JP2007285163A - 内燃機関における排気再循環装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】吸気通路へ還流される排気ガスの還流量を増やし、且つ吸気通路へ還流される排気ガスの過冷却を回避できる排気再循環装置を提供する。
【解決手段】過給機19のコンプレッサ部191とインタークーラー27との間の吸気通路17には吸気バイパス通路31が接続されている。吸気バイパス通路31は、流量調整弁29より下流の排気ガス供給通路28に合流されている。吸気バイパス通路31と排気ガス供給通路28との合流部41は、吸気バイパス通路31を流れる吸気流によって負圧を発生させて排気ガス供給通路28から引きガスを吸い出す。
【選択図】図1

Description

本発明は、内燃機関における排気再循環装置に関する。
ディーゼルエンジン等の内燃機関から排出される排気ガスの一部を吸気通路に還流させて窒素酸化物の発生を低減する排気再循環装置は、よく知られた技術である。特許文献1,2,3,4に開示の排気再循環装置は、過給機付き内燃機関を前提としている。エンジン出力を高めるために過給機が作動しているときには吸気の圧力が高いのであるが、この状況は、排気ガスを吸気通路へ供給する際の妨げとなる。特許文献2に開示の排気再循環装置では、過給機が作動しているときにも排気ガスを吸気通路へ適正に供給する技術思想の開示はない。
特許文献1,3,4に開示の排気再循環装置は、過給機の存在を考慮して排気ガスを吸気通路へ適正に供給すべく対策した構成となっている。つまり、特許文献1,3,4に開示の排気再循環装置では、排気ガスを吸気通路へ供給する通路の出口にベンチュリ効果を生じさせる絞り部が設けられている。特許文献1,3,4のいずれの排気再循環装置においても、排気ガスを吸気通路へ供給する通路内の排気ガスが絞りによるベンチュリ効果によって吸い出されるようになっており、ベンチュリ効果は、吸気通路内の吸気流によって得られるようになっている。
特許文献1に開示の排気再循環装置における絞り部は、絞り断面積を固定にした構成となっている。しかし、エンジンの軽負荷状態では吸気通路内の吸気流量が少ない上に流速も遅いため、エンジンの中負荷状態におけるベンチュリ効果を想定した絞り部では、軽負荷状態における十分なベンチュリ効果(十分な負圧)が発生しない。軽負荷状態における十分なベンチュリ効果をもたらすことを前提とした絞り部を設けた場合には、中負荷以上の負荷状態では絞り部における流路抵抗が大きくなり過ぎ、エンジン出力の向上が阻害されるという問題がある。
特許文献3に開示の排気再循環装置では、排気ガスを吸気通路へ供給しない場合には、絞り部における絞り断面積を拡げてベンチュリ効果を低減する機構が設けられている。
特許文献4に開示の排気再循環装置では、排気ガスを吸気通路へ供給する通路の出口は、進退可能なインジェクタチューブにより形成されている。絞り部における絞り断面積は、インジェクタチューブの進退位置を調整することによって変更可能であり、絞り部における絞り断面積を調整することによってベンチュリ効果を増減することができる。
特許文献3,4のいずれの排気再循環装置においても、特許文献1における問題を生じないようにすることができる。
実開平5−61445号公報 特開平7−34983号公報 特開平8−319901号公報 特表2003−507633号公報
しかし、特許文献3,4のいずれの排気再循環装置においても、ベンチュリ効果は、インタークーラーよりも下流の吸気通路内の吸気流によってもたらされるようになっており、吸気流量が少ないときには、吸気が冷やされ過ぎることがあり、燃焼温度が下がることで、燃焼が不安定になり易い。
本発明は、吸気通路へ還流される排気ガスの還流量を増やし、且つ吸気通路へ還流される排気ガスの過冷却を回避できる排気再循環装置を提供することを目的とする。
本発明は、吸気を圧縮して吸気通路に送る過給機と、前記過給機よりも下流の前記吸気通路に介在されたインタークーラーと、前記インタークーラーより下流の前記吸気通路へ排気ガスを供給する排気ガス供給通路と、前記排気ガス供給通路における排気ガス供給量を制御する排気供給量制御弁とを備えた内燃機関における排気再循環装置とを備えた内燃機関における排気再循環装置を対象とし、請求項1の発明は、前記インタークーラーより上流の前記吸気通路から分岐して前記インタークーラーを迂回する吸気バイパス通路が前記排気供給量制御弁より下流の前記排気ガス供給通路に合流されており、前記吸気バイパス通路と前記排気ガス供給通路との合流部は、前記吸気バイパス通路から前記合流部を通過する吸気によって、前記排気ガス供給通路内の排気ガスを前記排気ガス供給通路の上流から下流へ吸い出す吸い出し部となっていることを特徴とする。
排気ガス供給通路内の排気ガスは、インタークーラーを迂回した吸気バイパス通路を流れる吸気流によって吸気通路側へ吸い出される。吸気バイパス通路内の吸気は、インタークーラーによって冷却されないため、吸気通路へ還流される排気ガスが過冷却されることはない。
好適な例では、前記吸い出し部は、前記排気ガス供給通路の周囲に旋回流を発生させる旋回流発生手段を備えている。
前記旋回流は、負圧を発生させると共に、排気ガスと吸気とを均一に混合させる。
好適な例では、前記旋回流発生手段は、前記排気ガス供給通路をその周囲で包囲する包囲筒と、前記包囲筒の周方向に間隔をおくように前記包囲筒の周囲に配設された複数の区画壁と、隣り合う区画壁の間の吸気を前記包囲筒の半径方向の外方へ誘導する誘導壁とを備え、前記複数の区画壁は、該区画壁の基端に接する前記包囲筒の半径線に対して左回り又は右回りの一方に揃えて傾けられている。
このような構成は、旋回流を発生させる上で簡便な構成である。
好適な例では、前記吸気バイパス通路における吸気供給量を制御する吸気供給量制御弁が設けられている。
吸気供給量制御弁を設けた構成は、負圧の強さを調整して排気ガス還流量を調整可能にする。
本発明は、吸気通路へ還流される排気ガスの還流量を増やし、且つ吸気通路へ還流される排気ガスの過冷却を回避できるという優れた効果を奏する。
以下、本発明を具体化した第1の実施形態を図1〜図4に基づいて説明する。
図1に示すように、ディーゼルエンジン10(内燃機関)は、複数の気筒11を備えており、シリンダヘッド12には気筒11毎に燃料噴射ノズル13が取り付けられている。燃料は、燃料ポンプ14及びコモンレール15を経由して燃料噴射ノズル13へ供給され、燃料噴射ノズル13は、各気筒11内に燃料を噴射する。
シリンダヘッド12にはインテークマニホールド16が接続されている。インテークマニホールド16は、吸気通路17に接続されており、吸気通路17は、エアクリーナ18に接続されている。吸気通路17の途中には過給機19のコンプレッサ部191が介在されている。過給機19は、排気ガス流によって作動される公知の可変ノズル式ターボチャージャーである。
吸気通路17の途中にはインタークーラー27及びスロットル弁20が設けられている。スロットル弁20は、エアクリーナ18を経由して吸気通路17に吸入される空気流量を調整するためのものである。スロットル弁20は、図示しないアクセルペダルの操作に伴って開度調整される。
アクセルペダルの踏み込み角は、アクセル開度検出器21によって検出される。図示しないクランクシャフトの回転角度(クランク角度)は、クランク角度検出器22によって検出される。アクセル開度検出器21によって得られた踏み込み角検出情報、及びクランク角度検出器22によって得られたクランク角度検出情報は、制御コンピュータCに送られる。制御コンピュータCは、クランク角度検出器22によって検出されるクランク角度の時間変化からエンジン回転数を算出する。又、制御コンピュータCは、踏み込み角検出情報及びクランク角度検出情報に基づいて、燃料噴射ノズル13における燃料噴射期間(噴射開始時期及び噴射終了時期)を算出して制御する。
シリンダヘッド12にはエキゾーストマニホールド23が接続されている。エキゾーストマニホールド23は、排気通路24に接続されている。排気通路24上にはNOx触媒を用いた排気浄化装置26が介在されている。気筒11から排出される排気ガスは、エキゾーストマニホールド23、排気通路24及び排気浄化装置26を経由して大気に放出される。
過給機19のコンプレッサ部191より上流の吸気通路17にはエアフローメータ25が配設されている。エアフローメータ25は、吸気通路17内における空気流量を検出する。エアフローメータ25によって検出された空気流量の情報は、制御コンピュータCに送られる。制御コンピュータCには、吸気温度検出器38、大気圧検出器39及び水温検出器40が信号接続されている。吸気温度検出器38は、吸気温度の検出情報を制御コンピュータCに送り、大気圧検出器39は、大気圧の検出情報を制御コンピュータCに送る。水温検出器40は、エンジン冷却用の冷却水の温度の検出情報を制御コンピュータCに送る。
スロットル弁20よりも下流の吸気通路17とエキゾーストマニホールド23とは、排気ガス供給通路28を介して接続されており、排気ガス供給通路28には流量調整弁29が介在されている。流量調整弁29は、制御コンピュータCの制御を受ける。流量調整弁29における通過断面積(以下、開度と記す)が零でない場合には、エキゾーストマニホールド23内の排気ガスが排気ガス供給通路28を経由して吸気通路17へ流出可能である。流量調整弁29は、排気ガス供給通路28における排気ガス供給量を制御する排気供給量制御弁である。
インテークマニホールド16には圧力検出器30が配設されている。圧力検出器30は、インテークマニホールド16内の圧力(過給圧)を検出する。圧力検出器30によって検出された過給圧の情報は、制御コンピュータCに送られる。制御コンピュータCは、エンジン回転数や燃料噴射量等に基づいて、予め設定されたマップから目標過給圧を決定する。又、制御コンピュータCは、前記した燃料噴射期間から燃料噴射量を算出する。そして、制御コンピュータCは、圧力検出器30によって検出される過給圧が目標過給圧になるように、過給機19のタービン部192におけるベーン開度を制御する。
過給機19のコンプレッサ部191とインタークーラー27との間の吸気通路17には、吸気通路17よりも流露面積の小さな吸気バイパス通路31が接続されている。吸気バイパス通路31は、排気ガス供給通路28と吸気通路17との接続部に合流している。つまり、過給機19とインタークーラー27との間の吸気通路17から分岐してインタークーラー27を迂回する吸気バイパス通路31は、流量調整弁29より下流の排気ガス供給通路28に合流されている。
吸気バイパス通路31の途中には流量調整弁36が介在されている。流量調整弁36は、制御コンピュータCの制御を受ける。流量調整弁36における通過断面積(以下、開度と記す)が零でない場合には、吸気バイパス通路31内の吸気がインタークーラー27より下流の吸気通路17へ流出可能である。流量調整弁36は、吸気バイパス通路31における吸気供給量を制御する吸気供給量制御弁である。
図2(a)に示すように、流量調整弁29より下流の排気ガス供給通路28を構成する排気ガス供給管281の出口端部には旋回流発生器32が嵌合して固定されている。旋回流発生手段としての旋回流発生器32は、排気ガス供給管281に嵌合して排気ガス供給管281をその周囲で包囲する包囲筒33と、包囲筒33の周方向に間隔をおくように包囲筒33の周囲に配設された複数の区画壁34と、包囲筒33の端部と全ての区画壁34の端部とに連結された環状の誘導壁35とから一体に構成されている。包囲筒33の中心軸線331は、インタークーラー27より下流の吸気通路17Aに略直交している。
複数の区画壁34は、放射状に包囲筒33に連結されている。複数の区画壁34は、包囲筒33に連結する区画壁34の基端341に接する包囲筒33の半径線r〔図2(b)に一例を示す〕に対して包囲筒33の周方向における左回りに揃えて傾けられている。ここにおける左回りとは、排気ガス供給管281内の排気ガスの流れ方向R1に見て、包囲筒33の周囲を左側へ回る方向〔図2(b)に矢印Q1で示す方向〕である。なお、複数の区画壁34は、半径線rに対して包囲筒33の周方向における右回りに揃えて傾けようにしてもよい。
図2(a)に示すように、流量調整弁36より下流の吸気バイパス通路31は、吸気バイパス管311と、吸気バイパス管311に接続された旋回流ガイド37とから構成されている。旋回流ガイド37は、円筒部371と、円筒部371に一体形成された円錐部372と、端壁373とからなる。円錐部372は、その小径部を円錐部372に接続されていると共に、その大径部をインタークーラー27より下流の吸気通路17に接続されている。排気ガス供給管281は、円筒部371の端壁を貫通するように円筒部371に結合されており、吸気バイパス管311は、端壁373を貫通するように旋回流ガイド37に接続されている。旋回流発生器32、旋回流発生器32の周囲に設けられた旋回流ガイド37、及び排気ガス供給管281は、排気ガス供給通路28と吸気バイパス通路31との合流部41を構成する。
吸気バイパス通路31を流れる吸気は、円筒部371内に流入した後に、隣り合う区画壁34の間、及び円錐部372内を通過してインタークーラー27より下流の吸気通路17へ流出する。誘導壁35は、隣り合う区画壁34の間を流れる吸気を包囲筒33の半径方向の外方へ誘導する。隣り合う区画壁34の間を通って円錐部372内を流れる吸気流は、図2(b)に矢印R2で示すように円錐部372内を旋回する旋回流となる。この旋回流は、円錐部372内の中心部に負圧をもたらし、排気ガス供給管281内の排気ガスが前記負圧によって吸い出される。つまり、排気ガス供給通路28と吸気バイパス通路31との合流部41は、吸気バイパス通路31から合流部41を通過する吸気によって排気ガス供給通路28内の排気ガスをインタークーラー27より下流の吸気通路17側へ吸い出す吸い出し部となっている。
図3(a)のグラフは、エンジン回転数Nと、エンジン負荷を反映する燃料噴射量Fとの組(N,F)に対して、流量調整弁29を開状態にして排気ガスを還流する領域G,Jと、流量調整弁29を閉状態にして排気ガスを還流しない領域Hとを表すマップである。領域Jは、流量調整弁36を開状態にして吸気を吸気バイパス通路31に流す領域でもある。領域Hの外側の境界H1は、エンジン回転数Nに対して最大となる燃料噴射量Fを表す上限曲線である。領域Gの外側の境界G1は、領域Gに含まれており、領域Jの外側の境界J1は、領域Jに含まれている。領域Jは、エンジンの軽負荷運転状態の燃焼不安定となり易い領域である。そのため、領域Jは、排気ガス還流量を増やしたい領域であり、且つ暖かい吸気を気筒11に供給したいという領域である。
図3(b)のグラフにおける曲線K11は、所定の燃料噴射量F1をもたらすエンジン回転数Nとスロットル弁20における基本通過断面積(以下、基本開度Xoと記す)との組(N,Xo)を表す特性曲線の例である。曲線K12は、所定の燃料噴射量F2(≠F1)をもたらすエンジン回転数Nとスロットル弁20の基本開度Xoとの組(N,Xo)を表す特性曲線の例である。つまり、図3(b)のグラフは、燃料噴射量Fをパラメーターとするエンジン回転数Nとスロットル弁20の基本開度Xoとの組(N,Xo)を表すマップである。例えば、燃料噴射量FがF1であってエンジン回転数NがN1である場合には、スロットル弁20の基本開度Xoは、Xo1となり、燃料噴射量FがF2であってエンジン回転数NがN2である場合には、スロットル弁20の基本開度Xoは、Xo2となる。
図3(c)における曲線K21は、所定の燃料噴射量F3をもたらすエンジン回転数Nと流量調整弁29における通過断面積(以下、開度Zと記す)との組(N,Z)を表す特性曲線の例である。曲線K22は、所定の燃料噴射量F4(≠F3)をもたらすエンジン回転数Nと流量調整弁29の開度Zとの組(N,Z)を表す特性曲線の例である。つまり、図3(c)のグラフは、燃料噴射量Fをパラメーターとするエンジン回転数Nと流量調整弁29の開度Zとの組(N,Z)を表すマップである。例えば、燃料噴射量FがF3であってエンジン回転数NがN3である場合には、流量調整弁29の開度Zは、Z1となり、燃料噴射量FがF4であってエンジン回転数NがN4である場合には、流量調整弁29の開度Zは、Z2となる。
図3(d)における曲線K31は、所定の燃料噴射量F5をもたらすエンジン回転数Nと流量調整弁36における基本通過断面積(以下、基本開度Yoと記す)との組(N,Yo)を表す特性曲線の例である。曲線K32は、所定の燃料噴射量F6(≠F5)をもたらすエンジン回転数Nと流量調整弁36の基本開度Yoとの組(N,Yo)を表す特性曲線の例である。つまり、図3(d)のグラフは、燃料噴射量Fをパラメーターとするエンジン回転数Nと流量調整弁36の基本開度Yoとの組(N,Yo)を表すマップである。例えば、燃料噴射量FがF5であってエンジン回転数NがN5である場合には、流量調整弁36の基本開度Yoは、Yo1となり、燃料噴射量FがF6であってエンジン回転数NがN6である場合には、流量調整弁36の基本開度Yoは、Yo2となる。
スロットル弁20における通過断面積(以下、開度と記す)は、図3(b)のマップに示す基本開度Xoと、環境補正量Vxとの和(Xo+Vx)によって、特定される。この環境補正量Vxは、図3(e1)のグラフで示す基本補正量Xと、図3(e2)のグラフで示す補正係数θ1と、図3(e3)のグラフで示す補正係数P1と、図3(e4)のグラフで示す補正係数W1との積〔X×θ1×P1×W1(=Vx)〕で表される。図3(e2)のグラフは、吸気温度検出器38によって検出された吸気温度から補正係数θ1を求めるマップである。図3(e3)のグラフは、大気圧検出器39によって検出された大気圧から補正係数P1を求めるマップであり、図3(e4)のグラフは、水温検出器40によって検出された水温から補正係数W1を求めるマップである。
図3(e1)における曲線K41は、所定の燃料噴射量F7に対するエンジン回転数Nと基本補正量Xとの組(N,X)を表す特性曲線の例である。曲線K42は、所定の燃料噴射量F8(≠F7)をもたらすエンジン回転数Nと基本補正量Xとの組(N,X)を表す特性曲線の例である。つまり、図3(e1)のグラフは、燃料噴射量Fをパラメーターとするエンジン回転数Nと基本補正量Xとの組(N,X)を表すマップである。例えば、燃料噴射量FがF7であってエンジン回転数NがN7である場合には、基本補正量Xは、X1となり、燃料噴射量FがF8であってエンジン回転数NがN8である場合には、基本補正量Xは、X2となる。図3(e1)における基本補正量Xは、0又は負の値をとる。
流量調整弁36における通過断面積(以下、開度と記す)は、図3(d)のマップに示す基本開度Yoと、環境補正量Vyとの和(Yo+Vy)によって、特定される。この環境補正量Vyは、図3(f1)のグラフで示す基本補正量Yと、図3(f2)のグラフで示す補正係数θ2と、図3(f3)のグラフで示す補正係数P2と、図3(f4)のグラフで示す補正係数W2との積〔Y×θ2×P2×W2(=Vy)〕で表される。図3(f2)のグラフは、吸気温度検出器38によって検出された吸気温度から補正係数θ2を求めるマップである。図3(f3)のグラフは、大気圧検出器39によって検出された大気圧から補正係数P2を求めるマップであり、図3(f4)のグラフは、水温検出器40によって検出された水温から補正係数W2を求めるマップである。
図3(f1)における曲線K51は、所定の燃料噴射量F9に対するエンジン回転数Nと基本補正量Yとの組(N,Y)を表す特性曲線の例である。曲線K52は、所定の燃料噴射量F10(≠F9)をもたらすエンジン回転数Nと基本補正量Yとの組(N,Y)を表す特性曲線の例である。つまり、図3(f1)のグラフは、燃料噴射量Fをパラメーターとするエンジン回転数Nと基本補正量Yとの組(N,Y)を表すマップである。例えば、燃料噴射量FがF9であってエンジン回転数NがN9である場合には、基本補正量Yは、Y1となり、燃料噴射量FがF10であってエンジン回転数NがN10である場合には、基本補正量Yは、Y2となる。図3(f1)における基本補正量Yは、0又は正の値をとる。
制御コンピュータCは、算出したエンジン回転数Nと燃料噴射量Fとの組(N,F)が領域H内にある場合には、流量調整弁29,36を閉じる制御を行なう。そして、制御コンピュータCは、図3(b),(e1),(e2),(e3),(e4)のマップを用いてスロットル弁20の開度を特定する。
制御コンピュータCは、算出したエンジン回転数Nと燃料噴射量Fとの組(N,F)が領域G内にある場合には、流量調整弁29を開くと共に、流量調整弁36を閉じる制御を行なう。そして、制御コンピュータCは、図3(b),(e1),(e2),(e3),(e4)のマップを用いてスロットル弁20の開度を特定し、且つ図3(c)のマップを用いて流量調整弁29の開度を特定する。
制御コンピュータCは、算出したエンジン回転数Nと燃料噴射量Fとの組(N,F)が領域J内にある場合には、流量調整弁29,36を開く制御を行なう。そして、制御コンピュータCは、図3(b),(e1),(e2),(e3),(e4)のマップを用いてスロットル弁20の開度を特定し、且つ図3(c)のマップを用いて流量調整弁29の開度を特定し、且つ図3(d),(f1),(f2),(f3),(f4)のマップを用いて流量調整弁36の開度を特定する。
第1の実施形態では以下の効果が得られる。
(1)流量調整弁29,36が開いているときには、排気ガス供給通路28内の排気ガスは、インタークーラー27を迂回した吸気バイパス通路31を流れる吸気流によって生じる負圧によって、インタークーラー27より下流の吸気通路17A側へ吸い出される。
図4は、吸気量Sと排気ガス還流量Eとの組(S,E)によって表される使用域を表すグラフである。線L1は、吸気バイパス通路31及び吸い出し部がない場合の使用域の上限であり、線L2は、吸気バイパス通路31及び吸い出し部がある場合の使用域の上限である。線L2上における吸気量Sの増加に対する排気ガス還流量Eの減少程度は、線L1上における吸気量Sの増加に対する排気ガス還流量Eの減少程度に比べて、少ないが、これは、吸気量が増すほど、負圧が増して排気ガス還流量が増すことによる。
線L2が線L1よりも上側にあることから、吸気バイパス通路31及び吸い出し部を備えた本実施形態の構成では、吸気バイパス通路31及び吸い出し部を備えていない構成に比べて、吸気量及び排気ガス還流量を共に増やせるという効果が得られる。
(2)負圧によって吸気通路17A側へ吸い出される吸気バイパス通路31内の吸気は、インタークーラー27によって冷却されないため、吸気通路17Aへ還流される排気ガスが過冷却されることはなく、気筒11の燃焼室内温度が下がり過ぎることもない。
(3)旋回流発生器32は、排気ガス供給管281の周囲に旋回流を発生させる。この旋回流は、負圧を発生させて排気ガス供給管281から排気ガスを吸い出すが、負圧を発生させる旋回流発生器32は、特許文献1,3,4に開示のベンチュリ効果をもたらす絞りの構成とはなっていない。従って、旋回流発生器32が吸気バイパス通路31を流れる吸気の流れに対する抵抗とはならず、絞り利用による吸気の流れに対する抵抗に起因する出力低下というような問題は、生じない。
(4)旋回流発生器32によって発生される旋回流は、排気ガス供給管281から吸い出された排気ガスと吸気とを均一に混合させる。このような混合の均一化は、各気筒11における出力の均一化に寄与すると共に、黒煙発生の抑制に寄与する。
(5)包囲筒33と誘導壁35と複数の区画壁34とを一体的に連結して構成された旋回流発生器32は、旋回流を発生させる上で簡便な構成である。
(6)吸気バイパス通路31を流れる吸気の流れを利用した吸い出し部の存在は、流量調整弁29における流量能力の低減化(流し得る最大流量の低減化)、つまり流量調整弁29の小型化を可能にする。小型の流量調整弁は、流量のきめ細かな調整に関して、大型の流量調整弁よりも有利であり、流量調整弁29の小型化は、還流される排気ガスの流量精度の向上に寄与する。還流される排気ガスの流量精度の向上は、黒煙発生の抑制に寄与する。
(7)流量調整弁36を設けた構成は、負圧の強さを調整して排気ガス還流量を調整可能にする。
次に、図5(a),(b)の第2の実施形態を説明する。第1の実施形態と同じ構成部には同じ符合が用いてある。
第2の実施形態では、区画壁34が傾けられている。区画壁34の傾き方向は、誘導壁35に近づくにつれて矢印R2の方向(旋回方向)に向かう方向である。区画壁34を傾けた構成は、第1の実施形態の場合よりも旋回流の旋回成分を大きくし、吸い出し作用が第1の実施形態の場合よりも強くなる。
次に、図6(a),(b)の第3の実施形態を説明する。第1の実施形態と同じ構成部には同じ符合が用いてある。
第3の実施形態では、吸気バイパス管311が円筒部371の周面を貫通するように円筒部371に接続されている。吸気バイパス管311の出口は、包囲筒33の中心軸線331から偏心した位置を指向しており、吸気バイパス管311から円筒部371内へ流出した吸気流は、円筒部371内で矢印R2で示す旋回流の旋回方向と同じ方向に旋回する。矢印R3は、円筒部371内の旋回流を表す。円筒部371内にこのような旋回流を生成させる構成は、円錐部372内の旋回流の旋回成分を大きくし、吸い出し作用が第1の実施形態の場合よりも強くなる。
次に、図7(a),(b)の第4の実施形態を説明する。第1の実施形態と同じ構成部には同じ符合が用いてある。
第4の実施形態では、吸気バイパス管311Bが吸気通路17Aに接続されている。吸気バイパス管311Bは、流量調整弁36に連結された主管312と、吸気通路17Aに連結された副管313と、主管312と副管313とを繋ぐ繋ぎ管314とから構成されている。繋ぎ管314によって包囲された主管312の部分と副管313の部分とには縮径部315,316が形成されている。縮径部315,316は、吸気バイパス管311Bの管内に張り出しており、縮径部315,316と繋ぎ管314との間には環状の流路317が形成されている。縮径部315と縮径部316との間には隙間318が設けられている。隙間318は、流路317と吸気バイパス管311Bの管内とを連通している。
繋ぎ管314の外周面には筒状の継ぎ手319が形成されており、継ぎ手319には排気ガス供給管281が接続されている。流量調整弁29が開いているときには、排気ガス供給管281内の排気ガスが継ぎ手319内、流路317及び隙間318を経由して吸気バイパス管311B内へ流入する。吸気バイパス管311B内を流れる吸気は、縮径部315,316の内側で絞り作用を受け、隙間318付近には負圧が生じる。これにより、排気ガス供給管281内の排気ガスが隙間318を経由して吸気バイパス管311B内へ吸い出される。
吸気バイパス管311Bと排気ガス供給管281との合流させた合流部41Bは、排気ガス供給管281から吸気通路17A側へ排気ガスを吸い出す吸い出し部となっている。
第4の実施形態においても、第1の実施形態における(1),(2),(6)項と同様の効果が得られる。
本発明では以下のような実施形態も可能である。
○第1の実施形態において、包囲筒33の中心軸線331が吸気通路17Aに近づくにつれて吸気通路17Aの下流側に向かうように、中心軸線331が吸気通路17Aに対して斜交するようにしてもよい。
○区画壁34及び誘導壁35を排気ガス供給管281に直接設けてもよい。
○第1,2の実施形態において、旋回流ガイド37の円錐部372を円筒形状にしてもよい。
前記した実施形態から把握できる技術思想について以下に記載する。
〔1〕吸気供給量制御弁は、エンジンの軽負荷運転時に開かれる請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の内燃機関における排気再循環装置。
〔2〕旋回流発生器の周囲に旋回流ガイドが設けられている請求項2及び請求項3のいずれか1項に記載の内燃機関における排気再循環装置。
第1の実施形態を示す排気ガス浄化装置の全体構成図。 (a)は、部分拡大断面図。(b)は、図2(a)のA−A線断面図。 (a)は、エンジン回転数Nと、エンジン負荷を反映する燃料噴射量Fとの組(N,F)に対して、排気ガスを還流する領域G,Jと、排気ガスを還流しない領域Hとを表すマップ。(b)は、燃料噴射量Fをパラメーターとするエンジン回転数Nとスロットル弁20の基本開度Xoとの組(N,Xo)を表すマップ。(c)は、燃料噴射量Fをパラメーターとするエンジン回転数Nと流量調整弁29の開度Zとの組(N,Z)を表すマップ。(d)は、燃料噴射量Fをパラメーターとするエンジン回転数Nと流量調整弁36の基本開度Yoとの組(N,Yo)を表すマップ。(e1)は、燃料噴射量Fをパラメーターとするエンジン回転数Nと基本補正量Xとの組(N,X)を表すマップ。(e2)は、吸気温度検出器38によって検出された吸気温度から補正係数θ1を求めるマップ。(e3)は、大気圧検出器39によって検出された大気圧から補正係数P1を求めるマップ。(e4)は、水温検出器40によって検出された水温から補正係数W1を求めるマップ。(f1)は、燃料噴射量Fをパラメーターとするエンジン回転数Nと基本補正量Yとの組(N,Y)を表すマップ。(f2)は、吸気温度検出器38によって検出された吸気温度から補正係数θ2を求めるマップ。(f3)は、大気圧検出器39によって検出された大気圧から補正係数P2を求めるマップ。(f4)は、水温検出器40によって検出された水温から補正係数W2を求めるマップ。 吸気量Sと排気ガス還流量Eとの組(S,E)によって表される使用域を表すグラフ。 第2の実施形態を示し、(a)は、部分拡大断面図。(b)は、図5(a)のB−B線断面図。 第3の実施形態を示し、(a)は、部分拡大断面図。(b)は、図6(a)のC−C線断面図。 第4の実施形態を示し、(a)は、排気ガス浄化装置の部分構成図。(b)は、部分拡大断面図。
符号の説明
10…内燃機関としてのディーゼルエンジン。17,17A…吸気通路。19…過給機。27…インタークーラー。28…排気ガス供給通路。29…排気供給量制御弁としての流量調整弁。31…吸気バイパス通路。32…吸い出し部(合流部)を構成する旋回流発生手段としての旋回流発生器。33…包囲筒。34…区画壁。341…基端。35…誘導壁。36…吸気供給量制御弁としての流量調整弁。37…吸い出し部(合流部)を構成する吸い出し器。41,41B…合流部。r…半径線。

Claims (4)

  1. 吸気を圧縮して吸気通路に送る過給機と、前記過給機よりも下流の前記吸気通路上に介在されたインタークーラーと、前記インタークーラーより下流の前記吸気通路へ排気ガスを供給する排気ガス供給通路と、前記排気ガス供給通路における排気ガス供給量を制御する排気供給量制御弁とを備えた内燃機関における排気再循環装置において、
    前記インタークーラーより上流の前記吸気通路から分岐して前記インタークーラーを迂回する吸気バイパス通路が前記排気供給量制御弁より下流の前記排気ガス供給通路に合流されており、前記吸気バイパス通路と前記排気ガス供給通路との合流部は、前記吸気バイパス通路から前記合流部を通過する吸気によって、前記排気ガス供給通路内の排気ガスを前記排気ガス供給通路の上流から下流へ吸い出す吸い出し部となっている内燃機関における排気再循環装置。
  2. 前記吸い出し部は、前記排気ガス供給通路の周囲に旋回流を発生させる旋回流発生手段を備えている請求項1に記載の内燃機関における排気再循環装置。
  3. 前記旋回流発生手段は、前記排気ガス供給通路をその周囲で包囲する包囲筒と、前記包囲筒の周方向に間隔をおくように前記包囲筒の周囲に配設された複数の区画壁と、隣り合う区画壁の間の吸気を前記包囲筒の半径方向の外方へ誘導する誘導壁とを備え、前記複数の区画壁は、該区画壁の基端に接する前記包囲筒の半径線に対して左回り又は右回りの一方に揃えて傾けられている請求項2に記載の内燃機関における排気再循環装置。
  4. 前記吸気バイパス通路における吸気供給量を制御する吸気供給量制御弁が設けられている請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の内燃機関における排気再循環装置。
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