JP2007278457A - 可変容量ポンプの制御方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】エンジンで駆動され、且つ、外部からポンプ吐出量の調整可能な可変容量ポンプに、複数のアクチュエータ1をクローズドセンター型方向制御弁4を介して接続し、前記各クローズドセンター型方向制御弁の操作量に基づく前記アクチュエータ流量の合計値を、可変容量ポンプ2から吐出するように構成された油圧回路において、クローズドセンター型方向制御弁が、センターバイパス型の方向制御弁の代わりとなるように、電気的演算により可変容量ポンプを制御すると共に、前記アクチュエータの上流側に圧力補償弁3を設け、圧力補償弁は、アクチュエータの負加圧が所定圧以下の場合に、アクチュエータへの流体量を制御し、所定圧以上では可変ポンプの制御特性により制御する。
【選択図】図1
Description
この油圧回路において、複数のアクチュエータを同時に操作すると、負荷の最も軽いアクチュエータに可変容量ポンプの吐出量の全量が流入してしまう傾向がある。そのため、アクチュエータを操作する者は、微妙に前記各方向制御弁のメータイン開口面積を調節し、所要の複合速度が得られるように操作する必要があった。
即ち、本発明の可変容量ポンプの制御方法は、請求項1に記載の通り、エンジンで駆動され、且つ、外部からポンプ吐出量の調整可能な可変容量ポンプに、複数のアクチュエータをクローズドセンター型方向制御弁を介して接続し、前記各クローズドセンター型方向制御弁の操作量に基づく前記アクチュエータ流量の合計値を、前記可変容量ポンプから吐出するように構成された油圧回路において、前記クローズドセンター型方向制御弁が、センターバイパス型の方向制御弁の代わりとなるように、電気的演算により可変容量ポンプを制御すると共に、前記アクチュエータの上流側に圧力補償弁を設け、前記圧力補償弁は、前記アクチュエータの負加圧が所定圧以下の場合に、前記アクチュエータへの流体量を制御し、所定圧以上では可変ポンプの制御特性により制御するようにしたことを特徴とする。
また、請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載の可変容量ポンプの制御方法において、前記圧力補償弁の上流側に減圧弁を設け、前記アクチュエータに流入する流体圧を制限したことを特徴とする。
また、請求項3に記載の本発明は、請求項2に記載の可変容量ポンプの制御方法において、前記アクチュエータに対する操作入力値に対して、前記クローズドセンター型方向制御弁の仮想のブリードオフ管路面積を求め、前記可変容量ポンプ吐出量の全量がセンターバイパス通路を通じてタンクラインへ排出されるとして算出された圧力を、前記減圧弁の設定値として、前記アクチュエータに流入する流体圧を制限したことを特徴とする。
また、本発明によれば、配管は極めて簡略化される。更に、クローズドセンター型方向弁の各セクションは切離し可能であり、それらの間も一本の配管でデイジーチェイン式に繋げれば良くなる。また、パイロット配管を必要としない。また、ポンプのコントローラと操作系コントローラ、クローズドセンター型方向弁駆動系は切離し可能であり、システムの分散化度が高い。また、クローズドセンター型方向制御弁が分離可能なことで、クローズドセンター型方向弁のサイズをアクチュエータ毎に選択可能となる。
また、クローズドセンター型方向制御弁のストロークは、電子制御によりなされるから、アンチサチュレーション機能は電気的に達成される。また、2ポンプシステムに必要な合流機能も不要となる。
また、複合操作の状況により、各セクションに付与される仮想ブリードオフ特性を変え、更にクローズドセンター型方向弁のストロークを変えれば、コントローラ内で仮想ブリードオフ制御特性計算に用いられる、操作入力に対応した計算上のセンターバイパス通路面積(以下、仮想ブリードオフ管路面積)と実在のクローズセンター型方向制御弁のメータイン管路面積の関係は変化させることができ、より、詳細な特性もったシステムを構築できる。
図1は、複数の油圧アクチュエータ1の作動を制御する油圧ショベル等に適用される油圧回路を示し、これらのアクチュエータ1は駆動モータにより駆動される可変容量ポンプ2の吐出管路において、圧力補償弁3及びクローズドセンター型方向制御弁4を介して接続されている。尚、可変容量ポンプ2は斜板等のポンプ容量制御機構5に圧力閉ループ制御機能を備えたアキシャルピストンポンプ等の公知のものである。
各アクチュエータ1は、ジョイスティックやレバー等の操作入力装置6からの操作入力値を、操作系コントローラ7により検出し、電磁比例ソレノイド等により構成される方向制御弁駆動装置8を介して、クローズドセンター型方向制御弁4により、その方向が切り換えられる。
尚、本明細書において、仮想ブリードオフとは、クローズドセンター型方向制御弁4を、センターバイパス型の方向制御弁とした場合のセンターバイパスを通過して油(流体)が仮想的に流れることをいうものとする。
図2において、仮想ポンプ吐出量と実ポンプ吐出量(≒実際のアクチュエータ流量)に基づいて仮想ブリードオフ流量が演算され、この演算された仮想ブリードオフ流量と操作量を基に吐出圧が定められた可変容量ポンプ2を、仮想ブリードオフポンプ2として記載し、上記操作入力装置6、操作系コントローラ7及びポンプ・コントローラ9を省略している。
図中Qaは実際のアクチュエータ流量、Qbは仮想ブリードオフ流量、Qpは仮想ポンプ吐出量である。また、Abは仮想のブリードオフ管路面積、Avはクローズドセンター型方向制御弁4のメータイン管路開口面積である。また、Paはアクチュエータの負荷圧、Pcは圧力補償弁3とクローズドセンター型方向制御弁4との間の管路の圧力、ΔPはPc-Pa、ΔP0は圧力補償弁3の制御開始圧を示す。尚、この制御開始圧は、油圧回路の目的に応じて適宜設定することができるものである。
Qp、Qb及びQaには次の関係がある。
Qp=Qb+Qa・・・(1)
圧力補償弁3による制御を行わない場合、即ち、圧力補償弁3を完全に開状態とさせるための条件は、
ΔP≦ΔP0・・・(2)
であるため、オリフィスの流量係数をCとし、Q=CA√Pの関係式に基づき、(2)式を変形すると、
また、圧力補償弁3による制御を行う条件は、(3)式の不等号が逆向きとなり、
Qpは、(1)式に従い、QaとQbに分流されるが、その割合は、操作入力により決定されるAb及びAv、並びに外部負荷の大小で決定され、Ab及びAvを適宜設定することにより、圧力補償弁3による制御を行わないか((3)式)、圧力補償弁3による制御を行う((4)式)ようにすることができる。
ΔP=ΔP0=Pc−Pa・・・(5)
の状態にあるとき、圧力補償弁3は全開であり、通過抵抗を0とみなすと、Pb=Pcとすることができ、(5)式は次のように変形することができる。
Pb=Pa+ΔP0・・・(6)
となる。この時、Paが(4)式を満足する特定の状態の時であって、ポンプ2の仮想ブリードオフ制御演算による制御がアクチュエータ1の制御に有効であり、且つ、圧力補償弁3による制御開始の直前にある状態の時であるといえる。
この時のPaをPa0、PbをPb0とし、更に、
Pb=Pa+ΔP・・・(11)
になる。これによって、オペレータはロードフィーリングを感じながら、加重調整を行える。
逆に、Pa≦Pa0になれば、Qbが減少し、Qaが増加して、ΔP>ΔP0となるため、圧力補償弁3は全開から制御状態の方に移行し、アクチュエータ1はポンプの仮想ブリードオフ制御特性ではなく、圧力補償弁3によりAvに基づく流量で制御される。この時、図3及び下記式で示されるようにAvに直線的になる(比例する)。
複合動作することにより、コントローラ7内で重ね合わされる仮想ブリードオフ管路の合成開口面積Abxは、
最初、Saのみの場合、アクチュエータAはPaa曲線上の■に位置する。
これに操作Sbが加わると、Sbが(13)式に従い、加法的に処理されて、AbxはAba(又はAbb)より小さくなるので、ポンプ2に対して吐出圧を上昇させるように働き、ポンプ2は吐出量を増大させる。Paa<Pbaだから、それらは、アクチュエータAに流入し、Paa曲線に沿ってその速度を増大させる。通過流量の増大に伴って、ΔPも大きくなる。たとえ、負荷圧PaがPa>Pa0であっても、もしも、ΔPが大きくなって、ΔP>ΔP0となれば、圧力補償弁3は全開から制御状態へと移行し、アクチュエータAはポンプの仮想ブリードオフ制御特性ではなく、圧力補償弁3によりクローズドセンター型方向制御弁4の開度に基づく流量で制御されるようになる(図4の黒丸で示されるQaa)。
PbがPabより大きくなれば、アクチュエータBをも動作可能となる。結局、図4の黒三角で示されるQabに至る。
Pab>Pa0が前提であるので、負荷の高い側はポンプ2の仮想ブリードオフ特性で動作し、複合操作が成立する。
この仮想的なバルブは高負荷側の圧力Pabに対応するため、仮想ポンプ吐出量Qpのうち、仮想ブリードオフ流量Qbを使って、ポンプ吐出圧であるブリードオフ圧Pbxに上昇させ、Qaxをアクチュエータ回路に供給することができる(図4の○)。
このQaxは実際のポンプ吐出量であって、それらは、アクチュエータAとBに分配される。即ち、次式が成り立つ。
Qaxは、(9)式又は(10)式で計算可能である。
結局、Qabは(14)式から求められることになる。
PaaがPa0以下の場合は、アクチュエータA側は圧力補償弁3によるロードセンシング制御状態下にあるので、アクチュエータB側の操作Sbの影響を受けることない。
従って、アクチュエータB側は完全な複合操作を提供できることになる。
また、操作量Sbの増加にあわせて、Paxを変化させ、Pax≧Pabに至らしめれば、能動的に動作を開始させることができる。これによって、オペレータはロードフィーリングを感じながら、操作ができるのである。この間、アクチュエータAは一端、圧力補償弁3による制御状態にいたれば、操作入力に関係なく、一定速度(流量Qaa)で動作し続ける。
複数のアクチュエータ1を上記説明した回路において、複合して操作している場合、負荷の高い側のアクチュエータ1は仮想ブリードオフ制御下にある。そのため、圧力補償弁3はフルにオープンされている。
その状態で、他のアクチュエータ1がストローク・エンドに到達してしまった時や、急激に負荷変化した時のように、負荷圧を急上昇させると、いままで高かった側が低い負荷側に急逆転してしまう。
そのために、オペレータの予期に反して、突然動き出したり、急増速したりしてしまうので、ブームのようなアクチュエータ1では危険な場合がある。
アクチュエータAの負荷圧PaaはSa単独操作として下記(15)式で求められるブリードオフ圧力Pbb1より高く、従って、圧力は掛かっているが、停止している場合がある。即ち、図6の状態がその一例である。
アクチュエータAとBは其々、■と□の状態にある。負荷圧が高いアクチュエータB側はA側よりもポンプ2のブリードオフ特性で制御される領域が大きく、ポンプ圧力がアクチュエータAの負荷圧+圧力補償弁3制御開始圧より高くなるまでは、アクチュエータA側の圧力補償弁3は全開のままである。
ここで、アクチュエータA側の負荷が急に変化し、アクチュエータB側の圧力Pabよりもはるかに高い圧力に上昇すると、アクチュエータAの速度が低下し、仮想ブリードオフ流量が増加する。
図7の○から▲に迄至ると、仮想ブリードオフ流量はQbx1となり、ポンプ圧力がPabに打ち勝てるまでに上昇するので、アクチュエータBへの流込みが開始し、急速にアクチュエータAは●に向かって速度を下げ、反対にアクチュエータBは▲に向かって増速する。
アクチュエータBは停止しているにもかかわらず、急にポンプ出力がアクチュエータB側に流れ込むように流れが切り替わり、急に動き出したり、増速したりして操作者の予期せぬ動作となる。
以上の説明を別の角度から行ったのが図8である。
アクチュエータAが■位置から負荷の増加に起因して、速度を下げて、仮想ブリードオフ流量を上げ、ポンプ吐出圧Pbを上昇させることにより、アクチュエータBの急動作する様子を表している。
この電磁比例減圧弁10の制御特性の設定方法は、電磁比例減圧弁10を設置したアクチュエータ1の単独操作時の特性から図9に従って決定する。
当該アクチュエータ1に要求されるブリードオフ特性に基き、操作入力Sbに対応して、ブリードオフ面積Abbを求め、更に、仮想ポンプの予定流量Qpが、その全量をブリードオフさせられるとしてAbaよりブリードオフ圧力Pbb1が算出する。
複数あるアクチュエータ1のうち、単独操作時はPbb1以上にポンプ圧が上がることはないから、電磁比例減圧弁10の入口側と出口側とも同圧となり、全開のままとなる。
図8とは異なり、アクチュエータAの速度変化がそのままコントローラ内の仮想ブリードオフ流量に反映されるので、ポンプ圧は急速に上昇するが、もしも、ポンプ吐出圧が電磁比例減圧弁10の設定圧Prb1よりも高くなれば、圧力補償弁3の上流側に働く圧力を制限する。この状態を図10に示す。
この状態を図7に対応する図11に示す。アクチュエータAは■点の状態から●に至って停止する。仮想ブリードオフ流量Qbx1は仮想ポンプ吐出量Qp全量となり、ポンプ吐出圧を、
2 可変容量ポンプ
3 圧力補償弁
4 クローズドセンター型方向制御弁
5 ポンプ容量制御機構
6 操作入力装置
7 操作系コントローラ
8 方向制御弁駆動装置
9 ポンプ・コントローラ
10 減圧弁
11 圧力センサー
12 コントローラ
Claims (3)
- エンジンで駆動され、且つ、外部からポンプ吐出量の調整可能な可変容量ポンプに、複数のアクチュエータをクローズドセンター型方向制御弁を介して接続し、前記各クローズドセンター型方向制御弁の操作量に基づく前記アクチュエータ流量の合計値を、前記可変容量ポンプから吐出するように構成された油圧回路において、前記クローズドセンター型方向制御弁が、センターバイパス型の方向制御弁の代わりとなるように、電気的演算により可変容量ポンプを制御すると共に、前記アクチュエータの上流側に圧力補償弁を設け、前記圧力補償弁は、前記アクチュエータの負加圧が所定圧以下の場合に、前記アクチュエータへの流体量を制御し、所定圧以上では可変ポンプの制御特性により制御するようにしたことを特徴とする可変容量ポンプとクローズドセンター型方向切換弁を組合わせた油圧回路の制御方法。
- 前記圧力補償弁の上流側に減圧弁を設け、前記アクチュエータに流入する流体圧を制限したことを特徴とする請求項1に記載の可変容量ポンプとクローズドセンター型方向切換弁を組合わせた油圧回路の制御方法。
- 前記アクチュエータに対する操作入力値に対して、前記クローズドセンター型方向制御弁が前記センターバイパス型の方向制御弁である場合のバイパス量を、仮想のブリードオフ管路面積として求め、前記可変容量ポンプ吐出量の全量がセンターバイパス通路を通じてタンクラインへ排出されるとして算出された圧力を、前記減圧弁の設定値として、前記アクチュエータに流入する流体圧を制限したことを特徴とする請求項2に記載の可変容量ポンプとクローズドセンター型方向切換弁を組合わせた油圧回路の制御方法。
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