JP2007275761A - ガス中の硫黄酸化物除去剤の製造方法 - Google Patents

ガス中の硫黄酸化物除去剤の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】安価で高性能な、排ガス中の硫黄酸化物のアンモニアによる除去剤の製造方法、及び、その除去剤を用いた排ガス中の硫黄酸化物の除去方法、並びに焼結排ガスの浄化方法を提供する。
【解決手段】第一鉄イオンを含有する鋼酸洗廃液を中和し、且つ、当該廃液中の第一鉄イオンを酸化して、水酸化第二鉄を含有する沈殿物を生成し、当該沈殿物を、脱水した後に成形して製造する。また、その製造した除去剤に排ガスを接触させて排ガス中の硫黄酸化物を除去する。
【選択図】図1

Description

本発明は、硫黄酸化物を含有するガスからの硫黄酸化物の除去技術に関するものである。
硫黄酸化物を含有するガスとしては、例えば、都市ゴミや産業廃棄物の焼却設備、鉄鋼電気炉、鉄鋼焼結機等から排出される排ガスがある。
これらの硫黄酸化物を含有するガスからの硫黄酸化物の除去技術の一つとして、製鉄所の焼結機等から発生する硫黄酸化物を含む低温排ガス中から硫黄酸化物を除去ないし低減する技術が知られている。
例えば、非特許文献1に示されるように、約100〜150℃の低温の排ガスをまず電気集塵の後、石灰石−石膏法の湿式脱硫で硫黄酸化物除去を行うプロセスがある。
また、活性コークスの移動層による吸着除去方法も実用化されている。これは特許文献1に示されるように、焼結排ガスにアンモニアを注入後、活性炭または活性コ−クスを充填した十字流移動層吸着装置に送り、排ガスから硫黄酸化物、窒素酸化物を除去し、使用した活性炭または活性コ−クスを加熱再生し、循環使用する方法である。
さらに、特許文献2には、酸化鉄を含有する鉄鉱石による排煙中の硫黄酸化物脱硫剤について開示されている。この脱硫剤は、含水率5%以上の鉄鉱石、または、比表面積10m2 /g以上の鉄鉱石からなる排煙脱硫用脱硫剤を、乾式排煙脱硫用として使用する。比表面積10m2 /g以上の鉄鉱石からなる排煙脱硫用脱硫剤は、含水率2%以上の鉄鉱石を250℃以上の温度で加熱処理することにより調製する。
特開平7-47228号公報 特開平6-63352号公報 「燃料転換とSOx・NOx対策技術」(プロジェクトニュ−ス社;安藤淳平著)199ページ図10−6
非特許文献1に示す焼結排ガスの処理方法では、副産物として石膏が大量に発生し、製鉄所内での利用価値がほとんどないため、処理に困るものである。
特許文献1に示す焼結排ガスの処理方法は、移動層であるため、除去剤の磨耗による損失があり、絶えず、新しい除去剤を補給する必要があるが、除去剤が活性コークスまたは活性炭であり、比較的高価なため、運転費が高くなる課題があった。
特許文献2に示すような酸化鉄を含有する鉄鉱石を排煙中の硫黄酸化物脱硫剤として利用する方法は、鉄鉱石自身の比表面積が比較的大きくなく、未処理での脱硫性能は高くない。脱硫性能向上のためには、加熱により比表面積を増大させる必要があり、加熱の手間やコストが増大するという問題があった。
そこで、本発明は、上述したような課題を解決し、安価で高性能なガス中の硫黄酸化物除去剤の製造方法、ガス中の硫黄酸化物の除去方法、硫黄酸化物除去剤の利用方法、及び、硫黄酸化物除去剤の再生方法を提供することを目的とする。
その発明の要旨とするところは、
(1)第一鉄イオンを含有する鋼酸洗廃液を中和し、且つ、当該廃液中の第一鉄イオンを酸化して、水酸化第二鉄を含有する沈殿物を生成し、当該沈殿物を、脱水した後に成形することを特徴とするガス中の硫黄酸化物除去剤の製造方法。
(2)前記鋼酸洗廃液中の第一鉄イオンを鉄酸化細菌で酸化した後に、前記鋼酸洗廃液を中和することを特徴とする(1)記載のガス中の硫黄酸化物除去剤の製造方法。
(3)前記成形の際に、バインダーとして消石灰または生石灰を使用することを特徴とする(1)又は(2)記載のガス中の硫黄酸化物除去剤の製造方法。
(4)硫黄酸化物を含有するガスに、(1)〜(3)のいずれか1項に記載の方法により製造した硫黄酸化物除去剤を接触させることを特徴とするガス中の硫黄酸化物の除去方法。
(5)前記硫黄酸化物を含有するガスが、鉄鋼製造における焼結排ガスであることを特徴とする(4)記載のガス中の硫黄酸化物の除去方法。
(6)前記ガスの前記除去剤への接触が、前記除去剤を充填した移動層にて行われることを特徴とする(4)又は(5)記載のガス中の硫黄酸化物の除去方法。
(7)(4)〜(6)のいずれか1項に記載の除去方法により硫黄酸化物を含有するガスと接触した後の前記硫黄酸化物除去剤を、回収して焼結原料として使用することを特徴とする硫黄酸化物除去剤の利用方法。
(8)(4)〜(6)記載の除去方法により硫黄酸化物を含有するガスと接触した後の前記硫黄酸化物除去剤を、回収した後、篩い目の寸法が2mm以上の篩いで篩い分けし、篩い上を高炉用原料として使用することを特徴とする硫黄酸化物除去剤の利用方法。
(9)前記硫黄酸化物除去剤の回収後、当該回収した硫黄酸化物除去剤を、pHを7以上、10以下に調整した水中で水洗し、乾燥した後、前記焼結原料、又は前記高炉原料として使用することを特徴とする(7)又は(8)記載の硫黄酸化物除去剤の利用方法。
(10)前記硫黄酸化物除去剤の回収後、当該回収した硫黄酸化物除去剤を、600〜1100℃で加熱処理した後、前記焼結原料、又は前記高炉原料として使用することを特徴とする(7)又は(8)記載の硫黄酸化物除去剤の利用方法。
(11)(4)〜(6)のいずれか1項に記載の除去方法により硫黄酸化物を含有するガスと接触した後の前記硫黄酸化物除去剤を、回収した後、pHを7以上、10以下に調整した水中で水洗し、乾燥することを特徴とする硫黄酸化物除去剤の再生方法。
本発明のガス中の硫黄酸化物の除去方法、ガス中の硫黄酸化物除去剤の製造方法、及び、硫黄酸化物除去剤の利用方法を用いることにより、ガス中の硫黄酸化物除去を、安価で効率的に行うことができる。特に、本発明を製鉄所の焼結排ガスに用いることにより、特許文献1に記載されている活性コークス法に対して運転費用を大幅に低減することができる。
本発明者らは、結晶性の低い水酸化鉄、すなわち不均一な結晶構造を有する水酸化鉄は、比表面積が大きく、硫黄酸化物除去活性が高いことを発見し、種々の水酸化鉄を探索した結果、アルカリで中和した鋼酸洗廃液から得られる水酸化第二鉄を含む沈殿物(中和スラッジ)の硫黄酸化物除去活性が非常に高いことを見いだし本発明に至った。
鋼酸洗廃液は、鋼板以外にも棒鋼、条鋼、線材等の鉄鋼製品の酸洗廃液を含むが、鋼板の酸洗廃液が一般的であるので以下、鋼板の酸洗廃液を例に取り説明する。
一般的に、水酸化第二鉄は、第一鉄イオンを含有する水溶液を、アルカリ剤で中和した後に該水溶液中の第一鉄イオンを酸化するか、又は該水溶液中の第一鉄イオンを酸化した後にアルカリ剤で中和して、沈殿物として得ることができる。
対して、中和スラッジは、製鉄所において冷延鋼板あるいは亜鉛メッキ、錫メッキなどの表面処理鋼板を製造する際の酸洗工程の副生成物として大量に副成される。本発明においては、この中和スラッジをガス中の硫黄酸化物除去剤として利用する。
冷延鋼板あるいは亜鉛メッキ、錫メッキなどの表面処理鋼板を製造する際に、塩酸、硫酸等を使用して酸洗した結果生じる酸洗廃液が排出される。これらの酸性の酸洗廃液には金属イオンとして、第一鉄、亜鉛、錫、ニッケル、クロム等が含まれ、特に第一鉄イオン(Fe2+)は他の金属イオンに比較し多量に含まれている。これらの排水を公共用水域に排出するために、金属イオン及びpHを環境規制の水質以下に除去および調整している。このため、アルカリ凝集沈澱が用いられている。
以下、図1に従って、具体的に説明する。
すなわち、複数箇所から排出された酸洗廃液aを反応槽1中で混合するとpH約2〜4となるがその後、アルカリ剤bを添加し、pHを7〜10、好ましくは8〜9に維持すると共に、反応槽1に多量の空気cを吹込み、水酸化第一鉄を水酸化第二鉄に酸化して沈殿物dを生成させる。
また、pH約2〜4の酸性廃液aを有する反応槽1に多量の空気cを吹き込んで第一鉄イオンを第二鉄イオンに酸化すると共に、アルカリ剤bを添加し、pHを7〜10、好ましくは8〜9として水酸化第二鉄を生成して沈殿させても良い。
ここで、アルカリ剤としては、一般に消石灰スラリーが使用されるが、消石灰を用いた場合、沈殿物に大量にカルシウムが共存するため除去剤活性上好ましくなく、除去剤活性を高めるためには、アルカリ剤bとして水酸化ナトリウム、アンモニア等の水溶液が好ましい。
また、酸化方法として、空気酸化以外に、生物酸化法も利用できる。生物酸化法としては、例えば、pH2〜4で活性のある鉄酸化細菌を用いる方法がある。
すなわち、2価鉄イオンを3価鉄イオンまで酸化する際に発生するエネルギーを用いて増殖する鉄酸化細菌を用いる方法である。具体的には、図2に示すように、鉄酸化菌eが生息している反応槽1に酸洗排水aを混合し、鉄酸化菌eで酸洗排水中の2価鉄イオンを3価鉄イオンまで酸化する。
鉄酸化細菌は中性・糸状細菌と酸性・非糸状細菌に大別されるが、ここで用いる細菌は後者の酸性・非糸状細菌であり、例えば、チオバチラス・フェロオキシダンス(Thiobachillus ferrooxidans)が代表的な細菌である。この鉄酸化細菌のうち、pHが2〜4で棲息あるいは活性のある鉄酸化細菌を用いて2価鉄イオンを含む排水を処理すれば、pHが低い段階で2価鉄イオンを3価鉄イオンまで迅速に酸化することができる。
鉄酸化細菌eで3価鉄イオンまで酸化した後は、空気酸化の際と同様に、アルカリ剤bを添加し、pHを7〜10、好ましくは8〜9として水酸化第二鉄に酸化して沈殿物dを生成させる。
上記沈殿物dは、鉄以外に若干の不純物を含み、鋼板、および酸洗液の種類により異なるが、例えば、Cr、Zn、S等を含み、BET法で測定した比表面積は、約100〜200m/gであり、一般的な製造方法で生成される水酸化第二鉄と比べて値が大きく、微細である。
生じた沈殿物dは反応槽から回収、又は更にシックナー2等で沈殿を促進させてから回収するが、未だ水分を多く含むため、脱水機3で脱水して脱水ケーキfとする。脱水の方法は、ろ過、フィルタープレス、遠心分離等を適宜行えばよい。
脱水ケーキfは、微粉であるが、ガス中の硫黄酸化物の除去や、排ガス浄化に用いる場合、充填層を使用することから、成型機4により成型して除去剤gを製造する。成型は、球状とする場合は、ディスクペレタイザー又はドラム型造粒機等を使用し、円柱状とする場合は、押し出し成型機等を使用し、ブリケットとする場合は、ロール成型機等を使用して行う。
各成型方法により、成型時に必要な中和スラッジ水分率は異なるため、成型前には、脱水ケーキを乾燥、又は調湿して、適正水分とする。また、バインダーhとして消石灰(Ca(OH))、又は生石灰(CaO)を配合することにより強度が増大するだけでなく、硫黄酸化物除去性能が向上する。配合割合は、消石灰または生石灰を、スラッジとバインダーの合計質量に対して、カルシウムの質量基準で5〜50質量%とする。配合割合が5質量%未満であれば、強度が維持できず、50質量%超であれば硫黄酸化物除去性能がバインダーを配合していないものより低下する。
上記製造方法で製造した硫黄酸化物除去剤を使用することで、ガス中の硫黄酸化物としては、二酸化硫黄だけでなく、三酸化硫黄等も除去可能である。
また、これらの硫黄酸化物は、低濃度(ppbオーダー)〜高濃度(数%)まで、広い範囲で除去可能である。
以下、鉄鋼製造における焼結排ガスを例に、本発明のガス中の硫黄酸化物の除去方法に係るプロセスの一例を図3のフローに従って説明するが、本発明は焼結排ガスに限らず、硫黄酸化物を含むガスであれば硫黄酸化物の除去が可能である。
焼結機5を出た排ガスiは、集塵機6により除塵後、充填層7にはいり、充填層7中の成型された除去剤jと接触して、排ガスi中の硫黄酸化物は吸着除去される。
硫黄酸化物除去性能が低下した除去剤jを効率的に排出するために充填層7は、移動層が好ましい。移動層以外では、固定層が考えられるが、硫黄酸化物除去率や圧力損失が変化するため効率的ではない。
硫黄酸化物を吸着した除去剤jは、主成分が水酸化第二鉄であるため製鉄原料として使用でき、篩による分級装置9により粒分kと粉分lに分離し、粒分kを高炉10に直接装入し、粉分lを焼結原料として焼結機5で利用することができる。
ここで除去剤jは、充填層の圧力損失を考慮して直径5〜20mmの球または、直径と長さの比(直径/長さ)が0.5〜2で直径が5〜20mmの円柱が好ましい。また、篩い分けの篩い目の寸法は2mm以上が好ましい。篩い目の大きさが成型物の大きさよりも大きいと篩う意味が無いため、成型物の大きさが篩い目の大きさの上限となる。
2mm未満の場合、高炉で使用する粒分の平均粒径が小さくなり、高炉の圧力上昇を招き、高炉操業が不安定になる。篩い分けをしないで、全量を焼結原料として使用することも可能である。
焼結原料または高炉原料に使用する場合、鋼材の品質の観点から除去剤から硫黄酸化物を除去することが好ましい。付着した硫黄酸化物の大部分は、硫酸第二鉄(Fe(SO)の形で除去剤に取り込まれているため、簡単には除去できない。本発明の除去剤に対して種々検討した結果、限定されたpH領域での水洗と限定された温度領域での加熱が、付着した硫黄酸化物除去に効果的であることが判明した。
具体的には、水洗の場合、除去剤を水槽に入れた後、pHを7以上、好ましくは9以上に調整して、撹拌を行う。pH調整は、硫酸イオンが存在するため水溶液は、最初酸性になるのでアルカリ溶液、例えば、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムの水溶液で行う。
pHが7未満の場合は、十分に硫酸鉄を溶解することができず、pH上昇とともに除去効率は向上するが、pH10超ではアルカリの添加が多くなるのに見合った効率向上幅が小さく経済的でない。
撹拌時間は、10分以上、2時間以内が適当である。10分未満では、十分に硫酸鉄が溶解せず、2時間以上では、硫酸鉄がほとんど溶解し、硫酸イオンと第二鉄イオンが完全に分離され、第二鉄イオンは水酸化第二鉄として沈殿しているため、これ以上の時間の処理は効果的でない。
加熱の場合、600〜1100℃、好ましくは700〜1000℃で加熱処理する。600℃未満の場合、ほとんど除去ができない。1000〜1100℃の加熱で完全に除去ができるため、1100℃超の加熱は経済的に好ましくない。
加熱処理方法は、充填層またはロータリーキルンを用いて外部加熱または内部加熱を所定温度で行う。
処理時間は、処理温度、及び処理量で変化するため、必要とされる硫黄酸化物除去率により決定する。
また、加熱雰囲気は、硫黄酸化物の除去が温度で決定されるので、雰囲気は問わないが、外部加熱の場合は空気、内部加熱の場合は、燃焼排ガス雰囲気が経済的に好ましい。
また、集塵機6は、一般に電気集塵機が使用されるが、バグフィルターやサイクロンも使用できる。また、充填層7を移動層にすることにより煤塵を捕集し、効率的に排出することが可能であるので集塵機6を省略することも可能である。
焼結排ガスに限らず、本発明の方法においては、硫黄酸化物を含むガスと、本発明により製造した除去剤との接触時の温度は、50〜400℃が好ましく、更には100〜250℃がより好ましい。
すなわち、50℃以上あれば硫黄酸化物の除去が可能であるが、硫黄酸化物除去効率向上の観点からは100℃以上あると良い。
また、接触時の温度が400℃を越えると、排ガス中の酸素と反応して水酸化第二鉄が酸化鉄に変化していくため、好ましくない。更には、250℃を越えると、熱収縮により、水酸化第二鉄の比表面積が小さくなる傾向があるため、250℃以下の排ガス温度で吸着を行うことがより好ましい。また、経済性の観点からも上限は制限される。
接触時の温度を適正温度とするためには、排ガスの煙道途中に設ける充填層の位置を調整すること等で対応できる。排ガス温度が低く、加温が必要な場合には、バーナーによる追い焚き、高温廃熱との熱交換などが考えられる。
水洗により硫黄酸化物を除去した除去剤は、水酸化第二鉄として回収されるため、再度成型することにより、酸洗廃液から作成した除去剤と同じ硫黄酸化物除去効果が得られる。
以下、実施例に従って、本発明を具体的に説明する。
(実施例1)
実施例に使用する除去剤としては、以下の除去剤A〜Cを使用した。
除去剤Aとしては、鋼板の酸洗廃液を空気酸化した後、水酸化ナトリウム水溶液で中和させた沈殿物を、濾過した後、水分調整したものを、更に直径10mmの球状にディスクペレタイザーで成形した後、乾燥させた除去剤を使用した。
除去剤Bとしては、鋼板の酸洗廃液を、鉄酸化菌を用いて酸化した後、水酸化ナトリウム水溶液で中和させた沈殿物を、濾過した後、水分調整したものを、更に直径10mmの球状にディスクペレタイザーで成形した後、乾燥させた除去剤を使用した。
除去剤Cとしては、除去剤Bの成型前の粉末に消石灰を粉末と消石灰の質量に対して消石灰中のカルシウムの質量基準で10質量%になるように混合後、水分調整をしたものを、更に直径10mmの球状にディスクペレタイザーで成形したのち、二酸化炭素気流中で2時間炭酸化処理をして、消石灰を炭酸カルシウム化した除去剤を使用した。
また、比較例となる除去剤Dとしては、鋼板の酸洗廃液を900℃空気雰囲気でばい焼して得られた酸化鉄を水分調整したものを直径10mmの球状にディスクペレタイザーで成形した後、乾燥させた除去剤を使用し、比較例となる除去剤Eとしては、含水酸化鉄を主成分とする鉄鉱石を破砕後、5〜10mmに整粒した除去剤を使用した。
さらに、試薬の水酸化第二鉄(関東化学:No.16024)を除去剤Aと同様に成型し、作成した除去剤をFを比較例として用いた。
脱硫性能評価は、ガス流通式の充填層反応器を用いて、SO:200ppm,O:10%,HO:15%,残りNの組成の模擬排ガスを用いて空間速度(ガス体積流量/除去剤充填層容積):2000hr−1、反応温度:150℃の条件で、実施例除去剤A〜Cと比較例除去剤D、Eを用いて24時間行った。それぞれの脱硫率を表1に示す。脱硫率は、下式で定義した。
脱硫率=(1−(脱硫後ガス中SO2濃度/脱硫前ガス中SO2濃度))×100
Figure 2007275761
いずれの実施例も比較例に対して高い脱硫率を示したが、消石灰をバインダーとして配合した除去剤Cが最も高い脱硫率を示した。
また、実施例では、原料が製鉄所の副産物を使用していることから、製造コストとしては、成型コスト以外にはほとんどかからないため、従来技術の除去剤である活性コークスの製造コスト(原料費、成型費、加熱費)と比較して、製造コストを約半分に低減することができることが判った。
(実施例2)
除去剤Bを使用して焼結実排ガスでの試験を実施した。焼結機から排出され事前に電気集塵機により除塵された排ガスを処理ガス量1,000Nm3/hr、排ガス温度120℃で、除去剤Bの供給・排出速度が60kg/hr、容量1m3の移動層に導入した。
なお、この排ガスは、ダストを30mg/Nm3、SOxを150ppm、NOxを150ppm含有していた。
移動層内で排ガスと除去剤を接触させ硫黄酸化物除去を行い移動層出口の排ガスを分析したところSOxが10ppm以下であった。
さらに、排ガス処理後の使用済み除去剤を篩い目の寸法が2mmの篩いで篩い分けした篩い上(粒分)を高炉に鉄分の原料として装入したところ配合原料の10mass%まで溶銑の品質が維持できた。 また、篩い下(粉分)を焼結原料として使用したところ焼結配合原料に対して10mass%配合まで焼結鉱の品質が維持できた。
(実施例3)
実施例2で使用した除去剤Bを10g純水に50ml添加し、60分撹拌したところpHは2であった。水と除去剤を分離した後、再度、純水50mlを添加し10分撹拌して、水と除去剤を分離後、110℃で24時間乾燥後、硫黄付着量を分析した。最初の純水での60分撹拌時に水酸化ナトリウム水溶液でpHをそれぞれ4〜12に調整し、上記と同様の操作を行った後、硫黄付着量の分析を行い水洗前後の硫黄付着量から硫黄除去率を算出した。表2に示すようにpHが6までは除去率は余り向上しない。pHが7以上で除去率は大幅に上昇する。pH10でほぼ頭打ちとなる。
Figure 2007275761
さらに、水洗(pH=9)処理後の使用済み除去剤を篩い目の寸法が3mmの篩いで篩い分けした篩い上(粒分)を高炉に鉄分の原料として装入したところ配合原料の20mass%まで安定操業が可能で品質も維持できた。20mass%超の配合では、除去剤の粉化の影響で圧力損失が上昇し、操業が不安定になった。 また、篩い下(粉分)を焼結原料として使用したところ焼結配合原料に対して20mass%配合まで安定操業が可能で品質も維持できた。20mass%超の配合では、焼結ベッドの通気性が悪くなり、操業が不安定になり、品質も低下した。
また、水洗(pH=9)処理後の使用済み除去剤を再度、成型し実施例2と同じ操作で排ガス処理試験を実施し、移動層出口の排ガスを分析したところSOxが10ppm以下で、新品と同等の性能を示した。
(実施例4)
実施例2で使用した除去剤Bを10g石英管に充填し、空気流通下電気炉により所定温度まで昇温し、1時間その温度で保持した。その後、室温まで冷却し、取り出して硫黄付着量の分析を行い、加熱前後の硫黄付着量から硫黄除去率を算出した。表3に示すように600℃以上で硫黄(硫黄酸化物)の脱離が始まり、800℃以上で除去率が80%以上となり、1000℃以上でほぼ完全に硫黄が脱離する。
Figure 2007275761
さらに、加熱(800℃)処理後の使用済み除去剤を篩い目の寸法が3mmの篩いで篩い分けした篩い上(粒分)を高炉に鉄分の原料として装入したところ配合原料の20mass%まで安定操業が可能で品質も維持できた。20mass%超の配合では、除去剤の粉化の影響で圧力損失が上昇し、操業が不安定になった。 また、篩い下(粉分)を焼結原料として使用したところ焼結配合原料に対して20mass%配合まで安定操業が可能で品質も維持できた。20mass%超の配合では、焼結ベッドの通気性が悪くなり、操業が不安定になり、品質も低下した。
図1は、本発明の方法に係る製造プロセスフローの1例を示す図である。 図2は、本発明の方法に係る製造プロセスフローの1例を示す図である。 図3は、本発明の方法に係る硫黄酸化物除去プロセスフローの1例を示す図である。
符号の説明
1 反応槽
2 シックナー
3 脱水機
4 成型機
5 焼結機
6 集塵機
7 除去剤充填層
8 煙突
9 分級装置
10 高炉
a 酸洗排水
b アルカリ剤
c 空気
d 沈殿物
e 鉄酸化細菌
f 脱水ケーキ
g 除去剤
h バインダー
i 排ガス
j 除去剤
k 粒分
l 粉分

Claims (11)

  1. 第一鉄イオンを含有する鋼酸洗廃液を中和し、且つ、当該廃液中の第一鉄イオンを酸化して、水酸化第二鉄を含有する沈殿物を生成し、当該沈殿物を、脱水した後に成形することを特徴とするガス中の硫黄酸化物除去剤の製造方法。
  2. 前記鋼酸洗廃液中の第一鉄イオンを鉄酸化細菌で酸化した後に、前記鋼酸洗廃液を中和することを特徴とする請求項1記載のガス中の硫黄酸化物除去剤の製造方法。
  3. 前記成形の際に、バインダーとして消石灰または生石灰を使用することを特徴とする請求項1又は2記載のガス中の硫黄酸化物除去剤の製造方法。
  4. 硫黄酸化物を含有するガスに、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法により製造した硫黄酸化物除去剤を接触させることを特徴とするガス中の硫黄酸化物の除去方法。
  5. 前記硫黄酸化物を含有するガスが、鉄鋼製造における焼結排ガスであることを特徴とする請求項4記載のガス中の硫黄酸化物の除去方法。
  6. 前記ガスの前記除去剤への接触が、前記除去剤を充填した移動層にて行われることを特徴とする請求項4又は5記載のガス中の硫黄酸化物の除去方法。
  7. 請求項4〜6のいずれか1項に記載の除去方法により硫黄酸化物を含有するガスと接触した後の前記硫黄酸化物除去剤を、回収して焼結原料として使用することを特徴とする硫黄酸化物除去剤の利用方法。
  8. 請求項4〜6記載の除去方法により硫黄酸化物を含有するガスと接触した後の前記硫黄酸化物除去剤を、回収した後、篩い目の寸法が2mm以上の篩いで篩い分けし、篩い上を高炉用原料として使用することを特徴とする硫黄酸化物除去剤の利用方法。
  9. 前記硫黄酸化物除去剤の回収後、当該回収した硫黄酸化物除去剤を、pHを7以上、10以下に調整した水中で水洗し、乾燥した後、前記焼結原料、又は前記高炉原料として使用することを特徴とする請求項7又は8記載の硫黄酸化物除去剤の利用方法。
  10. 前記硫黄酸化物除去剤の回収後、当該回収した硫黄酸化物除去剤を、600〜1100℃で加熱処理した後、前記焼結原料、又は前記高炉原料として使用することを特徴とする請求項7又は8記載の硫黄酸化物除去剤の利用方法。
  11. 請求項4〜6のいずれか1項に記載の除去方法により硫黄酸化物を含有するガスと接触した後の前記硫黄酸化物除去剤を、回収した後、pHを7以上、10以下に調整した水中で水洗し、乾燥することを特徴とする硫黄酸化物除去剤の再生方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2013006160A (ja) * 2011-06-27 2013-01-10 Osaka Sangyo Univ 硫黄酸化物除去材
CN103212293A (zh) * 2012-01-19 2013-07-24 北京三聚环保新材料股份有限公司 一种以羟基氧化铁为活性组分的脱硫剂的再生方法
CN112337478A (zh) * 2020-11-19 2021-02-09 营口理工学院 一种负载型助剂修饰的燃油汽柴油脱硫催化剂的制备方法

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