JP2007293261A - 感光性記録材料、及び感光性平版印刷版原版、並びにそれらの積層体 - Google Patents

感光性記録材料、及び感光性平版印刷版原版、並びにそれらの積層体 Download PDF

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Abstract

【課題】レーザーによる書き込みが可能であり、感光層の重合阻害が抑制されると共に、複数枚積層して、高湿下における長期に亘たる保存に供する場合であっても、感光性記録材料の感光層側の最表面と、隣接する感光性記録材料の支持体の感光層を有する面とは反対側の最表面との接着を抑制しうる感光性記録材料、及び該感光性記録材料用いてなる平版印刷版原版、並びに、これらの積層体を提供する。
【解決手段】支持体上に、重合開始剤、増感色素、及び重合性化合物を含有する感光層と、前記増感色素が有する吸収波長領域とは異なる吸収波長領域を有する水不溶性かつアルカリ可溶性の染料が固体分散された保護層と、を順次積層してなることを特徴とする感光性記録材料、及び、これを用いた感光性平版印刷版原版、並びに、これらの積層体。
【選択図】なし

Description

本発明は、感光性記録材料、及び感光性平版印刷版原版、並びにそれらの積層体に関する。より詳細には、レーザー光での直接描画、高速処理可能な、ネガ型の平版印刷版原版に好適な感光性記録材料に関し、特に、感光性記録材料を複数枚を積層した場合であっても、各記録材料間の耐接着性が改良された感光性記録材料、及び該感光性記録材料を用いてなる平版印刷版原版に関する。
従来、平版印刷版原版としては、親水性支持体上に親油性の感光性樹脂層を設けた構成を有するPS版が広く用いられ、その製版方法として、通常は、リスフイルムを介してマスク露光(面露光)後、非画像部を溶解除去することにより所望の印刷版を得ていた。近年、画像情報をコンピューターを用いて電子的に処理、蓄積、出力する、デジタル化技術が広く普及してきている。そして、そのようなデジタル化技術に対応した新しい画像出力方式が種々実用されるようになってきた。その結果レーザー光のような指向性の高い光をデジタル化された画像情報に従って走査し、リスフイルムを介すこと無く、直接印刷版を製造するコンピューター トゥ プレート(CTP)技術が切望されており、これに適応した平版印刷版原版を得ることが重要な技術課題となっている。
このような走査露光可能な平版印刷版原版としては、親水性支持体上にレーザー露光によりラジカルやブレンステッド酸などの活性種を発生しうる感光性化合物を含有した親油性感光性樹脂層(以下、感光層ともいう)を設けた構成が提案され、既に上市されている。この平版印刷版原版をデジタル情報に基づきレーザー走査し活性種を発生せしめ、その作用によって感光層に物理的、或いは化学的な変化を起こし不溶化させ、引き続き現像処理することによってネガ型の平版印刷版を得ることができる。
特に、親水性支持体上に、感光スピードに優れる光重合開始剤、付加重合可能なエチレン性不飽和化合物、及びアルカリ現像液に可溶なバインダーポリマーを含有する光重合型の感光層、並びに必要に応じて酸素遮断性の保護層を設けた平版印刷版原版(例えば、特許文献1参照)は、生産性に優れ、更に現像処理が簡便であり、解像度や着肉性もよいといった利点から、望ましい印刷性能を有するものである。
また、例えば、親水性支持体上に、光重合開始剤、付加重合可能なエチレン性不飽和化合物、及びアルカリ現像液に可溶な特定構造の繰り返し単位を有するバインダーポリマーを含有する光重合型の感光層、並びに必要に応じて酸素遮断性の保護層を設けたものが提案されている(例えば、特許文献2参照)。さらに、親水性支持体上に、光重合型の感光層と無機質の層状化合物を添加した酸素遮断性の保護層とを設けたネガ型平版印刷版原版が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
また、より生産性を向上させるため、つまり、製版スピードを向上させるために、特定の構造を有するシアニン色素、ヨードニウム塩及びエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合可能な化合物よりなる光重合性組成物を感光層に用い、画像様露光後の加熱処理を必要としない記録材料が提案されているが(例えば、特許文献4参照。)、この記録材料は、重合反応時に空気中の酸素による重合阻害がおこり、感度の低下や、形成された画像部の強度が不充分であるという問題があった。
この問題に対し、感光層上に水溶性ポリマーを含有する保護層を設ける方法、或いは、無機質の層状化合物と水溶性ポリマーを含有する保護層を設ける方法(例えば、特許文献5参照。)が知られている。これらの保護層の存在により、重合阻害が防止され、感光層の硬化反応が促進され、画像部の強度を向上させることが可能となる。
ところで、現像処理が簡便である光重合型の平版印刷版原版の製版作業における生産性としては、露光工程にかかる時間短縮が重要となってくる。
露光工程において、平版印刷版原版は、通常、原版と原版の間に、原版同士の接着防止機能や、比較的軟らかい保護層の表面がアルミニウム支持体とこすれて生じるキズ防止機能を有する「合紙」が挿入された積層体として供給されるが、露光工程での合紙除去時間が、製版作業の非効率の原因となっていた。この露光工程での効率化を図るためには、原版間に合紙を挿入しない積層体を用いることで、合紙除去の工程を省略すればよい。しかしながら、合紙を挿入しない積層体を用いると、平版印刷版原版同士が接着したり、感光層上に設けられる保護層の表面がアルミニウム支持体の裏面と擦れることにより傷が生じるという問題があり、改良が望まれていた。
また、感光性平版印刷原版を室内照明下で取り扱う場合には、レーザー露光に比べ、低照度、長時間の室内照明光による意図しない露光によりかぶり(可視光感光材料で言う、セーフライトかぶり。以下、適宜「セーフライトかぶり」と称する。)を生じる場合があった。このような問題を防止するために、保護層の酸素透過性を制御することで、意図せずに発生したラジカル種を酸素でクエンチする手法が知られている。具体的には、ポリビニルピロリドン及びビニルピロリドンと酢酸ビニルとの共重合体のうち少なくとも一種を含有し、膜質量を0.50g/m2から2.30g/m2の範囲に制御した保護層を設ける方法(特許文献6参照)が提案されている。
以上のように、感光性記録材料、特に、感光性平版印刷版原版については、感光層の重合阻害を抑制しうる共に、複数枚を積層する際においても合紙を挟む必要がなく、製版作業における生産性を向上しうる平版印刷版原版が望まれているが、未だ提供されていないのが現状である。
特開平10−228109号公報 特開2004−318053号公報 特開平11−38633号公報 特公平7−103171号公報 特開平11−38633号公報 特開2005−121863号公報
本発明は、前記従来における問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。
即ち、本発明は、レーザーによる書き込みが可能であり、感光層の重合阻害が抑制されると共に、複数枚積層して、高湿下における長期に亘たる保存に供する場合であっても、感光性記録材料の感光層側の最表面と、隣接する感光性記録材料の支持体の感光層を有する面とは反対側の最表面との接着を抑制しうる感光性記録材料、及び該感光性記録材料を用いてなる平版印刷版原版、提供することを目的とする。
さらに、本発明は、上記の感光性記録材料又は感光性平版印刷版原版を積層してなる、感光性記録材料積層体又は感光性平版印刷版原版積層体を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、感光層上に特定の染料が固体分散された保護層を備えた感光性記録材料により、上記目的が達成されることを見出し、本発明を成すに至った。
即ち、前記課題を解決するための手段は以下の通りである。
<1> 支持体上に、重合開始剤、増感色素、及び重合性化合物を含有する感光層と、前記増感色素が有する吸収波長領域とは異なる吸収波長領域を有する水不溶性かつアルカリ可溶性の染料が固体分散された保護層と、を順次積層してなることを特徴とする感光性記録材料。
<2> 更に、前記感光層と前記保護層との間に、酸素遮断性を有する中間層を有することを特徴とする前記<1>に記載の感光性記録材料。
<3> 前記酸素遮断性を有する中間層が、無機質の層状化合物を含有することを特徴とする前記<2>に記載の感光性記録材料。
<4> 前記増感色素が赤外領域に吸収極大を有することを特徴とする前記<1>乃至<3>のいずれか1項に記載の感光性記録材料。
<5> 前記染料の体積平均粒径が0.2μm〜30μmであることを特徴とする前記<1>乃至<4>のいずれか1項に記載の感光性記録材料。
に記載の感光性記録材料。
<6> 前記染料の体積平均粒径が0.5μm〜20μmであることを特徴とする前記<5>に記載の感光性記録材料。
<7> 前記<1>乃至<6>のいずれか1項に記載の感光性記録材料を、感光層側の最表面と、支持体の感光層を有する面とは反対側の最表面と、を直接接触させて複数枚積層してなることを特徴とする感光性記録材料積層体。
<8> 前記<1>乃至<6>のいずれか1項に記載の感光性記録材料を用いてなることを特徴とする感光性平版印刷版原版。
<9> 前記<8>に記載の感光性平版印刷版原版を、感光層側の最表面と、支持体の感光層を有する面とは反対側の最表面と、を直接接触させて複数枚積層してなることを特徴とする感光性平版印刷版原版積層体。
なお、以下の説明においては、保護層に固体分散された前記染料を、適宜「固体分散染料」と称する場合がある。
ここで、「順次積層する」とは、支持体上に、感光層及び保護層がこの順に設けられることを指し、中間層、バックコート層など、目的に応じて設けられる、これら以外の任意の層の存在を否定するものではない。
本発明の作用は、未だ明確ではないが、以下のように推測される。
本発明における保護層は、感光層に含有される増感色素が有する吸収波長領域とは異なる吸収波長領域を有する水不溶性かつアルカリ可溶性の染料が固体分散された層であることが特徴である。
上記のごとき保護層を有する本発明の感光性記録材料は、外部からの酸素が充分に遮断されて、重合阻害が防止され、感光層の硬化反応が促進され、画像部の強度を向上させることができるものと考えられる。
また、本発明の好適な態様の一つは、酸素透過性を有する中間層を感光層と保護層との間に有する態様であり、この場合についても、外部からの酸素が充分に遮断でき、重合阻害の原因となる酸素の透過が効果的に抑制されて、セーフライト適性の向上を生かしつつも、硬化反応の低下が抑制され、画像形成不良や露光部の画像ヌケのない、高画質な画像形成ができるものと考えられる。
さらに、本発明における固体分散染料は、保護層に固体分散されていることから、マット剤として機能することができ、これに起因して、記録材料同士を直接接触させて積層した場合であっても、記録材料同士の接着を効果的に防ぐことができると考えられる。特に、本発明の感光性記録材料の好適な態様である感光性平版印刷版原版においては、合紙を挟み込まなくても版同士が接着することなく積層することが可能となるため、製版作業の効率化を達成することができると考えられる。
また、固体分散染料は、露光適性に応じたものを用いることにより、一種のフィルターとして機能しうるため、意図しない重合を防止することが考えられる。これにより、例えば、明室での取り扱う場合などにおいてもカブリが生じにくくなり、セーフライト適性についても向上できるものと考えられる。
本発明によれば、レーザーによる書き込みが可能であり、感光層の重合阻害が抑制されると共に、複数枚積層して、高湿下における長期に亘たる保存に供する場合であっても、感光性記録材料の感光層側の最表面と、隣接する感光性記録材料の支持体の感光層を有する面とは反対側の最表面との接着を抑制しうる感光性記録材料、及び該感光性記録材料を用いてなる平版印刷版原版を提供することができる。
さらに、本発明によれば、上記の感光性記録材料又は感光性平版印刷版原版を積層してなる、感光性記録材料積層体又は感光性平版印刷版原版積層体を提供することができる。
[感光性記録材料、感光性平版印刷版原版、及びそれらの積層体]
本発明の感光性記録材料は、支持体上に、重合開始剤、増感色素、及び重合性化合物を含有する感光層と、前記増感色素が有する吸収波長領域とは異なる吸収波長領域を有する水不溶性かつアルカリ可溶性の染料が固体分散された保護層と、を順次積層してなることを特徴とする。
本発明の感光性記録材料の一つの好適な態様は、更に、感光層と保護層との間に、酸素遮断性を有する中間層を有する態様である。
本発明の感光性記録材料は、フォトレジスト、フレキソ印刷版、感光性平版印刷版原版などに好適に適用され、これらの中でも、感光性平版印刷版原版に適用することが特に好ましい。
即ち、本発明の感光性平版印刷版原版(以下、単に「平版印刷版原版」と称する場合がある。)は、本発明の感光性記録材料を用いてなることを特徴とする。
本発明の感光性記録材料積層体は、本発明の感光性記録材料を、感光層側の最表面と、支持体の感光層を有する面とは反対側の最表面と、を直接接触させて複数枚積層してなることを特徴とする。
本発明に感光性記録材料によれば、レーザーによる書き込みが可能であり、感光層の重合阻害が抑制されると共に、複数枚積層して、高湿下における長期に亘たる保存又は搬送に供する場合であっても、感光性記録材料の感光層側の最表面と、隣接する感光性記録材料の支持体の感光層を有する面とは反対側の最表面との接着を抑制することができる。
従って、かかる感光性記録材料の好適な態様である本発明の平版印刷版原版は、合紙の挟み込みのない状態で積層して保存及び搬送に供する場合であっても、各版の剥離性に優れている。これにより、本発明の平版印刷版原版積層体によれば、従来のように、平版印刷版原版と合紙とを交互に積層する余分な工程、及びそれに用いられる材料を節約することができる。
また、本発明の感光性記録材料及び感光性平版印刷版原版における保護層は、露光適性に応じた固体分散染料を用いることにより、セーフライト適性についても向上させうる。
ここで、本発明における「支持体の感光層を有する面とは反対側の最表面」は、支持体の感光層を有する面(支持体裏面)とは反対側の面自体であってもよいし、支持体裏面に何らかの層(例えば、後述するバック層)が設けられ、その層により形成されていてもよい。
以下、本発明の感光性記録材料の各構成要素について順次説明する。
なお、以下の説明は、本発明の感光性記録材料の好適な態様である感光性平版印刷版原版を例に行うが、当然のことながら、本発明の感光性記録材料はそれに限定されるものではない。
≪保護層≫
本発明に係る保護層は、後述する感光層に含有される増感色素が有する吸収波長領域とは異なる吸収波長領域を有する水不溶性かつアルカリ可溶性の染料(固体分散染料)が固体分散された層である。
<固体分散染料>
まず、本発明の保護層に固体分散される固体分散染料について説明する。
ここで、「固体分散」とは、不活性な担体中で固体が微粒子の状態で分散している状態のことをさす。
本発明における固体分散染料としては、国際公開第88/04794号パンフレットの表I〜表Xに記載の化合物、下記一般式(I)〜(VII)で表される化合物、及び、後述する各文献に記載される他の染料などが挙げられる。
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一般式(I)〜(VII)中、A及びA’は同じでも異なっていてもよく、各々酸性核を表し、Bは塩基性核を表し、X及びYは同じでも異なっていてもよく、各々電子吸性基を表す。Rは水素原子又はアルキル基を表し、R1及びR2は各々アルキル基、アリール基、アシル基又はスルホニル基を表し、R1とR2が連結して5又は6員環を形成してもよい。R3及びR6は各々水素原子、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アルキル基、アルコキシ基又はハロゲン原子を表し、R4及びR5は各々水素原子又はR1とR4もしくはR2とR5が連結して5又は6員環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。L1、L2及びL3は各々メチン基を表す。mは0又は1を表し、n及びqは各々0、1又は2を表し、pは0又は1を表し、pが0のとき、R3はヒドロキシ基又はカルボキシル基を表し且つR4及びR5は水素原子を表す。B’はカルボキシル基、スルファモイル基、又はスルホンアミド基を有するヘテロ環基を表す。Qはヘテロ環基を表す。但し、一般式(I)ないし(VII)で表される化合物は、1分子中に水とエタノールの容積比が1対1の混合溶液中に於けるpKaが4〜11の範囲にある解離性基を少なくとも1個有する。
前記他の染料としては、具体的には、欧州特許公開第0274723A1号明細書、同276,566号明細書、同299,435号明細書、特開昭52−92716号公報、同55−155350号公報、同55−155351号公報、同61−205934号公報、同48−68623号公報、米国特許第2527583号明細書、同3486897号明細書、同3746539号明細書、同3933798号明細書、同4130429号明細書、同4040841号明細書、特願平1−50874号公報、同1−103751号公報、同1−307363号公報などに記載のものが使用できる。
固体分散染料の分散方法としては、例えば、固体分散染料を適当な分散剤と共に水中においてボールミル、サンドミル、又はコロイドミルなどにより機械的に分散固体とする方法、固体分散染料を適当な溶媒中で溶解させたのち、染料の貧溶媒を添加して析出させることによって分散固体を得る方法、などが挙げられる。これらの分散方法については、固体分散染料について記載する、上述の各文献に記載される分散方法を、本発明においても同様に適用することができる。
固体分散染料が有する吸収波長領域は、感光層の成分として後述する増感色素が有する吸収波長領域と異なることが必要である。
固体分散染料は、感光性記録材料(好ましくは、感光性平版印刷版原版)の露光適性に応じて適宜選択することができる。
固体分散染料としては、300〜500nmの範囲に吸収極大を有する染料であることが好ましい。
以下、本発明に適用しうる固体分散染料の具体例(例示化合物I−1〜VII−7)を示す。但し、本発明は以下の化合物に限定されるものではない。
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固体分散染料は、欧州特許公開第0274723A1号明細書、同276,566号明細書、同299,435号明細書、特開昭52−92716号公報、同55−155350号公報、同55−155351号公報、同61−205934号公報、同48−68623号公報、米国特許第2527583号明細書、同3486897号明細書、同3746539号明細書、同3933798号明細書、同4130429号明細書、同4040841号明細書、特願平1−50874号公報、同1−103751号公報、同1−307363号公報等に記載された方法、及びその方法に準じて容易に合成することができる。
上述した固体分散染料の中でも、メチン鎖の末端に窒素原子を含有する五員複素環が直接結合した部分構造を有する染料が好ましい。
固体分散染料の粒径としては、体積平均粒径が、0.2μm〜30μmであることが好ましく、0.5μm〜20μmであることがより好ましい。固体分散染料の体積平均粒径が、上記の範囲内であると、充分なマット効果が発揮され、感光性平版印刷版原版を積層した際に、感光層側の面と隣接する版材の支持体裏面との接着を抑制でき、感光層に非硬化部分が生じず画像ヌケを来すこともない。
固体分散染料の体積平均粒径は、LA−910(ホリバ製作所(株)製の商品名)により求めたものである。
保護層における固体分散染料の含有量としては、保護層に含有される固形分に対して、1.0〜25.0質量%が好ましく、3〜10質量%がより好ましい。
固体分散染料の含有量が上記範囲内であると、充分なマット効果が発揮され、感光性平版印刷版原版を積層した際に、感光層側の面と隣接する版材の支持体裏面との接着を抑制でき、保護層の膜性も良好である。
また、固体分散染料は、保護層中に1種のみ含有されてもよいし、2種以上を併用してもよい。
<バインダーポリマー>
本発明に係る保護層は、バインダーポリマーを含有することが好ましい。
保護層に含有しうるバインダーポリマーとしては、比較的、結晶性に優れた水溶性高分子化合物を用いることが好ましく、具体的には、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、酸性セルロース類、ゼラチン、アラビアゴム、ポリアクリル酸、などのような水溶性ポリマーが挙げられる。これらの中でも、ポリビニルアルコールを主成分として用いることが、膜物性の観点から好ましい。保護層に使用しうるポリビニルアルコールは、保護層に必要とされる必要とされる酸素遮断性と水溶性を有するための、未置換ビニルアルコール単位を含有する限り、一部がエステル、エーテル、およびアセタールで置換されていてもよい。また、同様に一部が他の繰り返し単位を有する共重合体であってもよい。
保護層に含有しうるバインダーポリマーとして具体的には、(株)クラレ製のPVA−105、PVA−110、PVA−117、PVA−117H、PVA−120、PVA−124、PVA−124H、PVA−CS、PVA−CST、PVA−HC、PVA−203、PVA−204、PVA−205、PVA−210、PVA−217、PVA−220、PVA−224、PVA−217EE、PVA−217E、PVA−220E、PVA−224E、PVA−405、PVA−420、PVA−613、L−8等が挙げられる。上記の共重合体としては、88〜100%加水分解されたポリビニルアセテートクロロアセテート又はプロピオネート、ポリビニルホルマール、及びポリビニルアセタールおよびそれらの共重合体が挙げられる。その他有用な重合体としてはポリビニルピロリドン、ゼラチンおよびアラビアゴム等が挙げられ、これらは単独又は併用して用いてもよい。
本発明において好適に用いられるポリビニルアルコールとしては、71〜100%加水分解され、分子量が200〜2400の範囲のものを挙げることができる。保護層が、高い酸素遮断性、優れた皮膜形成性、及び低接着性表面を有するという観点からは、ケン化度が91モル%以上のポリビニルアルコールを用いることがより好ましい。
保護層に用いうる好適なポリビニルアルコールとして具体的には、(株)クラレ製の、PVA−102、PVA−103、PVA−104、PVA−105、PVA−110、PVA−117、PVA−120、PVA−124、PVA−117H、PVA−135H、PVA−HC、PVA−617、PVA−624、PVA−706、PVA−613、PVA−CS、PVA−CST、日本合成化学工業株式会社製の、ゴーセノールNL−05、NM−11、NM−14、AL−06、P−610、C−500、A−300、AH−17、日本酢ビ・ポバール株式会社製の、JF−04、JF−05、JF−10、JF−17、JF−17L、JM−05、JM−10、JM−17、JM−17L、JT−05、JT−13、JT−15等が挙げられる。
さらに、保護層に含有しうるバインダーポリマーとしては、ポリビニルアルコールを酸変性したものも好適に用いられる。具体的には、イタコン酸やマレイン酸変性のカルボキシ変性ポリビニルアルコールやスルホン酸変性ポリビニルアルコールが好適なものとして挙げられる。これら酸変性ポリビニルアルコールもケン化度が91モル%以上のものであれば、より好ましく使用できる。
具体的な酸変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、株式会社クラレ製の、KL−118、KM−618、KM−118、SK−5102、MP−102、R−2105、日本合成化学工業株式会社製の、ゴーセナールCKS−50、T−HS−1、T−215、T−350、T−330、T−330H、日本酢ビ・ポバール株式会社製の、AF−17、AT−17等が挙げられる。
保護層におけるバインダーポリマーは、感光性平版印刷版原版の感度や、積層した際における版材同士の接着性などを考慮すると、保護層中の全固形分量に対して、45〜95質量%の範囲で含有されることが好ましく、50〜90質量%の範囲で含有されることがより好ましい。
保護層において、バインダーポリマーは、少なくとも1種を含有されることが好ましく、複数種を併用してもよい。複数種のバインダーポリマーを併用した場合についても、その合計した含有量が上記の範囲であることが好ましい。
本発明に係る保護層においては、感光層の画像部との密着性や、皮膜の均一性も版の取り扱い上極めて重要である。即ち、水溶性ポリマーからなる親水性の層を親油性の感光層に積層すると、接着力不足による膜剥離が発生しやすく、剥離部分が酸素の重合阻害により膜硬化不良などの欠陥を引き起こす。これに対し、これら2層間の接着性を改善すべく種々の提案がなされている。例えば、米国特許出願番号第292,501号、米国特許出願番号第44,563号には、主にポリビニルアルコールからなる親水性ポリマー中に、アクリル系エマルジョン又は水不溶性ビニルエステル−ビニルアセテート共重合体などを20〜60質量%混合し、感光層の上に積層することにより、十分な接着性が得られることが記載されている。
本発明における保護層に対しては、本発明の効果を損なわない範囲において、これらの公知の技術をいずれも適用することができる。
また、本発明に係る保護層には、感光層を露光する際に用いる光(本発明においては赤外光)の透過性に優れ、かつ、露光に関わらない波長の光を効率よく吸収しうる、着色剤(水溶性染料)を添加してもよい。これにより、感度を低下させることなく、セーフライト適性を高めることができる。
(保護層の形成)
本発明における保護層は、前記した固体分散染料が固体分散された分散液を調製し、その分散液と、バインダー成分(又は、バインダー成分を溶解した水溶液)等と、を配合してなる保護層用塗布液を、感光層上に塗布することで形成される。感光層と保護層との間に後述する酸素遮断性の中間層が形成される場合には、保護層用塗布液は中間層上に塗布される。
この保護層用塗布液には、塗布性を向上させための界面活性剤や皮膜の物性改良のための水溶性の可塑剤などの公知の添加剤を加えることができる。水溶性の可塑剤としては、例えば、プロピオンアミド、シクロヘキサンジオール、グリセリン、ソルビトール等が挙げられる。また、水溶性の(メタ)アクリル系ポリマーを加えることもできる。更に、この塗布液には、感光層との密着性、塗布液の経時安定性を向上するための公知の添加剤を加えてもよい。
本発明に係る保護層の塗布方法は、特に制限されるものではなく、米国特許第3,458,311号明細書又は特開昭55−49729号公報に記載されている方法を適用することができる。
本発明に係る保護層の塗布量(乾燥後の被覆量)は、膜強度、耐キズ性、画質の維持、及びセーフライト適性を発揮するための適切な酸素透過性を維持する観点から、0.1g/m2〜4.0g/m2が好ましく、0.3g/m2〜3.0g/m2がより好ましい。
−無機質の層状化合物を更に含有する態様の保護層−
本発明に係る保護層の一つの好ましい態様は、固体分散染料以外に、無機質の層状化合物(以下、適宜「無機層状化合物」と称する。)を含有する態様である。即ち、本発明における感光層は、重合性のネガ型感光層(後述)であることから、通常、露光を大気中で行うために、画像形成反応を阻害する大気中に存在する酸素や水分、塩基性物質等の低分子化合物の感光層への混入を防止する目的で、該感光層の上に、固体分散染料と無機層状化合物とを含有する保護層を設けることが、本発明の好ましい態様の一つである。以下、この態様の保護層を、適宜、「無機層状化合物含有保護層」称して具体的に説明する。
なお、無機層状化合物は無機層状化合物含有保護層の表面近傍において層状に積み重なって集合体を形成することから、当該保護層の膜強度が向上すると共に、マット性が発現する。そのため、このような保護層を有する平版印刷版原版を直接積層した場合には、保護層と、隣接する平版印刷版原版のアルミニウム支持体裏面と、の接着を抑制することが可能となり、更に、支持体裏面との接触で発生する保護層表面の擦りキズを抑制することが可能となる、という優れた効果を発揮する。
本発明においては、重合阻害を効果的に行うという点から、無機層状化合物として、雲母化合物を用いることが好ましい。
以下、本発明における無機層状化合物含有保護層に適用しうる無機層状化合物として好適な雲母化合物について説明する。
(雲母化合物)
無機層状化合物含有保護層に適用しうる雲母化合物とは、例えば、一般式:A(B,C)2−5D410(OH,F,O)2〔但し、Aは、K,Na,Caの何れか、B及びCは、Fe(II),Fe(III),Mn,Al,Mg,Vの何れかであり、Dは、Si又はAlである。〕で表される天然雲母、合成雲母等の雲母群などが挙げられる。
上記雲母群においては、天然雲母としては白雲母、ソーダ雲母、金雲母、黒雲母及び鱗雲母が挙げられる。また、合成雲母としては、フッ素金雲母KMg3(AlSi310)F2、カリ四ケイ素雲母KMg2.5(Si410)F2等の非膨潤性雲母、及びNaテトラシリリックマイカNaMg2.5(Si410)F2、Na又はLiテニオライト(Na,Li)Mg2Li(Si410)F2、モンモリロナイト系のNa又はLiヘクトライト(Na,Li)1/8Mg2/5Li1/8(Si410)F2等の膨潤性雲母等が挙げられる。更に、合成スメクタイトも有用である。
本発明においては、上記の雲母化合物の中でも、フッ素系の膨潤性雲母が特に有用である。即ち、この膨潤性合成雲母は、10〜15Å程度の厚さの単位結晶格子層からなる積層構造を有し、格子内金属原子置換が他の粘度鉱物より著しく大きい。その結果、格子層は正電荷不足を生じ、それを補償するために層間にNa+、Ca2+、Mg2+等の陽イオン
を吸着している。これらの層間に介在している陽イオンは交換性陽イオンと呼ばれ、いろいろな陽イオンと交換する。特に、層間の陽イオンがLi+、Na+の場合、イオン半径が小さいため層状結晶格子間の結合が弱く、水により大きく膨潤する。その状態でシェアーをかけると容易に劈開し、水中で安定したゾルを形成する。膨潤性合成雲母はこの傾向が強く、本発明において有用であり、特に、膨潤性合成雲母が好ましく用いられる。
無機層状化合物含有保護層において使用される雲母化合物の形状としては、拡散制御の観点からは、厚さは薄ければ薄いほどよく、平面サイズは塗布面の平滑性や活性光線の透過性を阻害しない限りにおいて大きいほどよい。従って、アスペクト比は20以上であり、好ましくは100以上、特に好ましくは200以上である。なお、アスペクト比は粒子の長径に対する厚さの比であり、例えば、粒子の顕微鏡写真による投影図から測定することができる。アスペクト比が大きい程、得られる効果が大きい。
本発明において使用される雲母化合物の粒子径は、その平均長径が0.3〜20μm、好ましくは0.5〜10μm、特に好ましくは1〜5μmである。また、該粒子の平均の厚さは、0.1μm以下、好ましくは、0.05μm以下、特に好ましくは、0.01μm以下である。具体的には、例えば、代表的化合物である膨潤性合成雲母のサイズは、厚さが1〜50nm、面サイズ(長径)が1〜20μm程度である。
雲母化合物の無機層状化合物含有保護層に含有される量は、該保護層の全固形分量に対し、5〜50質量%の範囲であることが好ましく、より好ましくは、10〜40質量%の範囲である。雲母化合物の含有量が上記範囲であると、酸素透過度が低下し、本発明の効果がより一層顕著に発揮することができ、積層した平版印刷版原版同士の接着の抑制効果やキズの抑制効果についても充分に発揮することができる。また、感度も充分に発揮される。
複数種の雲母化合物を併用した場合でも、これらの雲母化合物の合計の量が上記の質量比であることが好ましい。
無機層状化合物として好適な雲母化合物の一般的な分散方法の例について説明する。まず、水100質量部に先に雲母化合物の好ましいものとして挙げた膨潤性雲母化合物を5〜10質量部添加し、充分水になじませ、膨潤させた後、分散機にかけて分散する。ここで用いる分散機としては、機械的に直接力を加えて分散する各種ミル、大きな剪断力を有する高速攪拌型分散機、高強度の超音波エネルギーを与える分散機等が挙げられる。具体的には、ボールミル、サンドグラインダーミル、ビスコミル、コロイドミル、ホモジナイザー、ティゾルバー、ポリトロン、ホモミキサー、ホモブレンダー、ケディミル、ジェットアジター、毛細管式乳化装置、液体サイレン、電磁歪式超音波発生機、ポールマン笛を有する乳化装置等が挙げられる。上記の方法で分散した雲母化合物の2〜15質量%の分散物は高粘度或いはゲル状であり、保存安定性は極めて良好である。
この分散物を用いて保護層用塗布液を調製する際には、水で希釈し、充分攪拌した後、上述の特定ポリビニルアルコールなどのバインダー成分(又は、バインダー成分を溶解した水溶液)と配合して調製するのが好ましい。
無機層状化合物含有保護層は、バインダーポリマーを含有することが好ましく、該バインダーポリマーとしては、ポリビニルアルコールが好ましい。無機層状化合物含有保護層に含有しうるポリビニルアルコールについて説明する。
−ポリビニルアルコール−
本発明の平版印刷版原版ように、重合性ネガ型感光層上に設けられる保護層に望まれる基本的特性は、露光に用いる光の透過は実質阻害せず、感光層との密着性に優れ、かつ、露光後の現像工程で容易に除去できることである。
このような保護層に望まれる基本的特性を得るために、本発明における無機層状化合物含有保護層においては、バインダー成分として、ポリビニルアルコールを用いることが好ましい。更に、ケン化度が91モル%以上のポリビニルアルコール(以下、適宜、特定ポリビニルアルコールと称する。)を用いることが好ましい。
この特定ポリビニルアルコールは優れた皮膜形成性を有し、更に、この特定ポリビニルアルコールをバインダーポリマーとして用いてなる保護層は、比較的低接着性の表面を有するため、好ましい。
特定ポリビニルアルコールは、ケン化度がこの範囲であれば、必要な酸素遮断性と低接着性表面を有するための、未置換ビニルアルコール単位を含有する限り、一部が、エステル、エーテル及びアセタールで置換されていてもよいし、また、一部が変性されていてもよいし、更に、同様に一部が他の共重合成分を有していてもよい。
一般には、使用するPVAのケン化度が高い程(保護層中の未置換ビニルアルコール単位含率が高い程)、酸素遮断性が高くなる。
このため、無機層状化合物含有保護層は、例えば、ケン化度が91モル%以上のポリビニルアルコールと前述の雲母化合物とを併用することにより、保護層の膜強度が一層向上し、耐キズ性、及び酸素遮断性が更に高くなる。
このような特定ポリビニルアルコールは、重合度が200〜2400の範囲のものが好ましい。具体的には、株式会社クラレ製の、PVA−102、PVA−103、PVA−104、PVA−105、PVA−110、PVA−117、PVA−120、PVA−124、PVA−117H、PVA−135H、PVA−HC、PVA−617、PVA−624、PVA−706、PVA−613、PVA−CS、PVA−CST、日本合成化学工業株式会社製の、ゴーセノールNL−05、NM−11、NM−14、AL−06、P−610、C−500、A−300、AH−17、日本酢ビ・ポバール株式会社製の、JF−04、JF−05、JF−10、JF−17、JF−17L、JM−05、JM−10、JM−17、JM−17L、JT−05、JT−13、JT−15等が挙げられる。
更に、特定ポリビニルアルコールとしては、ケン化度が91モル%以上であれば、例えば、イタコン酸やマレイン酸変性のカルボキシ変性ポリビニルアルコールやスルホン酸変性ポリビニルアルコール等を用いることもできる。
このような特定ポリビニルアルコールとして好適な酸変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、株式会社クラレ製の、KL−118、KM−618、KM−118、SK−5102、MP−102、R−2105、日本合成化学工業株式会社製の、ゴーセナールCKS−50、T−HS−1、T−215、T−350、T−330、T−330H、日本酢ビ・ポバール株式会社製の、AF−17、AT−17等が挙げられる。
このような特定ポリビニルアルコールは、無機層状化合物含有保護層中の全固形分量に対して、45〜95質量%の範囲で含有されることが好ましく、50〜90質量%の範囲で含有されることがより好ましい。特定ポリビニルアルコールの含有量が上記範囲内であることで、充分な皮膜形成性および感度が発揮されるとともに、積層した平版印刷版原版同士の接着抑制効果も充分に発揮することができる。
特定ポリビニルアルコールは、少なくとも1種を用いればよく、複数種を併用してもよい。複数種の特定ポリビニルアルコールを併用した場合でも、その合計の量が上記の質量範囲であることが好ましい。
無機層状化合物含有保護層の成分(無機層状化合物、及びポリビニルアルコールの選択、添加剤の使用)、塗布量等は、酸素遮断性・現像除去性、耐傷性を考慮して選択される。
<酸素遮断性を有する中間層>
本発明の感光性記録材料の一つの好適な態様は、前記した保護層と後述する感光層との間に、酸素遮断性有する中間層(以下、適宜「酸素遮断層」と称する。)を有する態様である。
酸素遮断層における酸素透過性は、25℃60%RHにおいて、0.5〜100ml/m2・dayであることが好ましく、0.5〜30ml/m2・dayがより好ましい。
酸素遮断層における酸素透過性は、バインダーポリマー及び/又は他のポリマーの種類又は含有量の調整、無機質の層状化合物の添加、酸素透過性制御剤の添加、酸素遮断層の膜厚の調整、或いは、これらの組み合わせにより調整することができる。
酸素遮断層の酸素遮断性は、酸素透過率を以下のごとく測定することのより確認することができる。
両面を約20μmのポリエチレンでコートした約200μmの印画紙に、感光層上に塗布するのと同様にして、酸素遮断層を塗布乾燥し、測定用のサンプルを作製する。印画紙の酸素透過率は、下記条件下で約700ml/(m2・day・atm)であるので、酸素遮断層における酸素透過率の測定には十分無視できる。JIS K7126B及びASTM D3985に記載の気体透過度試験方法に準じ、モコン社製の「OX−TRAN2/20」を用い、25℃60%RHの条件で、酸素遮断層の酸素透過率[ml/(m2・day・atm)]を測定することができる。
酸素遮断層は、バインダーポリマー、無機質の層状化合物、等を含有する層であることが好ましい。以下、酸素遮断層に含有しうる各成分について説明する。
−バインダーポリマー−
酸素遮断層が含有しうるバインダーポリマーとしては、前記保護層に含有しうるものと同様の水溶性高分子化合物を用いることができる。酸素遮断の観点からは、特に、ポリビニルアルコールであるが好ましい。
酸素遮断層に含有しうるポリビニルアルコールとしては、前述した保護層に含有しうるポリビニルアルコールと同様のものを使用できる。ポリビニルアルコールの中でも、特に、ケン化度が91モル%以上のポリビニルアルコール(以下、適宜「特定ポリビニルアルコール」と称する。)を用いることが好ましい。
酸素遮断層に含有しうるポリビニルアルコールとしては、現像性の観点からは、例えば、イタコン酸やマレイン酸変性のカルボキシ変性ポリビニルアルコールやスルホン酸変性ポリビニルアルコール等も好適なものとして挙げられる。これらの酸変性ポリビニルアルコールについても、ケン化度が91モル%以上のものであることがより好ましい。
特定ポリビニルアルコールとして好適な酸変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、(株)クラレ製の、KL−118、KM−618、KM−118、SK−5102、MP−102、R−2105、日本合成化学工業(株)製の、ゴーセナールCKS−50、T−HS−1、T−215、T−350、T−330、T−330H、日本酢ビ・ポバール(株)製の、AF−17、AT−17等が挙げられる。
酸素遮断層に含有しうるバインダーポリマーの含有量は、酸素遮断層に含有される全固形分量に対して、45〜95質量%の範囲であることが好ましく、50〜90質量%の範囲であることがより好ましい。上記の範囲おいて、被膜形成性、及び感度がより向上する。
酸素遮断層において、バインダーポリマーは、少なくとも1種を含有されることが好ましく、複数種を併用してもよい。複数種のバインダーポリマーを併用した場合についても、その合計した含有量が上記の範囲であることが好ましい。
−無機質の層状化合物−
本発明に係る酸素遮断層は無機質の層状化合物を含有してもよい。前記ケン化度が91モル%以上のポリビニルアルコールと無機質の層状化合物とを含有することが、酸素遮断層の好ましい態様である。
酸素遮断層に、無機質の層状化合物を含有することにより、酸素遮断性がさらに高まり、酸素遮断層の硬度も増す。その結果、酸素遮断層は、酸素遮断性に加え、変形などによる劣化やキズの発生をも抑制することが可能となる。
(雲母化合物)
酸素遮断層に用いうる無機質の層状化合物としては、例えば、一般式:A(B,C)2−5D410(OH,F,O)2〔ただし、Aは、K,Na,Caの何れか、B及びCは、Fe(II),Fe(III),Mn,Al,Mg,Vの何れかであり、Dは、Si又はAlである。〕で表される天然雲母、合成雲母等の雲母化合物などが挙げられる。
酸素遮断層に用いうる雲母化合物において、天然雲母としては、白雲母、ソーダ雲母、金雲母、黒雲母及び鱗雲母が挙げられる。また、合成雲母としては、フッ素金雲母KMg3(AlSi310)F2、カリ四ケイ素雲母KMg2.5(Si410)F2等の非膨潤性雲母、及びNaテトラシリリックマイカNaMg2.5(Si410)F2、Na又はLiテニオライト(Na,Li)Mg2Li(Si410)F2、モンモリロナイト系のNa又はLiヘクトライト(Na,Li)1/8Mg2/5Li1/8(Si410)F2等の膨潤性雲母等が挙げられる。更に、合成スメクタイトも有用である。
酸素遮断層においては、上記した雲母化合物の中でも、フッ素系の膨潤性雲母が特に有用である。即ち、この膨潤性合成雲母は、1〜1.5nm(10〜15Å)程度の厚さの単位結晶格子層からなる積層構造を有し、格子内金属原子置換が他の粘度鉱物より著しく大きい。その結果、格子層は正電荷不足を生じ、それを補償するために層間にNa+、Ca2+、Mg2+等の陽イオンを吸着している。これらの層間に介在している陽イオンは交換性陽イオンと呼ばれ、いろいろな陽イオンと交換する。特に、層間の陽イオンがLi+、Na+の場合、イオン半径が小さいため層状結晶格子間の結合が弱く、水により大きく膨潤する。その状態でシェアーをかけると容易に劈開し、水中で安定したゾルを形成する。膨潤性合成雲母はこの傾向が強く、本発明において有用であり、特に、膨潤性合成雲母が好ましく用いられる。
雲母化合物の形状としては、拡散制御の観点からは、厚さは薄ければ薄いほどよく、平面サイズは塗布面の平滑性や活性光線の透過性を阻害しない限りにおいて大きいほどよい。従って、アスペクト比は20以上であり、好ましくは100以上、特に好ましくは200以上である。なお、アスペクト比は粒子の長径に対する厚さの比であり、例えば、粒子の顕微鏡写真による投影図から測定することができる。アスペクト比が大きい程、得られる効果が大きい。
雲母化合物の粒子径は、その平均長径が0.3〜20μm、好ましくは0.5〜10μm、特に好ましくは1〜5μmである。また、雲母化合物の平均の厚さは、0.1μm以下、好ましくは、0.05μm以下、特に好ましくは、0.01μm以下である。具体的には、例えば、代表的化合物である膨潤性合成雲母のサイズは、厚さが1〜50nm、面サイズ(長径)が1〜20μm程度である。
雲母化合物を好適な例とする、無機質の層状化合物の酸素遮断層に含有される量としては、積層した平版印刷版原版同士の接着の抑制やキズ発生の抑制、レーザ露光時の遮断による感度低下、低酸素透過性などの観点から、酸素遮断層の全固形分量に対し、5〜50質量%の範囲であることが好ましく、10〜40質量%の範囲が特に好ましい。複数種の無機質の層状化合物を併用した場合でも、これらの無機質の層状化合物の合計の量が上記の質量比であることが好ましい。
−酸素透過性制御剤−
酸素遮断層における酸素透過性を制御する方法の一つとして、バインダーポリマーとして好適なポリビニルアルコールと共に、酸素透過性制御剤として、他の水溶性ポリマーを混合する方法がある。
他の水溶性ポリマーとしては、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、可溶性でんぷん、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイド共重合化合物が挙げられる。これらの中でも、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイド共重合化合物が好適である。
酸素遮断層における酸素透過性制御剤の含有量としては、酸素遮断層の全固形分量に対し、1〜30質量%の範囲であることが好ましく、3〜25質量%の範囲が特に好ましい。
(酸素遮断層の形成)
本発明における酸素遮断層は、該層に含有される各成分を含有してなる酸素遮断層用塗布液を、後述する感光層上に塗布することで形成される。
この酸素遮断層用塗布液には、塗布性を向上させための界面活性剤や皮膜の物性改良のための水溶性の可塑剤などの公知の添加剤を加えることができる。水溶性の可塑剤としては、例えば、プロピオンアミド、シクロヘキサンジオール、グリセリン、ソルビトール等が挙げられる。また、水溶性の(メタ)アクリル系ポリマーを加えることもできる。更に、この塗布液には、酸素遮断層の支持体側に設けられる層との密着性、塗布液の経時安定性を向上するための公知の添加剤を加えてもよい。
酸素遮断層の塗布方法は、特に制限されるものではなく、米国特許第3,458,311号明細書又は特開昭55−49729号公報に記載されている方法を適用することができる。
酸素遮断層の塗布量は、膜強度、耐キズ性、画質の維持、セーフライト適性を発揮するための適切な酸素透過性を維持する観点で、0.25g/m2〜1.50g/m2が好ましく、0.30g/m2〜1.00g/m2がより好ましい。
酸素遮断層は充分な酸素遮断性を発揮しうるものであるため、酸素遮断層上に形成される保護層は、特に酸素遮断性を有しなくともよい。このため、本発明の感光性平版印刷版原版が酸素遮断層を有する場合には、該保護層に前記したような無機層状化合物を含まなくともよい。
<感光層>
本発明係る感光層は重合性ネガ型の感光層であり、必須成分として、重合開始剤、増感色素、及び重合性化合物を含有し、更に、バインダーポリマーを含有することが好ましく、必要に応じて、着色剤や他の任意成分を含んでもよい。
本発明における感光層は、赤外光に感応する層として形成することが好ましく、例えば、赤外線レーザーに感光する層として形成することができる。
感光層が、赤外線レーザーに感応する層である場合であれば、該感光層に含まれる増感色素(赤外線吸収剤)は、赤外線レーザーの照射(露光)に対し高感度で電子励起状態となり、かかる電子励起状態に係る電子移動、エネルギー移動、発熱(光熱変換機能)などが、感光層中に併存する重合開始剤に作用して、該重合開始剤に化学変化を生起させてラジカルを生成させる。
ラジカルの生成機構としては、1.赤外線吸収剤の光熱変換機能により発生した熱が、後述する重合開始剤(例えば、スルホニウム塩)を熱分解しラジカルを発生させる、2.赤外線吸収剤が発生した励起電子が、重合開始剤(例えば、活性ハロゲン化合物)に移動しラジカルをさせる、3.励起した赤外線吸収剤に重合開始剤(例えば、ボレート化合物)から電子移動してラジカルが発生する、等が挙げられる。そして、生成したラジカルにより重合性化合物が重合反応を起こし、露光部が硬化して画像部となる。
本発明の感光性平版印刷版原版は、感光層が増感色素を含有することにより、750nm〜1400nmの波長を有する赤外線レーザー光での直接描画される製版に特に好適であり、従来の平版印刷版原版に比べ、高い画像形成性を発現することができる。
以下に、本発明に係る感光層を構成する各成分について説明する。
(増感色素)
本発明に係る感光層は、エネルギー移動機能(電子移動)や光熱変換機能などの発現を目的にして、増感色素を含有する。この増感色素としては、作製される平版印刷版を露光する際の光源にあわせて、適宜、選択すればよい。
感光層を赤外光に感応する層として形成する場合には、赤外線吸収剤を含有することが好ましい。以下、本発明における好適な増感色素である、赤外線吸収剤について詳細に説明する。
−赤外線吸収剤−
赤外線吸収剤は、赤外線レーザーの照射(露光)に対し高感度で電子励起状態となり、かかる電子励起状態に係る電子移動、エネルギー移動、発熱(光熱変換機能)などが、後述する重合開始剤に作用して、該重合開始剤に高感度で化学変化を生起させてラジカルを生成させるのに有用である。
本発明において使用される赤外線吸収剤は、750nm〜1400nmの波長に吸収極大を有する染料又は顔料であることが好ましい。
染料としては、市販の染料、例えば、「染料便覧」(有機合成化学協会編集、昭和45年刊)等の文献に記載されている公知のものが利用できる。具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、ナフトキノン染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、金属チオレート錯体等の染料が挙げられる。
好ましい染料としては、例えば、特開昭58−125246号、特開昭59−84356号、特開昭60−78787号等に記載されているシアニン染料、特開昭58−173696号、特開昭58−181690号、特開昭58−194595号等に記載されているメチン染料、特開昭58−112793号、特開昭58−224793号、特開昭59−48187号、特開昭59−73996号、特開昭60−52940号、特開昭60−63744号等に記載されているナフトキノン染料、特開昭58−112792号等に記載されているスクワリリウム色素、英国特許434,875号記載のシアニン染料等を挙げることができる。
また、米国特許第5,156,938号記載の近赤外吸収増感剤も好適に用いられ、また、米国特許第3,881,924号記載の置換されたアリールベンゾ(チオ)ピリリウム塩、特開昭57−142645号(米国特許第4,327,169号)記載のトリメチンチアピリリウム塩、特開昭58−181051号、同58−220143号、同59−41363号、同59−84248号、同59−84249号、同59−146063号、同59−146061号に記載されているピリリウム系化合物、特開昭59−216146号記載のシアニン色素、米国特許第4,283,475号に記載のペンタメチンチオピリリウム塩等や特公平5−13514号、同5−19702号に開示されているピリリウム化合物も好ましく用いられる。また、染料として好ましい別の例として、米国特許第4,756,993号明細書中に式(I)、(II)として記載されている近赤外吸収染料を挙げることができる。
また、本発明における赤外線吸収色素の好ましい他の例としては、以下に例示するような特開2002−278057号公報に記載の特定インドレニンシアニン色素が挙げられる。
Figure 2007293261
これらの染料のうち特に好ましいものとしては、シアニン色素、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、ニッケルチオレート錯体、インドレニンシアニン色素が挙げられる。更に、シアニン色素やインドレニンシアニン色素が好ましく、特に好ましい例として下記一般式(a)で示されるシアニン色素が挙げられる。
Figure 2007293261
一般式(a)中、X1は、水素原子、ハロゲン原子、−NPh2、X2−L1又は以下に示す基を表す。ここで、X2は酸素原子、窒素原子、又は硫黄原子を示し、L1は、炭素原子数1〜12の炭化水素基、ヘテロ原子を有する芳香族環、ヘテロ原子を含む炭素原子数1〜12の炭化水素基を示す。なお、ここでヘテロ原子とは、N、S、O、ハロゲン原子、Seを示す。Xa-は後述するZa-と同様に定義され、Raは、水素原子、アルキル基、
アリール基、置換又は無置換のアミノ基、ハロゲン原子より選択される置換基を表す。
Figure 2007293261
1及びR2は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜12の炭化水素基を示す。感光層塗布液の保存安定性から、R1及びR2は、炭素原子数2個以上の炭化水素基であることが好ましく、更に、R1とR2とは互いに結合し、5員環又は6員環を形成していることが特に好ましい。
Ar1、Ar2は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を示す。好ましい芳香族炭化水素基としては、ベンゼン環及びナフタレン環が挙げられる。また、好ましい置換基としては、炭素原子数12個以下の炭化水素基、ハロゲン原子、炭素原子数12個以下のアルコキシ基が挙げられる。Y1、Y2は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、硫黄原子又は炭素原子数12個以下のジアルキルメチレン基を示す。R3、R4は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい炭素原子数20個以下の炭化水素基を示す。好ましい置換基としては、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、カルボキシル基、スルホ基が挙げられる。R5、R6、R7及び
8は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、水素原子又は炭素原子数12個以下の炭
化水素基を示す。原料の入手性から、好ましくは水素原子である。また、Za-は、対ア
ニオンを示す。ただし、一般式(a)で示されるシアニン色素が、その構造内にアニオン性の置換基を有し、電荷の中和が必要ない場合にはZa-は必要ない。好ましいZa-は、感光層塗布液の保存安定性から、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、及びスルホン酸イオンであり、特に好ましくは、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロフォスフェートイオン、及びアリールスルホン酸イオンである。
本発明において、好適に用いることのできる一般式(a)で示されるシアニン色素の具体例としては、特開2001−133969公報の段落番号[0017]から[0019]に記載されたものを挙げることができる。
また、特に好ましい他の例として更に、前記した特開2002−278057号公報に記載の特定インドレニンシアニン色素が挙げられる。
但し、対イオンとして、ハロゲンイオンを含有してないものが特に好ましい。
本発明において使用される顔料としては、市販の顔料及びカラーインデックス(C.I.)便覧、「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷インキ技術」CMC出版、1984年刊)に記載されている顔料が利用できる。
顔料の種類としては、黒色顔料、黄色顔料、オレンジ色顔料、褐色顔料、赤色顔料、紫色顔料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料、金属粉顔料、その他、ポリマー結合色素が挙げられる。具体的には、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレン及びペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、染付けレーキ顔料、アジン顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、天然顔料、蛍光顔料、無機顔料、カーボンブラック等が使用できる。これらの顔料のうち好ましいものはカーボンブラックである。
これら顔料は表面処理をせずに用いてもよく、表面処理を施して用いてもよい。表面処理の方法には、樹脂やワックスを表面コートする方法、界面活性剤を付着させる方法、反応性物質(例えば、シランカップリング剤、エポキシ化合物、ポリイソシアネート等)を顔料表面に結合させる方法等が考えられる。上記の表面処理方法は、「金属石鹸の性質と応用」(幸書房)、「印刷インキ技術」(CMC出版、1984年刊)及び「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。
顔料の粒径は0.01μm〜10μmの範囲にあることが好ましく、0.05μm〜1μmの範囲にあることが更に好ましく、特に0.1μm〜1μmの範囲にあることが好ましい。この好ましい粒径の範囲において、感光層中における顔料の優れた分散安定性が得られ、均一な感光層が得られる。
顔料を分散する方法としては、インク製造やトナー製造等に用いられる公知の分散技術が使用できる。分散機としては、超音波分散器、サンドミル、アトライター、パールミル、スーパーミル、ボールミル、インペラー、デスパーザー、KDミル、コロイドミル、ダイナトロン、3本ロールミル、加圧ニーダー等が挙げられる。詳細は、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。
これらの赤外線吸収剤は、本発明に係る感光層に用いる場合、他の成分と同一の層に添加してもよいし、別の層を設けそこへ添加してもよい。
これらの赤外線吸収剤は、感光層中における均一性や感光層の耐久性の観点から、感光層を構成する全固形分に対し0.01〜50質量%、好ましくは0.1〜10質量%、染料の場合特に好ましくは0.5〜10質量%、顔料の場合特に好ましくは0.1〜10質量%の割合で添加することができる。
(重合開始剤)
本発明に用いられる重合開始剤は、後述する重合性化合物の硬化反応を開始、進行させる機能を有し、熱により分解してラジカルを発生する熱分解型のラジカル発生剤、赤外線吸収剤の励起電子を受容してラジカルを発生する電子移動型のラジカル発生剤、又は、励起した赤外線吸収剤に電子移動してラジカルを発生する電子移動型のラジカル発生剤など、エネルギーを付与することでラジカルを生成させるものであればいかなる化合物を用いてもよい。例えば、オニウム塩、活性ハロゲン化合物、オキシムエステル化合物、ボレート化合物などが挙げられる。これらは併用してもよい。本発明ではオニウム塩が好ましく、中でも、スルホニウム塩が特に好ましい。
本発明において好適に用いられるスルホニウム塩重合開始剤としては、下記一般式(1)で表されるオニウム塩が挙げられる。
Figure 2007293261
一般式(1)中、R11、R12及びR13は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換基を有していてもよい炭素原子数20個以下の炭化水素基を示す。好ましい置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素原子数12個以下のアルキル基、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、又は炭素原子数12個以下のアリールオキシ基が挙げられる。(Z11-はハロゲンイオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオ
ロホスフェートイオン、カルボキシレートイオン、及びスルホン酸イオンからなる群より選択される対イオンを表し、好ましくは、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロフォスフェートイオン、カルボキシレートイオン、及びアリールスルホン酸イオンである。
以下に、一般式(1)で表されるオニウム塩の具体例([OS−1]〜[OS−12])を挙げるが、これらに限定されるものではない。
Figure 2007293261
Figure 2007293261
上記したものの他、特開2002−148790公報、特開2002−148790公報、特開2002−350207公報、特開2002−6482公報に記載の特定の芳香族スルホニウム塩も好適に用いられる。
本発明においては、上記スルホニウム塩重合開始剤の他にも、他の重合開始剤(他のラジカル発生剤)を用いることができる。他のラジカル発生剤としては、スルホニウム塩以外の他のオニウム塩、トリハロメチル基を有するトリアジン化合物、過酸化物、アゾ系重合開始剤、アジド化合物、キノンジアジド、活性ハロゲン化合物、オキシムエステル化合物、トリアリールモノアルキルボレート化合物などが挙げられ、中でも、高感度であることから、オニウム塩が好ましい。また、上記のスルホニウム塩重合開始剤を必須成分として、これらの重合開始剤(ラジカル発生剤)を併用することもできる。
本発明において好適に用い得る他のオニウム塩としては、ヨードニウム塩及びジアゾニウム塩が挙げられる。本発明において、これらのオニウム塩は酸発生剤ではなく、ラジカル重合の開始剤として機能する。
本発明における他のオニウム塩としては、下記一般式(2)及び(3)で表されるオニウム塩が挙げられる。
Figure 2007293261
一般式(2)中、Ar21とAr22は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素原子数20個以下のアリール基を示す。このアリール基が置換基を有する場合の好ましい置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素原子数12個以下のアルキル基、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、又は炭素原子数12個以下のアリールオキシ基が挙げられる。(Z21-は(Z11-と同義の対イオンを表す。
一般式(3)中、Ar31は、置換基を有していてもよい炭素原子数20個以下のアリール基を示す。好ましい置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素原子数12個以下のアルキル基、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、炭素原子数12個以下のアリールオキシ基、炭素原子数12個以下のアルキルアミノ基、炭素原子数12個以下のジアルキルアミノ基、炭素原子数12個以下のアリールアミノ基又は、炭素原子数12個以下のジアリールアミノ基が挙げられる。(Z31-は(Z11-と同義の対イオンを表す。
以下に、本発明において、好適に用いることのできる一般式(2)で示されるオニウム塩([OI−1]〜[OI−10])、及び一般式(3)で示されるオニウム塩([ON−1]〜[ON−5])の具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
Figure 2007293261
Figure 2007293261
Figure 2007293261
本発明において重合開始剤(ラジカル発生剤)として好適に用いることのできるオニウム塩の具体例としては、特開2001−133696号公報に記載されたもの等を挙げることができる。
なお、本発明において用いられる重合開始剤(ラジカル発生剤)は、極大吸収波長が400nm以下であることが好ましく、更に360nm以下であることが好ましい。このように吸収波長を紫外線領域にすることにより、平版印刷版原版の取り扱いを白灯下で実施することができる。
本発明における重合開始剤の総含有量は、感度及び印刷時の非画像部に汚れの発生の観点から、感光層を構成する全固形分に対し0.1〜50質量%、好ましくは0.5〜30質量%、特に好ましくは1〜20質量%である。
本発明における重合開始剤としては、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。2種以上の重合開始剤を併用する場合は、例えば、好適に用いられるスルホニウム塩重合開始剤のみを複数種用いてもよいし、スルホニウム塩重合開始剤と他の重合開始剤とを併用してもよい。
スルホニウム塩重合開始剤と他の重合開始剤とを併用する場合、その含有比(質量比)としては、100/1〜100/50が好ましく、100/5〜100/25がより好ましい。
また、重合開始剤は、他の成分と同一の層に添加してもよいし、別の層を設けそこへ添加してもよい。
本発明における感光層に、重合開始剤として好ましい、高感度のスルホニウム塩重合開始剤を用いる場合、ラジカル重合反応が効果的に進行し、形成された画像部の強度が非常に高いものとなる。従って、後述する保護層の高い酸素遮断機能とあいまって、高い画像部強度を有する平版印刷版を作製することができ、その結果、耐刷性が一層向上する。また、スルホニウム塩重合開始剤はそれ自体が経時安定性に優れていることから、作製された平版印刷版原版を保存した際にも、所望されない重合反応の発生が効果的に抑制されるという利点をも有することになる。
(重合性化合物)
本発明に用いられる重合性化合物は、少なくとも一個のエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合性化合物であり、エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選ばれる。このような化合物群は当該産業分野において広く知られるものであり、本発明においてはこれらを特に限定無く用いることができる。これらは、例えば、モノマー、プレポリマー、即ち2量体、3量体及びオリゴマー、又はそれらの混合物並びにそれらの共重合体などの化学的形態をもつ。モノマー及びその共重合体の例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)や、そのエステル類、アミド類が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。また、ヒドロキシル基やアミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能若しくは多官能イソシアネート類或いはエポキシ類との付加反応物、及び単官能若しくは、多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアネート基や、エポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との付加反応物、更にハロゲン基や、トシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との置換反応物も好適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン、ビニルエーテル等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。
脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルのモノマーの具体例としては、アクリル酸エステルとして、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー等がある。
メタクリル酸エステルとしては、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ソルビトールトリメタクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ビス〔p−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメチルメタン、ビス−〔p−(メタクリルオキシエトキシ)フェニル〕ジメチルメタン等がある。
イタコン酸エステルとしては、エチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ソルビトールテトライタコネート等がある。
クロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラジクロトネート等がある。
イソクロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート等がある。
マレイン酸エステルとしては、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレート等がある。
その他のエステルの例として、例えば、特公昭46−27926、特公昭51−47334、特開昭57−196231記載の脂肪族アルコール系エステル類や、特開昭59−5240、特開昭59−5241、特開平2−226149記載の芳香族系骨格を有するもの、特開平1−165613記載のアミノ基を含有するもの等も好適に用いられる。更に、前述のエステルモノマーは混合物としても使用することができる。
また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド等がある。その他の好ましいアミド系モノマーの例としては、特公昭54−21726記載のシクロへキシレン構造を有すものを挙げることができる。
また、イソシアネートと水酸基の付加反応を用いて製造されるウレタン系付加重合性化合物も好適であり、そのような具体例としては、例えば、特公昭48−41708号公報中に記載されている1分子に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、下記一般式で示される水酸基を含有するビニルモノマーを付加させた1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げられる。
CH2=C(Ra)COOCH2CH(Rb)OH・・・一般式(b)
(ただし、Ra及びRbは、H又はCH3を示す。)
また、特開昭51−37193号、特公平2−32293号、特公平2−16765号に記載されているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58−49860号、特公昭56−17654号、特公昭62−39417号、特公昭62−39418号記載のエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類も好適である。更に、特開昭63−277653号、特開昭63−260909号、特開平1−105238号に記載される、分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有する付加重合性化合物類を用いることによっては、非常に感光スピードに優れた光重合性組成物を得ることができる。
その他の例としては、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号、各公報に記載されているようなポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタクリレートを挙げることができる。また、特公昭46−43946号、特公平1−40337号、特公平1−40336号記載の特定の不飽和化合物や、特開平2−25493号記載のビニルホスホン酸系化合物等も挙げることができる。また、ある場合には、特開昭61−22048号記載のペルフルオロアルキル基を含有する構造が好適に使用される。更に日本接着協会誌vol.20、No.7、300〜308ページ(1984年)に光硬化性モノマー及びオリゴマーとして紹介されているものも使用することができる。
これらの付加重合性化合物について、その構造、単独使用か併用か、添加量等の使用方法の詳細は、最終的な性能設計にあわせて任意に設定できる。例えば、次のような観点から選択される。感光スピードの点では1分子あたりの不飽和基含量が多い構造が好ましく、多くの場合、2官能以上が好ましい。また、画像部、即ち硬化膜の強度を高くするためには、3官能以上のものがよく、更に、異なる官能数・異なる重合性基(例えば、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン系化合物、ビニルエーテル系化合物)のものを併用することで、感光性と強度の両方を調節する方法も有効である。大きな分子量の化合物や疎水性の高い化合物は、感光スピードや膜強度に優れる反面、現像スピードや現像液中での析出といった点で好ましく無い場合がある。また、感光層組成物中の他の成分(例えば、バインダーポリマー、開始剤、着色剤等)との相溶性、分散性に対しても、付加重合化合物の選択・使用法は重要な要因であり、例えば、低純度化合物の使用や、2種以上の併用により相溶性を向上させ得ることがある。
また、本発明の平版印刷版原版では、後述の支持体や保護層等との密着性を向上せしめる目的で特定の構造を選択することもあり得る。
感光層組成物中の付加重合性化合物の含有量に関しては、感度、相分離の発生、感光層の粘着性、更には、現像液からの析出性の観点から、感光層組成物中の固形分に対して、好ましくは5〜80質量%、更に好ましくは40〜75質量%の範囲で使用される。
また、これらは単独で用いても2種以上併用してもよい。その他、付加重合性化合物の使用法は、酸素に対する重合阻害の大小、解像度、かぶり性、屈折率変化、表面粘着性等の観点から適切な構造、配合、添加量を任意に選択できる。更に、本発明の平版印刷版原版では、下塗り、上塗りといった層構成・塗布方法も実施し得る。
(バインダーポリマー)
本発明に用いられるバインダーポリマーは、膜性向上の観点から含有されるものであって、膜性を向上させる機能を有していれば、種々のものを使用することがすることができる。中でも、本発明において好適なバインダーポリマーとしては、下記一般式(i)で表される繰り返し単位を有するバインダーポリマーである。以下、一般式(i)で表される繰り返し単位を有するバインダーポリマーを、適宜、特定バインダーポリマーと称し、詳細に説明する。
Figure 2007293261
(一般式(i)中、R1は水素原子又はメチル基を表し、R2は炭素原子、水素原子、酸素原子、窒素原子、及び硫黄原子からなる群より選択される2以上の原子を含み構成され、その総原子数が2〜82である連結基を表す。Aは酸素原子又は−NR3−を表し、R3は水素原子又は炭素数1〜10の一価の炭化水素基を表す。nは1〜5の整数を表す。)
まず、一般式(i)におけるR1は、水素原子又はメチル基を表し、特にメチル基が好
ましい。
一般式(i)におけるR2で表される連結基は、炭素原子、水素原子、酸素原子、窒素
原子、及び硫黄原子からなる群より選択される2以上の原子を含み構成され、その総原子数が2〜82であり、好ましくは2〜50であり、より好ましくは2〜30である。ここで示す総原子数は、当該連結基が置換基を有する場合には、その置換基を含めた原子数を指す。より具体的には、R2で表される連結基の主骨格を構成する原子数が、1〜30で
あることが好ましく、3〜25であることがより好ましく、4〜20であることが更に好ましく、5〜10であることが最も好ましい。なお、本発明における「連結基の主骨格」とは、一般式(i)におけるAと末端COOHとを連結するためのみに使用される原子又は原子団を指し、特に、連結経路が複数ある場合には、使用される原子数が最も少ない経路を構成する原子又は原子団を指す。したがって、連結基内に環構造を有する場合、その連結部位(例えば、o−、m−、p−など)により算入されるべき原子数が異なる。
また、より具体的には、アルキレン、置換アルキレン、アリーレン、置換アリーレンなどが挙げられ、これらの2価の基がアミド結合やエステル結合で複数連結された構造を有していてもよい。
鎖状構造の連結基としては、エチレン、プロピレン等が挙げられる。また、これらのアルキレンがエステル結合を介して連結されている構造もまた好ましいものとして例示することができる。
この中でも、一般式(i)におけるR2で表される連結基は、炭素原子数3から30ま
での脂肪族環状構造を有する(n+1)価の炭化水素基であることが好ましい。より具体的には、任意の置換基によって一個以上置換されていてもよいシクロプロパン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロデカン、ジシクロヘキシル、ターシクロヘキシル、ノルボルナン等の脂肪族環状構造を有する化合物を構成する任意の炭素原子上の水素原子を(n+1)個除き、(n+1)価の炭化水素基としたものを挙げることができる。また、R2は、置換基を含めて炭素数3から30であることが好ましい。
脂肪族環状構造を構成する化合物の任意の炭素原子は、窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子から選ばれるヘテロ原子で、一個以上置き換えられていてもよい。耐刷性の点で、R2は縮合多環脂肪族炭化水素、橋架け環脂肪族炭化水素、スピロ脂肪族炭化水素、脂肪族
炭化水素環集合(複数の環が結合又は連結基でつながったもの)等、2個以上の環を含有してなる炭素原子数5から30までの置換基を有していてもよい脂肪族環状構造を有する(n+1)価の炭化水素基であることが好ましい。この場合も炭素数は置換基が有する炭素原子を含めてのものである。
2で表される連結基としては、特に、連結基の主骨格を構成する原子数が5〜10の
ものが好ましく、構造的には、鎖状構造であって、その構造中にエステル結合を有するものや、前記の如き環状構造を有するものが好ましい。
2で表される連結基に導入可能な置換基としては、水素を除く1価の非金属原子団を
挙げることができ、ハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルジチオ基、アリールジチオ基、アミノ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、N−アリールアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、N−アルキル−N−アリールアミノ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、N−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカルバモイルオキシ基、N,N−ジアルキルカルバモイルオキシ基、N,N−ジアリールカルバモイルオキシ基、N−アルキル−N−アリールカルバモイルオキシ基、アルキルスルホキシ基、アリールスルホキシ基、アシルチオ基、アシルアミノ基、N−アルキルアシルアミノ基、N−アリールアシルアミノ基、ウレイド基、N’−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアルキルウレイド基、N’−アリールウレイド基、N’,N’−ジアリールウレイド基、N’−アルキル−N’−アリールウレイド基、N−アルキルウレイド基、N−アリールウレイド基、N’−アルキル−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N−アリールウレイド基、N’,N’−ジアルキル−N−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアルキル−N−アリールウレイド基、N’−アリール−N−アルキルウレイド基、N’−アリール−N−アリールウレイド基、N’,N’−ジアリール−N−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアリール−N−アリールウレイド基、N’−アルキル−N’−アリール−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N’−アリール−N−アリールウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基及びその共役塩基基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N,N−ジアリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホ基(−SO3H)及びその共役塩基基、アルコキシスル
ホニル基、アリーロキシスルホニル基、スルフィナモイル基、N−アルキルスルフィナモイル基、N,N−ジアルキルスルフィナモイル基、N−アリールスルフィナモイル基、N,N−ジアリールスルフィナモイル基、N−アルキル−N−アリールスルフィナモイル基、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N,N−ジアリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモイル基、N−アシルスルファモイル基及びその共役塩基基、N−アルキルスルホニルスルファモイル基(−SO2NHSO2(alkyl))及びその共役塩基基、N−アリールスルホニルスルファモイル基(−SO2NHSO2(aryl))及びその共役塩基基、N−アルキルスルホニルカルバモイル基(−CONHSO2(alkyl))及びその共役塩基基、N−アリールスルホニルカルバモイル基(−CONHSO2(aryl))及びその共役塩基基、アルコキシシリル基(−Si(Oalky
l)3)、アリーロキシシリル基(−Si(Oaryl)3)、ヒドロキシシリル基(−Si(OH)3)及びその共役塩基基、ホスホノ基(−PO32)及びその共役塩基基、ジ
アルキルホスホノ基(−PO3(alkyl)2)、ジアリールホスホノ基(−PO3(a
ryl)2)、アルキルアリールホスホノ基(−PO3(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスホノ基(−PO3H(alkyl))及びその共役塩基基、モノアリール
ホスホノ基(−PO3H(aryl))及びその共役塩基基、ホスホノオキシ基(−OP
32)及びその共役塩基基、ジアルキルホスホノオキシ基(−OPO3(alkyl)2)、ジアリールホスホノオキシ基(−OPO3(aryl)2)、アルキルアリールホスホノオキシ基(−OPO3(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスホノオキシ基
(−OPO3H(alkyl))及びその共役塩基基、モノアリールホスホノオキシ基(
−OPO3H(aryl))及びその共役塩基基、シアノ基、ニトロ基、ジアルキルボリ
ル基(−B(alkyl)2)、ジアリールボリル基(−B(aryl)2)、アルキルアリールボリル基(−B(alkyl)(aryl))、ジヒドロキシボリル基(−B(OH)2)及びその共役塩基基、アルキルヒドロキシボリル基(−B(alkyl)(OH
))及びその共役塩基基、アリールヒドロキシボリル基(−B(aryl)(OH))及びその共役塩基基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基が挙げられる。
本発明の平版印刷版原版では、感光層の設計にもよるが、水素結合可能な水素原子を有する置換基や、特に、カルボン酸よりも酸解離定数(pKa)が小さい酸性を有する置換基は、耐刷性を下げる傾向にあるので好ましくない。一方、ハロゲン原子や、炭化水素基(アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基)、アルコキシ基、アリーロキシ基などの疎水性置換基は、耐刷を向上する傾向にあるのでより好ましく、特に、環状構造がシクロペンタンやシクロヘキサン等の6員環以下の単環脂肪族炭化水素である場合には、このような疎水性の置換基を有していることが好ましい。これら置換基は可能であるならば、置換基同士、又は置換している炭化水素基と結合して環を形成してもよく、置換基は更に置換されていてもよい。
一般式(i)におけるAがNR3−である場合のR3は、水素原子又は炭素数1〜10の一価の炭化水素基を表す。このR3で表される炭素数1〜10までの一価の炭化水素基と
しては、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基が挙げられる。
アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、へプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1−アダマンチル基、2−ノルボルニル基等の炭素数1〜10までの直鎖状、分枝状、又は環状のアルキル基が挙げられる。
アリール基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基、インデニル基等の炭素数1〜10までのアリール基、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群から選ばれるヘテロ原子を1個含有する炭素数1〜10までのヘテロアリール基、例えば、フリル基、チエニル基、ピロリル基、ピリジル基、キノリル基等が挙げられる。
アルケニル基の具体例としては、ビニル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、1−メチル−1−プロペニル基、1−シクロペンテニル基、1−シクロヘキセニル基等の炭素数1〜10までの直鎖状、分枝状、又は環状のアルケニル基が挙げられる。
アルキニル基の具体例としては、エチニル基、1−プロピニル基、1−ブチニル基、1−オクチニル基等の炭素数1〜10までのアルキニル基が挙げられる。R3が有してもよ
い置換基としては、R2が導入し得る置換基として挙げたものと同様である。但し、R3の炭素数は、置換基の炭素数を含めて1〜10である。
一般式(i)におけるAは、合成が容易であることから、酸素原子又は−NH−であることが好ましい。
一般式(i)におけるnは、1〜5の整数を表し、耐刷の点で好ましくは1である。
以下に、一般式(i)で表される繰り返し単位の好ましい具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2007293261
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一般式(i)で表される繰り返し単位は、バインダーポリマー中に1種類だけであってもよいし、2種類以上含有していてもよい。本発明における特定バインダーポリマーは、一般式(i)で表される繰り返し単位だけからなるポリマーであってもよいが、通常、他の共重合成分と組み合わされ、コポリマーとして使用される。コポリマーにおける一般式(i)で表される繰り返し単位の総含有量は、その構造や、感光層組成物の設計等によって適宜決められるが、好ましくはポリマー成分の総モル量に対し、1〜99モル%、より好ましくは5〜40モル%、更に好ましくは5〜20モル%の範囲で含有される。
コポリマーとして用いる場合の共重合成分としては、ラジカル重合可能なモノマーであれば従来公知のものを制限なく使用できる。具体的には、「高分子データハンドブック−基礎編−(高分子学会編、培風館、1986)」記載のモノマー類が挙げられる。このような共重合成分は1種類であってもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明における特定バインダーポリマーの分子量は、画像形成性や耐刷性の観点から適宜決定される。好ましい分子量としては、2,000〜1,000,000、より好ましくは5,000〜500,000、更に好ましくは10,000〜200,000の範囲である。
本発明おいて用いられるバインダーポリマーは、特定バインダーポリマー単独であってもよいし、他のバインダーポリマーを1種以上併用して、混合物として用いてもよい。併用されるバインダーポリマーは、バインダーポリマー成分の総質量に対し1〜60質量%、好ましくは1〜40質量%、更に好ましくは1〜20質量%の範囲で用いられる。併用できるバインダーポリマーとしては、従来公知のものを制限なく使用でき、具体的には、本業界においてよく使用されるアクリル主鎖バインダーや、ウレタンバインダー等が好ましく用いられる。
感光層における特定バインダーポリマー及び併用してもよいバインダーポリマーの合計量は、適宜決めることができるが、感光層を構成する固形分の総質量に対し、通常、10〜90質量%であり、好ましくは20〜80質量%、更に好ましくは30〜70質量%の範囲である。
また、このようなバインダーポリマーの酸価(meg/g)としては、2.00〜3.60の範囲であることが好ましい。
−併用可能な他のバインダーポリマー−
前記特定バインダーポリマーと併用可能な他のバインダーポリマーは、ラジカル重合性基を有するバインダーポリマーであることが好ましい。
そのラジカル重合性基としては、ラジカルにより重合することが可能であれば特に限定されないが、α−置換メチルアクリル基[−OC(=O)−C(−CH2Z)=CH2、Z=ヘテロ原子から始まる炭化水素基]、アクリル基、メタクリル基、アリル基、スチリル基が挙げられ、この中でも、アクリル基、メタクリル基が好ましい。
かかるバインダーポリマー中のラジカル重合性基の含有量(ヨウ素滴定によるラジカル重合可能な不飽和二重結合の含有量)は、感度や保存性の観点から、バインダーポリマー1g当たり、好ましくは0.1〜10.0mmol、より好ましくは1.0〜7.0mmol、最も好ましくは2.0〜5.5mmolである。
また、併用可能な他のバインダーポリマーは、更に、アルカリ可溶性基を有するものが好ましい。バインダーポリマー中のアルカリ可溶性基の含有量(中和滴定による酸価)は、現像カスの析出性や耐刷性の観点から、バインダーポリマー1g当たり、好ましくは0.1〜3.0mmol、より好ましくは0.2〜2.0mmol、最も好ましくは0.45〜1.0mmolである。
このようなバインダーポリマーの重量平均分子量は、皮膜性(耐刷性)や、塗布溶剤への溶解性の観点から、好ましくは2,000〜1,000,000、より好ましくは10,000〜300,000、最も好ましくは20,000〜200,000の範囲である。
また、このようなバインダーポリマーのガラス転移点(Tg)は、保存安定性、耐刷性、及び感度の観点から、好ましくは70〜300℃、より好ましくは80〜250℃、最も好ましくは90〜200℃の範囲である。
バインダーポリマーのガラス転移点を高めるため手段としては、その分子中に、アミド基やイミド基を含有することが好ましく、特に、メタクリルアミドやメタクリルアミド誘導体を含有することが好ましい。
(その他の成分)
本発明に係る感光層には、以上の基本成分の他に、更にその用途、製造方法等に適したその他の成分を適宜添加することができる。以下、好ましい添加剤に関し例示する。
−着色剤−
本発明に係る感光層には、その着色を目的として、染料若しくは顔料を添加してもよい。これにより、印刷版としての製版後の画像の視認性や、画像濃度測定機適性といったいわゆる検版性を向上させることができる。着色剤としては、具体例としては、例えば、フタロシアニン系顔料、アゾ系顔料、カーボンブラック、酸化チタンなどの顔料、エチルバイオレット、クリスタルバイオレット、アゾ系染料、アントラキノン系染料、シアニン系染料などの染料があり、中でも、カチオン性染料が好ましい。
着色剤としての染料及び顔料の添加量は、全感光層組成物中の不揮発性成分に対して約0.5質量%〜約5質量%が好ましい。
−重合禁止剤−
本発明に係る感光層においては、重合可能なエチレン性不飽和二重結合を有する化合物、即ち、重合性化合物の不要な熱重合を阻止するために少量の熱重合禁止剤を添加することが望ましい。適当な熱重合禁止剤としてはハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミン第一セリウム塩等が挙げられる。熱重合禁止剤の添加量は、感光層組成物中の不揮発性成分の質量に対して約0.01質量%〜約5質量%が好ましい。また必要に応じて、酸素による重合阻害を防止するためにベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体等を添加して、塗布後の乾燥の過程で層の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸誘導体の添加量は、感光層組成物中の不揮発性成分に対して約0.5質量%〜約10質量%が好ましい。
−その他の添加剤−
更に、本発明に係る感光層には、硬化皮膜の物性を改良するための無機充填剤や、その他可塑剤、感光層表面のインク着肉性を向上させ得る感脂化剤等の公知の添加剤を加えてもよい。可塑剤としては、例えば、ジオクチルフタレート、ジドデシルフタレート、トリエチレングリコールジカプリレート、ジメチルグリコールフタレート、トリクレジルホスフェート、ジオクチルアジペート、ジブチルセバケート、トリアセチルグリセリン等があり、バインダーポリマーと付加重合性化合物との合計質量に対し一般的に10質量%以下の範囲で添加することができる。
また、本発明に係る感光層において、後述する膜強度(耐刷性)向上を目的とした、現像後の加熱・露光の効果を強化するために、UV開始剤や、熱架橋剤等の添加も行うことができる。
<支持体>
本発明における支持体には、後述のような親水化処理が施されたものが用いられる。このような支持体としては、紙、ポリエステルフィルム又はアルミニウム板が挙げられ、その中でも、寸法安定性がよく、比較的安価であり、必要に応じた表面処理により親水性や強度にすぐれた表面を提供できるアルミニウム板は更に好ましい。また、特公昭48−18327号公報に記載されているようなポリエチレンテレフタレートフィルム上にアルミニウムシートが結合された複合体シートも好ましい。
本発明において最も好適な支持体としてのアルミニウム板とは、寸度的に安定なアルミニウムを主成分とする金属板であり、純アルミニウム板の他、アルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合金板、又はアルミニウム(合金)がラミネート若しくは蒸着されたプラスチックフィルム又は紙の中から選ばれる。以下の説明において、上記に挙げたアルミニウム又はアルミニウム合金からなる支持体をアルミニウム支持体と総称して用いる。前記アルミニウム合金に含まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタンなどがあり、合金中の異元素の含有量は10質量%以下である。本発明では純アルミニウム板が好適であるが、完全に純粋なアルミニウムは精錬技術上製造が困難であるので、僅かに異元素を含有するものでもよい。このように本発明に適用されるアルミニウム板は、その組成が特定されるものではなく、従来より公知公用の素材のもの、例えば、JIS A 1050、JIS A 1100、JIS A 3103、JIS A 3005などを適宜利用することができる。
また、本発明に用いられるアルミニウム支持体の厚みは、およそ0.1mm〜0.6mm程度である。この厚みは印刷機の大きさ、印刷版の大きさ及びユーザーの希望により適宜変更することができる。
このようなアルミニウム支持体には、後述の表面処理が施され、親水化される。
(粗面化処理)
粗面化処理方法は、特開昭56−28893号公報に開示されているような機械的粗面化、化学的エッチング、電解グレインなどがある。更に塩酸又は硝酸電解液中で電気化学的に粗面化する電気化学的粗面化方法、及びアルミニウム表面を金属ワイヤーでひっかくワイヤーブラシグレイン法、研磨球と研磨剤でアルミニウム表面を砂目立でするポールグレイン法、ナイロンブラシと研磨剤で表面を粗面化するブラシグレイン法のような機械的粗面化法を用いることができ、上記粗面化方法を単独或いは組み合わせて用いることもできる。その中でも粗面化に有用に使用される方法は塩酸又は硝酸電解液中で化学的に粗面化する電気化学的方法であり、適する陽極時電気量は50C/dm2〜400C/dm2の範囲である。更に具体的には、0.1〜50%の塩酸又は硝酸を含む電解液中、温度20〜80℃、時間1秒〜30分、電流密度100C/dm2〜400C/dm2の条件で交流及び/又は直流電解を行うことが好ましい。
このように粗面化処理したアルミニウム支持体は、酸又はアルカリにより化学的にエッチングされてもよい。好適に用いられるエッチング剤は、苛性ソーダ、炭酸ソーダ、アルミン酸ソーダ、メタケイ酸ソーダ、リン酸ソーダ、水酸化カリウム、水酸化リチウム等であり、濃度と温度の好ましい範囲はそれぞれ1〜50%、20〜100℃である。エッチングのあと表面に残留する汚れ(スマット)を除去するために酸洗いが行われる。用いられる酸は硝酸、硫酸、リン酸、クロム酸、フッ酸、ホウフッ化水素酸等が用いられる。特に電気化学的粗面化処理後のスマット除去処理方法としては、好ましくは特開昭53−12739号公報に記載されているような50〜90℃の温度の15〜65質量%の硫酸と接触させる方法及び特公昭48−28123号公報に記載されているアルカリエッチングする方法が挙げられる。以上のように処理された後、処理面の表面粗さRaが0.2〜0.5μm程度であれば、特に、方法、条件は限定しない。
(陽極酸化処理)
以上のようにして処理され酸化物層を形成したアルミニウム支持体には、その後に陽極酸化処理がなされる。
陽極酸化処理は硫酸、燐酸、シュウ酸若しくは硼酸/硼酸ナトリウムの水溶液が単独若しくは複数種類組み合わせて電解浴の主成分として用いられる。この際、電解液中に少なくともAl合金板、電極、水道水、地下水等に通常含まれる成分はもちろん含まれても構わない。更には第2、第3成分が添加されていても構わない。ここでいう第2、3成分とは、例えば、Na、K、Mg、Li、Ca、Ti、Al、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn等の金属のイオンやアンモニウムイオン等に陽イオンや、硝酸イオン、炭酸イオン、塩素イオン、リン酸イオン、フッ素イオン、亜硫酸イオン、チタン酸イオン、ケイ酸イオン、硼酸イオン等の陰イオンが挙げられ、その濃度としては0〜10000ppm程度含まれてもよい。陽極酸化処理の条件に特に限定はないが、好ましくは30〜500g/リットル、処理液温10〜70℃で、電流密度0.1〜40A/m2の範囲で
直流又は交流電解によって処理される。形成される陽極酸化皮膜の厚さは0.5〜1.5μmの範囲である。好ましくは0.5〜1.0μmの範囲である。以上の処理によって作製された支持体が、陽極酸化皮膜に存在するマイクロポアのポア径が5〜10nm、ポア密度が8×1015〜2×1016個/m2の範囲に入るように処理条件が選択されることが
好ましい。
前記支持体表面の親水化処理としては、広く公知の方法が適用できる。特に好ましい処理としては、シリケート又はポリビニルホスホン酸等による親水化処理が施される。皮膜はSi、又はP元素量として2〜40mg/m2、より好ましくは4〜30mg/m2で形成される。塗布量はケイ光X線分析法により測定できる。
上記の親水化処理は、アルカリ金属ケイ酸塩、又はポリビニルホスホン酸が1〜30質量%、好ましくは2〜15質量%であり、25℃のpHが10〜13である水溶液に、陽極酸化皮膜が形成されたアルミニウム支持体を、例えば、15〜80℃で0.5〜120秒浸漬することにより実施される。
前記親水化処理に用いられるアルカリ金属ケイ酸塩としては、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸リチウムなどが使用される。アルカリ金属ケイ酸塩水溶液のpHを高くするために使用される水酸化物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどがある。なお、上記の処理液にアルカリ土類金属塩若しくは第IVB族金属塩を配合してもよい。アルカリ土類金属塩としては、硝酸カルシウム、硝酸ストロンチウム、硝酸マグネシウム、硝酸バリウムのような硝酸塩や、硫酸塩、塩酸塩、リン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、ホウ酸塩などの水溶性の塩が挙げられる。第IVB族金属塩としては、四塩化チタン、三塩化チタン、フッ化チタンカリウム、シュウ酸チタンカリウム、硫酸チタン、四ヨウ化チタン、塩化酸化ジルコニウム、二酸化ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウム、四塩化ジルコニウムなどを挙げることができる。
アルカリ土類金属塩若しくは、第IVB族金属塩は、単独又は2種以上組み合わせて使用することができる。これらの金属塩の好ましい範囲は0.01〜10質量%であり、更に好ましい範囲は0.05〜5.0質量%である。また、米国特許第3,658,662号明細書に記載されているようなシリケート電着も有効である。特公昭46−27481号、特開昭52−58602号、特開昭52−30503号に開示されているような電解グレインを施した支持体と、上記陽極酸化処理及び親水化処理を組合せた表面処理も有用である。
<下塗り層>
本発明に係る平版印刷版原版には、感光層と支持体との間の密着性や汚れ性を改善する目的で、中間層(下塗り層)を設けてもよい。このような中間層の具体例としては、特公昭50−7481号、特開昭54−72104号、特開昭59−101651号、特開昭60−149491号、特開昭60−232998号、特開平3−56177号、特開平4−282637号、特開平5−16558号、特開平5−246171号、特開平7−159983号、特開平7−314937号、特開平8−202025号、特開平8−320551号、特開平9−34104号、特開平9−236911号、特開平9−269593号、特開平10−69092号、特開平10−115931号、特開平10−161317号、特開平10−260536号、特開平10−282682号、特開平11−84674号、特開平10−69092号、特開平10−115931号、特開平11−38635号、特開平11−38629号、特開平10−282645号、特開平10−301262号、特開平11−24277号、特開平11−109641号、特開平10−319600号、特開平11−84674号、特開平11−327152号、特開2000−10292号、特開2000−235254号、特開2000−352854号、特開2001−209170号、特願平11−284091号等に記載のものを挙げることができる。
〔平版印刷版原版の作製〕
本発明の平版印刷版原版は、支持体上に、感光層と保護層とをこの順に設け、更に必要に応じて、下塗り層等を設けてなる。かかる平版印刷版原版は、上述の各種成分を含む塗布液を、それぞれ、適当な溶媒に溶かして、支持体上に、順次塗布することにより製造することができる。
感光層を塗設する際には、前記感光層成分を種々の有機溶剤に溶かして、感光層塗布液とし、支持体又は下塗り層上に塗布される。
ここで使用する溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、エチレンジクロライド、テトラヒドロフラン、トルエン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、アセチルアセトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、3−メトキシプロパノール、メトキシメトキシエタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、乳酸メチル、乳酸エチルなどがある。これらの溶媒は、単独或いは混合して使用することができる。そして、感光層塗布液中の固形分の濃度は、2〜50質量%が適当である。
前記感光層の被覆量は、主に、感光層の感度、現像性、露光膜の強度・耐刷性に影響し得るもので、用途に応じ適宜選択することが望ましい。被覆量が少なすぎる場合には、耐刷性が十分でなくなる。一方多すぎる場合には、感度が下がり、露光に時間がかかる上、現像処理にもより長い時間を要するため好ましくない。走査露光用平版印刷版原版としては、その被覆量は乾燥後の質量で約0.1g/m2〜約10g/m2の範囲が適当である。より好ましくは0.5〜5g/m2である。
<製版方法>
以下、本発明の平版印刷版原版を製版する方法について説明する。
本発明に係る製版方法は、上述の本発明の平版印刷版原版を、保護層とアルミニウム支持体裏面とを直接接触させて複数枚積層してなる積層体を、プレートセッター内にセットし、該平版印刷版原版を1枚づつ自動搬送した後に、750nm〜1400nmの波長で露光処理した後、実質的に加熱処理を経ることなく、搬送速度が1.25m/分以上の条件にて現像処理を行なうことが好ましい。
上述の本発明の平版印刷版原版は、中間に合紙を挟み込むことなく積層しても、平版印刷版原版の間の密着性や、保護層へのキズの発生が抑制されるため、上記のような製版方法に適用することができる。
本発明の平版印刷版の製版方法によれば、平版印刷版原版を合紙を挟み込むことなく積層した積層体を用いることから、合紙の除去が不必要となり、製版工程における生産性が向上する。
この製版方法は、上述した本発明の平版印刷版原版の製版にも好適であることはいうまでもないが、少なくとも、赤外線吸収剤、重合開始剤、及び重合性化合物を含有し、750nm〜1400nmの波長の露光によりアルカリ現像液に対する溶解性が低下する重合性ネガ型感光層を備えた平版印刷版原版のいずれにも好適に適用できる。具体的には、本発明に係る平版印刷版原版の感光層を構成する各成分の欄で説明した「赤外線吸収剤、重合開始剤、及び重合性化合物」の各成分を含有する感光層であればよく、バインダーポリマーとしては公知のものを含んでいてもよいし、含まなくてもかまわない。
また、このような製版方法が適用される感光層としては、pH10〜13.5のアルカリ現像液に対する未露光部の現像速度が80nm/sec以上、かつ、該アルカリ現像液の露光部での浸透速度が50nF/sec以下である物性を有することが好ましい。この感光層の未露光部の現像速度や硬化後の感光層に対するアルカリ現像液の浸透速度の測定方法は、本出願人が先に出願した特願2004−248535号明細書に記載された方法を用いることができる。感光層の未露光部の現像速度や硬化後の感光層に対するアルカリ現像液の浸透速度の制御は、常法により行うことができるが、代表的なものとしては、前記特定バインダーポリマーを使用する方法の他、未露光部の現像速度の向上には、親水性の化合物の添加が有用であり、露光部への現像液浸透抑制には、疎水性の化合物の添加手段が有用である。
〔露光〕
本発明における露光処理に用いられる光源としては、750nm〜1400nmの波長で露光し得るものが好ましく、赤外線レーザーが好適なものとして挙げられる。
中でも、本発明においては、750nm〜1400nmの波長の赤外線を放射する固体レーザー及び半導体レーザーにより画像露光されることが好ましい。レーザーの出力は100mW以上が好ましく、露光時間を短縮するため、マルチビームレーザデバイスを用いることが好ましい。また、1画素あたりの露光時間は20μ秒以内であることが好ましい。平版印刷版原版に照射されるエネルギーは10〜300mJ/cm2であ
ることが好ましい。露光のエネルギーが低すぎると感光層の硬化が充分に進行しない。また、露光のエネルギーが高すぎると感光層がレーザーアブレーションされ、画像が損傷することがある。
本発明における露光処理では、光源の光ビームをオーバーラップさせて露光することができる。オーバーラップとは副走査ピッチ幅がビーム径より小さいことをいう。オーバーラップは、例えば、ビーム径をビーム強度の半値幅(FWHM)で表わしたとき、FWHM/副走査ピッチ幅(オーバーラップ係数)で定量的に表現することができる。本発明ではこのオーバーラップ係数が0.1以上であることが好ましい。
本発明に使用する露光装置の光源の走査方式は特に限定はなく、円筒外面走査方式、円筒内面走査方式、平面走査方式などを用いることができる。また、光源のチャンネルは単チャンネルでもマルチチャンネルでもよいが、円筒外面方式の場合にはマルチチャンネルが好ましく用いられる。
本発明においては、上述のように、露光処理された平版印刷版原版は、特段の加熱処理及び水洗処理を行なうことなく、現像処理に供される。この加熱処理を行なわないことで、加熱処理に起因する画像の不均一性を抑制することができる。また、加熱処理及び水洗処理を行なわないことで、現像処理において安定な高速処理が可能となる。
〔現像〕
本発明における現像処理では、現像液を用いて、感光層の非画像部を除去する。
なお、本発明においては、上述のように、現像処理における処理速度、即ち、現像処理における平版印刷版原版の搬送速度(ライン速度)は、1.25m/分以上であることを要し、より好ましくは、1.35m/分以上である。また、搬送速度の上限値には特に制限はないが、搬送の安定性の観点からは、3m/分以下であることが好ましい。
以下、本発明に用いられる現像液について説明する。
(現像液)
本発明に用いられる現像液は、pH14以下のアルカリ水溶液であることが好ましく、また、芳香族アニオン界面活性剤を含有することが好ましい。
(芳香族アニオン界面活性剤)
本発明における現像液に用いられる芳香族アニオン界面活性剤は、現像促進効果、重合性ネガ型の感光層成分及び保護層成分の現像液中での分散安定化効果があり、現像処理安定化において好ましい。中でも、本発明に用いられる芳香族アニオン界面活性剤としては、下記一般式(A)又は一般式(B)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2007293261
上記一般式(A)又は一般式(B)において、R1、R3は、それぞれ独立に、直鎖又は分岐鎖の炭素原子数1〜5のアルキレン基を表し、具体的には、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基等が挙げられ、中でも、エチレン基、プロピレン基が特に好ましい。
m、nは、それぞれ独立に、1〜100から選択される整数を表し、中でも、1〜30が好ましく、2〜20がより好ましい。また、mが2以上の場合、複数存在するR1は同
一でも異なっていてもよい。同じく、nが2以上の場合、複数存在するR3は同一でも異
なっていてもよい。
t、uは、それぞれ独立に、0又は1を表す。
2、R4は、それぞれ独立に、直鎖又は分岐鎖の炭素数1〜20のアルキル基を表し、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、ドデシル基等が挙げられ、中でも、メチル基、エチル基、iso−プロピル基、n−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基が特に好ましい。
p、qはそれぞれ、0〜2から選択される整数を表す。Y1、Y2は、それぞれ単結合、又は炭素原子数1〜10のアルキレン基を表し、具体的には、単結合、メチレン基、エチレン基が好ましく、特に単結合が好ましい。
(Z1r+、(Z2s+は、それぞれ独立に、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、或いは、無置換又はアルキル基で置換されたアンモニウムイオンを表し、具体例としては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、アンモニウムイオン、炭素数1〜20の範囲の、アルキル基、アリール基、又はアラルキル基が置換した2級〜4級のアンモニウムイオンなどが挙げられ、特に、ナトリウムイオンが好ましい。r、sはそれぞれ、1又は2を表す。
以下に、具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2007293261
Figure 2007293261
これら芳香族アニオン界面活性剤は、単独で使用してもよいし、2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。芳香族アニオン界面活性剤の添加量は、現像液中における芳香族アニオン界面活性剤の濃度が1.0〜10質量%の範囲とすることが好ましく、より好ましくは2〜10質量%の範囲とすることが効果的である。ここで、含有量が1.0質量%以下であると、現像性低下及び感光層成分の溶解性低下を招き、含有量が10質量%以上であると、印刷版の耐刷性を低下させる。
本発明に係る現像液には、前記芳香族アニオン界面活性剤以外に、その他の界面活性剤を併用してもよい。その他の界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンナフチルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンステアレート等のポリオキシエチレンアルキルエステル類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンジステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート等のソルビタンアルキルエステル類、グリセロールモノステアレート、グリセロールモノオレート等のモノグリセリドアルキルエステル類等のノニオン界面活性剤である。
これらその他の界面活性剤の現像液中における含有量は有効成分換算で、0.1から10質量%が好ましい。
(2価金属に対するキレート剤)
本発明に係る現像液には、例えば、硬水に含まれるカルシウムイオンなどによる影響を抑制する目的で、2価金属に対するキレート剤を含有させることが好ましい。2価金属に対するキレート剤としては、例えば、Na227、Na533、Na339、Na24P(NaO3P)PO3Na2、カルゴン(ポリメタリン酸ナトリウム)などのポリリン酸塩、例えばエチレンジアミンテトラ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩、そのアミン塩;ジエチレントリアミンペンタ酢酸、そのカリウム塩、ナトリウム塩;トリエチレンテトラミンヘキサ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;ヒドロキシエチルエチレンジアミントリ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;ニトリロトリ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;1,2−ジアミノシクロヘキサンテトラ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;1,3−ジアミノ−2−プロパノールテトラ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩などのようなアミノポリカルボン酸類の他2−ホスホノブタントリカルボン酸−1,2,4、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;2−ホスホノブタノントリカルボン酸−2,3,4、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;1−ホスホノエタントリカルボン酸−1,2、2、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩;アミノトリ(メチレンホスホン酸)、そのカリウム塩、そのナトリウム塩などのような有機ホスホン酸類を挙げることができ、中でも、エチレンジアミンテトラ酢酸、そのカリウム塩、そのナトリウム塩、そのアミン塩;エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、そのアンモニウム塩、そのカリウム塩、;ヘキサメチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、そのアンモニウム塩、そのカリウム塩が好ましい。
このようなキレート剤の最適量は使用される硬水の硬度及びその使用量に応じて変化するが、一般的には、使用時の現像液中に0.01〜5質量%、より好ましくは0.01〜0.5質量%の範囲で含有させる。
また、本発明に係る現像液には、現像調整剤として有機酸のアルカリ金属塩類、無機酸のアルカリ金属塩類を加えてもよい。例えば、炭酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、クエン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウムなどを単独若しくは2種以上を組み合わせて混合して用いてもよい。
(アルカリ剤)
本発明に係る現像液に用いられるアルカリ剤としては、例えば、第3リン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、硼酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、水酸化ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、及び同リチウムなどの無機アルカリ剤及び、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジアミン、ピリジン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドなどの有機アルカリ剤等が挙げられる。本発明においては、これらを単独で用いてもよいし、若しくは2種以上を組み合わせて混合して用いてもよい。
また、上記以外のアルカリ剤として、アルカリ珪酸塩を挙げることができる。アルカリ珪酸塩は塩基と組み合わせて使用してもよい。使用するアルカリ珪酸塩としては、水に溶解したときにアルカリ性を示すものであって、例えば珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、珪酸リチウム、珪酸アンモニウムなどがある。これらのアルカリ珪酸塩は1種単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明に用いられる現像液は、支持体の親水化成分としての珪酸塩の成分である酸化ケイ素SiO2と、アルカリ成分としてのアルカリ酸化物M2O(Mはアルカリ金属又はアンモニウム基を表す)との混合比率、及び濃度の調整により、最適な範囲に容易に調節することができる。酸化ケイ素SiO2とアルカリ酸化物M2Oとの混合比率(SiO2/M2Oのモル比)は、支持体の陽極酸化皮膜が過度に溶解(エッチング)されることに起因する放置汚れや、溶解アルミニウムと珪酸塩との錯体形成に起因する不溶性ガスの発生を抑制するといった観点から、好ましくは0.75〜4.0の範囲であり、より好ましくは0.75〜3.5の範囲で使用される。
また、現像液中のアルカリ珪酸塩の濃度としては、支持体の陽極酸化皮膜の溶解(エッチング)抑制効果、現像性、沈殿や結晶生成の抑制効果、及び廃液時における中和の際のゲル化防止効果などの観点から、現像液の質量に対して、SiO2量として、0.01〜
1mol/Lが好ましく、より好ましくは0.05〜0.8mol/Lの範囲で使用される。
本発明において使用される現像液には、上記の成分の他に、必要に応じて以下のような成分を併用することができる。例えば、安息香酸、フタル酸、p−エチル安息香酸、p−n−プロピル安息香酸、p−イソプロピル安息香酸、p−n−ブチル安息香酸、p−t−ブチル安息香酸、p−t−ブチル安息香酸、p−2−ヒドロキシエチル安息香酸、デカン酸、サリチル酸、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸等の有機カルボン酸;プロピレングリコール等の有機溶剤;この他、還元剤、染料、顔料、硬水軟化剤、防腐剤等が挙げられる。
本発明に用いられる現像液は、25℃におけるpHが10〜12.5の範囲であることが好ましく、pH11〜12.5の範囲であることがより好ましい。本発明における現像液は、前記界面活性剤を含むため、このような低pHの現像液を用いても、非画像部において優れた現像性を発現する。このように、現像液のpHを比較的低い値とすることにより、現像時における画像部へのダメージを軽減するとともに、現像液の取扱い性にも優れる。
また、該現像液の導電率xは、2<x<30mS/cmであることが好ましく、5〜25mS/cmであることがより好ましい。
ここで、導電率を調整するための導電率調整剤として、有機酸のアルカリ金属塩類、無機酸のアルカリ金属塩類等を添加することが好ましい。
上記の現像液は、露光された平版印刷版原版の現像液及び現像補充液として用いることができ、自動現像機に適用することが好ましい。自動現像機を用いて現像する場合、処理量に応じて現像液が疲労してくるので、補充液又は新鮮な現像液を用いて処理能力を回復させてもよい。本発明の製版方法においてもこの補充方式が好ましく適用される。
更に、自動現像機を用いて、現像液の処理能力を回復させるためには、米国特許第4,882,246号に記載されている方法で補充することが好ましい。また、特開昭50−26601号、同58−54341号、特公昭56−39464号、同56−42860号、同57−7427号の各公報に記載されている現像液も好ましい。
本発明のより好ましい現像補充液は、アルミニウムイオンと水溶性キレート化合物形成能を有するオキシカルボン酸キレート剤と、アルカリ金属の水酸化物と、界面活性剤とを含有し、ケイ酸塩を含有せず、pH11〜13.5の水溶液であることを特徴とする現像補充液である。このような現像補充液を使用することにより、優れた現像性と平版印刷版の画像部の強度を損なうことがなく、現像液のアルカリによりアルミニウム支持体が溶出され、それにより形成する水酸化アルミニウムの析出が効果的に抑制される。その結果、自動現像機の現像浴ローラー表面への水酸化アルミニウムを主成分とする汚れの付着や、引き続く水洗浴内への水酸化アルミニウム析出物の蓄積が低減され、長期間安定に処理することができる。
このようにして現像処理された平版印刷版原版は、特開昭54−8002号、同55−115045号、同59−58431号等の各公報に記載されているように、水洗水、界面活性剤等を含有するリンス液、アラビアガムや澱粉誘導体等を含む不感脂化液で後処理される。本発明に係る平版印刷版原版の後処理にはこれらの処理を種々組み合わせて用いることができる。このような処理によって得られた平版印刷版はオフセット印刷機に掛けられ、多数枚の印刷に用いられる。
本発明に係る製版方法においては、画像強度・耐刷性の向上を目的として、現像後の画像に対し、全面後加熱若しくは、全面露光を行うこともできる。
現像後の加熱には非常に強い条件を利用することができる。通常は加熱温度が200〜500℃の範囲で実施される。現像後の加熱温度が低いと充分な画像強化作用が得られず、高すぎる場合には支持体の劣化、画像部の熱分解といった問題を生じるおそれがある。
以上の処理によって得られた平版印刷版はオフセット印刷機に掛けられ、多数枚の印刷に用いられる。
印刷時、版上の汚れ除去のため使用するプレートクリーナーとしては、従来より知られているPS版用プレートクリーナーが使用され、例えば、マルチクリーナー、CL−1、CL−2、CP、CN−4、CN、CG−1、PC−1、SR、IC(富士写真フイルム株式会社製)等が挙げられる。
以下、実施例によって本発明を説明するが本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、以下の実施例においては、本発明の感光性記録材料として、その好適な態様である感光性平版印刷版原版を作製しその評価を行う。
〔実施例1−1〕
(支持体の作製)
厚さ0.30mm、幅1030mmのJIS A 1050アルミニウム板を用いて、以下に示す表面処理を行った。
<表面処理>
表面処理は、以下の(a)〜(f)の各種処理を連続的に行った。なお、各処理及び水洗の後にはニップローラで液切りを行った。
(a)アルミニウム板を苛性ソーダ濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%、温度70℃でエッチング処理を行い、アルミニウム板を5g/m2溶解した。その後水洗を行った。
(b)温度30℃の硝酸濃度1質量%水溶液(アルミニウムイオン0.5質量%含む)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後水洗した。
(c)60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。この時の電解液は、硝酸1質量%水溶液(アルミニウムイオン0.5質量%、アンモニウムイオン0.007質量%含む)、温度30℃であった。交流電源は電流値がゼロからピークに達するまでの時間TPが2msec、duty比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。電流密度は電流のピーク値で25A/dm2、電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で250C/cm2であった。補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。その後水洗を行った。
(d)アルミニウム板を苛性ソーダ濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%でスプレーによるエッチング処理を35℃で行い、アルミニウム板を0.2g/m2溶解し、前段の交流を用いて電気化学的な粗面化を行ったときに生成した水酸化アルミニウムを主体とするスマット成分の除去と、生成したピットのエッジ部分を溶解し、エッジ部分を滑らかにした。その後水洗した。
(e)温度60℃の硫酸濃度25質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後スプレーによる水洗を行った。
(f)硫酸濃度170g/リットル(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)、温度33℃、電流密度が5(A/dm2)で、50秒間陽極酸化処理を行った。その後水洗を行った。この時の陽極酸化皮膜重量が2.7g/m2であった。
このようにして得られたアルミニウム支持体の表面粗さRaは0.27(測定機器;東京精密(株)製サーフコム、蝕針先端径2ミクロンメーター)であった。
(下塗り層)
次に、このアルミニウム支持体に下記下塗り層用塗布液をワイヤーバーにて塗布し、90℃30秒間乾燥した。塗布量は10mg/m2であった。
<下塗り層用塗布液>
・下記構造の高分子化合物A(重量平均分子量:10000) 0.05g
・メタノール 27g
・イオン交換水 3g
Figure 2007293261
(感光層)
次に、下記感光層塗布液[P1−1]を調製し、上記のアルミニウム支持体にワイヤーバーを用いて塗布した。乾燥は、温風式乾燥装置にて115℃で34秒間行い、平版印刷版原版を得た。乾燥後の被覆量は1.4g/m2であった。
<感光層塗布液[P1−1]>
・赤外線吸収剤(IR−1) 0.25質量%
・重合開始剤(OS−1) 0.92質量%
・重合開始剤(OS−2) 0.29質量%
・添加剤(PM−1) 0.50質量%
・添加剤(PM−2) 0.22質量%
・添加剤(PM−3) 0.20質量%
・重合性化合物(AM−1) 3.14質量%
・特定バインダーポリマー(BT−1) 2.40質量%
・特定バインダーポリマー(BT−2) 1.60質量%
・エチルバイオレット(C−1) 0.13質量%
・フッ素系界面活性剤 0.05質量%
(メガファックF−780−F 大日本インキ化学工業(株)、
メチルイソブチルケトン(MIBK)30質量%溶液)
・メチルエチルケトン 36.84質量%
・メタノール 17.11質量%
・1−メトキシ−2−プロパノール 36.84質量%
なお、上記感光層塗布液に用いた化合物の構造を以下に示す。
Figure 2007293261
Figure 2007293261
Figure 2007293261
Figure 2007293261
(保護層)
前述の感光層表面に、ケン化度が91モル%以上の特定ポリビニルアルコール(ゴーセランCKS−50:ケン化度99モル%、重合度300、スルホン酸変性ポリビニルアルコール、日本合成化学工業株式会社製)と、下記の固体分散染料の水分散物と、界面活性剤(日本エマルジョン社製、エマレックス710)と、の混合水溶液(保護層用塗布液)をワイヤーバーで塗布し、温風式乾燥装置にて125℃75秒間乾燥させた。
固体分散染料としては、前記例示化合物III−9(1306F、ダイトーケミックス(株)製)の体積平均粒径が2μmのもの、及び、0.5μmのものを使用した。なお、固体分散染料の水分散物は、以下のようにして調製した。
−固体分散染料の水分散物の調製−
純水33.6gと、界面活性剤(ナフタレンスルホン酸ナトリウムのホルマリン縮合物)2.3gと、固体分散染料14.1gと、を混合して16時間攪拌した後に粒度範囲が0.425〜0.600μmのガラスビーズを加えたダイナミルで1時間攪拌した。その後、ガラスビーズを取り除くことで、体積平均粒径0.5μmの固体分散染料を得た。また2.0μmの固体分散染料は上記方法で得られた0.5μmの固体分散染料を85℃で1時間熱処理することで得た。
また、混合水溶液(保護層用塗布液)中の、特定ポリビニルアルコール/固体分散染料/界面活性剤の含有量割合は、89.5/6/4.5(質量%)であり、全塗布量は(乾燥後の被覆量)1.6g/m2であった。
得られた平版印刷版原版(10×10cmとした)3枚を、25℃75%RHの環境下で2時間調湿後、3枚の原版を同方向に合紙の挟み込んだ状態で順次重ねて積層した後にアルミクラフト紙で梱包し、4kgのおもり(500枚積み相当)をのせて30℃で5日間静置することで荷重平版印刷版原版積層体を得た。
〔実施例1−2〕
実施例1−1において、保護層用塗布液に用いた固体分散染料(例示化合物III−9、1306F、(株)ダイトーケミックス製)の体積平均粒径が2μmのものから、0.5μmのものに代えて用いた以外は、実施例1−1と同様にして、平版印刷版原版及びその積層体を得た。
〔実施例1−3、1−4〕
実施例1−1及び1−2で得た平版印刷版原版を3枚用い、平板印刷版原版を積層する際に合紙を挟み込まず、平版印刷版原版の保護層とアルミニウム支持体裏面とを直接接触させて積層して、平版印刷版原版積層体を得た。
〔実施例1−5、1−6〕
実施例1−1及び1−2において用いた保護層用塗布液に合成雲母(ソマシフME−100、8%水分散液、コープケミカル(株)製)を添加した以外は、実施例1及び2と同様にして、平版印刷版原版を得た。なお、混合水溶液(保護層用塗布液)中の、特定ポリビニルアルコール/合成雲母/固体分散染料/界面活性剤の含有量割合は、77.5/12/6/4.5(質量%)であり、全塗布量は(乾燥後の被覆量)1.6g/m2であった。
得られた平版印刷版原版を3枚用い、平板印刷版原版を積層する際に合紙を挟み込まず、平版印刷版原版の保護層とアルミニウム支持体裏面とを直接接触させて積層して、平版印刷版原版積層体を得た。
〔比較例1−1〕
実施例1−1において、固体分散染料を添加しない保護層用塗布液を用いた以外は、実施例1−1と同様にして平版印刷版原版を得た。さらに、得られた平版印刷版原版3枚の各々の間に合紙を挟み込んで積層し、平版印刷版原版積層体を得た。
〔比較例1−2〕
比較例1−1で得た平版印刷版原版を3枚用い、平板印刷版原版を積層する際に合紙を挟み込まず、平版印刷版原版の保護層とアルミニウム支持体裏面とを直接接触させて積層して、平版印刷版原版積層体を得た。
実施例1−1〜1−6、比較例1−1、1−2で得た平版印刷版原版及びその積層体について、下記評価1に示す各評価を行った。
〔評価1〕
(1−1)感度の評価
得られた各平版印刷版原版を、Creo社製Trendsetter800IIQuantumにて、解像度2400dpi、外面ドラム回転数300rpm、出力0〜12.5Wの範囲で1.5Wずつ変化させて露光した。なお、露光は25℃50%RHの条件下で行った。露光後、加熱処理、水洗処理は行わず、富士フイルム(株)社製自動現像機LP−1310Newsを用い搬送速度(ライン速度)2m/分、現像温度30℃で現像処理した。なお、現像液はDH−Nの1:4水希釈液を用い、現像補充液はFCT−421の1:1.4水希釈液、フィニッシャーは富士フイルム(株)社製GN−2Kの1:1水希釈液を用いた。
現像して得られた各平版印刷版の画像部濃度を、マクベス反射濃度計RD−918を使用し、該濃度計に装備されている赤フィルターを用いてシアン濃度を測定した。測定した濃度が0.9を得るのに必要な露光量の逆数を感度の指標とした。なお、評価結果は、実施例1で得られた平版印刷版の感度を100とし、他の平版印刷版の感度はその相対評価とした。値が大きいほど、感度が優れていることになる。
(1−2)平版印刷版原版同士の接着の評価
得られた各平版印刷版原版積層体を、Alクラフト紙で密閉包装し、4kgの荷重をかけた状態で30℃の環境で5日間放置した。その後、積層体について、平版印刷版原版の感光層側表面(保護層表面)と隣接する平版印刷版原版の支持体裏面との接着状態を評価した。平版印刷版原版同士の接着評価は、1〜5段階の官能評価で行い、3が実用下限レベル、2以下は実用上不可レベルとした。以下に、評価基準を示す。
−評価基準−
1 保護層表面と隣接する支持体を剥がす際に全面で接着しており保護層が剥離する
2 保護層表面と隣接する支持体を剥がす際に一部が接着しており保護層が部分的に剥離する
3 保護層表面と隣接する支持体を剥がす際に一部が接着しているが保護層は剥離しない
4 保護層表面と隣接する支持体を剥がす際にわずかに抵抗があるが接着はしていない
5 保護層表面と隣接する支持体を剥がす際に全く抵抗がない
(1−3)セーフライト許容時間の評価
得られた各平版印刷版原版を、400Lxの照度のUVカット蛍光灯下に一定時間さらし、現像処理後の非画像部にかぶりが発生するまでの時間を比較した。かぶり発生の基準は、セーフライト下に曝されていない、非画像部の反射濃度に比較し、0.02以上濃度が高くなった部分と定義する。
(1−4)固体分散染料の平均粒子径の測定
固体分散染料の体積平均粒径の測定方法は、以下に従って行った。レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置(LA−910、ホリバ製作所(株)製)を用い、取り込み回数10回、相対屈折率1.18−0.001、攪拌2分、循環5分、粒子径基準:体積の条件で測定した。
以上の結果を表1に示す。
Figure 2007293261
表1に示す結果から明らかなように、固体分散染料を含有する保護層を設けた実施例1−1〜1−6の平版印刷版原版用いた、実施例の平版印刷版原版積層体は、固体分散染料が発揮するマット効果によって、合紙を挟み込まずに積層し高湿下に置いた後でも、平版印刷版原版同士の接着が見られないか、接着していた場合であっても、隣接する版同士を剥がす際に保護層の剥離は生じないことがわかる。
さらに、実施例1−1〜1−6の平版印刷版原版、即ち、重合性ネガ型感光層上に、固体分散染料を含有する保護層を設けてなる平版印刷版原版は、高感度で、固体分散染料のフィルター効果により、セーフライト適性に優れていることがわかる。
また、実施例1−5及び1−6から明らかなように、固体分散染料とともに合成雲母を含有する保護層(無機層状化合物含有保護層)によって、接着性、セーフライト適性を維持しつつ、さらに高感度な平版印刷版原版を得ることができることがわかる。
これに対し、固体分散染料を含まない保護層を設けてなる比較例1−1及び1−2の平版印刷版原版は、感度に優れるものの、セーフライト適性が著しく劣っていると共に、これらの平版印刷版原版を用いた積層体は、合紙無しで積層した際に、高湿下に置かれた後の平版印刷版原版同士の接着性が悪く、実用上問題となるレベルであることが分かった。
〔実施例2−1〕
(支持体の作製)
厚さ0.30mm、幅1030mmのJIS A 1050アルミニウム板を用いて、実施例1−1に示したのと同様の表面処理を行った。
このようにして得られたアルミニウム支持体の表面粗さRaは0.27(測定機器;東京精密(株)製サーフコム、蝕針先端径2ミクロンメーター)であった。
(下塗り層)
次に、このアルミニウム支持体に下記下塗り層用塗布液をワイヤーバーにて塗布し、90℃30秒間乾燥した。塗布量は10mg/m2であった。
(下塗り層用塗布液)
・下記構造の高分子化合物A(重量平均分子量:10000) 0.05g
・メタノール 27g
・イオン交換水 3g
Figure 2007293261
(感光層)
次に、下記感光層塗布液[P2−1]を調製し、上記のアルミニウム支持体にワイヤーバーを用いて塗布した。乾燥は、温風式乾燥装置にて115℃で34秒間行い、平版印刷版原版を得た。乾燥後の被覆量は1.4g/m2であった。
<感光層塗布液[P2−1]>
・赤外線吸収剤(IR−1) 0.074g
・重合開始剤(OS−12) 0.280g
・添加剤(PM−1) 0.151g
・重合性化合物(AM−1) 1.00g
・特定バインダーポリマー(BT−1) 1.00g
・エチルバイオレット(C−1) 0.04g
・フッ素系界面活性剤 0.015g
(メガファックF−780−F 大日本インキ化学工業(株)、
メチルイソブチルケトン(MIBK)30質量%溶液)
・メチルエチルケトン 10.4g
・メタノール 4.83g
・1−メトキシ−2−プロパノール 10.4g
なお、上記感光層塗布液に用いた重合開始剤(OS−12)は、前述の一般式(1)で表されるオニウム塩の化合物例として挙げられているものを指す。また、赤外線吸収剤(IR−1)、添加剤(PM−1)、重合性化合物(AM−1)、バインダーポリマー(BT−1)、及びエチルバイオレット(C−1)の構造を以下に示す。
Figure 2007293261
(酸素遮断層)
上記のように形成された感光層表面に、合成雲母(ソマシフME−100、8%水分散液、コープケミカル(株)製)と、ケン化度が91モル%以上の特定ポリビニルアルコール(ゴーセランCKS−50:ケン化度99モル%、重合度300、スルホン酸変性ポリビニルアルコール日本合成化学工業株式会社製)と、界面活性剤(日本エマルジョン社製、エマレックス710)と、の混合水溶液(酸素遮断層用塗布液)をワイヤーバーで塗布し、温風式乾燥装置にて125℃75秒間乾燥させた。
この混合水溶液(酸素遮断層用塗布液)中の、雲母固形分/ポリビニルアルコール/界面活性剤の含有量割合は、18/80/2(質量%)であり、全塗布量は(乾燥後の被覆量)は0.5g/m2であった。
(保護層)
上記のように形成された酸素遮断層表面に、ケン化度が91モル%以上の特定ポリビニルアルコール(ゴーセランCKS−50:ケン化度99モル%、重合度300、スルホン酸変性ポリビニルアルコール、日本合成化学工業株式会社製)と、固体分散染料として前述した例示化合物(III−9)(1306F、株式会社ダイトーケミックス社製:体積平均粒径が2μmのもの)を含む分散液と、界面活性剤(日本エマルジョン社製、エマレックス710)と、の混合水溶液(保護層用塗布液)をワイヤーバーで塗布し、温風式乾燥装置にて125℃75秒間乾燥させた。
−固体分散染料の分散物の調製−
保護層用塗布液に用いた固体分散染料の分散物は、以下のようにして調製した。
純水33.6g、界面活性剤(ナフタレンスルホン酸ナトリウムのホルマリン縮合物)2.3gと固体分散染料14.1gを混合して16時間攪拌した後に粒度範囲が0.425〜0.600μmのガラスビーズを加えたダイナミルで1時間攪拌した。その後、ガラスビーズを取り除くことで、体積平均粒径0.5μmの固体分散染料を得て、これを更に、85℃で一時間熱処理することで調製した。
上記のごとく調製した、混合水溶液(保護層用塗布液)中の、特定ポリビニルアルコール/固体分散染料/界面活性剤の含有量割合は、89.5/6/4.5(質量%)であり、保護層の全塗布量は(乾燥後の被覆量)は1.6g/m2であった。
以上のようにして、実施例1の平版印刷版原版を得た。
〔実施例2−2〕
実施例2−1の平版印刷版原版において、酸素遮断層に用いた合成雲母(ソマシフME−100、8%水分散液、コープケミカル(株)製)を、同様の含有比率で、特定ポリビニルアルコール(ーセランCKS−50:ケン化度99モル%、重合度300、スルホン酸変性ポリビニルアルコール、日本合成化学工業株式会社製)に置き替えた他は、実施例2−1と同様にして、実施例2−2の平版印刷版原版を得た。
〔比較例2−1〕
実施例2−1の平版印刷版原版において、保護層に用いた固体分散染料を、同様の含有比率で、特定ポリビニルアルコール(ーセランCKS−50:ケン化度99モル%、重合度300、スルホン酸変性ポリビニルアルコール、日本合成化学工業株式会社製)に置き替えた他は、実施例2−1と同様にして、比較例2−1の平版印刷版原版を得た。
〔評価2〕
(2−1)感度の評価
得られた各平版印刷版原版を、Creo社製Trendsetter800IIQuantumにて、解像度2400dpi、外面ドラム回転数300rpm、出力0〜12.5Wの範囲で1.5Wずつ変化させて露光した。なお、露光は25℃50%RHの条件下で行った。露光後、加熱処理、水洗処理は行わず、富士フイルム(株)社製自動現像機LP−1310Newsを用い搬送速度(ライン速度)2m/分、現像温度30℃で現像処理した。なお、現像液はDH−Nの1:4水希釈液を用い、現像補充液はFCT−421の1:1.4水希釈液、フィニッシャーは富士フイルム(株)社製GN−2Kの1:1水希釈液を用いた。
現像して得られた平版印刷版の画像部濃度を、マクベス反射濃度計RD−918を使用し、該濃度計に装備されている赤フィルターを用いてシアン濃度を測定した。測定した濃度が0.9を得るのに必要な露光量の逆数を感度の指標とした。なお、評価結果は、実施例1で得られた平版印刷版の感度を100とし、他の平版印刷版の感度はその相対評価とした。値が大きいほど、感度が優れていることになる。
(2−2)平版印刷版原版同士の接着の評価
得られた平版印刷版原版(10×10cm)3枚を、25℃75%RHの環境下で2時間調湿後、3枚の原版を同方向に合紙の挟み込みのない状態で順次重ねて積層体を得た。この積層体をAlクラフト紙で密閉包装し、4kgの荷重をかけた状態で30℃の環境で5日間放置した。その後の積層体について、平版印刷版原版の感光層側表面(保護層表面)と隣接する平版印刷版原版の支持体側裏面との接着状態を、下記評価基準により、評価した。平版印刷版原版同士の接着は、1〜5の官能評価で行い、3が実用下限レベル、2以下は実用上不可レベルとした。
−評価基準−
1 保護層表面と隣接する支持体を剥がす際に全面で接着しており保護層が剥離する
2 保護層表面と隣接する支持体を剥がす際に一部が接着しており保護層が部分的に剥離
する
3 保護層表面と隣接する支持体を剥がす際に一部が接着しているが保護層は剥離しない
4 保護層表面と隣接する支持体を剥がす際にわずかに抵抗があるが接着はしていない
5 保護層表面と隣接する支持体を剥がす際に全く抵抗がない
(2−3)セーフライト許容時間の評価
得られた各平版印刷版原版を、400Lxの照度のUVカット蛍光灯下に一定時間曝し、現像処理後の非画像部にかぶりが発生するまでの時間を比較した。かぶり発生の基準は、セーフライト下に曝されていない、非画像部の反射濃度に比較し、0.02以上濃度が高くなった部分と定義する。
(2−4)画像ヌケ評価
得られた平版印刷版原版を、Creo社製Trendsetter800IIQuantumにて、解像度2400dpi、外面ドラム回転数200rpm、出力5Wでヘ゛タ露光した。露光後、加熱処理、水洗処理は行わず、富士フイルム(株)社製自動現像機LP−1310HIIを用い搬送速度(ライン速度)2m/分、現像温度30℃で現像処理した。なお、現像液はDH−Nの1:4水希釈液を用いた。
現像して得られた平版印刷版の画像部に発生したヌケの有無を目視評価した。
評価は1〜5の官能評価で行い、3が実用下限レベル、2以下は実用上不可レベルとした。
(2−5)酸素遮断層の酸素遮断性
酸素遮断層の酸素遮断性は、酸素透過率を以下のごとく測定することのより確認した。
両面を約20μmのポリエチレンでコートした約200μmの印画紙に、感光層上に塗布するのと同様にして、酸素遮断層を塗布乾燥し、測定用のサンプルを作製した。印画紙の酸素透過率は、下記条件下で約700ml/(m2・day・atm)であるので、酸素遮断層における酸素透過率の測定には十分無視できる。JIS K7126B及びASTM D3985に記載の気体透過度試験方法に準じ、モコン社製の「OX−TRAN2/20」を用い、25℃60%RHの条件で、酸素遮断層の酸素透過率[ml/(m2・day・atm)]を測定した。
(2−6)擦りキズ発生の評価
得られた各平版印刷版原版を間に合紙を挟むことなく積層して積層体を形成した。この積層体をカセットにセットし、セッティング部分からオートローダーにて、Creo社製Trendsetter3244に搬送し、解像度2400dpiで50%平網画像を、出力7W、外面ドラム回転数150rpm、版面エネルギー110mJ/cm2で露光した。露光後、上記感度評価と同様に現像処理を行った。得られた平版印刷版の平網画像中に発生したキズの有無を目視評価した。評価は1〜5の官能評価で行い、3が実用下限レベル、2以下は実用上不可レベルとした。
以上の結果を下記表2に示す。
Figure 2007293261
表2に示す結果から明らかなように、感光層上に酸素遮断層及び固体分散染料を含有する保護層を設けた実施例2−1及び2−2の平版印刷版原版は、合紙を介在させずに複数枚を直接積層した場合、即ち本発明の平版印刷版原版積層体とした場合にも、平版印刷版原版同士の接着及び擦りキズの発生が見られないことがわかる。さらに、実施例2−1及び2−2の平版印刷版原版は、高感度であり、セーフライト適性に優れると共に、露光部の画像ヌケもない平版印刷版原版であることがわかる。

Claims (9)

  1. 支持体上に、重合開始剤、増感色素、及び重合性化合物を含有する感光層と、前記増感色素が有する吸収波長領域とは異なる吸収波長領域を有する水不溶性かつアルカリ可溶性の染料が固体分散された保護層と、を順次積層してなることを特徴とする感光性記録材料。
  2. 更に、前記感光層と前記保護層との間に、酸素遮断性を有する中間層を有することを特徴とする請求項1に記載の感光性記録材料。
  3. 前記酸素遮断性を有する中間層が、無機質の層状化合物を含有することを特徴とする請求項2に記載の感光性記録材料。
  4. 前記増感色素が赤外領域に吸収極大を有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の感光性記録材料。
  5. 前記染料の体積平均粒径が0.2μm〜30μmであることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の感光性記録材料。
    に記載の感光性記録材料。
  6. 前記染料の体積平均粒径が0.5μm〜20μmであることを特徴とする請求項5に記載の感光性記録材料。
  7. 請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の感光性記録材料を、感光層側の最表面と、支持体の感光層を有する面とは反対側の最表面と、を直接接触させて複数枚積層してなることを特徴とする感光性記録材料積層体。
  8. 請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の感光性記録材料を用いてなることを特徴とする感光性平版印刷版原版。
  9. 請求項8に記載の感光性平版印刷版原版を、感光層側の最表面と、支持体の感光層を有する面とは反対側の最表面と、を直接接触させて複数枚積層してなることを特徴とする感光性平版印刷版原版積層体。
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