JP2007276103A - 加工対象物の中心決定方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 揺動可能に保持された工具保持部材のバランスをとることが容易な研磨装置の提供。
【解決手段】 水平な架台1に載せ置かれ、直交する三軸方向に移動可能な第一基台3、第二基台5、および第三基台7と、この第三基台7に設けられた支持部材13と、この支持部材13に回転可能に設けられた工具保持部材35と、この工具保持部材35に設けられた研磨工具41とを備える。支持部材13には、工具保持部材35が水平であるか否かを確認するための近接センサ51が設けられている。近接センサ51により検出される金属ジグ53は、工具保持部材35が支持部材13に対して回転し、工具保持部材35の軸方向が水平となったときに近接センサ51の軸線上に位置するように、工具保持部材35に固定されている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、小径レンズの金型などを研磨等するのに使用される研磨装置等の機械加工装置において、加工対象物の中心決定方法に関するものである。
従来、たとえばレンズの金型は、切削や研削により加工がなされてきた。ところが、レンズの金型は、非常に精度の高い加工が要求されるのに対して、切削や研削加工は、高速で効率は良いが、到達できる面粗さや、表面性状の均一性などの点において限界があった。
一方、研磨加工は、加工速度など、効率の点で切削や研削加工よりも劣るが、微小量を精度良く加工でき、到達できる面粗さや表面性状の均一性も切削や研削加工より良好である。そのため、前段階として、切削や研削加工で形状精度をある程度だしておいて、最後に研磨によりごくわずかに残った誤差の修正を行うと共に、面粗さを向上させる必要性がある。そして、研磨加工をする研磨装置について、下記特許文献1に示す発明が提案されている。
特開2005−96016号公報
前記特許文献1に示す研磨装置では、揺動(微振動)可能な工具(超音波研磨ヘッド)が加工対象物に対し所定の加圧状態において接触なされ、加工対象物を回転させながら、工具を加工対象物の半径方向に移動せしめ、加工対象物の表面を研磨するものであった。
よって、表面形状を所望の通り仕上げるためには、加工前に予め、工具と加工対象物の中心を一致させておくことが重要となる。
しかしながら、従来、この中心合わせは、研磨装置の物理的な寸法から幾何学的に算出しており、例えば、研磨装置の組み立て精度などを考慮した精度の良い中心合わせを行うものはなかった。
本発明が解決しようとする課題は、工具と加工対象物の中心合わせを精度良く行うことを可能とする加工対象物の中心決定方法を提供することにある。
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、請求項1に記載の発明は、各種装置における加工対象物の中心を求める方法であって、仮中心Aを決定する工程、仮中心Aから距離a離間した点Bに工具を移動させる工程、点Bに工具を置いた状態で、加工対象物を回転させて第一円を描く工程、仮中心Aから距離b離間した点Cに工具を移動させる工程、点Cに工具を置いた状態で、加工対象物を回転させて第二円を描く工程、各円の半径を求める工程、前記距離a、距離bおよび前記各円の半径に基づいて補正量を求める工程を含むことを特徴とする加工対象物の中心決定方法。
本発明の加工対象物の中心決定方法によれば、研磨装置等の各種機械加工装置に工具及び加工対象物を設置した状態における実際の中心合わせが精度良く行うことが出来るため、加工対象物の仕上げ精度を向上させることが出来、延いては、レンズ加工など、高精度が求められる加工にも対応可能となる。
以下、本発明の研磨装置および研磨方法の一実施例について、図面に基づき更に詳細に説明する。
図1は、本発明の研磨装置の一実施例を示す概略斜視図である。また、図2は、図1の研磨装置の部分拡大図であり一部を断面にして示しており、図3は図2のIII−III断面図である。さらに、図4および図5は、図2の左側面図と右側面図である。
本実施例の研磨装置は、たとえば、小径レンズの金型の研磨に使用される。金型は短円柱形状とされ、予め切削、研削などにより上面に曲面状の凹部が加工されており、本実施例の研磨装置により仕上げの研磨加工が施される。
本実施例の研磨装置は、水平な架台1に載せ置かれて左右方向(x方向)に移動可能な第一基台3と、この第一基台3に載せ置かれて前後方向(y方向)に移動可能な第二基台5と、この第二基台5に載せ置かれて上下方向(z方向)に移動可能な第三基台7と、この第三基台7に設けられた支持部材13と、この支持部材13に回転可能に設けられた工具保持部材35と、この工具保持部材35に設けられた研磨工具41とを主要部に備える。なお、第三基台7は、第二基台5に立設された柱部9に沿って上下動するよう構成されている。
第一基台3、第二基台5および第三基台7は、モータ(不図示)によりそれぞれ駆動されて移動する。本実施例では、各基台3,5,7を駆動するモータにパルスモータが使用される。また、各基台3,5,7はコントローラやパーソナルコンピュータなどからなる制御器11により移動速度および移動距離などが制御されており、本実施例の研磨装置は、NC制御装置とされている。
支持部材13は、略L字形材とされ、一端部が第三基台7に固定されている。具体的には、支持部材13は、第三基台7から前方へ延出する矩形板状の一片15と、この一片15の先端部から下方へ延出する矩形板状の他片17とから構成される。
このように第三基台7に固定された支持部材13は、第三基台7の上下動に伴って上下に移動する。
図3に示すように、支持部材13の他片17の下端部には、前後方向に沿って筒部19が形成されている。この筒部19には、前後に離間して二つのベアリング21,21が設けられている。各ベアリング21は、その中央穴21aの軸方向が前後方向に沿うように配置され、外輪23が筒部19にはめ込まれて固定されている。
ベアリング21の中央穴21aには、丸棒状の回転軸25がはめ込まれている。つまり、ベアリング21の内輪27に回転軸25がはめ込まれて固定されている。この回転軸25の先端部には、略円環状の留具29が設けられている。
留具29は、その軸方向が回転軸25の軸方向と直交するように設けられている。本実施例の留具29は、一対の湾曲した部材31,31から構成されており、各部材31,31の端部は径方向外側へ屈曲されている。そして、各部材31,31の端部同士が重ね合わされて、ネジ33で固定される。
工具保持部材35は、略円筒形状とされ、留具29にはめ込まれて留具29の各部材31,31がネジ33で締め付けられることで固定される。このように、工具保持部材35は、回転軸25の先端部に固定された留具29に保持されており、回転軸25まわりに支持部材13に回転可能に設けられている。
なお、本実施例では、工具保持部材35は、その軸線が水平な状態から、回転軸25まわりに一定以上回転しないように支持部材13に揺動可能に保持されている。
つまり、工具保持部材35は、垂直面(xz面)内を揺動可能に保持されている。
工具保持部材35の内部には、図2に示すように、振動子37が内蔵されている。そして、工具保持部材35には、略棒状のホーン39が同軸上に差し込まれている。このホーン39の基端部は、前記振動子37に連結されており、ホーン39の先端部は、工具保持部材35の先端から先端側へ突出している。
研磨工具41は、細長い丸棒状とされ、ホーン39の先端部に形成された貫通穴に差し込まれてホーン39に着脱可能に保持されている。本実施例では、研磨工具41は、工具保持部材35の軸方向に対して直交するように固定されている。具体的には、研磨工具41は、工具保持部材35が水平に保持された状態において、上下方向に沿うようにホーン39の先端部に設けられている。
また、研磨工具41の下端部には逆円錐形状の研磨部43が一体に設けられている。この研磨部43の下端部は、丸みを帯びた形状に形成されており、たとえば先端は直径0.3〜2.0mmとされる。
本実施例の研磨装置は、工具保持部材35に内蔵された振動子37によりホーン39が振動し、これに伴って研磨工具41が工具保持部材35の軸方向に沿って微小振動する。つまり、工具保持部材35が水平に保持された状態では、研磨工具41は左右方向(x方向)に微小振動する。本実施例では、研磨工具41の振幅は、約10〜40μmとされる。
本実施例の研磨装置により研磨される金型45は、架台1に設けられた取付台47に取り付けられる。取付台47は、上下方向に沿う軸まわりに回転可能とされている。本実施例の取付台47は、チャックの構造とされ、金型45は三つのツメ49,49,49で固定される。この取付台47も、前記制御器11により、その回転速度などが制御される。なお、取付台47は、チャック以外の構造であっても構わない。
このような構成の本実施例の研磨装置により金型45を研磨する場合、まず切削や研削加工された金型45の形状が予め定められた形状定義数値が制御器11に入力される。制御器11は、その数値から研磨工具41の軌跡や研磨工具41の送り速度を計算し、それに基づいて工具駆動用のNCプログラムを作成し、研磨工具41の走査の制御を行なう。つまり、各基台3,5,7を動かすモータなどは、制御器11の指示に従って駆動する。なお、加工量に応じて複数回走査することもある。
また、本実施例の研磨装置により金型45を研磨する際、工具保持部材35はその軸方向が水平になるように保持され、研磨工具41が垂直に保持された状態で、研磨工具41の研磨部43が金型45の表面に当接される。そして、研磨工具41が、x方向に沿って、たとえば左から右へ移動して金型45の表面が研磨される。本実施例では、第一基台3が架台1に対してx方向に沿って左から右へ移動することで支持部材13および工具保持部材35が移動し、ひいては研磨工具41が移動することで金型45が研磨されていく。この際、研磨工具41は、左右方向の微小な超音波振動をしながら金型45を研磨する。
本実施例の研磨装置による研磨加工の際、取付台47は回転しており、これに伴って金型45もその軸まわりに回転している。よって、研磨工具41は、回転している金型45に対して、左右方向に微小振動しながら、半径方向に沿って移動していく。なお、取付台47の回転数は、たとえば、20〜500rpmとされる。このように、各基台3,5,7および取付台47の一連の動き、つまり送り速度や移動距離および回転速度などは、上述したように制御器11により制御されて金型45が研磨される。
ところで、本実施例の研磨装置は、工具保持部材35が支持部材13に揺動可能に保持されている。また、工具保持部材35は、前記回転軸25より先端側(研磨工具41側)のほうが重い。したがって、初期状態では、図6に示すように、工具保持部材35は、先端側へ行くに従って下方へ傾斜した状態で支持部材13に保持されている。
このように、本実施例の研磨装置は、工具保持部材35が支持部材13に揺動可能に保持されていることで、金型45に荷重を付加した状態で研磨可能な構成とされている。
そして、同一形状の複数の金型を研磨加工する際、各加工ごとの荷重を一定にするためには工具保持部材35の傾きを一定にする必要がある。そのため、本実施例の研磨装置には、工具保持部材35の傾斜角度を測定または確認するための位置検知手段が設けられている。
本実施例では、上述したように、工具保持部材35を水平に保持した状態で金型45を研磨することで、各加工ごとの荷重を一定にしている。
そこで、本実施例では、工具保持部材35が水平であるか否かを確認するための位置検知手段として、近接センサ51が使用される。本実施例の近接センサ51は、高周波発振形とされ、磁性金属の有無を検出するものである。
本実施例では、近接センサ51は、支持部材13に固定されている。また、近接センサ51に検出される金属ジグ53が、工具保持部材35の外周面に固定されている。
具体的には、近接センサ51は、その検出部をy方向に沿って工具保持部材35側へ向けた状態で支持部材13に固定されている。また、金属ジグ53は、工具保持部材35が支持部材13に対して回転し、工具保持部材35の軸方向が水平となったときに検出部の軸線上に位置するように、工具保持部材35に固定されている。
また、本実施例の近接センサ51には、ランプ55が設けられており、検出部の軸線上に金属ジグ53がある場合には、たとえばランプ55が青色に点灯し、金属ジグ53が検出部の軸線上に無いときはランプ55は赤色に点灯する。なお、工具保持部材35などは、樹脂などの被磁性体の材料により形成されており、近接センサ51の検知に影響のない材質とされる。
このような構成により、工具保持部材35の軸方向が水平な状態の場合に、近接センサ51が金属ジグ53を感知してランプ55が青色に点灯し、工具保持部材35が水平でない場合には、ランプ55が赤色に点灯している。このように、本実施例の研磨装置は、近接センサ51が設けられていることで、工具保持部材35が水平状態にあるか否かの確認をすることが容易とされる。つまり、工具保持部材35のバランスをとることが容易である。
ここで、工具保持部材35の軸方向を水平にするには、まず、第三基台7を上方へ移動させて工具保持部材35および研磨工具41を金型45より上方へ配置した状態から、研磨工具41の研磨部43が金型45に当接するように第三基台7を下降させる。
そして、さらに第三基台7を下降させて、近接センサ51のランプ55が青色になった時点で下降を止めれば、工具保持部材35は、水平な状態とされる。
本実施例では、制御器11が操作部を有している。例えばパーソナルコンピュータに接続されたキーボードが操作部とされており、キーボードのキー操作により第三基台7を駆動させるモータの回転を制御して第三基台7を上下動させることができる。よって、近接センサ51を監視しながら、操作部を操作して第三基台7を上下動させ、近接センサ51のランプ55が青色になった時点で操作部の操作を止めればよい。
また、近接センサ51の検出信号を制御器11に送ることで、自動的に工具保持部材35を水平にすることができる。
つまり、近接センサ51の検出信号と比較しながら制御器11が第三基台7を駆動させるモータの回転を制御して第三基台7を上下動させて、近接センサ51が工具保持部材35の水平を検出すると、制御器11はモータの回転を止めて第三基台7の上下動を止める。このように、近接センサ51を設けることで、手動または自動で工具保持部材35を水平にすることができる。
なお、研磨加工中、研磨工具41は金型45の曲面状の凹部を移動することで若干上下動するが、金型45の形状を制御器11が把握していることで、制御器11は、研磨工具41の上下動に伴って第三基台7を上下動させて、工具保持部材35が水平を保つように制御している。
このように、本実施例の研磨装置は、工具保持部材35を水平に保持することで、各加工ごとの荷重を一定にしているが、工具保持部材35の基端部に設けられた荷重調整部材57により、金型45にかかる荷重を調整することができる。
本実施例では、支持部材13に水平に固定された取付板59に、荷重調整部材57の本体61が固定されている。この本体61は、マイクロメータと同様の構造とされ、ダイヤル63を回すことで、下端部の軸部65が上下に進退する。この軸部65には、下方へ突出して細長い丸棒67が一体的に設けられている。
また、工具保持部材35には、その軸方向に沿って板材69が設けられている。本実施例では、工具保持部材35が水平に保持された状態において、回転軸25より左側の位置に板材69が設けられている。この板材69には、上下方向に沿って貫通穴(不図示)が形成されており、この貫通穴に、前記丸棒67の先端部が差し込まれている。なお、前記貫通穴は、工具保持部材35が回転した際に、丸棒67が当たらないような大きさに形成されており、たとえば工具保持部材35の軸方向に細長い穴に形成されている。
そして、丸棒67には、コイルバネ71が差し込まれており、コイルバネ71の上端部は本体61の軸部65に固定されており、コイルバネ71の下端部は、前記板材69に固定されている。これにより、本体61のダイヤル63を回して軸部65を上下に移動させることで、コイルバネ71が伸縮する。
このように、支持部材13と工具保持部材35との間にコイルバネ71が介在されていることで、工具保持部材35が支持部材13に対して回転軸25まわりに揺動する際、負荷がかかる。また、ダイヤル63を回してコイルバネ71を伸縮させることで、工具保持部材35の回転方向の負荷が調整可能とされ、ひいては、金型45にかかる荷重を調整することが可能となる。
そして、金型45にかかる荷重は、板状の電子秤73を使用することで測定することができる。荷重を測定するには、まず、電子秤73を取付台47に水平に載せ置く。次に、各基台3,5,7を移動させて、研磨工具41の研磨部43を電子秤73の上面に接触させると共に、図7に示すように、工具保持部材35を水平な状態にする。そして、この状態における電子秤73の目盛りを読めば、工具保持部材35を水平にした状態における荷重が測定される。この際、上述しように、荷重調整部材57の本体61のダイヤル63を回すと共に、工具保持部材35を水平に保持することで、荷重を調整することができる。
そして、測定後、電子秤73を取り除き、取付台47に金型45を取り付け、研磨工具41の研磨部43を金型45に当接すると共に、工具保持部材35を水平にすれば、所望の荷重つまり前記測定された荷重が金型45にかかる。このように、本実施例の研磨装置は、金型45にかかる荷重を調整して研磨することが可能である。
なお、コイルバネなどからなる付勢部材の位置は、適宜変更可能である。コイルバネの場合、一端部が支持部材13(第三基台7)側に固定されて、他端部が工具保持部材35側に固定されていれば、工具保持部材35の回転方向の負荷を調整することが可能である。たとえば、回転軸25のまわりに設けてもよい。
また、コイルバネの代わりに工具保持部材35に錘を載せ置くことで、金型45にかかる荷重を調整することができる。つまり、工具保持部材35の前記回転軸25より左側(工具保持部材35の基端側)に錘を載せ置くことで、金型45にかかる荷重を小さくすることができ、右側へ錘を載せ置けば荷重を大きくすることができる。
ところで、本実施例の研磨装置は、研磨工具41の研磨部43が、金型45の中心(回転中心)を通ることを前提として、各基台3,5,7の送り速度や送り量などが制御されている。よって、研磨工具41の研磨部43が金型45の中心を通らない場合、予定された研磨加工を行なうことができない。
そこで、研磨加工前に、研磨工具41の研磨部43が金型45の中心を通過するように調整する必要がある。なお、この調整は、研磨工具41を工具保持部材35(ホーン39)に取り付けた際に、一度行なえばよく、その後は、金型45の中心位置を制御器11に記憶させておけばよい。つまり、研磨工具41の付替時に中心位置がズレやすく、この付替時に調整を行ない金型45の中心位置を制御器11が一度認識すれば、その後の研磨の際には、研磨工具41の研磨部43が金型45の中心を通過するように制御することが可能である。
以下、金型45の中心を割り出す方法について説明する。なお、この中心を割り出す際には、切削加工などがされていない上面が平坦な金型を使用する。
図8および図9は、中心を割り出す方法を示した参考図である。また、図10は、中心を求める方法の工程を示したフローチャートである。
まず、図8に示すように、金型45の上面において、任意の仮中心Aを決め、研磨工具41を仮中心Aに移動させる。なお、この時点では、仮中心Aの座標(x,y)は明らかではない。次に、研磨工具41を仮中心Aからx方向へ所定距離aずらした点Bに移動させる。そして、研磨工具41の研磨部43を金型45に当接し、工具保持部材35を水平にした状態で、研磨工具41の位置を固定し、金型45を回転させて、金型45の上面に第一円C1を加工する。このとき、第一円C1は、真の回転中心O(0,0)を中心とした円とされる。また、研磨工具41の研磨部43の先端には幅があるため、第一円C1の輪郭線には加工幅がある。
第一円C1を加工した後、研磨工具41を一旦、仮中心Aに戻す。次に、研磨工具41を仮中心Aからy方向へ所定距離bずらした点Cに移動させる。そして、先ほどと同様に、研磨工具41の位置を固定した状態で、金型45を回転させて、金型45の上面に第二円C2を加工する。この第二円C2も真の回転中心O(0,0)を中心とした円とされる。また、第二円C2の輪郭線にも加工幅がある。
次に、第一円C1および第二円C2の各半径X、Yを求める。本実施例では、顕微鏡を使用して、図9に示すように、金型45の中心Oを通る直線H−Hと、第一円C1および第二円C2の輪郭線の交点X1、X2…、X8を測定する。たとえば、図9において、直線H−Hをx軸と考えて、各点X1、X2…、X8のx座標を測る。なお、顕微鏡には十字の目盛りSが設けられているので、各点X1…、X8の座標を容易に測ることができる。
そして、これらの数値を下記式1と式2に代入して、第一円C1の半径Xと第二円C2の半径Yを求める。
Figure 2007276103
Figure 2007276103
式1および式2から求めたXとY、および上記aとbを下記式3と式4に代入して、連立方程式を解くと、仮中心Aの座標(x,y)が求まり、これが求める補正量となる。つまり、この補正量(x,y)分だけ、研磨工具41を仮中心Aから移動させれば、真の中心Oに研磨工具41の研磨部43を配置することができる。
Figure 2007276103
Figure 2007276103
調整後において、研磨工具41が金型45の中心に位置しているか否かを最終的に確認するためには、調整後の位置において円を描いてみればよい。
具体的には、図11に示すように、調整後の中心位置から、x軸方向に沿って研磨工具41を左右に移動させて、金型45の表面に線L1、L2を加工する。次に、調整後の中心位置から、y軸方向に沿って研磨工具41を上下に移動させて、金型45の表面に線L3、L4を加工する。
そして、第一円C1を加工した場合と同様に、研磨工具41を調整後の中心位置に固定した状態で、金型45を回転させて金型45の表面に第三円C3を加工する。
このとき、第三円C3の中心が真の中心であり、第三円C3は研磨工具41(研磨部43)の位置とズレの分だけ偏って描かれる。これを見ることで、調整後の中心位置が、真の中心とどれだけズレているかが把握できる。
そして、たとえば、その誤差が10μm(0.01mm)以内であれば、規格内として、調整後の中心位置を真の中心Oとみなす。また、その誤差が規格外であれば、もう一度作業をやり直して、中心位置を求めればよい。
なお、実際に、金型の表面に円を加工する場合について説明したが、加工を行なう代わりに金型の表面に薄く塗料を塗布して、上記と同様に、その塗料の表面に円を描いて補正量を求めることも可能である。
ところで、本実施例の研磨装置により、研磨量(加工量)が均等となるように研磨する場合、研磨工具41の走査速度は、次のように導かれる。
まず、プレストンの法則より、加工量δは、式5で示される。ただし、kは比例定数、Pは荷重(圧力)、Vは研磨工具と金型の相対速度、tは滞留時間を示す。また、式5では、超音波のパワーは考慮していない。
Figure 2007276103
ここで、金型45を等回転速度ω(ラジアン/秒)で回転させながら、研磨工具41を半径方向(x方向)に速度F(x)で走査させる場合、単位面積あたりの研磨時間t(=滞留時間)は、式6で示される。
Figure 2007276103
また、Aは研磨部43の研磨痕の面積(一定)であり、圧力Pと荷重Wとの間には、式7の関係がある。
Figure 2007276103
式5、式6および式7より、式8が導かれる。
Figure 2007276103
そして、加工量δを一定にしようとする場合、式8から研磨工具41の走査速度F(x)を半径xに反比例する値に制御しながら加工すればよいことがわかる。
図12は、研磨工具の送り方を示すフローチャートの一部である。
本実施例の研磨装置は、研磨工具41が進む軌跡が細かく分割されており、研磨工具41は、図12に示すように、少しずつ段階的に送られていく。そして、この段階的な送りの各ステップにおいて、次のステップ位置を呼び出して研磨工具41を送る際に、式8から算出された速度で研磨工具41を次の位置まで送ることで、研磨量を均等とすることができる。
しかしながら、式8から算出される走査速度で研磨工具41を段階的に送っていくと、金型45の中心部分の加工量が多くなり過ぎて、中心部分がえぐられた誤差形状になりやすい。これは、中心近辺では半径xが小さくなり、式8から速度F(x)が非常に大きい値になってしまうためと考えられる。
つまり、式8の条件下では、半径xが小さくなる金型45の中心近辺では、研磨工具41を非常な高速で半径方向に走査させなければならず、速度・加速度ともに大きくなるため、第一基台3を駆動するモータなどのアクチュエータに過大な負担が加わり、要求速度で駆動できない。その結果、中心近辺において加工誤差が生じる。
このように、研磨装置の半径方向(x方向)の送りを駆動するモータのパワーの限度から、送り速度や加速度の制限を受け、中心近辺では式8から算出される速度を実現できなくなる。そして、研磨工具41の走査速度が、式8から算出される速度を下回ると、それに応じて、研磨工具41の滞留時間が長くなり、設定より過剰に加工されて、えぐられたような加工誤差が発生する。
このような中心付近における過剰加工を防止するために、本実施例の研磨装置は、早送り機能が備えられている。
ここで、加工機には、切削送りと、早送りの二通りの送り速度を有するものがある。切削送りは、十分な帰還制御ができる安全圏内で制御が行なわれるものであり、早送りは、それを超えた速さで高速に工具を初期位置に移動したりするものである。
そして、本実施例の研磨装置は、この早送りを行なう早送り機能を備えることで、中心部分の過剰な加工が防止される。
以下、早送り機能を備えた本実施例の研磨装置による研磨加工の際に、中心部分の過剰加工を防止する方法について説明する。
なお、本実施例では、金型45の中心のx座標を0とし、研磨工具41が、x方向に沿って負の側から金型45の中心を通って正の側へ移動しながら研磨する場合について説明する。つまり、図1において、研磨工具41が左から右へ移動して研磨する場合について説明する。
まず、加工条件を一定として、研磨工具41を上述の式8から算出される走査速度で段階的に送って金型45を研磨加工した場合に、どこからどのように誤差が増すかを、測定を通じて把握する。なお、データを蓄積していけば類似の形状に対しても過剰加工の推定ができる。
図13は、金型の中心付近での誤差分布を示す図である。
上記測定により、過剰加工が発生する場所が把握され、たとえば、図13に示すように、金型45の半径R0以内で過剰加工が顕著になることが特定されたとする。
つまり、x座標が−R0〜+R0の範囲で過剰加工が顕著になったことが特定された場合には、以下のように研磨工具41を送る。
図14は、金型中心付近の過剰加工を防止するための研磨工具の送り方を示すフローチャートの一部である。
まず、研磨工具41の次の送り位置を読み出した後、その送り位置のx座標Nが−R0〜+R0の範囲に入っているかどうかを判定する。つまり、次の送り位置のx方向の絶対座標|N|が、R0よりも大きいかどうかを判定する。
判定の結果、次の送り位置の絶対座標|N|が、半径R0よりも大きい場合には、通常の処理、つまり式8から得られる速度で、研磨工具41を次の位置まで送る。
言い換えれば、次の送り位置のx座標Nが、−R0より小さい場合には、式8から得られる速度で研磨工具41を次の位置まで送る。
また、判定の結果、次の送り位置のx方向の絶対座標|N|が、半径R0以下であった場合には、早送り機能を用いて研磨工具41をx座標+R0まで送ってしまう。
つまり、次の送り位置のx座標Nが、−R0〜+R0の範囲内である場合には、早送り機能を用いて研磨工具41をx座標+R0まで送ってしまう。
そして、研磨工具41をx座標+R0まで送った後は、式8から得られる速度で段階的に研磨工具41を送っていけばよい。
このように、本実施例の研磨装置は、金型45の中心部分を研磨工具41が帰還制御より高速で送られることで、要求速度に達しないことで過剰な加工がなされてしまうのを回避することができる。
なお、研磨工具41をx方向に沿って左から右へ移動して研磨する場合について説明したが、右から左へ研磨する場合も同様に研磨工具41を送ればよい。
また、本実施例では、研磨工具41を超音波で振動させている。そこで、過剰加工を防止するために、上記方法に加えて、または単独で、次のような制御も可能である。
図15は、超音波振動を調整して金型中心付近の過剰加工を防止する際の研磨工具の送り方を示すフローチャートの一部である。
まず、次の送り位置を読み出した後、その送り位置のx方向の絶対座標|N|が半径R0よりも大きかった場合には、通常の超音波振動強度で研磨工具41を駆動する。
判定の結果、次の送り位置のx方向の絶対座標|N|が、半径R0よりも小さい場合には、さらに絶対座標|N|が半径R1よりも大きいかどうか判定する。なお、R0>R1とする(図13)。
判定の結果、半径R1よりも大きかった場合には、次の送り位置の絶対座標|N|が半径R0〜R1の間にあると判定され、通常の超音波振動強度より低減した減衰レベル1で研磨工具41を駆動する。
また、判定の結果、次の送り位置のx方向の絶対座標|N|が、半径R1よりも小さかった場合には、深い内周部にあると判定され、超音波振動強度を減衰レベル1よりさらに低減した減衰レベル2で研磨工具41を駆動する。
なお、当然、減衰レベル1より減衰レベル2の振幅のほうが小さく、場合によっては、超音波の発振を停止させて制御することもできる。
このように、金型45の中心近辺において超音波振動強度を低減することで、中心近辺の過剰加工を防止することができる。
さらに、中心近辺の過剰加工を防止するために、金型45にかかる荷重を調整してもよい。
図16は、荷重を調整して、金型の中心付近の過剰加工を防止する際の研磨工具の送り方を示すフローチャートの一部である。
まず、研磨工具41の次の送り位置を読み出した後、その位置のx方向の絶対座標|N|が半径R0よりも大きいかどうか判定する。
判定の結果、次の送り位置のx方向の絶対座標|N|が、半径R0よりも大きかった場合には、通常の荷重で、つまり研磨工具41をそのまま右方向へ送る。
また、判定の結果、次の送り位置のx方向の絶対座標|N|が、半径R0以下であった場合には、第三基台7を上動させて研磨工具41を一旦上空に退避させる。この際、研磨工具41を金型45から完全に離してもよいし、研磨工具41の研磨部43が金型45に当接する範囲で上空に退避させるようにしても構わない。
退避させた場合、x方向の移動は、読み出した値で制御し、次の送り位置のx方向の絶対座標|N|が再び半径R0の外にでたら、荷重位置も通常位置の制御に戻す。つまり、第三基台7を下降させて工具保持部材35を水平位置に戻し、研磨部43を金型45に当接させる。
このように、金型45の中心近辺において、金型45にかかる荷重を調整することでも、金型45の中心近辺の過剰加工を防止することができる。
以上のように、本実施例の研磨装置は、金型の中心近辺における加工方法を変更することで、中心部分の過剰な加工を防止することができる。
ところで、上記実施例では、研磨工具41は、その進行方向に沿って振動しているが、研磨の平準化を図り、研磨むらなどの発生を抑制するためには、研磨工具41の振動の方向を変えたり、複数の走査モードを有したりすることが好ましい。
以下、本発明の研磨装置の変形例について説明する。なお、本変形例の研磨装置は、基本的には、前記実施例の研磨装置と同様の構成であり、異なる部分を中心に説明する。
図17は工具保持部材に超音波発振子が取り付けられた状態を示す図である。
上記実施例では、工具保持部材35の内部に振動子37が設けられていたが、本変形例では、工具保持部材35の先端部に超音波発振子81が設けられている。
具体的には、工具保持部材35の先端部に、矩形筒状の取付部83が設けられており、この取付部83内に超音波発振子81が取り付けられている。
取付部83は、工具保持部材35が水平な状態において、その中央の矩形穴が上下方向に沿うように形成されている。
本変形例の超音波発振子81は、金属やセラミック製の直方体形状の発振体87の各側面に、電圧の印加により伸縮する圧電素子89,91,93,95が貼り付けられて形成されている。この際、圧電素子89と圧電素子91、および圧電素子93と圧電素子95は対向する側面にそれぞれ設けられている。
なお、これらの対向する向きを同図に示すように、それぞれx方向およびy方向と定義する。これは便宜的に図1のx、y方向と対応させるが、xとyが入れ替わっても話は同じである。また、発振体87は伸縮するタイプ以外に積層型でも良い。
また、本変形例では、図17に示すように、発振子81の発振体87の中央に、上下方向に沿って研磨工具41がはめ込まれて固定されている。
そして、本変形例では、工具保持部材35の取付部83内で超音波発振子81が動作することで、研磨工具41が振動する。
図18は、圧電素子89(91,93,95)の内部構造を示す図であり、(a)は通常の状態を示し、(b)は伸長した状態、(c)は縮小した状態を示す図である。
図18(a)に示すように、圧電素子89(91,93,95)は圧電物質89A(91A,93A,95A)を挟み込むように電極89B(91B,93B,95B)(陽極)および電極89C(91C,93C,95C)(陰極)が接続されて形成されている。実用的には同じ印加電圧で歪が大きくなるように圧電物質と電極の対を積層させたりするが、動作原理としては同じである。
そして、図18(b)に示すように、電極89Bと電極89Cを外部の電源に接続し、電極89Bに正の電圧を、電極89Cに負の電圧を印加すると、圧電素子は上下方向に長さが伸長する。
逆に、図18(c)に示すように、電極89Bに負の電圧を、電極89Cに正の電圧を印加すると、圧電素子は上下方向に長さが縮小する。
図19は、超音波発振子を正面から見た概略図である。
また、図20は、超音波発振子の動作を示す図である。
次に、圧電素子89と圧電素子91に注目して、圧電素子89と圧電素子91が対向する面の動作について、図19および図20を参照しながら説明する。
図19において、符号103は電源装置(または十分大きい出力容量を有する発振回路)であり、その出力O1と出力O2に所望の電圧(波形)を発生させることができる。
本実施例では、図19に示すように、電源装置103の出力O1は、圧電素子89の陽極89Bと圧電素子91の陰極91Cに接続され、出力O2は、圧電素子89の陰極89Cと圧電素子91の陽極91Bに接続されている。
この状態で出力O1に負の電圧を印加し、出力O2に正の電圧を印加すると、圧電素子89は縮小し、圧電素子91は伸長する。これにより、図20(a)の状態から、発振子81は相対的に上下端部が左に、中央部分が右に動くように変形し、図20(b)に示すように、右に凸状に湾曲する。
逆に、出力O1に正の電圧を印加し、出力O2に負の電圧を印加すると、圧電素子89は伸長し、圧電素子91は縮小する。これにより、図20(c)に示すように、発振子81は相対的に上下端部が右に、中央部分が左に動くように変形し、左に凸状に湾曲する。
そして、電源装置103を発振回路として、出力O1と出力O2に印加する電圧の極性を定期的に変えてやると、図20(b)、(c)が周期的に繰り返されて、超音波発振子81はx方向に振動する。
また、図19と同様の構成で、圧電素子93および圧電素子95をもう一つの電源装置または発振回路に接続すれば、超音波発振子81をy方向に振動させることができる。さらに、発振回路の波形を工夫することにより、各方向の振幅の時間変化を正弦波状にすることが可能である。
次に、図21を参照しながら超音波発振子81を駆動する回路について説明する。
図21は、図17に示す超音波発振子を駆動する電気回路であり、符号111は、発振回路である。
圧電素子の電圧と歪の関係が直線的であれば、発振波形は正弦波で可である。
また、圧電素子の電圧と歪に非線形性があるのであれば、それを補正するような波形整形を行うこともできる。通常発振回路の出力容量は電圧も電流も圧電素子を駆動するのには不十分なため、増幅回路113を経由して、圧電素子115に供給される。
なお、図21における圧電素子115は、図17の圧電素子89,91であると仮定する。
また、発振回路111の出力は、90°位相回路117の入力に接続され、90°位相回路117の出力はさらに90°位相回路119に接続される。そして、90°位相回路117の出力は増幅回路121を介して圧電素子123に接続される。
なお、図21における圧電素子123は、図2の圧電素子93,95であると仮定する。
本実施例では、90°位相回路117と並列にスイッチ125が接続される。さらに、90°位相回路119と並列にスイッチ127が接続される。これらのスイッチ125,127が導通状態になると、90°位相回路117,119は短絡されて動作しなくなるため、位相回路として動作しなくなる。また、これらのスイッチ125,127が開放(非導通)状態の場合は通常の90°位相回路117,119として動作する。
次に、90°位相回路117と90°位相回路119の直列回路の働きについて説明する。
(i)スイッチ125とスイッチ127が共に導通の場合、どちらの90°位相回路117,119も不動作となり、発振回路111の波形がそのまま増幅回路121に供給される。
(ii)スイッチ125とスイッチ127の一方が導通で他方が開放の場合、一方の90°位相回路は不動作となり、他方の90°位相回路は動作となり、発振回路111の90°位相ずれ波形が増幅回路121に供給される。
(iii)スイッチ125とスイッチ127が共に開放の場合、どちらの90°位相回路117,119も動作となり、発振回路111の180°位相ずれ波形すなわち符号反転波形が増幅回路121に供給される。
また、本実施例では、増幅回路113と圧電素子115の間、および増幅回路121と圧電素子123の間に、それぞれ独立したスイッチ(不図示)が設けられている。そして、このスイッチを開放することによって圧電素子のその軸(xまたはy)の振動を行わせないようにできる。
以上が、図17に示す本実施例の超音波発振子を駆動する電気回路の構成であり、次に、図22を参照しながらこの電気回路の働きを説明する。
(ケース1)まず、スイッチ125とスイッチ127が共に導通し、増幅回路113と圧電素子115間の不図示のスイッチが導通で、増幅回路121と圧電素子123間の不図示のスイッチが非導通の場合について説明する。
この場合、圧電素子115のみが駆動され、図17の圧電素子89,91のみが駆動されて振動するから、超音波発振子81はx方向にのみ振動し、図22(a)の振動になる。
(ケース2)次に、スイッチ125とスイッチ127が共に導通し、増幅回路113と圧電素子115間の不図示のスイッチが非導通で、増幅回路121と圧電素子123間の不図示のスイッチが導通している場合について説明する。
この場合、圧電素子123のみが駆動され、図17の圧電素子93,95のみが駆動されて振動するから、超音波発振子81はy方向にのみ振動し、図22(b)の振動になる。
(ケース3)次に、スイッチ125とスイッチ127が共に導通し、増幅回路113と圧電素子115間の不図示のスイッチが導通で、増幅回路121と圧電素子123間の不図示のスイッチが導通している場合について説明する。
この場合、圧電素子115と圧電素子123が同じ波形で駆動されて振動するから、超音波発振子81はY=X方向に振動し、図22(c)の振動になる。
(ケース4)次に、スイッチ125とスイッチ127が共に開放し、増幅回路113と圧電素子115間の不図示のスイッチが導通で、増幅回路121と圧電素子123間の不図示のスイッチが導通している場合について説明する。
この場合、圧電素子115と圧電素子123が符号反転波形で駆動されて振動するから、超音波発振子81はY=−X方向に振動し、図22(d)の振動になる。
(ケース5)さらに、スイッチ125とスイッチ127の一方が導通、他方が開放で、増幅回路113と圧電素子115間の不図示のスイッチが導通で、増幅回路121と圧電素子123間の不図示のスイッチが導通している場合について説明する。
この場合、圧電素子115と圧電素子123が90°位相転波形で駆動されて振動するから、超音波発振子81は、Y=Acos(ωt)と、X=Asin(ωt)を合成した振動、すなわち図22(e)の(楕)円振動になる。
このように、図17の構成の超音波発振子に対して、図21の駆動電気回路を用いることにより、円振動や互いに直交する直線振動などを行わせることが可能である。
なお、前記スイッチ125,スイッチ127、および増幅回路113,121と圧電素子115,123の間に挿入される各スイッチ(不図示)は、市販のパワーMOSFETやフォトMOSリレーなどと呼ばれる電力系半導体およびそれらを複合した素子によって容易に実現されるため、詳細な説明は省略する。
ところで、図21の発振回路111の発振電圧を制御できれば、圧電素子115および圧電素子123に印加する電圧も制御でき、ひいては、図17の超音波発振子81の振動振幅を制御できる。
そこで、図23および図24を参照しながら振動振幅の制御機能について説明する。
図23は、最も基本的な演算増幅器の反転増幅回路を示す図である。
同図において、符号131は演算増幅器であり、反転入力端子a、非反転入力端子b、出力端子cの3端子よりなる。
非反転入力端子bの電圧と、反転入力端子aの電圧の差の電圧を非常に大きな利得で増幅するために、図23のように接続すると、非反転入力端子bの電圧と反転入力端子aの電圧が等しくなるように強い負帰還作用が働く。
そして、入力133と反転入力端子aの間に接続された抵抗135(抵抗値R1)と、出力137と反転入力間に接続された抵抗139(抵抗値R)に対して、入力133の電圧をVin、出力137の電圧をVoutとすると、式9の関係が成り立つ。
Figure 2007276103
式9の関係から、抵抗135または抵抗139の各抵抗値R1,Rを制御できれば、固定振幅で発振している発振回路に対して、出力振幅を制御できることになる。
以下、固定振幅で発振している発振回路に対して、出力振幅を制御可能な増幅回路の電気回路例について説明する。
図24は、離散的に利得を変え得る増幅回路の電気回路例を示す図である。基本的回路構成は図23と同じで、同じ要素には同じ記号を用いている。
図23と異なる点は、図23では入力133と反転入力端子aの間に接続されるのが一つの抵抗135だけであったが、図24では、スイッチSiと抵抗141i(ただしi=a,b,c,d,e)を直列接続したものを並列に接続したものが接続されていることである。なお、図示例における抵抗141i(i=a,b,c,d,e)の各抵抗値を、それぞれR、2R、4R、8R、16Rとする。
そして、この部分の抵抗は、スイッチSiが導通時の抵抗=0、スイッチSiが開放時の抵抗=∞とすると式10で示される。
Figure 2007276103
ただし、i=a,b,c,d,eとして、スイッチSiが開放の時はSi=0、スイッチが導通の時はSi=1で与えられるから、式10を式9に適用すると式11のようになる。
Figure 2007276103
式11より、スイッチSiの導通か開放かの組み合わせにより利得の調整が可能であることは明らかであり、この機能によって、この回路を図21の発振回路111の出力に接続することによって発振電圧が制御できる。
これに伴って圧電素子115および圧電素子123に印加する電圧も制御でき、その結果、図17の超音波発振子81の振動振幅を制御できる。
なお、式11では極性が反転しているが、正弦波発振においては長期的に見て同じ波形とみなせるので不都合は発生しない。
ところで、超音波のパワーを考慮しない場合の加工量について上述したが、超音波のパワーを考慮した場合の本変形例の研磨装置による加工量δは、プレストンの法則より、式12で示される。ただし、kは比例定数、Pは荷重(圧力)、Vは研磨部と金型の相対速度、tは滞留時間、uは超音波のパワーである。
Figure 2007276103
そして、研磨工具の走査速度F(x)は、式12と上記式6、式7より式13に示される。
Figure 2007276103
ここで、超音波のパワーuを一定として、金型の上面全部の加工量を一定(式13でδ=一定)に研磨しようとすると、研磨工具41の走査速度を半径xに反比例する値に制御しながら加工しなければならない。
しかしながら、上述したように、金型45の中心近辺では半径xが小さくなり、速度F(x)が非常に大きい値になってしまい、加工誤差が生じる。
そこで、図24の回路を用いて、式13における超音波のパワーuを、半径Xに比例するように制御してやれば、走査速度は一定で加工量を一定に保つことができる。
制御の分解能をとれば、それだけパワーを0に近いところまで制御が可能になる。極端な場合として、超音波をオフにしてパワーをゼロとして加工をしないことも考えられる。
これは形状補正加工などにおいて、すでに十分な量の加工が行われている部分の加工は行わず、加工不足の部分のみ加工する場合には特に有用である。
現実には少ない分解能のパワー制御部材で安価にシステムを構成する場合、速度F(x)の制御と、超音波のパワーuの制御を併用することも可能である。
なお、本例では、説明しやすい演算増幅器の反転型増幅回路で利得制御も説明したが、他の形式でも良いのは言うまでもない。
例えば、研磨量が均等になるような研磨を行う際には、式13に従って走査速度F(x)や超音波のパワーuを制御しながら加工するとともに、加工量に応じて複数回走査する。
この場合、研磨工具41の振動様式は走査の度に図22の(a)〜(e)の中から選択して変化させることが可能である。
例えば、図22の(a)と(b)を特定比率で交互に行うことにより、両方の研磨の長所を引き出す研摩が可能である。
また、図4の(c)と(d)を交互に行わせることによって、一方だけのときよりも研摩をより平準化できる。
さらに走査に図4の(e)をも加えて、いっそうの平準化を図ることも考えられる。
なお、図22の(c)と(d)において、図では2方向の振幅が同じで、x方向に対して45度斜めに振動するようになっているが、各方向の振幅の割合を制御することにより、この角度は自在に制御可能である。
数回の走査に分けて研磨を行う場合、この角度を走査のたびごとに変化させることにより、平準化を改善させることも可能である。
ところで、本変形例では、図17に示す超音波発振子を使用することで、図22に示すような複数方向の振動が可能とされたが、上記実施例のように、単一方向の振動しかできない場合でも、制御器11による制御を工夫することによって図22(e)以外の機能は実現できる。
具体的には、研磨工具41をx軸に沿って走査し、研磨工具41の振動の方向が図22(a)の状態から、研磨工具41の走査方向を、y軸に沿うように変えると図22(b)の振動状態になる。つまり、研磨工具41をx方向に振動させながら、第一基台3を移動させて工具保持部材35をx方向に沿って移動させている状態から、第一基台3の移動を止めて第二基台5を移動させて工具保持部材35をy方向に移動させればよい。
これはNCコード(Gコード)のXをYに置き換えるだけで実現できる。
さらに、研磨工具41の走査方向を(Xn,0,Zn)(なお、n=0,1,2,・・・・,N)のような形で走査制御しているものを、(Xn,Zn)の値の組はそのまま同じものを採用して、下記式14または式15に置き換えて走査制御すれば、半径方向の走査の方向をxy面内で45度回転させることができて、図25で最初p方向の走査であったものを、q、rの方向の走査に変えることができる。
つまり、金型に対する研磨工具の相対的な振動を、図22(c),(d)の振動状態に対応した研摩を行なわせることができる。
Figure 2007276103
Figure 2007276103
さらに一般化して、(Xn・cosθ,Xn・sinθ,Zn)としてNCコードを生成すれば、研磨時の走査の方向をxy平面内で自在に回転(上記の場合θ度:可変)でき、動径方向に対する振動の方向を自在に制御可能である。
このように、超音波のパワーを変えて研磨することで、超音波パワーを一定にして、走査速度のみを変えるよりも、走査速度制御部材の負担を減らすと共に、走査速度制御部材の限界からくる誤差を回避することができる。
また、加工において、複数回走査を行う場合、走査の度に振動のモードを変えることにより、より均一で加工むらの少ない研磨が可能となる。
本発明の研磨装置は、上記各実施例の構成に限らず、適宜変更可能である。
例えば、上記実施例では、工具保持部材の水平状態を確認する方法として、近接スイッチを用いたが、その他の手段を用いることも可能である。
また、上記実施例に示した回路は一例であり、その構成は変更可能である。
さらに、図26に示すように、工具保持部材35に設けられたホーン39の先端部において、工具保持部材35が水平な状態において、研磨工具41を傾斜した状態で回転可能に保持し、研磨工具41の上端部をモータ151の駆動軸に連結する構成としてもよい。これにより、研磨加工中において、研磨工具41は、振動すると共に、その軸まわりに回転することで、金型45表面の面粗さや表面性状の均一性の向上を図ることができる。
本発明の研磨装置の一実施例を示す概略斜視図である。 図1の研磨装置の部分拡大図であり、一部を断面にして示している。 図2のIII−III断面図である。 図2の左側面図である。 図2の右側面図である。 図1の研磨装置の工具保持部材が傾斜した状態を示す概略正面図である。 荷重を測定している状態を示す概略正面図である。 中心を求める方法を示した参考図である。 中心を求める方法を示した参考図である。 中心を求める方法の工程を示したフローチャートである。 調整後の中心が規格内かどうかを確認する際の方法を示した参考図である。 研磨工具の送り方を示すフローチャートの一部である。 金型の中心付近での誤差分布を示す図である。 金型中心付近の過剰加工を防止するための研磨工具の送り方を示すフローチャートの一部である。 超音波振動を調整して金型中心付近の過剰加工を防止する際の研磨工具の送り方を示すフローチャートの一部である。 荷重を調整して、金型の中心付近の過剰加工を防止する際の研磨工具の送り方を示すフローチャートの一部である。 本発明の研磨装置の変形例を示す図である。 圧電素子の内部構造を示す図であり、(a)は通常の状態、(b)は伸長した状態、(c)は縮小した状態を示している。 図17の研磨装置の超音波発振子を正面から見た概略断面図である。 図17の研磨装置の超音波発振子の動作を示す図である。 超音波発振子を駆動する電気回路を示す図である。 研磨工具の振動方向を示す図である。 基本的な演算増幅回路の反転増幅回路を示す図である。 離散的に利得を変え得る増幅回路の電気回路例を示す図である。 研磨工具の走査方向と振動方向とを示す参考図である。 本発明の研磨装置のさらに別の変形例を示す図である。
符号の説明
1 架台
3 第一基台
5 第二基台
7 第三基台
11 制御器
13 支持部材
25 回転軸
35 工具保持部材
37 振動子
39 ホーン
41 研磨工具
43 研磨部
45 金型
47 取付台
51 近接センサ
53 金属ジグ
57 荷重調整部材
71 コイルバネ
73 電子秤
81 超音波発振子

Claims (2)

  1. 各種装置における加工対象物の中心を求める方法であって、
    仮中心Aを決定する工程、
    仮中心Aから距離a離間した点Bに工具を移動させる工程、
    点Bに工具を置いた状態で、加工対象物を回転させて第一円を描く工程、
    仮中心Aから距離b離間した点Cに工具を移動させる工程、
    点Cに工具を置いた状態で、加工対象物を回転させて第二円を描く工程、
    各円の半径を求める工程、
    前記距離a、距離bおよび前記各円の半径に基づいて補正量を求める工程
    を含むことを特徴とする加工対象物の中心決定方法。
  2. 前後左右および上下に移動可能な基台と、この基台に前後方向に沿って設けられた回転軸まわりに揺動可能に保持された工具保持部材と、この工具保持部材に設けられ、加工対象物を研磨する研磨工具と、この研磨工具に超音波振動を付与する超音波振動付与手段と、前記工具保持部材の水平を検出する検出手段と、この検出手段による検出を監視しつつ、前記工具保持部材を上下動させることで、前記工具保持部材を水平に保持可能に、前記基台を作動させる制御部とを備えた研磨装置において、
    この研磨装置における加工対象物の中心を求める方法であって、
    仮中心Aを決定する工程、
    仮中心Aから距離a離間した点Bに研磨工具を移動させる工程、
    点Bに研磨工具を置いた状態で、加工対象物を回転させて第一円を描く工程、
    仮中心Aから距離b離間した点Cに研磨工具を移動させる工程、
    点Cに研磨工具を置いた状態で、加工対象物を回転させて第二円を描く工程、
    各円の半径を求める工程、
    前記距離a、距離bおよび前記各円の半径に基づいて補正量を求める工程
    を含むことを特徴とする加工対象物の中心決定方法。
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