JP2007286557A - 耐熱光ファイバ - Google Patents
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Abstract
【課題】 本発明は、従来の耐熱光ファイバに比べて、耐熱性が向上し、かつ高温下でも伝送損失の増加の少ない耐熱光ファイバを提供することを目的としている。
【解決手段】 コア部3とクラッド部2を有する光ファイバの外周に保護被覆層1を有する耐熱光ファイバにおいて、前記保護被覆層1がポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂及びエポキシ樹脂のいずれかからなる有機物とケイ素を含む無機物の複合材料からなることを特徴とする耐熱光ファイバ。
【選択図】 図1
【解決手段】 コア部3とクラッド部2を有する光ファイバの外周に保護被覆層1を有する耐熱光ファイバにおいて、前記保護被覆層1がポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂及びエポキシ樹脂のいずれかからなる有機物とケイ素を含む無機物の複合材料からなることを特徴とする耐熱光ファイバ。
【選択図】 図1
Description
本発明は、温度センサなどに用いる耐熱光ファイバに関する。
耐熱光ファイバは、消防用、油田検索用などの温度センサに用いられ、耐熱性を上げるために様々な工夫が為されている。例えば、光ファイバ外周のポリイミド層の被覆の仕方に特徴を持たせたもの(特許文献1)が知られているが、300℃以上の高温になると微量の水素ガスを発生し、コア部の欠陥と結合することで伝送損失の増加が生じるという問題点があった。
この欠点を改善するため、高温で水素を遮断するカーボンコート層(ハーメチックコート)で光ファイバを被覆することが試みられているが、製造が難しいという欠点がある。さらに、カーボンコート層が強固にガラスに密着するため、光ファイバの接続作業時にカーボンコート層を除去することが困難であるという問題点を有していた。さらに、ハーメチックコート層は1μm以下のごく薄い層しか形成できず、その外周に更に保護被覆層が必要であった。
本発明は、従来の耐熱光ファイバに比べて、耐熱性が向上し、かつ高温下で、水素ガスが発生してもコア中に欠陥が少なく、伝送損失の増加の少ない耐熱光ファイバを提供することを目的としている。
本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、耐熱性が向上し、かつ水素ガスが発生してもコア中に欠陥が少ない下記の構成を持つ耐熱光ファイバを開発した。
すなわち、本発明は、
(1) コア部とクラッド部を有する光ファイバの外周に保護被覆層を有する耐熱光ファイバにおいて、前記保護被覆層がポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂及びエポキシ樹脂の少なくともひとつからなる有機物とケイ素を含む無機物の複合材料からなることを特徴とする耐熱光ファイバ。
(2) 前記コア部が純石英ガラスからなる(1)に記載の耐熱光ファイバ。
(3) コア部において、中心が純石英ガラスからなり、屈折率が中心領域ほど高く、層毎に段階的に変化する同心円状の層構造を有し、外部ほどフッ素の添加量が多くなるように調整されていることを特徴とする(1)に記載の耐熱光ファイバ
に関する。
すなわち、本発明は、
(1) コア部とクラッド部を有する光ファイバの外周に保護被覆層を有する耐熱光ファイバにおいて、前記保護被覆層がポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂及びエポキシ樹脂の少なくともひとつからなる有機物とケイ素を含む無機物の複合材料からなることを特徴とする耐熱光ファイバ。
(2) 前記コア部が純石英ガラスからなる(1)に記載の耐熱光ファイバ。
(3) コア部において、中心が純石英ガラスからなり、屈折率が中心領域ほど高く、層毎に段階的に変化する同心円状の層構造を有し、外部ほどフッ素の添加量が多くなるように調整されていることを特徴とする(1)に記載の耐熱光ファイバ
に関する。
本発明の耐熱光ファイバは、コアに石英系ガラスを用い、その外周に耐熱樹脂からなる保護被覆層を設ける構造である。保護被覆層に有機物と無機物を組み合わせた構造により、従来のものに比べ、耐熱性に優れた光ファイバとすることができる。コア部が純石英ガラスからなる光ファイバであれば、水素ガスが発生しても、コア中に欠陥が少ないので、伝送損失の増加が少ない。
本発明の有機物と無機物のハイブリッド材料では、複数の保護被覆層を設けることなく、単一の層で10μm以上の層を形成でき、十分な厚さの保護被覆層とすることができる。
以下、本発明にかかる耐熱光ファイバについて図面を参照しながら詳細に説明する。
本発明の耐熱光ファイバの一例を図1に示す。図1の耐熱光ファイバは保護被覆層1、クラッド部2及びコア部3よりなる。耐熱光ファイバの形態は、シングルモードファイバ、マルチモードファイバのいずれでも良い。コア部3の外径は、5〜300μm程度であり、クラッド部の外径は、80〜400μm程度である。通常、クラッド部の外径は125μm程度である。保護被覆層1の外径は100〜500μm程度である。
本発明の耐熱光ファイバの一例を図1に示す。図1の耐熱光ファイバは保護被覆層1、クラッド部2及びコア部3よりなる。耐熱光ファイバの形態は、シングルモードファイバ、マルチモードファイバのいずれでも良い。コア部3の外径は、5〜300μm程度であり、クラッド部の外径は、80〜400μm程度である。通常、クラッド部の外径は125μm程度である。保護被覆層1の外径は100〜500μm程度である。
本発明においては、保護被覆層1はポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂及びエポキシ樹脂の少なくともひとつからなる有機物とケイ素を含む無機物の複合材料からなることを特徴とする。保護被覆層に有機物と無機物の複合材料を用いることにより、有機物のみからなる保護被覆層の耐熱温度が250℃程度であるのに対し、耐熱性を向上させることができる。図1には保護被覆層1は一層の構造として示されているが、複数の被覆層を設けることもできる。保護被覆層1の外側の保護被覆層には、用途に応じてフッ素樹脂、シリコン樹脂などを用いることが可能である。
クラッド部2はコア部3より光の屈折率が高く、それぞれ、ガラスとガラス、プラスチックとガラス、プラスチックとプラスチックのいずれかからなる組み合わせである。コア部には好ましくは、純石英ガラスが用いられる。
本発明のコア部3は、同心円状の層構造を有し、その中止部分が純石英ガラスからなり、外部にいくほど屈折率が段階的に小さくなるようにフッ素の添加量が多くなるように調整されていることが好ましい。この構造をとることにより、コアの中心部に純石英ガラスを用いたので伝送損失の増加を防ぐことができるという効果だけでなく、コア径が大きいマルチモードファイバとして伝送帯域を大きくすることができるという効果もある。
図2に本発明の耐熱光ファイバの製造方法の一例を示す。線引炉で光ファイバ母材を加熱して軟化させて線引きした後、塗布装置6で液状の樹脂を塗布し、続いて硬化炉にて樹脂を硬化させ保護被覆層1とする。このとき、樹脂は、70重量%程度の溶剤を含むように溶かされる。溶剤としては、揮発性の溶剤などが用いられ、好ましくは、n−メチルピロリドン、クレゾール、キシレンが用いられる。硬化方法は、熱、放射線が使用できるが、より高い耐熱性を付与するためには、熱による硬化が好ましい。図2において、第一硬化炉7で溶剤を揮発させ、第二硬化炉8で溶剤を揮発させると同時に保護被覆層の硬化を行い、第三硬化炉9で保護被覆層を硬化させている。硬化炉のそれぞれの温度は、用いる溶剤及び保護被覆層の成分によって異なるが、第一硬化炉7が200〜300℃、好ましくは250℃、第二硬化炉8が200〜350℃、好ましくは300℃、第三硬化炉9が400℃〜550℃、好ましくは500℃とされる。また、保護被覆層を形成する時、同一材料の塗布/硬化を数回繰り返し、より厚い保護被覆層を得ることもできる。本発明では、保護被覆層の厚さは10μm以上、さらに望ましくは20μm以上とする。空気中に浮遊しているゴミなどが10〜20μm程度であり、これ以上の保護被覆層がないと、被覆層をゴミが突き破って破断に至ることがあるからである。
以下、実施例を挙げ、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
光ファイバ母材は、MVCD法によりコア中心部が純石英ガラスであり、外部にいくほど段階的にフッ素が添加され、クラッドにはフッ素が比屈折率差で−0.37%添加されたものを使用した。この光ファイバ母剤を線引きしてコア径が50μm、クラッド径が125μmのグレーデッドインデックス型マルチモード光ファイバとした。保護被覆層を形成する樹脂として、実施例1にはポリアミドイミドに対してシリカを4重量%複合させた樹脂を用い、実施例2ではポリイミドに対してシリカを2重量%複合させた樹脂を用いた。比較例1ではポリイミド樹脂を用いた。それぞれ、1回の塗布/硬化の後、2回の硬化により4μm厚の膜を形成させ、それを3回繰り返し、約12μm厚の保護被覆層を形成した。それぞれの硬化条件を表1に示す。なお、線引きにおける線速は5m/min.である。上の説明では1回硬化させるのに3回硬化炉を通過させるので、この実施例では9回硬化炉を通過させるということになる。
光ファイバ母材は、MVCD法によりコア中心部が純石英ガラスであり、外部にいくほど段階的にフッ素が添加され、クラッドにはフッ素が比屈折率差で−0.37%添加されたものを使用した。この光ファイバ母剤を線引きしてコア径が50μm、クラッド径が125μmのグレーデッドインデックス型マルチモード光ファイバとした。保護被覆層を形成する樹脂として、実施例1にはポリアミドイミドに対してシリカを4重量%複合させた樹脂を用い、実施例2ではポリイミドに対してシリカを2重量%複合させた樹脂を用いた。比較例1ではポリイミド樹脂を用いた。それぞれ、1回の塗布/硬化の後、2回の硬化により4μm厚の膜を形成させ、それを3回繰り返し、約12μm厚の保護被覆層を形成した。それぞれの硬化条件を表1に示す。なお、線引きにおける線速は5m/min.である。上の説明では1回硬化させるのに3回硬化炉を通過させるので、この実施例では9回硬化炉を通過させるということになる。
保護被覆層で被覆した光ファイバを1000m長コイル状に束取りし、初期伝送特性をOTDRにより評価した。伝送損失の測定波長は0.85μmである。この後、コイル状の束を300℃のオーブンに3日間入れてエージングを行い、取り出して室温に一日放置後に再度OTDRで伝送特性を評価した。評価結果を上記の表1に併せて示す。
実施例1及び2では、伝送損失の増加はほとんど見られないが、比較例1では3db/kmのロス増が確認された。保護被覆層の状態を目視で観察したところ、いずれも濃い茶褐色に変色が進んでいた。実施例1及び2は表面の手触りは比較的平坦であったが、比較例1では、表面がガサガサした感触になっており、比較例1では熱により保護被覆層が劣化し、コア部の純石英ガラスに歪みを与えたものと考えられる。
1 保護被覆層、2 クラッド部、3 コア部、4 プリフォーム、5 線引炉、6 塗布装置、7 第一硬化炉、8 第二硬化炉、9 第三硬化炉、10 巻取装置
Claims (3)
- コア部とクラッド部を有する光ファイバの外周に保護被覆層を有する耐熱光ファイバにおいて、前記保護被覆層がポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂及びエポキシ樹脂の少なくともひとつからなる有機物とケイ素を含む無機物の複合材料からなることを特徴とする耐熱光ファイバ。
- 前記コア部が純石英ガラスからなる請求項1に記載の耐熱光ファイバ。
- 前記コア部において、中心が純石英ガラスからなり、屈折率が中心領域ほど高く、層毎に段階的に変化する同心円状の層構造を有し、外部ほどフッ素の添加量が多くなるように調整されていることを特徴とする請求項1に記載の耐熱光ファイバ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2006116899A JP2007286557A (ja) | 2006-04-20 | 2006-04-20 | 耐熱光ファイバ |
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Publications (1)
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JP2006116899A Pending JP2007286557A (ja) | 2006-04-20 | 2006-04-20 | 耐熱光ファイバ |
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-
2006
- 2006-04-20 JP JP2006116899A patent/JP2007286557A/ja active Pending
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