以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
図1には、本発明に係るサンプル測定装置の好適な実施形態が示されており、図1はサンプル測定装置における測定部の構成を示す概略的な断面図である。本実施形態に係るサンプル測定装置は液体シンチレーションカウンタとして構成されている。もちろん、他の測定装置に本発明を適用することもできる。
テーブル10上にはラック12が載置されている。ラック12は図示されていないラック搬送機構によって搬送される。ラック12は複数の収容孔12Aを有しており、各収容孔12Aには容器が収容されている。容器13はサンプル容器であって、試験管あるいはバイアルなどであってもよい。容器13内には液体シンチレータが添加されたサンプル(溶液)が収容されている。ラック12に形成された各収容孔12Aの下部には開口部12Bが形成されており、その開口部12Bを介して後述する押上棒31を進入させ、処理対象となるサンプル容器13を下方から上方へ押し上げることが可能である。
本実施形態に係るサンプル処理装置は、上記のラック搬送機構の他、容器搬送機構14、中継案内機構16、測定ユニット18、下シャッタ機構20及び上シャッタ機構22を有している。測定ユニット18及び中継案内機構16は遮蔽体24内に収容配置されている。具体的には、遮蔽体24は、それぞれ遮光構造をなす上部28及び下部26を有しており、下部26の内部である下部空間26Aには中継案内機構16が設けられており、上部28の内部の空間である上部空間28Aには測定ユニット18が設けられている。ちなみに、遮蔽体24は例えば鉛などの放射線遮蔽部材によって構成されている。上部28と下部26との間には隔壁30が設けられ、下部26の下側には下部壁26Bが設けられている。
上記の容器搬送機構14は、容器13を昇降駆動するエレベータ機構である。容器搬送機構14は、上記の押上棒31を有し、押上棒31は具体的には外筒32とその内部に進退可能に設けられた中軸とによって構成されている。中軸の先端はヘッド33Aとなっており、そのヘッド33Aによって容器13を下方から上方へ突き上げることが可能である。中軸については後に図6等を用いて説明する。容器搬送機構14はテーブル10内に設けられているが、他の構成を採用することも可能である。
上記の中継案内機構16は、ラック12と測定ユニット18との間において容器13を中継的に案内する機構である。中継案内機構16は、昇降自在に設けられた下ガイド(中継案内部材)34を有している。具体的には、下ガイド34はフレーム36によって上下方向に運動可能に保持されており、また下ガイド34は昇降機構38によって上下方向に駆動される。フレーム36の中央部には上下方向に貫通する挿通孔が形成されており、その挿通孔を下ガイド34が通過することになる。
昇降機構38は、図1に示される例において、モータ42、第1ピニオン40A、第2ピニオン40B及びベルト44を有している。下ガイド34の所定側面には直線的に形成されたラック34Aが設けられており、第1ピニオン40A及び第2ピニオン40Bはラック34Aと係合する。すなわち、モータ42を正方向あるいは逆方向に回転させると、それに伴ってベルト44の作用により各ピニオン40A,40Bが回転し、それと噛み合っているラック34Aの作用によって下ガイド34が上方向又は下方向に運動する。
本実施形態において、下ガイド34は、静電気対策のために、導電性部材によって構成されており、例えばアルミニウムなどによって構成されている。下ガイド34は電気的に接地されている。下ガイド34は中空円筒形状を有しており、その上部及び下部にはそれぞれ開口が形成されている。よって、容器13は下ガイド34を通過することが可能である。下ガイド34の内径は容器13の外形に応じて適切に定められるのが望ましく、少なくとも容器13の外形よりも下ガイド34の内径を大きくし、特に、容器13がぐらつかない程度の内径とするのが望ましい。ただし、容器13としては各種のものが考えられ、容器13の形体に応じて下ガイド34及び後述する内ガイド(上ガイド)60等の形体を適宜定めるのが望ましい。また、複数種類の容器が対象となる場合にはその中で最も大きな容器の直径に適合したガイド部材を採用するのが望ましい。
次に、測定ユニット18について説明する。測定ユニット18は容器13が収容される測定室50を有している。具体的には、測定室50はブロック状のフレーム58の内部に形成されており、フレーム58の下部は筒状の形体を有している。測定室50の両側には一対の光検出器である一対の光電子増倍管(PMT)52,54が設けられている。本実施形態において、一対の光電子増倍管52,54はそれぞれの受光面52A,54Aを互いに対向させ、すなわち各受光面52A,54Aが測定室50に臨むように、配置されている。ここで、各受光面52A,54Aは測定室50の内部側へ膨らんだ凸球面形状を有している。ただし、各受光面52A,54Aの形状は平坦であってもよい。各受光面52A,54Aの形態を本実施形態のように凸球面状とすることにより、各受光面52A,54Aの先端部分を容器13により近接させることができ、後述する反射部材72の作用と相俟って、光検出感度を向上することが可能である。
測定室50内においては、内ガイド(上ガイド)60が上下動自在に収容されている。内ガイド60は内部案内部材として機能するものである。内ガイド60に対しては独立の駆動源は設けられておらず、後に詳述するように、下ガイド34が上方に運動した場合、その上端部が内ガイド60の下端部を突き上げることにより、当該内ガイド60が上方へ運動する。すなわち、上述した昇降機構38は、下ガイド34の駆動源として機能すると共に、内ガイド60の駆動源としても機能している。このように、単一の昇降機構を2つの駆動手段として利用することにより装置の構造を簡略化することができるという利点がある。
内ガイド60の内部にはキャップ部材62が設けられている。キャップ部材62は上昇してきた容器13のヘッドを包み込む部材であって、内ガイド60内において上下動自在に設けられており、また内ガイド60の上部開口から更に上方へ上昇して後述するホルダ部材70内に進入する。
キャップ部材62は、具体的には、容器13のヘッド部分を包み込む形態をもったキャップ本体64とキャップ本体64に結合した重り66とで構成される。重り66は容器13が最上端の位置から下方に運動する際に、それに伴ってキャップ部材62が円滑に下降するために設けられている。すなわち、ホルダ部材70にキャップ部材62が引っ掛かって落ちて来ない問題を防止するために設けられている。
なお、フレーム58の下端部は上述したように筒状の形態を有し、その内部の円筒形状の空間に内ガイド60が落とし込まれている。内ガイド60の基底位置はフレーム58の下端面に形成されたストッパによって定められる。同様に、キャップ本体64の基底位置も下端面に形成されたストッパによって定められている。それらのストッパについては図示省略されている。
フレーム58の上端部には円筒形状をもった筒部材68が設けられており、筒部材68はホルダ部材70を上下動自在に保持している。ただし、筒部材68は上記同様のストッパを有しており、ホルダ部材70の基底位置を定める。後に説明するように、キャップ部材62が容器13の上昇に伴って上昇すると、キャップ部材62において先細となった上端部がホルダ70の内部に進入し、両者が嵌合した状態が形成される。その状態から更にキャップ部材62が上昇すると、ホルダ部材70もそれに伴って上昇することになる。ホルダ部材70の内部には上方にかけて先細となった開口部が形成されており、その開口部の斜面がキャップ部材62の上端部に形成された斜面と接合することによって、キャップ部材62の水平方向の位置決めが行われることになる。
図2には、図1に示した測定ユニットが斜視図として示されている。フレーム58の下端部58Aは下方に突出しており、その内部には昇降可能に内ガイド60が収容されている。図2に示す例では、内ガイド60内に容器13が部分的に進入している。容器13のヘッドはキャップ部材62によって覆われており、容器13を上方へ運動させると、キャップ部材62もそれに伴って上方へ運動する。また上述したように中継案内部材としての下ガイドを上方へ運動させると、その上端部が内ガイド60の下端部を押し上げ、これによって内ガイド60は上方へ運動することになる。
フレーム58には、図においてY方向に一対の開口部58Bが形成されている。各開口部58Bには光電子増倍管の受光面の縁部分が接続される。図2においてはそれらの光電子増倍管については図示省略されている。ホルダ部材70は上述したようにその内部が開口部となっており、その開口部にはテーパー面としての斜面70Bが形成されている。またその下方にはストレート面70Aが形成されている。測定室内には、そこに収容される容器13の近傍であって一対の受光面の間に、一対の反射部材72が配置されている。この反射部材72は第1反射面72A及び第2反射面72Bを有しており、容器13から両側へ放出された光が各反射面72A,72Bによって反射され、それが一対の受光面に導かれる。これによって光検出感度を極めて向上することが可能である。これについては後に図11を用いて説明する。
内ガイド60には、その中間部分から上方にかけて一対のU字溝60Aが形成されている。より具体的には、Y方向の両側に一対のU字溝60Aが形成され、それらの内部はU字型開口74を構成している。また、内ガイド60における中間部分から上方にかけて、X方向の両側に一対のU字溝60Bが形成されている。各U字溝60Bはその内部がU字型開口76を構成している。U字溝60AとU字溝60Bとの間の残留部分は突出部60Cとなっている。
内ガイド60を上方へ運動させると、膨らみをもった一対の受光面が内ガイド60に衝突する可能性があるが、本実施形態においては一対のU字溝60Aが形成されているため、各受光面の先端部分は各開口74内に非接触で進入する。すなわち、各受光面への物理的な接触が防止されている。これにより、結果として、各受光面を、測定室内に位置決めされた容器13に近接させることが可能となる。また、内ガイド60を上方に運動させた場合、一対の反射部材72における中央の突出した部分が各開口76内に非接触で進入することになる。その結果、各反射部材72への物理的な接触が防止されている。これにより、各反射部材72を、測定室内に収容された容器13に近接させることが可能である。
後に説明するように、内ガイド60は、容器13を測定室へ送り込む際に容器13を包み込む作用を発揮する。すなわち、容器13の上昇と共に、内ガイド60も上昇することになり、容器13が倒れたりあるいはぐらついたりするような場合でも内ガイド60によってそのような動きを一定範囲内に制限して、容器13が測定室の内部に存在する各部材に直接的に接触することを防止できる。これによって、容器13あるいは測定室内の部材の物理的保護を図ることができると共に、結果として、各受光面等を容器13へ近接する配置を許容できることになる。
測定中においては、容器13のヘッドを保持したキャップ部材62とそれを保持するホルダ部材70との作用により、容器13の水平方向の位置決めが行えるため、容器13がぐらついたりすることはない。すなわち、測定中においては、上昇した内ガイド60が一旦下方の待機位置へ引き下げられる。これによって内ガイド60が存在することに起因する測定効率の低下といった問題を未然に防止することが可能である。もちろん、開口74,76を大開口として形成することにより、測定中においても内ガイド60を測定室内に残留させることも可能である。
内ガイド60は静電気対策のために導電性をもった樹脂部材等で構成するのが望ましい。上記の下ガイド34と同様に内ガイド60についても電気的に接地しておくのが望ましい。これに関しては後に詳述する。なお、図2において符号78は外部線源を挿入するための挿入孔を表している。そのような外部線源は測定ユニットを校正するような場合に用いられる。
図1に示した下シャッタ機構20及び上シャッタ機構22はラック12から測定室50までの容器の搬送通路上において、特に、中間ユニットとしての中継案内機構16(及び下部26)の下部開口から測定室50(及び隔壁30)の受入開口までの間で、遮蔽作用を発揮するものである。それぞれのシャッタ機構20,22は例えば開閉運動する複数のブレードを有しており、それらの複数のブレードによって搬送通路を閉じたり開いたりすることが可能である。本実施形態においては、後に詳述するように、少なくとも一方のシャッタ機構20,22が常に閉状態となるように制御されており、これによって測定室50内部への外来光の進入が確実に阻止されている。従来においては、1つのシャッタ機構のみが設けられており、そのシャッタ機構が開状態となる場合には、光電子増倍管を停止させたりあるいはその駆動電圧を引き下げたりする必要があったが、本実施形態においては各光電子増倍管の駆動電圧をそのまま維持することが可能である。これによって各光電子増倍管の動作の安定化を図ることができる。
図1は、ラック12に収容された容器13を測定室50内に送り込む初期段階を示しており、図示されるように下ガイド34が最下位置(受入位置)まで下降している。このような状態においては、図3に示されるように、下シャッタ機構20が開状態であり、上シャッタ機構22が閉状態となる。下シャッタ機構20は、上述したようにブレード80,82を有しており、それらは軸84,86を中心に回転運動を行う。各ブレード80,82には、U字型をした溝80A,82Aが形成されており、一対のブレード80,82を閉動作させると一対の溝80A,82Aが互いに近接運動し、その結果として上述した押上棒における外筒32(図1)を挟み込むことができる。すなわち外筒32の周囲を光学的に遮蔽することが可能である。上シャッタ機構22は、一対のブレード88,90を有しており、それらは軸92,94を中心として開閉運動を行う。上シャッタ機構22においては、下シャッタ機構20において説明したような溝は設けられていない。
図1において、上述した中継案内部材としての下ガイド34は、ラック12から容器13を測定室50へ上昇運動させる場合において、特に、ラック12と測定ユニット18との間の中間的な経路において、容器13が不必要に構造体に衝突してしまうことを防止する作用を発揮する。すなわち、容器13を押上棒31によって単純に下から突き上げると、容器13は水平方向に倒れ込む可能性があり、場合によっては容器13の肩部が遮蔽体24に衝突したりあるいはそのようなことを原因として容器30を破損させたりしてしまう問題が生じ得る。そこで、本実施形態においては、そのような中間的な経路において上下運動する下ガイド34を設けたので、容器13の上昇に伴って下ガイド34を上昇させ、また、容器13の下降に伴って下ガイド34を下降させることにより、下ガイド34内に容器13を収容して容器13が他の部材と直接的に接触することを効果的に防止することができる。下ガイド34の上下方向の長さは、少なくとも容器13を収容する大きさとされており、また下シャッタ機構20と上シャッタ機構22の間の空間に収まる長さとして定められている。これにより、2つのシャッタ機構20,22の間に容器13を収容して下ガイド34を位置決めした状態で2つのシャッタ機構20,22を共に閉状態とすることが可能となる。つまり一方のシャッタ機構を開状態とする前の状態を形成することが可能となる。
次に、図4及び図5を用いて本実施形態に係るサンプル測定装置の動作の一例を説明する。図4及び図5において、(A)は図1に示した押上棒31を有する容器搬送機構14の動作を表しており、(B)は図1に示した中継案内機構16の動作を表しており、(C)は図1に示した下シャッタ機構20の動作を表しており、(D)は上述した上シャッタ機構22の動作を表しており、(E)は図1に示した測定ユニット18の動作を表している。
S101においては、次のような状態が構築される。すなわち、押上棒31は最下位置に位置決めされ、下シャッタ機構20は開状態とされ、上シャッタ機構22は閉状態とされ、測定ユニット50においては内ガイド60が基底状態とされる。これが初期状態となる。S102においては、図1に示したように、下ガイド34がラック12方向に引き下げられ、下ガイド34が最下位置へ位置決めされる。
S103においては、押上棒31が上方へ駆動され、これによって対象となる容器13が上方に上昇する。これと連動して下ガイド34も上方に駆動される。この場合において、容器13の上昇速度と下ガイド34の上昇速度はそれぞれ独立に定めることができ、それらは同一であってもよいし、互いに異なるものであってもよい。また上昇の開始タイミングについてもそれぞれ独立に定めることが可能である。一般的には、図1に示すように、最下位置にある下ガイド34内に容器13が完全に収容された時点をもって容器13と一緒に下ガイド34を上方へ上昇させるようにするのが望ましい。
S104においては、図6に示すように、下シャッタ機構20と上シャッタ機構22との間の中間的な経路に容器13及び下ガイド34が進入した時点をもって、図1に示した押上棒31及び下ガイド34の上昇が停止する。具体的には、外筒32の先端部が前記中間的な経路内に進入した時点で、外筒32及び中軸33の上昇が停止する。この場合、外筒32の停止に遅れて中軸33を停止させてもよい。外筒32の先端部の構造については後に図14を用いて説明する。中軸33の上昇停止と共に下ガイド34の上昇もいったん停止する。S105では、図7に示すように下シャッタ機構22が閉動作する。これにより測定室から見て二重遮光状態が形成される。
その後のS106では、上シャッタ機構22だけが開動作し(図9参照)、更にS107においては、押上棒21の内で中軸33だけが上昇して、それに伴い下ガイド34が上昇し、更に、以下に図8を用いて説明するように、下ガイド34の上端部が内ガイド60の下端部に当接し、内ガイド60を上方に押し上げる。すなわち、測定ユニット18内において測定室50に向かって内ガイド60が上昇する。ここで、S104〜S107で、容器13の上昇過程において、下シャッタ機構20と上シャッタ機構22との間の中間的な経路に容器13及び下ガイド34が進入した時点で、押上棒31及び下ガイド34の上昇を停止させずに、下シャッタ機構20を自動的に閉動作させ、下シャッタ機構20の閉動作後、上シャッタ機構22を自動的に開動作するようにしてもよい。
S108においては、容器13が上昇端に位置した場合に容器13の上昇が停止し、これによって容器13が測定室50内における測定位置に位置決めされることになる。ちなみに、その測定位置は容器13内に含まれている液量などによって適宜定めることが可能であり、また容器の形態などに応じて適宜定めるのが望ましい。
また、S108においては、容器13の上昇停止と同時に、またはそれに前後して図8に示されるように、下ガイド34の上昇が停止し、これに伴い内ガイド60の上昇も停止する。すなわち内ガイド60が最上位置に一旦位置決めされることになる。ちなみに、測定ユニット18内においては、容器13の上昇に伴って、容器13のヘッドにキャップ部材62が係合し、そのキャップ部材62が上昇運動すると、キャップ部材62がホルダ部材70内に収容されることになる。そして容器13の上昇に伴い、キャップ部材62及びホルダ部材70が上昇運動し、容器13の上昇が停止した時点でそれらの部材62,70の上昇運動も停止する。その状態では、キャップ部材62及びホルダ部材70によって容器13の水平方向の位置が適正に維持されることになる。
S109では、容器13の位置決めが完了した後、下ガイド34が下降運動する。これに伴って内ガイド60も下降運動する。そして、下ガイド34及び内ガイド60は待機位置(退避位置)に向かうことになる。すなわち測定室50内に内ガイド60をそのまま残留させると、それによる光遮蔽作用が無視できないことから、内ガイド60を下方に引き出して測定感度の向上を図るものである。S110においては、上述したように下ガイド34及び上ガイド60の下降が停止され、それが待機位置に位置決めされる。
S111においてはサンプルに含まれる放射性物質の測定が所定時間実行される。その状態が図10及び図11に示されている。図11においては、各反射部材72が上方から見て二等辺三角形の断面を有する部材として示されている。容器13に対してはそれぞれの光電子増倍管52,54の受光面が近接しており、また図11に示されるように、一対の反射部材72の作用によって、容器13の左右方向(すなわちX方向)に放射された光がそれらの反射部材72によって反射されて各受光面52A,54Aに導かれている。これによって従来よりも測定感度を著しく向上することが可能となる。上述したように、キャップ部材62及びホルダ部材70の作用によって容器13の位置は維持されており、内ガイド60が測定室内に存在していなくても容器13に対して周囲の部材が接触することはない。
図5に移って、測定終了後のS112においては、待機位置にある下ガイド34が上方へ駆動され、これに伴い内ガイド60も上方へ駆動されることになる。S113では下ガイド34の上昇が停止され、これに伴い内ガイド60も測定室50内において、適正に位置決めされる。すなわち、内ガイド60の内部に容器13を再度収容した状態が形成される。
S114においては、中軸33を下降させることにより、容器13が下降運動する。その状態が図12に示されており、容器13の下降に伴い、下ガイド34も下方へ駆動され、それと一緒に内ガイド60も下降運動する。そして、S115においては下ガイド34の上に載せられていた内ガイド60がストッパによって保持されることになり、すなわち内ガイド60が下ガイド34から分離した状態となる。その状態では内ガイド60は基底状態に位置決めされる。
S116において、図13に示すように、下シャッタ機構20と上シャッタ機構22との間に下ガイド34及び容器13が収容され、中軸33が外筒32内に完全に収容された時点をもって、押上棒31の中軸33及び下ガイド34の下降が停止する。そして、S117では、上シャッタ機構22が閉動作する。S118では、下シャッタ機構20が開動作する。そして、S119においては押上棒31の全体が下降し、それに伴い、下ガイド34も下降する。ここで、S116〜S118で、容器13の下降過程において、下シャッタ機構20と上シャッタ機構22との間に容器13及び下ガイド34が進入した時点で、押上棒31の中軸33及び下ガイド34の下降を停止させずに、上シャッタ機構22を自動的に閉動作させ、上シャッタ機構22の閉動作後、下シャッタ機構20を自動的に開動作するようにしてもよい。
S120においては、下ガイド34が下方端に到達した時点でその運動が停止する。S121においては、容器13がラック12上に戻される。そのような段階において、必要であれば、下ガイド34が上昇駆動されて次の容器を受け入れるために待機位置へ位置決めされる。S122では、押上棒31の下降が完全に停止する。その後、S101の工程へ戻って、次の容器に対する処理が繰り返される。
ちなみに、容器13及び下ガイド34を下降運動させる場合においては、それぞれの下降速度を独立に定めることができる。例えば測定室50から中間的な位置までは両部材を同じ下降速度で運動させ、ある地点からそれらの下降速度を異ならせるようにしてもよい。
上記の実施形態においては、測定ユニット18とラック12との間の中間的な経路上において中継案内部材としての下ガイド34が設けられており、その下ガイド34によって上昇あるいは下降する容器13を収納することが可能であるので、容器13の倒れ込みに起因する問題を未然に防止できるという利点がある。また、二重シャッタ構造を採用したため、測定室50内に進入する外来光を確実に阻止することができ、これによって光電子増倍管へのダメージを防止して、その駆動電圧を一定に維持し続けることが可能となる。
更に、測定ユニット18においては、昇降運動する内ガイド60内に容器13を収容してそれを上昇運動あるいは下降運動することが可能であるので、測定室50の内面あるいは構造体に容器13が不必要に接触してしまうという問題を未然に防止できる。特に、測定中においてもキャップ部材62等によって容器13の位置決めを図ることができるので
、容器13の側面が不必要に受光面に接触して受光面を傷つけてしまうことを未然に防止することができる。このことは結果として受光面を容器13により近接することが可能であるということを意味する。
本実施形態においては、測定室内に一対の反射部材72が設けられているため、上記のような受光面の近接配置と相俟って、光測定効率を高めることができ、これによって高感度測定を実現できるという利点がある。また上記実施形態においては、下ガイド34の駆動源を内ガイド60の駆動源と共用したため、装置の機構を簡略化できるという利点がある。また内ガイド60のための専用の制御部を設けなくてもよいという利点がある。
図14には、押上棒31の部分的な拡大図が示されている。上述したように、押上棒31は、外筒32とその内部に挿通された中軸33とを有する。外筒32の先端部(上端部)32Aには、図示されるように、2つの溝32B及び32Cが形成されている。各溝32B,32Cはリング状の溝であって、小径部を構成する。上述したように、下シャッタ機構は2つのブレードを有しており、2つのブレードが2つの溝32B,32Cに係合する。そのような係合状態においては、外筒32の周囲において完全な遮光状態が形成される。本実施形態においては、以上のように押上棒31を外筒32と中軸33とで構成し、外筒32に上述した遮光用の構造を設けることにより、下シャッタ機構の作用と相俟って遮光性を極めて向上することが可能である。また、その遮光状態においても、中軸33を何らの拘束も受けることなく上下動させることが可能である。
次に、図15及び図16を用いて測定ユニット内に設けられた除電手段について説明する。図15には、遮蔽体における上部28内の構造が示されており、基本的な構成は図1等に示したものと同様である。ただし、図15に示す例においては、キャップ部材100が銅などの導電性部材によって構成されており、キャップ部材100の主要部を構成する本体100Aの上面には上方に突出した端子100Bが形成されている。上述したように、このキャップ部材100はサンプル容器のヘッドを収容する部材である。
一方、上部28の天井面には除電部材102がぶら下がった状態で配設されている。除電部材102は図示されるようにスプリング形状をもったバネ部材であり、それは導電性の部材によって構成される。除電部材102の上端部は上部28における天井面28Aに固定されており、その下端部には端子102Aが設けられている。図示されるように、その端子102Aは、除電部材102が伸長している自然な状態において、筒状部材の内部に入り込んだ位置に位置決めされている。ちなみに、筒状部材は銅などの金属によって構成され、その内部に上下動自在に設けられるホルダ部材は樹脂などによって構成される。
図16には、サンプル容器13を上昇端まで上昇させた状態が示されている。サンプル容器13のヘッドがキャップ部材100に収容されており、そのキャップ部材100と除電部材102とが物理的にかつ電気的に接続されている。除電部材102はキャップ部材100が上方へ運動した結果として圧縮された状態におかれている。その状態では除電部材102とキャップ部材100とがそれぞれ有する端子が互いに接触し、これによって導通状態が形成される。
このような構成によれば、サンプル容器13が帯電したとしていても、そこに蓄積された電荷をキャップ部材100及び除電部材102、更には銅などによって構成される遮蔽部材を介して、外部に逃がすことが可能である。本実施形態において遮蔽部材が接地されており、静電気によってサンプル容器13に帯電が生じても、それを解消することが可能となる。しかも、そのような除電はサンプル容器13を上方へ運動させるだけで行うことができ、簡易な機構によって効果的な除電を行える。また除電部材102がスプリング状の部材として構成されているため、サンプル容器13の上昇運動を除電部材102が妨げることはない。またその弾性作用によって2つの端子の確実な接触を確保できるという利点がある。更に、除電状態においては除電部材102は圧縮された状態におかれており、サンプル容器13を下方に運動させる際にはキャップ部材100に対して下方への落とし込み力を自然に発生することができるという利点がある。
ちなみに、除電手段としては、上記のような除電部材102には限られず他の構成を用いることも可能である。例えば、符号104に示されるようなフレーム内面に導電性ブラシを設け、その導電性ブラシをサンプル容器13あるいは導電性部材で構成された内ガイド等に接触させ、これによって除電を行うようにしてもよい。その場合においては、測定ユニットにおけるフレームを接地すればよい。
本実施形態に係るサンプル処理装置においては、上述したように遮蔽体の下部空間において除電を行えると共に、その上部空間においても除電を行うことができ、そのような一連の過程において効果的な除電を行って、放射線測定時におけるノイズ発生を防止できると共に、光検出器の保護を図れるという利点がある。ちなみに、金属同士が擦り合うと金属粉の発生が生じ易く、そのような金属粉が測定に悪影響を与えることも考えられるため、接触する可能性がある2つの部材の内で一方を金属部材とする場合においては他方を樹脂部材として構成するのが望ましい。なお、サンプル容器13は例えば樹脂あるいはガラスなどによって構成されるものである。
次に、図17〜図20を用いて、図1等に示した容器搬送機構14について具体的な構成例を説明する。図17には、押上棒31が最下位置に位置決めされている状態が示されている。図示される容器搬送機構14は上述したように押上棒31のエレベータ機構に相当するものである。押上棒31は外筒32と中軸とで構成され、図17においては中軸の上端部33Aが現れている。容器搬送機構14は、外筒駆動機構111と中軸駆動機構132とを有する。まず外筒駆動機構111について説明すると、当該機構111は、モータ116、プーリー118、ワイヤ120、プーリー122A,122B等を有している。外筒32の下端部にはブロック112が固定的に連結されており、ブロック112にはクランプ112Aによってワイヤ120が連結されている。
ワイヤ120は2つのプーリー122A及び122Bに巻回されており、かつ、その途中部分においてプーリー118に巻回されている。プーリー118の回転軸はモータ116に連結されている。このような構成により、モータ116を動作させると、プーリー118が回転し、その結果としてワイヤ120が循環運動を行う。これによってブロック112を上下方向に運動させて、外筒32を昇降運動させることが可能である。
次に、中軸駆動機構132について説明する。中軸駆動機構132は、フレキシブルシャフト130、プーリー134、プーリー138、リニアレール部材140などを有している。フレキシブルシャフト130において、符号130Aは中軸への連結端を示しており、符号130Bは直線部分を示しており、符号130Cは外端部を示している。
フレキシブルシャフト130は、その軸方向に伸縮せず、かつそれと直交する方向に屈曲自在な部材である。フレキシブルシャフト130の案内経路について説明すると、フレキシブルシャフト130は、中軸の下端部から連結端130Aを経由してプーリー134によってx方向に屈曲された上でz方向に導かれており、更にプーリー138によってy方向に導かれている。リニアレール部材140に形成されたリニア溝140A内に直線部分130Bが収容されている。リニア溝140A内において外端部130Cはフレキシブルシャフトの運動位置すなわち、中軸の上下方向の位置に応じて運動し、その運動経路には本実施形態において第1検出器142、第2検出器144及び第3検出器146が設けられている。それらの検出器はストローク検出手段を構成する。すなわちそのようなストローク検出手段によって中軸の上昇位置を間接的に検出することが可能である。各検出器142,144,146から出力される検出信号は図示されていない制御部に出力される。制御部はそれらの信号に基づいて中軸駆動機構132及び外軸駆動機構111を制御する。ちなみに、本実施形態においては、上述したようにフレキシブルシャフト130はxz平面上において屈曲された上で、zy平面内において屈曲されているが、屈曲の個数及び方向については任意に設定することが可能である。すなわち、本実施形態においてはフレキシブルシャフト130を利用したため、装置内における空きスペースを有効活用でき、これにより当該スペースに収納可能なようにフレキシブルシャフト130の案内経路を設定すればよい。このような構成によれば、押上棒31の直下に大きな機構スペースを設ける必要がないので、装置の規模を小さくできるという利点がある。
図18には、押上棒31が途中まで引き出された状態が示されている。この状態は上記の図6に示した状態に対応するものである。この状態では、外端部130Cが第2検出器144の設置位置に達している。また、図19には、中軸33が最上位置まで到達した状態が示されている。その状態では外端部130Cが第3検出器146の位置まで達している。ちなみに、図18及び図19においてリニアレール部材140については部分的に切り欠かれて表されている。上記のような3つの検出器142,144,146を用いてフレキシブルシャフト130の外端部の位置を検出あるいは確認することにより、中軸33の上昇位置を的確に把握することが可能である。すなわち、フレキシブルシャフト130を用いれば上述したように空きスペースを有効活用できると共に、中軸の上昇位置を確実にモニタリングできるという利点がある。
図20には、3つの検出器の内で、第2検出器144が示されている。他の検出器も基本的に同様の構造を有している。フレキシブルシャフト132の外端部132Cには水平方向に伸長した軸が設けられており、その軸の端部がピン150を構成している。ピン150は第2検出器144に形成されたスリット144A内を非接触で通過する。スリット144Aの両側において発光及び受光を行うことにより、すなわちスリット144Aを通過するように光ビームを形成することにより、ピン150の存在あるいは通過を光学的に検出することが可能である、
すなわち、本実施形態において、ピン150は中軸の上昇位置を検出するためのマーカーとして機能している。本実施形態においては3つの検出器が配置されているが、もちろんそれ以上の個数の検出器を配置するようにしてもよい。あるいはフレキシブルシャフト130の位置に応じて抵抗値が変化する機構を設け、そのような機構を用いて中軸の位置を検出するようにしてもよい。図20に示されるように、ピン150に連なる軸にはローラー152が設けられており、そのローラー152は自在に転動し得る部材である。ローラー152の外表面はリニアレール部材140に形成されたレール面140Bに当接しており、すなわち外端部132Cが進退運動する場合において、ローラー152がレール面140B上で転がり運動を行う。これによって、外端部132を円滑に運動させることが可能となる。ローラー152は必要に応じて設ければよく、いずれにしても、フレキシブルシャフト132がその案内経路に沿って円滑に運動できるように構成するのが望ましい。
10 テーブル、12 ラック、13 容器、14 容器搬送機構、16 中継案内機構、18 測定ユニット、20 下シャッタ機構、22 上シャッタ機構、24 遮蔽体、31 押上棒、34 下ガイド、38 昇降機構、50 測定室、52,54 光検出器(光電子増倍管)、60 内ガイド、62 キャップ部材、70 ホルダ部材、102 除電部材。