JP2007293261A - 感光性記録材料、及び感光性平版印刷版原版、並びにそれらの積層体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】支持体上に、重合開始剤、増感色素、及び重合性化合物を含有する感光層と、前記増感色素が有する吸収波長領域とは異なる吸収波長領域を有する水不溶性かつアルカリ可溶性の染料が固体分散された保護層と、を順次積層してなることを特徴とする感光性記録材料、及び、これを用いた感光性平版印刷版原版、並びに、これらの積層体。
【選択図】なし
Description
この問題に対し、感光層上に水溶性ポリマーを含有する保護層を設ける方法、或いは、無機質の層状化合物と水溶性ポリマーを含有する保護層を設ける方法(例えば、特許文献5参照。)が知られている。これらの保護層の存在により、重合阻害が防止され、感光層の硬化反応が促進され、画像部の強度を向上させることが可能となる。
露光工程において、平版印刷版原版は、通常、原版と原版の間に、原版同士の接着防止機能や、比較的軟らかい保護層の表面がアルミニウム支持体とこすれて生じるキズ防止機能を有する「合紙」が挿入された積層体として供給されるが、露光工程での合紙除去時間が、製版作業の非効率の原因となっていた。この露光工程での効率化を図るためには、原版間に合紙を挿入しない積層体を用いることで、合紙除去の工程を省略すればよい。しかしながら、合紙を挿入しない積層体を用いると、平版印刷版原版同士が接着したり、感光層上に設けられる保護層の表面がアルミニウム支持体の裏面と擦れることにより傷が生じるという問題があり、改良が望まれていた。
即ち、本発明は、レーザーによる書き込みが可能であり、感光層の重合阻害が抑制されると共に、複数枚積層して、高湿下における長期に亘たる保存に供する場合であっても、感光性記録材料の感光層側の最表面と、隣接する感光性記録材料の支持体の感光層を有する面とは反対側の最表面との接着を抑制しうる感光性記録材料、及び該感光性記録材料を用いてなる平版印刷版原版、提供することを目的とする。
さらに、本発明は、上記の感光性記録材料又は感光性平版印刷版原版を積層してなる、感光性記録材料積層体又は感光性平版印刷版原版積層体を提供することを目的とする。
<1> 支持体上に、重合開始剤、増感色素、及び重合性化合物を含有する感光層と、前記増感色素が有する吸収波長領域とは異なる吸収波長領域を有する水不溶性かつアルカリ可溶性の染料が固体分散された保護層と、を順次積層してなることを特徴とする感光性記録材料。
<2> 更に、前記感光層と前記保護層との間に、酸素遮断性を有する中間層を有することを特徴とする前記<1>に記載の感光性記録材料。
<3> 前記酸素遮断性を有する中間層が、無機質の層状化合物を含有することを特徴とする前記<2>に記載の感光性記録材料。
<4> 前記増感色素が赤外領域に吸収極大を有することを特徴とする前記<1>乃至<3>のいずれか1項に記載の感光性記録材料。
<5> 前記染料の体積平均粒径が0.2μm〜30μmであることを特徴とする前記<1>乃至<4>のいずれか1項に記載の感光性記録材料。
に記載の感光性記録材料。
<6> 前記染料の体積平均粒径が0.5μm〜20μmであることを特徴とする前記<5>に記載の感光性記録材料。
<7> 前記<1>乃至<6>のいずれか1項に記載の感光性記録材料を、感光層側の最表面と、支持体の感光層を有する面とは反対側の最表面と、を直接接触させて複数枚積層してなることを特徴とする感光性記録材料積層体。
<8> 前記<1>乃至<6>のいずれか1項に記載の感光性記録材料を用いてなることを特徴とする感光性平版印刷版原版。
<9> 前記<8>に記載の感光性平版印刷版原版を、感光層側の最表面と、支持体の感光層を有する面とは反対側の最表面と、を直接接触させて複数枚積層してなることを特徴とする感光性平版印刷版原版積層体。
本発明における保護層は、感光層に含有される増感色素が有する吸収波長領域とは異なる吸収波長領域を有する水不溶性かつアルカリ可溶性の染料が固体分散された層であることが特徴である。
上記のごとき保護層を有する本発明の感光性記録材料は、外部からの酸素が充分に遮断されて、重合阻害が防止され、感光層の硬化反応が促進され、画像部の強度を向上させることができるものと考えられる。
また、固体分散染料は、露光適性に応じたものを用いることにより、一種のフィルターとして機能しうるため、意図しない重合を防止することが考えられる。これにより、例えば、明室での取り扱う場合などにおいてもカブリが生じにくくなり、セーフライト適性についても向上できるものと考えられる。
さらに、本発明によれば、上記の感光性記録材料又は感光性平版印刷版原版を積層してなる、感光性記録材料積層体又は感光性平版印刷版原版積層体を提供することができる。
本発明の感光性記録材料は、支持体上に、重合開始剤、増感色素、及び重合性化合物を含有する感光層と、前記増感色素が有する吸収波長領域とは異なる吸収波長領域を有する水不溶性かつアルカリ可溶性の染料が固体分散された保護層と、を順次積層してなることを特徴とする。
即ち、本発明の感光性平版印刷版原版(以下、単に「平版印刷版原版」と称する場合がある。)は、本発明の感光性記録材料を用いてなることを特徴とする。
従って、かかる感光性記録材料の好適な態様である本発明の平版印刷版原版は、合紙の挟み込みのない状態で積層して保存及び搬送に供する場合であっても、各版の剥離性に優れている。これにより、本発明の平版印刷版原版積層体によれば、従来のように、平版印刷版原版と合紙とを交互に積層する余分な工程、及びそれに用いられる材料を節約することができる。
また、本発明の感光性記録材料及び感光性平版印刷版原版における保護層は、露光適性に応じた固体分散染料を用いることにより、セーフライト適性についても向上させうる。
なお、以下の説明は、本発明の感光性記録材料の好適な態様である感光性平版印刷版原版を例に行うが、当然のことながら、本発明の感光性記録材料はそれに限定されるものではない。
本発明に係る保護層は、後述する感光層に含有される増感色素が有する吸収波長領域とは異なる吸収波長領域を有する水不溶性かつアルカリ可溶性の染料(固体分散染料)が固体分散された層である。
まず、本発明の保護層に固体分散される固体分散染料について説明する。
ここで、「固体分散」とは、不活性な担体中で固体が微粒子の状態で分散している状態のことをさす。
固体分散染料は、感光性記録材料(好ましくは、感光性平版印刷版原版)の露光適性に応じて適宜選択することができる。
固体分散染料としては、300〜500nmの範囲に吸収極大を有する染料であることが好ましい。
固体分散染料の含有量が上記範囲内であると、充分なマット効果が発揮され、感光性平版印刷版原版を積層した際に、感光層側の面と隣接する版材の支持体裏面との接着を抑制でき、保護層の膜性も良好である。
また、固体分散染料は、保護層中に1種のみ含有されてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明に係る保護層は、バインダーポリマーを含有することが好ましい。
保護層に含有しうるバインダーポリマーとしては、比較的、結晶性に優れた水溶性高分子化合物を用いることが好ましく、具体的には、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、酸性セルロース類、ゼラチン、アラビアゴム、ポリアクリル酸、などのような水溶性ポリマーが挙げられる。これらの中でも、ポリビニルアルコールを主成分として用いることが、膜物性の観点から好ましい。保護層に使用しうるポリビニルアルコールは、保護層に必要とされる必要とされる酸素遮断性と水溶性を有するための、未置換ビニルアルコール単位を含有する限り、一部がエステル、エーテル、およびアセタールで置換されていてもよい。また、同様に一部が他の繰り返し単位を有する共重合体であってもよい。
保護層に用いうる好適なポリビニルアルコールとして具体的には、(株)クラレ製の、PVA−102、PVA−103、PVA−104、PVA−105、PVA−110、PVA−117、PVA−120、PVA−124、PVA−117H、PVA−135H、PVA−HC、PVA−617、PVA−624、PVA−706、PVA−613、PVA−CS、PVA−CST、日本合成化学工業株式会社製の、ゴーセノールNL−05、NM−11、NM−14、AL−06、P−610、C−500、A−300、AH−17、日本酢ビ・ポバール株式会社製の、JF−04、JF−05、JF−10、JF−17、JF−17L、JM−05、JM−10、JM−17、JM−17L、JT−05、JT−13、JT−15等が挙げられる。
具体的な酸変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、株式会社クラレ製の、KL−118、KM−618、KM−118、SK−5102、MP−102、R−2105、日本合成化学工業株式会社製の、ゴーセナールCKS−50、T−HS−1、T−215、T−350、T−330、T−330H、日本酢ビ・ポバール株式会社製の、AF−17、AT−17等が挙げられる。
本発明における保護層に対しては、本発明の効果を損なわない範囲において、これらの公知の技術をいずれも適用することができる。
本発明における保護層は、前記した固体分散染料が固体分散された分散液を調製し、その分散液と、バインダー成分(又は、バインダー成分を溶解した水溶液)等と、を配合してなる保護層用塗布液を、感光層上に塗布することで形成される。感光層と保護層との間に後述する酸素遮断性の中間層が形成される場合には、保護層用塗布液は中間層上に塗布される。
本発明に係る保護層の一つの好ましい態様は、固体分散染料以外に、無機質の層状化合物(以下、適宜「無機層状化合物」と称する。)を含有する態様である。即ち、本発明における感光層は、重合性のネガ型感光層(後述)であることから、通常、露光を大気中で行うために、画像形成反応を阻害する大気中に存在する酸素や水分、塩基性物質等の低分子化合物の感光層への混入を防止する目的で、該感光層の上に、固体分散染料と無機層状化合物とを含有する保護層を設けることが、本発明の好ましい態様の一つである。以下、この態様の保護層を、適宜、「無機層状化合物含有保護層」称して具体的に説明する。
以下、本発明における無機層状化合物含有保護層に適用しうる無機層状化合物として好適な雲母化合物について説明する。
無機層状化合物含有保護層に適用しうる雲母化合物とは、例えば、一般式:A(B,C)2−5D4O10(OH,F,O)2〔但し、Aは、K,Na,Caの何れか、B及びCは、Fe(II),Fe(III),Mn,Al,Mg,Vの何れかであり、Dは、Si又はAlである。〕で表される天然雲母、合成雲母等の雲母群などが挙げられる。
を吸着している。これらの層間に介在している陽イオンは交換性陽イオンと呼ばれ、いろいろな陽イオンと交換する。特に、層間の陽イオンがLi+、Na+の場合、イオン半径が小さいため層状結晶格子間の結合が弱く、水により大きく膨潤する。その状態でシェアーをかけると容易に劈開し、水中で安定したゾルを形成する。膨潤性合成雲母はこの傾向が強く、本発明において有用であり、特に、膨潤性合成雲母が好ましく用いられる。
複数種の雲母化合物を併用した場合でも、これらの雲母化合物の合計の量が上記の質量比であることが好ましい。
この分散物を用いて保護層用塗布液を調製する際には、水で希釈し、充分攪拌した後、上述の特定ポリビニルアルコールなどのバインダー成分(又は、バインダー成分を溶解した水溶液)と配合して調製するのが好ましい。
本発明の平版印刷版原版ように、重合性ネガ型感光層上に設けられる保護層に望まれる基本的特性は、露光に用いる光の透過は実質阻害せず、感光層との密着性に優れ、かつ、露光後の現像工程で容易に除去できることである。
このような保護層に望まれる基本的特性を得るために、本発明における無機層状化合物含有保護層においては、バインダー成分として、ポリビニルアルコールを用いることが好ましい。更に、ケン化度が91モル%以上のポリビニルアルコール(以下、適宜、特定ポリビニルアルコールと称する。)を用いることが好ましい。
この特定ポリビニルアルコールは優れた皮膜形成性を有し、更に、この特定ポリビニルアルコールをバインダーポリマーとして用いてなる保護層は、比較的低接着性の表面を有するため、好ましい。
一般には、使用するPVAのケン化度が高い程(保護層中の未置換ビニルアルコール単位含率が高い程)、酸素遮断性が高くなる。
このため、無機層状化合物含有保護層は、例えば、ケン化度が91モル%以上のポリビニルアルコールと前述の雲母化合物とを併用することにより、保護層の膜強度が一層向上し、耐キズ性、及び酸素遮断性が更に高くなる。
このような特定ポリビニルアルコールとして好適な酸変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、株式会社クラレ製の、KL−118、KM−618、KM−118、SK−5102、MP−102、R−2105、日本合成化学工業株式会社製の、ゴーセナールCKS−50、T−HS−1、T−215、T−350、T−330、T−330H、日本酢ビ・ポバール株式会社製の、AF−17、AT−17等が挙げられる。
本発明の感光性記録材料の一つの好適な態様は、前記した保護層と後述する感光層との間に、酸素遮断性有する中間層(以下、適宜「酸素遮断層」と称する。)を有する態様である。
両面を約20μmのポリエチレンでコートした約200μmの印画紙に、感光層上に塗布するのと同様にして、酸素遮断層を塗布乾燥し、測定用のサンプルを作製する。印画紙の酸素透過率は、下記条件下で約700ml/(m2・day・atm)であるので、酸素遮断層における酸素透過率の測定には十分無視できる。JIS K7126B及びASTM D3985に記載の気体透過度試験方法に準じ、モコン社製の「OX−TRAN2/20」を用い、25℃60%RHの条件で、酸素遮断層の酸素透過率[ml/(m2・day・atm)]を測定することができる。
酸素遮断層が含有しうるバインダーポリマーとしては、前記保護層に含有しうるものと同様の水溶性高分子化合物を用いることができる。酸素遮断の観点からは、特に、ポリビニルアルコールであるが好ましい。
酸素遮断層に含有しうるポリビニルアルコールとしては、前述した保護層に含有しうるポリビニルアルコールと同様のものを使用できる。ポリビニルアルコールの中でも、特に、ケン化度が91モル%以上のポリビニルアルコール(以下、適宜「特定ポリビニルアルコール」と称する。)を用いることが好ましい。
本発明に係る酸素遮断層は無機質の層状化合物を含有してもよい。前記ケン化度が91モル%以上のポリビニルアルコールと無機質の層状化合物とを含有することが、酸素遮断層の好ましい態様である。
酸素遮断層に、無機質の層状化合物を含有することにより、酸素遮断性がさらに高まり、酸素遮断層の硬度も増す。その結果、酸素遮断層は、酸素遮断性に加え、変形などによる劣化やキズの発生をも抑制することが可能となる。
酸素遮断層に用いうる無機質の層状化合物としては、例えば、一般式:A(B,C)2−5D4O10(OH,F,O)2〔ただし、Aは、K,Na,Caの何れか、B及びCは、Fe(II),Fe(III),Mn,Al,Mg,Vの何れかであり、Dは、Si又はAlである。〕で表される天然雲母、合成雲母等の雲母化合物などが挙げられる。
酸素遮断層における酸素透過性を制御する方法の一つとして、バインダーポリマーとして好適なポリビニルアルコールと共に、酸素透過性制御剤として、他の水溶性ポリマーを混合する方法がある。
本発明における酸素遮断層は、該層に含有される各成分を含有してなる酸素遮断層用塗布液を、後述する感光層上に塗布することで形成される。
本発明係る感光層は重合性ネガ型の感光層であり、必須成分として、重合開始剤、増感色素、及び重合性化合物を含有し、更に、バインダーポリマーを含有することが好ましく、必要に応じて、着色剤や他の任意成分を含んでもよい。
感光層が、赤外線レーザーに感応する層である場合であれば、該感光層に含まれる増感色素(赤外線吸収剤)は、赤外線レーザーの照射(露光)に対し高感度で電子励起状態となり、かかる電子励起状態に係る電子移動、エネルギー移動、発熱(光熱変換機能)などが、感光層中に併存する重合開始剤に作用して、該重合開始剤に化学変化を生起させてラジカルを生成させる。
ラジカルの生成機構としては、1.赤外線吸収剤の光熱変換機能により発生した熱が、後述する重合開始剤(例えば、スルホニウム塩)を熱分解しラジカルを発生させる、2.赤外線吸収剤が発生した励起電子が、重合開始剤(例えば、活性ハロゲン化合物)に移動しラジカルをさせる、3.励起した赤外線吸収剤に重合開始剤(例えば、ボレート化合物)から電子移動してラジカルが発生する、等が挙げられる。そして、生成したラジカルにより重合性化合物が重合反応を起こし、露光部が硬化して画像部となる。
以下に、本発明に係る感光層を構成する各成分について説明する。
本発明に係る感光層は、エネルギー移動機能(電子移動)や光熱変換機能などの発現を目的にして、増感色素を含有する。この増感色素としては、作製される平版印刷版を露光する際の光源にあわせて、適宜、選択すればよい。
感光層を赤外光に感応する層として形成する場合には、赤外線吸収剤を含有することが好ましい。以下、本発明における好適な増感色素である、赤外線吸収剤について詳細に説明する。
赤外線吸収剤は、赤外線レーザーの照射(露光)に対し高感度で電子励起状態となり、かかる電子励起状態に係る電子移動、エネルギー移動、発熱(光熱変換機能)などが、後述する重合開始剤に作用して、該重合開始剤に高感度で化学変化を生起させてラジカルを生成させるのに有用である。
本発明において使用される赤外線吸収剤は、750nm〜1400nmの波長に吸収極大を有する染料又は顔料であることが好ましい。
好ましい染料としては、例えば、特開昭58−125246号、特開昭59−84356号、特開昭60−78787号等に記載されているシアニン染料、特開昭58−173696号、特開昭58−181690号、特開昭58−194595号等に記載されているメチン染料、特開昭58−112793号、特開昭58−224793号、特開昭59−48187号、特開昭59−73996号、特開昭60−52940号、特開昭60−63744号等に記載されているナフトキノン染料、特開昭58−112792号等に記載されているスクワリリウム色素、英国特許434,875号記載のシアニン染料等を挙げることができる。
また、本発明における赤外線吸収色素の好ましい他の例としては、以下に例示するような特開2002−278057号公報に記載の特定インドレニンシアニン色素が挙げられる。
アリール基、置換又は無置換のアミノ基、ハロゲン原子より選択される置換基を表す。
R8は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、水素原子又は炭素原子数12個以下の炭
化水素基を示す。原料の入手性から、好ましくは水素原子である。また、Za-は、対ア
ニオンを示す。ただし、一般式(a)で示されるシアニン色素が、その構造内にアニオン性の置換基を有し、電荷の中和が必要ない場合にはZa-は必要ない。好ましいZa-は、感光層塗布液の保存安定性から、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、及びスルホン酸イオンであり、特に好ましくは、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロフォスフェートイオン、及びアリールスルホン酸イオンである。
また、特に好ましい他の例として更に、前記した特開2002−278057号公報に記載の特定インドレニンシアニン色素が挙げられる。
但し、対イオンとして、ハロゲンイオンを含有してないものが特に好ましい。
本発明に用いられる重合開始剤は、後述する重合性化合物の硬化反応を開始、進行させる機能を有し、熱により分解してラジカルを発生する熱分解型のラジカル発生剤、赤外線吸収剤の励起電子を受容してラジカルを発生する電子移動型のラジカル発生剤、又は、励起した赤外線吸収剤に電子移動してラジカルを発生する電子移動型のラジカル発生剤など、エネルギーを付与することでラジカルを生成させるものであればいかなる化合物を用いてもよい。例えば、オニウム塩、活性ハロゲン化合物、オキシムエステル化合物、ボレート化合物などが挙げられる。これらは併用してもよい。本発明ではオニウム塩が好ましく、中でも、スルホニウム塩が特に好ましい。
ロホスフェートイオン、カルボキシレートイオン、及びスルホン酸イオンからなる群より選択される対イオンを表し、好ましくは、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロフォスフェートイオン、カルボキシレートイオン、及びアリールスルホン酸イオンである。
本発明における他のオニウム塩としては、下記一般式(2)及び(3)で表されるオニウム塩が挙げられる。
スルホニウム塩重合開始剤と他の重合開始剤とを併用する場合、その含有比(質量比)としては、100/1〜100/50が好ましく、100/5〜100/25がより好ましい。
また、重合開始剤は、他の成分と同一の層に添加してもよいし、別の層を設けそこへ添加してもよい。
本発明に用いられる重合性化合物は、少なくとも一個のエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合性化合物であり、エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選ばれる。このような化合物群は当該産業分野において広く知られるものであり、本発明においてはこれらを特に限定無く用いることができる。これらは、例えば、モノマー、プレポリマー、即ち2量体、3量体及びオリゴマー、又はそれらの混合物並びにそれらの共重合体などの化学的形態をもつ。モノマー及びその共重合体の例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)や、そのエステル類、アミド類が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。また、ヒドロキシル基やアミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能若しくは多官能イソシアネート類或いはエポキシ類との付加反応物、及び単官能若しくは、多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアネート基や、エポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との付加反応物、更にハロゲン基や、トシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との置換反応物も好適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン、ビニルエーテル等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。
クロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラジクロトネート等がある。
イソクロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート等がある。
マレイン酸エステルとしては、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレート等がある。
(ただし、Ra及びRbは、H又はCH3を示す。)
また、本発明の平版印刷版原版では、後述の支持体や保護層等との密着性を向上せしめる目的で特定の構造を選択することもあり得る。
また、これらは単独で用いても2種以上併用してもよい。その他、付加重合性化合物の使用法は、酸素に対する重合阻害の大小、解像度、かぶり性、屈折率変化、表面粘着性等の観点から適切な構造、配合、添加量を任意に選択できる。更に、本発明の平版印刷版原版では、下塗り、上塗りといった層構成・塗布方法も実施し得る。
本発明に用いられるバインダーポリマーは、膜性向上の観点から含有されるものであって、膜性を向上させる機能を有していれば、種々のものを使用することがすることができる。中でも、本発明において好適なバインダーポリマーとしては、下記一般式(i)で表される繰り返し単位を有するバインダーポリマーである。以下、一般式(i)で表される繰り返し単位を有するバインダーポリマーを、適宜、特定バインダーポリマーと称し、詳細に説明する。
ましい。
原子、及び硫黄原子からなる群より選択される2以上の原子を含み構成され、その総原子数が2〜82であり、好ましくは2〜50であり、より好ましくは2〜30である。ここで示す総原子数は、当該連結基が置換基を有する場合には、その置換基を含めた原子数を指す。より具体的には、R2で表される連結基の主骨格を構成する原子数が、1〜30で
あることが好ましく、3〜25であることがより好ましく、4〜20であることが更に好ましく、5〜10であることが最も好ましい。なお、本発明における「連結基の主骨格」とは、一般式(i)におけるAと末端COOHとを連結するためのみに使用される原子又は原子団を指し、特に、連結経路が複数ある場合には、使用される原子数が最も少ない経路を構成する原子又は原子団を指す。したがって、連結基内に環構造を有する場合、その連結部位(例えば、o−、m−、p−など)により算入されるべき原子数が異なる。
鎖状構造の連結基としては、エチレン、プロピレン等が挙げられる。また、これらのアルキレンがエステル結合を介して連結されている構造もまた好ましいものとして例示することができる。
での脂肪族環状構造を有する(n+1)価の炭化水素基であることが好ましい。より具体的には、任意の置換基によって一個以上置換されていてもよいシクロプロパン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロデカン、ジシクロヘキシル、ターシクロヘキシル、ノルボルナン等の脂肪族環状構造を有する化合物を構成する任意の炭素原子上の水素原子を(n+1)個除き、(n+1)価の炭化水素基としたものを挙げることができる。また、R2は、置換基を含めて炭素数3から30であることが好ましい。
炭化水素環集合(複数の環が結合又は連結基でつながったもの)等、2個以上の環を含有してなる炭素原子数5から30までの置換基を有していてもよい脂肪族環状構造を有する(n+1)価の炭化水素基であることが好ましい。この場合も炭素数は置換基が有する炭素原子を含めてのものである。
ものが好ましく、構造的には、鎖状構造であって、その構造中にエステル結合を有するものや、前記の如き環状構造を有するものが好ましい。
挙げることができ、ハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルジチオ基、アリールジチオ基、アミノ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、N−アリールアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、N−アルキル−N−アリールアミノ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、N−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカルバモイルオキシ基、N,N−ジアルキルカルバモイルオキシ基、N,N−ジアリールカルバモイルオキシ基、N−アルキル−N−アリールカルバモイルオキシ基、アルキルスルホキシ基、アリールスルホキシ基、アシルチオ基、アシルアミノ基、N−アルキルアシルアミノ基、N−アリールアシルアミノ基、ウレイド基、N’−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアルキルウレイド基、N’−アリールウレイド基、N’,N’−ジアリールウレイド基、N’−アルキル−N’−アリールウレイド基、N−アルキルウレイド基、N−アリールウレイド基、N’−アルキル−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N−アリールウレイド基、N’,N’−ジアルキル−N−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアルキル−N−アリールウレイド基、N’−アリール−N−アルキルウレイド基、N’−アリール−N−アリールウレイド基、N’,N’−ジアリール−N−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアリール−N−アリールウレイド基、N’−アルキル−N’−アリール−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N’−アリール−N−アリールウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基及びその共役塩基基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N,N−ジアリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホ基(−SO3H)及びその共役塩基基、アルコキシスル
ホニル基、アリーロキシスルホニル基、スルフィナモイル基、N−アルキルスルフィナモイル基、N,N−ジアルキルスルフィナモイル基、N−アリールスルフィナモイル基、N,N−ジアリールスルフィナモイル基、N−アルキル−N−アリールスルフィナモイル基、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N,N−ジアリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモイル基、N−アシルスルファモイル基及びその共役塩基基、N−アルキルスルホニルスルファモイル基(−SO2NHSO2(alkyl))及びその共役塩基基、N−アリールスルホニルスルファモイル基(−SO2NHSO2(aryl))及びその共役塩基基、N−アルキルスルホニルカルバモイル基(−CONHSO2(alkyl))及びその共役塩基基、N−アリールスルホニルカルバモイル基(−CONHSO2(aryl))及びその共役塩基基、アルコキシシリル基(−Si(Oalky
l)3)、アリーロキシシリル基(−Si(Oaryl)3)、ヒドロキシシリル基(−Si(OH)3)及びその共役塩基基、ホスホノ基(−PO3H2)及びその共役塩基基、ジ
アルキルホスホノ基(−PO3(alkyl)2)、ジアリールホスホノ基(−PO3(a
ryl)2)、アルキルアリールホスホノ基(−PO3(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスホノ基(−PO3H(alkyl))及びその共役塩基基、モノアリール
ホスホノ基(−PO3H(aryl))及びその共役塩基基、ホスホノオキシ基(−OP
O3H2)及びその共役塩基基、ジアルキルホスホノオキシ基(−OPO3(alkyl)2)、ジアリールホスホノオキシ基(−OPO3(aryl)2)、アルキルアリールホスホノオキシ基(−OPO3(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスホノオキシ基
(−OPO3H(alkyl))及びその共役塩基基、モノアリールホスホノオキシ基(
−OPO3H(aryl))及びその共役塩基基、シアノ基、ニトロ基、ジアルキルボリ
ル基(−B(alkyl)2)、ジアリールボリル基(−B(aryl)2)、アルキルアリールボリル基(−B(alkyl)(aryl))、ジヒドロキシボリル基(−B(OH)2)及びその共役塩基基、アルキルヒドロキシボリル基(−B(alkyl)(OH
))及びその共役塩基基、アリールヒドロキシボリル基(−B(aryl)(OH))及びその共役塩基基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基が挙げられる。
しては、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基が挙げられる。
アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、へプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1−アダマンチル基、2−ノルボルニル基等の炭素数1〜10までの直鎖状、分枝状、又は環状のアルキル基が挙げられる。
アリール基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基、インデニル基等の炭素数1〜10までのアリール基、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群から選ばれるヘテロ原子を1個含有する炭素数1〜10までのヘテロアリール基、例えば、フリル基、チエニル基、ピロリル基、ピリジル基、キノリル基等が挙げられる。
アルケニル基の具体例としては、ビニル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、1−メチル−1−プロペニル基、1−シクロペンテニル基、1−シクロヘキセニル基等の炭素数1〜10までの直鎖状、分枝状、又は環状のアルケニル基が挙げられる。
アルキニル基の具体例としては、エチニル基、1−プロピニル基、1−ブチニル基、1−オクチニル基等の炭素数1〜10までのアルキニル基が挙げられる。R3が有してもよ
い置換基としては、R2が導入し得る置換基として挙げたものと同様である。但し、R3の炭素数は、置換基の炭素数を含めて1〜10である。
また、このようなバインダーポリマーの酸価(meg/g)としては、2.00〜3.60の範囲であることが好ましい。
前記特定バインダーポリマーと併用可能な他のバインダーポリマーは、ラジカル重合性基を有するバインダーポリマーであることが好ましい。
そのラジカル重合性基としては、ラジカルにより重合することが可能であれば特に限定されないが、α−置換メチルアクリル基[−OC(=O)−C(−CH2Z)=CH2、Z=ヘテロ原子から始まる炭化水素基]、アクリル基、メタクリル基、アリル基、スチリル基が挙げられ、この中でも、アクリル基、メタクリル基が好ましい。
かかるバインダーポリマー中のラジカル重合性基の含有量(ヨウ素滴定によるラジカル重合可能な不飽和二重結合の含有量)は、感度や保存性の観点から、バインダーポリマー1g当たり、好ましくは0.1〜10.0mmol、より好ましくは1.0〜7.0mmol、最も好ましくは2.0〜5.5mmolである。
バインダーポリマーのガラス転移点を高めるため手段としては、その分子中に、アミド基やイミド基を含有することが好ましく、特に、メタクリルアミドやメタクリルアミド誘導体を含有することが好ましい。
本発明に係る感光層には、以上の基本成分の他に、更にその用途、製造方法等に適したその他の成分を適宜添加することができる。以下、好ましい添加剤に関し例示する。
本発明に係る感光層には、その着色を目的として、染料若しくは顔料を添加してもよい。これにより、印刷版としての製版後の画像の視認性や、画像濃度測定機適性といったいわゆる検版性を向上させることができる。着色剤としては、具体例としては、例えば、フタロシアニン系顔料、アゾ系顔料、カーボンブラック、酸化チタンなどの顔料、エチルバイオレット、クリスタルバイオレット、アゾ系染料、アントラキノン系染料、シアニン系染料などの染料があり、中でも、カチオン性染料が好ましい。
着色剤としての染料及び顔料の添加量は、全感光層組成物中の不揮発性成分に対して約0.5質量%〜約5質量%が好ましい。
本発明に係る感光層においては、重合可能なエチレン性不飽和二重結合を有する化合物、即ち、重合性化合物の不要な熱重合を阻止するために少量の熱重合禁止剤を添加することが望ましい。適当な熱重合禁止剤としてはハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミン第一セリウム塩等が挙げられる。熱重合禁止剤の添加量は、感光層組成物中の不揮発性成分の質量に対して約0.01質量%〜約5質量%が好ましい。また必要に応じて、酸素による重合阻害を防止するためにベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体等を添加して、塗布後の乾燥の過程で層の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸誘導体の添加量は、感光層組成物中の不揮発性成分に対して約0.5質量%〜約10質量%が好ましい。
更に、本発明に係る感光層には、硬化皮膜の物性を改良するための無機充填剤や、その他可塑剤、感光層表面のインク着肉性を向上させ得る感脂化剤等の公知の添加剤を加えてもよい。可塑剤としては、例えば、ジオクチルフタレート、ジドデシルフタレート、トリエチレングリコールジカプリレート、ジメチルグリコールフタレート、トリクレジルホスフェート、ジオクチルアジペート、ジブチルセバケート、トリアセチルグリセリン等があり、バインダーポリマーと付加重合性化合物との合計質量に対し一般的に10質量%以下の範囲で添加することができる。
また、本発明に係る感光層において、後述する膜強度(耐刷性)向上を目的とした、現像後の加熱・露光の効果を強化するために、UV開始剤や、熱架橋剤等の添加も行うことができる。
本発明における支持体には、後述のような親水化処理が施されたものが用いられる。このような支持体としては、紙、ポリエステルフィルム又はアルミニウム板が挙げられ、その中でも、寸法安定性がよく、比較的安価であり、必要に応じた表面処理により親水性や強度にすぐれた表面を提供できるアルミニウム板は更に好ましい。また、特公昭48−18327号公報に記載されているようなポリエチレンテレフタレートフィルム上にアルミニウムシートが結合された複合体シートも好ましい。
このようなアルミニウム支持体には、後述の表面処理が施され、親水化される。
粗面化処理方法は、特開昭56−28893号公報に開示されているような機械的粗面化、化学的エッチング、電解グレインなどがある。更に塩酸又は硝酸電解液中で電気化学的に粗面化する電気化学的粗面化方法、及びアルミニウム表面を金属ワイヤーでひっかくワイヤーブラシグレイン法、研磨球と研磨剤でアルミニウム表面を砂目立でするポールグレイン法、ナイロンブラシと研磨剤で表面を粗面化するブラシグレイン法のような機械的粗面化法を用いることができ、上記粗面化方法を単独或いは組み合わせて用いることもできる。その中でも粗面化に有用に使用される方法は塩酸又は硝酸電解液中で化学的に粗面化する電気化学的方法であり、適する陽極時電気量は50C/dm2〜400C/dm2の範囲である。更に具体的には、0.1〜50%の塩酸又は硝酸を含む電解液中、温度20〜80℃、時間1秒〜30分、電流密度100C/dm2〜400C/dm2の条件で交流及び/又は直流電解を行うことが好ましい。
以上のようにして処理され酸化物層を形成したアルミニウム支持体には、その後に陽極酸化処理がなされる。
陽極酸化処理は硫酸、燐酸、シュウ酸若しくは硼酸/硼酸ナトリウムの水溶液が単独若しくは複数種類組み合わせて電解浴の主成分として用いられる。この際、電解液中に少なくともAl合金板、電極、水道水、地下水等に通常含まれる成分はもちろん含まれても構わない。更には第2、第3成分が添加されていても構わない。ここでいう第2、3成分とは、例えば、Na、K、Mg、Li、Ca、Ti、Al、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn等の金属のイオンやアンモニウムイオン等に陽イオンや、硝酸イオン、炭酸イオン、塩素イオン、リン酸イオン、フッ素イオン、亜硫酸イオン、チタン酸イオン、ケイ酸イオン、硼酸イオン等の陰イオンが挙げられ、その濃度としては0〜10000ppm程度含まれてもよい。陽極酸化処理の条件に特に限定はないが、好ましくは30〜500g/リットル、処理液温10〜70℃で、電流密度0.1〜40A/m2の範囲で
直流又は交流電解によって処理される。形成される陽極酸化皮膜の厚さは0.5〜1.5μmの範囲である。好ましくは0.5〜1.0μmの範囲である。以上の処理によって作製された支持体が、陽極酸化皮膜に存在するマイクロポアのポア径が5〜10nm、ポア密度が8×1015〜2×1016個/m2の範囲に入るように処理条件が選択されることが
好ましい。
本発明に係る平版印刷版原版には、感光層と支持体との間の密着性や汚れ性を改善する目的で、中間層(下塗り層)を設けてもよい。このような中間層の具体例としては、特公昭50−7481号、特開昭54−72104号、特開昭59−101651号、特開昭60−149491号、特開昭60−232998号、特開平3−56177号、特開平4−282637号、特開平5−16558号、特開平5−246171号、特開平7−159983号、特開平7−314937号、特開平8−202025号、特開平8−320551号、特開平9−34104号、特開平9−236911号、特開平9−269593号、特開平10−69092号、特開平10−115931号、特開平10−161317号、特開平10−260536号、特開平10−282682号、特開平11−84674号、特開平10−69092号、特開平10−115931号、特開平11−38635号、特開平11−38629号、特開平10−282645号、特開平10−301262号、特開平11−24277号、特開平11−109641号、特開平10−319600号、特開平11−84674号、特開平11−327152号、特開2000−10292号、特開2000−235254号、特開2000−352854号、特開2001−209170号、特願平11−284091号等に記載のものを挙げることができる。
本発明の平版印刷版原版は、支持体上に、感光層と保護層とをこの順に設け、更に必要に応じて、下塗り層等を設けてなる。かかる平版印刷版原版は、上述の各種成分を含む塗布液を、それぞれ、適当な溶媒に溶かして、支持体上に、順次塗布することにより製造することができる。
ここで使用する溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、エチレンジクロライド、テトラヒドロフラン、トルエン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、アセチルアセトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、3−メトキシプロパノール、メトキシメトキシエタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、乳酸メチル、乳酸エチルなどがある。これらの溶媒は、単独或いは混合して使用することができる。そして、感光層塗布液中の固形分の濃度は、2〜50質量%が適当である。
以下、本発明の平版印刷版原版を製版する方法について説明する。
本発明に係る製版方法は、上述の本発明の平版印刷版原版を、保護層とアルミニウム支持体裏面とを直接接触させて複数枚積層してなる積層体を、プレートセッター内にセットし、該平版印刷版原版を1枚づつ自動搬送した後に、750nm〜1400nmの波長で露光処理した後、実質的に加熱処理を経ることなく、搬送速度が1.25m/分以上の条件にて現像処理を行なうことが好ましい。
上述の本発明の平版印刷版原版は、中間に合紙を挟み込むことなく積層しても、平版印刷版原版の間の密着性や、保護層へのキズの発生が抑制されるため、上記のような製版方法に適用することができる。
本発明の平版印刷版の製版方法によれば、平版印刷版原版を合紙を挟み込むことなく積層した積層体を用いることから、合紙の除去が不必要となり、製版工程における生産性が向上する。
本発明における露光処理に用いられる光源としては、750nm〜1400nmの波長で露光し得るものが好ましく、赤外線レーザーが好適なものとして挙げられる。
中でも、本発明においては、750nm〜1400nmの波長の赤外線を放射する固体レーザー及び半導体レーザーにより画像露光されることが好ましい。レーザーの出力は100mW以上が好ましく、露光時間を短縮するため、マルチビームレーザデバイスを用いることが好ましい。また、1画素あたりの露光時間は20μ秒以内であることが好ましい。平版印刷版原版に照射されるエネルギーは10〜300mJ/cm2であ
ることが好ましい。露光のエネルギーが低すぎると感光層の硬化が充分に進行しない。また、露光のエネルギーが高すぎると感光層がレーザーアブレーションされ、画像が損傷することがある。
本発明における現像処理では、現像液を用いて、感光層の非画像部を除去する。
なお、本発明においては、上述のように、現像処理における処理速度、即ち、現像処理における平版印刷版原版の搬送速度(ライン速度)は、1.25m/分以上であることを要し、より好ましくは、1.35m/分以上である。また、搬送速度の上限値には特に制限はないが、搬送の安定性の観点からは、3m/分以下であることが好ましい。
以下、本発明に用いられる現像液について説明する。
本発明に用いられる現像液は、pH14以下のアルカリ水溶液であることが好ましく、また、芳香族アニオン界面活性剤を含有することが好ましい。
本発明における現像液に用いられる芳香族アニオン界面活性剤は、現像促進効果、重合性ネガ型の感光層成分及び保護層成分の現像液中での分散安定化効果があり、現像処理安定化において好ましい。中でも、本発明に用いられる芳香族アニオン界面活性剤としては、下記一般式(A)又は一般式(B)で表される化合物であることが好ましい。
m、nは、それぞれ独立に、1〜100から選択される整数を表し、中でも、1〜30が好ましく、2〜20がより好ましい。また、mが2以上の場合、複数存在するR1は同
一でも異なっていてもよい。同じく、nが2以上の場合、複数存在するR3は同一でも異
なっていてもよい。
t、uは、それぞれ独立に、0又は1を表す。
p、qはそれぞれ、0〜2から選択される整数を表す。Y1、Y2は、それぞれ単結合、又は炭素原子数1〜10のアルキレン基を表し、具体的には、単結合、メチレン基、エチレン基が好ましく、特に単結合が好ましい。
(Z1)r+、(Z2)s+は、それぞれ独立に、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、或いは、無置換又はアルキル基で置換されたアンモニウムイオンを表し、具体例としては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、アンモニウムイオン、炭素数1〜20の範囲の、アルキル基、アリール基、又はアラルキル基が置換した2級〜4級のアンモニウムイオンなどが挙げられ、特に、ナトリウムイオンが好ましい。r、sはそれぞれ、1又は2を表す。
以下に、具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
これらその他の界面活性剤の現像液中における含有量は有効成分換算で、0.1から10質量%が好ましい。
本発明に係る現像液には、例えば、硬水に含まれるカルシウムイオンなどによる影響を抑制する目的で、2価金属に対するキレート剤を含有させることが好ましい。2価金属に対するキレート剤としては、例えば、Na2P2O7、Na5P3O3、Na3P3O9、Na2O4P(NaO3P)PO3Na2、カルゴン(ポリメタリン酸ナトリウム)などのポリリン酸塩、例えばエチレンジアミンテトラ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩、そのアミン塩;ジエチレントリアミンペンタ酢酸、そのカリウム塩、ナトリウム塩;トリエチレンテトラミンヘキサ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;ヒドロキシエチルエチレンジアミントリ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;ニトリロトリ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;1,2−ジアミノシクロヘキサンテトラ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;1,3−ジアミノ−2−プロパノールテトラ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩などのようなアミノポリカルボン酸類の他2−ホスホノブタントリカルボン酸−1,2,4、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;2−ホスホノブタノントリカルボン酸−2,3,4、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;1−ホスホノエタントリカルボン酸−1,2、2、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;アミノトリ(メチレンホスホン酸)、そのカリウム塩、そのナトリウム塩などのような有機ホスホン酸類を挙げることができ、中でも、エチレンジアミンテトラ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩、そのアミン塩;エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、そのアンモニウム塩、そのカリウム塩、;ヘキサメチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、そのアンモニウム塩、そのカリウム塩が好ましい。
このようなキレート剤の最適量は使用される硬水の硬度及びその使用量に応じて変化するが、一般的には、使用時の現像液中に0.01〜5質量%、より好ましくは0.01〜0.5質量%の範囲で含有させる。
本発明に係る現像液に用いられるアルカリ剤としては、例えば、第3リン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、硼酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、水酸化ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、及び同リチウムなどの無機アルカリ剤及び、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジアミン、ピリジン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドなどの有機アルカリ剤等が挙げられる。本発明においては、これらを単独で用いてもよいし、若しくは2種以上を組み合わせて混合して用いてもよい。
1mol/Lが好ましく、より好ましくは0.05〜0.8mol/Lの範囲で使用される。
ここで、導電率を調整するための導電率調整剤として、有機酸のアルカリ金属塩類、無機酸のアルカリ金属塩類等を添加することが好ましい。
現像後の加熱には非常に強い条件を利用することができる。通常は加熱温度が200〜500℃の範囲で実施される。現像後の加熱温度が低いと充分な画像強化作用が得られず、高すぎる場合には支持体の劣化、画像部の熱分解といった問題を生じるおそれがある。
印刷時、版上の汚れ除去のため使用するプレートクリーナーとしては、従来より知られているPS版用プレートクリーナーが使用され、例えば、マルチクリーナー、CL−1、CL−2、CP、CN−4、CN、CG−1、PC−1、SR、IC(富士写真フイルム株式会社製)等が挙げられる。
なお、以下の実施例においては、本発明の感光性記録材料として、その好適な態様である感光性平版印刷版原版を作製しその評価を行う。
(支持体の作製)
厚さ0.30mm、幅1030mmのJIS A 1050アルミニウム板を用いて、以下に示す表面処理を行った。
表面処理は、以下の(a)〜(f)の各種処理を連続的に行った。なお、各処理及び水洗の後にはニップローラで液切りを行った。
このようにして得られたアルミニウム支持体の表面粗さRaは0.27(測定機器;東京精密(株)製サーフコム、蝕針先端径2ミクロンメーター)であった。
次に、このアルミニウム支持体に下記下塗り層用塗布液をワイヤーバーにて塗布し、90℃30秒間乾燥した。塗布量は10mg/m2であった。
・下記構造の高分子化合物A(重量平均分子量:10000) 0.05g
・メタノール 27g
・イオン交換水 3g
次に、下記感光層塗布液[P1−1]を調製し、上記のアルミニウム支持体にワイヤーバーを用いて塗布した。乾燥は、温風式乾燥装置にて115℃で34秒間行い、平版印刷版原版を得た。乾燥後の被覆量は1.4g/m2であった。
・赤外線吸収剤(IR−1) 0.25質量%
・重合開始剤(OS−1) 0.92質量%
・重合開始剤(OS−2) 0.29質量%
・添加剤(PM−1) 0.50質量%
・添加剤(PM−2) 0.22質量%
・添加剤(PM−3) 0.20質量%
・重合性化合物(AM−1) 3.14質量%
・特定バインダーポリマー(BT−1) 2.40質量%
・特定バインダーポリマー(BT−2) 1.60質量%
・エチルバイオレット(C−1) 0.13質量%
・フッ素系界面活性剤 0.05質量%
(メガファックF−780−F 大日本インキ化学工業(株)、
メチルイソブチルケトン(MIBK)30質量%溶液)
・メチルエチルケトン 36.84質量%
・メタノール 17.11質量%
・1−メトキシ−2−プロパノール 36.84質量%
前述の感光層表面に、ケン化度が91モル%以上の特定ポリビニルアルコール(ゴーセランCKS−50:ケン化度99モル%、重合度300、スルホン酸変性ポリビニルアルコール、日本合成化学工業株式会社製)と、下記の固体分散染料の水分散物と、界面活性剤(日本エマルジョン社製、エマレックス710)と、の混合水溶液(保護層用塗布液)をワイヤーバーで塗布し、温風式乾燥装置にて125℃75秒間乾燥させた。
純水33.6gと、界面活性剤(ナフタレンスルホン酸ナトリウムのホルマリン縮合物)2.3gと、固体分散染料14.1gと、を混合して16時間攪拌した後に粒度範囲が0.425〜0.600μmのガラスビーズを加えたダイナミルで1時間攪拌した。その後、ガラスビーズを取り除くことで、体積平均粒径0.5μmの固体分散染料を得た。また2.0μmの固体分散染料は上記方法で得られた0.5μmの固体分散染料を85℃で1時間熱処理することで得た。
実施例1−1において、保護層用塗布液に用いた固体分散染料(例示化合物III−9、1306F、(株)ダイトーケミックス製)の体積平均粒径が2μmのものから、0.5μmのものに代えて用いた以外は、実施例1−1と同様にして、平版印刷版原版及びその積層体を得た。
実施例1−1及び1−2で得た平版印刷版原版を3枚用い、平板印刷版原版を積層する際に合紙を挟み込まず、平版印刷版原版の保護層とアルミニウム支持体裏面とを直接接触させて積層して、平版印刷版原版積層体を得た。
実施例1−1及び1−2において用いた保護層用塗布液に合成雲母(ソマシフME−100、8%水分散液、コープケミカル(株)製)を添加した以外は、実施例1及び2と同様にして、平版印刷版原版を得た。なお、混合水溶液(保護層用塗布液)中の、特定ポリビニルアルコール/合成雲母/固体分散染料/界面活性剤の含有量割合は、77.5/12/6/4.5(質量%)であり、全塗布量は(乾燥後の被覆量)1.6g/m2であった。
得られた平版印刷版原版を3枚用い、平板印刷版原版を積層する際に合紙を挟み込まず、平版印刷版原版の保護層とアルミニウム支持体裏面とを直接接触させて積層して、平版印刷版原版積層体を得た。
実施例1−1において、固体分散染料を添加しない保護層用塗布液を用いた以外は、実施例1−1と同様にして平版印刷版原版を得た。さらに、得られた平版印刷版原版3枚の各々の間に合紙を挟み込んで積層し、平版印刷版原版積層体を得た。
比較例1−1で得た平版印刷版原版を3枚用い、平板印刷版原版を積層する際に合紙を挟み込まず、平版印刷版原版の保護層とアルミニウム支持体裏面とを直接接触させて積層して、平版印刷版原版積層体を得た。
(1−1)感度の評価
得られた各平版印刷版原版を、Creo社製Trendsetter800IIQuantumにて、解像度2400dpi、外面ドラム回転数300rpm、出力0〜12.5Wの範囲で1.5Wずつ変化させて露光した。なお、露光は25℃50%RHの条件下で行った。露光後、加熱処理、水洗処理は行わず、富士フイルム(株)社製自動現像機LP−1310Newsを用い搬送速度(ライン速度)2m/分、現像温度30℃で現像処理した。なお、現像液はDH−Nの1:4水希釈液を用い、現像補充液はFCT−421の1:1.4水希釈液、フィニッシャーは富士フイルム(株)社製GN−2Kの1:1水希釈液を用いた。
現像して得られた各平版印刷版の画像部濃度を、マクベス反射濃度計RD−918を使用し、該濃度計に装備されている赤フィルターを用いてシアン濃度を測定した。測定した濃度が0.9を得るのに必要な露光量の逆数を感度の指標とした。なお、評価結果は、実施例1で得られた平版印刷版の感度を100とし、他の平版印刷版の感度はその相対評価とした。値が大きいほど、感度が優れていることになる。
得られた各平版印刷版原版積層体を、Alクラフト紙で密閉包装し、4kgの荷重をかけた状態で30℃の環境で5日間放置した。その後、積層体について、平版印刷版原版の感光層側表面(保護層表面)と隣接する平版印刷版原版の支持体裏面との接着状態を評価した。平版印刷版原版同士の接着評価は、1〜5段階の官能評価で行い、3が実用下限レベル、2以下は実用上不可レベルとした。以下に、評価基準を示す。
−評価基準−
1 保護層表面と隣接する支持体を剥がす際に全面で接着しており保護層が剥離する
2 保護層表面と隣接する支持体を剥がす際に一部が接着しており保護層が部分的に剥離する
3 保護層表面と隣接する支持体を剥がす際に一部が接着しているが保護層は剥離しない
4 保護層表面と隣接する支持体を剥がす際にわずかに抵抗があるが接着はしていない
5 保護層表面と隣接する支持体を剥がす際に全く抵抗がない
得られた各平版印刷版原版を、400Lxの照度のUVカット蛍光灯下に一定時間さらし、現像処理後の非画像部にかぶりが発生するまでの時間を比較した。かぶり発生の基準は、セーフライト下に曝されていない、非画像部の反射濃度に比較し、0.02以上濃度が高くなった部分と定義する。
固体分散染料の体積平均粒径の測定方法は、以下に従って行った。レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置(LA−910、ホリバ製作所(株)製)を用い、取り込み回数10回、相対屈折率1.18−0.001、攪拌2分、循環5分、粒子径基準:体積の条件で測定した。
以上の結果を表1に示す。
さらに、実施例1−1〜1−6の平版印刷版原版、即ち、重合性ネガ型感光層上に、固体分散染料を含有する保護層を設けてなる平版印刷版原版は、高感度で、固体分散染料のフィルター効果により、セーフライト適性に優れていることがわかる。
また、実施例1−5及び1−6から明らかなように、固体分散染料とともに合成雲母を含有する保護層(無機層状化合物含有保護層)によって、接着性、セーフライト適性を維持しつつ、さらに高感度な平版印刷版原版を得ることができることがわかる。
これに対し、固体分散染料を含まない保護層を設けてなる比較例1−1及び1−2の平版印刷版原版は、感度に優れるものの、セーフライト適性が著しく劣っていると共に、これらの平版印刷版原版を用いた積層体は、合紙無しで積層した際に、高湿下に置かれた後の平版印刷版原版同士の接着性が悪く、実用上問題となるレベルであることが分かった。
(支持体の作製)
厚さ0.30mm、幅1030mmのJIS A 1050アルミニウム板を用いて、実施例1−1に示したのと同様の表面処理を行った。
次に、このアルミニウム支持体に下記下塗り層用塗布液をワイヤーバーにて塗布し、90℃30秒間乾燥した。塗布量は10mg/m2であった。
・下記構造の高分子化合物A(重量平均分子量:10000) 0.05g
・メタノール 27g
・イオン交換水 3g
次に、下記感光層塗布液[P2−1]を調製し、上記のアルミニウム支持体にワイヤーバーを用いて塗布した。乾燥は、温風式乾燥装置にて115℃で34秒間行い、平版印刷版原版を得た。乾燥後の被覆量は1.4g/m2であった。
・赤外線吸収剤(IR−1) 0.074g
・重合開始剤(OS−12) 0.280g
・添加剤(PM−1) 0.151g
・重合性化合物(AM−1) 1.00g
・特定バインダーポリマー(BT−1) 1.00g
・エチルバイオレット(C−1) 0.04g
・フッ素系界面活性剤 0.015g
(メガファックF−780−F 大日本インキ化学工業(株)、
メチルイソブチルケトン(MIBK)30質量%溶液)
・メチルエチルケトン 10.4g
・メタノール 4.83g
・1−メトキシ−2−プロパノール 10.4g
上記のように形成された感光層表面に、合成雲母(ソマシフME−100、8%水分散液、コープケミカル(株)製)と、ケン化度が91モル%以上の特定ポリビニルアルコール(ゴーセランCKS−50:ケン化度99モル%、重合度300、スルホン酸変性ポリビニルアルコール日本合成化学工業株式会社製)と、界面活性剤(日本エマルジョン社製、エマレックス710)と、の混合水溶液(酸素遮断層用塗布液)をワイヤーバーで塗布し、温風式乾燥装置にて125℃75秒間乾燥させた。
この混合水溶液(酸素遮断層用塗布液)中の、雲母固形分/ポリビニルアルコール/界面活性剤の含有量割合は、18/80/2(質量%)であり、全塗布量は(乾燥後の被覆量)は0.5g/m2であった。
上記のように形成された酸素遮断層表面に、ケン化度が91モル%以上の特定ポリビニルアルコール(ゴーセランCKS−50:ケン化度99モル%、重合度300、スルホン酸変性ポリビニルアルコール、日本合成化学工業株式会社製)と、固体分散染料として前述した例示化合物(III−9)(1306F、株式会社ダイトーケミックス社製:体積平均粒径が2μmのもの)を含む分散液と、界面活性剤(日本エマルジョン社製、エマレックス710)と、の混合水溶液(保護層用塗布液)をワイヤーバーで塗布し、温風式乾燥装置にて125℃75秒間乾燥させた。
保護層用塗布液に用いた固体分散染料の分散物は、以下のようにして調製した。
純水33.6g、界面活性剤(ナフタレンスルホン酸ナトリウムのホルマリン縮合物)2.3gと固体分散染料14.1gを混合して16時間攪拌した後に粒度範囲が0.425〜0.600μmのガラスビーズを加えたダイナミルで1時間攪拌した。その後、ガラスビーズを取り除くことで、体積平均粒径0.5μmの固体分散染料を得て、これを更に、85℃で一時間熱処理することで調製した。
以上のようにして、実施例1の平版印刷版原版を得た。
実施例2−1の平版印刷版原版において、酸素遮断層に用いた合成雲母(ソマシフME−100、8%水分散液、コープケミカル(株)製)を、同様の含有比率で、特定ポリビニルアルコール(ーセランCKS−50:ケン化度99モル%、重合度300、スルホン酸変性ポリビニルアルコール、日本合成化学工業株式会社製)に置き替えた他は、実施例2−1と同様にして、実施例2−2の平版印刷版原版を得た。
実施例2−1の平版印刷版原版において、保護層に用いた固体分散染料を、同様の含有比率で、特定ポリビニルアルコール(ーセランCKS−50:ケン化度99モル%、重合度300、スルホン酸変性ポリビニルアルコール、日本合成化学工業株式会社製)に置き替えた他は、実施例2−1と同様にして、比較例2−1の平版印刷版原版を得た。
(2−1)感度の評価
得られた各平版印刷版原版を、Creo社製Trendsetter800IIQuantumにて、解像度2400dpi、外面ドラム回転数300rpm、出力0〜12.5Wの範囲で1.5Wずつ変化させて露光した。なお、露光は25℃50%RHの条件下で行った。露光後、加熱処理、水洗処理は行わず、富士フイルム(株)社製自動現像機LP−1310Newsを用い搬送速度(ライン速度)2m/分、現像温度30℃で現像処理した。なお、現像液はDH−Nの1:4水希釈液を用い、現像補充液はFCT−421の1:1.4水希釈液、フィニッシャーは富士フイルム(株)社製GN−2Kの1:1水希釈液を用いた。
現像して得られた平版印刷版の画像部濃度を、マクベス反射濃度計RD−918を使用し、該濃度計に装備されている赤フィルターを用いてシアン濃度を測定した。測定した濃度が0.9を得るのに必要な露光量の逆数を感度の指標とした。なお、評価結果は、実施例1で得られた平版印刷版の感度を100とし、他の平版印刷版の感度はその相対評価とした。値が大きいほど、感度が優れていることになる。
得られた平版印刷版原版(10×10cm)3枚を、25℃75%RHの環境下で2時間調湿後、3枚の原版を同方向に合紙の挟み込みのない状態で順次重ねて積層体を得た。この積層体をAlクラフト紙で密閉包装し、4kgの荷重をかけた状態で30℃の環境で5日間放置した。その後の積層体について、平版印刷版原版の感光層側表面(保護層表面)と隣接する平版印刷版原版の支持体側裏面との接着状態を、下記評価基準により、評価した。平版印刷版原版同士の接着は、1〜5の官能評価で行い、3が実用下限レベル、2以下は実用上不可レベルとした。
−評価基準−
1 保護層表面と隣接する支持体を剥がす際に全面で接着しており保護層が剥離する
2 保護層表面と隣接する支持体を剥がす際に一部が接着しており保護層が部分的に剥離
する
3 保護層表面と隣接する支持体を剥がす際に一部が接着しているが保護層は剥離しない
4 保護層表面と隣接する支持体を剥がす際にわずかに抵抗があるが接着はしていない
5 保護層表面と隣接する支持体を剥がす際に全く抵抗がない
得られた各平版印刷版原版を、400Lxの照度のUVカット蛍光灯下に一定時間曝し、現像処理後の非画像部にかぶりが発生するまでの時間を比較した。かぶり発生の基準は、セーフライト下に曝されていない、非画像部の反射濃度に比較し、0.02以上濃度が高くなった部分と定義する。
得られた平版印刷版原版を、Creo社製Trendsetter800IIQuantumにて、解像度2400dpi、外面ドラム回転数200rpm、出力5Wでヘ゛タ露光した。露光後、加熱処理、水洗処理は行わず、富士フイルム(株)社製自動現像機LP−1310HIIを用い搬送速度(ライン速度)2m/分、現像温度30℃で現像処理した。なお、現像液はDH−Nの1:4水希釈液を用いた。
現像して得られた平版印刷版の画像部に発生したヌケの有無を目視評価した。
評価は1〜5の官能評価で行い、3が実用下限レベル、2以下は実用上不可レベルとした。
酸素遮断層の酸素遮断性は、酸素透過率を以下のごとく測定することのより確認した。
両面を約20μmのポリエチレンでコートした約200μmの印画紙に、感光層上に塗布するのと同様にして、酸素遮断層を塗布乾燥し、測定用のサンプルを作製した。印画紙の酸素透過率は、下記条件下で約700ml/(m2・day・atm)であるので、酸素遮断層における酸素透過率の測定には十分無視できる。JIS K7126B及びASTM D3985に記載の気体透過度試験方法に準じ、モコン社製の「OX−TRAN2/20」を用い、25℃60%RHの条件で、酸素遮断層の酸素透過率[ml/(m2・day・atm)]を測定した。
得られた各平版印刷版原版を間に合紙を挟むことなく積層して積層体を形成した。この積層体をカセットにセットし、セッティング部分からオートローダーにて、Creo社製Trendsetter3244に搬送し、解像度2400dpiで50%平網画像を、出力7W、外面ドラム回転数150rpm、版面エネルギー110mJ/cm2で露光した。露光後、上記感度評価と同様に現像処理を行った。得られた平版印刷版の平網画像中に発生したキズの有無を目視評価した。評価は1〜5の官能評価で行い、3が実用下限レベル、2以下は実用上不可レベルとした。
Claims (9)
- 支持体上に、重合開始剤、増感色素、及び重合性化合物を含有する感光層と、前記増感色素が有する吸収波長領域とは異なる吸収波長領域を有する水不溶性かつアルカリ可溶性の染料が固体分散された保護層と、を順次積層してなることを特徴とする感光性記録材料。
- 更に、前記感光層と前記保護層との間に、酸素遮断性を有する中間層を有することを特徴とする請求項1に記載の感光性記録材料。
- 前記酸素遮断性を有する中間層が、無機質の層状化合物を含有することを特徴とする請求項2に記載の感光性記録材料。
- 前記増感色素が赤外領域に吸収極大を有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の感光性記録材料。
- 前記染料の体積平均粒径が0.2μm〜30μmであることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の感光性記録材料。
に記載の感光性記録材料。 - 前記染料の体積平均粒径が0.5μm〜20μmであることを特徴とする請求項5に記載の感光性記録材料。
- 請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の感光性記録材料を、感光層側の最表面と、支持体の感光層を有する面とは反対側の最表面と、を直接接触させて複数枚積層してなることを特徴とする感光性記録材料積層体。
- 請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の感光性記録材料を用いてなることを特徴とする感光性平版印刷版原版。
- 請求項8に記載の感光性平版印刷版原版を、感光層側の最表面と、支持体の感光層を有する面とは反対側の最表面と、を直接接触させて複数枚積層してなることを特徴とする感光性平版印刷版原版積層体。
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