JP2007284449A - 1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸の製造法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸又はその塩を有効成分として含有する代謝性骨疾患予防治療剤。
【選択図】なし
Description
しかしながら、これらビフィズス菌の増殖促進物質の調製は、いずれも煩雑であり、ビフィズス菌のみを選択的に増殖させるという作用においても十分とは言えない点があった。
また、本発明は、上記の製造法により得られた1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸含有組成物を提供するものである。
また、本発明は、上記の製造法により得られた1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸含有組成物、又は1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸もしくはその塩を有効成分として含有する腹部不快症状改善用飲食品、腹部不快症状改善剤、整腸剤、代謝性骨疾患予防治療用飲食品又は代謝性骨疾患予防治療剤を提供するものである。
また、本発明は、上記の製造法により得られた1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸含有組成物、又は1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸もしくはその塩の、腹部不快症状改善用飲食品、腹部不快症状改善剤、整腸剤、代謝性骨疾患予防治療用飲食品又は代謝性骨疾患予防治療剤の製造のための使用を提供するものである。
DHNAは、DHNA産生菌の培養物中(菌体内及び/又は外)に含有されているので、吸着クロマトグラフィーを適用せずに培養物それ自体をロータリーエバポレーター等を使用し、濃縮することによってDHNAを高濃度に含有する組成物を得ることができる。また、通常の遠心分離法によって培養物から菌体を分離し得られた上清を濃縮することも好ましい。こうして得られた組成物は、利用する形態にあわせ、液状のまま用いてもよいし、粉末状に加工することもできる。
この製剤をヒトに適用する場合、経口投与するのが好ましい。有効成分であるDHNAの治療有効量は治療される各患者の年齢及び条件によって変動するが、一般にDHNAとして、ヒト体重1kgあたり1日量0.03〜3μg、より好ましくは0.1〜1μg経口投与する。
培養条件
脱脂粉乳培地(後記する実施例1に記載)にそれぞれ下記供試菌を摂取し、37℃で18〜72時間、ガスパック法にて嫌気培養した。
(A)Propionibacterium freudenreichii IFO 12424 (培養時間:72時間)
(B)Propionibacterium acidipropionicii IFO 12425 (72時間)
(C)Propionibacterium jensenii IFO 12427 (72時間)
(D)Lactococcus lactis ATCC 10697 (24時間)
(E)Leuconostoc mesenteroides JCM 9700 (24時間)
(F)Lactobacillus acidophilus ATCC 4357 (18時間)
(G)Lactobacillus plantarum IFO 12006 (18時間)
(H)Lactobacillus rhamnosus JCM 1136 (18時間)
(I)Lactobacillus casei ATCC 7469 (18時間)
(J)Bifidobacterium longum ATCC 15707 (18時間)
(K)Bifidobacterium bifidum ATCC 11146 (18時間)
(L)Bifidobacterium adolescentis ATCC 15703 (18時間)
(M)Bifidobacterium breve ATCC 15700 (18時間)
カラム:C18、充填剤粒径3μm、内径4.6mm、長さ150mm
(C18:インタクト(株)のCadenza CD-C18)
溶離液:アセトニトリル:メタノール:水:酢酸=10:20:200:0.1(5%アンモニア水でpH 7.0に調整)
流速:1.5mL/min
注入量:20μl
検出器:UV254nm
各培養液10mlに0.1%(w/v)のアスコルビン酸ナトリウムを添加後、pH7.0に調整し、水で全量を20mlにした後、そのうち3mlを等量のメタノールと混合して、3000rpmで10分間遠心分離し、その上清液を0.45μmのフィルターでろ過した。
HPLCサンプル中のDHNA量は、予め求めた市販のDHNA(和光純薬(株)製)標品の保持時間(13分付近)、及びHPLCのピーク面積とDHNA濃度との関係(検量線)をもとに算出した。
脱脂粉乳を10%(w/v)の濃度になるように水で溶解した脱脂粉乳培地(脱脂粉乳の10重量%還元液)にビール酵母エキス(アサヒビール(株)製)を0.1%(w/v)添加した液50Lを容量5Lの三角フラスコ20本に分注し、121℃、7分間オートクレーブで滅菌した。これらの培地にプロピオニバクテリウム・フロイデンライヒ(Propionibacterium freudenreichii)IFO 12424株の賦活培養液60mlをそれぞれ接種し、37℃で72時間、窒素雰囲気下、嫌気培養したところ、1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸を3μg/ml含有する組成物(50L)が得られた。なお、前記賦活培養液は、TPYG培地(トリプチケース(BBL) 8g、フィトンペプトン(BBL) 3g、ビール酵母エキス5g、L−システイン塩酸塩 0.5g、グルコース 20g、K2HPO4 2g、KH2PO4 3g、MgCl2・6H2O 0.5g、FeSO4・7H2O 10mg、H2O 1000ml、pH6.5)に2%(w/v)のプロピオニバクテリウム・フロイデンライヒ(Propionibacterium freudenreichii)を接種し、37℃で72時間ガスパック法にて嫌気培養することで得る。
脱脂粉乳を10〜20%(w/w)の濃度になるように水で溶解し、プロテアーゼ[アマノA](アマノ製薬(社)製)を脱脂粉乳量の0.25%(w/w)添加し、47℃で6時間酵素分解した。この間、炭酸カリウム水溶液でpH6.8に保持した。85℃、5分間加熱して酵素を失活させた後、脱脂粉乳量が10%(w/w)となるよう水でメスアップした。ビール酵母エキス(アサヒビール(社)製)を脱脂粉乳の5%(w/w)量添加した後、2L容量のファーメンターに1.5Kg分注し、121℃、7分間オートクレーブで滅菌した。ファーメンター中に窒素ガスを上面通気で流し、撹拌は150rpmで行い、培地温度を33℃に調整した。培地温度が33℃に安定したら、プロピオニバクテリウム・フロイデンライヒ(Propionibacterium freudenreichii)ET−3株(平成13年8月9日付で、独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6(郵便番号305−8566))にFERMBP−8115として寄託されている)の凍結濃縮スターターを培地に対し0.05%(w/w)接種し、培養を開始した。途中、培養開始72時間後と96時間後に、培養液に対し、2%(w/w)量の乳糖と、1.3%(w/w)量の乳糖を添加した。33℃で120時間、40%(w/w)炭酸カリウム水溶液でpH6.45に保ちながら窒素雰囲気下で嫌気培養したところ、この時点で、培養液中に30μg/mlのDHNAが産生された。なお、培養開始120時間後のアルカリ消費量は培養液1.5kgに対し、131gであった。さらに、この培養液にアスコルビン酸ナトリウムを培養液の0.5%(w/w)量添加し、炭酸カリウム水溶液でpHを8.0に調整後、10℃まで冷却した。これを10℃で2週間保存した結果、培養液中のDHNAの含量は、40μg/mlまで増加した。凍結濃縮スターターは、プロピオニバクテリウム・フロイデンライヒ(Propionibacterium freudenreichii)ET-3株の賦活培養液(上記脱脂粉乳のプロテアーゼ処理物を主成分とする培養液で33℃で48時間窒素雰囲気下で嫌気培養する)を、培地(脱脂粉乳のプロテアーゼ処理物を主成分とする培養液)に対して2%(w/w)量接種し、33℃で72時間培養し、培養終了後、培地を回収して遠心分離し、菌体を20倍程度に濃縮した。その後、適量を滅菌した容器に分注し、−80℃以下で凍結し、−80℃で保存したものを使用した。
ダイアイオンHP−20(4L)をカラムに充填し、0.5%(w/v)アスコルビン酸ナトリウム水溶液で洗浄後、実施例1で得られた組成物40Kgをカラムに添加した。次に0.5%(w/v)アスコルビン酸ナトリウム水溶液8Lで水溶性画分を除去後、エタノール12Lを流してDHNAを溶出させた。溶出液にはさらに0.5%(w/v)量アスコルビン酸ナトリウムを添加した。本エタノール画分をエバポレーターで濃縮し、DHNAを115mgを含む10gの本発明組成物を得た。
実施例1で得られた組成物5Kgに0.5%(w/w)量アスコルビン酸ナトリウムを添加し、ロータリーエバポレーターにて5倍に濃縮したところ、1Kg中にDHNAを15mg含む本発明組成物が得られた。
実施例2で得られた濃縮物をpH4.5に調整した0.5%(w/v)アスコルビン酸ナトリウム水溶液1Lに溶解し、酢酸エチル1Lで3回抽出した。酢酸エチル層をあわせて、無水硫酸ナトリウム200gで脱水後減圧下濃縮した。濃縮物をメタノール80mLに溶解後、その4mLをC18カラムで精製した。保持時間21分から31分のDHNA溶出画分に25%(w/v)となるようにアスコルビン酸ナトリウムを加えた後、減圧下濃縮した。この濃縮物800mLを酢酸エチル300mLで2回抽出し、無水硫酸ナトリウム50gで脱水後減圧下濃縮した。得られた最終精製物を500MHz 1H-NMRにて構造を解析したところDHNAであると同定した。最終的に培養液40LからDHNA 115mgが得られた。
移動層:アセトニトリル:メタノール:水:酢酸=20:40:200:0.1(5%アンモニア水でpH 7.0に調整)
温度:室温
流速:100mL/min
注入量:4mL
検出器:UV254nm
<最終精製物のNMRデータ>
1H-NMR (500MHz, MeOH-d4):δ8.39 (1H, d, J=8.3Hz), 8.23 (1H, d, J=8.3Hz), 7.69 (1H, dd, J=8.3, 6.9Hz), 7.60 (1H, dd, J=8.3, 6.9Hz), 7.23 (1H, s)
マウス5匹(5週齢:ICRを購入後、7日間訓化)を用いて実施例2記載のDHNA含有組成物の急性毒性試験を実施した。1日当たり78.3mg/kg(DHNAは、0.9(≒115×(78.3/(10×1000)))mg/kg)を最高投与量として5日間連続投与し、14日間観察したが、死亡は認められず、体重、行動、臓器の解剖所見を調べたが何れも異常がないことを確認した。
実施例1で得られた組成物10Kgを品温50℃で24時間凍結乾燥し、凍結乾燥粉1Kgを得た。次に同粉末をブドウ糖80%(w/w)と乾燥コーンスターチ10%(w/w)、粉末パラチニット7%(w/w)、クエン酸3%(w/w)から成るタブレット基剤に40%(w/w)配合し、0.5g毎に打錠した。
生乳10Kgにアスコルビン酸ナトリウム15g及びDHNAを含有する実施例2より得られた組成物125mgを添加し、これを均質化した後に130℃で2秒間殺菌し、100ml毎に容器に充填した。
プロピオニバクテリウム・フロイデンライヒ(Propionibacterium freudenreichii)ET−3株(FERM P-18454)をホエイ粉のプロテアーゼ処理物を主原料とする培地(10重量%ホエイ粉還元液をプロテアーゼ(天野製薬(株)製:アマノA)で2時間タンパク分解(50℃、pH7.0)した溶液にビール酵母エキス(アサヒビール製)を0.1%(w/v)添加した液50Lをジャーファーメンターに供し、121℃、7分間滅菌した)に、賦活培養液60mlを接種し、35℃、pH6.0で90時間、嫌気培養後、0.5%(w/v)のアスコルビン酸ナトリウムを添加することで得られた本発明組成物177.5mlを、生乳9822.5mlに添加し、これを均質化した後に130℃で2秒間殺菌し、100ml毎に容器に充填した(DHNA含量11μg/100ml)。
前記賦活培養液は、培養温度35℃以外は、実施例1と同様の方法で得る。
試験飲料として実施例8で調製した乳飲料を用い、対照飲料として発酵前の培地を用いて同様に調製した乳飲料を用いた。被験者は、牛乳摂取による呼気中水素ガス濃度の測定を行い、小腸のβ-ガラクトシダーゼ活性が低く乳糖不耐症と考えられるヒトを選定した。具体的には、対照飲料400mlによるラクトース負荷試験を行い、呼気中の水素濃度が飲料摂取から6時間までに約20ppm以上増加した15名(男性7名、女性8名、平均年齢28.07±3.41才)を被験者とした。
アンケート用紙を各被験者に配布し、30分毎に腹部症状について自己記入方式で調査した。腹部膨満感は、「接取直後に比較して非常におなかが張る」を4、「摂取直後に比較しておなかが張る」を3、「接取直後に比較して少しおなかが張る」を2、「摂取直後に比較して変わらない」を1として数値化し、摂取30分後から6時間までの値を累積した。また、その他の腹部症状として下痢、腹痛、鼓腸(ゴロゴロなる)があった際にはアンケート用紙に併記させた。
プロピオニバクテリウム・フロイデンライヒ(Propionibacterium freudenreichii)IFO 12424株を実施例9と同様の方法で培養し得られた培養物5Kgをさらにエバポレーターで5倍濃縮したところ、1Kg中DHNAを45mg含む組成物が得られた。得られた組成物35.5gに生乳10kg、アスコルビン酸ナトリウム15gを用いて調製した乳飲料で実施例10と同様の実験を行ったところ、本発明組成物を含有する乳飲料の摂取により、実施例10とほぼ同様の結果が得られ、乳飲料摂取時にみられる腹部不快症状が改善されることが確認された。
骨折手術時に得られた20歳男性の長管骨骨膜より樹立した培養ヒト骨芽細胞(SaM−1)を使用した。このSaM-1細胞は骨芽細胞の特徴をすべて保持していた(Koshihara, Y. et al.: In Vitro Cell. Dev. Biol., 25: 37-43, 1989)。SaM-1は、2mMのα−グリセロリン酸存在下で、1α,25(OH)2D3の濃度に依存して石灰化を促進することが知られている(Koshihara, Y. et al.: Biochem. Biophys. Res. commun., 145: 651-657,1987)。
18PDL(population doubling level)のSaM-1を12穴プレートに播き、コンフルエントになるまで培養した。つぎに石灰化促進剤である、α−グリセロリン酸を2mMになるように添加した。この培養系に、10-7M〜10-5MのDHNAを添加し32日間培養した。対照には溶媒のDMSOを培養液の0.1%になるように加えた。培地はそれぞれの試験物質を含む培地で1日おきに交換した。石灰化度はヒドロキシアパタイトの構成成分であるCa量で表した。
培養終了後Hank's液にて細胞を洗浄した。冷5%過塩素酸 0.5mL/ウエル を加えて、4℃で15分間振盪抽出した。抽出液25μLと緩衝液2.5mLを混合後、発色液(OCPC0.4mg/mL、8−キノリノール含有)250μLを加えて攪拌し、5分後にその反応液を吸光度計(570nm)にて測定した(図4)。図4から、DHNAは、濃度に依存して石灰化を促進することが確認された。
免疫抑制剤として知られるFK−506を動物に投与する事により骨粗鬆症様の病態を引き起こすことが知られている(J. Hard Tissue Biology, 103-107, 10(2), 2001)が、これは、骨芽細胞上に発現されるRANKL(破骨細胞分化因子)の発現亢進により破骨細胞形成が進み、骨吸収優位となって骨粗鬆症病態を呈することが示唆されている。8週齢のICR雄性マウスにFK−506を1mg/kgで10週間連続腹腔内投与した。この間、餌(CRF-1、オリエンタル酵母社製)は自由摂取とし、DHNAを毎日75μg/kgを1%DMSO(ジメチルスルホキシド)水溶液に懸濁させて経口投与した。その結果、DHNA投与群は、コントロール群(FK506(+))に比べて有意に骨密度が高く、FK506投与による骨密度の低下が抑制されていることが明らかとなった(図5)。
Claims (2)
- 1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸又はその塩を有効成分として含有する代謝性骨疾患予防治療剤。
- 1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸又はその塩が、1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸を産生する微生物を培養し、培養物中に1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸を産生させ、これを採取することにより得られたものである請求項1記載の代謝性骨疾患予防剤。
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