ビアホールにより上下2層の配線層を層間接続した2層配線基板を作製した。製造方法には各種レーザー孔加工装置、パンチ孔空け装置またはフォトエッチングビア形成法等を利用し、絶縁層8に層間接続用の孔を形成し公知のメッキ法、フォトリソグラフィー法により絶縁層8にビアホール12を形成し、絶縁層8の両表面に配線パターン6を形成する。これは2層配線基板の作製には何ら限定される必要はない。
さらに、表裏の配線パターン6には、後で積層される接着性絶縁層10との剥離強度を向上させるために過水硫酸系薬液によるCZ粗化処理を行った。粗化深さは重量換算から約1.5μmであった。
前記2層配線基板の両面に、接着機能を有した絶縁層(接着性絶縁層10)を介在し、片面銅箔付きテープ材(銅/ポリイミド→9μm/9μmの膜厚)をラミネート積層した。ここで、接着材絶縁層10は剥離強度が高く、Tgが200℃であるテープ材を用いた。テープ材を基板構成材料に選択した理由は、膜厚精度が高く電気的特性の制御に好適なためである。また多層配線基板の製造はすべてロール搬送法により製造した。
ビアホール加工をするために波長355nmの紫外線レーザーを使用し、片側の銅箔面からφ=50μmの加工径で直接孔加工を行った。微小径の孔加工と金属への直接加工により製造工程を減らし、生産効率向上のために紫外線レーザー孔加工装置を選択した。ビアホールの位置はランド7に相当する座標であり、その形状は直径90μm、厚さ9μmである。孔加工は銅箔層11→絶縁層8→接着性絶縁層10の順序で行われた。銅箔層の加工時には300μJ、絶縁層の加工時には40μJ、接着材絶縁層の加工時には210μJ、130μJと40μJを用いた。3種類の加工条件を選択したのはパルスエネルギーの違いによる効果を検証するためである。銅箔層→絶縁層までの孔加工は孔底部や孔形状に差異はなく、接着性絶縁層の加工後に品質の差が生じる製造方法である。
ビアホール加工後に光学顕微鏡および電子顕微鏡による孔底部観察を行い、また断面研磨によりビアホールの形状観察を行った。特に電子顕微鏡観察ではビアホール底部の微小領域に対して分光分析を併せて行い、有機元素の検出確認を行った。これは樹脂残り(残渣)の存在を検証するためであり、ビアホール品質の基準では残渣なきことが標準条件である。評価対象の基準として(1)有機元素が検出されないこと、(2)樹脂残りがなく40μm以上の底部径であることを設けた。(2)に関しては接続信頼性まで考慮した場合の基準であり、開口径に対して80%とした。また実験パラメータにはパルス数も考慮してある。この時のパルスエネルギーによる検証結果(加工径φ50μm)を図7に示す。この図7において、丸印、白抜き三角印、黒塗り三角印および×印は、以下に述べる内容を表す。
○・・・良好(表面観察では粗化面を確認でき、断面観察ではランド厚が9μmと測定される)
△・・・溶解(表面観察では溶解箇所を確認でき、断面観察では9μm以下)
▲・・・樹脂残り(孔底部径が不十分であり、断面観察でも絶縁層でのテーパが確認される)
×・・・貫通(ランドを貫通しており、ランド下の絶縁層を深削している)
評価基準を満たし、良好な加工品質であった製造条件では○印をつけた。特徴としてはランド表面(孔底部表面)の粗化面を観察することができた。△印はビアホール底部の一部もしくは全域にわたって溶解が認められた。ランド表面の粗化面は溶解箇所においては確認できなかった。また断面観察では溶解部の膜厚が20〜50%程度薄くなっていた。これは図4の溶解深さによく一致する。また、▲印はビアホールに規定の底部径が得られておらず評価基準に達していなかった。パルス数の付加不足ではないかと考えられる。×印はランドが貫通していた。溶解深さがランド厚を超えてしまったためと考えられる。これも図4の結果と一致していた。40μJのパルスエネルギーにおいて、どのパルス数もランドの粗化面を確認できるのは(3パルスは残渣残りのない箇所と同時に確認)ビアホール底部における熱溜まりが粗化されている表面1.5μm程度のみに及んでいるためであり、ビアホール底部表面に溶解が発生していない。パルスエネルギーが低い場合であった方がランド保護に好適であることがこの結果から得られた。
次にランドの径寸法をφ=80μm、120μm、150μmで設計した多層配線基板を作製した。製造方法は実施例1と同様の方法により製作した。レーザー孔加工時のパルスエネルギーは130μJ、40μJに注目した。210μJではランド貫通の可能性が高いために前記2条件に注目した。照射パルス数は5および8パルスであり、パルス数による効果の検証も同時に行った。その評価結果を図8に示す。この図8において、評価結果の印は図7に示す場合と同じである。
図8に示す評価結果では、130μJのパルスエネルギーの場合、どのパルス数の組み合わせ条件でもランドに溶解箇所が発生してしまった。実施例1ではランド寸法90μmであり、パルス数に関係なくランドに溶解が見受けられた結果(図7参照)を再現している。また、ランド径が小さいほどランド厚が溶解により薄く測定された。すなわち130μJのパルスエネルギーを用いると孔底部に発生する熱溜まりは粗化厚よりも深く、パルス数の如何にかかわらず溶解を引き起こしてしまうものである。
一方、図4に示すように、130μJではランド溶解の程度がパルス数にかなり依存するため、設計したランド径に対して適切なパルスを選択することによってランド溶解程度を制御できる可能性もある。40μJのパルスエネルギーを選択した場合ではランド径によらず良好な結果を得ることができた。これは図4でのレーザー光による熱溜まりの発生は粗化厚以下であり、パルス数には比較的鈍感である特性に依存している。また、熱溜まりの発生はビアホール底部のみに限定されるためにランド寸法に対にしても鈍感であり、ランド径によらず良好な結果を得た。図5の結果を例にすると、100〜150μmのランド寸法では40μJでの溶解深さが5パルスおよび8パルスにおいて1μm程度であるため、ランド表面の粗化面が確認できる。また実験外のランド寸法が150μJであった場合でも同様の結果を期待できる。
図6に示す多層配線基板を実施例1および2に述べた場合と同様に作製し、冷熱衝撃の環境下における層間接続信頼性の評価を行った。作製したビアホール9,12は配線層におけるパターンを階段状に接続しており、層間当たりのビアホール数を1000、配線幅を50μmとした4層構造のチェーンパターンであり、基板内を500往復する接続形態を備えている。ビアホールの開口径はφ=50μmであり、孔底部径は80%以上のφ40μmである。また、冷熱衝撃試験の前段階としてJEDEC規格に基づき、試験前処理(−40/110℃を10サイクル→125℃24時間乾燥→30℃/60%/192時間恒温恒湿放置→最大温度260℃×3回リフロー)を施した後に接続信頼性の評価を行った。チェーンパターンは全ビアホールを直列に接続していて、試験中に抵抗値を常時モニターし規定サイクル内で200%の相対抵抗値を示したらNGと判定した。その判定による層間接続の信頼性評価の結果(サンプル数は各20基板、合格率表記)を図9に示す。
この図9において、*1はレーザー孔加工条件(接着性絶縁層時)40μJ、8パルス、孔底部の粗化面確認可能の場合であり、*2はレーザー孔加工条件(接着性絶縁層時)130μJ、8パルス、孔底部が一部でも溶解の場合である。
有機材料の熱膨張係数は金属材料に比べ一般的に大きい。熱膨張係数の違う積層構造体が温度サイクル環境下に示す挙動は、熱膨張係数差に依存した熱応力の発生でありサンプルへの繰り返し負荷である。また、薄型フィルム(薄型テープ)構造にあっては反りとして巨視的に観察も可能である。熱応力の発生はビアホールへの大きな負担である。ビアホール加工→ビアホール内充填を経たビアホールの製造方法上、必ずビアホール底部には界面が存在し熱応力に対して脆弱箇所である。多層配線基板における層間接続の信頼性の評価は、発生する熱応力に対するビアホールの耐久性を検証することであり、規定回数まで接続を保つことが基板の品質保証につながる。ビアホール底部の界面が強固に接続していることが必要である。
図9に示す結果から、もっとも評価の良かったものはいずれも40μJのパルスエネルギーにより孔加工されたサンプルであった。これは実施例2におけるランド溶解がないビアホール底部の品質と一致している。また、ランドが溶解している場合では層間接続の信頼性が劣る結果が得られた。ランドが溶解する場合には残渣残りをランド内に取り込んでしまい、除去できないままビアホールが後工程で形成される。すなわち残渣がビアホールに内在し、熱応力の発生源となってしまうと考えられる。図9に示す結果ではランド寸法が小さい場合に特に層間接続の信頼性が低い。これはランド寸法が小さいと溶解がよりランド深くまで達しており、取り込まれる残渣量が多いためと推測される。40μJでビアホールを加工する場合には粗化面が確認できる。つまりランドがほとんど溶解してないため取り込まれる残渣がなく、ビアホール底部表面の残渣のみ後工程で除去すればよい。したがって残渣が介在/内在しない強固な孔底部の界面を得ることができている。
このような実施の形態によれば、配線層と絶縁層が交互に積層されてなる多層配線基板において、(2)式に基づいたレーザー孔加工条件を適用することでランドの溶解程度を制御、最適化でき、層間接続の信頼性を向上させることが可能である。すなわちランド表面の粗化深さに相当する程度のランド溶解深さ(本実施例では1.5μmに相当)を得て、ランドに残渣を内在させず、粗化表面のみの残渣を後工程で除去する製造プロセスを確立させることが重要である。このようにして高い層間接続の信頼性をもつ多層配線基板を提供することができる。
本実施の形態における繰り返し周波数およびパルスエネルギーに対する単位時間あたりの発生熱量と蓄熱比の算出結果を示す図である。 本実施の形態におけるランドに向けて孔加工する時の断面を示す説明図である。 本実施の形態におけるパルスエネルギーとランドの溶解深さの関係を示すグラフである。 本実施の形態における特定のパルスエネルギーにおけるパルス数とランドの溶解深さの関係を示すグラフである。 本実施の形態における特定のパルスエネルギー、パルス数においてランド寸法とランドの溶解深さの関係を示すグラフである。 本実施の形態における多層配線構造における孔加工時の断面を示す説明図である。 本実施の形態におけるパルスエネルギーおよびパルス数のランド厚さに対する検証結果を示す図である。 本実施の形態におけるパルスエネルギーおよびパルス数のランド径寸法に対する評価結果を示す図である。 本実施の形態における層間接続の信頼性評価の結果を示す図である。
符号の説明
1……ランド、2……絶縁層、3……熱溜まり、4……レーザー光、5……ビアホール(盲孔)、6……配線パターン、7……ランド、8……絶縁層、9……ビアホール、10……接着性絶縁層、11……配線層、12……ビアホール。

Claims (12)

  1. 第1配線層と、第1絶縁層と、第2絶縁層と、第2配線層とがそれらの順に積層された多層配線基板において、
    前記第1配線層、前記第1絶縁層、前記第2絶縁層を貫通して前記第2配線層に達する層間接続用のビアホールが設けられ、
    前記ビアホールは、355nm以下の単一波長の紫外線レーザー光により形成されている、
    ことを特徴とする多層配線基板。
  2. 前記第1絶縁層と前記第2絶縁層とは、材料組成が異なっていることを特徴とする請求項1記載の多層配線基板。
  3. 前記第1絶縁層と前記第2絶縁層とは、材料組成が同一であることを特徴とする請求項1記載の多層配線基板。
  4. 第1配線層と、第1絶縁層と、第2絶縁層と、第2配線層とがそれらの順に積層された多層配線基板に、前記第1配線層、前記第1絶縁層、前記第2絶縁層を貫通して前記第2配線層に達する層間接続用のビアホールを形成する多層配線基板の製造方法において、
    前記ビアホールを形成するに際して所定の繰り返し周波数で発振するパルスレーザーが使用され、
    前記ビアホールは、前記パルスレーザーのパルスエネルギーもしくはパルス数の何れか一つの要素からなるレーザー光を適正量照射することで加工され、
    前記レーザーに起因する前記第2配線層の溶解深さが該第2配線層の厚みの1/2以下に抑えられるように、前記パルスエネルギーもしくはパルス数を前記パルスレーザーの光エネルギー変換の融解熱および蒸発熱が前記第2配線層の蓄熱量とバランスする値に設定したことを特徴とする多層配線基板の製造方法。
  5. 前記第1配線層と、前記第1絶縁層と、前記第2絶縁層に順に照射されるレーザー光のパルスエネルギーもしくは累積されるパルス数のうち、前記第1配線層に照射されるパルスエネルギーもしくは累積されるパルス数の値Aと、前記第1絶縁層に照射されるパルスエネルギーもしくは累積されるパルス数の値Bと、前記第2絶縁層に照射されるパルスエネルギーもしくは累積されるパルス数の値Cとの間にA>C≧Bの関係を満たすように前記レーザー光のパルス発振条件を設定したことを特徴とする請求項4記載の多層配線基板の製造方法。
  6. 前記第1配線層が前記レーザー光により孔加工された後、1パルスあたり200μJ以下のパルスエネルギーで、かつ±20%以内の照射面内で均一な密度分布を有するレーザー光により前記第1絶縁層と第2絶縁層を順に孔加工して前記第2配線層に達する径φが20〜70μmのビアホールを形成したことを特徴とする請求項4または5記載の多層配線基板の製造方法。
  7. 前記ビアホールの加工条件は、前記第2配線層のパターン形状に依存した熱容量を考慮して、前記照射される単位パルスエネルギーが200μJ以下で、かつ照射パルス数が2パルス以上の条件が適用され、径φが20〜70μmの層間接続用ビアホール孔が形成されることを特徴とする請求項4または5記載の多層配線基板の製造方法。
  8. 前記ビアホールの加工条件は、前記第2配線層のパターン形状に依存した熱容量を考慮して、前記照射される単位パルスエネルギーが200μJ以下で、かつ照射パルス数が2パルス以上の条件が適用され、前記第2配線層の厚み方向へ0.01μm以上ないし前記第2配線層の厚みの1/2以下の範囲内に前記第2配線層の溶解範囲を制御することを特徴とする請求項4または5記載の多層配線基板の製造方法。
  9. 前記第1配線層、前記第1絶縁層、前記第2絶縁層にレーザー光によりビアホールを形成する際のレーザー孔加工方法が、パンチング加工(バースト加工)もしくは螺旋軌跡であるトレパンニング加工の何れか一方、もしくは両方の加工方法を組み合わせた孔加工であることを特徴とする請求項4〜8の何れか1項に記載の多層配線基板の製造方法。
  10. 前記第1配線層、前記第1絶縁層、前記第2絶縁層にレーザー光によりビアホールを形成する際に、前記各層の孔加工を同座標において前記第1配線層、前記第1絶縁層、前記第2絶縁層の順に照射するパンチング加工(バースト加工)もしくは複数回に分けてレーザー孔加工を行うサイクル加工の少なくとも一方を用いることを特徴とした請求項4〜8の何れか1項に記載の多層配線基板の製造方法。
  11. 前記第1配線層、前記第1絶縁層、前記第2絶縁層にレーザー光によりビアホールを形成工する際、前記第1絶縁層の厚さに前記第2絶縁層の厚さを加えた厚さに依存することなく、前記ビアホールの開口径が該ビアホールの底部径と開口部径の比で0.6以上とすることを特徴とする請求項4〜10の何れか1項に記載の多層配線基板の製造方法。
  12. 前記第2絶縁層は接着機能を有し、前記第1絶縁層並びに前記第2配線層がプレス法またはロール法により積層され一体化されていることを特徴とする請求項4〜11の何れか1項に記載の多層配線基板の製造方法。
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