JP2007287542A - 生物燃料電池用隔膜及び生物燃料電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】カチオン交換膜と、該カチオン交換膜の片面にのみ設けられたポリカチオン層とから構成された複合カチオン交換膜からなることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
即ち、生物燃料電池では、負極を備えた負極室(燃料極室)と、正極を備えた正極室(酸素極室)とが隔膜(プロトン透過膜)で仕切られており、負極室には、有機物を代謝分解する酵素などの生体触媒とともに、電子メディエータが存在しており、一方、正極室には、例えば多価金属イオンを含む電解液が充填されており、酸素が吹き込まれる。
このような生物燃料電池において、負極室にプロトン発生源となるバイオマスが供給されると、生体触媒によるバイオマスの分解によって生じた電子を、電子メディエータが負極に伝達する。負極に達した電子は、外部回路で仕事をした後に、正極に到達する。正極に到達した電子は、正極室中の多価金属イオン(例えばFe3+)を還元するため、この多価金属イオンは、低い価数の金属イオン(例えばFe2+)となる。一方、隔膜を透過して正極室に導入されたプロトンは、低い価数の金属イオンとともに酸素によって酸化され、これにより、水が生成すると同時に、低い価数の金属イオンを元の価数の高い金属イオンに戻る。この反応は、例えば下記式:
H++Fe2++O2=H2O+Fe3+
で表され、これにより、水を生成する電極反応が完結する。このような電極反応が連続的に行われることにより、電流が発生して発電が行われることとなる。
本発明の他の目的は、上記の隔膜を用いた生物燃料電池を提供することにある。
前記隔膜として、カチオン交換膜と、該カチオン交換膜の片面にのみ形成されたポリカチオン層とからなる複合カチオン交換膜が使用され、
前記隔膜は、前記複合カチオン交換膜のカチオン層が前記負極室に面するように配置されていることを特徴とする生物燃料電池が提供される。
(1)前記負極室には、電子メディエータが存在すること、
(2)前記電解液は、酸素還元能を有する多価金属イオンを含有するものであること、
が好適である。
即ち、生物燃料電池の負極室に使用される電子メディエータは疎水性の高い物質であり、フッ素樹脂系樹脂などのカチオン交換膜などに対しては高い吸着性を示し、このために膜表面に電子メディエータが吸着され、この結果、電子メディエータを含んでいる液に対してのプロトン透過性は低いものとなってしまう。一方、本発明の隔膜では、カチオン交換膜の表面にカチオン交換層が形成されているため、このカチオン交換層によって電子メディエータの吸着が抑制され、電子メディエータの吸着によるプロトン透過性の低下を有効に回避でき、優れたプロトン透過性を維持することが可能になるものと思われる。
本発明の生物燃料電池用隔膜は、カチオン交換膜の片面にポリカチオン層を設けたものであるが、かかる隔膜の形成に使用されるカチオン交換膜は、特に限定されず、公知のカチオン交換膜であってよい。例えば、スルホン酸基、カルボン酸基、ホスホン酸基、硫酸エステル基、チオール基、重金属との間にキレート構造を作り得るような活性基等のイオン交換基を有するカチオン交換膜を使用することができる。また、カチオン交換膜は、重合型、縮合型、均一型、不均一型など、製造方法に由来するカチオン交換膜の種類、型式等、如何なるものであってもよいし、補強のために使用する補強材の有無や、イオン交換基が結合する樹脂の材質(通常、炭化水素系樹脂またはフッ素系樹脂が使用されている)も特に制限されないが、寸歩安定性や電気的性能などの観点から、オレフィン系樹脂やスチレン系樹脂を主ポリマーとし、これにスルホン酸基などのカチオン交換基が導入された炭化水素系のカチオン交換膜が好適である。
米国特許3562139号記載のポリエチレンフィルムにスチレン、ジビニルベンゼンを含浸重合したシート状物をステンレス製の枠にはさみつけ、一方の側をスルホン化させた後、シートを取り外して残りの部分にクロルメチル化次いでアミノ化処理する方法などが挙げられる。
負極7:
C6H12O6+6H2O → 6CO2+24H++24e−
正極9:
6O2+24H++24e− → 12H2O
隔膜として、カチオン交換膜の片面にポリカチオン層を形成した以下の仕様の膜(株式会社アストム製ネオセプタCIMS)を用意した。
ネオセプタCIMS:
交換容量;2.2[meq/g dry membrane]
カチオン交換膜;
主ポリマー;ポリスチレン
カチオン交換基;スルホン酸基
カチオン交換容量;2.4[meq/g dry membrane]
厚み;0.15mm
ポリカチオン層;
カチオン;第4級アンモニウム塩基
電極面積(片面); 30cm2
この状態で、他方の室の水溶液のpHを経時的に測定し、その結果を図2に示した。
また、0.21gの塩酸の代わりに、0.21gの塩酸に電子メディエータであるメチレンブルー(64mg)を添加した液を用いた以外は、上記と全く同様にして、他方の室の水溶液のpHを経時的に測定し、その結果を図3に示した。
隔膜として、下記仕様のフッ素系カチオン交換膜(デュポン社製ナフィオン)を用意した。
ナフィヨン:ナフィオン112
厚み; 0.05mm
電極面積(片面);30cm2
カチオン交換容量; 0.9[meq/g]
隔膜として、カチオン交換膜の両面にポリカチオン層を形成した以下の仕様の膜(株式会社アストム製ネオセプタCMS)を用意した。
ネオセプタCMS:
交換容量;2.1[meq/g dry membrane]
カチオン交換膜;
主ポリマー;ポリスチレン
カチオン交換基;スルホン酸基
カチオン交換容量;2.4[meq/g dry membrane]
厚み; 0.15mm
ポリカチオン層;
カチオン;第4級アンモニウム塩基
電極面積(片面); 30cm2
3:正極室
5:隔膜
7:負極
9:正極
11:生体触媒
13:電子メディエータ
Claims (5)
- カチオン交換膜と、該カチオン交換膜の片面にのみ設けられたポリカチオン層とから構成された複合カチオン交換膜からなることを特徴とする生物燃料電池用隔膜。
- 前記カチオン交換膜が炭化水素系カチオン交換膜である請求項1に記載の生物燃料電池用隔膜。
- 負極が配置され且つプロトン源となるバイオマスと生体触媒とが存在する負極室と、正極が配置され且つ電解液が存在する正極室と、該負極室と正極室とを区画する隔膜とからなる生物燃料電池において、
前記隔膜として、カチオン交換膜と、該カチオン交換膜の片面にのみ形成されたポリカチオン層とからなる複合カチオン交換膜が使用され、
前記隔膜は、前記複合カチオン交換膜のカチオン層が前記負極室に面するように配置されていることを特徴とする生物燃料電池。 - 前記負極室には、電子メディエータが存在する請求項3に記載の生物燃料電池。
- 前記電解液は、酸素還元能を有する多価金属イオンを含有するものである請求項3または4に記載の生物燃料電池。
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