JP4514415B2 - 重金属溶出抑制材の製造方法 - Google Patents

重金属溶出抑制材の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有害な重金属を含有する土壌、廃棄物、汚泥等及び、これ等の物質をセメントまたは固化材で固化処理したものからの重金属の溶出を抑制出来る重金属溶出抑制材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
汚染土壌、廃棄物、汚泥等の恒久的対策の一つに、セメントまたは固化材による固形化封じ込めがある。しかしながら、被処理物の性状によっては、被処理物、セメント、あるいは、固化材由来の六価クロムが土壌環境基準を超えて溶出するといった問題もあった。この六価クロム溶出抑制対策としては、硫酸第一鉄、亜硫酸塩、チオ硫酸塩、硫黄、硫化物、高炉スラグ、水素化物、及び金属粉等、各種の還元剤の添加が知られている。これ等の還元材を製造する方法は各種提案されている。例えば、特許文献1〜3には、1000℃以上の還元雰囲気下で製造され、CaO、Al、SiOの中の2成分以上を主成分とし、かつ、還元性物質を含有する重金属溶出低減材が開示されている。
【0003】
これ等に記載の方法は、いずれも還元雰囲気下で製造することを特徴としている。還元雰囲気にする具体的方法としては、例えば特許文献1の段落0008には、原料と共に可燃物を投入する方法、原料と共に鉄やアルミニウム等の金属成分を投入する方法、COやH等の還元性ガスを流す方法が挙げられている。
【0004】
一方、現在、1000℃以上の温度領域で運転される工業的加熱装置としては、セメント製造プロセスに見られる内燃式ロータリーキルンが、生産性が高いという理由で主流となっており、その場合、燃料の燃焼用空気により、系内は酸化雰囲気となる。
従って、この場合、系内への可燃物や金属成分の投入により部分的な還元雰囲気の形成は可能であるが、酸化雰囲気が残存し、還元性を有する目的物質の生成反応が不完全となることがあった。また、可燃物や金属成分の投入量が多い場合、製品中にそれが残存する恐れもあった。さらに、一酸化炭素や水素等の還元性ガスの使用に当たっては、これ等のガスが高価な上に、取扱いに際して、爆発及びガス中毒を防ぐ為の厳重な対策を要するという問題があった。
すなわち、生産性の高い一般的な工業生産設備において、還元雰囲気下での処理が必要な、還元性物質を含む重金属溶出低減材を安定して生産することは困難であった。
【0005】
また、生成した硫化カルシウム等の金属硫化物が、空気中では酸素により酸化されチオ硫酸塩になる、あるいは、水分により加水分解し硫化水素と水酸化物になるなどの化学変化を起こし、その結果、重金属の溶出抑制性能が低下するという問題もあった。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−205032号公報
【特許文献2】
特開2002−239523号公報
【特許文献3】
特開2002−241166号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、生産性の高い一般的な工業生産設備において、特に雰囲気を制御することなく、すなわち一般的な大気雰囲気下で、実施可能な、かつ、大気中で保管しても性能の劣化が少ない重金属溶出抑制材を与える重金属溶出抑制材製造方法の提供を目的とする。
【0008】
【課題を解決する為の手段】
本発明者は、還元材及び金属硫酸塩を含む原料を溶融することにより、酸化雰囲気でも、安定した性能を維持する重金属溶出抑制材を製造出来ることを見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明は、還元材及び金属硫酸塩を含む原料に、酸化カルシウム、酸化アルミニウム及び二酸化珪素の中から選ばれる2種以上の酸化物の混合物あるいは、これ等の中の2種以上の酸化物から構成される複合酸化物(これ等の、酸化物の混合物及び複合酸化物を添加酸化物と称す)を加え、還元材、金属硫酸塩及び添加酸化物を混合して造粒した後、酸化雰囲気下1200〜1600℃で溶融することを特徴とする、金属硫化物を含む重金属溶出抑制材の製造方法に関する。
また、還元材が石炭灰に含まれる未燃炭素であり、金属硫酸塩が石膏であることが好ましい。
また、石炭灰に含まれる未燃炭素、石膏及び添加酸化物より成る原料を予め混合して造粒した後、セメント製造設備のキルン窯前またはクリンカークーラーに原料を投入して溶融し、重金属溶出抑制材を含むクリンカーの形態で、重金属溶出抑制材を製造することもできる。なお、添加酸化物とは、酸化カルシウム、酸化アルミニウム及び二酸化珪素の中から選ばれる2種以上の酸化物の混合物あるいは、これ等の中の2種以上の酸化物から構成される複合酸化物をいう。
更に、セメント製造設備のキルン窯前またはクリンカークーラーに原料を投入する場合においては、クリンカー100質量部に対する、重金属溶出抑制材の添加量が、2〜20質量部となるように、石炭灰に含まれる未燃炭素、石膏及び添加酸化物より成る原料を投入することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明の重金属溶出抑制材は、金属硫酸塩と還元材とより成る混合物を溶融して製造されるが、還元材としては、炭素、有機物、金属、並びに、これ等を一種以上含むものを使用することが出来る。炭素を含む物質としては、石炭、コークス、及び未燃炭素の多い石炭灰などが使用可能である。有機物を含む還元材として、木材、プラスティックなどを挙げることができる。また、建築解体現場等で発生する廃木材、廃プラスティック及びRDFなどの廃棄物を有効利用することも可能である。金属を含む物質としては、鉄、アルミニウムなどを含むものが使用可能である。例えば、電化製品、自動車等の解体工場で発生する鉄屑を有効利用することが可能である。さらに、有機物としてゴム、金属としてスチールワイヤーを、それぞれ含有する廃タイヤも使用可能である。
【0010】
一方、本発明における硫酸塩とは、CaSO、MgSO、NaSO等の金属硫酸塩、及びこれ等に、複数個の結晶水のついたものを主成分として含むものが使用可能である。建築解体現場等から発生する廃石膏ボード等の石膏廃材を有効利用することも可能である。
【0011】
本発明の実施にあたっては、還元材及び金属硫酸塩を含む原料を1200〜1600℃で溶融することが必要である。しかし、上記した還元材及び金属硫酸塩のみより成る混合物をこの温度領域で溶融させるのは困難な場合があり、これを実施する為に、重金属溶出抑制材の主成分ともなる、酸化カルシウム、酸化アルミニウム及び二酸化珪素の中から選ばれる2種以上の酸化物の混合物あるいは、これ等の中の2種以上の酸化物から構成される複合酸化物を存在させることが好ましい。ここで言う複合酸化物とは、例えば、2CaO・Al・SiOで表されるゲーレナイト、CaO・Al・2SiOで表されるアノーサイト、3CaO・2SiOで表されるランキナイト、CaO・SiOで表されるウォラストナイト等である。
【0012】
酸化カルシウム、酸化アルミニウム及び二酸化珪素の中から選ばれる2種以上の酸化物の混合物あるいは、これ等の中の2種以上の酸化物から構成される複合酸化物を構成成分として含む重金属溶出抑制材の製造に当たっては、これ等の酸化物、あるいは、加熱処理によりこれ等酸化物に変化するカルシウム化合物、アルミニウム化合物、及び珪素化合物を主原料として用いる必要があるが、これ等の化合物としては、各々の金属の水酸化物、炭酸塩、硫酸塩、等の各種塩、並びに、これ等の混合物が使用可能である。
尚、本発明においては、重金属溶出抑制材を構成する、酸化カルシウム、酸化アルミニウム及び二酸化珪素の中から選ばれる2種以上の酸化物の混合物、及び、これ等の中の2種以上の酸化物から構成される複合酸化物を添加酸化物と称することにする。
【0013】
添加酸化物の全体的組成としては、強熱残分ベースで酸化カルシウム換算で15〜60質量%のカルシウム化合物、二酸化珪素換算で30〜60質量%の珪素化合物、及び酸化アルミニウム換算で5〜40質量%のアルミニウム化合物を、それぞれ含むことが好ましい。中でも、酸化カルシウム換算で38〜40質量%のカルシウム化合物、二酸化珪素換算で40〜42質量%の珪素化合物、及び酸化アルミニウム換算15〜17質量%のアルミニウム化合物を、それぞれ含む組成が特に好ましい。これは、酸化カルシウム、二酸化珪素、及び酸化アルミニウムの三元系状態図において、共晶点に相当し、特に混合物の融点が低くなる組成である。
【0014】
還元材、硫酸塩及び、添加酸化物を含む原料を、1200〜1600℃の温度範囲に加熱すると、当該組成に固有の融点において溶融する。溶融物は、雰囲気から溶融物内部への酸素流入を阻止し、溶融物内部において金属硫酸塩が還元剤により還元され、金属硫化物が生成する。この金属硫化物は重金属の溶出抑制材として好適に作用する。
【0015】
原料中における金属硫酸塩の、溶融相を形成する添加酸化物に対する混合割合は質量比で1/100〜1/5が好ましく、さらに好ましくは1/20〜1/7である。この比率が1/100以下では、溶融物に対する金属硫化物の生成量が極めて少なく、生成固化材単位重量当たりの重金属溶出抑制効果が低くなる。また、この比率が1/5よりも大きい場合、溶融中に内部に雰囲気中の酸素が流入する為、金属硫化物がほとんど生成しないか、または、一旦、生成してもその後の保管中に分解し易くなる。
【0016】
本発明を実施する場合、原料である還元材、金属硫酸塩及び溶融相を形成する添加酸化物とを予め良く混合しておくのが好ましい。混合が不完全で、還元材が外部に露出した状況で加熱すると、還元材が雰囲気中の酸素により酸化され、金属硫化物生成の効率が低下する。
また、予め混合した原料を、造粒しておくことがさらに好ましい。造粒により還元材を造粒物内部へ封じ込め、溶融物が雰囲気からの酸素流入を阻止する効果を高めることが出来ると共に、伝熱速度を増すことにより、原料を速やかに溶融させ、溶融物中での金属硫酸塩の還元反応を促進させることが出来る。
【0017】
本発明における造粒物の大きさは、含有還元材が雰囲気中の酸素により酸化されるのを防ぐ為、押出し造粒等で製造される数mm程度の顆粒よりも、長径で2〜3cm程度のやや大きいものが好ましい。造粒の方法は特に限定されず、一般的な、押出し造粒、解砕造粒、噴霧乾燥造粒、撹拌造粒、転動造粒、及び圧縮造粒等のいずれでも実施可能である。中でも、圧縮造粒の一種であるブリケッティングが、生産性が高いこと、及び、径の大きい造粒物が製造可能である点で好ましい。
【0018】
本発明の重金属溶出抑制材の製造に関しては、特に、雰囲気を還元性に制御する必要がないことから、極一般的な加熱装置で製造可能である。具体的には、ロータリーキルン、電気炉、反射炉等が使用可能であるが、中でも、内燃式のロータリーキルンが生産効率が高い点で好適である。その場合、造粒物同士の融着、及び溶融物のキルン内部への融着を防止する為に、珪石粉等の融着防止材を、造粒物と同時にキルンへ挿入することが好ましい。この、融着防止材の使用量は、造粒物に対して質量比で10〜50%程度が好ましい。
【0019】
また、クリンカーを製造中のセメント原料焼成装置のキルン窯前またはクリンカークーラー内の1200〜1600℃の領域に原料を投入することにより、本発明による重金属溶出抑制材を製造することが可能である。
この方法では、セメント生産時の余熱の有効利用が可能になると共に、既存のセメント生産設備を用いることにより、新たな設備投資をすることなく、重金属溶出抑制材が予め混合されたセメント組成物の製造が可能となる。
セメント原料焼成装置のキルン窯前またはクリンカークーラー内に原料を投入する場合には、重金属溶出抑制効果及び強度の観点から、重金属溶出抑制材の添加量が、クリンカー100質量部に対して2〜20質量部となるように、還元材、金属硫酸塩及び添加酸化物より成る原料を投入することが好ましい。
【0020】
溶融物は冷却後、ブレーン3000〜4000cm/g程度の粒度に粉砕し、セメントまたは固化材に混合して使用することが出来る。
セメント原料焼成装置のキルン窯前またはクリンカークーラー内に原料を投入した場合には、クリンカーから分離することなく必要に応じて更にせっこうを加えたものを粉砕処理することにより、重金属溶出抑制材が予め混合されたセメント組成物を得ることができる。
添加酸化物は、溶融処理を受けたことにより高炉水砕スラグ類似の潜在水硬性を付与され、これが、セメントあるいは固化材に混合して使用された際に、強度発現及び有害物の固定に補助的に機能する。
尚、溶融処理を受けた後の添加酸化物を、酸化物成分と呼ぶことにする。
【0021】
溶融原料中に生成した金属硫化物は非常に微細であるため、溶融物を粉砕後も酸化物成分中にほとんど埋没した状態で存在し、保管中に空気中の酸素や湿度による分解を受け難くなる。
【0022】
一方、本発明による重金属溶出抑制材を、汚染土壌、廃棄物、汚泥等の固化に用いた際には、多量に存在する水分により酸化物成分が水和されると共に、酸化物成分中に埋没していた金属硫化物が露呈することにより還元機能を発揮すると共に、重金属の硫化物が形成され、重金属の溶出が抑制されるものと推察される。
【0023】
【実施例】
以下では具体例を示し、本発明を更に詳しく説明する。
(1)使用原料:原料は次のものを使用した。
・石炭灰:石炭火力発電所からの排出物、未燃炭素量が9.4%のもので、この未燃炭素が還元材として機能し、残りの各酸化物が、重金属溶出抑制材の酸化物成分となる。
・下水汚泥焼却灰:生石灰、塩化鉄系の排水処理システムからの焼却灰を用いた。
・二水石膏:建築解体工事現場より回収した石膏ボード廃材をジョークラッシャー及びアトマイザーにより、紙ごと1mmアンダーに粉砕したものを用いた。
これ等使用原料の組成分析値を、表1に、強熱後基準で示す。
【0024】
【表1】
【0025】
(2)混合・造粒:上記各原料を表2に示す配合比でリボンブレンダーにより混合後、大塚鉄工社製ブリケットマシーンK−209型を用い造粒した。この際、圧力媒体の機械油の圧力は180kg/cmとした。
得られた造粒物はアーモンド状で、長径18mm、短径15mm、厚み12mmの大きさであった。また、一部の試料は混合物を造粒することなく、以下の焼成・粉砕に供した。
【0026】
【表2】
【0027】
(3)焼成・粉砕:
表2に示す配合比で混合した粉体またはその造粒物について、3通りの方法で焼成・粉砕を実施した。
第1の方法では、混合物粉体またはその造粒物20gを船形るつぼへ入れ、ガス流通式の管状電気炉(径60mm×長さ1000mm)内で、各雰囲気条件下、所定温度で、5分間焼成した。実施した各焼成条件及び焼成物に関する溶融の有無を表3にまとめて示す。1150℃で焼成した比較例1を除き、採用した条件下で投入原料は溶融した。尚、表3において、酸化雰囲気とは通常の大気雰囲気を示す。また、還元雰囲気とは、純窒素に1体積%の一酸化炭素を混合させたガスを0.5L/分流通させたことを表す。引き続き、得られた焼成物を、空気中で冷却後、ボールミルを用いてブレーン3,500cm/gの粉体に粉砕した。
【0028】
【表3】
【0029】
2番目の焼成方法では、造粒物を専用ロータリーキルンを用いて焼成した(実施例3)。
専用ロータリーキルンとしては、内径45cm、長さ12mの重油内燃式ロータリーキルンを用いた。焼成条件は、回転速度250rpm、燃料はC重油を40l/時間用い、空気量34Nm/分で、原料投入量は焼出し量基準で、60kg/時間とした。
造粒物に対して20質量%の珪石粉を融着防止材として、造粒物と同時にキルンへ挿入した。投入した造粒物は焼成により溶融したが、融着防止材の使用により、造粒物同士の融着及び、キルン内部へのコーチングは、キルンの運転に支障を及ぼすレベル以下に抑制可能であった。
焼成物は、ロータリーキルンに付随するクーラーで冷却後、ボールミルを用いてブレーン3,500cm/gの粉体に粉砕し、重金属溶出抑制材を得た。
【0030】
3番目の焼成方法では、造粒物をクリンカー製造中のセメント生産設備に投入し焼成した(実施例4)。
造粒物を、普通ポルトランドセメントクリンカーを製造中のセメント製造装置のクリンカークーラーへクリンカー90質量%に対して10質量%投入した。投入は、グレート上を移動中のクリンカー上部に、各組成物を落下させる方法によって実施した。投入位置は、キルンからクリンカーが落下した地点のすぐ後とした。この後、通常の普通ポルトランドセメント製造と同様に、クリンカーに二水石膏を添加後、ブレーン3,500cm/gの粉体に粉砕し、重金属溶出抑制材を予混合した試製セメントを製造した。二水石膏添加量は、仕上げセメントに対してSO換算で2質量%となるようにした。
【0031】
(4)評価:管状電気炉を用いる1番目の焼成法で焼成した4個の試料について、保存性能及び重金属溶出抑制性能の評価を実施した。
先ず、保存性能評価試験として、大気への暴露により金属硫化物の分解を促進する試験を実施した。ブレーン3,500cm/gの粉体に粉砕した4種の重金属溶出抑制材を、トレイ上に厚み約1cmに敷きつめ、温度20℃、相対湿度60%の恒温恒湿室に、28日間放置した。分解促進試験の前後の硫化物硫黄量を、JIS R 5202ポルトランドセメントの化学分析方法により測定した。測定結果を表4に示す。
【0032】
また、分解促進試験を実施前の試料と、実施後の試料に関して、セメント系固化材を併用して、六価クロムの溶出抑制性能の評価を実施した。固化処理対象物としては、砂質土(自然含水比18.5%)の六価クロム汚染土を用いた。なお、この汚染土に関して、環境庁告示第46号により六価クロム溶出量を評価した結果1.02mg/Lであった。固化材としては、一般軟弱土用セメント系固化材を使用し、これに対して外割りで10質量%の重金属溶出抑制材を用いた。
また、処理土に対する固化材と重金属溶出抑制材の使用量は合計で200kg/mとした。実施手順は、まず、重金属溶出抑制材及び固化材を処理対象物に添加、撹拌混合し、型枠(径5cm×高さ10cm)に充填した後、締固め、20℃、湿度60%の恒温室で密封養生した。7日経過後、脱型して供試体を得た。脱型後の供試体に関しては、環境庁告示第46号に則り、六価クロムの溶出量を測定した。測定結果を表3に合わせて示す。
【0033】
表3の実施例2と比較例2との比較により、酸化雰囲気で溶融したものは、還元雰囲気で溶融したものと、硫化物硫黄の生成量、分解促進試験での硫化物の安定性及び、重金属溶出抑制機能がほぼ同程度であることが分かる。
また、同表の実施例2と比較例1との比較により、酸化雰囲気で溶融したものは、同様の雰囲気で未溶融のものと比較し、硫化物硫黄の生成量が多い上に、分解促進試験によっても硫化物が分解し難く、その結果、六価クロムの溶出抑制機能が低下し難いことが分かる。
更に、同表の実施例1と2との比較により、造粒後焼成したものは、粉体のまま焼成したものと比較し、硫化物硫黄の生成量が多い上に、分解促進試験によっても硫化物が分解し難く、その結果、六価クロムの溶出抑制機能が低下し難いことが分かる。
【0034】
ロータリーキルンによる焼成後、粉砕することにより製造した重金属溶出抑制材(実施例3)およびセメント生産設備のクリンカークーラーを用い製造した試製セメント(実施例4)に関しても、重金属の溶出抑制性能を評価した。実施例3に関しては、普通ポルトランドセメント100質量%に10質量%の重金属溶出抑制材を混合して、固化材として用いた。また、実施例4に関しては、重金属溶出抑制材を予混合した試製セメントをそのまま固化材として用いた。なお、処理土に対するこれ等の固化材の使用量は合計で、200kg/mとした。その他の評価条件及び手順は、前記の管状電気炉による試製品と同様に行った。評価結果を表4に示す。
【0035】
【表4】
【0036】
表4より、専用のロータリーキルンを用いても、また、セメント生産設備のクリンカークーラーを用いても、特別な雰囲気制御をすることなく、六価クロムの溶出を抑制できる重金属溶出抑制材を製造出来ることが分かる。
【0037】
【発明の効果】
本発明は、一般的な工業生産設備において、雰囲気を制御する必要なく、簡便に、かつ、安定して製造出来る重金属溶出抑制材を提供するものであり、本発明の効果は極めて大きい。また、本発明の重金属溶出抑制材は、従来のものよりも保管中の安定性に優れており、この意味でも本発明の効果が大きい。

Claims (4)

  1. 還元材及び金属硫酸塩を含む原料に、酸化カルシウム、酸化アルミニウム及び二酸化珪素の中から選ばれる2種以上の酸化物の混合物あるいは、これ等の中の2種以上の酸化物から構成される複合酸化物(これ等の、酸化物の混合物及び複合酸化物を添加酸化物と称す)を加え、前記還元材、前記金属硫酸塩及び前記添加酸化物を混合して造粒した後、酸化雰囲気下1200〜1600℃で溶融することを特徴とする、金属硫化物を含む重金属溶出抑制材の製造方法。
  2. 還元材が石炭灰に含まれる未燃炭素であり、金属硫酸塩が石膏であることを特徴とする請求項1に記載の重金属溶出抑制材の製造方法。
  3. 石炭灰に含まれる未燃炭素、石膏及び添加酸化物より成る原料を予め混合して造粒した後、セメント製造設備のキルン窯前またはクリンカークーラーに原料を投入し、溶融することを特徴とする、重金属溶出抑制材を含むクリンカーの製造方法。
    なお、添加酸化物とは、酸化カルシウム、酸化アルミニウム及び二酸化珪素の中から選ばれる2種以上の酸化物の混合物あるいは、これ等の中の2種以上の酸化物から構成される複合酸化物をいう。
  4. クリンカー100質量部に対する、重金属溶出抑制材の添加量が、2〜20質量部となるように、石炭灰に含まれる未燃炭素、石膏及び添加酸化物より成る原料を投入することを特徴とする、請求項3に記載のクリンカーの製造方法。
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