JP2007287542A - 生物燃料電池用隔膜及び生物燃料電池 - Google Patents

生物燃料電池用隔膜及び生物燃料電池 Download PDF

Info

Publication number
JP2007287542A
JP2007287542A JP2006115322A JP2006115322A JP2007287542A JP 2007287542 A JP2007287542 A JP 2007287542A JP 2006115322 A JP2006115322 A JP 2006115322A JP 2006115322 A JP2006115322 A JP 2006115322A JP 2007287542 A JP2007287542 A JP 2007287542A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cation exchange
exchange membrane
diaphragm
negative electrode
biofuel cell
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2006115322A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4849943B2 (ja
Inventor
Shiyunei Kakizono
俊英 柿薗
Tomoko Ono
智子 大野
Minoru Kawashima
稔 河島
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hiroshima University NUC
Astom Corp
Original Assignee
Hiroshima University NUC
Astom Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hiroshima University NUC, Astom Corp filed Critical Hiroshima University NUC
Priority to JP2006115322A priority Critical patent/JP4849943B2/ja
Publication of JP2007287542A publication Critical patent/JP2007287542A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4849943B2 publication Critical patent/JP4849943B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/50Fuel cells

Landscapes

  • Fuel Cell (AREA)

Abstract

【課題】プロトンの透過性に優れた生物燃料電池用隔膜を提供する。
【解決手段】カチオン交換膜と、該カチオン交換膜の片面にのみ設けられたポリカチオン層とから構成された複合カチオン交換膜からなることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、生物燃料電池に使用される隔膜及び該隔膜を用いた生物燃料電池に関する。
近来における地球温暖化防止という環境対策の観点から、炭酸ガスを発生しない燃料電池が注目されている。この燃料電池として代表的なものは、所謂水素燃料電池と呼ばれるものであるが、水素ガスや天然ガスなどの可燃性ガスを燃料源(プロトン源)として用いなければならないという欠点がある。一方、燃料電池には、バイオマスをプロトン源とする生物燃料電池(バイオ燃料電池と呼ぶこともある)があり、可燃性ガスを使用しないという利点があり、また、炭酸ガスの発生を伴うものの、植物由来のバイオマスの使用により、炭酸ガスの正味の増大を伴わず、さらには、有機物資源の再利用という観点から、現在注目されており、種々の生物燃料電池が提案されている(特許文献1〜3)。
この生物燃料電池の原理を簡単に説明すると、以下の通りである。
即ち、生物燃料電池では、負極を備えた負極室(燃料極室)と、正極を備えた正極室(酸素極室)とが隔膜(プロトン透過膜)で仕切られており、負極室には、有機物を代謝分解する酵素などの生体触媒とともに、電子メディエータが存在しており、一方、正極室には、例えば多価金属イオンを含む電解液が充填されており、酸素が吹き込まれる。
このような生物燃料電池において、負極室にプロトン発生源となるバイオマスが供給されると、生体触媒によるバイオマスの分解によって生じた電子を、電子メディエータが負極に伝達する。負極に達した電子は、外部回路で仕事をした後に、正極に到達する。正極に到達した電子は、正極室中の多価金属イオン(例えばFe3+)を還元するため、この多価金属イオンは、低い価数の金属イオン(例えばFe2+)となる。一方、隔膜を透過して正極室に導入されたプロトンは、低い価数の金属イオンとともに酸素によって酸化され、これにより、水が生成すると同時に、低い価数の金属イオンを元の価数の高い金属イオンに戻る。この反応は、例えば下記式:
+Fe2++O=HO+Fe3+
で表され、これにより、水を生成する電極反応が完結する。このような電極反応が連続的に行われることにより、電流が発生して発電が行われることとなる。
特開2005−79001 特開2006−66284 特開平10−233226
ところで、上述したような機構で発電する生物燃料電池においては、隔膜を介してプロトンを選択的に安定に透過させることが困難であるという問題があり、このため、長時間にわたっての発電が困難であり、エネルギー効率が小さいという問題があった。例えば、プロトンを選択的に透過させる隔膜として、ポリテトラフルオロエチレンの如きフッ素樹脂を硫酸化したカチオン交換膜(例えば、デュポン社製ナフィオン)などが提案されているが、このようなカチオン交換膜は、メディエータが存在しない系では良好なプロトン透過性を示すのであるが、メディエータが存在する場合には、十分なプロトン透過性を示さない。
従って本発明の目的は、プロトンの透過性に優れた生物燃料電池用隔膜を提供することにある。
本発明の他の目的は、上記の隔膜を用いた生物燃料電池を提供することにある。
本発明によれば、カチオン交換膜と、該カチオン交換膜の片面にのみ設けられたポリカチオン層とから構成された複合カチオン交換膜からなることを特徴とする生物燃料電池用隔膜が提供される。
本発明の生物燃料電池用隔膜においては、前記カチオン交換膜が炭化水素系カチオン交換膜であることが好ましい。
本発明によれば、また、負極が配置され且つプロトン源となるバイオマスと生体触媒とが存在する負極室と、正極が配置され且つ電解液が存在する正極室と、該負極室と正極室とを区画する隔膜とからなる生物燃料電池において、
前記隔膜として、カチオン交換膜と、該カチオン交換膜の片面にのみ形成されたポリカチオン層とからなる複合カチオン交換膜が使用され、
前記隔膜は、前記複合カチオン交換膜のカチオン層が前記負極室に面するように配置されていることを特徴とする生物燃料電池が提供される。
本発明の生物燃料電池においては、
(1)前記負極室には、電子メディエータが存在すること、
(2)前記電解液は、酸素還元能を有する多価金属イオンを含有するものであること、
が好適である。
本発明の隔膜は、カチオン交換膜の片面にポリカチオン層が形成されているため、プロトンに対する選択的透過性が極めて優れており、特に電子メディエータが液中に存在する場合において、優れた選択的透過性を示す。即ち、このような隔膜は、そのポリカチオン層が負極室に面するように生物燃料電池内に配置されて使用され、安定に長期間にわたって発電を行うことができ、高いエネルギー効率を確保することができる。
例えば、後述する実施例から明らかなように、前述したナフィオンの如きフッ素樹脂系のカチオン交換膜からなる隔膜は、電子メディエータを含まない液に対しては優れたプロトン透過性を示すものの、電子メディエータを含む液に対してはそのプロトン透過性が大きく低下してしまう。一方、本発明の隔膜は、電子メディエータが含まない液に対しては、上記フッ素樹脂系隔膜よりもやや優れたプロトン透過性を示すものの、電子メディエータを含む液に対しては、上記のフッ素樹脂系のカチオン交換膜からなる隔膜と比較しても優れたプロトン透過性を示すのである。
本発明の隔膜が、特に電子メディエータを含む液に対して優れた液透過性を示す理由は、明確に解明されたわけではないが、本発明者等は、次のように推定している。
即ち、生物燃料電池の負極室に使用される電子メディエータは疎水性の高い物質であり、フッ素樹脂系樹脂などのカチオン交換膜などに対しては高い吸着性を示し、このために膜表面に電子メディエータが吸着され、この結果、電子メディエータを含んでいる液に対してのプロトン透過性は低いものとなってしまう。一方、本発明の隔膜では、カチオン交換膜の表面にカチオン交換層が形成されているため、このカチオン交換層によって電子メディエータの吸着が抑制され、電子メディエータの吸着によるプロトン透過性の低下を有効に回避でき、優れたプロトン透過性を維持することが可能になるものと思われる。
また、本発明の隔膜においては、ポリカチオン層は、カチオン交換膜の一方の面にのみ形成され、このポリカチオン層が負極室に面するように配置されることが重要である。即ち、ポリカチオン層が電子メディエータの吸着を防止する機能を有しているため、このポリカチオン層が負極室に面するように配置されるが、このようなポリカチオン層はアニオン交換体であり、プロトンに対しては、電気的反発力によって透過を抑止する作用を示す。従って、ポリカチオン層をカチオン交換膜の両面に設けてしまうと、正極室側に面するポリカチオン層が全く意味をなさず、単にプロトン透過性を低下させるに過ぎなくなってしまうからである。(ポリカチオン層を一方の面にのみ形成した隔膜であっても、ポリカチオン層が正極室に面するように隔膜を配置してしまうと、上記と全く同様、カチオン透過性が低下してしまう。)
<隔膜>
本発明の生物燃料電池用隔膜は、カチオン交換膜の片面にポリカチオン層を設けたものであるが、かかる隔膜の形成に使用されるカチオン交換膜は、特に限定されず、公知のカチオン交換膜であってよい。例えば、スルホン酸基、カルボン酸基、ホスホン酸基、硫酸エステル基、チオール基、重金属との間にキレート構造を作り得るような活性基等のイオン交換基を有するカチオン交換膜を使用することができる。また、カチオン交換膜は、重合型、縮合型、均一型、不均一型など、製造方法に由来するカチオン交換膜の種類、型式等、如何なるものであってもよいし、補強のために使用する補強材の有無や、イオン交換基が結合する樹脂の材質(通常、炭化水素系樹脂またはフッ素系樹脂が使用されている)も特に制限されないが、寸歩安定性や電気的性能などの観点から、オレフィン系樹脂やスチレン系樹脂を主ポリマーとし、これにスルホン酸基などのカチオン交換基が導入された炭化水素系のカチオン交換膜が好適である。
また、このカチオン交換膜は、通常、0.1[meq/g dry membrane]以上、特に0.5[meq/g dry membrane]乃至3[meq/g dry membrane]のカチオン交換容量を有するものであればよく、その厚みは特に制限されないが、一般的には0.01mm乃至5mm程度であればよい。さらに、カチオン交換膜は、含水の状態で使用されるものであってもよいし、無水の状態で使用されるものであってもよいが、通常は含水の状態で使用されるものがよく、膜中のカチオン交換基は、水素型でも塩型でもよく、さらには、塩類、酸、塩基、その他の物質が膜中に含まれていてもよい。
上記のようなカチオン交換膜の片面へのカチオン層の形成は、従来公知の方法が何ら制限されること無く用いられる。例えば特公昭46−23607号公報や特公昭47−3081などに記載された分子量の大きい陽イオンとなり得る物質を膜表面に吸着させ、カチオン層を形成する方法、特開昭56−50933号などに記載された特定した一般式で示される2個以上の第4級アンモニウム塩基と1個または2個のビニルベンジル基を有するビニル化合物又は該ビニル化合物の重合体をカチオン交換膜の表面に存在させる方法、特公昭38−16633号公報に記載された陰イオン交換膜となるべき糊状物質を塗布し、これに放射線照射して強固に密着させたカチオン層を形成する方法、特公昭32−3962号記載のカチオン交換膜と陰イオン交換膜を、ポリエチレンイミン−エピクロルヒドリンの混合物で張り合わせ硬化接着する方法、特公昭34−3961号記載のカチオン交換膜と陰イオン交換膜をイオン交換性接着剤で接着させる方法、特公昭35−14531号記載のカチオン交換膜と陰イオン交換膜とを微粉のイオン交換樹脂、陰またはカチオン交換樹脂と熱可塑性物質とのペースト状混合物を塗布し圧着させる方法、特開昭53−37190号記載のイオン交換膜の表面に反対電荷を有するイオン交換樹脂の分散系と母体重合体との混合物を沈着させる方法、
米国特許3562139号記載のポリエチレンフィルムにスチレン、ジビニルベンゼンを含浸重合したシート状物をステンレス製の枠にはさみつけ、一方の側をスルホン化させた後、シートを取り外して残りの部分にクロルメチル化次いでアミノ化処理する方法などが挙げられる。
また、カチオン交換膜の一面上に溶媒に溶解した陰イオン交換基を有する高分子体溶液もしくは該高分子体の前駆体溶液を流延、塗布又は噴霧して陰イオン交換層を形成する方法なども可能である。
上記のようにしてカチオン交換膜上に形成されるポリカチオン層は、カチオン交換膜のプロトン透過性を損なわない程度の特性を有しているべきであり、例えば、その厚みは、通常、0.01μm乃至100μm程度であるのがよく、さらに、アニオン交換容量は0.001[meq/g dry membrane] 乃至0.4[meq/g dry membrane]程度であるのがよい。
本発明においては、上記のような片面にポリカチオン層を備えたカチオン交換膜を生物燃料電池の隔膜として使用することにより、プロトンを有効に透過せしめて安定して電極反応を行い、長期間にわたって安定的に発電を行うことができる。
図1には、上記の隔膜を用いた生物燃料電池の概略構造を示した。図1に示されているように、この生物燃料電池は、負極室1と正極室3とを備えており、負極室1と正極室3とは、前述したカチオン交換膜の片面にポリカチオン層が形成された隔膜5によって区画されている。この隔膜5は、ポリカチオン層が負極室1側に対面するように配置される。
負極室1には、負極7が配置され、正極室3には、正極9が配置されており、負極7と正極9とは、外部回路を介して結線されている。これらの電極としては、それ自体公知のものを使用することができ、例えば、負極7としては、鉄、ニッケル、白金、チタン/白金、カーボン、ステンレススチールなどが使用され、正極9としては、白金、チタン/白金、カーボン、ニッケル、ルテニウム/チタン、イリジウム/チタンなどが使用される。また、このような電極の構造もそれ自体公知の構造であってよく、例えばメッシュ状、格子状等、任意の構造を有していてよい。
かかる生物燃料電池において、負極室1には、生体触媒11及び電子メディエータ13が存在しており、かかる負極室1に燃料源となるバイオマスが供給される。
バイオマスとしては、所謂生産資源に由来するもの、或いは廃資源に由来するものなど、特に制限されず、種々のものを使用することができる。
例えば、生産資源に由来するものには、陸地資源や水域資源に由来するものなどがある。陸地資源に由来するものとしては、これに限定されるものではないが、例えば、サトウキビ、テンサイ、スイートソルガムなどの糖質系のもの;米、トウモロコシ、サツマイモなどのデンプン系のもの;広葉樹、針葉樹、低利用里山資源(クヌギ、ナラなど)ササ、タケ、ポプラなどの森林系のもの;ユーカリ葉、アオサンゴなどの炭化水素系のもの;ナタネ、落花生、大豆など油脂系のもの;を例示することができる。また、水域資源に由来するものとしては、これに限定されるものではないが、ホテイアオイなどの淡水系のもの;キチン質、マコンブ、ジャイアントケルプなどの海洋系のもの;植物プランクトンなどの微生物系のもの;を例示することができる。
また、廃資源に由来するものには、農林畜産資源や廃棄物資源(都市ゴミ)がある。農林畜産資源の例としては、林地残材(林条、小径木など)、工場残廃材(端材、おがくず、樹皮など)、建築廃材(木屑)、古紙等の林産系のもの;籾殻、稲わら、麦わら、パガス、その他農産残渣等の農産系のもの;牛、ブタ、鶏等の家畜の糞尿、と場残渣などの畜産系のもの;水産加工残渣、投棄魚、死魚などの水産系のもの;を挙げることができる。また、廃棄物資源の例としては、汚泥、パルプ廃液、食品加工残渣、廃植物油などの産業系のもの;家庭ごみ、厨芥、下水汚泥などの生活系のもの;ポリエチレン、ポリプロピレンなどの廃プラスチック系のもの;を挙げることができる。
これらのバイオマスは、その形態に応じて、適宜、水に分散乃至溶解させて負極室1内に供給される。最も好適には、廃棄物資源由来のバイオマスが使用される。
また、生体触媒11は、供給されるバイオマスを分解して電子を取り出す作用を有する微生物や酵素などであり、大腸菌、活性汚泥、或いはグルコース酸化分解酵素など、各種のものを供給されるバイオマスの種類に応じて適宜のものが使用される。これらの生体触媒11は、バイオマスとともに負極室1に供給されてもよいし、適宜、負極7に固定されていてもよい。
さらに、電子メディエータ13は、酸化・還元性の物質であり、生体触媒11により酸化分解されたバイオマスから電子を、酸化型のメディエータ13aが奪って還元型のメディエータ13bとなる。このような電子メディエータ13は、疎水性が高く、細胞膜の透過性を有しており、細胞への出入りの容易な物質であり、例えば細胞から電子を奪った還元型メディエータ13bは、細胞外へ出て、負電極7に伝達し、電子の放出により再び酸化型メディエータ13aに戻る。
このような電子メディエータ13としては、種々のものが知られており、代表的なものは、メチレンブルー、1,4−ベンゾキノン、ユビキノン(UQ)、ビタミンKなどである。また、これら以外にも、例えば下記式に示したものなどがある。
Figure 2007287542
尚、上述した電子メディエータ13は、通常、バイオマスととともに、負極室1内に供給される。
負極7に達した電子は、外部回路で仕事をした後に、正極9に到達し、また、負極室1において電子メディエータ13による酸化によって発生したプロトン(H)は、前述した本発明の隔膜5を透過して正極室3に導入される。
正極室1には、電解液が充填されているが、この電解液中は、酸化・還元性を有する多価金属(例えばFe)を含むイオン性化合物が、電子伝達材料として含んでおり、さらに、酸素が吹き込まれる。電子伝達材料として使用されるイオン性化合物としては、種々のものを使用することができるが、電離度が高いなどの観点からフェロシアン化鉄(Fe(CN))が代表的である。
即ち、隔膜5を通過して正極室3内に導入されたプロトンは、酸素によって酸化され、水を生成する。一方、正極9に到達した電子は、電解液中の電子伝達材料に由来する多価金属イオン(例えばFe3+)を還元し、この多価金属イオンは、低い価数の金属イオン(例えばFe2+)となる。この低い価数の金属イオン(例えばFe2+)は、上記のプロトンとともに酸化され、再び高い価数の金属イオン(例えばFe3+)に戻り、これにより、電極反応が完結する。
上記の電極反応は、例えばバイオマスとして糖質のものを用いた場合を例にとると、以下の式で表される。
負極7:
12+6HO → 6CO+24H+24e
正極9:
6O+24H+24e → 12H
上記の電極反応において、熱力学解析によると、負極7では−0.42V、正極9では+0.82Vとなり、電極間の電位差が+1.24Vとなり、理想的には、これが起電力に相当する。
本発明においては、上記のような電極反応による発電に際して、前述したポリカチオン層を片面に有するカチオン交換膜を、隔膜5として使用し、ポリカチオン層が負極室1側に対面するように配置しているため、負極室1から正極室3へのプロトン透過性が高く、上記の電極反応を安定に長期間にわたって実行することができる。以下の実施例及び比較例から明らかなように、電子メディエータが存在する系で電極反応を実施すると、本発明の隔膜を用いた場合には、電子メディエータの吸着がないため、例えばフッ素系のカチオン交換膜を隔膜として用いた場合(比較例1)に比しても高いプロトン透過性を確保することができる。
本発明の優れた効果を、次の実施例及び比較例で説明する。
<実施例1>
隔膜として、カチオン交換膜の片面にポリカチオン層を形成した以下の仕様の膜(株式会社アストム製ネオセプタCIMS)を用意した。
ネオセプタCIMS:
交換容量;2.2[meq/g dry membrane]
カチオン交換膜;
主ポリマー;ポリスチレン
カチオン交換基;スルホン酸基
カチオン交換容量;2.4[meq/g dry membrane]
厚み;0.15mm
ポリカチオン層;
カチオン;第4級アンモニウム塩基
電極面積(片面); 30cm
容量が400mlの容器を、上記の隔膜を用いて2つの室に仕切り、一方の室に0.21gの塩酸を入れ、他方の室にpHが約6.8の10mMリン酸カリウム緩衝液を入れた。
この状態で、他方の室の水溶液のpHを経時的に測定し、その結果を図2に示した。
また、0.21gの塩酸の代わりに、0.21gの塩酸に電子メディエータであるメチレンブルー(64mg)を添加した液を用いた以外は、上記と全く同様にして、他方の室の水溶液のpHを経時的に測定し、その結果を図3に示した。
<比較例1>
隔膜として、下記仕様のフッ素系カチオン交換膜(デュポン社製ナフィオン)を用意した。
ナフィヨン:ナフィオン112
厚み; 0.05mm
電極面積(片面);30cm
カチオン交換容量; 0.9[meq/g]
上記の隔膜を用いて、実施例1と全く同様に、塩酸及び塩酸にメチレンブルーを添加した液を一方の室に入れたときの他方の室の水溶液のpHを経時的に測定し、その結果を図2及び図3に示した。
<比較例2>
隔膜として、カチオン交換膜の両面にポリカチオン層を形成した以下の仕様の膜(株式会社アストム製ネオセプタCMS)を用意した。
ネオセプタCMS:
交換容量;2.1[meq/g dry membrane]
カチオン交換膜;
主ポリマー;ポリスチレン
カチオン交換基;スルホン酸基
カチオン交換容量;2.4[meq/g dry membrane]
厚み; 0.15mm
ポリカチオン層;
カチオン;第4級アンモニウム塩基
電極面積(片面); 30cm
上記の隔膜を用いて、実施例1と全く同様に、塩酸及び塩酸にメチレンブルーを添加した液を一方の室に入れたときの他方の室の水溶液のpHを経時的に測定し、その結果を図2及び図3に示した。
図2及び図3の実験結果から明らかなように、電子メディエータが存在しない場合には、ナフィオンが最も良好なプロトン透過性を示すが、電子メディエータが存在するときには、本発明の隔膜が最も良好なプロトン透過性を示す。従って、本発明の隔膜は、負極室に電子メディエータが存在する系での生物燃料電池の用途に最も好適に使用されることが判る。
本発明の隔膜を用いた生物燃料電池の概略構造を示す図。 実施例及び比較例において、電子メディエータが存在しない系での隔膜のプロトン透過性に相当するpHの経時変化を示す図。 実施例及び比較例において、電子メディエータが存在する系での隔膜のプロトン透過性に相当するpHの経時変化を示す図。
符号の説明
1:負極室
3:正極室
5:隔膜
7:負極
9:正極
11:生体触媒
13:電子メディエータ

Claims (5)

  1. カチオン交換膜と、該カチオン交換膜の片面にのみ設けられたポリカチオン層とから構成された複合カチオン交換膜からなることを特徴とする生物燃料電池用隔膜。
  2. 前記カチオン交換膜が炭化水素系カチオン交換膜である請求項1に記載の生物燃料電池用隔膜。
  3. 負極が配置され且つプロトン源となるバイオマスと生体触媒とが存在する負極室と、正極が配置され且つ電解液が存在する正極室と、該負極室と正極室とを区画する隔膜とからなる生物燃料電池において、
    前記隔膜として、カチオン交換膜と、該カチオン交換膜の片面にのみ形成されたポリカチオン層とからなる複合カチオン交換膜が使用され、
    前記隔膜は、前記複合カチオン交換膜のカチオン層が前記負極室に面するように配置されていることを特徴とする生物燃料電池。
  4. 前記負極室には、電子メディエータが存在する請求項3に記載の生物燃料電池。
  5. 前記電解液は、酸素還元能を有する多価金属イオンを含有するものである請求項3または4に記載の生物燃料電池。
JP2006115322A 2006-04-19 2006-04-19 生物燃料電池用隔膜及び生物燃料電池 Active JP4849943B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006115322A JP4849943B2 (ja) 2006-04-19 2006-04-19 生物燃料電池用隔膜及び生物燃料電池

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006115322A JP4849943B2 (ja) 2006-04-19 2006-04-19 生物燃料電池用隔膜及び生物燃料電池

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007287542A true JP2007287542A (ja) 2007-11-01
JP4849943B2 JP4849943B2 (ja) 2012-01-11

Family

ID=38759117

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006115322A Active JP4849943B2 (ja) 2006-04-19 2006-04-19 生物燃料電池用隔膜及び生物燃料電池

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4849943B2 (ja)

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009236715A (ja) * 2008-03-27 2009-10-15 Kurita Water Ind Ltd スライムモニター、スライムのモニタリング方法及びコントロール方法
JP2011090974A (ja) * 2009-10-26 2011-05-06 Kri Inc 微生物燃料電池
US8183421B2 (en) * 2009-04-09 2012-05-22 Gas Technology Institute Biofuel production by high temperature non-faradaic electrochemical modification of catalysis
WO2012150738A1 (ko) * 2011-05-04 2012-11-08 알엠텍 주식회사 미생물 연료전지를 이용한 중금속 제거 또는 귀금속 회수 방법
JP2013501337A (ja) * 2009-08-05 2013-01-10 エーシーエーエル・エナジー・リミテッド 燃料電池
KR101232454B1 (ko) * 2010-12-02 2013-02-12 코오롱인더스트리 주식회사 탄화수소계 물질을 포함하는 강화 양이온 교환막을 이용한 미생물 전기분해 전지
WO2013084825A1 (ja) * 2011-12-06 2013-06-13 株式会社バイオフォトケモニクス研究所 バイオマス・有機・無機物の高効率分解浄化及び同時発電と水素生産の方法とそのためのバイオマス・有機・無機物直接燃料電池
WO2013141382A1 (ja) 2012-03-22 2013-09-26 ユニ・チャーム株式会社 生物燃料電池
JP2019504446A (ja) * 2015-12-18 2019-02-14 ケミラ ユルキネン オサケイティエKemira Oyj 微生物燃料電池及びその使用方法

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5650933A (en) * 1979-10-02 1981-05-08 Tokuyama Soda Co Ltd Modified cation exchange membrane
JPS62205135A (ja) * 1986-03-04 1987-09-09 Tokuyama Soda Co Ltd 改質陽イオン交換膜
JP2002520032A (ja) * 1998-07-09 2002-07-09 ミシガン ステイト ユニバーシティー 生物学的プロトン駆動力の発生およびピリジンヌクレオチド補因子再生のための電気化学的方法
JP2006190502A (ja) * 2004-12-28 2006-07-20 Tokyo Univ Of Agriculture & Technology バイオ燃料電池用電極およびバイオ燃料電池

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5650933A (en) * 1979-10-02 1981-05-08 Tokuyama Soda Co Ltd Modified cation exchange membrane
JPS62205135A (ja) * 1986-03-04 1987-09-09 Tokuyama Soda Co Ltd 改質陽イオン交換膜
JP2002520032A (ja) * 1998-07-09 2002-07-09 ミシガン ステイト ユニバーシティー 生物学的プロトン駆動力の発生およびピリジンヌクレオチド補因子再生のための電気化学的方法
JP2006190502A (ja) * 2004-12-28 2006-07-20 Tokyo Univ Of Agriculture & Technology バイオ燃料電池用電極およびバイオ燃料電池

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009236715A (ja) * 2008-03-27 2009-10-15 Kurita Water Ind Ltd スライムモニター、スライムのモニタリング方法及びコントロール方法
US8183421B2 (en) * 2009-04-09 2012-05-22 Gas Technology Institute Biofuel production by high temperature non-faradaic electrochemical modification of catalysis
JP2013501337A (ja) * 2009-08-05 2013-01-10 エーシーエーエル・エナジー・リミテッド 燃料電池
JP2011090974A (ja) * 2009-10-26 2011-05-06 Kri Inc 微生物燃料電池
KR101232454B1 (ko) * 2010-12-02 2013-02-12 코오롱인더스트리 주식회사 탄화수소계 물질을 포함하는 강화 양이온 교환막을 이용한 미생물 전기분해 전지
WO2012150738A1 (ko) * 2011-05-04 2012-11-08 알엠텍 주식회사 미생물 연료전지를 이용한 중금속 제거 또는 귀금속 회수 방법
WO2013084825A1 (ja) * 2011-12-06 2013-06-13 株式会社バイオフォトケモニクス研究所 バイオマス・有機・無機物の高効率分解浄化及び同時発電と水素生産の方法とそのためのバイオマス・有機・無機物直接燃料電池
JPWO2013084825A1 (ja) * 2011-12-06 2015-04-27 株式会社バイオフォトケモニクス研究所 バイオマス・有機・無機物の高効率分解浄化及び同時発電と水素生産の方法とそのためのバイオマス・有機・無機物直接燃料電池
WO2013141382A1 (ja) 2012-03-22 2013-09-26 ユニ・チャーム株式会社 生物燃料電池
JP2019504446A (ja) * 2015-12-18 2019-02-14 ケミラ ユルキネン オサケイティエKemira Oyj 微生物燃料電池及びその使用方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP4849943B2 (ja) 2012-01-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4849943B2 (ja) 生物燃料電池用隔膜及び生物燃料電池
EP2548253B1 (en) Microbial fuel cell process which maximizes the reduction of biodegradable materials contained in a fluid stream
US20120321966A1 (en) Electrolyte Enhanced Microbial Fuel Cell
Rahimnejad et al. A review on the effect of proton exchange membranes in microbial fuel cells
Yang et al. Miniaturized biological and electrochemical fuel cells: challenges and applications
JP6898939B2 (ja) 液体環境中の気相反応物用の電気化学セル
JP2012512326A5 (ja)
US9287577B2 (en) Biofuel cell
WO2017119419A1 (ja) 微生物燃料電池用ガス拡散電極、及びそれを用いた微生物燃料電池
Ferrari et al. A short overview of biological fuel cells
JP6376694B2 (ja) 微生物燃料電池
JP2015204198A (ja) 微生物燃料電池および浮遊体
WO2016194374A1 (ja) 電極複合体、並びにそれを用いた微生物燃料電池及び水処理装置
Azuma et al. Catalyst development of microbial fuel cells for renewable-energy production
Kumar et al. Engineered nanomaterials for carbon capture and bioenergy production in microbial electrochemical technologies: A review
Vijapur et al. Electrochemical peroxide generation
US8409735B2 (en) Microbial power generation method and microbial power generation device
Huong et al. Comprehensive interrogation of electrochemical reaction and energy conversion of a direct fucose fuel cell
Patil et al. Discovery And Development Of New Electricity Generation Method Using A Single Chamber Microbial Fuel Cell And New Sargassum Spp Algae
JP2020087804A (ja) 微生物燃料電池及び液体処理ユニット
JP6703859B2 (ja) 微生物燃料電池
Theodosiou Optimisation of Microbial Fuel Cells (MFCs) through bacterial-robot interaction
Iervolino et al. Membrane technology for photoelectrochemical hydrogen production
JP2019117746A (ja) 発電装置用の電極、及び、発電装置
de Rosset et al. Enhancing performance and durability of PVDF-ceramic composite membranes in microbial fuel cells using natural rhamnolipids

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080908

TRDD Decision of grant or rejection written
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110921

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110927

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20111018

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4849943

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20141028

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250