JP2007275783A - 油類や揮発性有機化合物を含む汚染土壌の処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】高炉溶融スラグの顕熱を利用して汚染土壌中の油分や揮発性有機化合物を燃料を使用しないで燃焼分解させる汚染土壌の処理方法を提供する。
【解決手段】油類、揮発性有機化合物の少なくともいずれかを含む汚染土壌、或いは、油類、揮発性有機化合物の少なくともいずれかを含む汚染土壌に、CaCO3若しくはCaOを含む副原料、酸化鉄を含む副原料の少なくともいずれかを混合した汚染土壌混合原料を、溶融高炉スラグに溶解する汚染土壌の処理方法である。
【選択図】図1
【解決手段】油類、揮発性有機化合物の少なくともいずれかを含む汚染土壌、或いは、油類、揮発性有機化合物の少なくともいずれかを含む汚染土壌に、CaCO3若しくはCaOを含む副原料、酸化鉄を含む副原料の少なくともいずれかを混合した汚染土壌混合原料を、溶融高炉スラグに溶解する汚染土壌の処理方法である。
【選択図】図1
Description
油類や揮発性有機化合物を含む汚染土壌を溶融高炉スラグに溶解して処理する方法に関する。
油類や揮発性有機化合物を含む汚染土壌を加熱処理して、これらの汚染物質を燃焼分解させる方法が知られている。例えば、一次加熱処理キルンにて400℃程度に加熱し、さらに二次加熱処理装置にて750℃以上で燃焼分解させる方法が特許文献1に記載されている。
また、汚染土壌を篩分けし、篩上の大きい方の汚染土壌(塊)を高炉に直接装入し、篩下の小さい方の汚染土壌(粉)は焼結鉱の原料として、汚染土壌を焼結鉱に含有させて高炉に装入することによって、高炉内において、分解、ガス化、燃焼、溶融、溶融及び溶融スラグ化の各処理の内、いずれか一種又は二種以上の組合せにより、無害化されたガスにするか、溶銑もしくは溶融スラグ中に移行させて実質的に無害化された状態にすることが特許文献2に記載されている。
すなわち、土壌に含まれた有機系物質、例えば、ベンゼンや重油系等の油類、シアン化合物やトリクロロエチレン等の油類以外の有機系物質は、炉内最高温度約2000℃以上の温度条件を有する高炉内におかれるので、全ての有機系物質は熱分解する。そして、炉内の上昇ガス流に混じって上昇し、炉頂から排出される高炉ガスの中に、CO2、H2O、N2等となって存在し、高炉通常操業時における高炉ガス中の無害ガス成分の一部を構成するに至る。
土壌に含まれた有害な重金属、例えば、Pb、Cd、Cr、Hg、Zn、及びAs等は、これらの内、沸点が比較的低いPb、Hg、Znは、その大部分が気化して、上記有機系物質と同様に炉内の上昇ガス流に混じって上昇し、炉頂から排出される高炉ガスの中に混入する。高炉ガスの温度低下に伴い、Pb、Znは固体微粉に、Hgは微粒液粒に変態し、除塵装置または集塵装置で高炉ガス中のダストと共に補足される。当該ダスト中に占める上記重金属粒子の含有率は、著しく小さく、実際上、無害化される。
上記有害な重金属の内、上記高沸点成分を除くCd、Cr、Asは、炉内で溶融し、それぞれその一部分は1480〜1520℃程度の温度を有する溶銑中にメタル成分として溶解し、また、それぞれの残部は酸化物となり、1480〜1520℃程度の温度を有する溶融スラグ中に移行して酸化物の形態で溶融スラグ化される。当該溶銑又は溶融スラグ中に占めるこれら各重金属成分の含有率は著しく小さく、実際上無害化される。このようにして汚染土壌の無害化がなされることが、特許文献2に記載されている。
しかしながら、一般的に汚染土壌には直接高炉に装入できる強度を持った塊状ものが少なく、汚染土壌の大部分は焼結鉱の原料になり、焼結鉱中のスラグ成分となり、焼結鉱中のスラグ量を増加させる。一方、焼結鉱中のスラグ成分を低下することにより、高炉内通気抵抗が低減でき、微粉炭吹込み量が増加できたことが非特許文献1に記載されている。
ところで、溶融高炉スラグは溶銑と混合した状態で高炉炉床部から高炉出銑口を通って大樋に排出され、比重2.8程度の溶融している高炉スラグ(以下、溶融高炉スラグと呼称する)が上層を形成し、比重7.0程度の溶銑は下層を形成し、上層の溶融高炉スラグが大樋の上部から溢流して排出されることにより、溶融高炉スラグは溶銑から分離される。
大樋で溶銑から分離された溶融高炉スラグは、高炉鋳床に設置された溶滓樋を通って、非特許文献2に記載されているように、高炉鋳床端に設置された高炉スラグ処理設備にて徐冷処理または水砕急冷処理され、または高炉鋳床端に設置された溶滓鍋に注入されて高炉スラグ処理場まで移動されてのち徐冷処理または水砕急冷処理されて、高炉スラグ半製品になる。
これらの高炉スラグ半製品はさらに加工処理されて、徐冷された高炉スラグ(高炉徐冷スラグ)は路盤材あるいはコンクリート粗骨材等として、水砕急冷された高炉スラグ(高炉水砕スラグ)は高炉セメント原料あるいはコンクリート細骨材等として利用される。
大樋から高炉鋳床端の高炉スラグ処理設備または溶滓鍋までの間には、非特許文献3に記載されているように、大樋で比重分離された溶融高炉スラグに、分離しきれずになお混入する溶銑をさらに分離するために、流銑鉢または流銑鍋と呼ばれる、高炉スラグを暫時滞留させる設備が通常設置されている。高炉出銑口より排出される溶銑の温度は1500℃以上あり、比重分離された後の溶融高炉スラグは、流銑鉢または流銑鍋においても未だ1450℃程度の高温のまま存在する。
一方、通常の高炉スラグ組成であれば、徐冷処理あるいは水砕急冷処理に必要な溶融高炉スラグ温度は1350℃程度あるため、現状の処理方法においては、溶融高炉スラグの顕熱は1450℃程度から1350℃程度までの100℃程度が無駄に捨てられているという問題があった。
特開2005−169327号公報
特開2000−246232号公報
Advanced Approach to Intelligent Agglomeration、日本鉄鋼協会,平成11年、p.278−282
鉄鋼製造法、第1分冊、製銑・製鋼,日本鉄鋼協会編,丸善,昭和51年第4刷,p.366−367
鉄鋼製造法、第1分冊、製銑・製鋼,日本鉄鋼協会編,丸善,昭和51年第4刷,p.358
特許文献1に記載されているような、汚染土壌中の油分や揮発性有機化合物を加熱処理して燃焼分解させる方法では、燃焼分解用の燃料を必要とするため、処理コストが増大してしまう問題があった。
また、特許文献2に記載されているような方法では、焼結鉱中のスラグ量を増加させてしまう結果、高炉内通気抵抗を上げ、生産量の低下を引き起こす問題があった。
また、特許文献2に記載されているような方法では、焼結鉱中のスラグ量を増加させてしまう結果、高炉内通気抵抗を上げ、生産量の低下を引き起こす問題があった。
本発明では、上記のような問題点を鑑みて、汚染土壌中の油分や揮発性有機化合物を、燃焼用の燃料を新たに購入しなくとも、溶融高炉スラグの顕熱を有効利用して燃焼分解させて除去することができる処理方法を提供することを目的とする。
本発明は、下記の方法からなるものである。
(1)油類、揮発性有機化合物の少なくともいずれかを含む汚染土壌を溶融高炉スラグに溶解することを特徴とする汚染土壌の処理方法。
(1)油類、揮発性有機化合物の少なくともいずれかを含む汚染土壌を溶融高炉スラグに溶解することを特徴とする汚染土壌の処理方法。
(2)油類、揮発性有機化合物の少なくともいずれかを含む汚染土壌に、CaCO3若しくはCaOを含む副原料、酸化鉄含む副原料の少なくともいずれかを混合し、得られた汚染土壌等混合原料を溶融高炉スラグに溶解することを特徴とする汚染土壌の処理方法。
(3)前記汚染土壌又は前記汚染土壌等混合原料を、1mm以上50mm以下に塊成化した後、溶融高炉スラグに溶解することを特徴とする(1)又は(2)記載の汚染土壌の処理方法。
(4)前記油類が、重油、軽油、灯油等の石油類、又は、動植物の油の少なくともいずれかであることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の汚染土壌の処理方法。
(5)前記揮発性有機化合物がトルエン、キシレン、酢酸エチル、又は、トリクロロエチレンの少なくともいずれかであることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の汚染土壌の処理方法。
(6)前記溶融高炉スラグは、高炉の出銑口より排出された溶銑と溶融高炉スラグの混合物から、溶銑と比重分離した後の溶融高炉スラグを、流銑鉢または流銑鍋に投入した後の溶融高炉スラグであることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の汚染土壌の処理方法。
従来、汚染土壌中の油分や揮発性有機化合物を加熱処理して、燃焼分解により除去させる場合には燃料を必要としたが、本発明によれば、汚染土壌中に含まれる油類または揮発性有機化合物を、溶融高炉スラグの顕熱を有効利用して燃料をあらたに使わずに燃焼分解させて、汚染土壌を無害化処理することができる。
本発明の油類または揮発性有機化合物を含む汚染土壌を溶融高炉スラグに溶解して処理する方法は、高炉出銑口から排出され比重差により溶銑から分離される溶融高炉スラグに、(1)油類、揮発性有機化合物の少なくともいずれかを含む汚染土壌を単独で投入するか、又は、(2)油類、揮発性有機化合物の少なくともいずれかを含む汚染土壌に、CaCO3若しくはCaOを含む副原料、酸化鉄を含む副原料の少なくともいずれかを混合した汚染土壌等混合原料を投入し、前記溶融高炉スラグの高温の顕熱を利用して、前記汚染土壌または汚染土壌等混合原料に含まれる油類または揮発性有機化合物を燃焼分解させるとともに、前記汚染土壌または汚染土壌等混合原料に含まれるSiO2、Al2O3を主体とする無機酸化物を溶融高炉スラグに溶解させることを特徴とする。
ここで油類とは、水に混じらない可燃性の液体の総称であり、重油、軽油、灯油等の石油類、または動植物の油などが含まれる。さらに揮発性有機化合物(VOC)とは、揮発性を有し、大気中で気体状となる有機化合物の総称であり、トルエン、キシレン、酢酸エチル、トリクロロエチレンなど多種多様な物質が含まれる。油類または揮発性有機化合物は溶融高炉スラグ中で加熱昇温されて熱分解してガスとなり溶融高炉スラグ表面で大気中の酸素と反応して燃焼する。
油類や揮発性有機化合物を含む汚染土壌としては、例えば、化学工場用地や跡地、廃棄物処分場跡地、土地造成における盛土材料に高濃度の汚染物質が混入していた造成地等があるが、これに限定されるものではなく、上述した油類や揮発性有機化合物を含んでいる汚染土壌は殆どが処理可能である。
図1の本発明に関わる汚染土壌を溶融高炉スラグに溶解して処理する方法の一例に基づき、本発明の実施形態について詳細説明を行う。
図1において、高炉1の高炉炉床部に設置された高炉出銑口2より溶銑と溶融高炉スラグの混合物3が排出され、大樋4にて比重7.0程度の重い溶銑5と比重2.8程度の軽い溶融高炉スラグ6とに比重分離される。大樋4で溶銑5と分離された溶融高炉スラグ6は、高炉鋳床に設置された滓樋7を通り、高炉鋳床内に設置された流銑鉢または高炉鋳床端に設置された流銑鍋8に暫時滞留させて、大樋4で分離しきれずに流銑鍋8中の溶融高炉スラグ9に混入する溶銑をさらに比重分離して、溶融高炉スラグ9と溶銑10に分ける。溶融高炉スラグ9と溶銑10を分離するプロセスは、出銑中は連続処理プロセスである。
この流銑鉢又は流銑鍋8に、油類または揮発性有機化合物を含む汚染土壌12、又は油類または揮発性有機化合物を含む汚染土壌12にCaCO3若しくはCaOを含む副原料13、酸化鉄を含む副原料14の少なくともいずれか一方を混合した汚染土壌等混合原料15を原料貯留ホッパーから切り出し、ベルトコンベア18を介して粉状のまま、または塊成化して流銑鍋8中の溶融高炉スラグ9に連続的に投入する。
ここで、粉状の原料を投入する際、局所的に投入速度が溶解速度を上回ると溶融高炉スラグ表面の一部に一時的に粉が堆積する現象が生じて、堆積部分表面の未溶解の粉が飛散することがあり、このような現象が生ずるときは塊成化することが望ましい。塊成化物は1mm以上であれば飛散することなく溶解可能である。大きくなると溶解速度が小さくなり溶け残りが生じるので50mm以下にすることが望ましい。
汚染土壌等混合原料15中のCaCO3若しくはCaOを含む副原料13としては、例えば、製鉄原料として用いられる石灰石、または製鉄所の製鋼工程で発生する製鋼スラグを使用することができる。
汚染土壌等混合原料15中の酸化鉄を含む副原料14としては、例えば、製鉄原料として用いられる鉄鉱石、または製鉄所の焼結機、コークス炉、高炉などの製銑工程において排ガス処理プロセスや環境集塵プロセスで発生する製鉄ダストなど二価の酸化鉄(FeOなど)や三価の酸化鉄(Fe2O3など)を含む物質を使用することができる。
汚染土壌12はSiO2とAl2O3を主成分とする酸化物が主体であることが多く、この場合は融点が通常1600℃程度と高いため、溶融高炉スラグ9に添加する汚染土壌12の量が微量であれば溶融高炉スラグ9と反応して滓化し完全に溶解するが、大量に添加すると汚染土壌12が溶融高炉スラグ9に完全には溶解しない場合がある。そのときは、汚染土壌12にCaCO3若しくはCaOを含む副原料13、酸化鉄を含む副原料14の少なくともいずれかを混合することにより溶解が容易になる。
汚染土壌12にCaCO3若しくはCaOを含む副原料13を混合する場合には、汚染土壌12中のSiO2、Al2O3およびMgOの含有割合によって最適値は変化するが、汚染土壌等混合原料15中のCaO(mass%)/SiO2(mass%)の比が0.9〜1.1程度にすると融点が低くなり溶解性が向上する。汚染土壌12に酸化鉄を含む副原料14を混合する場合には、汚染土壌12中のSiO2、Al2O3およびMgOの含有割合によって最適値は変化するが、汚染土壌等混合原料に由来するFeO(mass%)/SiO2(mass%)の比が0.25〜1程度にすると融点が低くなり溶解性が向上する。なお、CaCO3の場合は、1モルのCaCO3を1モルのCaOとして換算して上記範囲に収める。
汚染土壌12にCaOを含む副原料13若しくは酸化鉄を含む副原料14の少なくともいずれかを混合した汚染土壌等混合原料15は溶解性が改善され、大量に添加することが可能であるが、溶解後の溶融高炉スラグの温度が1350℃よりも低くならない範囲の量で添加する必要がある。
汚染土壌12は溶融高炉スラグ温度が1350℃以上の温度範囲で溶解処理されるので、汚染土壌12に含まれる油類または揮発性有機化合物は1350℃以上の高温で速やかに燃焼分解して溶融高炉スラグ中には残存しない。
流銑鉢または流銑鍋8にて比重分離された、汚染土壌が溶解された溶融高炉スラグ11は、流銑鉢または流銑鍋8の上部から排出され、その後、鋳床端に設置された高炉スラグ処理設備にて徐冷または水砕急冷処理され、または溶滓鍋に注入されてスラグ処理場まで移動されたのち高炉スラグ処理設備にて徐冷または水砕急冷処理されて路盤材、高炉セメント原料またはコンクリート細骨材といった高炉スラグ製品に加工される。
図1の設備を用いて、試験した実施例について以下に述べる。
溶銑及び溶融高炉スラグ3の排出量が13,000トン/日の高炉1で、高炉出銑口2から溶融高炉スラグ6としては毎分2トンで排出され、その温度は出銑口2直後で1530℃である。
溶銑及び溶融高炉スラグ3の排出量が13,000トン/日の高炉1で、高炉出銑口2から溶融高炉スラグ6としては毎分2トンで排出され、その温度は出銑口2直後で1530℃である。
出銑口2から溶銑とともに排出された溶融高炉スラグは、大樋4で溶銑5から分離され、溶融高炉スラグ6として鋳床を、滓樋7を通って流れ、鋳床端に設置された流銑鍋8に注入されている。また、分離された溶銑5は製鋼工程へ搬送される。
本発明の処理を行う前には、流銑鍋8における溶融高炉スラグ9の温度は1450℃であった。
また、以下の実施例1〜5において処理される汚染土壌は、それぞれ、油分(全石油系炭化水素TPH)濃度はGC−FI法により測定値で70,000mg/kgに調整し、揮発性有機化合物は汚染土壌中から採取した土壌ガスを水素炎イオン化検出方式による分析値で1,500vol ppmC(メタン換算の炭化水素濃度)に調整した。
また、以下の実施例1〜5において処理される汚染土壌は、それぞれ、油分(全石油系炭化水素TPH)濃度はGC−FI法により測定値で70,000mg/kgに調整し、揮発性有機化合物は汚染土壌中から採取した土壌ガスを水素炎イオン化検出方式による分析値で1,500vol ppmC(メタン換算の炭化水素濃度)に調整した。
(実施例1)
ここで、表1に主な組成を示す、重油、軽油、灯油、動植物の油からなる油類やトルエン、キシレン、酢酸エチル、トリクロロエチレンからなる揮発性有機化合物を含む汚染土壌を、塊成化はしないまま、流銑鍋8に毎分0.01トンで連続的に投入した。表1の成分合計で100%に足りない分は微量元素、及び油分と揮発性有機化合物である。
ここで、表1に主な組成を示す、重油、軽油、灯油、動植物の油からなる油類やトルエン、キシレン、酢酸エチル、トリクロロエチレンからなる揮発性有機化合物を含む汚染土壌を、塊成化はしないまま、流銑鍋8に毎分0.01トンで連続的に投入した。表1の成分合計で100%に足りない分は微量元素、及び油分と揮発性有機化合物である。
流銑鍋8内の溶融高炉スラグ9の温度は15℃低下し1435℃になったが、流銑鍋8の上部から排出された溶融高炉スラグ11は水砕処理が可能であった。
汚染土壌中の油類や揮発性有機化合物は、溶融高炉スラグ9からの熱を得て、1435℃以上の高温下で燃焼分解し、残った汚染土壌中のSiO2、CaO、Al2O3やMgO等の酸化物は溶融高炉スラグ9中に溶解し溶融スラグとなった。このとき、目視観察により汚染土壌の溶け残りは観察されなかった。
汚染土壌中の油類や揮発性有機化合物は、溶融高炉スラグ9からの熱を得て、1435℃以上の高温下で燃焼分解し、残った汚染土壌中のSiO2、CaO、Al2O3やMgO等の酸化物は溶融高炉スラグ9中に溶解し溶融スラグとなった。このとき、目視観察により汚染土壌の溶け残りは観察されなかった。
製造された高炉スラグ製品中には油分(全石油系炭化水素TPH)および揮発性有機化合物は検出されなかった。
従来無駄に棄てられていた溶融高炉スラグ温度15℃低下に相当する高温の溶融高炉スラグ顕熱が有効に熱源として利用され、13トン/日に相当する量の油類または揮発性有機化合物を含む汚染土壌を流銑鍋で処理し、高炉スラグ11を13トン/日増量し高炉スラグ製品を増量することが可能であった。
従来無駄に棄てられていた溶融高炉スラグ温度15℃低下に相当する高温の溶融高炉スラグ顕熱が有効に熱源として利用され、13トン/日に相当する量の油類または揮発性有機化合物を含む汚染土壌を流銑鍋で処理し、高炉スラグ11を13トン/日増量し高炉スラグ製品を増量することが可能であった。
(実施例2)
次ぎに、表2に主な組成を示す、重油、軽油、灯油、動植物の油からなる油類やトルエン、キシレン、酢酸エチル、トリクロロエチレンからなる揮発性有機化合物を含む汚染土壌1000kgにバインダーとして表2に主な組成を示すベントナイトを53kg混合し、水分を添加して水分7%に調整した汚染土壌等混合原料15を成形機(ブリケットマシン)16で加圧成形して塊成化した塊状溶解原料17を流銑鍋8に毎分0.02トンで連続的に投入した。表2の成分合計で100%に足りない分は微量元素、及び油分と揮発性有機化合物である。
次ぎに、表2に主な組成を示す、重油、軽油、灯油、動植物の油からなる油類やトルエン、キシレン、酢酸エチル、トリクロロエチレンからなる揮発性有機化合物を含む汚染土壌1000kgにバインダーとして表2に主な組成を示すベントナイトを53kg混合し、水分を添加して水分7%に調整した汚染土壌等混合原料15を成形機(ブリケットマシン)16で加圧成形して塊成化した塊状溶解原料17を流銑鍋8に毎分0.02トンで連続的に投入した。表2の成分合計で100%に足りない分は微量元素、及び油分と揮発性有機化合物である。
流銑鍋8内の溶融高炉スラグ9の温度は30℃低下し1420℃になったが、流銑鍋8の上部から排出された溶融高炉スラグ11は水砕処理が可能であった。
塊状溶解原料17中の油類や揮発性有機化合物は、溶融高炉スラグ9からの熱を得て、1420℃以上の高温下で燃焼分解し、残った塊状溶解原料17中のSiO2、CaO、Al2O3やMgO等の酸化物は溶融高炉スラグ9中に溶解し溶融スラグとなった。このとき、目視観察により塊状溶解原料17の溶け残りは観察されなかった。
塊状溶解原料17中の油類や揮発性有機化合物は、溶融高炉スラグ9からの熱を得て、1420℃以上の高温下で燃焼分解し、残った塊状溶解原料17中のSiO2、CaO、Al2O3やMgO等の酸化物は溶融高炉スラグ9中に溶解し溶融スラグとなった。このとき、目視観察により塊状溶解原料17の溶け残りは観察されなかった。
製造された高炉スラグ製品中には油分(全石油系炭化水素TPH)および揮発性有機化合物は検出されなかった。
従来無駄に棄てられていた溶融高炉スラグ温度30℃低下に相当する高温の溶融高炉スラグ顕熱が有効に熱源として利用され、27トン/日に相当する量の油類や揮発性有機化合物を含む汚染土壌を流銑鍋で処理し、高炉スラグ11を28トン/日増量し高炉スラグ製品を増量することが可能であった。
従来無駄に棄てられていた溶融高炉スラグ温度30℃低下に相当する高温の溶融高炉スラグ顕熱が有効に熱源として利用され、27トン/日に相当する量の油類や揮発性有機化合物を含む汚染土壌を流銑鍋で処理し、高炉スラグ11を28トン/日増量し高炉スラグ製品を増量することが可能であった。
(実施例3)
次ぎに、前記塊状溶解原料17を流銑鍋8に毎分0.03トンで連続的に投入したところ、前記塊状溶解原料17中の油類または揮発性有機化合物は燃焼分解したものの、溶融高炉スラグ11中に一部未溶解の土壌由来の酸化物が残留したのが目視により観察された。未溶解の土壌由来の酸化物が残留すると高炉スラグ製品の品質が均一でなくなるため完全に溶解する必要がある。
ただし、製造された高炉スラグ製品中には油分(全石油系炭化水素TPH)および揮発性有機化合物は検出されなかった。
次ぎに、前記塊状溶解原料17を流銑鍋8に毎分0.03トンで連続的に投入したところ、前記塊状溶解原料17中の油類または揮発性有機化合物は燃焼分解したものの、溶融高炉スラグ11中に一部未溶解の土壌由来の酸化物が残留したのが目視により観察された。未溶解の土壌由来の酸化物が残留すると高炉スラグ製品の品質が均一でなくなるため完全に溶解する必要がある。
ただし、製造された高炉スラグ製品中には油分(全石油系炭化水素TPH)および揮発性有機化合物は検出されなかった。
(実施例4)
表3に主な組成を示す、重油、軽油、灯油、動植物の油からなる油類やトルエン、キシレン、酢酸エチル、トリクロロエチレンからなる揮発性有機化合物を含む汚染土壌1000kgに対して表2に主な組成を示す石灰石を1327kgとバインダーとして表2に主な組成を示すベントナイトを122kg混合し、水分を添加して水分7%に調整した汚染土壌等混合原料15をブリケットマシンで加圧成形して塊成化した塊状溶解原料17を製造した。表3の成分合計で100%に足りない分は微量元素、及び油分と揮発性有機化合物である。
表3に主な組成を示す、重油、軽油、灯油、動植物の油からなる油類やトルエン、キシレン、酢酸エチル、トリクロロエチレンからなる揮発性有機化合物を含む汚染土壌1000kgに対して表2に主な組成を示す石灰石を1327kgとバインダーとして表2に主な組成を示すベントナイトを122kg混合し、水分を添加して水分7%に調整した汚染土壌等混合原料15をブリケットマシンで加圧成形して塊成化した塊状溶解原料17を製造した。表3の成分合計で100%に足りない分は微量元素、及び油分と揮発性有機化合物である。
塊状溶解原料17中に含まれるCaCO3が溶融高炉スラグ中で熱分解して生成するCaO量は757kgとなり、塊状溶解原料17中に含まれるSiO2量が757kgとなり、塊状溶解原料17中のCaO(mass%)/SiO2(mass%)の比が1.0になる塊状溶解原料17を流銑鍋8に毎分0.1トンで連続的に投入した。
流銑鍋8内の溶融高炉スラグ9の温度は100℃低下し1350℃になったが、流銑鍋8の上部から排出された溶融高炉スラグ11は水砕処理が可能であった。
塊状溶解原料17中の油類や揮発性有機化合物は、溶融高炉スラグ9からの熱を得て、1350℃以上の高温下で燃焼分解し、残った塊状溶解原料17中のSiO2、CaO、Al2O3やMgO等の酸化物は溶融高炉スラグ9中に溶解し溶融スラグとなった。
塊状溶解原料17中の油類や揮発性有機化合物は、溶融高炉スラグ9からの熱を得て、1350℃以上の高温下で燃焼分解し、残った塊状溶解原料17中のSiO2、CaO、Al2O3やMgO等の酸化物は溶融高炉スラグ9中に溶解し溶融スラグとなった。
製造された高炉スラグ製品中には油分(全石油系炭化水素TPH)および揮発性有機化合物は検出されなかった。
従来無駄に棄てられていた溶融高炉スラグ温度100℃低下に相当する高温の溶融高炉スラグ顕熱が有効に熱源として利用され、55トン/日に相当する量の油類や揮発性有機化合物を含む汚染土壌を流銑鍋で処理し、高炉スラグ11を101トン/日増量し高炉スラグ製品を増量することが可能であった。
従来無駄に棄てられていた溶融高炉スラグ温度100℃低下に相当する高温の溶融高炉スラグ顕熱が有効に熱源として利用され、55トン/日に相当する量の油類や揮発性有機化合物を含む汚染土壌を流銑鍋で処理し、高炉スラグ11を101トン/日増量し高炉スラグ製品を増量することが可能であった。
(実施例5)
また、表4に主な組成を示す、重油、軽油、灯油、動植物の油からなる油類やトルエン、キシレン、酢酸エチル、トリクロロエチレンからなる揮発性有機化合物を含む汚染土壌1000kgに対して表4に主な組成を示す鉄鉱石粉を214kgとバインダーとして表3に主な組成を示すベントナイトを64kg混合し、水分を添加して水分7%に調整した汚染土壌等混合原料15をブリケットマシンで加圧成形して塊成化した塊状溶解原料17を製造した。表4の成分合計で100%に足りない分は微量元素、及び油分と揮発性有機化合物である。
また、表4に主な組成を示す、重油、軽油、灯油、動植物の油からなる油類やトルエン、キシレン、酢酸エチル、トリクロロエチレンからなる揮発性有機化合物を含む汚染土壌1000kgに対して表4に主な組成を示す鉄鉱石粉を214kgとバインダーとして表3に主な組成を示すベントナイトを64kg混合し、水分を添加して水分7%に調整した汚染土壌等混合原料15をブリケットマシンで加圧成形して塊成化した塊状溶解原料17を製造した。表4の成分合計で100%に足りない分は微量元素、及び油分と揮発性有機化合物である。
塊状溶解原料17中に含まれるFe2O3が溶融高炉スラグ中で熱分解して生成するFeOが215kgとなり、塊状溶解原料17中に含まれるSiO2量が716kgとなることを考慮し、塊状溶解原料17中のFeO(mass%)/SiO2(mass%)を0.3に調整した塊状溶解原料17を流銑鍋8に毎分0.1トンで連続的に投入した。
塊状溶解原料17中に含まれるFe2O3が溶融高炉スラグ中で熱分解してFeOを生成する際、溶融高炉スラグ中にカーバイド等あるいは遊離炭素として含まれる炭素の存在がFe2O3からFeOを生成する反応を促進するが、さらに汚染土壌等混合原料中にコークス粉あるいは炭素を含む製鉄ダストを混合してブリケットマシンで加圧成形して塊成化した塊状溶解原料を用いることによってもFe2O3からFeOを生成する反応を促進するのに有効である。
流銑鍋8内の溶融高炉スラグ9の温度は100℃低下し1350℃になったが、流銑鍋8の上部から排出された溶融高炉スラグ11は水砕処理が可能であった。
塊状溶解原料17中の油類や揮発性有機化合物は、溶融高炉スラグ9からの熱を得て、1350℃以上の高温下で燃焼分解し、残った塊状溶解原料17中のSiO2、CaO、Al2O3やMgO等の酸化物は溶融高炉スラグ9中に溶解し溶融スラグとなる。
塊状溶解原料17中の油類や揮発性有機化合物は、溶融高炉スラグ9からの熱を得て、1350℃以上の高温下で燃焼分解し、残った塊状溶解原料17中のSiO2、CaO、Al2O3やMgO等の酸化物は溶融高炉スラグ9中に溶解し溶融スラグとなる。
製造された高炉スラグ製品中には油分(全石油系炭化水素TPH)および揮発性有機化合物は検出されなかった。
従来無駄に棄てられていた溶融高炉スラグ温度100℃低下に相当する高温の溶融高炉スラグ顕熱が有効に熱源として利用され、105トン/日に相当する量の油類や揮発性有機化合物を含む汚染土壌を流銑鍋で処理し、高炉スラグ11を129トン/日増量し高炉スラグ製品とすることが可能であった。
従来無駄に棄てられていた溶融高炉スラグ温度100℃低下に相当する高温の溶融高炉スラグ顕熱が有効に熱源として利用され、105トン/日に相当する量の油類や揮発性有機化合物を含む汚染土壌を流銑鍋で処理し、高炉スラグ11を129トン/日増量し高炉スラグ製品とすることが可能であった。
尚、実施例では、油類と揮発性有機化合物の両方を含む例を記載したが、両方共に除去できており、それぞれ片方のみが存在した汚染土壌でも、問題なく処理できることが判る。
1:高炉、2:出銑口、3:溶銑と溶融高炉スラグの混合物、4:大樋、5:溶銑、6:溶融高炉スラグ(溶融高炉スラグ)、7:滓樋、8:流銑鍋、9:溶融高炉スラグ、10:溶銑、11:溶融高炉スラグ、12:汚染土壌、13:CaCO3若しくはCaOを含む副原料、14:酸化鉄を含む副原料、15:汚染土壌等混合原料、16:成形機、17:塊状溶解原料、18:ベルトコンベア。
Claims (6)
- 油類、揮発性有機化合物の少なくともいずれかを含む汚染土壌を、溶融高炉スラグに溶解することを特徴とする汚染土壌の処理方法。
- 油類、揮発性有機化合物の少なくともいずれかを含む汚染土壌に、CaCO3若しくはCaOを含む副原料、酸化鉄を含む副原料の少なくともいずれかを混合し、得られた汚染土壌等混合原料を溶融高炉スラグに溶解することを特徴とする汚染土壌の処理方法。
- 前記汚染土壌又は前記汚染土壌等混合原料を、1mm以上50mm以下に塊成化した後、溶融高炉スラグに溶解することを特徴とする請求項1又は2に記載の汚染土壌の処理方法。
- 前記油類が、重油、軽油、灯油等の石油類、又は、動植物の油の少なくともいずれかであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の汚染土壌の処理方法。
- 前記揮発性有機化合物がトルエン、キシレン、酢酸エチル、又は、トリクロロエチレンの少なくともいずれかであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の汚染土壌の処理方法。
- 前記溶融高炉スラグは、高炉の出銑口より排出された溶銑と溶融高炉スラグの混合物から、溶銑と比重分離した後の溶融高炉スラグを、流銑鉢又は流銑鍋に投入した後の溶融高炉スラグであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の汚染土壌の処理方法。
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JP2006105977A JP2007275783A (ja) | 2006-04-07 | 2006-04-07 | 油類や揮発性有機化合物を含む汚染土壌の処理方法 |
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CN113751486A (zh) * | 2021-08-27 | 2021-12-07 | 北京科技大学 | 含有钢渣的组合物及钢渣在黏土热脱附修复中的应用 |
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2006
- 2006-04-07 JP JP2006105977A patent/JP2007275783A/ja not_active Withdrawn
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