バリアメタル膜は、基板に対する銅の拡散防止と銅の密着性の保持といった目的で作製されている。このため、タンタル、タングステン、チタン等の窒化物を一層目に形成して銅の拡散を防止し、タンタル、タングステン、チタン等の活性金属を二層目に形成して銅との密着性を保持している。しかし、バリアメタル膜は非常に薄いため、現状では基板に対する銅の拡散防止と銅の密着性の保持を両立させることは困難であり、十分に両者の機能を両立させたバリアメタル膜の出現が望まれている。
特に、基板の表面に形成されている配線用の凹部は、小さくなる傾向にあり、バリアメタル膜も一層の薄膜化が要望されている。しかし、タンタル、タングステン、チタン等の窒化物を一層目に形成して銅の拡散を防止し、タンタル、タングステン、チタン等の活性金属を二層目に形成して銅との密着性を保持するために、バリアメタル膜を二層構造とした場合、必要な最低膜厚が大きくなってしまっていた。
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、極めて薄い状態で金属の拡散防止と金属との密着性を保持したバリアメタル膜を作製することができる金属膜作製方法及び金属膜作製装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための本発明の金属膜作製方法は、金属窒化物のバリアメタル膜が成膜された基板の表面を処理する金属膜作製方法において、表層の窒素原子を除去してバリアメタル膜の母材内部と比べて表層の窒素含有量を相対的に低減させる表面処理を施すことにより表層に実質的に金属層を形成することを特徴とする。
上記目的を達成するための本発明の金属膜は、基板の表面における金属窒化物のバリアメタル膜が、表層の窒素原子が除去されてバリアメタル膜の母材内部と比べて表層の窒素含有量を相対的に低減させる表面処理が施されることにより表層に実質的に金属層が形成されたことを特徴とする。
上記目的を達成するための本発明の金属膜作製方法は、金属窒化物のバリアメタル膜が成膜された基板の表面を処理する金属膜作製方法において、希ガスプラズマで基板表面のバリアメタル膜をエッチングすることによりバリアメタル膜を平坦化する表面処理を施すことを特徴とする。
上記目的を達成するための本発明の金属膜作製方法は、金属窒化物のバリアメタル膜が成膜された基板の表面を処理する金属膜作製方法において、希ガスプラズマで基板表面のバリアメタル膜をエッチングすることによりバリアメタル膜を平坦化すると共に、希ガスプラズマで表層の窒素原子を除去してバリアメタル膜の母材内部と比べて表層の窒素含有量を相対的に低減させる表面処理を施すことを特徴とする。
上記目的を達成するための本発明の金属膜作製方法は、基板と金属製の被エッチング部材との間におけるチャンバ内にハロゲンを含有する原料ガスを供給し、チャンバの内部をプラズマ化して原料ガスプラズマを発生させ原料ガスプラズマで被エッチング部材をエッチングすることにより被エッチング部材に含まれる金属成分と原料ガスとの前駆体を生成すると共に、基板が収容されるチャンバとは隔絶して窒素を含有する窒素含有ガスを励起し、励起された窒素により前駆体との間で金属窒化物を生成し、基板側の温度を生成手段側の温度よりも低くして金属窒化物を基板に成膜させてバリアメタル膜とし、希ガスプラズマで基板表面のバリアメタル膜をエッチングすることによりバリアメタル膜を平坦化する表面処理を施すことを特徴とする。
上記目的を達成するための本発明の金属膜作製方法は、基板と金属製の被エッチング部材との間におけるチャンバ内にハロゲンを含有する原料ガスを供給し、チャンバの内部をプラズマ化して原料ガスプラズマを発生させ原料ガスプラズマで被エッチング部材をエッチングすることにより被エッチング部材に含まれる金属成分と原料ガスとの前駆体を生成すると共に、基板が収容されるチャンバとは隔絶して窒素を含有する窒素含有ガスを励起し、励起された窒素により前駆体との間で金属窒化物を生成し、基板側の温度を生成手段側の温度よりも低くして金属窒化物を基板に成膜させてバリアメタル膜とし、希ガスプラズマで基板表面のバリアメタル膜をエッチングすることによりバリアメタル膜を平坦化すると共に、希ガスプラズマで表層の窒素原子を除去してバリアメタル膜の母材内部と比べて表層の窒素含有量を相対的に低減させる表面処理を施すことを特徴とする。
上記目的を達成するための本発明の金属膜作製方法は、金属窒化物のバリアメタル膜が成膜された基板が収容されるチャンバ内に希ガスプラズマを発生させ、希ガスプラズマで基板表面のバリアメタル膜をエッチングすることによりバリアメタル膜を平坦化する表面処理を施した後、チャンバ内にハロゲンを含有する原料ガスを供給し、チャンバの内部をプラズマ化して原料ガスプラズマを発生させ原料ガスプラズマで金属製の被エッチング部材をエッチングすることにより被エッチング部材に含まれる金属成分と原料との前駆体をチャンバの内部に生成し、基板の温度を被エッチング部材側の温度よりも低くしてバリアメタル膜が平坦化された基板に前駆体の金属成分を成膜させることを特徴とする。
上記目的を達成するための本発明の金属膜作製方法は、金属窒化物のバリアメタル膜が成膜された基板が収容されるチャンバ内に希ガスプラズマを発生させ、希ガスプラズマで基板表面のバリアメタル膜をエッチングすることによりバリアメタル膜を平坦化すると共に、希ガスプラズマで表層の窒素原子を除去してバリアメタル膜の母材内部と比べて表層の窒素含有量を相対的に低減させる表面処理を施した後、チャンバ内にハロゲンを含有する原料ガスを供給し、チャンバの内部をプラズマ化して原料ガスプラズマを発生させ原料ガスプラズマで金属製の被エッチング部材をエッチングすることにより被エッチング部材に含まれる金属成分と原料との前駆体をチャンバの内部に生成し、基板の温度を被エッチング部材側の温度よりも低くして、バリアメタル膜が平坦化されると共に表層の窒素含有量を相対的に低減された基板に前駆体の金属成分を成膜させることを特徴とする。
そして、バリアメタル膜を平坦化すると共に表層の窒素含有量を相対的に低減させた後に表層の金属原子を密状態にする密状態処理を施すことを特徴とする。また、希ガスプラズマは、アルゴンガスプラズマであることを特徴とする。また、金属窒化物は、窒化タンタルもしくは窒化タングステンもしくは窒化チタンであることを特徴とする。
上記目的を達成するための本発明の金属膜作製装置は、基板が収容されるチャンバと、基板に対向する位置におけるチャンバに設けられる金属製の被エッチング部材と、基板と被エッチング部材との間におけるチャンバ内にハロゲンを含有する原料ガスを供給するハロゲンガス供給手段と、チャンバの内部をプラズマ化して原料ガスプラズマを発生させ原料ガスプラズマで被エッチング部材をエッチングすることにより被エッチング部材に含まれる金属成分と原料ガスとの前駆体を生成するバリアプラズマ発生手段と、窒素を含有する窒素含有ガスをチャンバとは隔絶して励起する励起手段と、励起手段で励起された窒素により前駆体との間で金属窒化物を生成する生成手段と、基板側の温度を生成手段側の温度よりも低くして金属窒化物を基板に成膜させてバリアメタル膜とする制御手段と、基板表面の上部に希ガスを供給する希ガス供給手段と、チャンバの内部をプラズマ化して希ガスプラズマを発生させ、希ガスプラズマで基板表面のバリアメタル膜をエッチングすることによりバリアメタル膜を平坦化する表面処理プラズマ発生手段とを備えたことを特徴とする。
上記目的を達成するための本発明の金属膜作製装置は、基板が収容されるチャンバと、基板に対向する位置におけるチャンバに設けられる金属製の被エッチング部材と、基板と被エッチング部材との間におけるチャンバ内にハロゲンを含有する原料ガスを供給するハロゲンガス供給手段と、チャンバの内部をプラズマ化して原料ガスプラズマを発生させ原料ガスプラズマで被エッチング部材をエッチングすることにより被エッチング部材に含まれる金属成分と原料ガスとの前駆体を生成するバリアプラズマ発生手段と、窒素を含有する窒素含有ガスをチャンバとは隔絶して励起する励起手段と、励起手段で励起された窒素により前駆体との間で金属窒化物を生成する生成手段と、基板側の温度を生成手段側の温度よりも低くして金属窒化物を基板に成膜させてバリアメタル膜とする制御手段と、基板表面の上部に希ガスを供給する希ガス供給手段と、チャンバの内部をプラズマ化して希ガスプラズマを発生させ、希ガスプラズマで基板表面のバリアメタル膜をエッチングすることによりバリアメタル膜を平坦化すると共に、希ガスプラズマで表層の窒素原子を除去してバリアメタル膜の母材内部と比べて表層の窒素含有量を相対的に低減させる表面処理を施す表面処理プラズマ発生手段とを備えたことを特徴とする。
上記目的を達成するための本発明の金属膜作製装置は、金属窒化物のバリアメタル膜が成膜された基板が収容されるチャンバと、基板表面の上部におけるチャンバ内に希ガスを供給する希ガス供給手段と、チャンバの内部をプラズマ化して希ガスプラズマを発生させ、希ガスプラズマで基板表面のバリアメタル膜をエッチングすることによりバリアメタル膜を平坦化する表面処理プラズマ発生手段と、チャンバ内に備えられる金属製の被エッチング部材と、基板と被エッチング部材との間におけるチャンバ内にハロゲンを含有する原料ガスを供給する原料ガス供給手段と、ハロゲンを含有する原料ガスをプラズマ化して原料ガスプラズマを発生させ原料ガスプラズマで被エッチング部材をエッチングすることにより被エッチング部材に含まれる金属成分と原料ガスとの前駆体を生成するプラズマ発生手段と、基板側の温度を被エッチング部材側の温度よりも低くして前駆体の金属成分を平坦化されたバリアメタル膜の上に成膜させる制御手段とを備えたことを特徴とする。
上記目的を達成するための本発明の金属膜作製装置は、金属窒化物のバリアメタル膜が成膜された基板が収容されるチャンバと、基板表面の上部におけるチャンバ内に希ガスを供給する希ガス供給手段と、チャンバの内部をプラズマ化して希ガスプラズマを発生させ、希ガスプラズマで基板表面のバリアメタル膜をエッチングすることによりバリアメタル膜を平坦化すると共に、希ガスプラズマで表層の窒素原子を除去してバリアメタル膜の母材内部と比べて表層の窒素含有量を相対的に低減させる表面処理プラズマ発生手段と、チャンバ内に備えられる金属製の被エッチング部材と、基板と被エッチング部材との間におけるチャンバ内にハロゲンを含有する原料ガスを供給する原料ガス供給手段と、ハロゲンを含有する原料ガスをプラズマ化して原料ガスプラズマを発生させ原料ガスプラズマで被エッチング部材をエッチングすることにより被エッチング部材に含まれる金属成分と原料ガスとの前駆体を生成するプラズマ発生手段と、基板側の温度を被エッチング部材側の温度よりも低くして前駆体の金属成分を、平坦化されると共に表層の窒素含有量が相対的に低減されたバリアメタル膜の上に成膜させる制御手段とを備えたことを特徴とする。
そして、バリアメタル膜を平坦化すると共に表層の窒素含有量を相対的に低減させた後に表層の金属原子を密状態にする密状態処理手段を備えたことを特徴とする。また、希ガスプラズマは、アルゴンガスプラズマであることを特徴とする。また、金属窒化物は、窒化タンタルもしくは窒化タングステンもしくは窒化チタンであることを特徴とする。
上記目的を達成するための本発明の金属膜は、基板の表面における金属窒化物のバリアメタル膜が、希ガスプラズマによりエッチングされることにより平坦化されたことを特徴とする。
上記目的を達成するための本発明の金属膜は、基板の表面における金属窒化物のバリアメタル膜が、希ガスプラズマによりエッチングされることにより平坦化されると共に、希ガスプラズマにより表層の窒素原子を除去してバリアメタル膜の母材内部と比べて表層の窒素含有量を相対的に低減させる表面処理が施されたことを特徴とする。
上記目的を達成するための本発明の金属膜作製方法は、金属窒化物のバリアメタル膜が成膜された基板の表面を処理する金属膜作製方法において、基板表面のバリアメタル膜を還元性ガス雰囲気で反応させることにより表層の窒素原子を除去してバリアメタル膜の母材内部と比べて表層の窒素含有量を相対的に低減させる表面処理を施すことを特徴とする。
上記目的を達成するための本発明の金属膜作製方法は、基板と金属製の被エッチング部材との間におけるチャンバ内にハロゲンを含有する原料ガスを供給し、チャンバの内部をプラズマ化して原料ガスプラズマを発生させ原料ガスプラズマで被エッチング部材をエッチングすることにより被エッチング部材に含まれる金属成分と原料ガスとの前駆体を生成すると共に、基板が収容されるチャンバとは隔絶して窒素を含有する窒素含有ガスを励起し、励起された窒素により前駆体との間で金属窒化物を生成し、基板側の温度を生成手段側の温度よりも低くして金属窒化物を基板に成膜させてバリアメタル膜とし、基板表面のバリアメタル膜を還元性ガス雰囲気で反応させることにより表層の窒素原子を除去してバリアメタル膜の母材内部と比べて表層の窒素含有量を相対的に低減させる表面処理を施すことを特徴とする。
上記目的を達成するための本発明の金属膜作製方法は、金属窒化物のバリアメタル膜が成膜された基板が収容されるチャンバ内で、基板表面のバリアメタル膜を還元性ガス雰囲気で反応させることにより表層の窒素原子を除去してバリアメタル膜の母材内部と比べて表層の窒素含有量を相対的に低減させる表面処理を施した後、チャンバ内にハロゲンを含有する原料ガスを供給し、チャンバの内部をプラズマ化して原料ガスプラズマを発生させ原料ガスプラズマで金属製の被エッチング部材をエッチングすることにより被エッチング部材に含まれる金属成分と原料との前駆体をチャンバの内部に生成し、基板の温度を被エッチング部材側の温度よりも低くしてバリアメタル膜が平坦化された基板に前駆体の金属成分を成膜させることを特徴とする。
そして、還元性ガス雰囲気は、水素ガスプラズマであることを特徴とする。また、金属窒化物は、窒化タンタルもしくは窒化タングステンもしくは窒化チタンであることを特徴とする。
上記目的を達成するための本発明の金属膜作製装置は、基板が収容されるチャンバと、基板に対向する位置におけるチャンバに設けられる金属製の被エッチング部材と、基板と被エッチング部材との間におけるチャンバ内にハロゲンを含有する原料ガスを供給するハロゲンガス供給手段と、チャンバの内部をプラズマ化して原料ガスプラズマを発生させ原料ガスプラズマで被エッチング部材をエッチングすることにより被エッチング部材に含まれる金属成分と原料ガスとの前駆体を生成するバリアプラズマ発生手段と、窒素を含有する窒素含有ガスをチャンバとは隔絶して励起する励起手段と、励起手段で励起された窒素により前駆体との間で金属窒化物を生成する生成手段と、基板側の温度を生成手段側の温度よりも低くして金属窒化物を基板に成膜させてバリアメタル膜とする制御手段と、基板表面の上部に還元性ガスを供給する還元性ガス供給手段と、基板表面のバリアメタル膜を還元性ガス雰囲気で反応させることにより表層の窒素原子を除去してバリアメタル膜の母材内部と比べて表層の窒素含有量を相対的に低減させる表面処理手段とを備えたことを特徴とする。
上記目的を達成するための本発明の金属膜作製装置は、金属窒化物のバリアメタル膜が成膜された基板が収容されるチャンバと、基板表面の上部に還元性ガスを供給する還元性ガス供給手段と、基板表面のバリアメタル膜を還元性ガス雰囲気で反応させることにより表層の窒素原子を除去してバリアメタル膜の母材内部と比べて表層の窒素含有量を相対的に低減させる表面処理手段と、チャンバ内に備えられる金属製の被エッチング部材と、基板と被エッチング部材との間におけるチャンバ内にハロゲンを含有する原料ガスを供給する原料ガス供給手段と、ハロゲンを含有する原料ガスをプラズマ化して原料ガスプラズマを発生させ原料ガスプラズマで被エッチング部材をエッチングすることにより被エッチング部材に含まれる金属成分と原料ガスとの前駆体を生成するプラズマ発生手段と、基板側の温度を被エッチング部材側の温度よりも低くして前駆体の金属成分を表層の窒素含有量を相対的に低減させたバリアメタル膜の上に成膜させる制御手段とを備えたことを特徴とする。
そして、還元性ガス供給手段は、水素を含有するガスを供給する手段であり、表面処理手段は、水素ガスプラズマを発生させる水素ガスプラズマ発生手段であることを特徴とする。また、金属窒化物は、窒化タンタルもしくは窒化タングステンもしくは窒化チタンであることを特徴とする。
上記目的を達成するための本発明の金属膜は、基板の表面における金属窒化物のバリアメタル膜が、還元性ガス雰囲気で反応させることにより表層の窒素原子を除去してバリアメタル膜の母材内部と比べて表層の窒素含有量を相対的に低減させる表面処理が施されたことを特徴とする。
上記目的を達成するための本発明の金属膜作製方法は、金属窒化物のバリアメタル膜が成膜された基板の表面を処理する金属膜作製方法において、シリコンを含有するガスプラズマにより基板表面のバリアメタル膜の表面にシリコン原子の核を形成する表面処理を施すことを特徴とする。
上記目的を達成するための本発明の金属膜作製方法は、基板と金属製の被エッチング部材との間におけるチャンバ内にハロゲンを含有する原料ガスを供給し、チャンバの内部をプラズマ化して原料ガスプラズマを発生させ原料ガスプラズマで被エッチング部材をエッチングすることにより被エッチング部材に含まれる金属成分と原料ガスとの前駆体を生成すると共に、基板が収容されるチャンバとは隔絶して窒素を含有する窒素含有ガスを励起し、励起された窒素により前駆体との間で金属窒化物を生成し、基板側の温度を生成手段側の温度よりも低くして金属窒化物を基板に成膜させてバリアメタル膜とし、シリコンを含有するガスプラズマにより基板表面のバリアメタル膜の表面にシリコン原子の核を形成する表面処理を施すことを特徴とする。
上記目的を達成するための本発明の金属膜作製方法は、金属窒化物のバリアメタル膜が成膜された基板が収容されるチャンバ内で、シリコンを含有するガスプラズマにより基板表面のバリアメタル膜の表面にシリコン原子の核を形成する表面処理を施した後、チャンバ内にハロゲンを含有する原料ガスを供給し、チャンバの内部をプラズマ化して原料ガスプラズマを発生させ原料ガスプラズマで金属製の被エッチング部材をエッチングすることにより被エッチング部材に含まれる金属成分と原料との前駆体をチャンバの内部に生成し、基板の温度を被エッチング部材側の温度よりも低くしてバリアメタル膜の表面にシリコン原子の核を形成された基板に前駆体の金属成分を成膜させることを特徴とする。
そして、シリコンを含有するガスは、シランであることを特徴とする。また、金属窒化物は、窒化タンタルもしくは窒化タングステンもしくは窒化チタンであることを特徴とする。
上記目的を達成するための本発明の金属膜作製装置は、基板が収容されるチャンバと、基板に対向する位置におけるチャンバに設けられる金属製の被エッチング部材と、基板と被エッチング部材との間におけるチャンバ内にハロゲンを含有する原料ガスを供給するハロゲンガス供給手段と、チャンバの内部をプラズマ化して原料ガスプラズマを発生させ原料ガスプラズマで被エッチング部材をエッチングすることにより被エッチング部材に含まれる金属成分と原料ガスとの前駆体を生成するバリアプラズマ発生手段と、窒素を含有する窒素含有ガスをチャンバとは隔絶して励起する励起手段と、励起手段で励起された窒素により前駆体との間で金属窒化物を生成する生成手段と、基板側の温度を生成手段側の温度よりも低くして金属窒化物を基板に成膜させてバリアメタル膜とする制御手段と、基板表面の上部にシリコンを含有するガスを供給するシリコン含有ガス供給手段と、シリコンを含有するガスプラズマを発生させ、基板表面のバリアメタル膜の表面にシリコン原子の核を形成する表面処理プラズマ発生手段とを備えたことを特徴とする。
上記目的を達成するための本発明の金属膜作製装置は、金属窒化物のバリアメタル膜が成膜された基板が収容されるチャンバと、基板表面の上部にシリコンを含有するガスを供給するシリコン含有ガス供給手段と、シリコンを含有するガスプラズマを発生させ、基板表面のバリアメタル膜の表面にシリコン原子の核を形成する表面処理プラズマ発生手段と、チャンバ内に備えられる金属製の被エッチング部材と、基板と被エッチング部材との間におけるチャンバ内にハロゲンを含有する原料ガスを供給する原料ガス供給手段と、ハロゲンを含有する原料ガスをプラズマ化して原料ガスプラズマを発生させ原料ガスプラズマで被エッチング部材をエッチングすることにより被エッチング部材に含まれる金属成分と原料ガスとの前駆体を生成するプラズマ発生手段と、基板側の温度を被エッチング部材側の温度よりも低くして前駆体の金属成分を表面にシリコン原子の核を形成させたバリアメタル膜の上に成膜させる制御手段とを備えたことを特徴とする。
そして、シリコンを含有するガスは、シランであることを特徴とする。また、金属窒化物は、窒化タンタルもしくは窒化タングステンもしくは窒化チタンであることを特徴とする。
上記目的を達成するための本発明の金属膜は、基板の表面における金属窒化物のバリアメタル膜が、シリコンを含有するガスプラズマにより基板表面のバリアメタル膜の表面にシリコン原子の核が形成された表面処理が施されたことを特徴とする。
本発明の金属膜作製方法は、金属窒化物のバリアメタル膜が成膜された基板の表面を処理する金属膜作製方法において、表層の窒素原子を除去してバリアメタル膜の母材内部と比べて表層の窒素含有量を相対的に低減させる表面処理を施すことにより表層に実質的に金属層を形成するようにしたので、実質的な金属層と金属窒化物の層とを一層の厚さで形成することができ、極めて薄い状態で金属の拡散防止と金属との密着性を保持したバリアメタル膜を作製することができる。この結果、金属配線のプロセスを安定させることが可能になる。
本発明の金属膜は、基板の表面における金属窒化物のバリアメタル膜が、表層の窒素原子が除去されてバリアメタル膜の母材内部と比べて表層の窒素含有量を相対的に低減させる表面処理が施されることにより表層に実質的に金属層が形成されたので、実質的な金属層と金属窒化物の層とを一層の厚さで形成され、極めて薄い状態で金属の拡散防止と金属との密着性を保持したバリアメタル膜を備え、金属配線のプロセスを安定させることが可能な金属膜となる。
本発明の金属膜作製方法は、金属窒化物のバリアメタル膜が成膜された基板の表面を処理する金属膜作製方法において、希ガスプラズマで基板表面のバリアメタル膜をエッチングすることによりバリアメタル膜を平坦化する表面処理を施すようにしたので、金属の拡散防止と金属との密着性を保持したバリアメタル膜を作製することができる。この結果、金属配線のプロセスを安定させることが可能になる。
本発明の金属膜作製方法は、金属窒化物のバリアメタル膜が成膜された基板の表面を処理する金属膜作製方法において、希ガスプラズマで基板表面のバリアメタル膜をエッチングすることによりバリアメタル膜を平坦化すると共に、希ガスプラズマで表層の窒素原子を除去してバリアメタル膜の母材内部と比べて表層の窒素含有量を相対的に低減させる表面処理を施すようにしたので、実質的な金属層と金属窒化物の層とを一層の厚さで形成することができ、極めて薄い状態で金属の拡散防止と金属との密着性を保持したバリアメタル膜を作製することができる。この結果、金属配線のプロセスを安定させることが可能になる。
本発明の金属膜作製方法は、基板と金属製の被エッチング部材との間におけるチャンバ内にハロゲンを含有する原料ガスを供給し、チャンバの内部をプラズマ化して原料ガスプラズマを発生させ原料ガスプラズマで被エッチング部材をエッチングすることにより被エッチング部材に含まれる金属成分と原料ガスとの前駆体を生成すると共に、基板が収容されるチャンバとは隔絶して窒素を含有する窒素含有ガスを励起し、励起された窒素により前駆体との間で金属窒化物を生成し、基板側の温度を生成手段側の温度よりも低くして金属窒化物を基板に成膜させてバリアメタル膜とし、希ガスプラズマで基板表面のバリアメタル膜をエッチングすることによりバリアメタル膜を平坦化する表面処理を施すようにしたので、バリアメタル膜を作製した後に金属の拡散防止と金属との密着性を保持した処理を施したバリアメタル膜を作製することができる。この結果、金属配線のプロセスを安定させることが可能になる。
本発明の金属膜作製方法は、基板と金属製の被エッチング部材との間におけるチャンバ内にハロゲンを含有する原料ガスを供給し、チャンバの内部をプラズマ化して原料ガスプラズマを発生させ原料ガスプラズマで被エッチング部材をエッチングすることにより被エッチング部材に含まれる金属成分と原料ガスとの前駆体を生成すると共に、基板が収容されるチャンバとは隔絶して窒素を含有する窒素含有ガスを励起し、励起された窒素により前駆体との間で金属窒化物を生成し、基板側の温度を生成手段側の温度よりも低くして金属窒化物を基板に成膜させてバリアメタル膜とし、希ガスプラズマで基板表面のバリアメタル膜をエッチングすることによりバリアメタル膜を平坦化すると共に、希ガスプラズマで表層の窒素原子を除去してバリアメタル膜の母材内部と比べて表層の窒素含有量を相対的に低減させる表面処理を施すようにしたので、バリアメタル膜を作製した後に実質的な金属層と金属窒化物の層とを一層の厚さで形成することができ、極めて薄い状態で金属の拡散防止と金属との密着性を保持したバリアメタル膜を作製することができる。この結果、金属配線のプロセスを安定させることが可能になる。
本発明の金属膜作製方法は、金属窒化物のバリアメタル膜が成膜された基板が収容されるチャンバ内に希ガスプラズマを発生させ、希ガスプラズマで基板表面のバリアメタル膜をエッチングすることによりバリアメタル膜を平坦化する表面処理を施した後、チャンバ内にハロゲンを含有する原料ガスを供給し、チャンバの内部をプラズマ化して原料ガスプラズマを発生させ原料ガスプラズマで金属製の被エッチング部材をエッチングすることにより被エッチング部材に含まれる金属成分と原料との前駆体をチャンバの内部に生成し、基板の温度を被エッチング部材側の温度よりも低くしてバリアメタル膜が平坦化された基板に前駆体の金属成分を成膜させるようにしたので、金属の拡散防止と金属との密着性を保持した処理を施したバリアメタル膜を作製して金属を成膜することができる。この結果
、金属配線のプロセスを安定させることが可能になる。
本発明の金属膜作製方法は、金属窒化物のバリアメタル膜が成膜された基板が収容されるチャンバ内に希ガスプラズマを発生させ、希ガスプラズマで基板表面のバリアメタル膜をエッチングすることによりバリアメタル膜を平坦化すると共に、希ガスプラズマで表層の窒素原子を除去してバリアメタル膜の母材内部と比べて表層の窒素含有量を相対的に低減させる表面処理を施した後、チャンバ内にハロゲンを含有する原料ガスを供給し、チャンバの内部をプラズマ化して原料ガスプラズマを発生させ原料ガスプラズマで金属製の被エッチング部材をエッチングすることにより被エッチング部材に含まれる金属成分と原料との前駆体をチャンバの内部に生成し、基板の温度を被エッチング部材側の温度よりも低くして、バリアメタル膜が平坦化されると共に表層の窒素含有量を相対的に低減された基板に前駆体の金属成分を成膜させるようにしたので、実質的な金属層と金属窒化物の層とを一層の厚さで形成することができ、極めて薄い状態で金属の拡散防止と金属との密着性を保持したバリアメタル膜を作製して金属を成膜することができる。この結果、金属配線のプロセスを安定させることが可能になる。
そして、バリアメタル膜を平坦化すると共に表層の窒素含有量を相対的に低減させた後に表層の金属原子を密状態にする密状態処理を施すようにしたので、金属膜の成分の拡散を確実に防止することができる。
また、希ガスプラズマは、アルゴンガスプラズマであるので、安価なガスを用いて確実に処理を施すことが可能になる。
本発明の金属膜作製装置は、基板が収容されるチャンバと、基板に対向する位置におけるチャンバに設けられる金属製の被エッチング部材と、基板と被エッチング部材との間におけるチャンバ内にハロゲンを含有する原料ガスを供給するハロゲンガス供給手段と、チャンバの内部をプラズマ化して原料ガスプラズマを発生させ原料ガスプラズマで被エッチング部材をエッチングすることにより被エッチング部材に含まれる金属成分と原料ガスとの前駆体を生成するバリアプラズマ発生手段と、窒素を含有する窒素含有ガスをチャンバとは隔絶して励起する励起手段と、励起手段で励起された窒素により前駆体との間で金属窒化物を生成する生成手段と、基板側の温度を生成手段側の温度よりも低くして金属窒化物を基板に成膜させてバリアメタル膜とする制御手段と、基板表面の上部に希ガスを供給する希ガス供給手段と、チャンバの内部をプラズマ化して希ガスプラズマを発生させ、希ガスプラズマで基板表面のバリアメタル膜をエッチングすることによりバリアメタル膜を平坦化する表面処理プラズマ発生手段とを備えたので、金属の拡散防止と金属との密着性を保持した処理を施したバリアメタル膜を作製することができる。この結果、金属配線のプロセスを安定させることが可能になる。
本発明の金属膜作製装置は、基板が収容されるチャンバと、基板に対向する位置におけるチャンバに設けられる金属製の被エッチング部材と、基板と被エッチング部材との間におけるチャンバ内にハロゲンを含有する原料ガスを供給するハロゲンガス供給手段と、チャンバの内部をプラズマ化して原料ガスプラズマを発生させ原料ガスプラズマで被エッチング部材をエッチングすることにより被エッチング部材に含まれる金属成分と原料ガスとの前駆体を生成するバリアプラズマ発生手段と、窒素を含有する窒素含有ガスをチャンバとは隔絶して励起する励起手段と、励起手段で励起された窒素により前駆体との間で金属窒化物を生成する生成手段と、基板側の温度を生成手段側の温度よりも低くして金属窒化物を基板に成膜させてバリアメタル膜とする制御手段と、基板表面の上部に希ガスを供給する希ガス供給手段と、チャンバの内部をプラズマ化して希ガスプラズマを発生させ、希ガスプラズマで基板表面のバリアメタル膜をエッチングすることによりバリアメタル膜を平坦化すると共に、希ガスプラズマで表層の窒素原子を除去してバリアメタル膜の母材内部と比べて表層の窒素含有量を相対的に低減させる表面処理を施す表面処理プラズマ発生手段とを備えたので、実質的な金属層と金属窒化物の層とを一層の厚さで形成することができ、極めて薄い状態で金属の拡散防止と金属との密着性を保持したバリアメタル膜を作製することができる。この結果、金属配線のプロセスを安定させることが可能になる。
本発明の金属膜作製装置は、金属窒化物のバリアメタル膜が成膜された基板が収容されるチャンバと、基板表面の上部におけるチャンバ内に希ガスを供給する希ガス供給手段と、チャンバの内部をプラズマ化して希ガスプラズマを発生させ、希ガスプラズマで基板表面のバリアメタル膜をエッチングすることによりバリアメタル膜を平坦化する表面処理プラズマ発生手段と、チャンバ内に備えられる金属製の被エッチング部材と、基板と被エッチング部材との間におけるチャンバ内にハロゲンを含有する原料ガスを供給する原料ガス供給手段と、ハロゲンを含有する原料ガスをプラズマ化して原料ガスプラズマを発生させ原料ガスプラズマで被エッチング部材をエッチングすることにより被エッチング部材に含まれる金属成分と原料ガスとの前駆体を生成するプラズマ発生手段と、基板側の温度を被エッチング部材側の温度よりも低くして前駆体の金属成分を平坦化されたバリアメタル膜の上に成膜させる制御手段とを備えたので、金属の拡散防止と金属との密着性を保持した処理を施したバリアメタル膜を作製して金属膜を成膜することができる。この結果、金属配線のプロセスを安定させることが可能になる。
本発明の金属膜作製装置は、金属窒化物のバリアメタル膜が成膜された基板が収容されるチャンバと、基板表面の上部におけるチャンバ内に希ガスを供給する希ガス供給手段と、チャンバの内部をプラズマ化して希ガスプラズマを発生させ、希ガスプラズマで基板表面のバリアメタル膜をエッチングすることによりバリアメタル膜を平坦化すると共に、希ガスプラズマで表層の窒素原子を除去してバリアメタル膜の母材内部と比べて表層の窒素含有量を相対的に低減させる表面処理プラズマ発生手段と、チャンバ内に備えられる金属製の被エッチング部材と、基板と被エッチング部材との間におけるチャンバ内にハロゲンを含有する原料ガスを供給する原料ガス供給手段と、ハロゲンを含有する原料ガスをプラズマ化して原料ガスプラズマを発生させ原料ガスプラズマで被エッチング部材をエッチングすることにより被エッチング部材に含まれる金属成分と原料ガスとの前駆体を生成するプラズマ発生手段と、基板側の温度を被エッチング部材側の温度よりも低くして前駆体の金属成分を、平坦化されると共に表層の窒素含有量が相対的に低減されたバリアメタル膜の上に成膜させる制御手段とを備えたので、実質的な金属層と金属窒化物の層とを一層の厚さで形成することができ、極めて薄い状態で金属の拡散防止と金属との密着性を保持したバリアメタル膜を作製して金属膜を成膜することができる。この結果、金属配線のプロセスを安定させることが可能になる。
そして、バリアメタル膜を平坦化すると共に表層の窒素含有量を相対的に低減させた後に表層の金属原子を密状態にする密状態処理手段を備えたので、金属膜の成分の拡散を確実に防止することができる。
また、希ガスプラズマは、アルゴンガスプラズマであるので、安価なガスを用いて確実に処理を施すことが可能になる。
本発明の金属膜は、基板の表面における金属窒化物のバリアメタル膜が、希ガスプラズマによりエッチングされることにより平坦化されたので、密着性を保持したバリアメタル膜を備え、金属配線のプロセスを安定させることが可能な金属膜となる。
本発明の金属膜は、基板の表面における金属窒化物のバリアメタル膜が、希ガスプラズマによりエッチングされることにより平坦化されると共に、希ガスプラズマにより表層の窒素原子を除去してバリアメタル膜の母材内部と比べて表層の窒素含有量を相対的に低減させる表面処理が施されたので、実質的な金属層と金属窒化物の層とを一層の厚さで形成され、極めて薄い状態で金属の拡散防止と金属との密着性を保持したバリアメタル膜を備え、金属配線のプロセスを安定させることが可能な金属膜となる。
本発明の金属膜作製方法は、金属窒化物のバリアメタル膜が成膜された基板の表面を処理する金属膜作製方法において、基板表面のバリアメタル膜を還元性ガス雰囲気で反応させることにより表層の窒素原子を除去してバリアメタル膜の母材内部と比べて表層の窒素含有量を相対的に低減させる表面処理を施すようにしたので、実質的な金属層と金属窒化物の層とを一層の厚さで形成され、極めて薄い状態で金属の拡散防止と金属との密着性を保持したバリアメタル膜を作製することができる。この結果、金属配線のプロセスを安定させることが可能となる。
本発明の金属膜作製方法は、基板と金属製の被エッチング部材との間におけるチャンバ内にハロゲンを含有する原料ガスを供給し、チャンバの内部をプラズマ化して原料ガスプラズマを発生させ原料ガスプラズマで被エッチング部材をエッチングすることにより被エッチング部材に含まれる金属成分と原料ガスとの前駆体を生成すると共に、基板が収容されるチャンバとは隔絶して窒素を含有する窒素含有ガスを励起し、励起された窒素により前駆体との間で金属窒化物を生成し、基板側の温度を生成手段側の温度よりも低くして金属窒化物を基板に成膜させてバリアメタル膜とし、基板表面のバリアメタル膜を還元性ガス雰囲気で反応させることにより表層の窒素原子を除去してバリアメタル膜の母材内部と比べて表層の窒素含有量を相対的に低減させる表面処理を施すようにしたので、実質的な金属層と金属窒化物の層とを一層の厚さで形成され、極めて薄い状態で金属の拡散防止と金属との密着性を保持したバリアメタル膜を作製することができる。この結果、金属配線のプロセスを安定させることが可能となる。
本発明の金属膜作製方法は、金属窒化物のバリアメタル膜が成膜された基板が収容されるチャンバ内で、基板表面のバリアメタル膜を還元性ガス雰囲気で反応させることにより表層の窒素原子を除去してバリアメタル膜の母材内部と比べて表層の窒素含有量を相対的に低減させる表面処理を施した後、チャンバ内にハロゲンを含有する原料ガスを供給し、チャンバの内部をプラズマ化して原料ガスプラズマを発生させ原料ガスプラズマで金属製の被エッチング部材をエッチングすることにより被エッチング部材に含まれる金属成分と原料との前駆体をチャンバの内部に生成し、基板の温度を被エッチング部材側の温度よりも低くしてバリアメタル膜が平坦化された基板に前駆体の金属成分を成膜させるようにしたので、実質的な金属層と金属窒化物の層とを一層の厚さで形成され、極めて薄い状態で金属の拡散防止と金属との密着性を保持したバリアメタル膜を作製して金属膜を成膜することができる。この結果、金属配線のプロセスを安定させることが可能となる。
本発明の金属膜作製装置は、基板が収容されるチャンバと、基板に対向する位置におけるチャンバに設けられる金属製の被エッチング部材と、基板と被エッチング部材との間におけるチャンバ内にハロゲンを含有する原料ガスを供給するハロゲンガス供給手段と、チャンバの内部をプラズマ化して原料ガスプラズマを発生させ原料ガスプラズマで被エッチング部材をエッチングすることにより被エッチング部材に含まれる金属成分と原料ガスとの前駆体を生成するバリアプラズマ発生手段と、窒素を含有する窒素含有ガスをチャンバとは隔絶して励起する励起手段と、励起手段で励起された窒素により前駆体との間で金属窒化物を生成する生成手段と、基板側の温度を生成手段側の温度よりも低くして金属窒化物を基板に成膜させてバリアメタル膜とする制御手段と、基板表面の上部に還元性ガスを供給する還元性ガス供給手段と、基板表面のバリアメタル膜を還元性ガス雰囲気で反応させることにより表層の窒素原子を除去してバリアメタル膜の母材内部と比べて表層の窒素含有量を相対的に低減させる表面処理手段とを備えたので、実質的な金属層と金属窒化物の層とを一層の厚さで形成され、極めて薄い状態で金属の拡散防止と金属との密着性を保持したバリアメタル膜を作製することができる。この結果、金属配線のプロセスを安定させることが可能となる。
本発明の金属膜作製装置は、金属窒化物のバリアメタル膜が成膜された基板が収容されるチャンバと、基板表面の上部に還元性ガスを供給する還元性ガス供給手段と、基板表面のバリアメタル膜を還元性ガス雰囲気で反応させることにより表層の窒素原子を除去してバリアメタル膜の母材内部と比べて表層の窒素含有量を相対的に低減させる表面処理手段と、チャンバ内に備えられる金属製の被エッチング部材と、基板と被エッチング部材との間におけるチャンバ内にハロゲンを含有する原料ガスを供給する原料ガス供給手段と、ハロゲンを含有する原料ガスをプラズマ化して原料ガスプラズマを発生させ原料ガスプラズマで被エッチング部材をエッチングすることにより被エッチング部材に含まれる金属成分と原料ガスとの前駆体を生成するプラズマ発生手段と、基板側の温度を被エッチング部材側の温度よりも低くして前駆体の金属成分を表層の窒素含有量を相対的に低減させたバリアメタル膜の上に成膜させる制御手段とを備えたので、実質的な金属層と金属窒化物の層とを一層の厚さで形成され、極めて薄い状態で金属の拡散防止と金属との密着性を保持したバリアメタル膜を作製して金属膜を成膜することができる。この結果、金属配線のプロセスを安定させることが可能となる。
本発明の金属膜は、基板の表面における金属窒化物のバリアメタル膜が、還元性ガス雰囲気で反応させることにより表層の窒素原子を除去してバリアメタル膜の母材内部と比べて表層の窒素含有量を相対的に低減させる表面処理が施されたので、実質的な金属層と金属窒化物の層とを一層の厚さで形成され、極めて薄い状態で金属の拡散防止と金属との密着性を保持したバリアメタル膜を備え、金属配線のプロセスを安定させることが可能な金属膜となる。
本発明の金属膜作製方法は、金属窒化物のバリアメタル膜が成膜された基板の表面を処理する金属膜作製方法において、シリコンを含有するガスプラズマにより基板表面のバリアメタル膜の表面にシリコン原子の核を形成する表面処理を施すようにしたので、極めて薄い状態で金属との密着性を保持したバリアメタル膜を作製することができる。この結果、金属配線のプロセスを安定させることが可能となる。
本発明の金属膜作製方法は、基板と金属製の被エッチング部材との間におけるチャンバ内にハロゲンを含有する原料ガスを供給し、チャンバの内部をプラズマ化して原料ガスプラズマを発生させ原料ガスプラズマで被エッチング部材をエッチングすることにより被エッチング部材に含まれる金属成分と原料ガスとの前駆体を生成すると共に、基板が収容されるチャンバとは隔絶して窒素を含有する窒素含有ガスを励起し、励起された窒素により前駆体との間で金属窒化物を生成し、基板側の温度を生成手段側の温度よりも低くして金属窒化物を基板に成膜させてバリアメタル膜とし、シリコンを含有するガスプラズマにより基板表面のバリアメタル膜の表面にシリコン原子の核を形成する表面処理を施すようにしたので、極めて薄い状態で金属との密着性を保持したバリアメタル膜を作製することができる。この結果、金属配線のプロセスを安定させることが可能となる。
本発明の金属膜作製方法は、金属窒化物のバリアメタル膜が成膜された基板が収容されるチャンバ内で、シリコンを含有するガスプラズマにより基板表面のバリアメタル膜の表面にシリコン原子の核を形成する表面処理を施した後、チャンバ内にハロゲンを含有する原料ガスを供給し、チャンバの内部をプラズマ化して原料ガスプラズマを発生させ原料ガスプラズマで金属製の被エッチング部材をエッチングすることにより被エッチング部材に含まれる金属成分と原料との前駆体をチャンバの内部に生成し、基板の温度を被エッチング部材側の温度よりも低くしてバリアメタル膜の表面にシリコン原子の核を形成された基板に前駆体の金属成分を成膜させるようにしたので、極めて薄い状態で金属との密着性を保持したバリアメタル膜を作製し金属膜を成膜することができる。この結果、金属配線のプロセスを安定させることが可能となる。
本発明の金属膜作製装置は、基板が収容されるチャンバと、基板に対向する位置におけるチャンバに設けられる金属製の被エッチング部材と、基板と被エッチング部材との間におけるチャンバ内にハロゲンを含有する原料ガスを供給するハロゲンガス供給手段と、チャンバの内部をプラズマ化して原料ガスプラズマを発生させ原料ガスプラズマで被エッチング部材をエッチングすることにより被エッチング部材に含まれる金属成分と原料ガスとの前駆体を生成するバリアプラズマ発生手段と、窒素を含有する窒素含有ガスをチャンバとは隔絶して励起する励起手段と、励起手段で励起された窒素により前駆体との間で金属窒化物を生成する生成手段と、基板側の温度を生成手段側の温度よりも低くして金属窒化物を基板に成膜させてバリアメタル膜とする制御手段と、基板表面の上部にシリコンを含有するガスを供給するシリコン含有ガス供給手段と、シリコンを含有するガスプラズマを発生させ、基板表面のバリアメタル膜の表面にシリコン原子の核を形成する表面処理プラズマ発生手段とを備えたので、極めて薄い状態で金属との密着性を保持したバリアメタル膜を作製することができる。この結果、金属配線のプロセスを安定させることが可能となる。
本発明の金属膜作製装置は、金属窒化物のバリアメタル膜が成膜された基板が収容されるチャンバと、基板表面の上部にシリコンを含有するガスを供給するシリコン含有ガス供給手段と、シリコンを含有するガスプラズマを発生させ、基板表面のバリアメタル膜の表面にシリコン原子の核を形成する表面処理プラズマ発生手段と、チャンバ内に備えられる金属製の被エッチング部材と、基板と被エッチング部材との間におけるチャンバ内にハロゲンを含有する原料ガスを供給する原料ガス供給手段と、ハロゲンを含有する原料ガスをプラズマ化して原料ガスプラズマを発生させ原料ガスプラズマで被エッチング部材をエッチングすることにより被エッチング部材に含まれる金属成分と原料ガスとの前駆体を生成するプラズマ発生手段と、基板側の温度を被エッチング部材側の温度よりも低くして前駆体の金属成分を表面にシリコン原子の核を形成させたバリアメタル膜の上に成膜させる制御手段とを備えたので、極めて薄い状態で金属との密着性を保持したバリアメタル膜を作製し金属膜を成膜することができる。この結果、金属配線のプロセスを安定させることが可能となる。
本発明の金属膜は、基板の表面における金属窒化物のバリアメタル膜が、シリコンを含有するガスプラズマにより基板表面のバリアメタル膜の表面にシリコン原子の核が形成された表面処理が施されたので、極めて薄い状態で金属との密着性を保持したバリアメタル膜を備え、金属配線のプロセスを安定させることが可能な金属膜となる。
以下図面に基づいて本発明の金属膜作製方法及び金属膜作製装置を説明する。
本発明の金属膜作製方法は、基板の表面に、拡散を防止するための、例えば、窒化タンタル(TaN) のバリアメタル層が作製されたものに対して、更に、密着性を向上させる処理を施したものである。
第1の実施形態例では、TaN のバリアメタル膜に対して、希ガス(例えば、アルゴン:Ar)プラズマにより表面をエッチングして平坦化し、更に、Ar+ によって表層の窒素原子を除去してバリアメタル膜の母材内部と比べて表層の窒素含有量を相対的に低減させる表面処理(以下脱窒処理と称する)を施したものである。これにより、一層のバリアメタル膜に対して表層に実質的に金属(Ta)の膜が形成された状態とし、安価で質量数の高いガスを用いて効率よくかつ確実に、しかも薄膜の状態で金属の拡散防止と金属との密着性を保持したバリアメタル膜が作製される。
尚、バリアメタル膜の材質によっては、プラズマのパワーや通電時間等を制御して希ガス(例えば、アルゴン:Ar)プラズマにより表面をエッチングして平坦化する処理だけを行なうことも可能であり、密着性を向上させることができる。バリアメタル膜としては、TaN の他に、窒化タングステン、窒化チタン等が適用可能であり、希ガスとしては、Arの他に、ヘリウム、クリプトン、ネオン、クリプトン等が適用可能である。
第1の実施形態例における具体的な装置構成としては、基板とTa製の被エッチング部材との間におけるチャンバ内にハロゲンを含有する原料ガス(例えば、塩素含有ガス)を供給し、チャンバの内部をプラズマ化して塩素ガスプラズマを発生させ、塩素ガスプラズマで被エッチング部材をエッチングすることにより被エッチング部材に含まれるTa成分と塩素ガスとの前駆体を生成すると共に、窒素を含有する窒素含有ガスを励起し、励起された窒素により前駆体との間で金属窒化物であるTaN を生成し、基板側の温度を低くしてTaN を基板に成膜させてバリアメタル膜とするバリアメタル膜作製装置を適用し、バリアメタル膜を作製した後にチャンバ内でArガスプラズマを発生させ、エッチング及び脱窒処理を施す構成とすることが可能である。
また、第1の実施形態例における具体的な装置構成としては、チャンバ内に塩素ガスを供給し、チャンバの内部をプラズマ化して塩素ガスプラズマを発生させ塩素ガスプラズマで銅(Cu)製の被エッチング部材をエッチングすることにより被エッチング部材に含まれるCu成分と塩素との前駆体をチャンバの内部に生成し、基板の温度を被エッチング部材側の温度よりも低くして基板に前駆体のCu成分を成膜させる金属成膜装置を適用し、TaN のバリアメタル膜が成膜された基板を収容し、Cu成分を成膜する前に、Arガスプラズマを発生させてエッチング及び脱窒処理を施す構成とすることが可能である。
図1にはCu膜を成膜する成膜工程装置の概要を示してある。例えば、図1に示すように、中心部位に基板の搬送を行なうハンドリング用のロボット101が備えられ、基板が収容される収容装置102、基板にバリアメタル膜を成膜するバリアメタルCVD103、Cu膜を成膜するCu−CVD104がロボット101の周囲に備えられている。ロボット101により基板を収容装置102からバリアメタルCVD103、バリアメタルCVD103からCu−CVD104、Cu−CVD104から収容装置102へと搬送する。このような成膜工程装置では、第1の実施形態例における金属膜作製装置は、Cu−CVD4に備えられる。
尚、バリアメタルCVD103に第1の実施形態例における金属膜作製装置を備えたり、専用で第1の実施形態例における金属膜作製装置をロボット101の周囲に備えてもよい。
以下図面に基づいて第1の実施形態例における金属膜作製方法及び金属膜作製装置の実施例をCu−CVD104に備えた場合を例に挙げて説明する。
図2には本発明の第1実施例に係る金属膜作製装置の概略側面、図3には希ガス供給手段の他の例を表す概略構成、図4にはバリアメタル膜を説明する基板の断面状況、図5、図6には脱窒処理におけるバリアメタル膜の概念状況を示してある。尚、図示の金属膜作製装置は、図1に示したCu−CVD104に相当するものである。
図2に示すように、円筒状に形成された、例えば、セラミックス製(絶縁材料製)のチャンバ1(絶縁材料製)の底部近傍には支持台2が設けられ、支持台2には基板3が載置される。支持台2にはヒータ4及び冷媒流通手段5を備えた制御手段としての温度制御手段6が設けられ、支持台2は温度制御手段6により所定温度(例えば、基板3が100℃乃至200℃に維持される温度)に制御される。
チャンバ1の上面は開口部とされ、開口部は金属製の被エッチング部材としての銅板部材7によって塞がれている。銅板部材7によって塞がれたチャンバ1の内部は真空装置8により所定の圧力に維持される。チャンバ1の筒部の周囲にはコイル状のプラズマアンテナ9が設けられ、プラズマアンテナ9には整合器10及び電源11が接続されて給電が行われる。プラズマアンテナ9、整合器10及び電源11によりプラズマ発生手段が構成されている。
支持台2の上方におけるチャンバ1の筒部には、チャンバ1の内部にハロゲンとしての塩素を含有する原料ガス(He,Ar等で塩素濃度が≦50% 、好ましくは10% 程度に希釈されたCl2 ガス)を供給するノズル12が接続されている。ノズル12には流量制御器13を介して原料ガスが送られる。原料ガスは、チャンバ1内で銅板部材7側に送られる(原料ガス供給手段)。尚、原料ガスに含有されるハロゲンとしては、フッ素(F)、臭素(Br)及びヨウ素(I)等を適用することが可能である。
上述した金属膜作製装置では、チャンバ1の内部にノズル12から原料ガスを供給し、プラズマアンテナ9から電磁波をチャンバ1の内部に入射することで、Cl2 ガスがイオン化されてCl2 ガスプラズマ(原料ガスプラズマ)14が発生する。真空装置8により設定されるチャンバ1内の圧力は、Cl2 ガスプラズマ14のプラズマ密度が、チャンバ1の内部で壁面側が高くなるように高圧状態に設定されている。尚、Cl2 ガスプラズマ14のプラズマ密度を壁面側が高くなるようにする手段として、電源11側の周波数を高くすることも可能である。
Cl2 ガスプラズマ14により、銅板部材7にエッチング反応が生じ、前駆体(CuxCly)15が生成される。このとき、銅板部材7はCl2 ガスプラズマ14により基板3の温度よりも高い所定温度(例えば、200℃乃至400℃)に維持されている。
チャンバ1の内部で生成された前駆体(CuxCly)15は、銅板部材7よりも低い温度に制御された基板3に運ばれる。基板3に運ばれる前駆体(CuxCly)15は還元反応によりCuイオンのみとされて基板3に当てられ、基板3の表面にCu薄膜16が生成される。
このときの反応は、次式で表すことができる。
2Cu+Cl2 →2CuCl→2Cu↓+Cl2 ↑
反応に関与しないガス及びエッチング生成物は排気口17から排気される。
尚、原料ガスとして、He,Ar等で希釈されたCl2 ガスを例に挙げて説明したが、Cl2 ガスを単独で用いたり、HCl ガスを適用することも可能である。HCl ガスを適用した場合、原料ガスプラズマはHCl ガスプラズマが生成されるが、銅板部材7のエッチングにより生成される前駆体はCuxClyである。従って、原料ガスは塩素を含有するガスであればよく、HCl ガスとCl2 ガスとの混合ガスを用いることも可能である。また、銅板部材7の材質は、銅(Cu)に限らず、ハロゲン化物形成金属、好ましくは塩化物形成金属であれば、Ag,Au,Pt,Ta,Ti, W等を用いることが可能である。この場合、前駆体はAg,Au,Pt,Ta,Ti, W等のハロゲン化物(塩化物)となり、基板3の表面に生成される薄膜はAg,Au,Pt,Ta,Ti, W等になる。
上記構成の金属膜作製装置は、Cl2 ガスプラズマ(原料ガスプラズマ)14を用いているため、反応効率が大幅に向上して成膜速度が速くなる。また、原料ガスとしてCl2 ガスを用いているため、コストを大幅に減少させることができる。また、温度制御手段6を用いて基板3を銅板部材7よりも低い温度に制御しているので、Cu薄膜16中に塩素等の不純物の残留を少なくすることができ、高品質なCu薄膜16を生成することが可能になる。
また、Cl2 ガスプラズマ14のプラズマ密度を壁面側が高くなるようにしているので、高密度のCl2 ガスプラズマ14を生成することができ、成膜速度を大幅に速くすることができると共に、大型のチャンバ1を用いても、即ち、大きな基板3に対してもCu薄膜16を生成することが可能になる。
ところで、上述した金属膜作製装置には、基板3の表面の上部におけるチャンバ1内に希ガスとしてのArガスを供給する希ガス供給手段としての希ガスノズル21が設けられている。希ガスノズル21からArガスを供給すると共に、プラズマアンテナ9から電磁波をチャンバ1の内部に入射することで、Arガスがイオン化されてArガスプラズマが発生するようになっている(表面処理プラズマ発生手段)。一方、支持台2にはバイアス電源20が接続され、基板3を支持台2に支持させるためのバイアス電圧が印加される。
尚、希ガス供給手段としては、Cl2 ガスの希釈ガスとしてArガスを適用した場合、図3に示すように、原料ガス(Cl2 ガス)と希釈ガス(Arガス)との合流部に制御弁22を設け、Arガスプラズマを発生させる際にCl2 ガスを止めてArガスのみをノズル12から供給する構成とすることも可能である。これにより、希ガスノズル21を特別に設ける必要がなく、スペース的に有利となる。
上述した金属膜作製装置に搬入される基板3の表面には、図4に示したように、TaN のバリアメタル膜23が成膜されている。Arガスプラズマを発生させることで、Ar+ により、基板2の表面のバリアメタル膜23をエッチングしてバリアメタル膜23を平坦化すると共に、表層のTaN の窒素原子(N) を除去してバリアメタル膜23の母材内部と比べて表層の窒素含有量を相対的に低減させる処理(脱窒処理)が施される。尚、バリアメタル膜23としては、WN,TiNを適用することも可能である。
Arガスプラズマを発生させてバリアメタル膜23を平坦化する処理及び脱窒処理は、前述したCu薄膜16を生成する前に実施される。即ち、TaN のバリアメタル膜23が成膜されている基板3が支持台2上に搬入されると、Cu薄膜16の生成に先立って、希ガスノズル21からArガスを供給すると共に、プラズマアンテナ9から電磁波をチャンバ1の内部に入射してArガスプラズマを発生させる。
Arガスプラズマを発生させると、Ar+ によりバリアメタル膜23の表面がエッチングされて平坦化される。また、図5に示すように、バリアメタル膜23はTaとN がアモルファス状態で混在し、Ar+ により質量の小さいNが優先的に除去され、バリアメタル膜23の表層(例えば、最大で全体膜厚の半分:好ましくは1/3程度)が脱窒処理される。これにより、図6に示すように、実質的にTaで構成される金属層23aとTaN 層23bとの二層構造のバリアメタル膜23の状態となる。この時、バリアメタル膜23の全体の膜厚は一層で構成された膜厚のままである。
Ar+ の発生量を多くするために、プラズマアンテナ9に印加する電圧を高くしたり、Arガスの流量を多くする制御が行なわれる。また、Ar+ を基板3側に引き込むために、バイアス電源20を制御して基板2の電位をマイナス側に下げる制御が行なわれる。制御としては、予め決められたスケジュールでスケジュール制御することが容易である。脱窒処理を行なっている時に、金属層23aの深さ分布を実測し、実測結果に応じてプラズマアンテナ9の電圧やArガスの流量、バイアス電源20の制御を実施することも可能である。
脱窒処理を行なった後に、除去されたNの部位が隙間になって原子レベルでの凹凸が生じるため、残ったTa原子を密状態にすることが好ましい。Ta原子を密状態にするため本実施例では、ヒータ4を用いて基板3を加熱して熱処理を行い、Ta原子を密状態にしている(密状態処理手段)。熱処理は、原子が結晶構造にならない程度(アモルファス状態を維持した状態)で実施される。尚、密状態処理手段としては、プラズマ加熱で基板3を加熱することも可能である。
上述した金属膜作製装置では、バリアメタル膜23が成膜された基板3が収容されるチャンバ1内にArガスプラズマを発生させ、Arガスプラズマでバリアメタル膜23をエッチングすることによりバリアメタル膜23を平坦化すると共に、Arガスプラズマで窒素原子を除去してバリアメタル膜23の脱窒処理を施したので、実質的にTaで構成される金属層23aとTaN 層23bとの二層構造のバリアメタル膜23の状態とすることができ、しかも、全体の膜厚を一層で構成された膜厚のままとすることができる。このため、バリアメタル膜23を厚くすることなく二層構造状態にして金属層23aによりCu薄膜16との密着性を保持することができ、TaN 層23bによりCuの拡散を防止することができる。このため、Cu薄膜16を基板3への拡散をなくして密着性よく成膜することができ、Cu配線プロセスを安定させることが可能になる。
図7乃至図9に基づいて本発明の第2実施例の金属膜作製方法及び金属膜作製装置を説明する。図7には本発明の第2実施例に係る金属膜作製装置の概略側面、図8には図7中のVIII-VIII 線矢視、図9には図8中のIX-IX 線矢視を示してある。尚、図2に示した部材と同一部材には同一符号を付して重複する説明は省略してある。
チャンバ1の上面は開口部とされ、開口部は絶縁材製(例えば、セラミックス製)の円盤状の天井板30によって塞がれている。チャンバ1の上面の開口部と天井板30との間には金属製である銅(Cu)製の被エッチング部材31が挟持されている。被エッチング部材31は、チャンバ1の上面の開口部に挟持されるリング部32が備えられ、リング部32の内周側にはチャンバ1の径方向中心部近傍まで延び同一幅となっている突起部33が円周方向に複数(図示例では12個)設けられている。
突起部33は、リング部32に対して一体、もしくは、取り外し自在に取り付けられている。天井板30とチャンバ1の内部との間には突起部33の間で形成される切欠部35(空間)が存在した状態になっている。リング部32はアースされており、複数の突起部33は電気的につながれて同電位に維持されている。被エッチング部材31にはヒータ等の温度制御手段(図示省略)が設けられ、例えば、200℃乃至400℃程度に温度制御される。
尚、突起部33の間に突起部33よりも径方向に短い第2突起部を配置することも可能であり、更に、突起部33と第2突起部との間に短い突起部を配置することも可能である。このようにすると、誘導電流を抑制しつつエッチング対象となる銅の面積を確保することができる。
天井板30の上方にはチャンバ1の内部をプラズマ化するための平面巻線状のプラズマアンテナ34が設けられ、プラズマアンテナ34は天井板30の面と平行な平面リング状に形成されている。プラズマアンテナ34には整合器10及び電源11が接続されて給電が行われる。被エッチング部材31は、リング部32の内周側に突起部33が円周方向に複数設けられ、突起部33の間で形成される切欠部35(空間)が存在しているので、プラズマアンテナ34の電気の流れ方向に対して不連続な状態で基板3と天井板30との間に突起部33が配置された状態になっている。
上述した金属膜作製装置では、チャンバ1の内部にノズル12から原料ガスを供給し、プラズマアンテナ34から電磁波をチャンバ1の内部に入射することで、Cl2 ガスがイオン化されてCl2 ガスプラズマ(原料ガスプラズマ)14が発生する。プラズマアンテナ34の下部には導電体である被エッチング部材31が存在しているが、以下の作用により被エッチング部材31と基板3との間、即ち、被エッチング部材31の下側にCl2 ガスプラズマ14が安定して発生するようになっている。
被エッチング部材31の下側にCl2 ガスプラズマ14が発生する作用について説明する。図9に示すように、平面リング状のプラズマアンテナ34の電気の流れAは突起部33を横切る方向となり、このとき、突起部33のプラズマアンテナ34との対向面には誘導電流bが発生する。被エッチング部材31には切欠部35(空間)が存在している状態になっているので、誘導電流bはそれぞれの突起部33の下面に流れてプラズマアンテナ34の電気の流れAと同一方向の流れaとなる(ファラデーシールド)。
このため、基板3側から被エッチング部材31を見た場合、プラズマアンテナ34の電気の流れAを打ち消す方向の流れが存在しない状態になり、しかも、リング部32がアースされて突起部33が同電位に維持されている。これにより、導電体である被エッチング部材31が存在していても、プラズマアンテナ34から電磁波がチャンバ1内に確実に入射し、被エッチング部材31の下側にCl2 ガスプラズマ14が安定して発生するようになっている。
Cl2 ガスプラズマ14により、銅製の被エッチング部材31にエッチング反応が生じ、前駆体(CuxCly)15が生成される。このとき、被エッチング部材31はCl2 ガスプラズマ14により基板3の温度よりも高い所定温度(例えば、200℃乃至400℃)に維持されている。チャンバ1の内部で生成された前駆体(CuxCly)15は、被エッチング部材31よりも低い温度に制御された基板3に運ばれる。基板3に運ばれる前駆体(CuxCly)15は還元反応によりCuイオンのみとされて基板3に当てられ、基板3の表面にCu薄膜16が生成される。
このときの反応は、前述した第1実施例と同様であり、反応に関与しないガス及びエッチング生成物は排気口17から排気される。
上記構成の金属膜作製装置は、Cl2 ガスプラズマ(原料ガスプラズマ)14を用いているため、反応効率が大幅に向上して成膜速度が速くなる。また、原料ガスとしてCl2 ガスを用いているため、コストを大幅に減少させることができる。また、温度制御手段6を用いて基板3を被エッチング部材18よりも低い温度に制御しているので、Cu薄膜16中に塩素等の不純物の残留を少なくすることができ、高品質なCu薄膜16を生成することが可能になる。
また、被エッチング部材31は、リング部32の内周側に突起部33が円周方向に複数設けられ、突起部33の間で形成される切欠部35(空間)が存在しているので、被エッチング部材31に生じる誘導電流は基板3側からみてプラズマアンテナ34の電気の流れと同一方向の流れとなる。これにより、導電体である被エッチング部材31がプラズマアンテナ34の下に存在していても、プラズマアンテナ34から電磁波がチャンバ1内に確実に入射し、被エッチング部材31の下側にCl2 ガスプラズマ14を安定して発生させることが可能となる。
ところで、上述した金属膜作製装置には、基板3の表面の上部におけるチャンバ1内に希ガスとしてのArガスを供給する希ガス供給手段としての希ガスノズル21が設けられている。希ガスノズル21からArガスを供給すると共に、プラズマアンテナ34から電磁波をチャンバ1の内部に入射することで、Arガスがイオン化されてArガスプラズマが発生するようになっている(表面処理プラズマ発生手段)。一方、支持台2にはバイアス電源20が接続され、基板3を支持台2に支持させるためのバイアス電圧が印加される。
上述した金属膜作製装置に搬入される基板3の表面には、図4に示したように、TaN のバリアメタル膜23が成膜されている。Arガスプラズマを発生させることで、Ar+ により、基板2の表面のバリアメタル膜23をエッチングしてバリアメタル膜23を平坦化すると共に、表層のTaN の窒素原子(N) を除去してバリアメタル膜23の母材内部と比べて表層の窒素含有量を相対的に低減させる処理(脱窒処理)が施される。尚、バリアメタル膜23としては、WN,TiNを適用することも可能である。
Arガスプラズマを発生させてバリアメタル膜23を平坦化する処理及び脱窒処理は、前述したCu薄膜16を生成する前に実施される。バリアメタル膜23を平坦化する処理及び脱窒処理の詳細は第1実施例と同一であるので説明は省略してある。
上述した金属膜作製装置では、第1実施例と同様に、バリアメタル膜23を厚くすることなく二層構造状態にして金属層23aによりCu薄膜16との密着性を保持することができ、TaN 層23bによりCuの拡散を防止することができる。このため、Cu薄膜16を基板3への拡散をなくして密着性よく成膜することができ、Cu配線プロセスを安定させることが可能になる。
図10に基づいて本発明の第3実施例の金属膜作製方法及び金属膜作製装置を説明する。図10には本発明の第3実施例に係る金属膜作製装置の概略側面を示してある。尚、図2及び図7に示した部材と同一部材には同一符号を付して重複する説明は省略してある。
チャンバ1の上部の開口部は、例えば、セラミックス製(絶縁材料製)の天井板30によって塞がれている。天井板30の下面には金属製である銅(Cu)製の被エッチング部材41が設けられ、被エッチング部材41は四角錐形状となっている。チャンバ1の筒部の上部の周囲の複数箇所(例えば、4箇所)には、スリット状の開口部42が形成され、開口部42には筒状の通路43の一端がそれぞれ固定されている。通路43の途中部には絶縁体製の筒状の励起室44が設けられ、励起室44の周囲にはコイル状のプラズマアンテナ45が設けられ、プラズマアンテナ45には整合器48及び電源49に接続されて給電が行われる。プラズマアンテナ45、整合器48及び電源49によりプラズマ発生手段が構成されている。
通路43の他端側には流量制御器46が接続され、流量制御器46を介して通路43内に塩素を含有する原料ガス(He,Ar等で塩素濃度が≦50% 、好ましくは10% 程度に希釈されたCl2 ガス)が供給される。プラズマアンテナ45から電磁波を励起室44の内部に入射することで、Cl2 ガスがイオン化されてCl2 ガスプラズマ(原料ガスプラズマ)47が発生する。Cl2 ガスプラズマ47の発生により励起塩素が開口部42からチャンバ1内に送られ、被エッチング部材41が励起塩素によりエッチングされる。
上述した金属膜作製装置では、流量制御器46を介して通路43内に原料ガスを供給して励起室44に原料ガスを送り込む。プラズマアンテナ45から電磁波を励起室44の内部に入射することで、Cl2 ガスがイオン化されてCl2 ガスプラズマ(原料ガスプラズマ)47が発生する。真空装置8によりチャンバ1内の圧力と励起室44の圧力とに所定の差圧が設定されているため、励起室44のCl2 ガスプラズマ47の励起塩素が開口部42からチャンバ1内の被エッチング部材41に送られる。励起塩素により被エッチング部材41にエッチング反応が生じ、チャンバ1の内部で前駆体(CuxCly)15が生成される。
このとき、被エッチング部材41はヒータ50により基板3の温度よりも高い所定温度(例えば、200℃乃至400℃)に維持されている。チャンバ1の内部で生成された前駆体(CuxCly)15は、被エッチング部材31よりも低い温度に制御された基板3に運ばれる。基板3に運ばれる前駆体(CuxCly)15は還元反応によりCuイオンのみとされて基板3に当てられ、基板3の表面にCu薄膜16が生成される。
このときの反応は、前述した第1実施例と同様であり、反応に関与しないガス及びエッチング生成物は排気口17から排気される。
上述した金属膜作製装置は、チャンバ1と隔絶した励起室44でCl2 ガスプラズマ47を発生させるようにしているので、基板3がプラズマに晒されることがなくなり、基板3にプラズマによる損傷が生じることがない。尚、励起室44でCl2 ガスプラズマ47を発生させる手段は、マイクロ波、レーザ、電子線、放射光等を用いることも可能であり、金属フィラメントを高温に加熱して前駆体を生成することも可能である。また、Cl2 ガスプラズマ47を基板3と隔絶する構成は、通路43に励起室44を設ける構成の他に、例えば、チャンバ1を隔絶する等、他の構成とすることも可能である。
ところで、上述した金属膜作製装置には、基板3の表面の上部におけるチャンバ1内に希ガスとしてのArガスを供給する希ガス供給手段としての希ガスノズル21が設けられている。また、チャンバ1の胴部にはコイル状の表面処理プラズマアンテナ36が設けられ、表面処理プラズマアンテナ36には整合器37及び電源38が接続されて給電が行なわれる。希ガスノズル21からArガスを供給すると共に、プラズマアンテナ36から電磁波をチャンバ1の内部に入射することで、Arガスがイオン化されてArガスプラズマが発生するようになっている(表面処理プラズマ発生手段)。一方、支持台2にはバイアス電源20が接続され、基板3を支持台2に支持させるためのバイアス電圧が印加される。
上述した金属膜作製装置に搬入される基板3の表面には、図4に示したように、TaN のバリアメタル膜23が成膜されている。Arガスプラズマを発生させることで、Ar+ により、基板2の表面のバリアメタル膜23をエッチングしてバリアメタル膜23を平坦化すると共に、表層のTaN の窒素原子(N) を除去してバリアメタル膜23の母材内部と比べて表層の窒素含有量を相対的に低減させる処理(脱窒処理)が施される。尚、バリアメタル膜23としては、WN,TiNを適用することも可能である。
Arガスプラズマを発生させてバリアメタル膜23を平坦化する処理及び脱窒処理は、前述したCu薄膜16を生成する前に実施される。バリアメタル膜23を平坦化する処理及び脱窒処理の詳細は第1実施例と同一であるので説明は省略してある。
上述した金属膜作製装置では、第1実施例と同様に、バリアメタル膜23を厚くすることなく二層構造状態にして金属層23a(図6参照)によりCu薄膜16との密着性を保持することができ、TaN 層23b(図6参照)によりCuの拡散を防止することができる。このため、Cu薄膜16を基板3への拡散をなくして密着性よく成膜することができ、Cu配線プロセスを安定させることが可能になる。
図11に基づいて本発明の第4実施例の金属膜作製方法及び金属膜作製装置を説明する。図11には本発明の第4実施例に係る金属膜作製装置の概略側面を示してある。尚、図2、図7及び図10に示した部材と同一部材には同一符号を付して重複する説明は省略してある。
図2に示した第1実施例の金属膜作製装置に対し、チャンバ1の筒部の周囲にはプラズマアンテナ9が設けられておらず、銅板部材7に整合器10及び電源11が接続されて銅板部材7に給電が行われる。上述した金属膜作製装置では、チャンバ1の内部にノズル12から原料ガスを供給し、銅板部材7から電磁波をチャンバ1の内部に入射することで、Cl2 ガスがイオン化されてCl2 ガスプラズマ(原料ガスプラズマ)14が発生する。Cl2 ガスプラズマ14により、銅板部材7にエッチング反応が生じ、前駆体(CuxCly)15が生成される。このとき、銅板部材7はCl2 ガスプラズマ14により基板3の温度よりも高い所定温度(例えば、200℃乃至400℃)に維持されている。
チャンバ1の内部で生成された前駆体(CuxCly)15は、銅板部材7よりも低い温度に制御された基板3に運ばれる。基板3に運ばれる前駆体(CuxCly)15は還元反応によりCuイオンのみとされて基板3に当てられ、基板3の表面にCu薄膜16が生成される。このときの反応は、前述した第1実施例と同様であり、反応に関与しないガス及びエッチング生成物は排気口17から排気される。
上述した金属膜作製装置は、銅板部材7自身をプラズマ発生用の電極として適用しているので、チャンバ1の筒部の周囲にCu薄膜16を作製するためのプラズマアンテナ9が不要となる。
ところで、上述した金属膜作製装置には、基板3の表面の上部におけるチャンバ1内に希ガスとしてのArガスを供給する希ガス供給手段としての希ガスノズル21が設けられている。ノズル12からの原料ガスの供給を停止し、希ガスノズル21からArガスを供給すると共に、銅板部材7から電磁波をチャンバ1の内部に入射することで、Arガスがイオン化されてArガスプラズマが発生するようになっている(表面処理プラズマ発生手段)。一方、支持台2にはバイアス電源20が接続され、基板3を支持台2に支持させるためのバイアス電圧が印加される。
上述した金属膜作製装置に搬入される基板3の表面には、図4に示したように、TaN のバリアメタル膜23が成膜されている。Arガスプラズマを発生させることで、Ar+ により、基板2の表面のバリアメタル膜23をエッチングしてバリアメタル膜23を平坦化すると共に、表層のTaN の窒素原子(N) を除去してバリアメタル膜23の母材内部と比べて表層の窒素含有量を相対的に低減させる処理(脱窒処理)が施される。尚、バリアメタル膜23としては、WN,TiNを適用することも可能である。また、表面処理プラズマ発生手段として、チャンバ1の胴部にコイル状の表面処理プラズマアンテナを設け、整合器及び電源を介して給電を行なうことでArガスプラズマを発生させることも可能である。
Arガスプラズマを発生させてバリアメタル膜23を平坦化する処理及び脱窒処理は、前述したCu薄膜16を生成する前に実施される。バリアメタル膜23を平坦化する処理及び脱窒処理の詳細は第1実施例と同一であるので説明は省略してある。
上述した金属膜作製装置では、第1実施例と同様に、バリアメタル膜23を厚くすることなく二層構造状態にして金属層23a(図6参照)によりCu薄膜16との密着性を保持することができ、TaN 層23b(図6参照)によりCuの拡散を防止することができる。このため、Cu薄膜16を基板3への拡散をなくして密着性よく成膜することができ、Cu配線プロセスを安定させることが可能になる。
次に、第1の実施形態例における金属膜作製方法及び金属膜作製装置の実施例をバリアメタルCVD103に備えた場合の一例を図12に基づいて説明する。図12には本発明の第5実施例に係る金属膜作製装置の概略側面を示してある。
図に示すように、円筒状に形成された、例えば、セラミックス製(絶縁材料製)のチャンバ51(絶縁材料製)の底部近傍には支持台52が設けられ、支持台52には基板53が載置される。支持台52にはヒータ54及び冷媒流通手段55を備えた制御手段としての温度制御手段56が設けられ、支持台52は温度制御手段56により所定温度(例えば、基板3が100℃乃至200℃に維持される温度)に制御される。
チャンバ1の上面は開口部とされ、開口部は金属製の被エッチング部材としての金属部材57(例えば、W,Ti,Ta,TiSi等)によって塞がれている。金属部材57によって塞がれたチャンバ51の内部は真空装置58により所定の圧力に維持される。チャンバ51の筒部の周囲にはバリアプラズマ発生手段のコイル状巻線アンテナとしてのプラズマアンテナ59が設けられ、プラズマアンテナ59には整合器60及び電源61が接続されて給電が行われる。
金属部材57の下方におけるチャンバ51の筒部には、チャンバ51の内部にハロゲンとしての塩素を含有する原料ガスガス(He,Ar等で塩素濃度が≦50% 、好ましくは10% 程度に希釈されたCl2 ガス)を供給するノズル62が接続されている。ノズル62は水平に向けて開口し、ノズル62には流量制御器63を介して原料ガスが送られる(ハロゲンガス供給手段)。尚、原料ガスに含有されるハロゲンとしては、フッ素(F)、臭素(Br)及びヨウ素(I)等を適用することが可能である。
一方、チャンバ51の筒部の下方の周囲の複数箇所(例えば、4箇所)には、スリット状の開口部64が形成され、開口部64には筒状の通路65の一端がそれぞれ固定されている。通路65の途中部には絶縁体製の筒状の励起室66が設けられ、励起室66の周囲にはコイル状のプラズマアンテナ67が設けられ、プラズマアンテナ67は整合器68及び電源69に接続されて給電が行われる。プラズマアンテナ67、整合器68及び電源69により励起手段が構成されている。通路65の他端側には流量制御器70が接続され、流量制御器70を介して通路65内に窒素含有ガスとしてのアンモニアガス(NH3 ガス)が供給される。
上述した金属膜作製装置では、チャンバ51の内部にノズル62から原料ガスを供給し、プラズマアンテナ59から電磁波をチャンバ51の内部に入射することで、Cl2 ガスがイオン化されてCl2 ガスプラズマ(原料ガスプラズマ)71が発生する。Cl2 ガスプラズマ71により、金属部材57にエッチング反応が生じ、前駆体(MxCly:M はW,Ti,Ta,TiSi等の金属)72が生成される。
また、流量制御器70を介して通路65内にNH3 ガスを供給して励起室66にNH3 ガスを送り込む。プラズマアンテナ67から電磁波を励起室66の内部に入射することで、NH3 ガスがイオン化されてNH3 ガスプラズマ63が発生する。真空装置58によりチャンバ51内の圧力と励起室66の圧力とに所定の差圧が設定されているため、励起室66のNH3 ガスプラズマ73の励起アンモニアが開口部64からチャンバ51内の前駆体(MxCly )72に送られる。
つまり、窒素を含有する窒素含有ガスをチャンバ51と隔絶した励起室66で励起する励起手段が構成されている。これにより、前駆体(MxCly )72の金属成分とアンモニアが反応して金属窒化物(MN)が生成される(生成手段)。このとき、金属部材57及び励起室66はプラズマにより基板53の温度よりも高い所定温度(例えば、200℃乃至400℃)に維持されている。
チャンバ51の内部で生成された金属窒化物(MN)は低い温度に制御された基板53に運ばれて、基板53の表面にMN薄膜74(Ta製の金属部材57を適用した場合TaN 膜)が生成される。
MN薄膜74が生成されるときの反応は、次式で表すことができる。
2MCl+2NH3 →2MN↓+HCl↑+2H2↑
反応に関与しないガス及びエッチング生成物は排気口77から排気される。
尚、原料ガスとして、He,Ar等で希釈されたCl2 ガスを例に挙げて説明したが、Cl2 ガスを単独で用いたり、HCl ガスを適用することも可能である。HCl ガスを適用した場合、原料ガスプラズマはHCl ガスプラズマが生成される。従って、原料ガスは塩素を含有するガスであればよく、HCl ガスとCl2 ガスとの混合ガスを用いることも可能である。また、金属部材57の材質は、Ag,Au,Pt,Si 等産業上適用可能な金属を用いることが可能である。また、通路65内にNH3 ガスを供給して励起室66にNH3 ガスを送り込み、プラズマアンテナ67から電磁波を励起室66の内部に入射することで、NH3 ガスプラズマ63を発生させるようにしているが、チャンバ51内にNH3 ガスを供給し、プラズマアンテナ59への給電によりチャンバ51内でNH3 ガスプラズマを発生させることも可能である。この場合、通路65、励起室66、プラズマアンテナ67、整合器68及び電源69を省略することも可能である。
上記構成の金属膜作製装置では、プラズマにより金属を生じさせてバリアメタル膜としてMN薄膜74を作製しているので、均一にしかも薄膜状にバリアメタル膜を成膜することが可能になる。このため、基板53に設けられる、例えば、数百nm幅程度の小さな凹部に対しても内部にまで精度よく成膜され、埋め込み性に優れ、極めて薄い状態で高速にバリアメタル膜を成膜することが可能になる。
ところで、上述した金属膜作製装置には、基板53の表面の上部におけるチャンバ51内に希ガスとしてのArガスを供給する希ガス供給手段としての希ガスノズル76が設けられている。希ガスノズル76からArガスを供給すると共に、プラズマアンテナ59から電磁波をチャンバ51の内部に入射することで、Arガスがイオン化されてArガスプラズマが発生するようになっている(表面処理プラズマ発生手段)。一方、支持台52にはバイアス電源77が接続され、基板53を支持台52に支持させるためのバイアス電圧が印加される。
上述した金属膜作製装置では、バリアメタル膜としてのMN薄膜74が成膜された後に、Arガスプラズマを発生させることで、Ar+ により、基板53の表面のバリアメタル膜をエッチングしてバリアメタル膜を平坦化すると共に、表層のTaN の窒素原子(N) を除去して脱窒処理が施される。バリアメタル膜を平坦化すると共に、表層のTaN の窒素原子(N) を除去して脱窒処理が施された後、成膜装置でバリアメタル膜の上に銅(Cu)薄膜やアルミニウム(Al) 薄膜等が成膜される。Arガスプラズマを発生させてバリアメタル膜を平坦化する処理及び脱窒処理の詳細は第1実施例と同一であるので説明は省略してある。
上述した金属膜作製装置では、第1実施例と同様に、バリアメタル膜を厚くすることなく二層構造状態にして金属層により後工程における成膜での金属薄膜との密着性を保持することができ、TaN 層により後工程における成膜での金属の拡散を防止することができる。このため、後工程における成膜での金属薄膜(Cu薄膜)を基板53への拡散をなくして密着性よく成膜することができ、Cu配線プロセスを安定させることが可能になる。
尚、バリアメタル膜を作製する金属膜作製装置の構成は、容量結合プラズマを発生させる形式の装置や、成膜室とは隔絶してプラズマを発生させるリモート形式の装置を適用することも可能である。
次に本発明の第2の実施形態例を説明する。第2の実施形態例では、TaN のバリアメタル膜に対して、還元性ガス(例えば、水素ガス)雰囲気(水素ガスプラズマ)で反応させることにより表層の窒素原子を除去してバリアメタル膜の母材内部と比べて表層の窒素含有量を相対的に低減させる表面処理(以下脱窒処理と称する)を施したものである。これにより、一層のバリアメタル膜に対して表層に実質的に金属(Ta)の膜が形成された状態とし、効率よくしかも薄膜の状態で金属の拡散防止と金属との密着性を保持したバリアメタル膜が作製される。
尚、還元性ガスとしては、水素ガスの他に窒素ガスを適用することが可能であり、また、一酸化炭素ガスを適用することが可能である。一酸化炭素ガスを適用した場合にはプラズマを発生させることなく一酸化炭素ガス雰囲気中で脱窒処理が行なえる。
第2の実施形態例における具体的な装置構成としては、基板とTa製の被エッチング部材との間におけるチャンバ内にハロゲンを含有する原料ガス(例えば、塩素含有ガス)を供給し、チャンバの内部をプラズマ化して塩素ガスプラズマを発生させ、塩素ガスプラズマで被エッチング部材をエッチングすることにより被エッチング部材に含まれるTa成分と塩素ガスとの前駆体を生成すると共に、窒素を含有する窒素含有ガスを励起し、励起された窒素により前駆体との間で金属窒化物であるTaN を生成し、基板側の温度を低くしてTaN を基板に成膜させてバリアメタル膜とするバリアメタル膜作製装置を適用し、バリアメタル膜を作製した後にチャンバ内で水素ガスプラズマ(もしくは窒素ガスプラズマ)を発生させ、ラジカルな水素と窒素を反応させて脱窒処理を施す構成とすることが可能である。つまり、例えば、図12に示したバリアメタル膜作製装置を適用することが可能である。
また、第2の実施形態例における具体的な装置構成としては、チャンバ内に塩素ガスを供給し、チャンバの内部をプラズマ化して塩素ガスプラズマを発生させ塩素ガスプラズマで銅(Cu)製の被エッチング部材をエッチングすることにより被エッチング部材に含まれるCu成分と塩素との前駆体をチャンバの内部に生成し、基板の温度を被エッチング部材側の温度よりも低くして基板に前駆体のCu成分を成膜させる金属成膜装置を適用し、TaN のバリアメタル膜が成膜された基板を収容し、Cu成分を成膜する前に、チャンバ内で水素ガスプラズマ(もしくは窒素ガスプラズマ)を発生させ、ラジカルな水素と窒素を反応させて脱窒処理を施す構成とすることが可能である。つまり、例えば、図2、図7、図10、図11に示した金属膜作製装置を適用することが可能である。
第2の実施形態例における金属膜作製方法及び金属膜作製装置の実施例をCu−CVD104(図1参照)に備えた場合を例に挙げて説明する。
図13には本発明の第6実施例に係る金属膜作製装置の概念構成、図14には脱窒処理におけるバリアメタル膜の概念状況を示してある。尚、図示の金属膜作製装置は、図2に示した第1実施例の金属膜作製装置の概念構成であり、ノズル21から供給されるガスを異ならせたものである。このため、金属膜作製装置におけるCu薄膜の成膜に関しては同一であるので説明は省略してある。
図13に示すように、基板3の表面の上部におけるチャンバ1内に還元性ガスとしての水素ガス(H2ガス)を供給する還元性ガス供給手段としての還元ガスノズル25が設けられている。還元ガスノズル25からH2ガスを供給すると共にプラズマアンテナ9から電磁波をチャンバ1内に入射することで、H2ガスがイオン化されてH2ガスプラズマが発生するようになっている(表面処理手段)。図示の金属膜作製装置に搬入される基板3の表面には、TaN のバリアメタル膜23(図4参照)が成膜されている。H2ガスプラズマを発生させることで、水素ラジカルH* が基板2の表層のTaN の窒素原子(N) と反応してアンモニアNH3 が形成されて排出される。これにより、表層の窒素原子(N) が除去されてバリアメタル膜23の母材内部と比べて表層の窒素含有量を相対的に低減させる処理(脱窒処理)が施される。
H2ガスプラズマを発生させて実施されるバリアメタル膜23(図4参照)の脱窒処理は、図2の第1実施例で説明したCu薄膜16を生成する前に実施される。即ち、TaN のバリアメタル膜23(図4参照)が成膜されている基板3が支持台2上に搬入されると、Cu薄膜16(図2参照)の生成に先立って、還元ガスノズル25からH2ガスを供給すると共に、プラズマアンテナ9から電磁波をチャンバ1の内部に入射してH2ガスプラズマを発生させる。
H2ガスプラズマを発生させると、水素ラジカルH* が基板2の表層のTaN の窒素原子(N) と反応してアンモニアNH3 が形成されて排出される。水素ラジカルH* は金属に影響せずに窒素原子(N) に対してのみ反応し、アンモニアNH3 が形成される。
つまり、N+3H* →NH3
の反応によりアンモニアNH3 が形成されて排出される。
図14に示すように、バリアメタル膜23はTaとN がアモルファス状態で混在し、水素ラジカルH* がNと反応してアンモニアNH3 が形成されて排出され、バリアメタル膜23の表層(例えば、最大で全体膜厚の半分:好ましくは1/3程度)が脱窒処理される。これにより、図6に示すように、実質的にTaで構成される金属層23aとTaN 層23bとの二層構造のバリアメタル膜23の状態となる。この時、バリアメタル膜23の全体の膜厚は一層で構成された膜厚のままである。
水素ラジカルH* は寿命が長く狭いところに入り込むので、チャンバ1内の圧力を低下させて密度を下げたり、基板3の温度を制御することにより、水素ラジカルH* を増加(互いに衝突しないようにする)させたり、実質的にTaで構成される金属層23a(図6参照)の深さを制御することができる。圧力の設定は、水素ラジカルH* がどれくらいの距離で衝突せずに進行するかの値である平均自由工程(MFP)を大きくすることで設定される。通常、プラズマの中心から基板3までの距離は装置により決まるため、平均自由工程を大きくするために、チャンバ1内の圧力を下げて制御する。支持台2が上下方向に移動可能な装置であれば、圧力を下げることなく支持台2を上昇させてプラズマ中心に対して基板3を接近させ平均自由工程を相対的に大きくすることも可能である。
上述した金属膜作製装置では、バリアメタル膜23が成膜された基板3が収容されるチャンバ1内に水素ガスプラズマを発生させ、水素ラジカルH* と窒素原子(N) と反応させてアンモニアNH3 を形成して排出する脱窒処理を施したので、実質的にTaで構成される金属層23a(図6参照)とTaN 層23b(図6参照)との二層構造のバリアメタル膜23の状態とすることができ、しかも、全体の膜厚を一層で構成された膜厚のままとすることができる。このため、バリアメタル膜23を厚くすることなく二層構造状態にして金属層23a(図6参照)によりCu薄膜16(図2参照)との密着性を保持することができ、TaN 層23b(図6参照)によりCuの拡散を防止することができる。このため、Cu薄膜16(図2参照)を基板3への拡散をなくして密着性よく成膜することができ、Cu配線プロセスを安定させることが可能になる。しかも、極めて効率よく脱窒処理を行なうことができる。
尚、還元性ガスとして水素ガスを例に挙げて説明したが、水素雰囲気が使用できない金属膜作製装置の場合、還元性ガスとして窒素ガスを使用することも可能である。この場合、窒素ガスプラズマを発生させることでN* とバリアメタル膜23の窒素原子(N) が反応し、N+N* →N2 となって排出される。窒素ガスを使用することで、還元性ガスの使用に制約があっても容易に脱窒処理を行なうことができる。
また、還元性ガスとして一酸化炭素ガスを使用することも可能である。この場合、プラズマを発生させることなくそのままの雰囲気でCOとバリアメタル膜23の窒素原子(N) が反応し、
2N+2CO→2NN+O2 となって排出される。一酸化炭素ガスを使用することで、プラズマを発生させることなく基板3の温度制御のみで脱窒処理を行なうことができ、消費電力の抑制が可能となる。
上述した第6実施例は、図7、図10、図11の第2実施例乃至第4実施例の金属膜作製装置に適用することが可能である。また、図12に示した第5実施例のバリア膜作製装置に適用することも可能である。また、第1実施例乃至第5実施例のArガスプラズマを発生させてAr+ で表面を平坦化する処理と、還元性ガスプラズマによる脱窒処理とを組み合わせることも可能である。この場合、Arガスと還元性ガスを混合してチャンバ1内に供給してもよいし、Arガスと還元性ガスををシーケンシャルに供給してもよい。
次に本発明の第3の実施形態例を説明する。第3の実施形態例では、TaN のバリアメタル膜に対して、シリコンを含有するガス(例えばシリコンの水素化物であるシラン:SiH4)プラズマにより表面のエッチングとシリコン原子の核の形成とを行なう処理を施したものである。異物ではないシリコンは金属に対して密着性がよく、表面にシリコン原子の核を形成することにより、バリアメタル膜の金属と成膜される金属との密着性を向上させることができる。これにより、効率よくしかも性能低下をなくして金属の拡散防止と金属との密着性を保持したバリアメタル膜が作製される。
尚、シリコンを含有するガスとしてはSiH4ガスの他に、ジシラン(Si2H6 )ガス、トリシラン(Si3H8 )ガスを適用することが可能であり、また、水素を使用することはできない場合には、SiCl4 ガス、SiH2Cl2 ガス、SiHCl3ガスを適用することが可能である。これらのガスは希ガスによって希釈して供給され、希釈比や流量を制御したりプラズマのパワーを制御することで、表面のエッチング深さとシリコン原子の核の大きさを制御することができる。
第3の実施形態例における具体的な装置構成としては、基板とTa製の被エッチング部材との間におけるチャンバ内にハロゲンを含有する原料ガス(例えば、塩素含有ガス)を供給し、チャンバの内部をプラズマ化して塩素ガスプラズマを発生させ、塩素ガスプラズマで被エッチング部材をエッチングすることにより被エッチング部材に含まれるTa成分と塩素ガスとの前駆体を生成すると共に、窒素を含有する窒素含有ガスを励起し、励起された窒素により前駆体との間で金属窒化物であるTaN を生成し、基板側の温度を低くしてTaN を基板に成膜させてバリアメタル膜とするバリアメタル膜作製装置を適用し、バリアメタル膜を作製した後にチャンバ内でシリコンを含有するガスであるSiH4ガスプラズマを発生させ、Siの結晶粒を形成する構成とすることが可能である。つまり、例えば、図12に示したバリアメタル膜作製装置を適用することが可能である。
また、第3の実施形態例における具体的な装置構成としては、チャンバ内に塩素ガスを供給し、チャンバの内部をプラズマ化して塩素ガスプラズマを発生させ塩素ガスプラズマで銅(Cu)製の被エッチング部材をエッチングすることにより被エッチング部材に含まれるCu成分と塩素との前駆体をチャンバの内部に生成し、基板の温度を被エッチング部材側の温度よりも低くして基板に前駆体のCu成分を成膜させる金属成膜装置を適用し、TaN のバリアメタル膜が成膜された基板を収容し、Cu成分を成膜する前に、チャンバ内でシリコンを含有するガスであるSiH4ガスプラズマを発生させ、Siの結晶粒を形成する構成とすることが可能である。つまり、例えば、図2、図7、図10、図11に示した金属膜作製装置を適用することが可能である。
第3の実施形態例における金属膜作製方法及び金属膜作製装置の実施例をCu−CVD104(図1参照)に備えた場合を例に挙げて説明する。
図15には本発明の第7実施例に係る金属膜作製装置の概念構成、図16にはSiの核の形成におけるバリアメタル膜の概念状況を示してある。尚、図示の金属膜作製装置は、図2に示した第1実施例の金属膜作製装置の概念構成であり、ノズル21から供給されるガスを異ならせたものである。このため、金属膜作製装置におけるCu薄膜の成膜に関しては同一であるので説明は省略してある。
図15に示すように、基板3の表面の上部におけるチャンバ1内にシリコンを含有するガスであるシランガス(SiH4ガス)を供給するシリコン含有ガス供給手段としてのシリコン含有ガスノズル28が設けられている。シリコン含有ガスノズル28から水素希釈のSiH4ガスを供給すると共にプラズマアンテナ9から電磁波をチャンバ1内に入射することで、水素希釈のSiH4ガスがイオン化されてSiH4ガスプラズマが発生するようになっている(表面処理プラズマ手段)。図示の金属膜作製装置に搬入される基板3の表面には、TaN のバリアメタル膜23(図4参照)が成膜されている。SiH4ガスプラズマを発生させることで、Siの結晶粒及びH2 となり、成膜されながらH2 のエッチング作用によりSiの結晶粒が基板3の表層に核として形成される。
SiH4ガスプラズマを発生させてSiの核の形成処理は、図2の第1実施例で説明したCu薄膜16を生成する前に実施される。即ち、TaN のバリアメタル膜23(図4参照)が成膜されている基板3が支持台2上に搬入されると、Cu薄膜16(図2参照)の生成に先立って、シリコン含有ガスノズル28から水素希釈のSiH4ガスを供給すると共に、プラズマアンテナ9から電磁波をチャンバ1の内部に入射してSiH4ガスプラズマを発生させる。尚、水素希釈のSiH4ガスの水素とSiH4との割合は、例えば、SiH4/水素≦5/100に設定される。希釈ガスとしては、水素に限らずアルゴン、ヘリウム、ネオン等その他の希ガスを適用することが可能である。
SiH4ガスプラズマを発生させると、
SiH4→Si+H2の反応により、
図16に示すように、成膜されながらH2 のエッチング作用によりSiの結晶粒がバリアメタル膜23の表層に核として形成される。Siの核の大きさは、プラズマの諸条件や水素希釈の比率、ガス流量等をを制御することで適宜制御することができる。尚、H2 のエッチング作用によりバリアメタル膜23の窒素原子(N) を除去して実質的にTaで構成される金属層23a(図6参照)とTaN 層23b(図6参照)との二層構造のバリアメタル膜23の状態とすることもできる。
SiH4ガスを水素希釈とすることで、Siの結晶性を向上させることができ核を形成しやすくなっている。異物ではないSiはTa及びCuに対して密着性がよく、バリアメタル膜23の表面にSiの核を形成することにより、バリアメタル膜23のTaと成膜されるCuとの密着性を向上させることができる。これにより、効率よくしかも性能低下をなくして金属の拡散防止と金属との密着性を保持したバリアメタル膜23が作製される。
上述した金属膜作製装置では、バリアメタル膜23が成膜された基板3が収容されるチャンバ1内にSiH4ガスプラズマを発生させ、Siの結晶粒をバリアメタル膜23の表層に核として形成するようにしたので、Ta及びCuに対して密着性をよくすることができる。このため、バリアメタル膜23を厚くすることなく密着性及び耐拡散性よく成膜することができ、Cu配線プロセスを安定させることが可能になる。
上述した第7実施例は、図7、図10、図11の第2実施例乃至第4実施例の金属膜作製装置に適用することが可能である。また、図12に示した第5実施例のバリア膜作製装置に適用することも可能である。また、第1実施例乃至第5実施例のArガスプラズマを発生させてAr+ で表面を平坦化する処理と、Siの結晶粒をバリアメタル膜23の表層に核として形成する処理とを組み合わせることも可能である。この場合、SiH4ガスをArガスで希釈することで共通のノズルを使用することができると共に、Arガスの流量を制御することで表面を平坦化する処理とSiの核の形成処理とを容易に切り換えて実施することができる。