JP2007285347A5 - - Google Patents
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Description
この発明は、排水管などの使用される複合管の製造方法および複合管の成形装置に関するものである。
従来より、周方向に特性の異なる異方性を有する複合管としては、例えば、特許文献1に示されるように、内周面がほぼ平滑な軟質材料製の内層と、内層の外周面に横断面S字状の帯状体がその端縁同士を連結して螺旋状に巻回された硬質材料製の外層とから構成され、外層の、帯状体によって形成された凹凸部に、該凹凸部に嵌合可能な突起部を有する屈曲規制片を嵌合させた可撓管が提案されている。
特許第3132800号公報
しかしながら、前述した可撓管においては、屈曲規制片を取り付けることにより、屈曲規制片を取り付けた部分の強度を高めて、管の周方向に異方性を持たせることから、特殊な継手が必要になる他、接続作業などの施工に際しては、これまでの管の施工とは異なる工夫が必要になり、作業性が低下するとともに、コストがかさむものとなる。また、異方性を持たせるためには、2次加工が必要であり、成形コストも大きくなるという欠点があった。
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたもので、周方向に異方性を有し、通常の管と同様に取り扱うことのできる複合管を実現するための製造方法およびその成形装置を提供するものである。
本発明の複合管の製造方法は、周方向に特性の異なる2種類以上の熱可塑性樹脂からなる複数個の円弧部によって管状に形成された複合管の製造方法であって、それぞれの円弧部に対応する熱可塑性樹脂をそれぞれ押し出すとともに、押し出された各樹脂を対応する円弧部に位置するように合流させた後、合流させた樹脂を管状に押し出し、冷却して引き取ることを特徴とするものである。
本発明によれば、特性の異なる樹脂の融着性が良好で、周方向に特性の異なる樹脂による円弧部が形成されて周方向に異方性を有する複合管を製造することができる。
本発明の複合管の成形装置は、周方向に特性の異なる2種類以上の熱可塑性樹脂からなる複数個の円弧部によって管状に形成された複合管の成形装置であって、それぞれの円弧部に対応する熱可塑性樹脂をそれぞれ押し出す押出機と、各押出機から押し出された樹脂を対応する円弧部に位置するように合流させる合流ブロックと、合流ブロックで合流させた樹脂を管状に押し出す金型と、金型から管状に押し出された樹脂を冷却する冷却水槽と、冷却された複合管を引き取る引取機とから構成されることを特徴とするものである。
本発明によれば、特性の異なる樹脂の融着性が良好で、周方向に特性の異なる樹脂による円弧部が形成されて周方向に異方性を有する複合管を成形することができる。
ここで、異方性としては、弾性率、線膨張率、比熱、熱伝導率などを挙げることができる。
また、複合管の使用目的に応じて、樹脂の種類、グレード、数、比率を選定すればよい。
本発明によれば、周方向に異方性を有するものの、通常の管と同様に取り扱うことができる複合管を製造できる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1には、本発明の製造方法で製造された複合管1の一実施形態が示されている。
この複合管1は、ほぼ180度離れた対向する位置に一定角度範囲にわたって形成された熱可塑性樹脂Aからなる円弧部2と、対向する円弧部2の間に位置して形成され、熱可塑性樹脂Aとは異なる熱可塑性樹脂Bからなる円弧部3によって管状に形成されたものである。
このような複合管1によれば、外観上は均一な断面円形状を保ったまま周方向に樹脂の相違による異方性を付与することができる。しかも、施工に際しては、これまでの通常の管に使用した継手などを使用することができるとともに、取り扱いも通常の管と同一であり、余分なコストアップは発生することがない。
具体的には、図1に示した複合管1は、熱可塑性樹脂Aが引張弾性率が800MPaのポリエチレンであり、熱可塑性樹脂が引張弾性率が300MPaのポリエチレンであって、熱可塑性樹脂Aと熱可塑性樹脂Bとの体積比率を2:8に設定して、外径27mm、肉厚2.4mmに成形したものである。
このように構成された複合管1について、上下方向と、それに直交する方向にそれぞれ曲率半径500mmの強制的な曲げ半径を与えて構造解析を行なった。この曲げ半径に要した力は、上下方向が133Nであり、横方向が124Nであった。この結果、複合管1は、横方向には曲がりやすく、上下方向には横方向に比較して曲がりにくい性状を有している。
このような複合管1を成形するための成形装置10を図3に示す。この成形装置10は、樹脂Aの押出機11と、樹脂Bの押出機12と、押出機11から押し出された樹脂Aおよび押出機12から押し出された樹脂Bとの合流ブロック13と、合流ブロック13にて合流された樹脂を押し出す金型14と、金型14から押し出された樹脂を冷却する冷却水槽15と、冷却された複合管1を引き取る引取機16と、から構成されている。
ここで、押出機11,12、金型14、冷却水槽15および引取機16は、通常の管の成形に使用されるものと同様であり、その説明を省略し、合流ブロック13についてのみ説明する。
合流ブロック13は、図4および図5に示すように、押出機11を接続する合流ブロック本体131と、合流ブロック本体131および押出機12を接続する接続ブロック132と、合流ブロック本体131および金型14を接続する接続ブロック133とから構成されている。そして、合流ブロック本体131は、図6および図7に示すように、左右のブロック本体131A,131Bを接合して形成され、その接合面である中心軸線を含む垂直面に関して左右対称に形成されている。また、各ブロック本体131A,131Bは、その接合面近傍に位置して垂直方向に延びる隔壁1311が前後にわたって形成されており、隔壁1311の外面側(接合面から離隔する側の面)に縦断面略半円状の樹脂流路131xが接続ブロック132の流路132aに連通されている。さらに、隔壁1311の内面側(接合面に接近する側の面)には、堰131sを有するとともに、中心から離れるにしたがって徐々に幅広となる樹脂流路131yが前述した樹脂流路131xの内径に相当する高さにわたって形成されている。このため、各ブロック本体131A,131Bを接合して合流ブロック本体131を形成するとき、左右の隔壁1311の内方に2本の樹脂流路131yからなる縦長の樹脂流路が形成される。これらの樹脂流路131x,131yは、接続ブロック133の流路133aに連通されている。
したがって、押出機11,12を駆動し、押出機11から樹脂Aを押し出せば、樹脂Aは、合流ブロック本体131の樹脂流路131yに流入し、堰131sによって流速が調整されて、その先端開口から接続ブロック133の樹脂流路133aに押し出される。一方、押出機12から押し出された樹脂Bは、接続ブロック132の樹脂流路132aを経て合流ブロック131の樹脂流路131x,131xに分流され、それらの先端開口から接続ブロック133の樹脂流路133aに押し出される。
この結果、樹脂Aおよび樹脂Bは、図8に示すように、接続ブロック133の樹脂流路133a内で合流される。この際、樹脂流路131yが中心から離れるにしたがって幅広に形成されていることにより、接続ブロック133の樹脂流路133aの内周縁に向かうにしたがって樹脂Aの量が多くなっている。
このような成形装置10によって複合管1を成形することにより、金型14に流入する前の高い圧力で合流ブロック13にて合流させるため、樹脂の融着性が良好となる。また、複合管1の構成を変更するときは、合流ブロック13を変更することで対応することができる。
以上のように本発明によれば、周方向に異方性を有するとともに、通常の管と同様に取り扱うことができる複合管を得ることができることから、使用目的に対応した性質を有する管を提供することができる。
1 複合管
2 樹脂Aによる円弧部
3 樹脂Bによる円弧部
13 合流ブロック
131 合流ブロック本体
2 樹脂Aによる円弧部
3 樹脂Bによる円弧部
13 合流ブロック
131 合流ブロック本体
Claims (2)
- 周方向に特性の異なる2種類以上の熱可塑性樹脂からなる複数個の円弧部によって管状に形成された複合管の製造方法であって、それぞれの円弧部に対応する熱可塑性樹脂をそれぞれ押し出すとともに、押し出された各樹脂を対応する円弧部に位置するように合流させた後、合流させた樹脂を管状に押し出し、冷却して引き取ることを特徴とする複合管の製造方法。
- 周方向に特性の異なる2種類以上の熱可塑性樹脂からなる複数個の円弧部によって管状に形成された複合管の成形装置であって、それぞれの円弧部に対応する熱可塑性樹脂をそれぞれ押し出す押出機と、各押出機から押し出された樹脂を対応する円弧部に位置するように合流させる合流ブロックと、合流ブロックで合流させた樹脂を管状に押し出す金型と、金型から管状に押し出された樹脂を冷却する冷却水槽と、冷却された複合管を引き取る引取機とから構成されることを特徴とする複合管の成形装置。
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2006
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