JP2007285226A - 気体圧縮機 - Google Patents
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Abstract
【課題】気体圧縮機において、圧縮機本体とハウジングとの運転時における金属接触を防止する。
【解決手段】ハウジング(ケース11およびフロントヘッド12)の内部に、ロータ50等回転体を含む圧縮機本体を備え、圧縮機本体の一部であるリヤサイドブロック20の外周面とケース11の内周面とを、それぞれに設けられた磁石71,72の反発磁力によって非接触に保持することにより、両者の金属接触を防止、抑制する。
【選択図】図1
【解決手段】ハウジング(ケース11およびフロントヘッド12)の内部に、ロータ50等回転体を含む圧縮機本体を備え、圧縮機本体の一部であるリヤサイドブロック20の外周面とケース11の内周面とを、それぞれに設けられた磁石71,72の反発磁力によって非接触に保持することにより、両者の金属接触を防止、抑制する。
【選択図】図1
Description
本発明は気体圧縮機に関し、詳細には、回転軸を含む圧縮機本体の支持構造の改良に関する。
従来より、空気調和システム(以下、空調システムという。)には、冷媒ガスなどの気体を圧縮して、空調システムに気体を循環させるための気体圧縮機(コンプレッサ)が用いられている。
ここで、一般的なコンプレッサの1つとして例えばベーンロータリ形式のコンプレッサが知られている。このベーンロータリ形式のコンプレッサは、ハウジングの内部に、圧縮機本体が収容された構成となっている。
圧縮機本体は、回転軸と一体的に回転する略円柱状のロータと、ロータの外方を取り囲むシリンダと、ロータに埋設されて、突出側の先端が、断面輪郭形状が略楕円形のシリンダの内周面に追従するように該ロータの外周面からの突出量が可変とされた板状のベーンと、ロータやベーンを、ロータの両端面側から覆う2つのサイドブロックとを備えている。
そして、ロータの回転方向について相前後する2つのベーン、シリンダの内周面、ロータの外周面および両サイドブロックの端面により、ロータの回転に伴ってその容積が変化し、吸入された気体を圧縮して吐出する複数の圧縮室が画成されている。
また、ハウジングの内面と圧縮機本体の外面とにより、圧縮機本体を挟んで一方の側に、圧縮機本体に吸入される気体が通過する低圧雰囲気の吸入室が形成されているとともに、圧縮機本体を挟んで他方の側に、圧縮機本体から吐出された気体が通過する高圧雰囲気の吐出室が形成されている。
ここで、吐出室を画成するサイドブロックには、圧縮室で圧縮された高圧の気体を、吐出室に導くための吐出路が形成されているとともに、吐出された気体に混じる冷凍機油等の潤滑油を分離するためのサイクロンブロックが取り付けられており、吐出路からサイクロンブロックに導かれた高圧の気体がサイクロンブロックを通過する間に、この気体に混入していた冷凍機油が分離されて、気体は吐出室に吐出され、一方、分離された冷凍機油は、吐出室の下部に滴下して溜められる。
サイドブロックの内部には、吐出室の底部から回転軸を支持する軸受部まで延びた油路が形成されており、吐出室の下部に溜められた冷凍機油は、この吐出室に吐出された圧縮気体の高圧を受けて、底部の開口から油路に流入し、出口の軸受部に到達する。
軸受部に到達した冷凍機油は、回転軸と軸受部との間の微小な隙間を通過して、ロータの端面に向い合うサイドブロックの端面まで到達する。
このとき、回転軸と軸受部との間の微小な隙間は、流体である冷凍機油に対して絞りとして作用するため、油路における高圧状態から絞りによる圧力損失を受けて、サイドブロックの端面においては、吐出室の圧力(高圧)よりも低く、かつ吸入室の圧力(低圧)よりも高い中間圧となる。
ロータの端面に向い合ったサイドブロックの上述した端面のうち、軸受部の中心回りの所定角度範囲に亘って、略扇形状の凹部(サライ溝)が形成されており、微小隙間の通過によって中間圧まで低下してサイドブロックの端面に到達した冷凍機油は、このサライ溝に流れ込んで、サライ溝を満たす。
一方、ベーン溝は、ロータの両端面まで貫通しているため、ロータの回転に伴って、ロータの端面において露呈しているベーン溝が、サイドブロックのサライ溝を通過している間だけ、ベーン溝とサライ溝とが連通して、ベーン溝に中間圧の冷凍機油が供給され、ベーンはこの供給された冷凍機油の中間圧を受けて、シリンダの内周面に向かって突出する。
このように、ハウジングの内部は、圧縮機本体によって、圧力の高い領域と低い領域とに区画されており、その区画は、ハウジングの内周面と圧縮機本体の外周面との間に介在された、弾性変形して気密度を高めるOリング等の気密部材(シール部材)に主に依存している(特許文献1)。
特開2004−308460号公報
ところで、圧縮機本体の回転軸に伝達された駆動力が回転体を回転させると、この回転体の回転動作によって、圧縮機本体は、回転軸を振幅の中心とした振動や揺動が発生し、圧縮機本体が振動したり揺動すると、圧縮機本体の外周面とハウジングの内周面とで相対的な動きが生じる。
ここで、圧縮機本体の外周面とハウジングの内周面との間には、上述した気密部材が介在しており、この気密部材は弾性材料で形成されているため、気密部材が弾性変形することで、振動や揺動のエネルギを吸収し、圧縮機本体の動きをある程度抑制することができる。
しかし、弾性材料は剛性が低く、また弾性変形だけで圧縮機本体の振動や揺動のエネルギを吸収しきれない場合には、圧縮機本体の外周面とハウジングの内周面とが接触することがあり、このような金属同士の接触は、異音を発生し、気体圧縮機の運転時静粛性を損なう虞がある。
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、圧縮機本体とハウジングとの運転時における金属接触を防止することができる気体圧縮機を提供することを目的とする。
本発明に係る気体圧縮機は、ハウジングの内周面と圧縮機本体の外周面とを磁気反発力により、非接触に保持したものである。
すなわち、本発明に係る気体圧縮機は、ハウジングの内部に、回転体を含む圧縮機本体を備え、前記圧縮機本体の外周面と前記ハウジングの内周面とを、反発磁力によって非接触に保持することを特徴とする。
ここで、反発磁力は、気体圧縮機の運転時にのみ発生するものであってもよいし、非運転時も含めて常時発生するものであってもよい。
反発磁力は、例えば、圧縮機本体の外周面とハウジングの内周面とにそれぞれ磁石を配設し、これらの磁石間の磁力が反発するように設定すればよい。具体的には、圧縮機本体の外周面に設けられた磁石とハウジングの内周面に設けられた磁石との互いに対向する面同士が同一磁極となるように設定すればよい。
これらの磁石は、永久磁石であってもよいし、電磁石であってもよく、また、その他の種類の磁石であってもよい。
本発明に係る気体圧縮機によれば、圧縮機本体の外周面とハウジングの内周面とが、反発磁力によって非接触に保持されているため、運転時において、圧縮機本体の外周面とハウジングの内周面とが金属接触するのを防止することができる。
本発明に係る気体圧縮機によれば、圧縮機本体とハウジングとの運転時における金属接触を防止することができる。
以下、本発明の気体圧縮機に係る最良の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明に係る気体圧縮機の一実施形態であるベーンロータリ式コンプレッサ100を示す縦断面図、図2は図1におけるA−A線に沿った断面を示す図、図3は図1におけるB部の詳細を示す図であって、(a)と(b)とはそれぞれ異なる実施形態を示す。
図示のコンプレッサ100は、例えば、冷却媒体の気化熱を利用して冷却を行なう空気調和システム(以下、単に空調システムという。)の一部として構成され、この空調システムの他の構成要素である凝縮器、膨張弁、蒸発器等(いずれも図示を省略する。)とともに、冷却媒体の循環経路上に設けられている。
そして、コンプレッサ100は、空調システムの蒸発器から取り入れた気体状の冷却媒体としての冷媒ガスGを圧縮し、この圧縮された冷媒ガスGを空調システムの凝縮器に供給する。凝縮器は、圧縮された冷媒ガスGを液化させ、高圧で液状の冷媒として膨張弁に送出する。
高圧で液状の冷媒は、膨張弁で低圧化され、蒸発器に送出される。低圧の液状冷媒は、蒸発器において周囲の空気から吸熱して気化し、この気化熱との熱交換により蒸発器周囲の空気を冷却する。
また、コンプレッサ100は、ケース11とフロントヘッド12とからなるハウジングの内部に収容された圧縮機本体と、フロントヘッド12に取り付けられ、図示しない動力源からの駆動力を圧縮機本体に伝える伝達機構13とを備える。そして、圧縮機本体は、複数のボルト16によってフロントヘッド12に固定され、伝達機構13は、ラジアルボールベアリング14を介して、フロントヘッド12に回転自在に支持されている。
ケース11は、一端開放の筒状体を呈し、フロントヘッド12は、このケース11の開放された部分を覆うように組み付けられている。また、フロントヘッド12には、蒸発器から低圧の冷媒ガスGが吸入される吸入ポート12aが形成され、この吸入ポート12aには、冷媒ガスGの逆流を防ぐ逆止弁12bが設けられている。一方、ケース11には、圧縮機本体で圧縮された高圧の冷媒ガスGを凝縮器に吐出する吐出ポート11aが形成されている。
ハウジング内に収容された圧縮機本体は、伝達機構13を介して供給された駆動力によって軸回りに回転する回転軸51と、この回転軸51と一体的に回転する円柱状のロータ50と、ロータ50の外周面の外方を取り囲む断面輪郭略楕円形状の内周面49aを有するとともに、両端が開放されたシリンダ40と、ロータ50の外方に向けて突出可能にロータ50に埋設され、その突出側の先端がシリンダ40の内周面49aに追従するように突出量が可変とされ、回転軸51回りに等角度間隔で配置された5枚の板状のベーン58と、シリンダ40の両側開放端面の外側からそれぞれ開放端面を覆うように固定されたフロントサイドブロック30およびリヤサイドブロック20とからなる。
そして、2つのサイドブロック20,30、ロータ50、シリンダ40、および回転軸51の回転方向(図2において時計回りの矢印方向)に相前後する2つのベーン58,58によって画成された各圧縮室48の容積が、回転軸51の回転にしたがって増減を繰り返すことにより、各圧縮室48に吸入された冷媒ガスGを圧縮して吐出するように構成されている。
ここで、上述したボルト16によってハウジングのフロントヘッド12に固定されている圧縮機本体の部分は、回転軸51の延在方向に直交する端面であるフロントサイドブロック20およびシリンダ40である。一方、リヤサイドブロック20の外周に設けられたOリング24が、ケース11の内周面に密接し、図3(a),(b)に示すように、リヤサイドブロック20の外周面とケース11の内周面とは、所定の隙間が確保した状態で保持されている。
なお、ロータ50の両端面50a,50bからそれぞれ突出した回転軸51の部分のうち一方の部分は、フロントサイドブロック30の軸受部32に軸支されるとともに、フロントヘッド12を貫通して外方まで延び、この貫通部分がフロントヘッド12により軸支され、外方に延びた部分が伝達機構13に連結されている。同様に回転軸51の突出部分のうち他方の側は、リヤサイドブロック20の軸受部22により軸支されている。
そして、フロントヘッド12による回転軸51の支持と、ボルト16によるフロントヘッド12へのフロントサイドブロック30の固定と、両サイドブロック20,30の外周部がOリング24等によりケース11,フロントヘッド12の内周面に保持されることとによって、圧縮機本体はハウジング内の所定位置に保持されている。
さらに、圧縮機本体の外周面とケース11の内周面とは、反発磁力によって非接触に保持されるように構成されている。具体的には、図1,3(a)に示すように、圧縮機本体の外周面とケース11の内周面とにそれぞれ、環状の磁石71,72が嵌め込まれ、これらの磁石71,72は、互いに対向する面において反発する磁力に設定されている。つまり、両者の互いに対向する面同士が同一磁極に設定されている。
なお、ケース11側の磁石72は、図3(b)に示すように、ケース11の鋳造の際に鋳込まれたものであってもよい。
また、圧縮機本体がケース11の内部に収容された状態で、リヤサイドブロック20とケース11とにより吐出室21(高圧室)が形成され、一方、フロントサイドブロック30とフロントヘッド12とにより吸入室34(低圧室)が形成され、吐出室21は吐出ポート11aに連通し、吸入室34は吸入ポート12aに連通している。
なお、吸入室34と吐出室21とは、前述したOリング等によって気密に隔絶されている。また、リヤサイドブロック20には、冷凍機油Rを冷媒ガスGから分離するためのサイクロンブロック60が取り付けられており、このサイクロンブロック60は吐出室21内に配置されている。
そして、リヤサイドブロック20とサイクロンブロック60との間には、後述する、短円柱状の軸背圧空間66が形成されている。
圧縮機本体の回転軸51は、リヤサイドブロック20の軸受部22とフロントサイドブロック30の軸受部32にそれぞれ回転自在に軸支され、また、回転軸51のうち、フロントサイドブロック30の軸受部32よりも外側部分には、リップシール15が配置されて、冷凍機油Rが、回転軸51とハウジングとの隙間からハウジングの外部に漏れるのを阻止している。
吐出室21の下部には、このコンプレッサ100の摺動部等を潤滑、冷却、清浄するとともに、ベーン58をシリンダ40の内周面49aに向けて突出させて、その先端を内周面49aに当接させた状態に付勢するように、ベーン58に背圧を作用させる冷凍機油Rが溜められている。
すなわち、ロータ50には、図2に示すように、スリット状のベーン溝56が放射状に、かつロータ50の回転中心回りに等角度間隔で5つ形成され、これらのベーン溝56に、前述のベーン58が挿入され、各ベーン58は、ロータ50の回転によって生じる遠心力と、ベーン溝56およびベーン58の底面によって画成された背圧室59(背圧空間の一部)に加えられる冷凍機油Rの油圧(背圧)とにより、シリンダ40の内周面49aに向けて突出し、このベーン58の突出した先端がシリンダ40の内周面49aに当接した状態に付勢され、回転軸51の回転に伴って、この先端は内周面49aに追従する。
これにより、シリンダ40と、ロータ50と、回転軸51の回転方向について相前後する2つのベーン58,58と、フロントサイドブロック30と、リヤサイドブロック20とにより画成された各圧縮室48は、ロータ50の回転にしたがって容積の変化を繰り返す。
また、フロントサイドブロック30には、吸入室34と圧縮室48とを連通させるフロント側吸入口31が開口しており、吸入ポート12aから吸入室34に導入された冷媒ガスGは、このフロント側吸入口31を介して圧縮室48に吸入される。
一方、シリンダ40の外周の一部には凹部が形成され、この凹部は、両サイドブロック20,30の各内側端面とケース11の内周面とによって囲まれた吐出チャンバ45を形成している。
そして、この吐出チャンバ45が形成されて薄肉化されたシリンダ40のうち、冷媒ガスGの圧縮行程に対応した圧縮室48に臨む部分に、圧縮室48内の冷媒ガスGを圧縮室48の外部、すなわち吐出チャンバ45に吐出させる吐出口42が設けられているとともに、圧縮室48の内部圧力に応じて吐出口42を開閉するリードバルブ43が配設されている。
リードバルブ43は板ばね状であって、圧縮室48の冷媒ガスGから吐出口42を通じて作用する圧力(詳細には、この圧力と吐出チャンバ45の内部の圧力(さらに、リードバルブ43を吐出口42に付勢している場合には、その付勢力に応じた初期負荷圧力も加算した圧力)との差)に応じて吐出チャンバ45の側に撓むように弾性変形し、この弾性変形によって、閉止していた吐出口42を開放する。
また、このリードバルブ43が、過大な撓みにより破損したり、大きな撓みの持続によって永久変形が生じるのを防止するために、リードバルブ43の変形量を規制するバルブサポート44が、リードバルブ43に重ね合わされて、シリンダ40に共締め固定されている。
そして、圧縮室48から吐出口42、リードバルブ43を通って吐出チャンバ45に吐出された高圧の冷媒ガスGは、リヤサイドブロック20に形成された連通孔20a、およびリヤサイドブロック20に固定されたサイクロンブロック60のオイルセパレータ60aを経て、吐出室21に吐出される。
一方、サイクロンブロック60およびオイルセパレータ60aによって、冷媒ガスGから分離された冷凍機油Rは、吐出室21の底部に滴下し、前述したようにこの底部に溜められる。
さらに、このコンプレッサ100には、回転軸51と軸受部22,32との間の潤滑、ロータ50の各端面と各サイドブロック20,30の内側端面との間の潤滑等する目的と、ベーン58をシリンダ40の内周面49aに付勢すべく背圧空間(背圧室59、後述するサライ溝25および軸背圧空間66)に油圧(背圧)を供給等する目的とにより、吐出室21の下部に貯留した冷凍機油Rを各部位に導く構造を備えている。
すなわち、リヤサイドブロック20に、軸受部22に至る油路23が形成され、また、リヤサイドブロック20の内側端面26(ロータ50の端面50aに向いた面)には、軸受部22における油路23の開口から、軸受部22と回転軸51との間の微小隙間(絞り)を通って、ロータ50の背圧室59に連通する凹部であるサライ溝25が形成されている。
また、軸受部22まで延びた油路23は、軸受部22と回転軸51との間の微小隙間(絞り)を介して、リヤサイドブロック20とサイクロンブロック60との間に形成された空間である軸背圧空間66にも連通し、この軸背圧空間66は背圧連通路28(図2参照)を介してサライ溝25に、圧力損失なく連通している。
これにより、背圧室59、サライ溝25、背圧連通路28および軸背圧空間66は、略同一の圧力Pvとなり、ベーン58の背圧空間を構成している。
この背圧空間に作用する圧力Pvは、具体的には、低圧室である吸入室34の圧力Psよりも高い圧力であって、軸受部22と回転軸51の周面部分との間の微小隙間(絞り)を通過した分だけ、高圧室である吐出室21の圧力Pdよりも低い中間圧(Ps<Pv<Pd)となる。
なお、軸背圧空間66に作用する圧力Pvは、この軸背圧空間66に臨んだ回転軸51の端面にも作用し、回転軸51を軸方向に沿って伝達機構13側に向けて押圧している。
サライ溝25は、軸受部22の中心回りの所定角度範囲に亘って、略扇形状の輪郭(図2において破線で示す)を有する凹部であり、上述した微小隙間を通過して中間圧Pvまで低下した冷凍機油Rが溜められる。
そして、ロータ50の回転に伴って、ロータ50の端面50aに露呈しているベーン溝56の背圧室59がリヤサイドブロック20のサライ溝25を通過している間だけ、ベーン溝56の背圧空間59とサライ溝25とが連通して、ベーン溝56の背圧空間59にサライ溝25の中間圧Pvの冷凍機油Rが供給され、ベーン58はこの供給された冷凍機油Rの中間圧Pvを受けて、シリンダ40の内周面49aに向かって突出する。
また、シリンダ40の底部側には、リヤサイドブロック20の油路23に接続する貫通孔46が設けられ、フロントサイドブロック30に、この貫通孔46のフロントサイドブロック30側の開口と軸受部32とを連通させる油路33が形成され、冷凍機油Rは、軸受部32と回転軸51との間の微小隙間を通過して中間圧Pvまで降圧され、フロントサイドブロック30の内側端面に形成された凹部であるサライ溝35等に導かれる。
なお、フロントサイドブロック30のサライ溝35も、リヤサイドブロック20のサライ溝25と同様、ロータ50の背圧室59に連通している。
サライ溝25,35に供給された冷凍機油Rは、ロータ50のベーン溝58の背圧室59が連通したときに、この背圧室59にベーン58の突出力を作用させるが、背圧室59が連通しない角度範囲も含めて、ロータ50の端面50a,50bと各サイドブロック20,30の端面26,36との間などにそれぞれ浸透して、これらの端面50a,26間、端面50b,36間や、サイドブロック20,30の端面26,36とベーン58の側面との間、ベーン58の先端とシリンダ40の内周面49aとの間など、摺動部分における摺動摩擦力を低減させている。
そして、各摺動部分に浸透した冷凍機油Rは、圧縮室48内の冷媒ガスGに混入し、冷媒ガスGとともに圧縮室48から吐出され、サイクロンブロック60を介して吐出室21に吐出される。
ここで、コンプレッサ100の圧縮機本体の回転軸51に伝達された駆動力が、回転体であるロータ50等を回転させると、このロータ50等の回転動作によって、圧縮機本体は、回転軸51を振幅の中心として図1における太黒矢印Kに示すように振動し、あるいは揺動する。
そして、圧縮機本体が振動したり揺動すると、圧縮機本体の外周面とケース11の内周面とで相対的な動きが生じる。
ここで、圧縮機本体の外周面とケース11の内周面との間には、上述したOリング24が介在しており、このOリング24は弾性材料で形成されているため、Oリング24が弾性変形することで、圧縮機本体の振動や揺動のエネルギを吸収し、圧縮機本体の振動や揺動をある程度は抑制することができる。
しかし、弾性材料は剛性が低く、また弾性変形だけで圧縮機本体の振動や揺動のエネルギを全て吸収しきれない場合には、圧縮機本体の外周面とケース11の内周面とが接触する虞がある。
しかし、本実施形態に係るコンプレッサ100は、圧縮機本体の外周面とケース11の内周面とが、図3(a),(b)において太黒矢印で示す方向に作用する磁石71,72の反発磁力により、非接触に保持されるため、運転時において、圧縮機本体の外周面とケース11の内周面とが金属接触するのを防止することができる。
したがって、金属接触による異音の発生を防止し、運転時静粛性を向上させることができる。
また、本実施形態に係るコンプレッサ100は、圧縮機本体の、回転軸51の延在方向に直交する端面であるフロントサイドブロック30が、ハウジングの一部であるフロントヘッド12にボルト16で固定され、この固定された部位から最も遠くに離れた部分であるリヤサイドブロック20の外周面部分において、振動や揺動の振幅が最大になるが、この振幅が最大となる部分であるリヤサイドブロック20の外周面部分に、上述した磁石71が配設され、この磁石71とケース11の磁石72との協働によって、磁石71の変位が防止、抑制されるため、圧縮機本体の振動や揺動を最も効果的に防止、抑制することができる。
以上、詳細に説明したように、本実施形態に係るコンプレッサ100によれば、圧縮機本体とケース11等ハウジングとの運転時における金属接触を防止することができる。
なお、上述した実施形態の気体圧縮機は、ベーンロータリ形式の気体圧縮機であるが、本発明に係る気体圧縮機は、実施形態のベーンロータリ形式のものに限定されるものではなく、他の形式の気体圧縮機にも適用することができる。
11 ケース(ハウジング)
12 フロントヘッド(ハウジング)
16 ボルト
20 リヤサイドブロック(圧縮機本体)
24 Oリング(気密部材)
30 フロントサイドブロック(圧縮機本体)
40 シリンダ(圧縮機本体)
50 ロータ(圧縮機本体)
51 回転軸(圧縮機本体)
71,72 磁石
100 コンプレッサ(気体圧縮機)
G 冷媒ガス
R 冷凍機油
12 フロントヘッド(ハウジング)
16 ボルト
20 リヤサイドブロック(圧縮機本体)
24 Oリング(気密部材)
30 フロントサイドブロック(圧縮機本体)
40 シリンダ(圧縮機本体)
50 ロータ(圧縮機本体)
51 回転軸(圧縮機本体)
71,72 磁石
100 コンプレッサ(気体圧縮機)
G 冷媒ガス
R 冷凍機油
Claims (4)
- ハウジングの内部に、回転体を含む圧縮機本体を備え、前記圧縮機本体の外周面と前記ハウジングの内周面とを、反発磁力によって非接触に保持することを特徴とする気体圧縮機。
- 前記圧縮機本体の外周面と前記ハウジングの内周面とにそれぞれ磁石が配設され、これらの磁石間の磁力が反発するように設定されていることを特徴とする請求項1に記載の気体圧縮機。
- 前記圧縮機本体の、前記回転軸の延在方向に直交する端面が、前記ハウジングに固定され、前記外周面のうち、前記端面から最も遠い最外周部分に、前記磁石が配設されていることを特徴とする請求項2に記載の気体圧縮機。
- 前記圧縮機本体は、前記回転軸と一体的に回転する略円柱状のロータと、前記ロータの外方を取り囲むシリンダと、前記ロータに埋設されて、突出側の先端が前記シリンダの内周面に追従するように該ロータの外周面からの突出量が可変とされた板状のベーンと、少なくとも前記ロータおよび前記ベーンを、該ロータの両端面側から覆う2つのサイドブロックとを備え、
前記圧縮室は、前記ロータの回転方向について相前後する2つの前記ベーン、前記シリンダ、前記ロータおよび前記両サイドブロックにより、前記ロータの回転に伴ってその容積が変化するように画成され、
前記2つのサイドブロックのうち、一方のサイドブロックが前記ハウジングに固定され、他方のサイドブロックの最外周部分に、前記磁石が配設されていることを特徴とする請求項2または3に記載の気体圧縮機。
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JP2006114696A JP2007285226A (ja) | 2006-04-18 | 2006-04-18 | 気体圧縮機 |
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2006
- 2006-04-18 JP JP2006114696A patent/JP2007285226A/ja not_active Withdrawn
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