JP2007282848A - ゴルフクラブヘッド、ゴルフクラブおよびゴルフクラブヘッドの製造方法 - Google Patents

ゴルフクラブヘッド、ゴルフクラブおよびゴルフクラブヘッドの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】強度等を維持しつつ、飛距離等の打撃性能および打撃時における主に打撃音による打球感も改善し、さらには設計自由度も高いゴルフクラブヘッド、ゴルフクラブおよびゴルフクラブヘッドの製造方法を提供する。
【解決手段】本発明のゴルフクラブヘッドは、ゴルフボールを打撃するフェース面を備えるフェース部、ソール部、クラウン部、およびサイド部を有し、フェース部、ソール部、クラウン部およびサイド部により外殻構造が構成されたものである。このゴルフクラブヘッドは、ソール部、クラウン部およびサイド部のうち、少なくとも1つの部材が、液体金属を用いた熱処理が施されたものであり、液体金属を用いた熱処理が施された部材は最も薄い部分の厚さが0.2〜0.5mmである。
【選択図】図2

Description

本発明は、強度、および飛距離等の打撃性能を維持しつつ、打撃時における主に打撃音による打球感も改善し、さらには設計自由度も高いゴルフクラブヘッド、ゴルフクラブおよびゴルフクラブヘッドの製造方法に関するものである。
近年、飛距離などの打撃性能が向上されたゴルフクラブヘッドが提案されている(特許文献1等参照)。
特許文献1には、液体金属を用いた熱処理が施されたチタン合金材料を用いたウッド型ゴルフクラブヘッドが開示されている。
図5に示すように、特許文献1に開示されたゴルフクラブヘッド100は、中空構造であり、シャフト(図示せず)に接続されたホーゼル部102と、ホーゼル部102に接合されて中空部104の上部を形成するクラウン部106と、クラウン部106に接続されて中空部104の底部を形成するソール部108と、クラウン部106およびソール部108に接続されて中空部104の前面を形成するフェース部110とからなるものである。これらの部品が互いに溶接により接合されている。
特許文献1における液体金属による熱処理においては、ゴルフクラブヘッドを構成する部品を、構成する部品の合金成分が固溶体に溶解する固溶温度よりも高く、かつ構成する部品の融点よりも低い温度にあらかじめ加熱して保持してある初期加熱槽内の液体リチウム内に直接浸漬して、構成する部品が固溶体を形成するまで保持する初期加熱工程と、冷却槽内の液体リチウムを、固溶温度よりも低い温度にあらかじめ保持し、初期加熱工程の後に冷却槽内の液体リチウム内にゴルフクラブヘッドを構成する部品を直接浸漬して冷却して過飽和固溶体を得るリチウム浸漬冷却工程と、リチウム浸漬冷却工程の後にゴルフクラブヘッドを構成する部品を室温まで冷却する第2の冷却工程と、その後に、室温よりも高い時効温度に保った再加熱槽内にゴルフクラブヘッドを構成する部品を入れて保持する再加熱工程とを有するものである。
特許文献1においては、上述の熱処理により、ゴルフクラブヘッド100を構成する部品について、強度およびヤング率を高くすることができるため、肉厚を薄くすることができる。これにより、ゴルフクラブヘッド100を軽量化することができる。
また、フェース部110について、肉厚を薄くすることができ、ゴルフクラブヘッド100を軽量化するとともに、ゴルフボールの打撃時にフェース部110の撓みを大きくすることができ、反発係数を大きくすることができる。
特開2006−16691号公報
しかしながら、特許文献1のゴルフクラブヘッドにおいては、液体金属を用いた熱処理を施したチタン合金を用いることにより、軽量化を図り、反発係数を高くして、ゴルフボールの飛距離を向上させることができるものの、打球感については何ら考慮されていない。ゴルファは、単に飛距離だけではなく、ゴルフボール打撃時の打球感についても、良好なものを望んでいる。特許文献1のゴルフクラブヘッドでは、必ずしも良好な打撃音が得られるとは限らない。
本発明の目的は、前記従来技術に基づく問題点を解消し、強度等を維持しつつ、飛距離等の打撃性能および打撃時における主に打撃音による打球感も改善し、さらには設計自由度も高いゴルフクラブヘッド、ゴルフクラブおよびゴルフクラブヘッドの製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の第1の態様は、ゴルフボールを打撃するフェース面を備えるフェース部、ソール部、クラウン部、およびサイド部を有し、前記フェース部、前記ソール部、前記クラウン部、および前記サイド部により外殻構造が構成されたゴルフクラブヘッドであって、前記ソール部、前記クラウン部、および前記サイド部のうち、少なくとも1つの部材は、液体金属を用いた熱処理が施されたものであり、前記液体金属を用いた熱処理が施された前記部材は、最も薄い部分の厚さが0.2〜0.5mmであることを特徴とするゴルフクラブヘッドを提供するものである。
本発明において、前記部材は、クラウン部であることが好ましい。
また、本発明の第2の態様は、ゴルフボールを打撃するフェース面を備えるフェース部、ソール部、クラウン部、およびサイド部を有し、前記フェース部、前記ソール部、前記クラウン部、および前記サイド部により外殻構造が構成されたゴルフクラブヘッドであって、
前記フェース部は、液体金属を用いた熱処理が施されたものであり、さらに前記フェース部は、比重が4.8〜5.1、ヤング率が115〜140GPaであり、鍛造により成形されたものであることを特徴とするゴルフクラブヘッドを提供するものである。
本発明において、前記フェース部は、中央部の厚さが2.8〜3.5mmであることが好ましい。
また、本発明において、さらに、前記ソール部、前記クラウン部、および前記サイド部のうち、少なくとも1つの部材は、液体金属を用いた熱処理が施されたものであり、前記液体金属を用いた熱処理が施された前記部材は、最も薄い部分の厚さが0.2〜0.5mmであることが好ましい。
本発明においても、前記部材はクラウン部であることが好ましい。
また、本発明の第3の態様は、上記本発明の第1の態様のゴルフクラブヘッドまたは上記本発明の第2の態様のゴルフクラブヘッドを有することを特徴とするゴルフクラブを提供するものである。
さらに、本発明に第4の態様は、ゴルフボールを打撃するフェース面を備えるフェース部、ソール部、クラウン部、およびサイド部を有し、前記フェース部、前記ソール部、前記クラウン部、および前記サイド部により外殻構造が構成されたゴルフクラブヘッドの製造方法であって、前記フェース部、前記ソール部、前記クラウン部、および前記サイド部を作製する工程と、前記ソール部、前記クラウン部、および前記サイド部のうち、少なくとも1つの部材を、液体金属を用いて熱処理する工程と、前記フェース部、前記ソール部、前記クラウン部、および前記サイド部を相互に接合する工程とを有することを特徴とするゴルフクラブヘッドの製造方法を提供するものである。
本発明のゴルフクラブヘッドおよびゴルフクラブは、ゴルフボールを打撃するフェース面を備えるフェース部、ソール部、クラウン部、およびサイド部を有し、これらのフェース部、ソール部、クラウン部およびサイド部により外殻構造を構成し、ソール部、クラウン部およびサイド部のうち、少なくとも1つの部材を、液体金属を用いた熱処理を施したものとし、液体金属を用いた熱処理を施した部材の最も薄い部分の厚さを0.2〜0.5mmとすることにより、ゴルフボールの打撃時に、液体金属を用いた熱処理を施した部材は、厚さが薄い部分があるため、ロフト角度が大きくなる方向にフェース部が変位する。このため、打撃したゴルフボールの打ち出し角度が高くなる。さらには、フェース部のロフト角度が大きくなる方向への変位により、ゴルフボールにはバックスピンと反対側の回転方向に回転がかかり、スピン量が小さくなる。すなわち、低スピン化される。このようにして、高打出し、低スピンが実現され、飛距離等について優れた打撃性能を得ることができる。
さらに、本発明のゴルフクラブヘッドおよびゴルフクラブにおいては、少なくともソール部、クラウン部およびサイド部のうち、少なくとも1つの部材に液体金属を用いて熱処理を施し、この部材の厚さ薄くするため、フェース部が大きく変形することがないため、金属音が高音になり、ゴルファにとって好ましい打球感を得ることができる。
また、本発明のゴルフクラブヘッドおよびゴルフクラブにおいては、液体金属を用いて熱処理を施しているため、部材の厚さ薄くしても強度および耐久性についても所定のレベルを維持することができる。
以下に、添付の図面に示す好適実施形態に基づいて、本発明のゴルフクラブヘッド、ゴルフクラブおよびゴルフクラブヘッドの製造方法を詳細に説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係るゴルフクラブを示す分解斜視図である。図2(a)は、図1に示すゴルフクラブヘッドの正面図であり、(b)は、図2(a)の模式的側断面図である。
図1に示すように、ゴルフクラブ10は、ゴルフクラブヘッド20と、ゴルフクラブシャフト40とを有する。
ゴルフクラブヘッド20は、フェース部22、ソール部24、クラウン部26、サイド部28、29およびホーゼル部30を有する中空構造体である。
本実施形態のゴルフクラブヘッド20では、フェース部22、ソール部24、クラウン部26およびサイド部28、29は、それぞれ板状に成形されており、これらの部材が相互に接合されて外殻構造を構成している。また、ソール部24、クラウン部26およびサイド部28、29によりバック体が構成される。このバック体においては、ソール部24、クラウン部26およびサイド部28、29により開口部が形成される。この開口部にフェース部22が接合されている。
なお、フェース部22の形態は、平板状でもよく、一般にカップフェースと呼ばれている形態のものでもよい。また、フェース部22は、厚さtが、2.8〜3.5mmであることが好ましく、反発係数を大きくするため、または軽量化のために、厚さを薄くするものではない。
また、図1および図2(a)に示すように、ホーゼル部30は、ゴルフクラブシャフト40をゴルフクラブヘッド20に固定するものであり、クラウン部26に設けられている。このホーゼル部30には、ゴルフクラブシャフト40が挿入される開口部32が設けられている。ゴルフクラブシャフト40は、ゴルフクラブヘッド20にソケット42を介して固定される。このソケット42には、ゴルフクラブシャフト40を挿通可能な開口部44が設けられている。
フェース部22は、その表面がゴルフボールを打撃するフェース面23となるものである。このフェース面23のトウ側からヒール側に向かう水平方向に伸びたスコアラインLが、例えば、3本平行に形成されている。
本実施形態のゴルフクラブヘッド10においては、バック体を構成するソール部24、クラウン部26およびサイド部28、29のうち、例えば、クラウン部26が液体金属を用いた熱処理が施されたものである。
また、図2(b)に示すように、クラウン部26は、肉厚が一定ではなく、その中央に厚さが最も薄い部分がある。この最も薄い部分における肉厚dは0.2〜0.5mmであることが好ましく、それ以外の部分の肉厚は、0.6〜0.8mm程度である。
本実施形態における液体金属を用いた熱処理とは、例えば、液体金属として、液体リチウムを用いるものであり、急速加熱と急速冷却を行うものである。
この液体リチウムを用いた熱処理においては、先ず、合金材の合金成分が固溶体に溶解する固溶温度よりも高く、かつ合金材の融点よりも低い温度に液体リチウムを保持しておき、この液体リチウム内に合金材を直接浸漬して合金材が固溶体を形成するまで保持する。
次に、固溶温度よりも低い温度に保持された液体リチウムに、合金材を直接浸漬して冷却して過飽和固溶体を得る。
次に、合金材を液体リチウムから取り出し、合金材を室温まで冷却する。
次に、室温よりも高い時効温度に合金材を保持する。
以上の工程によりなされる熱処理が、本実施形態における液体金属を用いた熱処理である。この液体金属を用いた熱処理により、強度が高くなるとともに、ヤング率も高くなる。これにより、ゴルフクラブヘッドのバック体を構成する部材に肉厚が薄い部分を設けても、ゴルフクラブヘッドにおいて所定の強度および耐久性を維持することができる。
本実施形態において、クラウン部26に厚さが薄い部分を設けることにより、ゴルフボール打撃時に、バック体における他のソール部24およびサイド部28、29よりもクラウン部26が容易に変形する。これにより、ゴルフボール打撃時にフェース部22のロフト角度が初期のロフト角度よりも大きくなる。このため、ゴルフボールの打ち出し角度を高くすることができる。また、フェース部22のロフト角度が大きくなる方向への変位により、ゴルフボールにバックスピンと反対側の回転方向に回転がかかりスピン量が小さくなる。すなわち、低スピン化される。これにより、高打出し、低スピンを実現することができ、大きな飛距離が得られ、優れた打撃性能を得ることができる。
さらに、本実施形態においては、クラウン部26を、液体金属を用いて熱処理を施すことにより、さらに肉厚が薄い部分を設けるため、フェース部22については、厚さを薄くすることがないため、フェース部22自体の強度が低下するものでもなく、さらにはフェース部22の変形も促進されるものではないため、ゴルフボールの打撃時において、金属音が高音になり、ゴルファにとって好ましい打球感を得ることができる。
また、本実施形態においては、液体金属を用いて熱処理が施された部材は、クラウン部26に限定されるものではなく、バック体を構成するソール部24、クラウン部26、およびサイド部28、29のうち、少なくとも1つの部材に、肉厚が薄い部分を設け、液体金属を用いて熱処理が施されていればよい。この場合においても、バック体が変形し、フェース部22をロフト角度が大きくなるように変位させることができる。このため、ゴルフボールの打ち出し角度を高くすることができるとともに、スピン量を少なくすることができ、高打出し、および低スピンを実現することができる。これにより、飛距離が得られ、優れた打撃性能を得ることができる。
なお、バック体を構成するソール部24、クラウン部26、およびサイド部28、29の全ての部材に、肉厚が薄い部分を設け、液体金属を用いて熱処理を施し、ゴルフボール打撃時に、バック体全体を容易に変形させることが好ましい。これにより、フェース部22をロフト角度が大きくなるように容易に変位させることができる。このため、ゴルフボールの打ち出し角度を高くすることが容易にできるとともに、スピン量を少なくすることができ、高打出し、および低スピンを容易に実現することができる。これにより、飛距離が得られ、優れた打撃性能を容易に得ることができる。
本実施形態においては、液体金属を用いて熱処理を施しているため、肉厚が薄い部分(肉厚が0.2〜0.5mm)を設けても、強度および耐久性についても所定のレベルを維持することができる。
また、本実施形態において、肉厚が薄い部分を設ける位置は、特に限定されるものではなく、各部材の略中央部よりフェースバック側に設けることが好ましい。
本発明において、フェース部、クラウン部、およびソール部における略中央部とは、それぞれ、ゴルフクラブヘッドの重心位置から半径10mmの範囲内の領域のことである。
また、本発明において、サイド部における略中央部とは、ゴルフクラブヘッドの最大高さの35%の位置から5mmの範囲内の領域のことである。
また、本実施形態においては、肉厚が薄い部分を設けることにより、部材を軽量化でき、軽量化した分の質量を質量マージンとすることができ、設計自由度が高くなる。さらには、この質量マージン分の錘をソール部24に配置することにより、低重心化を図ることもできる。
さらに、本実施形態においては、液体金属を用いて熱処理を施されるソール部24、クラウン部26、またはサイド部28、29は、チタン合金により形成されることが好ましい。このチタン合金としては、例えば、神戸製鋼所社製、KS120(商品名(組成:Ti−0.5Fe−0.3O−0.6Si))、神戸製鋼所社製、Ti−811−C(組成:Ti−8Al−1Mo−1V−0.15C)、およびTi−15V−3Cr−3Al−3Snの組成を有するチタン合金を用いることができる。
また、チタン合金としては、JFEホールディング社製、SP700(商品名(組成:Ti−4.5Al−3V−2Mo−2Fe))を用いることができる。
さらには、チタン合金としては、大同特殊鋼社製、VLTi(商品名(組成:Ti−6Al−1Fe))および大同特殊鋼社製、CATi(商品名(組成:Ti−3Al−13Cr−1F))ならびに新日本製鉄社製、51AF(商品名(組成:Ti−5Al−1Fe))を用いることができる。
次に、本実施形態のゴルフクラブヘッドの製造方法について説明する。
先ず、ゴルフクラブヘッド20を構成するフェース部22、ソール部24、クラウン部26、サイド部28、29およびホーゼル部30の各部材を鍛造、または圧延などの機械加工により形成する。
次に、作製するゴルフクラブヘッド20の仕様に応じて、バック体の構成部品(ソール部24、クラウン部26、サイド部28、29)に液体金属を用いた熱処理を施す。
本実施形態においては、クラウン部26(図2(b)参照)が液体金属を用いて熱処理される。
ここで、図3に本発明の液体金属を用いた熱処理を行う熱処理装置について説明する。
図3は、液体金属を用いた熱処理を行う熱処理装置の一例を示す模式図である。
図3に示すように、熱処理装置60は、筐体62内に、第1加熱槽64、冷却槽66、再加熱槽68および搬送部74が設けられている。熱処理の工程順に、第1加熱槽64、冷却槽66、および再加熱槽68が配置されている。また、搬送部74は、第1加熱槽64、冷却槽66、および再加熱槽68の上方に設けられており、被熱処理材76を各第1加熱槽64内、冷却槽66内および再加熱槽68内に浸漬させるものである。搬送部74は、被熱処理材76を第1加熱槽64、冷却槽66、および再加熱槽68の配置方向Hに移動させることができるとともに、垂直方向Vに移動可能である。
なお、第1加熱槽64、冷却槽66、および再加熱槽68は、いずれも液体金属として、液体リチウム70が貯留されている。また、第1加熱槽64、冷却槽66、および再加熱槽68には、それぞれヒータ(図示せず)が設けられており、内部に貯留された液体リチウム70を加熱し、所定の温度に保持できる。さらに、第1加熱槽64、冷却槽66、および再加熱槽68は、いずれも制御部72に接続されており、この制御部72により内部に貯留された液体リチウム70の温度を制御することができる。
また、制御部72は搬送部74にも接続されており、制御部72は、搬送部74による被熱処理材76の各第1加熱槽64、冷却槽66および再加熱槽68への移送の制御も行う。
第1加熱槽64において、液体リチウム70の温度は、部材を構成する合金の固溶温度よりも高く、かつその部材を構成する合金の融点よりも低い温度(変態温度)に保持されている。ここで、固溶温度は、部材を構成する合金において合金成分が固溶体に溶解する温度である。
また、冷却槽66において、液体リチウム70の温度は、部材を構成する合金の固溶温度よりも低く、かつリチウムの融点(181℃)よりも高い温度に保持されている。
さらに、再加熱槽68において、液体リチウム70の温度は、リチウムの融点(181℃)よりも高い温度、例えば、200〜650℃に保持しておくことが好ましく、さらには300〜600℃の範囲に保持することが好ましい。
なお、筐体62には、液体リチウム(液体金属)70と反応しない不活性ガスが充填されており、筐体62内は不活性ガス雰囲気である。
次に、熱処理装置60による液体金属を用いた熱処理について説明する。
熱処理工程に際して、クラウン部26の表面に付着した汚れおよび不純物を取り除いておく。
熱処理工程においては、クラウン部26が被熱処理材76として、筐体62内の搬送部74に取り付けられる。
先ず、搬送部74により、クラウン部26が第1加熱槽64内の液体リチウム70に浸漬される。これにより、クラウン部26は固溶温度よりも高い温度に急激に加熱される。
次に、クラウン部26が第1加熱槽64から取り出され、搬送部74により、クラウン部26が冷却槽66内の液体リチウム70に浸漬される。これにより、クラウン部26は、その合金成分が固溶体に溶解する固溶温度よりも低い温度まで急激に冷却される。これらの急激な加熱工程および急激な冷却工程を合わせて溶体化処理工程という。
次に、搬送部74により、クラウン部26が冷却槽66から取り出され、リチウムの融点よりも低い温度、例えば、筐体62中で自然放冷により室温(常温)まで冷却される。この場合、自然放冷ではなく、強制冷却であってもよい。また、冷却槽66から取り出した後、クラウン部26を冷却する工程はなくてもよい。
なお、クラウン部26を冷却槽66から取り出した後、または室温(常温)まで冷却した後、クラウン部26は比較的軟らかいため、鍛造または圧延などの機械加工を行ってもよい。このため、クラウン部26の成形を、クラウン部26は冷却槽66から取り出した後、または室温(常温)まで冷却した後に行い、これよりも前の工程では、クラウン部26の成形前の素材の形態で熱処理を行ってもよい。
次に、搬送部74により、クラウン部26を再加熱槽68の液体リチウム70に浸漬し再加熱する。この工程は、時効処理工程であり、これにより、強度およびヤング率が向上する。
次に、搬送部74により、クラウン部26を再加熱槽68から取り出し、搬送部74に保持した状態で、筐体62内の不活性ガス雰囲気内で常温まで自然冷却する。
次に、筐体62からクラウン部26を取り出し、水または超音波による洗浄などにより、付着したリチウムを除去する。このようにして、液体金属を用いた熱処理が行われる。
なお、再加熱槽68による再加熱は、電気炉または真空炉加熱など他の方法を用いてもよい。
次に、ゴルフクラブヘッド20を構成するフェース部22、ソール部24、クラウン部26、サイド部28、29およびホーゼル部30の各部材を溶接により接合する。
次に、溶接に接合部を研磨して平坦にする。そして、塗装し、最終的にゴルフクラブヘッド20を得る。
本実施形態の製造方法においてはクラウン部26に厚さが薄い部分があっても、変形することなく熱処理ができ、しかも強度およびヤング率を向上させることができる。このように、各部材の変形が抑制されるため、ゴルフクラブヘッド20の各部材が、ずれることがなく、容易に溶接できる。
なお、部材の厚さが0.5mm以下である場合には、ろう付けまたは接着が好ましい。また、溶接を行う場合には、部材の接合部の厚さを、部材本来の厚さよりも厚くすることが好ましい。
また、熱処理する部材は、クラウン部26に限定されるものではなく、上述のように、図2(b)に示すバック体を構成するソール部24、クラウン部26およびサイド部28、29の少なくとも1つの部材であればよい。熱処理する部材は、製造されるゴルフクラブヘッドの仕様により、適宜選択される。
次に、本発明の第2の実施形態のゴルフクラブヘッドについて説明する。
図4は、本発明の第2の実施形態に係るゴルフクラブヘッドを示す模式的側断面図である。なお、図1〜図2(a)および(b)に示す第1の実施形態のゴルフクラブヘッド20と同一構成物には、同一符号を付してその詳細な説明については省略する。
図4に示す本実施形態のゴルフクラブヘッド20aは、第1の実施形態のゴルフクラブヘッド20(図2(b)参照)に比して、フェース部50の構成、およびクラウン部54の構成が異なり、それ以外の構成は、第1の実施形態のゴルフクラブヘッド20と同様の構成であり、その詳細な説明は省略する。
また、本実施形態のゴルフクラブヘッド20aにおいては、第1の実施形態のゴルフクラブヘッド20と共通する構成物については、同様の組成のものを用いることができる。
さらには、本実施形態のゴルフクラブヘッド20aにおいても、ホーゼル部(図示せず)が設けられており、第1の実施形態のゴルフクラブ10(図1参照)と同様に、ホーゼル部に、ゴルフクラブシャフト40(図1参照)がソケット42(図1参照)を介して固定されている。
本実施形態においては、フェース部50が鍛造により成形され、さらに液体金属を用いた熱処理が施されたものである。このフェース部50の表面がフェース面52となる。
また、フェース部50は、比重が4.8〜5.1、ヤング率が115〜140GPaである。
このように比重が4.8〜5.1、ヤング率が115〜140GPaを満たすものとしては、例えば、チタン合金がある。このチタン合金としては、例えば、神戸製鋼所社製、KS120(商品名(組成:Ti−0.5Fe−0.3O−0.6Si))、神戸製鋼所社製、Ti−811−C(組成:Ti−8Al−1Mo−1V−0.15C)、およびTi−15V−3Cr−3Al−3Snの組成を有するチタン合金を用いることができる。
また、チタン合金としては、JFEホールディング社製、SP700(商品名(組成:Ti−4.5Al−3V−2Mo−2Fe))を用いることができる。
さらには、チタン合金としては、大同特殊鋼社製、VLTi(商品名(組成:Ti−6Al−1Fe))および大同特殊鋼社製、CATi(商品名(組成:Ti−3Al−13Cr−1F))ならびに新日本製鉄社製、51AF(商品名(組成:Ti−5Al−1Fe))を用いることができる。
また、フェース部50は、厚さtが、2.8〜3.5mmであることが好ましく、反発係数を大きくするため、または軽量化のために、厚さを薄くするものではない。
本実施形態においては、ヤング率が低いものを、液体金属を用いた熱処理により、ヤング率を上げることができる。これにより、フェース部50として、所定の強度および耐久性を保持しつつ、同じ反発係数でもフェース部50の厚さを薄くすることができる。このため、質量マージンを多くすることができ、より低重心、より深重心にできるので、飛距離を伸ばすことができる。
また、本実施形態のフェース部においては、ヤング率が向上されているため、金属音が高音になり、ゴルファにとって好ましい打球感を得ることができる。
また、本実施形態においては、クラウン部54は、厚さが薄い部分がなく、厚さが一定であり、それ以外は、第1の実施形態のクラウン部26と同様の構成である。
本実施形態においては、バック体を構成するソール部24、クラウン部54、およびサイド部28、29は、いずれも液体金属を用いた熱処理が施されるものではなく、肉厚が薄い部分がないものである。
なお、本実施形態においても、第1の実施形態と同様の効果が得られることは言うまでもない。また、本実施形態のゴルフクラブヘッド20aを用いたゴルフクラブについても同様の効果を得ることができる。
また、第2の実施形態のゴルフクラブヘッド20aの製造方法においては、丸棒を鍛造し、フェース部50に成形し、さらに液体金属を用いた熱処理を施す。フェース部50以外の各部材は、鍛造、または鋳造などの種々の方法を用いて形成する。
次に、各部材を溶接により接合する。次に、溶接部を研磨し、平坦にし、塗装する。これにより、最終的にゴルフクラブヘッド20aが得られる。
なお、本実施形態においても、第1の実施形態のゴルフクラブヘッド20のように、バック体を構成するクラウン部54に液体金属を用いて熱処理を施し、厚さが薄い部分を設けてもよい。この場合、ゴルフボール打撃時にクラウン部54が変形し、フェース部50をロフト角度が大きくなるように変位させることができる。このため、ゴルフボールの打ち出し角度を高くすることができるとともに、スピン量を少なくすることができ、高打出し、および低スピンを実現することができる。
さらに、第1の実施形態のゴルフクラブヘッド20のように、バック体を構成するソール部24、クラウン部54、およびサイド部28、29のうち、少なくとも1つの部材に、厚さが薄い部分を設け、液体金属を用いて熱処理を施してもよい。この場合、本実施形態のゴルフクラブヘッド20aにおいても、バック体を構成するソール部24、クラウン部54、およびサイド部28、29のうち、クラウン部54に厚さが薄い部分を設けることが好ましい。クラウン部54に厚さが薄い部分を設けることにより、第1の実施形態のゴルフクラブヘッド20で説明したように、フェース部50がロフト角度が大きくなるように傾き易くなり、結果、高打出し、および低スピンを容易に実現することができる。
さらにまた、バック体を構成するソール部24、クラウン部26、およびサイド部28、29の全ての部材に液体金属を用いて熱処理を施し、肉厚が薄い部分を設けてもよい。これにより、フェース部50をロフト角度が更に一層大きくなるように変位させることができ、ゴルフボールの打ち出し角度を更に一層高くすることができるとともに、スピン量を更に一層少なくすることができる。
また、打球感についても、金属音が高音になり、ゴルファにとって好ましい打球感を得ることができる。
また、本実施形態においても、第1の実施形態のゴルフクラブヘッド20のように、肉厚が薄い部分を設けることにより、部材を軽量化でき、軽量化した分の質量を質量マージンとすることができ、設計自由度が高くなる。さらには、この質量マージン分の錘をソール部24に配置することにより、低重心化を図ることもできる。
本発明は、基本的に以上のようなものである。以上、本発明のゴルフクラブヘッド、ゴルフクラブおよびゴルフクラブヘッドの製造方法について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良または変更をしてもよいのはもちろんである。
以下、本発明のゴルフクラブヘッドの実施例について、本発明の範囲から外れる比較例と比較して具体的に説明する。
本実施例は、第1の実施形態のゴルフクラブヘッドに関するものである。
本実施例においては、下記表1および表4に示す構成を有する実験例1〜実験例9および基準例のゴルフクラブヘッドについて、耐久性、打球感、設計自由度、および飛距離を評価項目として、各評価項目について、基準例を基準(100)として相対的に評価した。各評価項目(耐久性、打球感、設計自由度、および飛距離)の評価結果を下記表4に示す。
なお、実験例1については、第1の実施形態のゴルフクラブヘッド20(図2(b)参照)に、クラウン部を炉で熱処理したものを用いた。
また、実験例2〜4については、第1の実施形態のゴルフクラブヘッド20(図2(b)参照)の構成のものを用いた。
また、実験例5〜7については、第1の実施形態のゴルフクラブヘッド20(図2(b)参照)において、サイド部およびソール部にも厚さが薄い部分を設けた構成のものを用いた。
また、実験例8については、第1の実施形態のゴルフクラブヘッド20(図2(b)参照)において、クラウン部に厚さが薄い部分がなく、サイド部に厚さが薄い部分を設けた構成のものを用いた。
また、実験例9については、第1の実施形態のゴルフクラブヘッド20(図2(b)参照)において、クラウン部に厚さが薄い部分がなく、ソール部に厚さが薄い部分を設けた構成のものを用いた。
基準例のゴルフクラブヘッドは、フェース部、ソール部、クラウン部およびサイド部を有するものであり、これらが熱処理されることなく溶接により接合されているものである。
なお、本実施例においては、横浜ゴム株式会社製 TRX−DUO M40(商品名)用のゴルフクラブシャフトを各ゴルフクラブヘッドに取り付けてゴルフクラブを作製し、以下に示す耐久性、打球感および飛距離の試験を行った。このゴルフクラブの長さは、45インチである。
また、本実施例の各試験(耐久性、打球感および飛距離)は、特に断りがないかぎり、ゴルフボールには、横浜ゴム社製 TRX(商品名)ボールを用いた。
また、下記表1の「材質」の「フェース部」の欄に示す「SP700(商品名)圧延」は、組成がTi−4.5Al−3V−2Fe−2Moであり、ヤング率が115GPaであるものを圧延して成形したことを示す。また、「クラウン部」、「サイド部」および「ソール部」の欄に示す「15−3−3−3」は、組成がTi−15V−3Cr−3Al−3Snであり、ヤング率が85GPaである。
また、下記表1の「厚さ」の欄に示す数値は、各部材の中央部における値を示す。
本発明において、フェース部、クラウン部、およびソール部における略中央部とは、それぞれ、ゴルフクラブヘッドの重心位置から半径10mmの範囲内の領域のことである。
また、本発明において、サイド部における略中央部とは、ゴルフクラブヘッドの最大高さの35%の位置から5mmの範囲内の領域のことである。
また、下記表1の「熱処理」の欄に示す「炉」とは、熱処理炉により、溶体化処理と時効処理をしたことを示す。「炉」と示す熱処理炉による溶体化処理と時効処理との条件を下記表2に示す。
また、下記表1の「熱処理」の欄に示す「液体金属」とは、液体金属を用いて、溶体化処理と時効処理をしたことを示す。「液体金属」と示す液体金属による溶体化処理と時効処理との条件を下記表3に示す。
さらに、「無」とは、クラウン部、サイド部、ソール部のみの材質が「15−3−3−3」のものについてのみ、溶体化処理を施したことを示す。この溶体化処理は、炉内において、温度780℃、15分間保持した後、炉内で空冷したものである。
また、下記表4の「熱処理後のフェース部の物性」の欄に示す「変形」とは、熱処理後の部材の変形の程度を示すものである。
下記表4に示す耐久性については、エアーキャノン試験機を用いて、ゴルフボールを50m/秒の速度で実験例の各ゴルフクラブヘッドのフェース部の中心部に衝突させて、破壊するまでの打球数を測定した。この場合、基準例が破壊するまでの打球数を100として、各実験例の耐久性を数値で表した。
また、下記表4に示す打球感については、ヘッドスピードが34m/秒〜50m/秒の範囲のアマチュアゴルファとプロゴルファとの合計100人の各人に試打させて評価した。評価方法としては、各人に、実験例の打球感を「金属音が高音で好きな音で良い打感」に対して、どの程度合っているかについて点数を付けてもらい、その平均値を求めた。この場合、基準例で得られた平均値を100として、実験例の打球感を数値で表した。
下記表4に示す設計自由度については、基準例の質量マージンを100として、各実験例の質量マージンを換算し、数値で示したものである。
下記表4に示す飛距離については、各実験例のゴルフクラブについて、ヘッドスピードが34m/秒〜50m/秒の範囲のアマチュアゴルファとプロゴルファとの合計100人の各人に各10球ずつ打撃して得られた平均値を求めた。この場合、基準例で得られた平均値を100として、実験例の飛距離を数値で表した。
Figure 2007282848
Figure 2007282848
Figure 2007282848
Figure 2007282848
上記表4に示すように、実験例1は、クラウン部が炉で熱処理されたものであり、耐久性および打球感が劣るものであった。
実験例2は、クラウン部の薄い部分の厚さが0.15mmであり、かつ液体金属を用いて熱処理されたものであり、耐久性および打球感が劣るものであった。
実験例3は、クラウン部の厚さが0.6mmであり、かつ液体金属を用いて熱処理されたものであり、打球感および飛距離が劣るものであった。
実験例4は、クラウン部の薄い部分の厚さが0.35mmであり、耐久性、打球感、設計自由度および飛距離について良好な結果を得ることができた。
実験例5〜7は、クラウン部、サイド部およびソール部の薄い部分の厚さが0.35mmであり、耐久性、打球感、設計自由度および飛距離について良好な結果を得ることができた。
実験例8は、クラウン部の薄い部分がなくサイド部の薄い部分の厚さが0.35mmであり、かつ液体金属を用いて熱処理されたものであり、耐久性、打球感、設計自由度および飛距離について良好な結果を得ることができた。
実験例9は、クラウン部の薄い部分がなくソール部の薄い部分の厚さが0.35mmであり、かつ液体金属を用いて熱処理されたものであり、耐久性、打球感、設計自由度および飛距離について良好な結果を得ることができた。
次に、本発明の第2実施例について説明する。
本実施例は、第2の実施形態のゴルフクラブヘッドに関するものである。
本実施例においては、下記表5および表8に示す構成を有する実験例10〜実験例20および基準例のゴルフクラブヘッドについて、耐久性、打球感、設計自由度、および飛距離を評価項目として、各評価項目について基準例を基準(100)として相対的に評価した。各評価項目(耐久性、打球感、設計自由度、および飛距離)の評価結果を下記表8に示す。
なお、実験例10については、第2の実施形態のゴルフクラブヘッド20a(図4参照)において、フェース部に圧延材を用いて、このフェース部を炉で熱処理したものを用いた。
また、実験例11については、第2の実施形態のゴルフクラブヘッド20a(図4参照)において、フェース部を炉で熱処理したものを用いた。
また、実験例12については、第2の実施形態のゴルフクラブヘッド20a(図4参照)において、フェース部に圧延材を用いて、このフェース部を炉で熱処理したものを用いた。
また、実験例13〜18については、第2の実施形態のゴルフクラブヘッド20a(図4参照)の構成のものを用いた。
また、実験例19については、第2の実施形態のゴルフクラブヘッド20a(図4参照)において、フェース部にヤング率が低いものを用いた。
また、実験例20については、第2の実施形態のゴルフクラブヘッド20a(図4参照)において、フェース部にヤング率が高いものを用いた。
基準例のゴルフクラブヘッドは、第1実施例と同じものを用い、その詳細な説明は省略する。
また、下記表5の「材質」の「フェース部」の欄に示す「SP700(商品名)鍛造」は、組成がTi−4.5Al−3V−2Fe−2Moであり、ヤング率が115GPaである丸棒を鍛造して成形したことを示す。
また、下記表5の「熱処理」の欄に示す「炉」とは、熱処理炉により、溶体化処理と時効処理をしたことを示す。「炉」と示す熱処理炉による溶体化処理と時効処理との条件を下記表6に示す。
また、下記表5の「熱処理」の欄に示す「液体金属」とは、液体金属を用いて、溶体化処理と時効処理をしたことを示す。「液体金属」と示す液体金属による溶体化処理と時効処理との条件を下記表7に示す。
なお、それ以外については、下記表5および表8においては、第1実施例の上記表1および表4と同様であるため、その詳細な説明は省略する。
また、耐久性、打球感、設計自由度、および飛距離の評価方法は、第1実施例と同じであり、その詳細な説明も省略する。
Figure 2007282848
Figure 2007282848
Figure 2007282848
Figure 2007282848
上記表8に示すように、実験例10は、フェース部に圧延材を用いて、このフェース部を炉で熱処理したものであり、設計自由度および飛距離が劣るものであった。
実験例11は、フェース部に鍛造材を用いて、このフェース部を炉で熱処理したものであり、設計自由度および飛距離が劣るものであった。
実験例12は、フェース部に圧延材を用いて、このフェース部を炉で熱処理したものであり、打球感および設計自由度が劣るものであった。
実験例13、14および実験例18は、フェース部に鍛造材を用い、かつ液体金属を用いて熱処理されたものであるため、耐久性、打球感、設計自由度および飛距離について良好な結果を得ることができた。
実験例15は、フェース部の厚さが3.2mmであり、設計自由度および飛距離が劣るものであった。
実験例16は、フェース部の厚さが薄く2.6mmであり、耐久性および打球感が劣るものであった。
実験例17は、フェース部の厚さが厚く3.7mmであり、設計自由度および飛距離が劣るものであった。
実験例19は、フェース部のヤング率が低く、113GPaであり、打球感、設計自由度および飛距離が劣るものであった。
実験例20は、フェース部のヤング率が高く、143GPaであり、耐久性および飛距離が劣るものであった。
本発明の第1の実施形態に係るゴルフクラブを示す分解斜視図である。 (a)は、図1に示すゴルフクラブヘッドの正面図であり、(b)は、図2(a)の模式的側断面図である。 液体金属を用いた熱処理を行う熱処理装置の一例を示す模式図である。 本発明の第2の実施形態に係るゴルフクラブヘッドを示す模式的側断面図である。 特許文献1に開示されたゴルフクラブヘッドを示す模式的側断面図である。
符号の説明
10 ゴルフクラブ
20、20a ゴルフクラブヘッド
22、50 フェース部
23、52 フェース面
24 ソール部
26、54 クラウン部
28、29 サイド部
30 ホーゼル部
40 ゴルフクラブシャフト
42 ソケット
60 熱処理装置
70 液体リチウム

Claims (7)

  1. ゴルフボールを打撃するフェース面を備えるフェース部、ソール部、クラウン部、およびサイド部を有し、前記フェース部、前記ソール部、前記クラウン部、および前記サイド部により外殻構造が構成されたゴルフクラブヘッドであって、
    前記ソール部、前記クラウン部、および前記サイド部のうち、少なくとも1つの部材は、液体金属を用いた熱処理が施されたものであり、前記液体金属を用いた熱処理が施された前記部材は、最も薄い部分の厚さが0.2〜0.5mmであることを特徴とするゴルフクラブヘッド。
  2. 前記部材は、クラウン部である請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
  3. ゴルフボールを打撃するフェース面を備えるフェース部、ソール部、クラウン部、およびサイド部を有し、前記フェース部、前記ソール部、前記クラウン部、および前記サイド部により外殻構造が構成されたゴルフクラブヘッドであって、
    前記フェース部は、鍛造により成形され、さらに液体金属を用いた熱処理が施されたものであるとともに、前記フェース部は、比重が4.8〜5.1、ヤング率が115〜140GPaであることを特徴とするゴルフクラブヘッド。
  4. 前記フェース部は、中央部の厚さが2.8〜3.5mmである請求項3に記載のゴルフクラブヘッド。
  5. さらに、前記ソール部、前記クラウン部、および前記サイド部のうち、少なくとも1つの部材は、液体金属を用いた熱処理が施されたものであり、前記液体金属を用いた熱処理が施された前記部材は、最も薄い部分の厚さが0.2〜0.5mmである請求項4に記載のゴルフクラブヘッド。
  6. 前記請求項1〜5のいずれか1項に記載のゴルフクラブヘッドを有することを特徴とするゴルフクラブ。
  7. ゴルフボールを打撃するフェース面を備えるフェース部、ソール部、クラウン部、およびサイド部を有し、前記フェース部、前記ソール部、前記クラウン部、および前記サイド部により外殻構造が構成されたゴルフクラブヘッドの製造方法であって、
    前記フェース部、前記ソール部、前記クラウン部、および前記サイド部を作製する工程と、
    前記ソール部、前記クラウン部、および前記サイド部のうち、少なくとも1つの部材を、液体金属を用いて熱処理する工程と、
    前記フェース部、前記ソール部、前記クラウン部、および前記サイド部を相互に接合する工程とを有することを特徴とするゴルフクラブヘッドの製造方法。
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