JP2007278982A - 車両挙動制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 車両が連続走行している場合であってヨーレートセンサの零点補正を可能にすると共に、その零点補正の補正精度も高くすることを可能とする車両挙動制御装置を提供すること。
【解決手段】 この車両挙動制御装置CDは、停止中零点補正値と、走行中零点補正値との差分値に応じて、挙動制御を開始する制御開始閾値を設定する閾値設定部1bと、ヨーレートセンサの出力値が制御開始閾値を超えた場合に、車両の挙動制御を行う挙動制御部1cと、停止中零点補正値及び走行中零点補正値を算出する補正値算出部1aと、を備え、補正値算出1aは、ヨーレートセンサの電源が投入されてから第1の時間が経過した後、更に第2の時間が経過する間において車両が停止状態にある場合に、第2の時間におけるヨーレートセンサの出力値の平均値を停止中零点補正値又は走行中零点補正値として算出する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、ヨーレートセンサを用いて車両の挙動を制御する車両挙動制御装置に関する。
車両状態量のうちヨーレートは車両の左右方向の回転速度を表すものであり、旋回時の挙動制御を行うための状態量として用いられる。ヨーレートの測定に用いられるヨーレートセンサは、周囲の温度変化等によってその出力が変動する。そこで、停止中のヨーレートセンサ出力を用いて零点補正する手法が知られている。
例えば、下記特許文献1には、ヨーレートセンサの零点補正を行うものであって、車両が停止状態にある期間中にヨーレートセンサの出力を微分し、その微分値に基づいて車両の回動を検出し、車両の回動期間中ではヨーレートの零点補正を行わないようにする技術が開示されている。
特開平11−148828号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載された装置にあっては、例えば、車両の停止中でしかヨーレートセンサの零点補正が行えず、車両が連続走行している場合にはヨーレートセンサの零点補正が行えない。
一方、車両の走行中にヨーレートセンサの零点補正を行うとすると、補正頻度は高くできるものの、走行状態や路面状態などにより補正精度が悪くなる。
そこで本発明は、車両が連続走行している場合であってヨーレートセンサの零点補正を可能にすると共に、その零点補正の補正精度も高くすることを可能とする車両挙動制御装置を提供することを目的とする。
本発明の車両挙動制御装置は、ヨーレートセンサの出力値に応じて車両の挙動制御を行う車両挙動制御装置であって、車両の停止中におけるヨーレートセンサの零点補正をするための停止中零点補正値と、車両の走行中におけるヨーレートセンサの零点補正をするための走行中零点補正値との差分値に応じて、挙動制御を開始する制御開始閾値を設定する閾値設定手段と、ヨーレートセンサの出力値が制御開始閾値を超えた場合に、車両の挙動制御を行う挙動制御手段と、停止中零点補正値及び走行中零点補正値を算出する補正値算出手段と、を備え、補正値算出手段は、ヨーレートセンサの電源が投入されてから第1の時間が経過した後、更に第2の時間が経過する間において車両が停止状態にある場合に、第2の時間におけるヨーレートセンサの出力値の平均値を停止中零点補正値又は走行中零点補正値として算出する。
本発明によれば、停止中零点補正値と走行中零点補正値との差分値に応じて制御開始閾値を設定することにより、ヨーレートセンサの零点補正が適切に行われていないおそれのある場合に挙動制御に入りにくくし、不適切な挙動制御に入ることを抑制できる。また、ヨーレートセンサの電源が投入されてから第1の時間経過後の第2の時間において、車両が停止状態にある場合には、その第2の時間におけるヨーレートセンサの出力値の平均値を停止中零点補正値又は走行中零点補正値とするので、ヨーレートセンサの出力が安定した状態で零点補正値を得ることができる。
また本発明の車両挙動装置では、補正値算出手段は、ヨーレートセンサの電源が投入されてから第1の時間及び第2の時間が経過する前に車両が走行状態にある場合に、ヨーレートセンサの電源が投入されてから第3の時間が経過する間におけるヨーレートセンサの出力値の平均値を停止中零点補正又は走行中零点補正値として算出することも好ましい。
この好ましい態様によれば、ヨーレートセンサの電源が投入されてから第3の時間が経過する間におけるヨーレートセンサの出力値の平均値を停止中零点補正又は走行中零点補正値として算出するので、ヨーレートセンサの電源が投入されてから第1の時間及び第2の時間が経過しない早い段階で連続走行中となり正確な零点補正値が取得しにくい場合であっても、適切な挙動制御が行える。
また本発明の車両挙動制御装置では、補正値算出手段は、ヨーレートセンサの出力値の平均値を走行中零点補正値としてのみ算出することも好ましい。この好ましい態様によれば、ヨーレートセンサの平均値を走行中零点補正値としてのみ算出するので、より適切な制御開始閾値を設定することができ、適切な挙動制御が行える。
また本発明の車両挙動制御装置では、閾値設定手段は、差分値が大きいほど、制御開始閾値を高く設定することも好ましい。
この好ましい態様によれば、差分値に応じて制御開始閾値を変化させるので、ヨーレートセンサの零点補正が適切に行われていないおそれのある場合に挙動制御に入りにくくして不適切に挙動制御が行われることを抑制することができる。
本発明によれば、車両が連続走行している場合であってヨーレートセンサの零点補正が可能となり、その零点補正の補正精度も高くすることが可能となる。
本発明の知見は、例示のみのために示された添付図面を参照して以下の詳細な記述を考慮することによって容易に理解することができる。引き続いて、添付図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。可能な場合には、同一の部分には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
図1は本発明の実施形態に係る車両挙動制御装置CDのハードウェア構成の概要を示した図である。本実施形態に係る車両挙動制御装置CDは、車両に設置され、その車両の挙動状態を検出し、車両挙動を制御する装置である。
車両挙動制御装置CDには、ECU(Electronic Control Unit)1が設けられている。ECU1は、装置全体の制御を行う電子制御ユニットであり、例えばCPU、ROM、RAM、入力信号回路、出力信号回路、電源回路などにより構成される。
また、車両挙動制御装置CDには、マスタシリンダ圧力センサ2、スロットル開度センサ3及び車輪速センサ4が設けられている。このマスタシリンダ圧力センサ2、スロットル開度センサ3及び車輪速センサ4は、それぞれECU1と接続され、検出信号をECU1に入力する。マスタシリンダ圧力センサ2は、マスタシリンダの圧力を検出するセンサである。スロットル開度センサ3は、スロットルバルブのスロットル開度を検出するセンサである。車輪速センサ4は、車両の車輪速を検出するセンサであり、各車輪の車輪速を検出する。
また、車両挙動制御装置CDには、ヨーレートセンサ5、横加速度センサ6、前後加速度センサ7及び操舵角センサ8が設けられている。このヨーレートセンサ5、横加速度センサ6、前後加速度センサ7及び操舵角センサ8は、それぞれECU1と接続され、検出信号をECU1に入力する。ヨーレートセンサ5は、車両のヨーレートを検出するセンサである。横加速度センサ6は、車両の横方向の加速度を検出するセンサである。前後加速度センサ7は、車両の前後方向の加速度を検出するセンサである。操舵角センサ6は、ハンドルの操舵角を検出するセンサである。
また、車両挙動制御装置CDには、ブレーキアクチュエータ10及びスロットルアクチュエータ20が設けられている。このブレーキアクチュエータ10及びスロットルアクチュエータ20は、それぞれECU1と接続され、ECU1から出力される制御信号に基づいて作動する。ブレーキアクチュエータ10は、ブレーキ油圧を調整するアクチュエータであり、マスタシリンダとホイルシリンダを接続する油圧配管の途中に設置されている。
このブレーキアクチュエータ10は、例えば、油圧回路の接続を切り換えるソレノイド弁や油圧を上昇させるポンプ等を備えて構成され、各車輪のホイルシリンダに加わるブレーキ油圧を調整して各車輪にかかる制動力を調整可能とする。このブレーキアクチュエータ10としては、ホイルシリンダのブレーキ油圧を制御できるものであれば、いずれの構成、構造のものを用いてもよい。スロットアクチュエータ20は、スロットルバルブを開閉動作させるアクチュエータである。なお、この車両挙動制御装置において、スロットル開度センサ3及びスロットルアクチュエータ20を設けずに構成してもよい。
車両挙動制御装置CDは、ヨーレートセンサ5の零点補正を行う機能を備えている。すなわち、ヨーレートセンサ5の出力を検出し、その出力値を零点として設定し、所定周期で更新して、ヨーレートセンサ5の零点補正を行う。
引き続いて、本実施形態に係る車両挙動装置CDの機能的な側面について図2を参照しながら説明する。図2に示すように、車両挙動装置CDのECU1は機能的な構成要素として、補正値算出部1a(補正値算出手段)と、閾値設定部1b(閾値設定手段)と、挙動制御部1c(挙動制御手段)とを備えている。引き続いて、各構成要素について説明する。
補正値算出部1aは、ヨーレートセンサ5からの入力値に基づいて、停止中零点補正値及び走行中零点補正値を算出する部分である。より具体的には、補正値算出部1aは、ヨーレートセンサ5の電源が投入されてから(イグニッションオンされてから)時間T1(第1の時間)が経過した後、更に時間T2(第2の時間)が経過する間において車両が停止状態にある場合には、時間T2におけるヨーレートセンサ5の出力値の平均値を停止中零点補正値又は走行中零点補正値として算出する。
また補正値算出部1aは、ヨーレートセンサ5の電源が投入されてから時間T1及び時間T2が経過する前に車両が走行状態にある場合には、ヨーレートセンサの電源が投入されてから時間T3(第3の時間)が経過する間におけるヨーレートセンサ5の出力値の平均値を停止中零点補正値又は走行中零点補正値として算出する。補正値算出部1aは、算出した停止中零点補正値及び走行中零点補正値を閾値設定部1bに出力する。
ここで、時間T1、時間T2及び時間T3は、予めECU1に設定されている値である。時間T1は、ヨーレートセンサ5への電源供給が安定する時間に応じて設定され、本実施形態の場合は2秒程度である。時間T1は2秒程度以上の時間が好ましい。本実施形態の場合、時間T2及び時間T3は1秒程度に設定されている。尚、本実施形態の場合、時間T2及び時間T3は同じ時間に設定されているが、必ずしも同じ時間である必要はなく、異なる時間に設定されていてもよい。ただし、時間T3は時間T1よりも短い時間に設定されていることが好ましい。
閾値設定部1bは、車両の停止中におけるヨーレートセンサ5の零点補正をするための停止中零点補正値と、車両の走行中におけるヨーレートセンサ5の零点補正をするための走行中零点補正値との差分値に応じて、挙動制御を開始する制御開始閾値を設定する部分である。ここで、停止中零点補正値又は走行中零点補正値は補正値算出部1aにおいて算出された零点補正値が用いられる。また、差分値が大きいほど、制御開始閾値を高く設定することが好ましい。閾値設定部1bは、算出した制御開始閾値を挙動制御部1cに出力する。
挙動制御部1cは、車両が走行中にヨーレートセンサ5の出力値が閾値設定部1bにおいて設定された制御開始閾値を超えた場合に、ブレーキアクチュエータ10及びスロットルアクチュエータ20に制御信号を出力して車両の挙動制御を行う部分である。
引き続いて、本実施形態の車両挙動制御装置CDの動作について説明する。車両挙動制御装置CDは、車両状態を検出し、その車両状態に基づいて挙動制御開始条件が成立するか否かを判断し、挙動制御開始条件が成立したと判断した場合には挙動制御を開始する。例えば、操舵角、車速、車両のヨーレート、車両の横加速度の情報を各種のセンサの検出信号に基づいて取得し、それらの操舵角、車速、車両のヨーレート、車両の横加速度によって車両状態を検出する。そして、車両状態が所定の横滑り状態となったと判断した場合、車両の駆動力を低下させると共に、車両に所定の制動力を与えて車両の横滑りを抑制する挙動制御を行う。
また、この車両挙動制御装置CDは、ヨーレートセンサ5の零点補正処理を実行する。ヨーレートセンサ5の出力は、周囲温度の変化や経時変化などによってドリフトする。これにより、車両のヨーレートが0であるときのヨーレートセンサ5の零点出力値が変動する。零点補正処理は、車両が旋回走行していない場合のヨーレートセンサ5の出力値を零点出力値(零点補正値)として設定し、随時更新する処理である。
より詳細な車両挙動制御装置CDの動作について図3、図4、及び図5を参照しながら説明する。図3及び図4は、車両挙動制御装置CDの制御処理動作、特に制御開始閾値を設定し車両挙動制御を行う際の動作について示したフローチャートである。図3、4に示す制御処理は、例えば、イグニッションオンからイグニッションオフまでの間、ECU1(図1及び図2参照)によって所定時間(例えば、1秒)ごとに繰り返し実行される。
図5は、本実施形態の車両挙動制御装置CDを搭載した車両が走行した場合の車速、ヨーレート、差分値Ydif、及び制御開始閾値Thの関係を示した図である。図5の(a)は車速を、図5の(b)はヨーレートを、図5の(c)は差分値Ydifを、図5の(d)は制御開始閾値Thを示したものである。図5の横軸は時間軸である。尚、以下の説明においては、適宜図1及び図2を参照する。
まず、イグニッションオン(IGオン)されたか否かが判断される。イグニッションオンされていないと判断されたときには、制御処理を終了する(ステップS10)。イグニッションオンされたと判断されたときには、イグニッションオン後の経過時間tがカウントされる。より具体的には、イグニッションオン直後の初期値を0とし、t(n)=t(n−1)+1としてイグニッションオン後の経過時間tがカウントされる(ステップS12)。
続いて、停止中零点補正値YR0Sの初期値として、零点補正記憶値YR0MEMが設定される(ステップS14)。零点補正記憶値YR0MEMは、EEP−ROM、STANDBY−ROMといったイグニッションオフの状態であっても消えない領域に書き込まれた値である。零点補正記憶値YR0MEMは、通常、工場出荷時点で書き込まれる値である。
続いて、車輪速最大履歴値Vmaxを演算処理する(ステップS16)。より具体的には、車輪速センサ4が検出する右前輪車輪速VFR、左前輪車輪速VFL、右後輪車輪速VRR、及び左後輪車輪速VRLの最大値を初期値とする。続く車輪速最大履歴値Vmaxは、車輪速最大履歴値Vmax(n)としては、前回値である車輪速最大履歴値Vmax(n−1)と、今回計測値である右前輪車輪速VFR、左前輪車輪速VFL、右後輪車輪速VRR、及び左後輪車輪速VRLと、の最大値が出力される。イグニッションオンから車両が停止中である限り、車輪速最大履歴値Vmaxは0である。
続いて、ステップS12においてカウントされた経過時間tが時間T3より短いか、又は経過時間tが時間T2以上の長さで且つ時間T1と時間T2とを合わせた時間T1+T2よりも短いかが判断される(ステップS18)。より具体的には、経過時間tに相当するカウント値と時間T3(図5における時刻ta),T2(図5における時刻tb),T1+T2(図5における時刻tc)それぞれに相当する設定値との比較により判断される(以下において、経過時間t、時間T1、時間T2、時間T3等を比較する場合も同様である)。本実施形態の場合、時間T1は2秒、時間T2,T3は1秒として予めECU1(図1及び図2参照)において設定されている。尚、時間T1はヨーレートセンサ5への電圧供給が安定する時間に応じて設定されている。
ステップS18において、経過時間tが時間T3より短くなく、又は経過時間tが時間T1よりも短いか時間T1+T2より短くないと判断された場合には、経過時間tが時間T3であるか否かが判断される(ステップS20)。
一方、ステップS18において、経過時間tが時間T3より短いか、又は経過時間tが時間T1以上の長さで且つ時間T1と時間T2とを合わせた時間T1+T2よりも短いと判断された場合には、ヨーレートセンサ5(図1及び図2参照)の出力値YRの積算処理が行われる(ステップS22、図5において、イグニッションオンから時刻ta前、又は時刻tbから時刻tc前)。より具体的には、ヨーレート積算値YRA(n)として、ヨーレート積算値の前回値YRA(n−1)にヨーレート値YRを加算して行われる。
ステップS20において、経過時間tが時間T3でないと判断されたときには、経過時間tが時間T1+T2であり、かつイグニッションオンからの車輪速最大履歴値Vmaxが0であるか否かが判断される(ステップS24、図5において、時刻tc)。車輪速最大履歴値Vmaxが0であるときは、車両が停止中の状態であることを示している。
一方、ステップS20において、経過時間tが時間T3であると判断されたときには、ヨーレート積算値YRAの時間T3(T2)で除した値を走行中零点補正値YR0Mの初期値として設定する(ステップS26、図5において時刻ta)。そして、ヨーレート積算値YRAの値をリセットする。
ステップS24において、少なくとも経過時間tが時間T1+T2ではないか、又はイグニッションオンからの車輪速最大履歴値Vmaxが0でないと判断されたときには、後述するステップS28に移行する。
一方、ステップS24において、経過時間tが時間T1+T2(図5において時刻tc)であり、かつイグニッションオンからの車輪速最大履歴値Vmaxが0であると判断されたときには、前述したステップS26に移行する。
ステップS22及びステップS26の後、及びステップS24の所定の判断の後、車両が停止中であるか否かが判断される(ステップS28)。例えば、各車輪の車輪速センサ4におけるMAX値がゼロである場合に車両が停止中であると判断される。また、変速機のシフトレバーがP(パーキング)レンジに入っていることを検出して車両が停止中であると判断してもよい。
ステップS28において、車両が停止中でないと判断されたときには、走行中零点補正値YR0Mの演算条件が成立しているか否かが判断される(ステップS30)。
例えば、ヨーレートセンサ5(図1及び図2参照)の出力が所定の出力値より大きくなく、操舵角が所定の操舵角値より大きくない場合に、走行中零点補正値YR0Mの演算条件が成立していると判断される。また、横加速度が所定の横加速度値より大きいこと、左右の車輪速の差が所定値より大きくないことなどを演算条件の一部としてもよい。
ステップS30において、走行中零点補正値YR0Mの演算条件が成立していると判断されたときには、走行中零点補正値YR0Mの演算処理が行われる(ステップS32)。この走行中零点補正値YR0Mの演算処理は、車両の走行中におけるヨーレートセンサ5(図1及び図2参照)の出力値を走行中零点補正値YR0Mとして設定する処理である。例えば、ヨーレートセンサ5(図1及び図2参照)の出力値を所定時間間隔で複数回読み込み、その出力値の平均値を演算し走行中零点補正値YR0Mとして設定する。
一方、ステップS30において、走行中零点補正値YR0Mの演算条件が成立していないと判断されたときには、走行中零点補正値YR0Mの前回値保持処理が行われる(ステップS34)。この走行中零点補正値YR0Mの前回値保持処理は、前回演算した走行中零点補正値YR0Mを更新せずに保持する処理である。
ステップS28において、車両が停止中であると判断されたときには、停止中零点補正値YR0Sの演算条件が成立しているか否かが判断される(ステップS36)。例えば、ヨーレートセンサ5が故障していないこと、ヨーレートセンサ5の出力値が所定の出力値より大きくないことが演算条件として設定され、ヨーレートセンサ5が故障しておらず、ヨーレートセンサ5の出力値が所定の出力値より大きくない場合に停止中零点補正値YR0Sの演算条件が成立していると判断される。
ステップS36において、停止中零点補正値YR0Sの演算条件が成立していると判断されたときには、停止中零点補正値YR0Sの演算処理が行われる(ステップS38)。この停止中零点補正値YR0Sの演算処理は、車両の停止中におけるヨーレートセンサ5(図1及び図2参照)の出力値を停止中零点補正値YR0Sとして設定する処理である。例えば、ヨーレートセンサ5の出力値を所定時間間隔で複数回読み込み、その出力値の平均値を演算し停止中零点補正値YR0Sとして設定する。
一方、ステップS36において、停止中零点補正値YR0Sの演算条件が成立していないと判断されたときには、停止中零点補正値YR0Sの前回値保持処理が行われる(ステップS40)。この停止中零点補正値YR0Sの前回値保持処理は、前回演算した停止中零点補正値YR0Sを更新せずに保持する処理である。
ステップS32、ステップS34、ステップS38、及びステップS40の後、ヨーレートセンサ5(図1及び図2参照)における停止中零点補正値YR0Sと走行中零点補正値YR0Mとの差分値Ydifを演算する(ステップS42、図5の(c)参照)。
続いて、差分値Ydifが所定値A1を超えているか否かが判断される(ステップS44)。所定値A1は、ECU1(図1及び図2参照)に予め設定される設定値である。
ステップS44において、差分値Ydifが所定値A1を超えていると判断されたときには、制御開始閾値Thとして第一閾値Th1と第二閾値Th2を加算したもの(Th1+Th2)が設定される(ステップS46、図5の(d)参照)。
一方、ステップS44において、差分値Ydifが所定値A1を超えていないと判断されたときには、制御開始閾値Thとして第一閾値Th1が設定される(ステップS48図5の(d)参照)。
第一閾値Th1及び第二閾値Th2は、ECU1(図1及び図2参照)に予め設定される設定値であり、例えばそれぞれ正の値が設定される。これにより、差分値Ydifが所定値A1を超える場合には、差分値Ydifが所定値A1を超えない場合に比べて制御開始閾値Thが高く設定され、挙動制御に入りにくくすることができる。
ステップS46又はステップS48において設定された制御開始閾値Thを用いて、挙動制御処理が行われる(ステップS50)。挙動制御処理は、車両の挙動状態が制御開始閾値Thを超えた場合に車両の挙動状態を制御する処理である。例えば、車速と操舵角から推定される車両の推定ヨーレートとヨーレートセンサ5(図1及び図2参照)により検出される実ヨーレートとの差が制御開始閾値Thを超えた場合に、車両の制駆動力を制御することにより、車両挙動の安定化が図られる。
以上のように、本実施形態に係る車両挙動制御装置CDによれば、車両のイグニッションオンの際又はイグニッションオンから所定時間経過した時の停止中の零点出力を走行中零点補正値の初期値とし、この走行中零点補正値の初期値と予め設定された停止中零点補正値との差の絶対値に応じて制御開始閾値を設定している。
これにより、よりヨーレートセンサ5(図1及び図2参照)への電圧供給が安定した状態のヨーレートセンサ5の出力を用いて走行中零点補正値YR0Mの初期値を算出しているので、安定した車両の挙動制御を行うことができる。
図5に示すように、時刻tc以降においては、従来であればYR0Mが置き換わらず、制御開始閾値が高いままであったが、本実施形態の場合には時刻tcまでに車両が動いていないことを条件として、YR0Mを置き換えることができる。従って、差分値Ydifが所定値A1よりも小さくなり、制御開始閾値Thが第一閾値Th1となってより適切な挙動制御を行うことができる。尚、時刻tcまでに車両が動き始めた場合には、YR0Mを置き換えないので、制御開始閾値ThはTh1+Th2となる。
尚、本実施形態では、停止中零点補正値YR0Sと走行中零点補正値YR0Mとの差Ydifが所定値A1を超えた場合に制御開始閾値Thを高く設定して挙動制御に入りにくくしたが、停止中零点補正値YR0Sと走行中零点補正値YR0Mとの差Ydifに応じて制御開始閾値Thを設定してもよい。
例えば、図6に示すように、停止中零点補正値YR0Sと走行中零点補正値YR0Mとの差Ydifが大きくなるほど第二閾値Th2を大きくする制御マップを設定しておき、この制御マップを用いて第二閾値Th2を設定する。この場合、停止中零点補正値YR0Sと走行中零点補正値YR0Mとの差Ydifが大きいほど、制御開始閾値が高く設定され、挙動制御に入りにくくなる。これにより、不適切に挙動制御が行われることをより効果的に防止することができる。
本発明の実施形態に係る車両挙動制御装置の構成概略図である。 本発明の実施形態に係る車両挙動制御装置の機能ブロック図である。 図1の車両挙動制御装置における制御開始閾値設定処理のフローチャートである。 図3に続く、制御開始閾値設定処理のフローチャートである。 本実施形態の車両挙動制御装置を搭載した車両が走行した場合の車速、ヨーレート、差分値、及び制御開始閾値の関係を示した図である。 本発明の実施形態に係る車両挙動制御装置の変形例の説明図である。
符号の説明
CD…車両挙動制御装置、1…ECU、2…マスタシリンダ圧力センサ、3…スロットル開度センサ、4…車輪速センサ、5…ヨーレートセンサ、6…横加速度センサ、7…前後加速度センサ、8…操舵角センサ、10…ブレーキアクチュエータ、20…スロットルアクチュエータ。

Claims (4)

  1. ヨーレートセンサの出力値に応じて車両の挙動制御を行う車両挙動制御装置であって、
    前記車両の停止中における前記ヨーレートセンサの零点補正をするための停止中零点補正値と、前記車両の走行中における前記ヨーレートセンサの零点補正をするための走行中零点補正値との差分値に応じて、前記挙動制御を開始する制御開始閾値を設定する閾値設定手段と、
    前記ヨーレートセンサの出力値が前記制御開始閾値を超えた場合に、前記車両の挙動制御を行う挙動制御手段と、
    前記停止中零点補正値及び前記走行中零点補正値を算出する補正値算出手段と、を備え、
    前記補正値算出手段は、
    前記ヨーレートセンサの電源が投入されてから第1の時間が経過した後、更に第2の時間が経過する間において前記車両が停止状態にある場合に、前記第2の時間における前記ヨーレートセンサの出力値の平均値を前記停止中零点補正値又は前記走行中零点補正値として算出する、車両挙動制御装置。
  2. 前記補正値算出手段は、前記ヨーレートセンサの電源が投入されてから第1の時間及び第2の時間が経過する前に前記車両が走行状態にある場合に、前記ヨーレートセンサの電源が投入されてから第3の時間が経過する間における前記ヨーレートセンサの出力値の平均値を前記停止中零点補正又は前記走行中零点補正値として算出する、請求項1に記載の車両挙動制御装置。
  3. 前記補正値算出手段は、前記ヨーレートセンサの出力値の平均値を前記走行中零点補正値としてのみ算出する、請求項1又は2に記載の車両挙動制御装置。
  4. 前記閾値設定手段は、前記差分値が大きいほど、制御開始閾値を高く設定する、請求項1〜3のいずれかに記載の車両挙動制御装置。
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