JP2007286534A - 波長シフト型光制御素子及びその製造方法、平面型表示装置 - Google Patents

波長シフト型光制御素子及びその製造方法、平面型表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】良好な応答速度特性が得られ動画表示に好適な波長シフト型光制御素子及びその製造方法、並びに該波長シフト型光制御素子を用いた平面型表示装置を提供する。
【解決手段】入射光のうち特定波長領域の光を選択して透過するカラーフィルター層3と、屈折率が可変である強誘電体膜と該強誘電体膜と屈折率の異なる透明薄膜とが積層されてなる透過波長シフト層2と、前記強誘電体膜の屈折率を変化させる屈折率制御手段4とを備え、屈折率制御手段4が透過波長シフト層2の少なくとも一部の強誘電体膜の屈折率を変化させることにより、前記特定波長領域の光を透過または遮蔽する。
【選択図】図2

Description

本発明は、波長シフト型光制御素子及びその製造方法、平面型表示装置に関するものである。とくに、平面型表示装置としてこれまで問題となっている低い応答速度を改善し、高い応答特性を有する波長シフト型光制御素子及びその製造方法、平面型表示装置について提案するものである。
テレビジョン受像機や情報端末機器等の表示措置は、薄型化、軽量化、大画面化、高精細表示化の要求に答えるため、重量や厚みに限界のあるブラウン管(CRT)からフラットパネル表示装置(平面型表示装置)への移行する開発が盛んに行われている。このうち、情報端末機器のフラットパネル表示装置としては液晶ディスプレイが広く普及しており、高輝度化、大型化が昨今研究及び開発が行われている。
液晶ディスプレイは液晶を利用した表示装置であり、2枚のガラス板の間に特殊な液体を封入し、電圧をかけることによって液晶分子の向きを変え、光の透過率を増減させることで像を表示する構造になっている。液晶自体は発光せず、明るいところでは反射光を、暗いところでは背後に仕込んだ蛍光燈(バックライト)の光を使って表示を行う。この液晶ディスプレイはCRTディスプレイやプラズマ・ディスプレイ・パネル(PDP)など他の表示装置に比べて薄くて軽いので、携帯用コンピュータや省スペースデスクトップパソコンによく使われているが、大きく分けてSTN方式やDSTN方式などの単純マトリクス方式と、TFTなどのアクティブマトリクス方式がある。前者の方が安価であり、後者の方が性能が高い。
図1は、TN型液晶ディスプレイの原理図である。図1(a)に示したように、光が通らないように偏光方向を直交させた2枚の偏光フィルターの間に、ねじれた液晶をはさむと、図中上から入った光は液晶分子の隙間に沿って90度ねじれるので、下のフィルターを通過できる(光が通る)。これに対して、図1(b)に示したように、液晶に電圧をかけると、液晶分子が直立してねじれが取れる。上から入った光は、そのまま下に向かうので、下のフィルターを通過することができない(光を遮断)。このように、TN型液晶では、分子の並び方が90度ねじれた液晶を2枚の偏光フィルターではさみ、電圧をかけていない状態では光が通り、電圧をかけると光が遮断されて画面上では黒くなるのであり、電圧がひきがねとなって、液晶が光のシャッターの機能を果たすことになる。
このような液晶の特徴を生かして、平面型表示装置及び平面型表示装置の製造方法が数多く提案されている(非特許文献1参照。)が、液晶ディスプレイは、様々な利点を有する一方、表示原理に起因する技術課題もある。以下にその課題を列挙する。
(1)応答速度:液晶パネルの応答時間は、ブラウン管(CRT)やプラズマ・ディスプレイ・パネル(PDP)に比べて長くなる。この事実は、動画表示を主体とするテレビとして液晶パネルを利用することによって特にはっきり指摘されるようになった。この理由は主に、液晶の粘度および層の厚みのために液晶の配向変化が印加波形から遅れるためである。バックライトも含めた表示装置としてみた場合には、表示フレーム内でバックライトが常時点灯していて画像が表示され続ける点(ホールド駆動)も大きな要因である。
(2)視野角:他のディスプレイ(例えば、CRT)と比較して液晶パネルは視野角が狭い。これは、液晶パネルが液晶配向を表示に用いていることを原因としており、液晶配向の向きと観察方向との関係が透過率や反射率に影響するためである。特にテレビ用途などでの液晶ディスプレイの開発においては、「視野角」を広げることが大きな技術課題となっている。現在は、IPS(インプレインスイッチング)方式や、VA(垂直配向)方式によって視野角を拡大する対策が採られている。これらは、表示に用いる液晶配向の向き(明表示の場合、暗表示の場合)の組み合わせを工夫して、液晶パネルの透過率が観察方向にできるだけ依存しないようにするための工夫である。また、これらほどの効果はないが、液晶性分子を用いた位相差フィルムを偏光フィルターと液晶層との間に配置して視野角を拡大する工夫もなされている。
(3)コントラスト:明表示の輝度を暗表示の輝度で割った値をコントラスト(あるいは、「コントラスト比」ともいう。通常は暗室で測定されるため、「暗所コントラスト」ともいう)といい、表示品位の一つの指標として用いられる。コントラストが低い表示装置は、白黒の表示が不明瞭になるだけではなく、カラー表示の色純度が低下するため非常に重要な指標である。このコントラストに関しては、液晶パネルは、完全な黒を表示することが難しく限界がある。これは、バックライトの光を液晶パネルが遮蔽しきれないためである。より詳細な原因は、偏光フィルターの偏光度が完全に100%ではないこと、液晶層やカラーフィルター等により偏光が若干解消されるため、視野角によっては表示光が漏れてきてそれが見えるため等である。このため、液晶パネル(ディスプレイ)で映画などの暗い画面を映すと、「漆黒の闇」の表現が難しくなり、テレビなどの映像用途に液晶パネルを用いる場合の技術課題となっている。なお、通常の照明が点灯した室内におけるコントラスト(明所コントラスト)は、液晶パネル(透過型液晶パネル)はPDPなどに比べてむしろ高い。明所コントラストは、観察者が見る光と同様に、表示による輝度に加えて周囲の照明が表示面で反射された光も同時に測定するためである。液晶パネルの表示面の反射率は、PDPのものより低く、明所コントラストの低下が少ない。これは、液晶は光を吸収するカラーフィルター、偏光フィルムが表示面にあるのに対し、PDPは蛍光体それ自体が白く反射率が高いためである。実際、現在の液晶パネルの(暗所)コントラスト(500〜1000程度)が問題になるのは、暗い室内で観察する場合に限られ、明るい部屋で使用する用途では液晶パネルのコントラストは問題にならないことが多い。
(4)消費電力:液晶パネルは素子自らが発光(自発光)しているわけではないため、一定量の光を放出する発光源が必要な場合があり、発光素子に比べると効率が悪くなる場合がある。これは、偏光フィルターやカラーフィルターのために、バックライトを除いた液晶パネルの透過率が約5〜10%となり、バックライトの光の大半が偏光フィルターやカラーフィルターによって吸収されるためである。そのため、一般にプラズマディスプレイなどに比べて、消費電力は高くなってしまう。また、バックライトを用いない液晶パネル(反射型液晶パネル)は、低消費電力の表示素子として多用されるが、用途によっては消費電力が問題になる。これは、液晶は交流駆動しなければならないためであり、表示内容が書き換わらない場合(静止画)の場合であっても、充放電のための電力が必要なためである。これらに対して、液晶ではなく他の表示方式(電気泳動ディスプレイなど)が開発されている。
(5)ドット落ち:液晶パネルは極めて繊細な構造をしており、薄膜トランジスタを利用する現在主流のTFT液晶パネルでは、膨大な数のトランジスタがガラス基板上に形成されている。トランジスタは異物混入に極めて弱い電子部品であるため数オングストローム程度の塵であっても動作不良を起こす。関連する電子回路に異常を持つドット(画素子)は正常に機能しないため、一般に言う所のドット落ちが発生する。現状ではパネル1枚当り2〜3個程度のドット落ちを容認しないとパネル単価は10倍にも上昇するといわれており、メーカーは技術上の限界として顧客対応に苦慮している。
以上の課題の中で、応答速度については動画画質を著しく劣化させる要因になっており、ディスプレイの性能向上には必須の項目となっている。そして、この問題に対しては、液晶材料の低粘度化、液晶層厚の低減、表示駆動波形をオーバーシュートさせる(オーバードライブ)工夫、表示駆動波形によって表示フレーム間への黒表示の挿入やバックライトの明滅などによって対策が採られている。しかしながら、応答速度の向上は若干見られるものの根本的な特性の改善には至っていない。
これに対して、新しい光制御装置の提案も行われており、所謂オパール3D構造を有するフォトニック結晶を用いた高速光制御装置の提案も行われている(例えば、特許文献1参照。)しかしながら、この発明では3D構造を基板上に形成する必要があり、そのプロセスは非常に複雑であった。
以上のように、簡便な手法により液晶に代わる光制御素子及び該光制御素子を形成する技術が切望されている。
特開2004−62206号公報 「液晶のしくみがわかる本」(著者名:竹添秀男、出版社:技術評論社)
本発明は、以上の従来技術における問題に鑑みてなされたものであり、良好な応答速度特性が得られ動画表示に好適な波長シフト型光制御素子及びその製造方法、並びに該波長シフト型光制御素子を用いた平面型表示装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために提供する請求項1の発明は、入射光のうち特定波長領域の光を選択して透過するカラーフィルター層と、屈折率が可変である強誘電体膜と該強誘電体膜と屈折率の異なる透明薄膜とが積層されてなる透過波長シフト層と、前記強誘電体膜の屈折率を変化させる屈折率制御手段とを備え、前記屈折率制御手段が前記透過波長シフト層の少なくとも一部の強誘電体膜の屈折率を変化させることにより、前記特定波長領域の光を透過または遮蔽することを特徴とする波長シフト型光制御素子である。
また、前記課題を解決するために提供する請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記強誘電体膜は、フォトニック結晶構造を有することを特徴とする波長シフト型光制御素子である。
また、前記課題を解決するために提供する請求項3の発明は、請求項1の発明において、前記強誘電体膜は、少なくともトリゴナル結晶系LiNbO3、トリゴナル結晶系LiTaO、ペロブスカイト結晶系BaNaNb15、PbLaZrTi酸化物、PbLaLiZrTi酸化物、PbZrTi酸化物、KTiOPO、KNbOのいずれかを含むことを特徴とする波長シフト型光制御素子である。
また、前記課題を解決するために提供する請求項4の発明は、請求項1の発明において、前記透明薄膜は導電性を有する透明導電膜であって、該透明導電膜が前記強誘電体膜それぞれの両面に設けられており、前記屈折率制御手段は、前記透明導電膜を介して前記強誘電体膜に電圧を印加して該強誘電体膜の屈折率を変化させるものであることを特徴とする波長シフト型光制御素子である。
また、前記課題を解決するために提供する請求項5の発明は、請求項4の発明において、前記透明導電膜は、In、SnO、ZnO、CdO、CdIn、CdSnO、ZnSnO、Snが添加されたIn、SbまたはFが添加されたSnO、In,Ga,Alのいずれかが添加されたZnOのいずれかを少なくとも含んでなることを特徴とする波長シフト型光制御素子である。
また、前記課題を解決するために提供する請求項6の発明は、請求項1の発明において、前記屈折率制御手段は、前記強誘電体膜の端面に接して設けられる変形部を有し、該変形部を変形させることにより前記強誘電体膜の結晶に歪を付与して該強誘電体膜の屈折率を変化させるものであることを特徴とする波長シフト型光制御素子である。
また、前記課題を解決するために提供する請求項7の発明は、請求項1の発明において、前記屈折率制御手段は、レーザー光源を有し、該レーザー光源から前記強誘電体膜にレーザー光を照射して該強誘電体膜の屈折率を変化させるものであることを特徴とする波長シフト型光制御素子である。
また、前記課題を解決するために提供する請求項8の発明は、請求項1の発明において、前記屈折率制御手段は、前記強誘電体膜に近接して設けられる磁場印加コイルを有し、該磁場印加コイルから前記強誘電体膜に磁界を印加して該強誘電体膜の屈折率を変化させるものであることを特徴とする波長シフト型光制御素子である。
また、前記課題を解決するために提供する請求項9の発明は、請求項1の発明において、前記カラーフィルター層は、屈折率の異なる光学膜が積層されてなる光学多層膜であることを特徴とする波長シフト型光制御素子である。
また、前記課題を解決するために提供する請求項10の発明は、請求項1の発明において、前記特定波長領域の光は、赤色、緑色、青色のいずれかの波長領域の光であることを特徴とする波長シフト型光制御素子である。
前記課題を解決するために提供する請求項11の発明は、請求項1〜10のいずれか一に記載の波長シフト型光制御素子が平面上に配列されてなる表示モジュールと、前記表示モジュールの背面側に設けられ、該表示モジュールに光を照射するバックライトモジュールとを備えることを特徴とする平面型表示装置である。
また、前記課題を解決するために提供する請求項12の発明は、請求項11の発明において、前記表示モジュールは、前記特定波長領域の光を赤色の波長領域の光とした前記波長シフト型光制御素子と、前記特定波長領域の光を緑色の波長領域の光とした前記波長シフト型光制御素子と、前記特定波長領域の光を青色の波長領域の光とした前記波長シフト型光制御素子とを組み合わせた1画素単位が配列されてなるものであることを特徴とする平面型表示装置である。
前記課題を解決するために提供する請求項13の発明は、入射光のうち特定波長領域の光を選択して透過するカラーフィルター層と、屈折率が可変である強誘電体膜と該強誘電体膜と屈折率の異なる透明導電膜とが前記強誘電体膜それぞれの両面に透明導電膜が配置されるように積層されてなる透過波長シフト層と、前記透明導電膜を介して前記強誘電体膜に電圧を印加して該強誘電体膜の屈折率を変化させる屈折率制御手段とを備え、前記屈折率制御手段が前記透過波長シフト層の少なくとも一部の強誘電体膜の屈折率を変化させることにより、前記特定波長領域の光を透過または遮蔽する波長シフト型光制御素子の製造方法であって、基板上に前記透明導電膜と強誘電体膜とを交互に形成する成膜工程と、前記透明導電膜及び強誘電体膜を結晶化させる熱処理工程とを含むことを特徴とする波長シフト型光制御素子の製造方法である。
また、前記課題を解決するために提供する請求項14の発明は、請求項13の発明において、前記熱処理工程は、酸素濃度が18%以上の雰囲気中で加熱処理するものであることを特徴とする波長シフト型光制御素子の製造方法である。
また、前記課題を解決するために提供する請求項15の発明は、請求項13の発明において、前記成膜工程と熱処理工程とを交互に行うことを特徴とする波長シフト型光制御素子の製造方法である。
本発明の波長シフト型光制御素子によれば、動画表示に好適な高速の応答速度を得ることができる。すなわち、本発明の波長シフト型光制御素子は、透過波長シフト層において、例えば強誘電体膜のフォトニック結晶に電圧を印加することにより、その構成要素(強誘電体膜)の屈折率を変化させフォトニックバンド波長を変化させることで特定波長の光の透過率(吸収)を制御し、つぎの2つの状態のいずれかに高速で移行させて特定波長領域での光の透過・遮蔽動作を高速で行うことを可能ならしめるものである。
(1)特定波長領域の光の透過状態;透過波長シフト層が特定波長Bを含む波長領域(波長領域A)の光を透過し、さらにカラーフィルター層がその透過光のうち、特定波長領域Bの光を透過する状態。
(2)特定波長領域の光の遮蔽状態;透過波長シフト層がフォトニックバンド波長のシフトにより前記波長領域Bの光は透過せず、該波長領域Bとは異なる波長領域A´の光を透過し、さらにカラーフィルター層がその透過光を透過しない状態。
なお、透過波長シフト層のみで前記のような特定波長領域の光の透過・遮蔽制御を行うことは理論上可能であるが、可視領域の全域にわたってその透過特性を制御する必要があり、屈折率の変化率を非常に大きくしなければならないことや強誘電体膜の積層数及び屈折率を変化させる層の位置(素子構造中の位置)を詳細に検討するとともに制御する必要があるため実現が困難である。また、屈折率の変化率を非常に大きくしなければならないことから印加する電圧が非常に高くなることが懸念される。
これに対して、本発明の波長シフト型光制御素子では、透過波長シフト層は特定波長領域のみに着目して透過率を制御するだけで達成可能である。
また本発明の平面型表示装置は、この波長シフト型光制御素子と光源との積層構造とすることで、動画表示に優れたものとすることができ、表示装置としての小型化を達成することも可能である。
また本発明の波長シフト型光制御素子の製造方法によれば、簡便な方法で高速応答性を具備した波長シフト型光制御素子を製造することができる。すなわち、強誘電体膜の結晶化にはPt(白金)をはじめとする金属を用いることが常であったが、本発明では熱処理工程を取り入れることにより透明導電膜上でも強誘電体膜の結晶化が十分促進されるために高い非線形光学効果が得られる。また、透明導電膜と強誘電体膜との密着性等の積層構造にした場合に懸念される問題についても良好な特性が得られる。
また、本発明の波長シフト型光制御素子の製造方法によれば、熱処理工程として酸素濃度が18%以上の雰囲気にて加熱処理することにより、結晶化に伴う強誘電体膜や透明導電膜からの酸素の離脱を抑制することができる。このとき、酸素濃度は高いほうがその効果は高く、酸素100%の雰囲気が最適である。
また、本発明の波長シフト型光制御素子の製造方法によれば、透明導電膜を予め結晶化した後に、強誘電体膜を形成した場合にはその結晶性は更に良好なものとなる。これは、透明導電膜の結晶が強誘電体膜の結晶化点となり結晶性が向上するためと考えられる。
以下に、本発明に係る波長シフト型光制御素子の構成について説明する。
図2は、本発明に係る波長シフト型光制御素子の構成を示す断面概略図である。
図2に示すように、波長シフト型光制御素子Aは、入射光のうち特定波長領域の光を選択して透過するカラーフィルター層3と、屈折率が可変である強誘電体膜と該強誘電体膜と屈折率の異なる透明薄膜とが積層されてなる透過波長シフト層2と、前記強誘電体膜の屈折率を変化させる屈折率制御手段4とを備え、屈折率制御手段4が透過波長シフト層2の少なくとも一部の強誘電体膜の屈折率を変化させることにより、前記特定波長領域の光を透過または遮蔽するものである。
図3に、本発明の波長シフト型光制御素子のより具体的な構成を第1の実施の形態として示す。図3は波長シフト型光制御素子の断面構成図である。
波長シフト型光制御素子10は、透明基板11上に、屈折率が可変である強誘電体膜12aと強誘電体膜12aと屈折率の異なる透明導電膜12bとが交互に積層され強誘電体膜12aそれぞれの両面に透明導電膜12bが配置されている透過波長シフト層12と、入射光のうち特定波長領域の光を選択して透過するカラーフィルター層13とが積層されており、屈折率制御手段の一態様として透明導電膜12bそれぞれは電源14aに電気的に接続され、透過波長シフト層12の少なくとも一部の強誘電体膜12aに電圧が印加できるようになっている。
ここで、透明基板11は可視光領域で吸収のない透明な支持基板がよく、後述するように透過波長シフト層12を形成する際に行われる熱処理に耐えられる程度の耐熱性が必要である。例えば石英基板が好適である。
透過波長シフト層12は、可視光波長領域において比較的狭い波長領域で透過性を有し、それ以外の波長領域で吸収特性あるいは反射特性を有するものであり、強誘電体膜12aの屈折率が変化することにより透過性を示す波長領域(透過波長領域)がシフトする機能を有している。詳しくは、透過波長シフト層12の透過波長領域は、波長シフト前は後述するカラーフィルター層13の透過波長領域を含み、波長シフト後はカラーフィルター層13の透過波長領域を含まないようになっている。また、より詳しくは透過波長シフト層12の透過波長領域は、波長シフト前は後述する平面型表示装置において画像表示のために用いられる赤色、緑色、青色の三原波長領域のいずれかを含み、波長シフト後は赤色、緑色、青色の三原波長領域のいずれをも含まないようになっている。
また、このような透過波長シフト層12の透過特性は、強誘電体膜12a、透明導電膜12bそれぞれの構成材料、厚さ並びに積層数などにより調整することができる。
透過波長シフト層12を構成する強誘電体膜12aは、フォトニック結晶構造を有するものであり、例えば少なくともトリゴナル結晶系LiNbO3(2.286/2.456)、トリゴナル結晶系LiTaO(2.176/2.348)、ペロブスカイト結晶系BaNaNb15(2.322/2.524)、PbLaZrTi酸化物(2.2546/2.4652)、PbLaLiZrTi酸化物(2.2654/2.4879)、PbZrTi酸化物(2.2874/2.524)、KTiOPO(1.7780/1.9542)、KNbO(2.3523/2.5325)、nitro−aniline(1.649/1.698)いずれかを含むことが好ましい。これらの材料からなる強誘電体膜12aは例えば従来公知のスパッタリング法、蒸着法により形成するとよい。なお、括弧内は波長560nmにおける屈折率を示しており、1つめの屈折率が電圧印加前(波長シフト前)、2つめの屈折率が電圧印加後(波長シフト後)のものを示している。
透明導電膜12bは、In(2.015)、SnO(2.035)、ZnO(1.953)、CdO(2.492)、CdIn(2.125)、CdSnO(2.155)、ZnSnO(2.145)、Snが添加されたIn(2.120)、SbまたはFが添加されたSnO(2.175)、In,Ga,Alのいずれかが添加されたZnO(1.973)のいずれかを少なくとも含んでなることが好ましい。これらの材料からなる透明導電膜12bは例えば従来公知のスパッタリング法により形成するとよい。あるいは、ポリエチレンジオキシチオフェン(1.498)などの有機導電体を塗布により形成してもよい。なお、括弧内は波長560nmにおける屈折率を示している。
カラーフィルター層13は、入射光のうち特定波長領域の光を選択して透過するものであり、例えば屈折率の異なる光学膜が積層されてなる光学多層膜(ダイクロイックフィルター)であることが好ましい。また、該光学多層膜を構成する光学膜はフォトニック結晶構造を有するものであってもよい。なお、カラーフィルター層13で透過される特定波長領域の光とは、画像表示に好適な赤色、緑色、青色の三原波長領域のいずれかであり、平面型表示装置で使用されるバックライトモジュールの光源の波長に対応していることが好ましい。
屈折率制御手段を構成する電源14aは、強誘電体膜12aそれぞれに電圧が印加されるように透明導電膜12bと電気的に接続されており、該強誘電体膜12aに所定の電圧を印加して屈折率を変化させ透過波長シフト層12の透過波長領域について所定量の波長シフトを発生させる。なお、透過波長シフト層12のすべての強誘電体膜12aに電圧を印加するようにしてもよいし、一部の強誘電体膜12aに電圧を印加するようにしてもよい。
図4は、第1の実施の形態の波長シフト型光制御素子の上面図である。
波長シフト型光制御素子10は、後述の平面型表示装置においてサブ画素の1つを構成するものであり、図中、強誘電体膜12aの領域が赤色、緑色、青色のいずれかの色が表示されたり、黒く表示されたりする。
図5,図6に、本発明の波長シフト型光制御素子の動作原理を示す。図5,図6ともに図中横軸を波長として、カラーフィルター層13、透過波長シフト層12、波長シフト型光制御素子10それぞれの光吸収特性を示している。
まず図5では、波長シフト型光制御素子10が特定波長領域Bの光を透過する状態を示している。すなわち、透過波長シフト層12では強誘電体膜12aに電圧が印加されていないため特定波長領域Bを含む波長領域(波長領域A)の光を透過し、さらにカラーフィルター層13ではその透過光のうち、特定波長領域Bの光を透過している。したがって、波長シフト型光制御素子10では特定波長領域Bの光の色(赤色、緑色、青色のいずれかの色)が表示されるようになる。
また、図6では、波長シフト型光制御素子10が特定波長領域Bの光を含むすべての波長領域の光を遮蔽する状態を示している。すなわち、透過波長シフト層12では強誘電体膜12aに所定量の電圧が印加されるためフォトニックバンド波長がシフトし前記波長領域Bの光は透過せず、該波長領域Bとは異なる波長領域A´の光を透過し、さらにカラーフィルター層13ではその透過光を透過しない。したがって、波長シフト型光制御素子10では可視光としていずれの色の光も透過されないため、黒く表示されるようになる。
以上のように、本発明の波長シフト型光制御素子10は、透過波長シフト層として特定波長領域のみに着目して透過特性を制御するものであり、強誘電体膜12aへの電圧印加のオンオフに対応して透過波長シフト層12の透過波長領域が高速でシフトし、図5、図6の2つの状態のいずれかに高速で移行するために、特定波長領域での光の透過・遮蔽動作を高速で行うことが可能となる。
なお、波長シフト型光制御素子としてカラーフィルター層を省略し透過波長シフト層のみからなる構成とした場合、図7に示すように、強誘電体膜12aへの電圧印加のオンオフにより強誘電体膜の屈折率の変化に伴ってフォトニックバンドをシフトさせて透過特性(透過率と透過波長)が変化するが、可視領域全体の特性が変化してしまうために色相の変化が発生するだけで所望の特性を得ることは困難である。
これに対して、本発明の波長シフト型光制御素子では、前述のようにフォトニックバンドのシフトに伴ってカラーフィルター層との透過特性の差異が発生して特定波長領域の光を遮断できるようになる。
次に、本発明に係る波長シフト型光制御素子の製造方法について説明する。ここでは、図3に示した波長シフト型光制御素子を製造する手順について以下に説明する。
(S11)透明基板11上に透明導電膜12bを形成する。
(S12)透明導電膜12bを結晶化させるための熱処理を行う。このとき、透明導電膜12bからの酸素の離脱を抑制するために酸素濃度が18%以上の雰囲気中で加熱処理することが好ましく、酸素濃度100%のときが最も好ましい。また、加熱温度としては600〜800℃の範囲内がよい。
(S13)ステップS11の透明導電膜12b上に強誘電体膜12aを形成する。
(S14)ステップS13の強誘電体膜12a上に透明導電膜12bを形成する。
(S15)強誘電体膜12a及び透明導電膜12bを結晶化させるための熱処理を行う。このとき、強誘電体膜12a及び透明導電膜12bからの酸素の離脱を抑制するために酸素濃度が18%以上の雰囲気中で加熱処理することが好ましく、酸素濃度100%のときが最も好ましい。また、加熱温度としては600〜800℃の範囲内がよい。結晶化を促進させるためには600℃以上が必要であり、強誘電体膜12a、透明導電膜12b間の拡散を抑制するためには800℃以下であることが必要である。
(S16)最表層の透明導電膜12b上に、ステップS13,S14の処理を所定回数行い、所望の積層数の透過波長シフト層12を得る。
(S17)透過波長シフト層12上にカラーフィルター層13を形成する。
(S18)透過波長シフト層12の所定の透明導電膜12bと電源14aとを接続して、波長シフト型光制御素子10を完成する。
なお、ステップS12,S15の熱処理は、透明導電膜12b/強誘電体膜12a/透明導電膜12bを所定の積層数だけ積層した後に行ってもよいが、透明導電膜12bを予め結晶化させた後にその上に形成される強誘電体膜の結晶性が更によくなる。これは透明導電膜12bの結晶が強誘電体膜12aの結晶化点となるために結晶性が向上するものと考えられる。したがって、ステップS13及びS14の成膜工程と、ステップS14の熱処理工程とは交互に行うことが好ましい。
つぎに、本発明の波長シフト型光制御素子の第2の実施の形態について説明する。
図8は、本発明の第2の実施の形態としての波長シフト型光制御素子の断面構成図である。
波長シフト型光制御素子20は、透明基板11上に、屈折率が可変である強誘電体膜12aと強誘電体膜12aと屈折率の異なる透明薄膜22bとが交互に積層された透過波長シフト層22と、入射光のうち特定波長領域の光を選択して透過するカラーフィルター層13と、透明基板15とが積層されており、屈折率制御手段の一態様として透過波長シフト層22の少なくとも一部の強誘電体膜12aの端面に接して設けられる変形部24aと該変形部24aと電気的に接続された電源24bとを有し、電源24bから変形部24aに電圧を印加して該変形部24aを変形させるようになっている。なお、透明基板11、強誘電体膜12a、カラーフィルター層13は第1の実施の形態で示したものと同じものである。また、透明基板15は透明基板11と同じでよい。
ここで、透明薄膜22bは、強誘電体膜12aと屈折率が異なる透明薄膜であれば特に限定されるものではなく、スパッタリング法などのドライプロセス、あるいはスピンコート、ディップコートなどのウェットプロセスのいずれの方法によっても形成することができる。ドライプロセスにより形成する場合には、例えば屈折率が1.3〜1.5程度のもので種々のものを用いることができ、SiO又はMgFからなるとすればよい。
変形部24aは、電源24bから電圧が印加されることにより変形して隣接する強誘電体膜12aに表面弾性波を印加して該強誘電体膜12aの結晶に歪みを付与するものである。
本実施の形態では、電源24bから電圧が印加されて変形部24aが変形することにより隣接する強誘電体膜12aの結晶に歪を付与して該強誘電体膜の屈折率を変化させることができ、これにより、図5,図6に示した、波長シフト型光制御素子の波長シフト動作を行わせることが可能である。
つぎに、本発明の波長シフト型光制御素子の第3の実施の形態について説明する。
図9は、本発明の第3の実施の形態としての波長シフト型光制御素子の断面構成図である。
波長シフト型光制御素子30は、透明基板11上に、屈折率が可変である強誘電体膜12aと強誘電体膜12aと屈折率の異なる透明薄膜22bとが交互に積層された透過波長シフト層32と、入射光のうち特定波長領域の光を選択して透過するカラーフィルター層13と、透明基板15とが積層されており、屈折率制御手段の一態様としてレーザー照射ユニット34を有し、レーザー照射ユニット34から透過波長シフト層32の少なくとも一部の強誘電体膜12aの端面にレーザー光を照射可能になっている。なお、透明基板11、強誘電体膜12a、カラーフィルター層13は第1の実施の形態で示したものと同じものであり、透明基板15、透明薄膜22bは第2の実施の形態で示したものと同じものである。
本実施の形態では、レーザー照射ユニット34から透過波長シフト層32の少なくとも一部の強誘電体膜12aの端面にレーザー光を照射することにより該強誘電体膜12aの励起子吸収の波長を変化させその屈折率を変化させることができ、これにより、図5,図6に示した、波長シフト型光制御素子の波長シフト動作を行わせることが可能である。
つぎに、本発明の波長シフト型光制御素子の第4の実施の形態について説明する。
図10は、本発明の第4の実施の形態としての波長シフト型光制御素子の断面構成図である。
波長シフト型光制御素子40は、透明基板11上に、屈折率が可変である強誘電体膜12aと強誘電体膜12aと屈折率の異なる透明薄膜22bとが交互に積層された透過波長シフト層42と、入射光のうち特定波長領域の光を選択して透過するカラーフィルター層13と、透明基板15とが積層されており、屈折率制御手段の一態様として透過波長シフト層42の少なくとも一部の強誘電体膜12aの端面に近接して設けられる磁場印加コイル44aと該磁場印加コイル44aと電気的に接続された電源44bとを有し、電源44bから磁場印加コイル44aに通電して該磁場印加コイル44aから磁界を発生させるようになっている。なお、透明基板11、強誘電体膜12a、カラーフィルター層13は第1の実施の形態で示したものと同じものであり、透明基板15、透明薄膜22bは第2の実施の形態で示したものと同じものである。
本実施の形態では、電源44bから通電されて磁場印加コイル44aが発生する磁界を隣接するカー効果の大きい強誘電体膜12aに印加して該強誘電体膜12aの屈折率を変化させることができ、これにより、図5,図6に示した、波長シフト型光制御素子の波長シフト動作を行わせることが可能である。
つぎに、本発明に係る平面型表示装置について説明する。
図11は、本発明の平面型表示装置の断面構成図である。
平面型表示装置100は、前記本発明の波長シフト型光制御素子10,20,30,40のいずれかが平面上に配列されてなる表示モジュールと、前記表示モジュールの背面側に設けられ、該表示モジュールに光を照射するバックライトモジュール50とを備えることを特徴とするものである。図11においては、本発明の波長シフト型光制御素子のうち第1の実施の形態の波長シフト型光制御素子10を用いた構成を示しており、前記表示モジュールは、前記特定波長領域の光を赤色の波長領域の光とした波長シフト型光制御素子10Rと、前記特定波長領域の光を緑色の波長領域の光とした波長シフト型光制御素子10Gと、前記特定波長領域の光を青色の波長領域の光とした波長シフト型光制御素子10Bとを組み合わせたものを示している。本発明の平面型表示装置100はこの組合せを1画素単位としこれを平面状に配列してなるものである。例えばハイビジョン相当の平面型表示装置とするためには、この1画素単位を縦に1080個、横に1920個配列する。
ここで、バックライトモジュール50は、従来の液晶ディスプレイで用いられるバックライトモジュールと同じものでよい。また、光源としては赤色、緑色、青色それぞれの波長領域について狭帯域の光が得られるものがよく、例えば発光ダイオード(LED(Light Emitting Diode))やレーザー発振器などを用いるとよい。このときの光源の波長領域としては、例えば赤色についてはピーク波長630nm、半値幅20nm、緑色についてはピーク波長520nm、半値幅20nm、青色についてはピーク波長470nm、半値幅20nmである。例として、図12に波長630nmの赤色のLED光源の波長特性を示す。
また、波長シフト型光制御素子10R,10G,10Bを構成する透過波長シフト層12R,12G,12B及びカラーフィルター層13R,13G,13Bの透過特性は、このバックライトモジュール50の波長特性に対応していることが好ましい。例えば、図12の波長特性の光源に対応する波長シフト型光制御素子10Rでは、光源の波長特性の半値幅は20nmであるから透過波長シフト層12Rの波長シフト量は少なくとも40nmとする。ここで強誘電体膜12aがPbLaZrTiからなる場合にはγ=200pm/Vであることから、10Vの電圧を印加するようにするとよい。また、カラーフィルター層13Rの透過特性としては、波長630nmあるいはその近傍に透過率のピークがくるようにするとよい。
本発明の平面型表示装置100では、入力される動画データに応じて、前記1画素単位ごとに波長シフト型光制御素子10R,10G,10Bが制御されることになる。すなわち、1画素単位ごとの波長シフト型光制御素子10R,10G,10Bそれぞれが図5,図6に示した、波長シフト型光制御素子の波長シフト動作の制御が行われることにより、赤色、緑色、青色の各波長領域での光の透過・遮蔽動作が高速で行われ、動画表示に優れたものとすることができる。
以下に、本発明を実施した例について説明する。
(実施例1)
本発明の波長シフト型光制御素子10を以下の条件で作製した。
(1)透明基板11:石英基板
(2)透過波長シフト層12
・強誘電体膜12a
・・構成材料:PbLaZrTi
・・膜厚:100nm
・透明導電膜12b
・・構成材料:ITO(酸化インジウム錫)
・・膜厚:100nm
・積層数:21
(3)カラーフィルター層13
・波長630nmに透過率のピークをもつ光学多層膜
波長シフト型光制御素子10のサンプルの作成に当ってはつぎの手順で行った。
(S21)透明基板11上に透明導電膜12bをスパッタリング法により形成した。
(S22)ステップS21の透明導電膜12b上に強誘電体膜12aをスパッタリング法により形成した。
(S23)ステップS22の強誘電体膜12a上に透明導電膜12bをスパッタリング法により形成した。
(S24)総積層数が21となるように、最表層の透明導電膜12b上に、ステップS21〜S23の処理を所定回数行った。
(S24)強誘電体膜12a及び透明導電膜12bを結晶化させるための熱処理を行い、透過波長シフト層12を得た。このときの熱処理条件は次の通りとした。
・使用装置:RTA装置(Rapid Thermal Anneal)
・雰囲気:酸素 100%
・加熱温度:700℃
・加熱時間:15分
(S26)透過波長シフト層12上にカラーフィルター層13を形成した。
(S27)透過波長シフト層12の所定の透明導電膜12bと電源14aとを接続して、波長シフト型光制御素子10を完成した。
図12に示した光源をサンプルの背面に配置してバックライトとし、得られたサンプルの応答速度を測定した。なお、応答速度は、強誘電体膜12aへの電圧印加と色表示との時間差とした。その結果、実施例1のサンプルの応答速度は8μsecと高速の透過・遮蔽動作が得られた。また、このサンプルを図11に示す構成の平面型表示装置に用いたところ、優れた動画特性が得られた。
なお、波長シフト型光制御素子10のサンプルに代えて、図1に示す液晶シャッターを用いたものを比較例として応答速度を測定したところ、8msecであった。
(実施例2)
本発明の波長シフト型光制御素子10を以下の条件で作製した。
(1)透明基板11:石英基板
(2)透過波長シフト層12
・強誘電体膜12a
・・構成材料:SrBaNb
・・膜厚:70nm
・透明導電膜12b
・・構成材料:IZO(酸化インジウム亜鉛)
・・膜厚:70nm
・積層数:21
(3)カラーフィルター層13
・波長630nmに透過率のピークをもつ光学多層膜
波長シフト型光制御素子10のサンプルの作成に当ってはつぎの手順で行った。
(S31)透明基板11上に透明導電膜12bをスパッタリング法により形成した。
(S32)透明導電膜12bを結晶化させるための熱処理を行った。このときの熱処理条件は次の通りとした。
・使用装置:RTA装置
・雰囲気:酸素 100%
・加熱温度:700℃
・加熱時間:30分
(S33)透明導電膜12b上に強誘電体膜12aをスパッタリング法により形成した。
(S34)ステップS33の強誘電体膜12a上に透明導電膜12bをスパッタリング法により形成した。
(S35)強誘電体膜12a及び透明導電膜12bを結晶化させるための熱処理を行った。このときの熱処理条件は次の通りとした。
・使用装置:RTA装置
・雰囲気:酸素 100%
・加熱温度:700℃
・加熱時間:15分
(S36)総積層数が21となるように、最表層の透明導電膜12b上に、ステップS33〜S35の処理を所定回数行い、透過波長シフト層12を得た。
(S37)透過波長シフト層12上にカラーフィルター層13を形成した。
(S38)透過波長シフト層12の所定の透明導電膜12bと電源14aとを接続して、波長シフト型光制御素子10を完成した。
図12に示した光源をサンプルの背面に配置してバックライトとし、得られたサンプルの応答速度を測定した。その結果、実施例2のサンプルの応答速度は5μsecと高速の透過・遮蔽動作が得られた。また、このサンプルを図11に示す構成の平面型表示装置に用いたところ、優れた動画特性が得られた。
(実施例3)
本発明の波長シフト型光制御素子10を以下の条件で作製した。
(1)透明基板11:石英基板
(2)透過波長シフト層12
・強誘電体膜12a
・・構成材料:nitro−aniline
・・膜厚:100nm
・透明導電膜12b
・・構成材料:ポリエチレンジオキシチオフェン
・・膜厚:100nm
・積層数:31
(3)カラーフィルター層13
・波長630nmに透過率のピークをもつ光学多層膜
波長シフト型光制御素子10のサンプルの作成に当ってはつぎの手順で行った。
(S41)透明基板11上に透明導電膜12bを蒸着法により形成した。
(S42)透明導電膜12b上に強誘電体膜12aをスピンオン法により形成した。
(S43)ステップS42の強誘電体膜12a上に透明導電膜12bを蒸着法により形成した。
(S44)総積層数が31となるように、最表層の透明導電膜12b上に、ステップS42、S43の処理を所定回数行い、透過波長シフト層12を得た。
(S45)透過波長シフト層12上にカラーフィルター層13を形成した。
(S46)透過波長シフト層12の所定の透明導電膜12bと電源14aとを接続して、波長シフト型光制御素子10を完成した。
図12に示した光源をサンプルの背面に配置してバックライトとし、得られたサンプルの応答速度を測定した。その結果、実施例3のサンプルの応答速度は5μsecと高速の透過・遮蔽動作が得られた。また、このサンプルを図11に示す構成の平面型表示装置に用いたところ、優れた動画特性が得られた。
TN型LCDディスプレイの構成を示す概略図である。 本発明に係る波長シフト型光制御素子の構成を示す概略図である。 本発明の波長シフト型光制御素子の第1の実施の形態の構成を示す断面図である。 本発明の波長シフト型光制御素子の第1の実施の形態の構成を示す上面図である。 本発明の波長シフト型光制御素子の光の透過状態を示す概念図である。 本発明の波長シフト型光制御素子の光の遮蔽状態を示す概念図である。 透過波長シフト層のみの波長シフト状態を示す概念図である。 本発明の波長シフト型光制御素子の第2の実施の形態の構成を示す断面図である。 本発明の波長シフト型光制御素子の第3の実施の形態の構成を示す断面図である。 本発明の波長シフト型光制御素子の第4の実施の形態の構成を示す断面図である。 本発明に係る平面型表示装置の構成を示す断面図である。 本発明の平面型表示装置で用いるLED光源の波長特性を示す図である。
符号の説明
1,11,15…透明基板、2,12,22,32,42…透過波長シフト層、12a…強誘電体膜、12b…透明導電膜、3,13R,13G,13B…カラーフィルター層、4…屈折率制御手段、10,10R,10G,10B,20,30,40,A…波長シフト型光制御素子、14a,24b,44b…電源、22b…透明薄膜、24a…変形部、34…レーザー照射ユニット、44a…磁界印加ユニット、50…バックライトモジュール、100…平面型表示装置

Claims (15)

  1. 入射光のうち特定波長領域の光を選択して透過するカラーフィルター層と、屈折率が可変である強誘電体膜と該強誘電体膜と屈折率の異なる透明薄膜とが積層されてなる透過波長シフト層と、前記強誘電体膜の屈折率を変化させる屈折率制御手段とを備え、
    前記屈折率制御手段が前記透過波長シフト層の少なくとも一部の強誘電体膜の屈折率を変化させることにより、前記特定波長領域の光を透過または遮蔽することを特徴とする波長シフト型光制御素子。
  2. 前記強誘電体膜は、フォトニック結晶構造を有することを特徴とする請求項1に記載の波長シフト型光制御素子。
  3. 前記強誘電体膜は、少なくともトリゴナル結晶系LiNbO3、トリゴナル結晶系LiTaO、ペロブスカイト結晶系BaNaNb15、PbLaZrTi酸化物、PbLaLiZrTi酸化物、PbZrTi酸化物、KTiOPO、KNbOのいずれかを含むことを特徴とする請求項1に記載の波長シフト型光制御素子。
  4. 前記透明薄膜は導電性を有する透明導電膜であって、該透明導電膜が前記強誘電体膜それぞれの両面に設けられており、
    前記屈折率制御手段は、前記透明導電膜を介して前記強誘電体膜に電圧を印加して該強誘電体膜の屈折率を変化させるものであることを特徴とする請求項1に記載の波長シフト型光制御素子。
  5. 前記透明導電膜は、In、SnO、ZnO、CdO、CdIn、CdSnO、ZnSnO、Snが添加されたIn、SbまたはFが添加されたSnO、In,Ga,Alのいずれかが添加されたZnOのいずれかを少なくとも含んでなることを特徴とする請求項4に記載の波長シフト型光制御素子。
  6. 前記屈折率制御手段は、前記強誘電体膜の端面に接して設けられる変形部を有し、該変形部を変形させることにより前記強誘電体膜の結晶に歪を付与して該強誘電体膜の屈折率を変化させるものであることを特徴とする請求項1に記載の波長シフト型光制御素子。
  7. 前記屈折率制御手段は、レーザー光源を有し、該レーザー光源から前記強誘電体膜にレーザー光を照射して該強誘電体膜の屈折率を変化させるものであることを特徴とする請求項1に記載の波長シフト型光制御素子。
  8. 前記屈折率制御手段は、前記強誘電体膜に近接して設けられる磁場印加コイルを有し、該磁場印加コイルから前記強誘電体膜に磁界を印加して該強誘電体膜の屈折率を変化させるものであることを特徴とする請求項1に記載の波長シフト型光制御素子。
  9. 前記カラーフィルター層は、屈折率の異なる光学膜が積層されてなる光学多層膜であることを特徴とする請求項1に記載の波長シフト型光制御素子。
  10. 前記特定波長領域の光は、赤色、緑色、青色のいずれかの波長領域の光であることを特徴とする請求項1に記載の波長シフト型光制御素子。
  11. 請求項1〜10のいずれか一に記載の波長シフト型光制御素子が平面上に配列されてなる表示モジュールと、前記表示モジュールの背面側に設けられ、該表示モジュールに光を照射するバックライトモジュールとを備えることを特徴とする平面型表示装置。
  12. 前記表示モジュールは、前記特定波長領域の光を赤色の波長領域の光とした前記波長シフト型光制御素子と、前記特定波長領域の光を緑色の波長領域の光とした前記波長シフト型光制御素子と、前記特定波長領域の光を青色の波長領域の光とした前記波長シフト型光制御素子とを組み合わせた1画素単位が配列されてなるものであることを特徴とする請求項11に記載の平面型表示装置。
  13. 入射光のうち特定波長領域の光を選択して透過するカラーフィルター層と、屈折率が可変である強誘電体膜と該強誘電体膜と屈折率の異なる透明導電膜とが交互に積層され前記強誘電体膜それぞれの両面に透明導電膜が配置されている透過波長シフト層と、前記透明導電膜を介して前記強誘電体膜に電圧を印加して該強誘電体膜の屈折率を変化させる屈折率制御手段とを備え、前記屈折率制御手段が前記透過波長シフト層の少なくとも一部の強誘電体膜の屈折率を変化させることにより、前記特定波長領域の光を透過または遮蔽する波長シフト型光制御素子の製造方法であって、
    基板上に前記透明導電膜と強誘電体膜とを交互に形成する成膜工程と、前記透明導電膜及び強誘電体膜を結晶化させる熱処理工程とを含むことを特徴とする波長シフト型光制御素子の製造方法。
  14. 前記熱処理工程は、酸素濃度が18%以上の雰囲気中で加熱処理するものであることを特徴とする請求項13に記載の波長シフト型光制御素子の製造方法。
  15. 前記成膜工程と熱処理工程とを交互に行うことを特徴とする請求項13に記載の波長シフト型光制御素子の製造方法。
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