JP2007290122A - プラズマ蒸着金属カーバイド被膜を有するツールビット - Google Patents

プラズマ蒸着金属カーバイド被膜を有するツールビット Download PDF

Info

Publication number
JP2007290122A
JP2007290122A JP2007113004A JP2007113004A JP2007290122A JP 2007290122 A JP2007290122 A JP 2007290122A JP 2007113004 A JP2007113004 A JP 2007113004A JP 2007113004 A JP2007113004 A JP 2007113004A JP 2007290122 A JP2007290122 A JP 2007290122A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
tool bit
layer
cylindrical body
coating layer
pcb
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2007113004A
Other languages
English (en)
Inventor
Shi Xu
チュ シー
Kang Cheah Li
リー カング チェア
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nanofilm Technologies International Ltd
Original Assignee
Nanofilm Technologies International Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nanofilm Technologies International Ltd filed Critical Nanofilm Technologies International Ltd
Publication of JP2007290122A publication Critical patent/JP2007290122A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【課題】ドリルビットの高い摩耗率による問題を克服、或いは少なくとも緩和する。
【解決手段】長軸を有する円筒形の本体を含むツールビット。器具係合端は円筒形本体を長軸の周囲で回転させることのできる器具との係合を目的として本体の一端上に提供される。工作端は本体の器具係合端と対側の末端上に提供される。工作端は提供されたプラズマ蒸着金属カーバイド被膜層で被膜される。使用時には、PCG基板に穴を穿孔するために被膜された工作端が使用される。
【選択図】図1

Description

本発明は、全般的に被膜されたツールビット(tool bit)又は工具ビット、かつ具体的にはプリント回路基板(本報では「PCB」と呼ぶ)の製造に用いられる金属カーバイド被膜されたツールビットに関する。
PCBに対する機械加工制御は正確かつ許容値に非常に近くなければならない。ドリルビットあるいは他の同様の回転式穿孔機器を用いる穿孔操作については、許容値は穴の直径、軸方向真直度、及び穴の深さについて測定される。
PCBの基材は、通常穿孔しにくく(すなわちファイバーグラス)かつPCB製造時に用いられるドリルビット及び他の回転式穿孔工具に高い要求を与える材料より製造される。ファイバーグラスなどの材料は研磨性が高くなることがあり、またドリルビットの先端を比較的早く速く鈍化させる傾向がある。これによりドリルビットが許容基準を満たさなくなり、PCB基板の製造において生じる寸法不良を引き起こす。
ドリルビットの高い摩耗率による問題を克服するために、ドリルビットを硬化カーバイドスチールなどの硬質被膜で被膜し、ドリルビットが鈍化する率を低減することが知られている。しかし、PCB基板材料の研磨性のために、硬化カーバイドPCBドリルビットの大半は、各ドリルビットが鈍化しすぎて消耗し、交換しなければならなくなるまでの寿命が約500から2000サイクルである。
上述の欠点のうち1つ或いはそれ以上を克服、或いは少なくとも緩和するツールビットを提供するニーズがある。
第1の態様によると:
長軸を有する円筒形の本体;
前記円筒形本体を前記長軸の周囲で回転させることのできる器具との係合を目的とした前記本体の一端上の器具係合端;
前記本体の前記器具係合端と対側の末端上の工作端;及び
前記工作端上に提供されるプラズマ蒸着金属カーバイド被膜層であって、使用時に前記の被膜された工作端が、前記円筒形本体がその長軸の周囲を回転するに従い工作物に穴を穿孔する被膜層を含むツールビットが提供される。
有利であることには、ツールビットをPCB材料に穴を穿孔するために用いる場合、プラズマ蒸着金属カーバイド被膜層はツールビットのサイクル寿命を既知の硬質被膜層と比べて大幅に延長する。
硬質被膜層は250nmから3000nm、250nmから2500nm、250nmから2000nm、250nmから1500nm、250nmから1000nm、500nmから3000nm、500nmから2500nm及び1000nmから2000nmからなる群から選択される厚さを有することがある。
硬質被膜層は少なくとも10GPaの硬度を有することがある。硬質被膜層は10GPaから35GPa或いは15GPaから25GPaの硬度を有してもよい。
1つの実施形態においては、硬質被膜層は前記工作端上に提供される一次層及び前記一次層上に提供される二次層であって、前記二次層の硬度が前記一次層よりも高い二次層を含む。一次層は硬度5GPaから10GPaを有し、かつ前記二次層が硬度10GPaから35GPaを有してもよい。1つの実施形態においては、一次及び二次層はそれぞれ250nmから1500nm、500nmから1500nm及び800nmから1500nmの範囲内の硬度を有する。
金属カーバイドの金属は遷移金属であってもよい。前記遷移金属カーバイドの遷移金属は、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Fe、Ru、Os及びその組合せからなる群から選択されてもよい。
1つの実施形態においては、遷移金属カーバイドはタンタルカーバイドである。
硬質被膜層は、フィルタードカソーディックバキュームアークをアーク源とするプラズマを用いて蒸着されることもある。
1つの実施形態においては、ツールビットはプリント回路基板(PCB)ドリルビットである。他の実施形態においては、ツールビットはプリント回路基板(PCB)ルータービットである。
円筒型本体は、0.05mmから3mm、0.05mmから2mm、0.05mmから1mm、0.05mmから0.5mm及び0.05mmから0.25mmからなる群から選択される直径を有することがある。
1つの実施形態においては、ツールビットは前記工作端と前記硬質被膜層の間に蒸着された金属層を含む。金属層の厚さは250nmから1500nmとなることもある。
1つの実施形態においては、円筒形本体はタングステンカーバイド及びコバルトを含む。
1つの実施形態においては:
長軸を有する円筒形の本体;
前記円筒形本体を前記長軸の周囲で回転させることのできる器具との係合を目的とした前記本体の一端上の器具係合端;
前記本体の前記器具係合端と対側の末端上の工作端;
前記工作端上に提供されるプラズマ蒸着金属層;
前記金属層上に提供されるプラズマ蒸着一次金属カーバイド被膜層;
前記一次金属カーバイド被膜層上に提供されるプラズマ蒸着二次金属カーバイド被膜層であって、前記二次金属カーバイド被膜層の硬度が前記一次金属カーバイド被膜層よりも硬く、
使用時に前記円筒形本体がその長軸の周囲を回転するに従い、前記被膜工作端が工作物に穴を穿孔する被膜層を含むツールビットが提供される。
プラズマ蒸着金属カーバイド被膜層は、約0.3から約1或いは約0.5から約0.8の間のラマン強度値を示すことがある。
第2の実施形態によると、長軸を有する円筒形本体、前記円筒形本体を前記長軸の周囲で回転させることのできる器具との係合を目的とした前記本体の一端上の器具係合端、及び前記本体の前記器具係合端と対側の末端上の工作端を含むツールビットを被膜する方法であって、当該方法が(a)その上に金属カーバイド層を形成するためにプラズマ金属イオン及び炭素イオンを前記工作端上に蒸着する段階を含む方法が提供される。
有利であることに、プラズマ金属イオン及び炭素イオンはマクロ粒子をほとんど含まない。
当該方法は、段階(a)の前に:(b)不活性雰囲気中、或いは真空下でカソーディックバキュームアーク源からの金属イオン及び炭素イオンを含むプラズマビームを発生する;及び
(c)そこからの全てのマクロ粒子をほとんど除去するために前記プラズマビームをフィルタリングする段階を含むことがある。
当該方法は、段階(a)中に:
(d)交流バイアスパルスであって、前記バイアスパルスが比較的負電荷の高いバイアスパルスと比較的負電荷の低いバイアスパルス間を変動するパルスを、前記ツールビットの前記工作端に印加する段階を含むことがある。
当該方法は、(d1)前記の負電荷の高いバイアスパルスを−1800Vから−4,500V及び−2000Vから−2500Vの範囲からなる群から選択する段階を含むことがある。
当該方法は、(d2)前記の負電荷の低いバイアスパルスを−50Vから−500V及び−100Vから−200Vの範囲からなる群から選択する段階を含むことがある。
当該方法は(e)最大10kHzの周波数で基材にバイアスパルスを印加する段階を含むことがある。パルス印加段階(e)は(e1)1kHzから3kHzの範囲から周波数を選択する段階を含むことがある。
パルス印加段階(e)は(e2)1μ秒から50μ秒、1μ秒から25μ秒、及び5μ秒から10μ秒からなる群からパルス持続時間を選択する段階を含むことがある。
第3の実施形態によると、プリント回路基板(PCB)の製造を目的としたツールビットの使用であって、ツールビットが:
長軸を有する円筒形の本体;
前記円筒形本体を前記長軸の周囲で回転させることのできる器具との係合を目的とした前記本体の一端上の器具係合端;
前記本体の前記器具係合端と対側の末端上の工作端;及び
前記工作端上に提供されるプラズマ蒸着金属カーバイド被膜層であって、
その使用時に前記円筒形本体がその長軸周囲を回転するに従い前記被膜工作端が前記PCBに穴を穿孔する被膜層を含む使用が提供される。
第4の態様に従い:
(a)長軸を有する円筒形本体、前記円筒形本体を前記長軸の周囲で回転させることのできる器具との係合を目的とした前記本体の一端上の器具係合端、及び前記本体の前記器具係合端と対側の末端上の工作端を含むツールビットを提供、及び
(b)その上に金属カーバイド層を形成するためにプラズマ金属イオン及び炭素イオンを前記工作端上に蒸着する段階を含むツールビットを製造する方法が提供される。
第5の実施形態によると:
長軸を有する円筒形の本体;
前記円筒形本体を前記長軸の周囲で回転させることのできる器具との係合を目的とした前記本体の一端上の器具係合端;
前記本体の前記シャンク端と対側の末端上の工作端;及び
前記円筒形本体がその長軸の周囲を回転するに従い前記PCBに穴を穿孔することを目的とした前記工作端上のプラズマ金属カーバイド蒸着被膜層を含むプリント回路基板(PCB)ドリルビット或いはルータービットが提供される。
第6の実施形態によると、プリント回路基板(PCB)製造時に基板に穴を穿孔するためのツールビットの使用であって、該ツールが:
長軸を有する円筒形の本体;
前記円筒形本体を前記長軸の周囲で回転させることのできる器具との係合を目的とした前記本体の一端上の器具係合端;
前記本体の前記シャンク端と対側の末端上の工作端;及び
約1.5μm或いはそれ以下の厚さを有する前記工作端上のタンタルカーバイド被膜層であって、
使用時に前記円筒形本体がその長軸周囲を回転するに従い前記被膜層が前記PCBに1つ或いはそれ以上の穴を穿孔する被膜層を含む使用が提供される。
第7の実施形態によると、第1の実施形態で請求されたツールビットによって穿孔された1つあるいはそれ以上の穴を有するプリント回路基板(PCB)が提供される。
第8の実施形態によると、プリント回路基板(PCB)の基材に穴を穿孔する方法であって:
(a)ドリル或いはルーターツールビットでのPCB基板基材への穿孔であって、前記ツールビットの末端がその上にプラズマ蒸着金属カーバイド被膜層を含む穿孔の段階を含む方法が提供される。
(定義)
本報で使用される以下の単語及び用語は、指示された意味を有する。
用語「ツールビット」は、本明細書の文脈において、軸方向の穿孔を目的として使用されるツールビットを指し、かつその範囲内に工作物に穴を穿孔することを目的としたドリルビット、エンドミル、及びルータービットを含む。実施形態の1つにおいては、ツールビットはエレクトロニクス産業においてPCB製造を目的として使用され、また具体的にはツールビットがPCB基材に軸方向に穴を穿孔することを目的として用いられる場合に用いられる。
用語「工作端」は、本明細書の文脈においては、プラズマ蒸着金属カーバイド被膜層が被膜され、かつ工作物への実際の穿孔を行うツールビットの末端を指す。
用語「器具係合端」は、本明細書の文脈においては、ツールビットをその長軸の周囲で回転させることのできる器具と係合することのできるツールビットの末端を指す。例えば、器具係合端はドリルのチャックに挿入されかつ長軸方向に契合されることができるシャンク部分を含むことがある。
用語「硬質被膜」は、本明細書の文脈においては、ツールビットの工作端の硬度よりも硬い硬度を有する被膜層を表す。典型的には、被膜層の硬さは少なくとも10GPa、より典型的には被膜層の硬さは10GPaから35GPaの間である。
特に指定されない場合、用語「含んでいる」及び「含む」、及びその文法的活用形は、引用された要素を含むが追加的な引用されていない要素の包含も容認するような「開いた」或いは「包含的」言語を表すことを意図する。
本明細書で使用されている用語「約」は、本明細書の式の要素群の文脈において、典型的には記載された値の±5%、より典型的には記載された値の±4%、より典型的には記載された値の±3%、より典型的には記載された値の±2%、より典型的には記載された値の±1%、さらにより典型的には記載された値の±0.5%を意味する。
本開示を通じて、一部の実施形態は範囲の形式で開示されることがある。範囲形式での記載は単に簡便さと簡略さを目的としていることを理解すべきであり、開示された範囲の範囲についての固定的な制限と解釈されるべきではない。従って、範囲の記載は全ての可能なサブレンジのみならずその範囲内の個々の数値を具体的に開示しているとみなすべきである。例えば、1から6までいった範囲の記載は1から3、1から4、1から5、2から4、2から6、3から6などの具体的に開示されたサブレンジ、さらにはその範囲内の個々の数字、例えば1,2,3,4,5及び6と見なすべきである。これは範囲の広さを問わず当てはまる。
図1を参照すると、ドリルビット10の形態にあるツールビットの側面模式図が示される。以下の記載はドリルビット10を記載するが、これは簡便性のみを目的としており、かつ以下の記載はエンドミル及びルータービットなどの他のツールビットに同等に適用することも可能であることを認識しなければならない。
ドリルビット10は、破線14で表されるその中を延伸する長軸を有する円筒形本体12を含む。本体12はタングステンカーバイドとコバルトの合金(WC−Co)より製造される。WC−Coツールビットは技術上既知であり、アメリカ合衆国ミシガン州サギノーのFS Carbide Tool, Inc.及びイギリスバークシャー州WokinghamのSGS Carbide Tool (UK) Ltd などの数多くのメーカーより商業的に入手可能である。
本体12は、シャンク末端の形態16にある器具係合端、及び本体12のシャンク末端16と対側の末端上にある末端18の形態にある工作端を含む。本体は末端18から本体12の中央部まで延伸するらせん形成も含む。以下でさらに説明するように、らせん形成はPCB基板への穴の穿孔を助勢する。
シャンク末端16は穿孔器具のチャック(示さず)によって係合されることのできるサイズ及び形態構成を有するので、本体12は使用時に長軸14の周囲を回転することができる。
工作端18は硬質被膜層20によって被膜されている。硬質被膜層20は金属カーバイド、具体的には金属イオン及び炭素イオンから構成されるプラズマビームによって工作端18上に蒸着されているタンタルカーバイド(TaC)(CAS登録番号:12070−06−3)を含む。
プラズマビームは、シンガポールのNanofilm Technologies International Pte Ltd (NTI)により開発され、その全文が参照文献として本明細書に援用される国際公開特許請求第WO96/26531号に記載されたフィルタードカソーディックバキュームアーク(FCVA)装置を用いてTaC標的より生成される。TaC粉末は、ドイツ、カールスルーエのJohnson Matthey Management GmbH & Co KGおよびドイツ、レーゲンシュトラウフのChemos GmBH等の数多くの供給業者より入手することができる。
FCVA機器は、中性多原子クラスター粒子を含むマクロ粒子が相当数取り除かれるために「フィルタリング」されているカソーディックアーク源からプラズマビームを生成する。
電源を用いて末端18にバイアスが印加される。NTIより入手することができる「高電圧パルス発生器」(HVPG)などのあらゆる数の電源装置を用いることができる。電源ユニットは、マニュアルでパラメータを設定することができる制御盤を有する。また、電流過負荷及びショートから保護されているスイッチング素子絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)も採用される。発生器アッセンブリも出力ヒューズと共に装備される。
パルス発生器の出力範囲は最大−10,000V、好ましくは−5,000V、またより好ましくは−2,000Vから−4,000Vであり、パルス持続時間は1〜50μ秒;直流アーク源については好ましくは1〜20μ秒から、より好ましくは5〜10μ秒から、またFCVA源については好ましくは10〜40μ秒から、より好ましくは15〜25μ秒から;かつ周波数は最大10kHz、好ましくは1〜3kHzから、より好ましくは1.5〜2.5kHzからである。
HVPGはFCVA装置と関連し、ドリルビット10と接続される。FCVA装置の操作中、HVPGは大きな負電圧のパルスをドリルビット10に供給するよう設定される。HVPGはマニュアル或いはリモートにより開始及び終了する。
TaCの硬質被膜層20の厚さは約0.1〜1μmである。従って、被膜層20は非常に薄く、肉眼で見ることはできないが、図1では説明のためにその厚さを実際よりも大きくしている。
FCVA装置により蒸着された硬質被膜層20は、他の蒸着法によって蒸着された既知の金属カーバイド被膜よりも長いサイクル寿命を提供することが、発明者らによって驚きをもって確認されている。理論に結びつけなくとも、プラズマ蒸着された金属及び炭素イオンにより被膜層の末端18への非常に密な接着が保証されるため、ドリルビット10のサイクル寿命が延長すると考えられる。さらに、金属及び炭素イオンの各層が互いに重なって蒸着し被膜を形成するため、非常に密な被膜層が形成されて非常に高い硬度を提供すると考えられる。さらに、プラズマビームがフィルタリングされるとマクロ粒子をもたない平滑な被膜が確保される。発明者らは、PCB基板の穿孔を必要とするPCBの製造においては、ドリルビット10は既知の蒸着法で被膜されたドリルビットよりも相当長いサイクル寿命を有することを、驚きをもって確認している。
図2を参照すると、ツールビット10の末端18に付加することができる被膜20Aの1つの実施形態の断面模式図が示される。被膜20Aは、FCVA装置から生成され、ツールビット10の末端18に蒸着されるフィルタリングされたプラズマビームより形成される第1の金属層22Aよりなる。金属層18の金属はタンタル(Ta)であり、かつ厚さ(t)は0.05μmから0.8μmの間である。
一次TaC層24Aは金属層22Aに付加される。一次TaC層24Aは、その間にツールビット末端18がバイアス−2800Vから−3500Vでバイアス印加されるプラズマビームにより蒸着される。比較的低いバイアスは範囲15〜25GPaの比較的低い軟度を有する比較的柔らかい一次TaC層24Aを生成する。一次TaC層24Aの厚さ(tLs)は約0.05μmから約0.8μmの間である。
一次TaC層24Aが形成された後、フィルタリングされたプラズマビームを適用し続けて二次TaC層26Aを形成するが、ただしバイアスは-1500Vから−2500Vまでに低下させる。バイアスの負電圧が大きいために二次TaC層26Aの硬度は約15〜35GPaまで上昇する。二次TaC層26Aの厚さ(tLh)は約0.05μmから約0.8μmの間である。
従って、ツールビット末端18と一次層24Aとの間の金属層22Aによりこれに続く層の接着が促進される。さらに、一次層24Aと二次層26Aとの間の硬度の上昇により、金属層22Aから最上層の二次層26Aの方向に被膜20Aの硬度が上昇する。硬度の上昇により、被膜20Aのうち穿孔操作中工作物に最も露出される部分が最も硬い層となるために、PCB製造時のドリルビット10のサイクル寿命が確実に延長する。
さらに、ツールビット末端18から最上層の二次被膜層26Aまでの連続的な層の硬度の増加によりすぐれた接着が確保されるため、被膜は末端18に確実に保持される。
層24A及び26Aは図2に別の2層として示されているものの、これは例示的な目的に過ぎないことを認識すべきである。実際には、プラズマによるTaC被膜の蒸着中にバイアス負電圧を連続的に高めながら、金属層から最上層の被膜まで硬度が上昇する多数の層を形成することもある。従って、硬度が上昇する層は必ずしも図2に示すように別に層を形成するわけではなく、被膜の末端に向かって硬度が増加する複数の層より構成されることもある。
図3を参照すると、図2の一次層24Aが一次層24Bに対応し、図2の二次層26Aが二次層26Bに対応し、金属層22Aが存在しない図2と同じ被膜が示される。
上述のFCVA装置を用いて直径200μmのWC−Coドリルビットを硬質被膜で被膜した。硬質被膜は全被膜層が約0.1μmである「被膜A」及び全被膜層が約0.3μmである「被膜B」の2群より構成された。
硬質被膜A及びBは、その間にドリルビットにバイアスを印加しなかった被膜Aの0.02及び被膜Bの0.1μmの第1の金属被膜(Ta)より構成された。
次にTaイオン及び炭素イオンのフィルタリングプラズマビームを金属層に適用して、被膜Aは0.04μm、被膜Bは0.1μmの厚さを有するTaCの一次層を形成した。一次層を形成する際、持続時間10μ秒かつ周波数3kHzのパルス−3200Vをドリルビットに印加した。一次層が形成された後、被膜Aは0.04μm、被膜Bは0.1μmの厚さを有する最上層のTaC二次層が形成された。二次層を形成する際、持続時間10μ秒かつ周波数3kHzのパルス−1600Vをドリルビットに印加した。
両被膜の一次層は約15〜25GPaの硬度を有し、二次層は約25〜35GPaであった。
数多くのドリルビット被膜にラマン分光分析を実施し、これにおいて各サンプル被膜のピーク強度を得た。サンプル被膜のピーク強度(I/I)は約0.3から0.5と比較的硬いラマン強度値を有し、被膜が比較的硬いことを示すことが確認された。
次に、被膜A及びBの被膜されたドリルビットを用いて、重ねて全体の厚さを5mmとしたPCB製造に用いられる種類のファイバーグラス板に穿孔し、ドリルビットが鈍化して交換を必要とするまでのサイクル数を記録した。比較のために、非被膜WC−Coドリルビットにも同じ穿孔操作を行い、これらの非被膜ドリルビットが交換を必要とするまでのサイクル数を記録した。
被膜A、被膜B及び非被膜ドリルビットについて2000ドリルビットサンプル群を試験し、結果を以下の表1に示す。
Figure 2007290122
これにより、被膜されたドリルビットは非被膜WC−Coドリルビットと比較してほぼ4倍のサイクル寿命の延長を示したことがデータより分かる。従って、硬質被膜はPCB製造におけるドリルビットのサイクル寿命を大きく延長することが認識されるであろう。
プラズマ蒸着被膜はドリルビットへの優れた接着性も示すので、既知の被膜法と比較してそのサイクル寿命を延長する。従って開示された被膜はドリルビットの高い摩耗率に関する問題を克服する。
前述の開示を読んだ後、当業者には本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく本発明の多様な他の改変及び適合が明らかとなるであろう。例えば、開示されたドリルビット、その製造方法及びその使用はPCB製造において特に有用であるが、ドリルビットへの被膜はメーソンリードリルビットなどの他の用途に使用できることが認識されるであろう。従って、こうした全ての改変及び適応は付属の請求項の範囲内に入ることが意図されている。 付属の図面は開示された実施形態を例示し、かつ開示された実施形態の原理を説明する役割を果たす。しかし、図面は例示のみを目的としてであって、本発明の限界の定義としてはデザインされていないことを理解すべきである。
1つの開示された実施形態による被膜されたツールビットの側面模式図である。 図1のツールビットの工作端に適用される1つの被膜実施形態の断面模式図である。 図1のツールビットの工作端に適用される他の被膜実施形態の断面模式図である。

Claims (35)

  1. 長軸を有する円筒形の本体;
    前記円筒形本体を前記長軸の周囲で回転させることのできる器具との係合を目的とした前記本体の一端上の器具係合端;
    前記本体の前記器具係合端と対側の末端上の工作端;及び
    前記工作端上に提供されるプラズマ蒸着金属カーバイド被膜層であって、使用時に前記円筒形本体がその長軸の周囲を回転するに従い前記の被膜された工作端が工作物に穴を穿孔する被膜層を含むツールビット。
  2. 請求項1に記載のツールビットであって、前記硬質被膜層が250nmから3000nm、250nmから2500nm、250nmから2000nm、250nmから1500nm、250nmから1000nm、500nmから3000nm、500nmから2500nm及び1000nmから2000nmからなる群から選択される厚さを有するツールビット。
  3. 請求項1に記載のツールビットであって、前記硬質皮膜層が少なくとも10GPaの硬度を有するツールビット。
  4. 請求項3に記載のツールビットであって、前記硬質皮膜層が10GPaから35GPa或いは15GPaから25GPaの硬度を有するツールビット。
  5. 請求項1に記載のツールビットであって、前記硬質被膜層が前記工作端上に提供される一次層及び前記一次層上に提供される二次層であって、前記二次層の硬度が前記一次層よりも高い一次層及び二次層を含むツールビット。
  6. 請求項5に記載のツールビットであって、前記一次層が硬度5GPaから10GPaを有し、かつ前記二次層が硬度10GPaから35GPaを有するツールビット。
  7. 請求項5に記載のツールビットであって、前記一次及び二次層が独立してそれぞれ250nmから1500nm、500nmから1500nm、及び800nmから1500nmの範囲内の厚さを有するツールビット。
  8. 請求項1に記載のツールビットであって、前記金属カーバイドの前記金属が遷移金属であるツールビット。
  9. 請求項8に記載のツールビットであって、前記遷移金属カーバイドの前期遷移金属がTi、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Fe、Ru、Os及びその組合せからなる群から選択されるツールビット。
  10. 請求項8に記載のツールビットであって、前記遷移金属カーバイドがタンタルカーバイドであるツールビット。
  11. 請求項1に記載のツールビットであって、前記硬質皮膜層がフィルタードプラズマを用いて蒸着されているツールビット。
  12. 請求項11に記載のツールビットであって、前記フィルタードプラズマがカソーディックバキュームアークより生成されているツールビット。
  13. 請求項1に記載のツールビットであって、前記ツールビットがプリント回路基板(PCB)ドリルビットであるツールビット。
  14. 請求項1に記載のツールビットであって、前記ツールビットがプリント回路基板(PCB)ルータービットであるツールビット。
  15. 請求項1に記載のツールビットであって、前記円筒型本体が0.05mmから3mm、0.05mmから2mm、0.05mmから1mm、0.05mmから0.5mm及び0.05mmから0.25mmからなる群から選択される直径を有するツールビット。
  16. 請求項1に記載のツールビットであって、前記工作端と前記硬質被膜層の間に蒸着された金属層を含むツールビット。
  17. 請求項16に記載のツールビットであって、前記金属層の厚さが250nmから1500nmであるツールビット。
  18. 請求項1に記載のツールビットであって、前記円筒形本体がタングステンカーバイドとコバルトを含むツールビット。
  19. 請求項1に記載のツールビットであって、前記被覆層が約0.3から約1の間のラマン強度値を示すことで特徴付けられるツールビット。
  20. 請求項1に記載のツールビットであって、前記被覆層の硬度が前記工作端から前記被覆層の末端の方向に硬度が全般的に上昇するツールビット。
  21. 請求項1に記載のツールビットであって、前記工作物がプリント回路基板(PCB)の基材であるツールビット。
  22. 長軸を有する円筒形本体、前記円筒形本体を前記長軸の周囲で回転させることのできる器具との係合を目的とした前記本体の一端上の器具係合端、及び前記本体の前記器具係合端と対側の末端上の工作端を含むツールビットを被覆する方法であって、
    (a)その上に金属カーバイド層を形成するためにプラズマ金属イオン及び炭素イオンを前記工作端上に蒸着する段階を含む方法。
  23. 請求項22に記載の方法であって、段階(a)の前に:
    (b)不活性雰囲気中、或いは真空下で、カソーディックバキュームアーク源から金属イオン及び炭素イオンを含むプラズマビームを発生;及び
    (c)そこからの全てのマクロ粒子をほとんど除去するために前記プラズマビームをフィルタリングする段階を含む方法。
  24. 請求項22に記載の方法であって、段階(a)中に:
    (d)交流バイアスパルスであって、前記バイアスパルスが比較的負電荷の高いバイアスパルスと比較的負電荷の低いバイアスパルスの間を変動するバイアスパルスを前記ツールビットの前記工作端に印加する段階を含む方法。
  25. 請求項24に記載の方法であって:
    (d1)前記の負電荷の高いバイアスパルスを−1800Vから−4,500V及び−2000Vから−2500Vの範囲からなる群から選択する段階を含む方法。
  26. 請求項24に記載の方法であって:
    (d2)前記の負電荷の低いバイアスパルスを−50Vから−500V及び−100Vから−200Vの範囲からなる群から選択する段階を含む方法。
  27. 請求項24に記載の方法であって:
    (e)最大10kHzの周波数で前期基材に前期バイアスパルスを印加する段階を含む方法。
  28. 請求項27に記載の方法であって、前記パルス印加段階(e)が:
    (e1)前期周波数を1kHzから3kHzの範囲から選択する段階を含む方法。
  29. 請求項27に記載の方法であって、前記パルス印加段階(e)が:
    (e2)パルス持続時間を1μ秒から50μ秒、1μ秒から25μ秒、5μ秒から10μ秒からなる群から選択する段階を含む方法。
  30. プリント回路基板(PCB)の製造を目的としたツールビットの使用であって、前記ツールビットが:
    長軸を有する円筒形の本体;
    前記円筒形本体を前記長軸の周囲で回転させることのできる器具との係合を目的とした前記本体の一端上の器具係合端;
    前記本体の前記器具係合端と対側の末端上の工作端;及び
    前記工作端上に提供されるプラズマ蒸着した金属カーバイド被膜層であって、
    使用時に前記円筒形本体がその長軸周囲を回転するに従い前記被膜工作端がPCBの前記基材に穴を穿孔する被膜層を含む使用。
  31. (a)長軸を有する円筒形本体、前記円筒形本体を前記長軸の周囲で回転させることのできる器具との係合を目的とした前記本体の一端上の器具係合端、及び前記本体の前記器具係合端と対側の末端上の工作端を含むツールビットを提供、及び
    (b)その上に金属カーバイド層を形成するためにプラズマ金属イオン及び炭素イオンを前記工作端上に蒸着する段階を含むツールビットを製造する方法。
  32. 長軸を有する円筒形の本体;
    前記円筒形本体を前記長軸の周囲で回転させることのできる器具との係合を目的とした前記本体の一端上の器具係合端;
    前記本体の前記シャンク端と対側の末端上の工作端;及び
    前記円筒形本体がその長軸の周囲を回転するに従い前記PCBに穴を穿孔することを目的とした前記工作端上のプラズマ金属カーバイド蒸着被膜層を含むプリント回路基板(PCB)ドリルビット或いはルータービット。
  33. プリント回路基板(PCB)製造時のPCBの基材への穴の穿孔を目的としたツールビットの使用であって、前記ツールが:
    長軸を有する円筒形の本体;
    前記円筒形本体を前記長軸の周囲で回転させることのできる器具との係合を目的とした前記本体の一端上の器具係合端;
    前記本体の前記シャンク端と対側の末端上の工作端;及び
    約1.5μm或いはそれ以下の厚さを有する前記工作端上のタンタルカーバイド被膜層であって、
    使用時に前記円筒形本体がその長軸周囲を回転するに従い前記被膜層が前記PCB基材に穴を穿孔する被膜層を含む使用。
  34. 請求項1に記載のツールビットによって穿孔された1つあるいはそれ以上の穴を有するプリント回路基板(PCB)。
  35. プリント回路基板(PCB)の基材に穴を穿孔する方法であって:
    (a)ドリル或いはルーターツールビットでのPCB基板基材への穿孔であって、前記ツールビット末端がその上にプラズマ蒸着金属カーバイド被膜層を含む穿孔の段階を含む方法。
JP2007113004A 2006-04-24 2007-04-23 プラズマ蒸着金属カーバイド被膜を有するツールビット Pending JP2007290122A (ja)

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US79456406P 2006-04-24 2006-04-24

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2007290122A true JP2007290122A (ja) 2007-11-08

Family

ID=38761237

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007113004A Pending JP2007290122A (ja) 2006-04-24 2007-04-23 プラズマ蒸着金属カーバイド被膜を有するツールビット

Country Status (4)

Country Link
JP (1) JP2007290122A (ja)
CN (1) CN101073841A (ja)
SG (1) SG136918A1 (ja)
TW (1) TW200808473A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN114918460A (zh) * 2022-06-01 2022-08-19 深圳市金洲精工科技股份有限公司 一种耐磨钻头、其制备方法和用途

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN108424979A (zh) * 2017-02-14 2018-08-21 广西隆成机械设备制造有限公司 糖厂甘蔗压榨撕解刀具
CN112757380A (zh) * 2020-11-18 2021-05-07 江门崇达电路技术有限公司 一种提升线路板高密度微小孔钻孔效率的方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN114918460A (zh) * 2022-06-01 2022-08-19 深圳市金洲精工科技股份有限公司 一种耐磨钻头、其制备方法和用途
CN114918460B (zh) * 2022-06-01 2024-03-19 深圳市金洲精工科技股份有限公司 一种耐磨钻头、其制备方法和用途

Also Published As

Publication number Publication date
CN101073841A (zh) 2007-11-21
TW200808473A (en) 2008-02-16
SG136918A1 (en) 2007-11-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8354177B2 (en) Surface-coated cutting tool
EP2064363B1 (en) Coated drill and a method of making the same
JP4738974B2 (ja) 表面被覆切削工具
JP5257750B2 (ja) 表面被覆切削工具
JP2009078351A (ja) 被膜付き切削工具の製造方法
JP4540120B2 (ja) 多層皮膜被覆工具及びその被覆方法
JP6612864B2 (ja) 切削工具
JP2006225708A (ja) 耐摩耗皮膜及び耐摩耗皮膜被覆切削工具及び耐摩耗皮膜の製造方法
JP2006519114A (ja) コーテッド超硬タップ
JP2009220238A (ja) 非晶質炭素被覆工具
JP2006181706A (ja) 表面被覆切削工具およびその製造方法
JP2007290122A (ja) プラズマ蒸着金属カーバイド被膜を有するツールビット
WO2007010601A1 (ja) ドリル
JP2007084899A (ja) 被覆部材、被覆部材の被覆方法
JP6973069B2 (ja) 回転工具
US20100196109A1 (en) Cutting tools having plasma deposited carbon coatings
JP2007136611A (ja) 非晶質カーボン被覆切削工具及びその製造方法
JP6122975B2 (ja) TixSi1−xN層を含んでなるコーティングによりワークピースをコーティングする方法
JP2005022064A (ja) 被覆穴あけ工具
WO2018037648A1 (ja) 表面被覆切削工具およびその製造方法
JP2006181705A (ja) 表面被覆切削工具およびその製造方法
JP6743349B2 (ja) 切削工具
JP2006088229A (ja) 被覆小径工具及びその被覆方法
JP4799345B2 (ja) エンドミルおよびその製造方法
WO2020039735A1 (ja) 切削工具