JP2007291045A - ジフェンヒドラミン含有錠の製造法 - Google Patents
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Abstract
【課題】保存安定性の良好なジフェンヒドラミン含有錠の提供。
【解決手段】ジフェンヒドラミン又はその塩及び賦形剤を含有する組成物を造粒した後、該造粒物にカルボキシメチルセルロースカルシウムを含有する崩壊剤を粉末として添加し、得られた混合物を打錠することを特徴とするジフェンヒドラミン含有錠の製造法。
【選択図】なし
【解決手段】ジフェンヒドラミン又はその塩及び賦形剤を含有する組成物を造粒した後、該造粒物にカルボキシメチルセルロースカルシウムを含有する崩壊剤を粉末として添加し、得られた混合物を打錠することを特徴とするジフェンヒドラミン含有錠の製造法。
【選択図】なし
Description
本発明は、保存安定性の良好なジフェンヒドラミン含有錠の製造法に関する。
ジフェンヒドラミンは、強い抗ヒスタミン作用を有することから、じんましん、湿疹、皮膚炎に伴うかゆみ、アレルギー性鼻炎等に有効であり、感冒薬にも広く用いられている。また、ジフェンヒドラミンは近年、緩和な催眠、鎮痛剤として用いられている。
一方、ジフェンヒドラミンは苦味があり、またジフェンヒドラミンを含有する製剤は経時的に変色する等の問題があり、それらの解決手段として、(1)平均粒子径30〜500μmのジフェンヒドラミンを用いる(特許文献1)、(2)遮光性物質と水溶性高分子物質を含有する皮膜で被覆する(特許文献2)、(3)低膨潤性高分子及び高膨潤性高分子を併用する(特許文献3)等が報告されている。
特開2004−99510号公報
特開2003−300872号公報
特開2004−107258号公報
しかしながら、前記の製剤によってジフェンヒドラミンの苦味はマスキングできるが、経時的な変色は十分に防止できなかった。また、特殊な皮膜を形成したり、低膨潤性高分子を配合すると、製剤からのジフェンヒドラミンの溶出性に影響を与えてしまうという問題があった。
従って、本発明の目的は、溶出性が良好で、経時的な変色が防止されたジフェンヒドラミン含有錠の製造法を提供することにある。
従って、本発明の目的は、溶出性が良好で、経時的な変色が防止されたジフェンヒドラミン含有錠の製造法を提供することにある。
そこで本発明者は、ジフェンヒドラミンの溶出性の確保と変色防止の両者を同時に解決すべく、ジフェンヒドラミンと、賦形剤と、ジフェンヒドラミンの溶出性確保のための崩壊剤との組み合せについて種々検討したところ、崩壊剤としてカルボキシメチルセルロースカルシウムを採用し、かつこれをジフェンヒドラミンと賦形剤を含有する造粒物を調製した後に、粉末として添加し、次いで打錠すれば、ジフェンヒドラミンの溶出性が確保され、かつ経時的な変色のない錠剤が得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、ジフェンヒドラミン又はその塩及び賦形剤を含有する組成物を造粒した後、該造粒物にカルボキシメチルセルロースカルシウムを含有する崩壊剤を粉末として添加し、得られた混合物を打錠することを特徴とするジフェンヒドラミン含有錠の製造法を提供するものである。
また、本発明は、上記の製造法により得られるジフェンヒドラミン含有錠を提供するものである。
また、本発明は、上記の製造法により得られるジフェンヒドラミン含有錠を提供するものである。
本発明方法により得られるジフェンヒドラミン含有錠剤は、ジフェンヒドラミンの溶出性が良好で、かつ経時的変色がなく安定である。
本発明のジフェンヒドラミン含有錠剤(以下、「本発明錠剤」という)には、有効成分としてジフェンヒドラミン又はその塩を含有する。当該ジフェンヒドラミンの塩としては、塩酸ジフェンヒドラミン、硫酸ジフェンヒドラミン、クエン酸ジフェンヒドラミン等が挙げられるが、塩酸ジフェンヒドラミンが特に好ましい。
本発明錠剤中のジフェンヒドラミン又はその塩の含有量は、1回投与量として10〜50mg、特に25〜50mgが好ましい。1錠中のジフェンヒドラミン又はその塩の含有量は、1回あたり1錠投与する場合は上記と同様であり、1回あたり2錠投与する場合は上記の1/2となる。
本発明錠剤を製造するには、まずジフェンヒドラミン又はその塩及び賦形剤を含有する組成物を造粒する。ここで、賦形剤としては、乳糖、結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、マンニトール、キシリトール、デキストリン、ソルビトール、プルラン、部分アルファー化デンプン、ポビドン、クロスポビドン、低置換度カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスカルメロースナトリウム等が挙げられる。このうち、ヒドロキシプロピルセルロースを賦形剤として配合した場合に経時的変色が大きく、この変色が本発明方法により抑制できるため、ヒドロキシプロピルセルロースを含有する場合が特に好ましい。また、これらの賦形剤は1種又は2種以上を使用することができる。
これらの賦形剤の本発明錠剤中の含有量は、錠剤の保形性、打錠性、溶出性の点から、30〜90質量%、さらに40〜80質量%、特に50〜70質量%が好ましい。
また、本発明錠剤の製造において、賦形剤とともに配合できる成分としては、結合剤、安定剤、甘味剤、着色剤等が挙げられる。ここで、結合剤としては、カルメロースナトリウム、トウモロコシデンプン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルスターチ、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等が挙げられる。安定剤としては、メチルセルロース、マクロゴール、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸アルミニウム、軽質無水ケイ酸、ゼラチン等が挙げられる。甘味剤としては、グリチルリチン酸二カリウム、グリチルリチン酸二ナトリウム、サッカリンナトリウム、白糖、ブドウ糖、粉末還元麦芽糖水アメ、マルチトール等が挙げられる。着色剤としては、黄色三二酸化鉄、カーボンブラック、酸化チタン、三二酸化鉄、食用青色1号、食用黄色4号、食用黄色5号、食用赤色2号、食用赤色3号、食用赤色102号、リボフラビン等が挙げられる。
造粒手段としては噴霧造粒法、撹拌造粒法、流動造粒法、転動造粒法、転動流動造粒法等の湿式造粒法、圧密造粒法などの乾式造粒法等が挙げられる。
造粒物の粒度は、1000μmを超える粒子が無く、さらに75〜500μmの粒子の割合が、造粒物全体の60質量%以上であることが好ましい。
次に得られた造粒物にカルボキシメチルセルロースカルシウムを含有する崩壊剤を粉末として添加することが必要である。カルボキシメチルセルロースカルシウムを、前記の工程すなわち、ジフェンヒドラミン又はその塩及び賦形剤とともに混合して造粒した後に打錠して錠剤を得た場合には経時的な変色を抑制できない。また、カルボキシメチルセルロースカルシウムを湿式状態で添加して打錠した場合も経時的な変色を十分に抑制できない。
用いるカルボキシメチルセルロースカルシウムの含有水分量は、10質量%以下、さらに5質量%以下が好ましい。
カルボキシメチルセルロースカルシウムの使用量は、経時的な変色防止及び溶出性の点から、本発明錠剤中に5〜25質量%、さらに10〜20質量%となる量が好ましい。
また、カルボキシメチルセルロースカルシウムを含有する崩壊剤とともに、造粒物に粉末として配合できる成分としては、滑沢剤、結合剤、安定剤、甘味剤、着色剤等が挙げられる。ここで、滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、含水二酸化ケイ素、沈降炭酸カルシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等が挙げられる。結合剤としては、カルメロースナトリウム、トウモロコシデンプン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルスターチ、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等が挙げられる。安定剤としては、メチルセルロース、マクロゴール、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸アルミニウム、軽質無水ケイ酸、ゼラチン等が挙げられる。甘味剤としては、グリチルリチン酸二カリウム、グリチルリチン酸二ナトリウム、サッカリンナトリウム、白糖、ブドウ糖、粉末還元麦芽糖水アメ、マルチトール等が挙げられる。着色剤としては、黄色三二酸化鉄、カーボンブラック、酸化チタン、三二酸化鉄、食用青色1号、食用黄色4号、食用黄色5号、食用赤色2号、食用赤色3号、食用赤色102号、リボフラビン等が挙げられる。
得られた混合物を打錠すれば、本発明錠剤が得られる。打錠機としては、ロータリー式打錠機、単発式打錠機等を用いることができる。
また、得られた錠剤には、フィルムコーティングを施すこともできる。フィルムコーティングは、ジフェンヒドラミン又はその塩の溶出性を妨げないものであればよく、例えばパンコーティング、流動層コーティング、転動コーティング、ドライコーティング等により行うことができる。コーティング層には、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マクロゴール、含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸等のコーティング剤、黄色三二酸化鉄、酸化チタン、三二酸化鉄、食用青色1号、食用黄色5号、食用赤色2号等の着色剤、オレンジ、カラメル、ハッカ油、バニラフレーバー、ミントフレーバー、l−メントール等の香料を配合することができる。さらにカルナウバロウ、サラシミツロウ、セラック等により艶出し層を設けてもよい。
次に実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
実施例1
塩酸ジフェンヒドラミン;875g、乳糖;2317g、結晶セルロース;490g、ヒドロキシプロピルセルロース;129.5gを高速攪拌造粒機(深江工業:FS−10型)に投入して混合後、精製水;182gを添加して練合し、さらに整粒機(岡田精工:ND−10型)を用いて破砕造粒した。この造粒物を流動層乾燥機(フロイント産業:FLO−5型)に投入して乾燥後、整粒機(岡田精工:ND−10型)を用いて整粒した。この整粒物;3811.5g及びカルボキシメチルセルロースカルシウム;700g、ステアリン酸マグネシウム;38.5gを混合機(朝日工業:B2/109型)に投入して混合した後、直径7mm、曲率半径8.5mm及び2.1mmの杵を取り付けた打錠機(畑鉄工所:HT−AP18SS型)を用いて打錠し、1錠の重量が130mgの錠剤35000錠を得た。
塩酸ジフェンヒドラミン;875g、乳糖;2317g、結晶セルロース;490g、ヒドロキシプロピルセルロース;129.5gを高速攪拌造粒機(深江工業:FS−10型)に投入して混合後、精製水;182gを添加して練合し、さらに整粒機(岡田精工:ND−10型)を用いて破砕造粒した。この造粒物を流動層乾燥機(フロイント産業:FLO−5型)に投入して乾燥後、整粒機(岡田精工:ND−10型)を用いて整粒した。この整粒物;3811.5g及びカルボキシメチルセルロースカルシウム;700g、ステアリン酸マグネシウム;38.5gを混合機(朝日工業:B2/109型)に投入して混合した後、直径7mm、曲率半径8.5mm及び2.1mmの杵を取り付けた打錠機(畑鉄工所:HT−AP18SS型)を用いて打錠し、1錠の重量が130mgの錠剤35000錠を得た。
比較例1
塩酸ジフェンヒドラミン;875g、乳糖;2317g、結晶セルロース;490g、ヒドロキシプロピルセルロース;129.5g、カルボキシメチルセルロースカルシウム;700gを高速攪拌造粒機(深江工業:FS−10型)に投入して混合後、精製水;521.5gを添加して練合し、さらに整粒機(岡田精工:ND−10型)を用いて破砕造粒した。この造粒物を流動層乾燥機(フロイント産業:FLO−5型)に投入して乾燥後、整粒機(岡田精工:ND−10型)を用いて整粒した。この整粒物;4511.5gにステアリン酸マグネシウム;38.5gを混合機(朝日工業:B2/109型)に投入して混合した後、直径7mm、曲率半径8.5mm及び2.1mmの杵を取り付けた打錠機(畑鉄工所:HT−AP18SS型)を用いて打錠し、1錠の重量が130mgの錠剤35000錠を得た。
塩酸ジフェンヒドラミン;875g、乳糖;2317g、結晶セルロース;490g、ヒドロキシプロピルセルロース;129.5g、カルボキシメチルセルロースカルシウム;700gを高速攪拌造粒機(深江工業:FS−10型)に投入して混合後、精製水;521.5gを添加して練合し、さらに整粒機(岡田精工:ND−10型)を用いて破砕造粒した。この造粒物を流動層乾燥機(フロイント産業:FLO−5型)に投入して乾燥後、整粒機(岡田精工:ND−10型)を用いて整粒した。この整粒物;4511.5gにステアリン酸マグネシウム;38.5gを混合機(朝日工業:B2/109型)に投入して混合した後、直径7mm、曲率半径8.5mm及び2.1mmの杵を取り付けた打錠機(畑鉄工所:HT−AP18SS型)を用いて打錠し、1錠の重量が130mgの錠剤35000錠を得た。
試験例1
保存安定性試験
実施例1及び比較例1で得られた錠剤をガラス瓶に入れ、蓋をした後、外観変化を観察した。外観変化は製造直後、60℃−3日間保存後及び80℃−1日間保存後の製剤を目視により評価し、白色のものを〇、黄褐色の斑点が生じたものを×とした。その結果を表1に示した。
保存安定性試験
実施例1及び比較例1で得られた錠剤をガラス瓶に入れ、蓋をした後、外観変化を観察した。外観変化は製造直後、60℃−3日間保存後及び80℃−1日間保存後の製剤を目視により評価し、白色のものを〇、黄褐色の斑点が生じたものを×とした。その結果を表1に示した。
カルボキシメチルセルロースカルシウムを混合して練合、造粒して製造した比較例1のジフェンヒドラミン含有錠剤では、明らかな変色が観察された。一方、造粒後にカルボキシメチルセルロースカルシウムを粉末として添加した実施例1のジフェンヒドラミン含有錠剤では、全く変色が認められなかった。これらのことから、ジフェンヒドラミン含有錠剤の製造方法において、ジフェンヒドラミンの造粒後にカルボキシメチルセルロースカルシウムを粉末として添加する製造方法により有意に変色が抑制できることが判明した。
さらに、実施例1で得られた錠剤を用いて、第十四改正日本薬局方解説書記載の溶出試験法第2法(パドル回転数;50回転、試験液;精製水、試験液量;900mL)による塩酸ジフェンヒドラミンの溶出試験を行ったところ、試験開始15分後において90%以上の溶出率を示し、本発明方法により得られるジフェンヒドラミン含有錠の溶出性は良好であった。
さらに、実施例1で得られた錠剤を用いて、第十四改正日本薬局方解説書記載の溶出試験法第2法(パドル回転数;50回転、試験液;精製水、試験液量;900mL)による塩酸ジフェンヒドラミンの溶出試験を行ったところ、試験開始15分後において90%以上の溶出率を示し、本発明方法により得られるジフェンヒドラミン含有錠の溶出性は良好であった。
Claims (4)
- ジフェンヒドラミン又はその塩及び賦形剤を含有する組成物を造粒した後、該造粒物にカルボキシメチルセルロースカルシウムを含有する崩壊剤を粉末として添加し、得られた混合物を打錠することを特徴とするジフェンヒドラミン含有錠の製造法。
- 賦形剤が、ヒドロキシプロピルセルロースを含むものである請求項1記載の製造法。
- 打錠後、さらにフィルムコーティングするものである請求項1又は2記載のジフェンヒドラミン含有錠の製造法。
- 請求項1〜3のいずれか1項記載の製造法により得られるジフェンヒドラミン含有錠。
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JP2006123590A JP2007291045A (ja) | 2006-04-27 | 2006-04-27 | ジフェンヒドラミン含有錠の製造法 |
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JP2006123590A JP2007291045A (ja) | 2006-04-27 | 2006-04-27 | ジフェンヒドラミン含有錠の製造法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2009001520A (ja) * | 2007-06-21 | 2009-01-08 | Kowa Co | ジフェンヒドラミン含有固形製剤 |
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2006
- 2006-04-27 JP JP2006123590A patent/JP2007291045A/ja not_active Withdrawn
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